JP3707589B2 - 電力需要量予測方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電力系統における中央給電指令所または地方給電指令所、系統制御所等において、系統制御用計算機または汎用電子計算機により電力需要量を自動的に予測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力系統における例えば翌日の電力需要量(日最大電力や日負荷曲線)の予測作業は、熟練運用者の経験と直感的知識により行われていることが多く、そのほぼすべての作業を手作業に頼っている。
このため、予測作業を自動化するものとして、電力系統内の代表地点の気象情報等を用いた重回帰分析に代表される統計的手法により、またはニューラルネットワークを用いて予測する方法が近年提案され、確立されつつある。これらの方法では、過去の実績データを用いて予測モデルを構築している。
【0003】
予測モデルの予測精度は、モデルの構築に用いた実績データ数に大きく依存するため、過去数年分のデータを用いるのが一般的である。しかし、電力需要は毎年増加するため、そのままでは高精度な予測モデルを構築することが難しい。この問題を解決する方法として、以下の二つの方法が知られている。
【0004】
一番目の方法は、過去数年分のデータを、電力需要量の伸びからある特定年相当(通常は予測対象年の前年相当)の電力需要量に補正し、この補正データを用いて予測モデルを構築する方法である。
図11はこの補正概念を示すもので、予測対象年の2年以前の破線で示した各年の電力需要量が、補正後の電力需要量である。この補正に用いる係数を年増加係数といい、各年ごとにその値が異なっている。すなわち、年増加係数自体が年々補正されると考えることができる。
この方法により構築したモデルを用いて実際に予測する場合、上記特定年相当(予測対象年の前年相当)から予測対象年への電力需要量の増加率を考慮して更に補正を行う必要がある。
【0005】
二番目の方法は、過去の実績データを補正せずに、各年度ごとに予測モデルを構築する。各年度用の予測モデルの予測値は、各年度相当の予測しかできないため、予測当年用に変換した後、更にそれぞれの予測値の平均を求める等の方法により、一つの予測値を得る。
【0006】
上述した何れの方法でも、年増加係数は各年度とも一つ、または各年度の各季節ごとに一つ計算している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電力系統を運用するためには厖大な専門的知識が必要であるが、近年では、この知識を有する熟練運用者が特に減少の一途をたどっている。一方、電力需要量、特に日最大電力需要量の予測は、系統運用の基盤とも言うべき発電計画立案の基礎となるものであり、その予測精度の向上と自動化が切望されている。
【0008】
ここで、電力需要量は、エアコンなどの普及により冷暖房需要の伸びが大きい。このため、冷房需要が多い夏の高温時や暖房需要が多い冬の低温時に特に電力需要量の伸びが大きく、気温帯によって年増加係数は異なっている。
図12は気温と電力需要量との関係を近年及び数年前につき示したもので、現時点に近いほど特性線は全体的に上側に位置している。
【0009】
従来では、各年の平均気温等の条件により抽出した日の電力需要量から年増加係数を算出していた。つまり、各年ごとに一つずつ、または各年の季節ごとにひとつずつの年増加係数を算出し、使用していた。
この方法によると、各年の中温時の年増加係数を用いることになり、夏の高温時や冬の低温時の電力需要量の変化を正確に反映したものとは言えない。
【0010】
そこで本発明は、気温帯ごとに年増加係数を算出し、この年増加係数に基づいて過去の実績データを補正するとともに、補正された実績データを用いて気温帯別に予測モデルを構築し、気温帯の境界部分の予測においては隣接気温帯の予測モデルによる予測結果をファジー融合する等の手段により、電力需要量の予測精度を向上させるようにした電力需要量予測方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、計算機により、過去の電力需要量の実績データを年増加係数を用いて補正し、この補正後の実績データに基づいて構築した予測モデルを用いて予測対象日の電力需要量を予測する方法において、過去の実績データの気象条件により複数の気温帯の温度区分を決定するステップと、前記気温帯に従って過去の該当日を抽出するステップと、抽出した該当日の電力需要量から気温帯ごとに年増加係数を算出するステップと、を有するものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、計算機により、過去の電力需要量の実績データを年増加係数を用いて補正し、この補正後の実績データに基づいて構築した予測モデルを用いて予測対象日の電力需要量を予測する方法において、過去複数年の電力需要量の実績データに基づいて予測モデルを構築する際に、請求項1に記載した気温帯ごとの年増加係数を用いて実績データを補正するものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電力需要量予測方法において、複数の気温帯別に予測モデルを構築するものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の電力需要量予測方法において、複数の気温帯別に構築した予測モデルによる予測値をファジー理論により融合するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に沿って説明する。
まず、請求項1に記載した発明の実施形態を説明する。この発明は、気温帯ごとに異なる電力需要量の年増加係数を、過去の実績データの統計分析に基づいて求めるものである。その処理内容は、図1に示すように、気温帯区分決定(S11)、データ抽出(S12)、年増加係数算出(S13)からなっている。
以下、各処理の内容を説明する。
【0016】
(1)気温帯区分決定(S11)
過去の実績データの気象条件から、最高気温、平均気温、最低気温等を求め、各気温帯の温度区分を求める。
気温帯の分割は、過去における1日の最高気温の最高と最低とを求めてそれを等分割したり、冷夏や猛暑など特定年度の平均気温を用いて分割する。
【0017】
以下に、気温帯の区分方法の例を示す。
・例1
図2は、近年の電力需要量及び数年前の電力需要量について、1日の最高気温と電力需要量との関係を示すグラフ上で気温帯を区分した一例を示す図である。図において、低温帯の下限温度は、過去5年間における1日の最高気温のうち最低の温度であり、ここでは11.9℃である。また、高温帯の上限温度は、過去5年間における1日の最高気温のうち最高の温度であり、ここでは35.6℃である。
更に、
低温帯と中温帯との温度境界=最低気温+(最高気温−最低気温)/3,
中温帯と高温帯との温度境界=最低気温+2(最高気温−最低気温)/3
により決定する。ただし、ここにおける「最低気温」とは1日の最低気温ではなく、過去5年の最高気温のうち最低のもの、同じく「最高気温」とは1日の最高気温ではなく、過去5年の最高気温のうち最高のものをいう。
【0018】
・例2
図3は、近年の電力需要量及び数年前の電力需要量について、1日の平均気温と電力需要量との関係を示すグラフ上で気温帯を区分した一例を示す図である。
この場合、
夏の低温帯と中温帯との温度境界=冷夏年の平均気温,
夏の中温帯と高温帯との温度境界=猛暑年の平均気温
により決定する。
【0019】
(2)データ抽出(S12)
次に、年増加係数算出のため、各気温帯に当てはまる日、もしくは各気温帯を代表する日を抽出する。抽出条件の例を以下に示す。
例えば、前述の例1(図 2)では、
低温帯:1日の最高気温が低温帯に当てはまるすべての日,
中温帯:1日の最高気温が中温帯に当てはまるすべての日,
高温帯:1日の最高気温が高温帯に当てはまるすべての日,
また、前述の例2(図 3)では、
低温帯:平均気温が冷夏年の平均気温の±1℃の範囲に属するすべての日,
中温帯:平均気温が過去5年の平均気温の±1℃の範囲に属するすべての日,
高温帯:平均気温が猛暑年の平均気温の±1℃の範囲に属するすべての日
としてデータを抽出する。
【0020】
(3)年増加係数算出(S13)
抽出したデータを用いて各年度の平均電力需要量を計算し、気温帯別に年度間の年増加係数を算出する。例えば、1994年度の電力需要量を1995年度相当に補正するための各気温帯ごとの年増加係数は、次のようにして算出される。
年増加係数(低温)=平均電力需要量(1995年度低温帯)/平均電力需要量(1994年度低温帯),
年増加係数(中温)=平均電力需要量(1995年度中温帯)/平均電力需要量(1994年度中温帯),
年増加係数(高温)=平均電力需要量(1995年度高温帯)/平均電力需要量(1994年度高温帯)
【0021】
次に、本実施形態の第1実施例としての気温帯別年増加係数算出方法を説明する。この実施例は前述の図2に対応しており、年増加係数の算出に用いたデータは過去5年分の実績データである。
まず、5年分のデータについて、表1の季節区分により季節毎に1日の最高気温の最高と最低とを求め、両者の間の温度範囲を三分割して表2のように低温帯、中温帯、高温帯とする。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
そして、上記気温帯に属する日の平均電力需要量を、季節ごと、各年ごとに求める。この結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】
この表3に基づき、気温帯別の各年毎の年増加係数を求めた結果が表4である。
すなわち、表3における1995年度の平均電力需要量を1とした場合の、各年、各季節の平均電力需要量の比率の逆数が年増加係数として求められる。例えば、低温帯の1991年度春季の年増加係数は、表3の(a)から17230.12/15773.33≒1.092357となる(表4(a)の該当個所参照)。
【0027】
【表4】
【0028】
このように本実施例によれば、気温体別の電力需要量の変化を考慮した年増加補正が可能になる。
【0029】
次に、本実施形態の第2実施例を説明する。この実施例は、前述の図3に対応している。
上述した第1実施例では、過去の最高気温の最高と最低との間の温度範囲を三分割して気温帯を決めている。しかし、この方法では、例えば冷夏の年の高温帯に該当する日はごく少ないため、統計計算を行うにはサンプル数が少なくて年増加係数を算出できない事態が生じる。
【0030】
そこで本実施例では、過去5年間の猛暑の年の平均気温を高温帯境界温度、冷夏の年の平均気温を低温帯境界温度として算出する。また、データとして抽出する日は、低温帯については平均気温が冷夏年の平均気温の±1℃の範囲に属するすべての日、中温帯については平均気温が過去5年の平均気温の±1℃の範囲に属するすべての日、高温帯については平均気温が猛暑年の平均気温の±1℃の範囲に属するすべての日である。
但し、各年度とも抽出される日が5日未満であるときには、0.5℃刻みで抽出幅を拡げて最低5日以上抽出することとする。
【0031】
表5に、過去5年間の季節ごとの平均気温、季節ごとの高温(最高温度)、低温(最低温度)を示す。この例では、1993年度が冷夏、1994年度が猛暑であり、データ抽出時には、低温帯について1993年度の平均気温の±1℃の範囲、高温帯について1994年度の平均気温の±1℃の範囲に属する日が対象となる。
【0032】
【表5】
【0033】
そして、各気温帯に属する日の平均電力需要量を、季節ごと、各年ごとに求める。この結果を表6に示す。この表6に基づき、気温帯別の各年毎の年増加係数を求めた結果が表7である。
この実施例の年増加係数の算出方法は第1実施例と同様であり、異なるのは、気温帯区分方法と、年増加係数算出のためのデータ抽出方法である。
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
ここで、図4(a)は夏季における従来の年増加係数の概念を示し、図4(b)は請求項1の発明における夏季の年増加係数の概念を示している。
つまり、従来では、各年につき一つの年増加係数を用いて年増加補正を行っていたが、本発明では低温帯、中温帯、高温帯といった気温帯別に年増加係数を算出してきめ細かく補正するものである。
【0037】
次いで、請求項2に記載した発明の実施形態を説明する。
過去複数年のデータを用いて予測モデルを構築する場合、電力需要量を特定年の電力需要量相当に補正しなくてはならない。通常は、予測対象年の前年相当に補正している。
しかし、電力需要量の伸びは気温帯によって異なるにも関わらず、従来では、気温帯により異なる電力需要量の伸びをまったく考慮せず、全気温帯とも一律に同じ年増加係数を用いて補正していた。
【0038】
そこで、請求項2記載の発明は、請求項1の発明により算出した気温帯ごとの年増加係数を用い、気温帯毎に異なる電力需要量の伸びを考慮して学習データを変換(補正)し、予測モデルを構築するものである。
従来では、気温の高い部分と低い部分との補正がうまくいかず誤差原因となっていたのに対し、この方法によれば気温帯毎に補正するので従来よりも良好な補正が可能になる。
【0039】
図5は請求項2に記載した発明の実施形態を示すフローチャートである。
その処理内容は、図5に示すように、気温帯別年増加係数算出(S21)、データ補正(S22)、予測モデル構築(S23)からなっている。
以下、各処理の内容を説明する。
【0040】
(1)気温帯別年増加係数算出(S21)
請求項1の発明を用いて、気温帯別の年増加係数を算出する。
(2)データ補正(S22)
気温帯別の年増加係数を用いて、各年度データの電力需要量を特定年相当(予測対象年の前年相当)に変換する。
(3)予測モデル構築(S23)
上記(2)の処理で変換したデータを用いて、予測モデルを構築する。モデル化の手法にはニューラルネットワーク、重回帰式などの方法があるが、本発明の要旨でないので説明を省略する。
【0041】
以下、本発明の実施例を説明する。ここでは、請求項1の発明の第2実施例により算出した年増加係数を用いて各年度データを補正し、そのデータを用いて予測モデルを構築して電力需要量を予測する。
予測モデルにはニューラルネットワークを用い、学習データは過去5年分(1991年〜1995年度)の実績データを用いた。
学習方法としてはバックプロパゲーションを用い、季節ごとに学習した。
各年の電力需要量を年増加補正するに当たっては、前述のように気温帯別の年増加補正係数を用いて予測対象年前年相当の電力需要量に補正した。
なお、予測対象年は1996年度の春、夏、秋である。
【0042】
表8は、ニューラルネットワークの入力項目であり、表中、iは予測対象日、i−2,i−7はそれぞれ2日前、7日前を示す。特異日フラグとは、土曜日や休日の電力需要量は平日と大きく異なるのでそれを考慮するためのものである。
【0043】
【表8】
【0044】
表9は、本実施例により構築した予測モデルを用いて電力需要量を予測した場合の予測誤差を示している。本実施例によれば、絶対平均誤差が3%以下であり、良好に予測することができた。
【0045】
【表9】
【0046】
なお、図6(a)は2年前の需要量を1年前の需要量に補正する場合の概念図であり、図6(b)は一つの年増加係数によりデータを補正する従来技術の概念図、図6(c)は気温帯ごとの年増加係数を用いてデータを補正する請求項2の発明の概念図である。
請求項2の発明では、気温帯ごとの年増加係数を考慮して学習データを作成し、このデータを用いて予測モデルを構築するので、予測精度の向上が可能である。
【0047】
次に、請求項3に記載した発明の実施形態を説明する。
予測モデルは、1つのモデルを構築して予測するよりも、ある特定の条件に特化してモデルを構築する方が予測精度が向上する。
そこで、請求項3記載の発明では、気温帯別に複数の予測モデルを構築することにより予測精度を向上させるものである。請求項2の発明では、気温帯による需要の変化を考慮して補正した実績データを用いて単一の予測モデルを構築したが、請求項3では、気温帯別に複数の予測モデルを構築するようにした。
【0048】
図7(a)は従来の予測モデル構築方法を示す概念図、図7(b)は本実施形態による予測モデル構築方法を示す概念図である。
従来では、年増加係数により補正した学習用データを用いて単一の予測モデルを構築し予測していたが、請求項3記載の発明の実施形態では、例えば低温帯用、中温帯用、高温帯用というように気温帯別にそれぞれ予測モデルを構築し、予測するものである。
電力需要量の予測は非線形問題の一種であり、季節ごとに予測モデルを構築する方法は従来から提案されているが、本発明では更に気温帯ごとに予測モデルを構築することにより、一層良好な予測を行うことができる。
【0049】
最後に、請求項4に記載した発明の実施形態を説明する。
請求項3の発明により構築された気温帯別の予測モデルでは、気温帯の境界では予測値が不連続になったり、予測精度が低下したりする場合がある。
そこで請求項3の発明では、気温帯の境界において隣接する2つの予測モデルの予測値をファジー推論により融合し、予測精度の向上を図ったものである
【0050】
図8は、この実施形態の処理を示すフローチャートであり、気温帯別予測(S41)及びファジー融合(S42)のステップから構成される。
以下に、各処理の内容を説明する。
【0051】
(1)気温帯別予測(S41)
各気温帯(低温帯、中温帯、高温帯)別の予測モデルを用いて、予測を行う。
【0052】
(2)ファジー融合(S42)
予測対象日の気象条件を判断して、各気温帯別予測モデルの予測値を融合する。本実施形態におけるファジー融合方法としては、以下の方法を用いる。
3つの気温帯(低温帯、中温帯、高温帯)があり、それぞれの電力需要量予測値をyl,ym,yhとして気象との適合度をωl,ωm,ωhとすると、最終的な予測値yは次の式で表される。
y=(ωlyl+ωmym+ωhyh)/(ωl+ωm+ωh)
但し、適合度ω(0〜1の範囲の値)は、図9のようなメンバシップ関数からより求める。例えば、図9のメンバシップ関数を用いた場合は、予測対象日の最高気温が15℃以下ならば低温帯予測用のモデルを用いて予測し、最高気温が17.5℃ならば低温帯用モデルと中温帯用モデルとの両方を用いて予測を行い、その平均を最終的な予測値とする。
【0053】
図10は、この実施形態による予測方法の概念を示した図である。各気温帯別の予測モデルを用いて低温時予測値、中温時予測値、高温時予測値を求め、図9のメンバシップ関数に示したように最高気温が低温でもあり中温でもある場合には、低温用予測モデルによる予測結果と中温用予測モデルによる予測結果とをファジー融合して低〜中温時の予測値を求める。また、最高気温が中温でもあり高温でもある場合には中温用予測モデルによる予測結果と高温用予測モデルによる予測結果とをファジー融合して中〜高温時の予測値を求めるものである。
本実施形態によれば、低温帯と中温帯、または中温と高温帯といった隣接する気温帯の境界における予測精度の低下を防ぎ、気温帯全般にわたって高精度な需要量の予測が可能になる。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明は、年増加係数の算出方法に関するものである。従来の年増加係数は、年度や季節ごとに一つずつであったため、電力需要量構成の変化(エアコン需要の増加など)に伴う需要量の伸びに対応していない。つまり、エアコンが使用され易い夏場の高気温時と冬場の低気温時の電力需要量の伸びが大きいため、本来は、気温帯によって電力需要量の伸び率が大きく異なるものである。
従来の方法では、平均的な気温時における電力需要量に基づいて年増加係数を算出していたため、特に冷暖房需要が大きい夏の高温時や冬の低温時において予測精度が低下する可能性がある。
これに対し、本発明によれば、電力需要の構成の変化に対応して適切な年増加係数を算出することができる。
【0055】
請求項2記載の発明では、気温帯別の年増加係数を用いて予測モデルを構築することにより、良好な予測モデルを構築することができる。従来の単一の年増加係数により補正したデータを用いて予測モデルを構築した場合、この年増加係数は平均的な温度帯におけるものであるため、高温時や低温時においては誤差が大きくなるおそれがある。
この点、本発明によれば、気温帯ごとに異なる電力需要量の伸びを考慮した予測を行うことが可能になる。
【0056】
請求項3記載の発明は、請求項2の発明を更に発展させて、気温帯別に予測モデルを構築する方法である。非線形問題の場合、一般に、一つのモデルによって多くの条件の下での予測を精度良く行うことは難しい。従来の日最大電力需要量予測は、季節ごとに予測モデルを分割して予測していたが、本発明では、更に気温帯ごとに予測モデルを構築することにより、一層高精度な予測を行うことができる。
【0057】
請求項4記載の発明は、請求項3の発明を用いる場合に、ファジー理論を応用して更に予測精度を向上させる方法である。気温帯ごとに予測モデルを構築すると、気温帯の境界付近では予測精度が低下する場合があるが、本発明によれば、隣接する気温帯の予測モデルによる予測値のファジー融合により、気温帯境界付近についても高精度な予測が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載した発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図2】図1の実施形態における第1実施例のデータ抽出対象を示す図である。
【図3】図1の実施形態における第2実施例のデータ抽出対象を示す図である。
【図4】従来技術及び図1の実施形態における年増加係数の概念図である。
【図5】請求項2に記載した発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】従来技術及び図5の実施形態における学習データの生成概念図である。
【図7】従来技術及び請求項3に記載した実施形態における予測モデル構築方法の概念図である。
【図8】請求項4に記載した発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図9】図8の実施形態において用いられるメンバシップ関数の一例を示す図である。
【図10】請求項4に記載した発明の実施形態による予測方法の概念図である。
【図11】従来の年増加係数の補正概念を示す図である。
【図12】気温と電力需要量との関係を示す図である。
Claims (4)
- 計算機により、過去の電力需要量の実績データを年増加係数を用いて補正し、この補正後の実績データに基づいて構築した予測モデルを用いて予測対象日の電力需要量を予測する方法において、
過去の実績データの気象条件により複数の気温帯の温度区分を決定するステップと、前記気温帯に従って過去の該当日を抽出するステップと、抽出した該当日の電力需要量から気温帯ごとに年増加係数を算出するステップと、
を有することを特徴とする電力需要量予測方法。 - 計算機により、過去の電力需要量の実績データを年増加係数を用いて補正し、この補正後の実績データに基づいて構築した予測モデルを用いて予測対象日の電力需要量を予測する方法において、
過去複数年の電力需要量の実績データに基づいて予測モデルを構築する際に、請求項1に記載した気温帯ごとの年増加係数を用いて実績データを補正することを特徴とする電力需要量予測方法。 - 請求項2記載の電力需要量予測方法において、
複数の気温帯別に予測モデルを構築することを特徴とする電力需要予測方法。 - 請求項3記載の電力需要量予測方法において、
複数の気温帯別に構築した予測モデルによる予測値をファジー理論により融合することを特徴とする電力需要量予測方法。
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