JP3706969B2 - 給湯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給湯装置には貯湯タンクを備えたものがあり、この場合、貯湯タンクの湯は、一般に下方よりも上方が高温となっている。また、貯湯タンクの温湯を出湯させる出湯管は貯湯タンクの上部に取付けられている。そのため、貯湯タンクからは上部の高温(例えば、80℃位の高温)の温湯が出湯する。すなわち、従来では、最上部の高温の温湯よりも低温(例えば、30℃位の低温)の温湯が貯湯タンクに貯湯されているにもかかわらず、この低温の温湯を使用することができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の給湯装置では、上部の高温の温湯を使い切れば、この高温の温湯よりも低温の温湯が出湯されることになり、このような場合において、必要とする温湯の温度がこの低温の温湯よりも高温であれば、この温湯を使用することができなかった。また、上記高温の温湯よりも低温である温湯を使用したい場合においては、この高温の温湯を出湯管から出湯させてこの温湯に水を混合させていた。そのため、高温の温湯の利用量が多くなって、高温の温湯が無くなれば、追焚きを行う必要があり、コスト高となっていた。
【0004】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、貯湯タンク内の温湯の有効利用を図って追焚き時間の短縮が可能な給湯装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1の給湯装置は、下方よりも上方が高温となる貯湯タンク3と、この貯湯タンク3の上部の温湯を出湯させる出湯管4とを備えた給湯装置であって、上記出湯管4の温湯よりも低温の温湯を出湯させる引出手段Sを設け、上記引出手段Sは、上記出湯管4に挿入されてその湯引出口15aがこの出湯管4から突出する引出管15を備えたことを特徴としている。
【0006】
上記請求項1の給湯装置では、引出手段Sにて、出湯管4の温湯よりも低温の温湯を出湯させることができるので、この引出手段Sの温湯と略同一の温度の湯を使用したい場合には、この引出手段Sの温湯をそのまま使用すればよく、また、この引出手段Sの温湯より高温であって、出湯管4の温湯より低温の湯を使用したい場合には、これらを混合させればよい。引出手段Sを構成する引出管15は、出湯管4に挿入されるので、コンパクト化を図ることができる。しかも、引出管15の湯引出口15aが出湯管4から突出するので、この引出管15は、出湯管4の温湯よりも低温の温湯を出湯(引出)することができる。
【0011】
請求項の給湯装置は、下方よりも上方が高温となる貯湯タンク3と、この貯湯タンク3の上部の温湯を出湯させる出湯管4とを備えた給湯装置であって、上記出湯管4の温湯よりも低温の温湯を出湯させる引出手段Sを設け、上記引出手段Sは、上記出湯管4の貯湯タンク挿入部41に形成される湯引出口42を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記請求項の給湯装置では、引出手段Sにて、出湯管4の温湯よりも低温の温湯を出湯させることができるので、この引出手段Sの温湯と略同一の温度の湯を使用したい場合には、この引出手段Sの温湯をそのまま使用すればよく、また、この引出手段Sの温湯より高温であって、出湯管4の温湯より低温の湯を使用したい場合には、これらを混合させればよい。また、湯引出口42から出湯管4の温度よりも低温の温湯を引出すことができ、引出手段Sとして、出湯管4以外に別途引出管15を備える必要がなく、一層のコンパクト化を図ることができる。
【0015】
請求項の給湯装置は、上部の温湯を出湯させる出湯管4が接続された出湯側貯湯タンク50と、この出湯側貯湯タンク50の下部の温湯が供給される熱源側貯湯タンク51とを備えた給湯装置であって、上記出湯管4の温湯よりも低温の温湯を上記熱源側貯湯タンク51から出湯させる引出手段Sを設けたこと特徴としている。
【0016】
上記請求項の給湯装置では、出湯側貯湯タンク50の上部の温湯(高温の温湯)と、この出湯側貯湯タンク50の上部の温湯よりも低温の温湯を熱源側貯湯タンク51から出湯させることができる。これにより、利用者は各貯湯タンクに貯まった温湯を有効に利用するこができ、しかも適温の温湯を利用することができる。
【0017】
請求項の給湯装置は、上記出湯管4の温湯と上記引出手段Sの温湯とを混合すると共に、その混合比率を調整する調整手段Tを備えたこと特徴としている。
【0018】
上記請求項の給湯装置では、出湯管4の温湯と引出手段Sの温湯とを混合することができ、しかもその混合比を調整することができるので、これらを混合させることによって、所望の温度の温湯を出湯させることができる。
【0019】
請求項の給湯装置は、上記引出手段Sの温湯と上記出湯管4の温湯の混合比率が1:3であること特徴としている。
【0020】
上記請求項の給湯装置では、混合比率が1:3であるので、貯湯タンク3の高温の温湯の使用量を抑えることができ、しかも十分使用可能な温度の温湯を供給することができる。
【0021】
請求項の給湯装置は、上記調整手段Tが、電動弁44、45を備えたこと特徴としている
【0022】
上記請求項の給湯装置では、電動弁44、45の開閉調整を行うことによって確実に混合比率を制御することができる。
【0023】
請求項の給湯装置は、上記調整手段Tが、絞り機構46を備えたこと特徴としている
【0024】
上記請求項の給湯装置では、絞り機構46を調整することによって確実に混合比率を制御することができ、安定した温度の温湯を供給することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
この発明の給湯装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は給湯装置の参考例を示す簡略図である。この給湯装置は、タンクユニット1と熱源ユニット2を備え、タンクユニット1の水(温湯)を熱源ユニット2にて加熱するものである。
【0026】
タンクユニット1は、下方よりも上方が高温となる温湯を貯湯する貯湯タンク3を備え、この貯湯タンク3に貯湯された温湯が図示省略の浴槽等に供給される。そのため、貯湯タンク3には、その底壁に給水口5が設けられ、その上壁に出湯口6が設けられ、給水口5から貯湯タンク3に水が供給され、出湯口6から高温の温湯が出湯する。この場合、給水口5には逆止弁7を有する給水用流路8が接続され、貯湯タンク3の底壁には取水口10が開設され、貯湯タンク3の側壁(周壁)の上部には給湯口11が開設されている。そして、取水口10と給湯口11とが循環路12にて連結され、この循環路12に水循環用ポンプ13と熱交換路14とが介設されている。この場合、貯湯タンク3の上壁には筒体からなる出湯管4が接続され、この出湯管4の貯湯タンク3内での開口部が上記出湯口6となる。
【0027】
この場合、出湯管4の温湯よりも低温の温湯を引出すための引出手段Sが設けられている。すなわち、貯湯タンク3の側壁に引出管15を接続し、この引出管15でもって引出手段Sを構成している。ところで、貯湯タンク3は、図9に示すように、例えば、上部には高温(例えば、80℃位の高温)の温湯W1と、この温湯よりも低温(例えば、30℃位の低温)の温湯W2と、この温湯W2よりさらに低温(例えば、10℃)の温湯W3とを備えている。そのため、上記出湯管4は、高温の温湯W1を出湯し、引出管15はその湯引出口15aから温湯(中間湯と呼ぶ場合がある)W2を出湯するものである。なお、図例では、温湯W1、W2、W3の境界線(区分線)を記載しているが、実際にはこのように明白に区分されるものではない。また、温度の相違する温湯として3種類に限るものではない。
【0028】
また、貯湯タンク3には、上下方向に所定ピッチで4個の残湯量検出器18a、18b、18c、18dが設けられ、さらには、貯湯タンク3の上壁に温度センサ19が設けられている。上記各残湯量検出器18a、18b、18c、18d及び温度センサ19は、例えば、それぞれサーミスタからなる。また、上記循環路12には、熱交換路14の上流側(具体的には、水循環用ポンプ13の上流側)に取水サーミスタ20が設けられると共に、熱交換路14の下流側に出湯サーミスタ21が設けられている。
【0029】
そして、熱源ユニット2は冷媒回路Rを備え、この冷媒回路Rは、圧縮機25と、上記熱交換路14を構成する水熱交換器(凝縮器)26と、液ガス熱交換器27と、レシーバ28と、減圧機構24を構成する膨張弁29と、蒸発器30等を有する。そして、この冷媒回路Rの冷媒としては、例えば、超臨界で使用する二酸化炭素(CO2)を用いる。
【0030】
上記液ガス熱交換器27は、凝縮器26から流出した冷媒を冷却するものであって、凝縮器26からの冷媒が通過する第1通路22と、蒸発器30からの冷媒が通過する第2通路23とを備える。すなわち、第1通路22が、凝縮器26とレシーバ28とを連結する冷媒流路の一部を構成し、第2通路23が、蒸発器30と圧縮機25とを連結する冷媒流路の一部を構成する。このため、第1通路22を通過する高温の冷媒と第2通路23を通過する低温の冷媒との間で熱交換され、レシーバ28に入る冷媒が冷却される。
【0031】
ところで、この冷媒回路Rは、圧縮機25と水熱交換器26とを接続する冷媒流路(吐出流路)31と、膨張弁29と蒸発器30とを接続する冷媒流路32とをバイパス回路33にて接続し、このバイパス回路33にデフロスト弁34を設けている。なお、上記冷媒流路31には、サーミスタ35と、圧力保護スイッチとしてのHPS36と、圧力センサ37とが設けられ、蒸発器30には、蒸発器用サーミスタ38が設けられている。さらには、この熱源ユニット2には外気用サーミスタ39を備えている。このバイパス回路33は、圧縮機25から吐出したホットガスを蒸発器30に供給して、この蒸発器30の除霜を行うデフロスト運転を行うためのものである。そのため、この熱源ユニット2には、通常の湯沸運転と、デフロスト運転との切換を行うためのデフロスト制御手段(図示省略)を備える。すなわち、通常の湯沸運転の場合、水熱交換器26が凝縮器として機能し、熱交換路14を通過する温湯を加熱するものである。また、デフロスト運転を行う場合、膨張弁29を全閉状態とすると共に、デフロスト弁34を開状態として、ホットガスを蒸発器30に流し、このホットガスにて蒸発器30を加熱して、蒸発器30に霜を発生させない。デフロスト制御手段は、例えば、マイクロコンピュータを用いて構成される。
【0032】
従って、圧縮機25を駆動し、水熱交換器26を凝縮器として機能させ、この状態で水循環用ポンプ13を駆動(作動)させると、貯湯タンク3の底部に設けた取水口10から貯溜水(温湯)が流出し、これが循環路12の熱交換路14を流通する。そのときこの温湯は凝縮器として機能している水熱交換器26によって沸上げられ、給湯口11から貯湯タンク3の上部に返流される。これによって、貯湯タンク3に温湯が貯湯されることになる。なお、この運転は、電気料金が低額である深夜時間帯に行い、コストの低減を図るようにするのが好ましい。
【0033】
上記のように構成された給湯装置によれば、貯湯タンク3から温湯を出湯させる場合、湯引出口15aが中間湯W2に対応するので、出湯管4からの高温の温湯W1と共に、この高温の温湯よりも低温の中間湯W2を使用することができる。これによって、使用する温湯が、高温の温湯W1よりも低温で、中間湯W2と略同一またはこの中間湯W2よりも低温であれば、高温の温湯W1を使用することなく、この中間湯W2をもって対応することができ、高温の温湯W1の使用量を少なくすることができる。このため、昼間における使用にて、電力料金が安い夜間のみの運転で貯湯した高温の温湯W1がなくなるのを極力抑えることができ、電力料金が高い昼間の運転(追焚き)を短くしたり、又は無くしたりすることができ、コストの低減に寄与する。ところで、中間湯W2を使用しなければ、この中間湯W2が貯湯タンク3に残り、追焚きする際にこの中間湯W2が取水口10から循環路12に流出し、水熱交換器26の入水温度が上昇するおそれがあり、水熱交換器26の入水温度が上昇すれば、冷凍サイクルが短くなって、COPの低下を招くおそれがあった。すなわち、水熱交換器26において冷媒は水と熱交換するので、水熱交換器26の入水温度が上昇すれば、図12のモリエル線図に示すように、冷媒出口温度が上昇する。その結果、この冷凍サイクルの左上部(つまり、冷媒出口温度側)が右側に移動し、エンタルピ差がΔh´となり、入水温度が上昇しない状態でのエンタルピ差がΔhに比べて小さくなり、図13(入水温度とCOPとの関係を示す図)に示すように、COPが低下する。しかしながら、この給湯装置では中間湯W2を使用するので、中間湯W2が循環路12に流出せず、水熱交換器26への入水温度が高くならず、COPの低下を防止することができる。
【0034】
また、図2に示す引出手段Sは、出湯管4に接続される引出管15からなり、この出湯管4に混合弁9が接続されている。これによって、出湯管4からの高温の温湯W1と、引出管15からの中間湯W2とを混合することができる。すなわち、高温の温湯W1と中間湯W2との混合湯を使用することでき、この場合も中間湯W2を有効に使用することができる。そして、混合弁9と上記給水用流路8とが接続され、この混合湯に常温の水を混合させることもできる。
【0035】
次に、図3と図4に示す引出手段Sでは、混合比率を調整する調整手段Tを備えている。図3の調整手段Tは、引出管15に介設される電動弁(二方弁)44にて構成し、図4の調整手段Tは、出湯管4と引出管15との合流部に介設される電動弁(三方弁)45にて構成している。従って、図3の調整手段Tでは、電動弁44を調整することによって、引出管15から引出される中間湯W2の湯量を調整することができ、これによって、出湯管4の温湯W1と、中間湯W2との混合比率を調整することができ、所望の温度の温湯を引出すことができる。また、図4の調整手段Tでは、電動三方弁45を調整することによって、出湯管4の温湯W1と、中間湯W2との混合比率を調整することができ、所望の温度の温湯を引出すことができる。さらには、この図4に示す調整手段Tでは、出湯管4側を閉状態とすれば、引出管15の中間湯W2のみ引出すことができ、引出管15側を閉状態とすれば、出湯管4の温湯W1のみ引出すことができる。
【0036】
すなわち、これらの調整手段Tを有する給湯装置では、制御部としては、図5に示すように、使用したい温湯の温度を設定する設定手段55と、出湯管4の温湯W1と中間湯W2の温度を検知する温度検知手段56(上記残湯量検出器18にて構成することができる)と、設定手段55の設定値と温度検知手段56の検知温度とが入力される制御手段57とを備える。そして、この制御手段57がこの設定値と検出温度を比較して、電動弁44、45を制御して混合比率を制御する。この場合、引出手段Sの温湯(引出管15からの中間湯W2)と出湯管4の温湯(W1)の混合比率が1:3であるのが好ましい。
【0037】
また、図6に示す引出手段Sでは、引出管15に絞り機構46を介設している。ここで、絞り機構46とは、引出管15を通過する中間湯Wの流量を調整(制御)するものであり、出湯管4の温湯W1と、中間湯W2との混合比率を調整する調整手段Tを構成する。ところで、電動弁44、45や絞り機構46を使用する場合、引出管15自体の径寸法を出湯管4の径寸法と略同一に設定しているが、引出管15を内径が小径である配管を使用することによって、電動弁44、45や絞り機構46を使用することなく、引出管15からの中間湯W2を出湯管4の温湯W1に比べて少なくすることができる。これによって、ほぼ一定の混合比率でもって、出湯管4の温湯W1と中間湯W2とを混合させることができる。
【0038】
次に、図7に示す引出手段Sでは、引出管15を上下に2本設けたものであって、各引出管15、15は連結管47を介して出湯管4に接続されている。このため、温度差の有する中間湯W2を引出すことができ、これらの中間湯W2の有効利用が可能である。この場合、各引出管15、15に電動二方向弁44や絞り機構46を介設したり、上方の引出管15と連結管47との合流部48や連結管47と出湯管4との合流部48に電動三方向弁45を介設したりして、出湯管4の温湯W1と中間湯W2との混合比率を調整するようにしてもよい。
【0039】
また、図8に示す引出手段Sでは、引出管15を上下方向に4本配設している。そして、各引出管15に例えば電磁弁等からなる二方弁43を介設している。すなわち、残湯量検出器18a、18b、18c、18dにて検知される残湯量(出湯管4から出湯する高温の温湯の湯量)に基づいて、図示省略の制御部の制御手段にて各二方弁43を制御して、出湯管4の温湯よりも低温の温湯に湯引出口15aが開口している引出管15を開状態とする。このため、所望の温度の温湯を安定して供給することができる。なお、この場合、二方弁43に電動弁等の流量調整弁を使用して、混合比率を調整するようにしてもよい。
【0040】
次に、図9に示す引出手段Sは、第1の実施形態を示し、出湯管4に挿入されてその湯引出口15aがこの出湯管4から突出する引出管15にて構成される。すなわち、出湯管4の出湯口6が上部の高温の温湯W1に浸漬し、引出管15の湯引出口15aが、温湯W2に浸漬するように設定される。また、引出管15は図示省略の支持部材にて、出湯管4に支持されている。従って、引出管15の湯引出口15aから温湯W2が引出され、この温湯W2は出湯管4内でこの出湯管4にて出湯された温湯W1と混合される。この場合、例えば、引出管15の引出量と出湯管4の出湯量とがほぼ1:3となるように、引出管15と出湯管4の内径寸法等を決定している。このため、高温の温湯W1と、この温湯W1よりも低温の中間湯W2とが混合されて、適温となった温湯が出湯管4から出湯され、この場合であっても中間湯W2を有効に使用することができる。
【0041】
また、図10は引出手段Sの第2の実施形態を示し、この場合の引出手段Sは、引出管15を使用することなく、出湯管4の貯湯タンク挿入部41に湯引出口42を設けることによって形成している。すなわち、貯湯タンク挿入部41の周壁に上下方向に複数個の孔を形成し、例えば、下端の孔を中間湯W2に浸漬させて湯引出口42とし、他の2個の孔を高温の温湯W1に浸漬させて出湯口6としている。このため、高温の温湯W1と中間湯W2とが混合して適温となった温湯が出湯管4から出湯する。この図10に示す引出手段Sを使用すれば、図9に示す引出手段Sを使用した給湯装置と同様の作用効果を呈することができ、しかも、別途、引出管15を設ける必要がなく、引出手段Sの簡素化を図ることができる。
【0042】
次に、図11に示す給湯装置は、第3の実施形態を示し、出湯側貯湯タンク50と、熱源側貯湯タンク51とを備える。この場合、この出湯側貯湯タンク50の取水口10と、熱源側貯湯タンク51の上壁の給水口52とが供給管53にて接続されている。また、熱源側貯湯タンク51の下壁(底壁)に設けられる取水口54が、図1に示す循環路12に接続され、この循環路12が出湯側貯湯タンク50の給湯口11に接続されている。このため、図11に示す給湯装置においては、循環路12のポンプ13が駆動することによって、熱源側貯湯タンク51の取水口54から循環路12に温湯(温水)が流出し、水熱交換器26にて沸上げられ、その沸上げられた温湯が給湯口11を介して出湯側貯湯タンク50に流入し、さらに、出湯側貯湯タンク50の下部の取水口10から温湯が流出して熱源側貯湯タンク51の給水口52に流入する。なお、この場合、熱源側貯湯タンク51の底壁に給水口5が設けられ、この給水口5に給水用流路8が接続されている。
【0043】
そして、熱源側貯湯タンク51の上壁には引出管15が接続され、この引出管15が出湯側貯湯タンク50の出湯管4に連結(接続)されている。すなわち、熱源側貯湯タンク51の上部の温湯が出湯側貯湯タンク50の出湯管4の温湯よりも低温であり、この低温の温湯(つまり中間湯W2)が引出管15から引出され、熱源側貯湯タンク51の出湯管4の温湯と混合される。従って、この給湯装置においても、中間湯W2を引出すことができて、出湯側貯湯タンク50の高温の温湯の使用量を抑えることができ、いわゆる追焚き運転時間の短縮を図って、省エネを達成することができる。
【0044】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、図1や図2等に示す引出手段Sの引出管15の数はこれらに限るものではない。また、図9の引出手段Sとしては、引出管15からの温湯は、出湯管4の温湯と混合するように設定されているが、引出管15を延ばして、出湯管4の温湯と混合させないようにしてもよい。さらに、図10に示す引出手段Sとして、出湯管4に、湯引出口42に連通される流路を形成して、湯管4の温湯と混合させないようにしてもよく、湯引出口42の数の増加や孔径の変更、及び出湯口6の数の増減や孔径の変更も可能である。この場合において、出湯口6や湯引出口42を形成するための孔としては、それぞれ、孔径を同一としたり相違させたりすることができ、相違させる場合、下方の孔ほど小さくするようにするのが好ましい。さらに、図11に示す給湯装置において、熱源側貯湯タンク51が2個以上の複数個であってもよい。また、各実施の形態において、貯湯タンク3に設けられる残湯量検出器18の増減も自由であり、その配設ピッチの変更の自由である。さらに、引出手段Sの温湯と出湯管4の温湯との混合比率も1:3に限るものではない。なお、冷媒としては、二酸化炭素以外に、エチレンやエタン、酸化窒素等の超臨界で使用する冷媒であってもよい。
【0045】
【発明の効果】
請求項1の給湯装置によれば、引出手段の温湯と略同一の温度の湯を使用したい場合には、この引出手段の温湯をそのまま使用すればよく、また、この引出手段の温湯より高温であって、出湯管の温湯より低温の湯を使用したい場合には、これらを混合させればよい。このため、所望の温度の温湯を引出すことができ、至便であり、しかも、貯湯タンクの高温の温湯の使用量を抑えることができ、貯湯タンクに高温の温湯を貯めるための追焚き運転時間の短縮を図って、省エネを達成することができる。また、貯湯タンクに温湯の追焚きを行う熱源ユニットとして、図1に示すようなヒートポンプ式の熱源を使用すれば、中間湯(出湯管の温湯より低温の湯)を使用することができ、水熱交換器への入水温度の上昇を防止することができる。これによって、COPの向上を図ることが可能である。また、給湯装置のコンパクト化を図ることができる。しかも、引出管の湯引出口が出湯管から突出するので、この引出管は、出湯管の温湯よりも低温の温湯を出湯(引出)することができ、この低温の温湯(中間湯)を有効に使用することができる。このため、高温の温湯の使用量を少なくでき、コストの低減に寄与する。
【0048】
請求項の給湯装置によれば、引出手段の温湯と略同一の温度の湯を使用したい場合には、この引出手段の温湯をそのまま使用すればよく、また、この引出手段の温湯より高温であって、出湯管の温湯より低温の湯を使用したい場合には、これらを混合させればよい。このため、所望の温度の温湯を引出すことができ、至便であり、しかも、貯湯タンクの高温の温湯の使用量を抑えることができ、貯湯タンクに高温の温湯を貯めるための追焚き運転時間の短縮を図って、省エネを達成することができる。また、貯湯タンクに温湯の追焚きを行う熱源ユニットとして、図1に示すようなヒートポンプ式の熱源を使用すれば、中間湯(出湯管の温湯より低温の湯)を使用することができ、水熱交換器への入水温度の上昇を防止することができる。これによって、COPの向上を図ることが可能であり、引出手段Sとして、出湯管以外に別途引出管15を備える必要がなく、一層のコンパクト化を図ることができる。
【0050】
請求項の給湯装置によれば、利用者は各貯湯タンクに貯まった温湯を有効に利用することができ、しかも適温の温湯を利用することができる。
【0051】
請求項の給湯装置によれば、出湯管の温湯と引出手段の温湯とを混合することができ、しかもその混合比を調整することができるので、これらを混合させることによって、所望の温度の温湯を出湯させることができ、使い勝手がよい。
【0052】
請求項の給湯装置によれば、貯湯タンクの高温の温湯の使用量を抑えることができ、しかも十分使用可能な適温の温湯を供給することができ、効率のよい出湯(給湯)が可能である。
【0053】
請求項の給湯装置によれば、電動弁の開閉調整を行うことによって確実に混合比率を制御することができ、安定した温度の温湯を供給することができる。
【0054】
請求項の給湯装置によれば、絞り機構を調整することによって確実に混合比率を制御することができ、安定した温度の温湯を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の給湯装置の第1の参考例を示す簡略図である。
【図2】 この発明の給湯装置の第2の参考例を示す要部簡略図である。
【図3】 上記給湯装置の第3の参考例を示す要部簡略図である。
【図4】 上記給湯装置の第4の参考例を示す要部簡略図である。
【図5】 図3と図4に示す引出手段の制御部の簡略ブロック図である。
【図6】 上記給湯装置の第5の参考例を示す要部簡略図である。
【図7】 この発明の給湯装置の第6の参考例を示す要部簡略図である。
【図8】 この発明の給湯装置の第7の参考例を示す要部簡略図である。
【図9】 この発明の給湯装置の第の実施形態を示す要部簡略図である。
【図10】 この発明の給湯装置の第の実施形態を示す要部簡略図である。
【図11】 この発明の給湯装置の第の実施形態を示す要部簡略図である。
【図12】 水熱交換器の入水温度が上昇した場合の問題点を示すグラフ図である。
【図13】 水熱交換器の入水温度とCOPとの関係を示すグラフ図である。

Claims (7)

  1. 下方よりも上方が高温となる貯湯タンク(3)と、この貯湯タンク(3)の上部の温湯を出湯させる出湯管(4)とを備えた給湯装置であって、上記出湯管(4)の温湯よりも低温の温湯を出湯させる引出手段(S)を設け、上記引出手段(S)は、上記出湯管(4)に挿入されてその湯引出口(15a)がこの出湯管(4)から突出する引出管(15)を備えたことを特徴とする給湯装置。
  2. 下方よりも上方が高温となる貯湯タンク(3)と、この貯湯タンク(3)の上部の温湯を出湯させる出湯管(4)とを備えた給湯装置であって、上記出湯管(4)の温湯よりも低温の温湯を出湯させる引出手段(S)を設け、上記引出手段(S)は、上記出湯管(4)の貯湯タンク挿入部(41)に形成される湯引出口(42)を備えたことを特徴とする給湯装置。
  3. 上部の温湯を出湯させる出湯管(4)が接続された出湯側貯湯タンク(50)と、この出湯側貯湯タンク(50)の下部の温湯が供給される熱源側貯湯タンク(51)とを備えた給湯装置であって、上記出湯管(4)の温湯よりも低温の温湯を上記熱源側貯湯タンク(51)から出湯させる引出手段(S)を設けたことを特徴とする給湯装置。
  4. 上記出湯管(4)の温湯と上記引出手段(S)の温湯とを混合すると共に、その混合比率を調整する調整手段(T)を備えたこと特徴とする請求項1〜請求項のいずれかの給湯装置。
  5. 上記引出手段(S)の温湯と上記出湯管(4)の温湯の混合比率が1:3であること特徴とする請求項の給湯装置。
  6. 上記調整手段(T)が、電動弁(44)(45)を備えたこと特徴とする請求項又は請求項の給湯装置。
  7. 上記調整手段(T)が、絞り機構(46)を備えたこと特徴とする請求項又は請求項の給湯装置。
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