JP3706048B2 - 建物の振動評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中層住宅等の建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価する方法及びその評価に基づいた建物の設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、中層建物の普及により個人住宅においても3階、或いは4階建ての住宅が多く建設されるようになっている。特に狭い敷地面積を有効に活用するために比較的小規模の3階、4階建ての住宅を建設する場合も増加している。
【0003】
このような中層建物では、屋上や上階層の居室、梁り出し架構のベランダ、或いは下階から上階への階段等において強く歩いたり飛び跳ねたりした時に建物に微小レベルの振動を発生させる場合がある。
【0004】
このような微小振動は、建物重量の大きい大規模な建物や、揺れの振幅が小さい低層建物では発生したとしてもあまり問題にならないが、中層小規模建物で発生すると振動が体感されて問題となることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この微小振動の発生は建物規模や形状による要因が大きく作用するが、従来では設計段階で居住者(人や大型ペットを含む)の生活行為による振動の大きさを判断することが出来ず、事前に予測することも困難で建設後にはじめて建物の振動が問題となる虞れがあった。
【0006】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価することで、設計時に予め建物の振動を適切に評価することが出来、設計時の間取りに対する適切な配慮や事前の説明を行なうことを可能にする建物の振動評価方法及びその評価に基づいた建物の設計方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る建物の振動評価方法は、建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価する方法であって、予め基準となる建物の標準モデルを作成し、その標準モデルに基準外力を作用させる位置となる建物の加振点に所定の基準外力を付与した時の受振点における第1の振動応答値を求め、その標準モデルの生活行為を想定した外力が作用する位置となる建物の加振点に該建物での生活行為によって発生する建物の振動を想定した特定の生活行為を想定した外力を付与した時の前記受振点における第2の振動応答値を生活行為毎に求め、前記標準モデルの建物に対して個別に設計する建物の構造的要素を組み込んだ個別モデルを作成し、その個別モデルの前記標準モデルと一致する建物の加振点に前記所定の基準外力を付与した時の前記標準モデルと一致する受振点における第3の振動応答値を構造的要素毎に求め、前記第2、第3の振動応答値と、前記第1の振動応答値との比を掛け合わせるか、または和を求め、これを振動評価点数とすることにより、その個別に設計する建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、標準モデルの建物に所定の基準外力を付与した時の第1の振動応答値と、その標準モデルの建物に該建物での生活行為によって発生する建物の振動を想定した特定の生活行為を想定した外力を付与した時の第2の振動応答値と、個別モデルの建物に前記所定の基準外力を付与した時の第3の振動応答値とを求めた後、前記第2、第3の振動応答値と、前記第1の振動応答値との比を掛け合わせるか、または和を求めることにより、個別に設計する建物での生活行為によって発生する建物の振動を求め、これを評価することが出来る。
【0009】
また、前記個別に設計する建物の個別モデルに組み込んだ構造的要素を複数設定したことで、より精確な評価が出来るので好ましい。例えば、設定される建物の構造的要素としては、建物の重量、延べ床面積、建物の縦横比、建物の固有振動数、建物の立面形状(特に梁り出し架構の大きさ)、建物の偏心率等の建物の種々の構造的要素を設定すれば、より精確な評価が出来る。
【0010】
また、前記生活行為を想定した外力を、各種の生活行為を想定して複数設定したことで、種々の生活行為毎の外力に対応した建物の振動評価が出来る。建物に振動が発生する生活行為とは、例えば、人や大型ペットの飛び跳ね、小走り、階段の駆け登りや駆け降り等であり、これ等の行為を評価すれば実態に合った建物の振動評価が出来る。
【0011】
想定される主な生活行為は複数に代表され、夫々の生活行為の影響が建物の構造的要素によっては影響したり、しなかったりする。従って、建物の構造的要素及び生活行為を複数設定することで建物の振動評価が精確に出来る。
【0012】
また、想定される個別設計に対応する振動応答値を予め計算し、データベース化しておくことで、個別設計時に個々に振動解析して計算する必要がなく、データベースから想定される個別設計に対応する振動応答値を抽出して、個別設計に即刻利用することが出来る。
【0013】
唯一の標準モデルで且つ生活行為と建物の構造的要素が数個である場合には一覧表等でも十分対応出来るが、標準モデル、生活行為、建物の構造的要素が多数になった場合には一覧表等からの読み出しは困難になるためデータベース化することで想定される個別設計に対応する振動応答値を容易に抽出することが出来る。
【0014】
また、前記基準外力は、想定される生活行為により発生する振動の周波数帯域を包括する成分を持つ外力(振動波)により構成すれば好ましい。この場合には、実際の生活行為によって発生する建物の振動により近似した評価を得ることが出来る。
【0015】
また、演算式に用いる数値としては、前記第2、第3の振動応答値と、前記第1の振動応答値との比を利用して、前記個別に設計する建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価することが出来る。この場合には演算式により計算した結果が取り扱い易い数値で表現することが出来ると共に、各々の建物の構造的要素による振動に対しての影響を評価し易くすることが出来、好ましい。
【0016】
また、本発明に係る建物の設計方法は、前述の建物の振動評価方法により評価された建物が所望の評価以下であった場合に、所望の評価以上になるように設計変更することを特徴とする。
【0017】
前述の建物の振動評価の結果が、所望の評価以下であった場合には、例えば、耐力壁を追加して建物に剛性を付加する等の適当な設計変更を行い、その設計変更に応じて再度振動評価を行い、最終的に評価結果が所望の評価以上になるように設計変更を行なえば好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る建物の振動評価方法及びその評価に基づいた建物の設計方法の一例として、3階建ての住宅に適用した場合の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る建物の振動評価方法の構成を示すフローチャート、図2(a)は標準モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図、図2(b)は標準モデルの建物の各階の間取りを示す模式平面図、図3は標準モデルの建物に特定の生活行為を想定した外力を付与する様子を示す立体模式図である。
【0019】
また、図4(a)は個別に設計する建物の層重量を標準モデルに組み込んだ個別モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図、図4(b)は個別に設計する建物の縦横比を標準モデルに組み込んだ個別モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図、図4(c)は個別に設計する建物の層剛性を標準モデルに組み込んだ個別モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図である。
【0020】
また、図5は振動評価点と振動レベルとの関係を予め実験により求めた近似曲線に基づいて振動評価を行なうための振動評価ランクを示す図である。
【0021】
図1において、建物での居住者(人や大型ペット等を含む)の生活行為によって発生する建物の振動、例えば、上層階や梁り出し部からなるベランダでの飛び跳ねや強く歩く等、或いは階段の昇降等の各種の生活行為によって発生する振動を評価するに際して、先ず、ステップS1で予め基準となる建物の標準モデル1を作成する。
【0022】
標準モデル1は、振動を評価する目的の建物の階層に合った階層に設定し、例えば、建物の各種の構造的要素を振動が減衰し易い理想的な建物として設計すれば良く、例えば、建物の縦横比が小さく、ベランダ等の梁り出し部が少なく、建物の偏心が小さい等の条件で作成するのが好ましい。
【0023】
尚、標準モデル1として建物の各種の構造的要素を振動が減衰し易い理想的な建物として設計しなかった場合であっても本発明に係る建物の振動評価方法により建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価することは可能である。
【0024】
次に、ステップS2において、標準モデル1に付与する基準外力、及びその基準外力を標準モデル1に作用させる位置となる加振点、及び付与された基準外力により標準モデル1が振動した際に、その振動を測定する位置となる受振点を決定する。
【0025】
例えば、図2(a)に示すように、3階建ての建物で屋上(図のR)を有する場合の標準モデル1を作成した場合、振動の発生により大きく作用する屋上(R)のベランダ側の位置に加振点を設定し、受振点を居住者が最も揺れを体感する3階(図の3F)の居室に設定する。
【0026】
基準外力としては、想定される生活行為により発生する振動の周波数帯域を包括する成分を持つ外力(振動波)として設定されており、例えば、1Hz〜5Hz程度の周波数を多数重畳したランダムノイズ、或いはホワイトノイズと称する振動波外力を付与する。
【0027】
そして、図2(a)に示すように、標準モデル1の建物に所定の基準外力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答解析を行い(ステップS3)、第1の振動応答値となる建物の振動加速度BMを求める(ステップS4)。
【0028】
次に、ステップS5において、標準モデル1に付与する生活行為を想定した外力、及びその生活行為を想定した外力を標準モデル1に作用させる位置となる加振点、及び付与された生活行為を想定した外力により標準モデル1が振動した際に、その振動を測定する位置となる受振点を決定する。
【0029】
生活行為を想定した外力としては、例えば、図3に示すように、3階建ての建物の屋上(R)で飛び跳ねたり、強く歩く等の生活行為を想定した加振点や衝撃力、或いは3階(3F)の居室で飛び跳ねたり、強く歩く等の生活行為を想定した加振点や衝撃力、或いは3階(3F)のベランダで飛び跳ねたり、強く歩く等の生活行為を想定した加振点や衝撃力、或いは2階(2F)から3階(3F)に掛かる階段を駆け降りたり駆け登ったりする等の生活行為を想定した加振点や衝撃力を設定し、受振点を居住者が最も揺れを体感する3階(3F)の居室に設定する。
【0030】
そして、図3に示すように、標準モデル1の建物に特定の生活行為を想定した外力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答解析を行い(ステップS6)、第2の振動応答値となる建物の振動加速度Pを求める(ステップS7)。
【0031】
次にステップS8において、図4に示すように、標準モデル1の建物に対して個別に設計する建物の構造的要素を組み込んだ個別モデル2a,2b,2cを作成する。本実施形態では、建物の構造的要素として、各階層の層重量を組み込んだ個別モデル2aと、建物の縦横比を組み込んだ個別モデル2bと、各階層の層剛性を組み込んだ個別モデル2cを作成した一例について説明する。
【0032】
尚、建物の構造的要素としては、建物の重量、延べ床面積、建物の縦横比、建物の固有振動数、建物の立面形状(特に梁り出し架構の大きさ)、建物の偏心率等が考えられる。
【0033】
居住者の生活行為によって発生する建物の振動を評価するにあたり、居住する人(或いは、大型ペットを含む)の体重と建物の重量との相対的な比率により発生する振動の大きさが異なる。
【0034】
即ち、建物の重量比率(建物の重量/人の体重)が大きい大規模な建物の場合には振動が発生し難く、建物の重量比率が小さい小規模な建物程、振動が発生し易くなる。また、建物の重量は階数が同じであれば延べ床面積により便宜的に置き換えることも出来る。
【0035】
また、建物の縦横比が大きい程、振動が発生し易く、建物の剛性が低い(固有振動数が低い)程、振動が発生し易く、建物の立面形状(特に梁り出し架構の大きさ)の突出度が高い程、振動が発生し易く、建物の偏心率(建物の中心と重心との位置ずれの大きさ)が大きい程、振動が発生し易い。
【0036】
そして、標準モデル1に個別に設計する建物の個々の構造的要素を組み込んだ夫々の個別モデル2a,2b,2cの建物に対して、前述したステップS2〜S4と同様にして、ステップS9において、各個別モデル2a,2b,2cに付与する基準外力、及びその基準外力を各個別モデル2a,2b,2cに作用させる位置となる加振点、及び付与された基準外力により各個別モデル2a,2b,2cが振動した際に、その振動を測定する位置となる受振点を決定する。
【0037】
これ等の基準外力、加振点、受振点は、前記ステップS2で前述した基準外力、加振点、受振点と一致させる。
【0038】
そして、図4(a),(b),(c)に示すように、個別に設計する建物の重量、縦横比、剛性の構造的要素毎に標準モデル1の建物に組み込んだ各個別モデル2a,2b,2cの建物に所定の基準外力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答解析を行い(ステップS10)、第3の振動応答値となる建物の振動加速度Bを求める(ステップS11)。
【0039】
そして、前記第1、第2、第3の振動応答値となる振動加速度BM,P,Bに基づいて、生活行為によって実際に発生する振動に近似させ得る、例えば以下の数1式に例示した演算式により振動評価点Eを計算することで、個別に設計する建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価することが出来る。
【0040】
〔数1〕
E1=(P1/BM)×(Bw/BM)×(Bp/BM)×(Bs/BM)
E2=(P2/BM)×(Bw/BM)×(Bp/BM)×(Bs/BM)
E3=(P3/BM)×(Bw/BM)×(Bp/BM)×(Bs/BM)
E4=(P4/BM)×(Bw/BM)×(Bp/BM)×(Bs/BM)
【0041】
上記数1式において、E1は個別に設計する建物の屋上(R)での飛び跳ねによる振動評価点、E2は個別に設計する建物の3階(3F)での飛び跳ねによる振動評価点、E3は個別に設計する建物のベランダでの飛び跳ねによる振動評価点、E4は個別に設計する建物の2階(2F)から3階(3F)に掛けられた階段の昇降による振動評価点である。
【0042】
また、P1は標準モデル1の建物の屋上(R)での飛び跳ねに応じた衝撃力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0043】
また、P2は標準モデル1の建物の3階(3F)での飛び跳ねに応じた衝撃力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0044】
また、P3は標準モデル1の建物のベランダでの飛び跳ねに応じた衝撃力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0045】
また、P4は標準モデル1の建物の2階(2F)から3階(3F)に掛けられた階段の昇降に応じた衝撃力を付与した時に3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0046】
また、Bwは図4(a)に示す個別に設計する建物の重量の構造的要素を標準モデル1の建物に組み込んだ個別モデル2aの建物に基準外力を付与した時の3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0047】
また、Bpは図4(b)に示す個別に設計する建物の縦横比の構造的要素を標準モデル1の建物に組み込んだ個別モデル2bの建物に基準外力を付与した時の3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0048】
また、Bsは図4(c)に示す個別に設計する建物の層剛性の構造的要素を標準モデル1の建物に組み込んだ個別モデル2aの建物に基準外力を付与した時の3階(3F)の居室において受振する振動応答値となる建物の振動加速度である。
【0049】
本実施形態では、各振動評価点E1,E2,E3,E4を算出するに際して、前記数1式の各右辺に示すように第2の振動応答値となる振動加速度P1,P2,P3,P4と、第1の振動応答値となる振動加速度BMとの比と、第3の振動応答値となる振動加速度Bw,Bp,Bsと、第1の振動応答値となる振動加速度BMとの比とを利用し、それ等を夫々掛け合わせて、各振動評価点E1,E2,E3,E4を算出するように構成している。
【0050】
ここで、第2、第3の振動応答値と、第1の振動応答値との比を利用し、標準モデル1を振動が減衰し易い理想的な建物として設計することで前記数1式の各右辺における(Bw/BM),(Bp/BM),(Bs/BM)は「1」より大きく且つ「1」に近い値が算出され、更に(P/BM)も単位のない同じ次元の数値で算出されるため、振動評価点Eも桁数が小さく取り扱いの良い数値として算出され、評価がし易くなっている。
【0051】
そして、ステップS12において、個別に設計する建物での生活行為によって発生する建物の振動評価点Eを上記数1式により算出する。
【0052】
図5は予め振動評価点Eと、実際の振動レベルとの関係を実験により求めた近似グラフの一例であり、所定の振動レベルにおいて、振動を体感しないランクA、振動を体感するが生活に支障がないランクB、生活に支障があるランクCに設定している。
【0053】
そして、ステップS12において得られた各振動評価点E1,E2,E3,E4に基づいて図5のグラフから振動のランク評価を行なう(ステップS13)。そして、その結果、ランクCの評価となった場合は、耐力壁を追加して建物に剛性を付加する等の適当な設計変更を行い、その設計変更に応じて再度振動評価点Eを計算して図5のグラフから振動のランク評価を行い、最終的にランク評価がランクAになるように設計変更を行なう。
【0054】
尚、ステップS1からステップS7までは、個別に設計する建物に対して共通の標準モデル1を使用する場合には、事前に一度振動解析を行なって、振動応答値BM,Pを夫々求めておけば、同一の振動応答値BM,Pを使って個別に設計する異なる複数の建物に対して、ステップS8以降を繰り返し実施することで生活行為によって発生する夫々の建物の振動評価点Eを求めて振動のランク評価を行なうことが出来る。
【0055】
また、種々の想定される代表的な個別設計の建物に関して、ステップS1、及びステップS8〜S11を繰り返して個別に設計する建物の振動応答値Bを多数作成してデータベース化しておくことで、各建物の振動応答値Bをデータベースから検索して振動評価点Eを容易に求めることが出来、振動のランク評価を短時間で行なうことが出来る。
【0056】
以下の表1は想定される代表的な個別設計の建物の層重量、縦横比、層剛性毎の(Bw/BM)、(Bp/BM)、(Bs/BM)を予め演算してデータベース化した一例である。
【0057】
【表1】
【0058】
このデータベースから個別に設計する建物の層重量、縦横比、層剛性に対応する(Bw/BM)、(Bp/BM)、(Bs/BM)を選択して前述した数1式に例示した演算式により振動評価点Eを容易に計算することが出来る。
【0059】
尚、前記実施形態では、各振動評価点E1,E2,E3,E4を算出するに際して、前記数1式の各右辺に示すように第2の振動応答値となる振動加速度P1,P2,P3,P4と、第1の振動応答値となる振動加速度BMとの比と、第3の振動応答値となる振動加速度Bw,Bp,Bsと、第1の振動応答値となる振動加速度BMとの比とを利用し、それ等を夫々掛け合わせて、各振動評価点E1,E2,E3,E4を算出するように構成した場合の一例について示したが、他の演算式として、第2の振動応答値となる振動加速度P1,P2,P3,P4と、第1の振動応答値となる振動加速度BMとの比と、第3の振動応答値となる振動加速度Bw,Bp,Bsと、第1の振動応答値となる振動加速度BMとの比とを利用し、それ等の和を求めて、各振動評価点E1,E2,E3,E4を算出することでも良く、他の種々の演算方法が適用可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、中層小規模建物に対して生活行為により発生する振動を建物の構造的要素や生活行為に応じて設計段階で振動評価を行なうことが出来、評価結果に基づいて揺れにくい建物を設計することが出来る。
【0061】
特に規格化されたプレハブ住宅等の建物の振動評価に使用すれば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る建物の振動評価方法の構成を示すフローチャートである。
【図2】 (a)は標準モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図、(b)は標準モデルの建物の各階の間取りを示す模式平面図である。
【図3】 標準モデルの建物に特定の生活行為を想定した外力を付与する様子を示す立体模式図である。
【図4】 (a)は個別に設計する建物の層重量を標準モデルに組み込んだ個別モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図、(b)は個別に設計する建物の縦横比を標準モデルに組み込んだ個別モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図、(c)は個別に設計する建物の層剛性を標準モデルに組み込んだ個別モデルの建物に基準外力を付与する様子を示す立体模式図である。
【図5】 振動評価点と振動レベルとの関係を予め実験により求めた近似曲線に基づいて振動評価を行なうための振動評価ランクを示す図である。
【符号の説明】
1…建物の標準モデル
2a〜2c…建物の個別モデル
Claims (2)
- 建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価する方法であって、
予め基準となる建物の標準モデルを作成し、その標準モデルに基準外力を作用させる位置となる建物の加振点に所定の基準外力を付与した時の受振点における第1の振動応答値を求め、
その標準モデルの生活行為を想定した外力が作用する位置となる建物の加振点に該建物での生活行為によって発生する建物の振動を想定した特定の生活行為を想定した外力を付与した時の前記受振点における第2の振動応答値を生活行為毎に求め、
前記標準モデルの建物に対して個別に設計する建物の構造的要素を組み込んだ個別モデルを作成し、その個別モデルの前記標準モデルと一致する建物の加振点に前記所定の基準外力を付与した時の前記標準モデルと一致する受振点における第3の振動応答値を構造的要素毎に求め、
前記第2、第3の振動応答値と、前記第1の振動応答値との比を掛け合わせるか、または和を求め、これを振動評価点数とすることにより、その個別に設計する建物での生活行為によって発生する建物の振動を評価することを特徴とする建物の振動評価方法。 - 請求項1に記載の建物の振動評価方法により評価された建物が所望の評価以下であった場合に、所望の評価以上になるように設計変更することを特徴とする建物の設計方法。
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