JP3705658B2 - 半径方向力を発生する永久磁石形回転電気機械の制御システム - Google Patents

半径方向力を発生する永久磁石形回転電気機械の制御システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力により回転子に半径方向力を発生して、半径方向位置を制御する機能、あるいは、半径方向の力を制御する機能、あるいは半径方向の速度を制御する機能、あるいは軸方向の力と半径方向の力を同時に制御する機能を付加した電動機、あるいは発電機のシステムの構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械、ターボ分子ポンプ、フライホイールなどに用いられる回転機の高速、高出力化の要求が高まっている。これらの高速機では軸受での速度限界や保守などの問題を解決するために磁気軸受が適用されつつある。
磁気軸受のサイズは充分な力を発生させるために大きくなる傾向にあり、実際、回転機の軸長に等しい場合もある。従って、主軸の軸長が長くなり、高速回転時に生じる主軸の弾性的な振動が問題となってしまい、高速回転を実現することは容易ではない。さらに、高出力化しようとすると回転機の軸長を長くする必要がある。すると、回転電気機械が発生する磁気吸引力が増加するため、磁気軸受のサイズも大形とする必要がある。この結果、危険速度が低下してしまい、高速化が極めて困難となる。
【0003】
半径方向位置制御巻線付き回転電気機械は、回転機の磁気回路と、半径方向の力を発生する磁気回路とを一体化することにより軸長を短くして、高速高出力を実現するものである。さらに、回転子の位置制御に必要な半径方向の力を回転機の励磁磁束を利用して発生するものである。
【0004】
図2は、本発明者等が既に提案した半径方向位置制御巻線付き回転電気機械の構成図を示している。半径方向位置制御巻線付き回転電気機械の1つのユニットが2つあり、1つのユニットには半径方向位置制御巻線付き回転電気機械の半径方向位置制御巻線電流制御用の3相インバータが接続されている。2つの半径方向位置制御巻線付き回転電気機械のユニットは電動機としてトルクを発生させるための4極巻線と、回転子の半径方向の力を発生させるための2極の巻線が巻かれている。このように1台の機械でトルクと半径方向の力が発生できるため、一般の磁気軸受付きの超高速電動機に比べて軸長が短くでき、また、軸長が同一であれば高出力化が期待できる。
【0005】
既に、いくつかの半径方向位置制御巻線付き回転電気機械が提案されている。例えば、Bosch, R., "Development of a Bearingless Electric Motor", Proc. of ICEM'88 vol.3, pp.331-335 では、励磁磁束を変化することにより軸方向に作用する力を発生して、ディスク形電動機の軸方向位置を調整しようとしている。ディスク形の回転機には応用可能と思われるが、広く用いられているラジアル形の回転機には応用が難しい。
【0006】
一方、Salazar, A.O., Dunford, W., Stephan, R. and Watanabe, E., "A Magnetic Bearing System using Capacitive Sensors for Position Measurement", IEEE Trans. on Magnetics vol.26, no.5, 1990 pp.2541-2543 では、一般の誘導電動機の巻線電流を不均衡にすることにより、半径方向の力を発生して回転子の半径方向の位置を制御しようとするものである。しかし、回転子が中心に位置しているときには原理的に半径方向力が発生できないという問題点がある。
【0007】
樋口「磁気浮上技術のFAへの応用」平成元年電気学会全国大会シンポジウムS.9-6、特開昭64−55031号公報は、従来の磁気軸受の磁路とステッピングモータの磁路を単に共有するものであり、低速のアクチュエータに適している。しかし、構造上、極数がきわめて大きい必要があるため、高速回転、高出力の応用には適していない。さらに、高出力な発電機、誘導機、永久磁石形電動機などに多く用いられる正弦波状の起磁力分布、磁束分布を持つ回転機に応用することは難しい。
【0008】
極数を減少するとともに、従来の誘導機や永久磁石形回転機に近い構造を提案したものとして、特開平4−236188号公報、特開平4−107318号公報がある。特開平4−236188号公報では、4相のスイッチドリラクタンス機の固定子鉄心のような、8個の歯を構成した固定子に4極の集中巻線を施し、これを各磁極で分割し、各磁極の磁束を独立に制御するものである。回転磁界を発生するとともに、各磁極の磁束の強弱により半径方向力を発生することもできる。
【0009】
特開平4−107318号公報も同様の鉄心構造となっているが、巻線を分布巻きとして、より正弦波分布に近い起磁力分布とした点に特徴がある。しかし、これらの公報では、4分割した巻線を個々に駆動するため、直交2軸の半径方向力とトルクを発生する1つのユニットで、2相巻線であれば8台の単相インバータと16本の配線が必要となってしまう。さらに、半径方向力制御とトルク制御が同一の巻線電流によって行われるため、極めて高速かつ高精度大容量の電流駆動器が必要となってしまう。
【0010】
本発明者等は既に、電気学会、あるいは米国電気学会(IEEE)などで、4極の回転機に2極の巻線を施した回転電気機械が半径方向力を発生できることを報告している。この中では、4極の回転磁界形シンクロナスリラクタンス機に2極の巻線を固定子に追加することにより、積極的に回転磁界を不平衡として半径方向力をトルクとともに発生する、新しい半径方向位置制御巻線付き回転電気機械を提案している。さらに、永久磁石形回転子を用いた半径方向位置制御巻線付き回転電気機械の解析手法、モデル化の方法、最適な回転子構造などを報告している。
【0011】
本発明者等が提案している方式の特長は、次の通りである。
(1)直交2軸の半径方向力と、トルクを発生するために、3相巻線であれば6本の配線と2台の3相インバータだけで済む。
(2)半径方向力を発生する巻線とトルクを発生する巻線が分離しているため、半径方向力制御用インバータあるいはパワーアンプは小電力容量で済む。
(3)4極と2極の巻線を用いているため、回転子が中心に位置していれば相互結合が0となり、電動機の誘起電圧が半径方向力制御巻線に生じない。
(4)誘導機、永久磁石形同期機、シンクロナスリラクタンスモータなどの正弦波起磁力分布、正弦波磁束分布を仮定した高出力回転機に広く応用できる。
【0012】
図3は回転子の半径方向に作用する力の発生原理を示している。4極巻線N4、2極巻線N2、が固定子に施され、4極磁束Ψ4、2極磁束Ψ2、が発生している。固定子にはトルクを発生するための4極巻線N4が施されている。いま、回転子が固定子の中心に位置している場合、この4極巻線N4に正方向の電流が流れると4極の対称磁束Ψ4が発生する。
【0013】
4極のN4巻線とこれに直交する4極巻線に二相交流電流を流すことにより、4極の回転磁界が発生する。あるいは既に報告しているように3相巻線であってもよい。回転子にかご形巻線が施してあれば、通常のかご形誘導機として回転子にトルクが発生する。また、4極の永久磁石回転子であれば通常の永久磁石形電動機としてトルクを発生する。
固定子には通常の電動機巻線としての役割を果たす4極巻線に加えて、回転子の半径方向に作用する力を発生するための2極の巻線N2も施されている。N2巻線の正方向に電流を流すと2極の磁束Ψ2が発生する。
【0014】
回転子の紙面下部のギャップでは、4極の巻線の電流による磁束の方向が2極の巻線の磁束の方向と逆である。従って、このギャップでは磁束密度が低下する。一方、回転子の紙面上部のギャップでは、4極の磁束の方向と2極の磁束の方向が一致してるため磁束密度は増加する。
このように磁束分布が不平衡になると回転子に紙面上方向へ作用する半径方向の力Fが生じる。この半径方向の力Fの大きさは2極巻線を流れる電流の大きさを制御することにより調整できる。また、半径方向の力Fの方向を逆にするためには、2極巻線の電流の方向を反転すればよい。
【0015】
一方、紙面横方向の力Fを発生するためには、N2巻線と直交する2極巻線を施し、その電流を調整すればよい。このように直交した2極巻線の電流の大きさ、方向を調整することにより所望の大きさ、方向の半径方向の力を発生できる。図2では4極巻線を電動機駆動、2極巻線を半径方向位置制御に用いているが、4極巻線を半径方向位置制御に、2極巻線を電動機駆動に用いることも可能である。
【0016】
このような固定子に4極、2極の巻線を施す形式の半径方向位置制御巻線付き回転電気機械を提案したのは、1970年代に特許文献"Radial Active Magnetic Bearing Having a Rotating Drive", Patent Specification 1 500 809, 1975にあるものが本発明者等の知る限りでは最初である。しかし、当時は半導体電力変換回路が高価であり、また、高速な電流制御が困難であった。さらに、複雑な演算を行うデジタルコントローラが未発達であり、電動機のベクトル制御などはきわめて難しく、瞬時磁束、瞬時トルク分電流の制御は不可能であった。
その後、本発明者等は特開平2−193547号公報に示すように、その後発展したデジタル制御器、半導体電流変換装置、電動機のベクトル制御理論を組み合わせることにより、詳細なモデル化とそのモデルに基づく制御則を適用することにより、この種の回転電気機械を技術的に可能とした。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
永久磁石形の半径方向位置制御巻線付き回転電気機械を制御する際に、きわめて高速である、あるいは極めて大容量であるなどの理由からベクトル制御が困難な場合がある。このような場合、トルクを発生するための巻線電流により生じる磁束のレベルが、負荷や運転状態に依存して変動する。すると、発生する半径方向力はこの磁束変動の影響を直接受ける。この結果、半径方向の位置制御が困難となるおそれがある。
【0018】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、負荷運転時、或いは過度状態等においても、トルクを発生するための電流により生じる磁束が、半径方向力に影響することなく、安定に運転が可能な永久磁石型回転電気機械の制御システムを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明の永久磁石型回転電気機械の制御システムは、永久磁石形回転電気機械の固定子に、回転子回転駆動用のp極の巻線と、回転子半径方向位置制御用のp±2極の追加巻線とを備え、主軸の半径方向位置を検出して、該主軸の半径方向位置が指令値と一致するように、前記巻線にそれぞれ電流を供給して半径方向力を発生させる、回転電気機械の制御システムにおいて、前記回転子回転駆動用のp極の巻線に流れる電流と、回転子回転角を検出し、回転子回転駆動用のp極の巻線の電流のq軸成分iqと、d軸成分idと、永久磁石のd軸電流等価換算分ipとから、磁束ベクトルの大きさに比例するid’(i dm =id+ip、id’=(i dm +iq (1/2) )と前記磁束ベクトルのd軸からの傾き角度2θを演算し、この演算結果を非干渉化ブロックに伝送し、全体を前記磁束ベクトルの大きさに比例するid’で除し、位相を2θ増加することで、位置制御電流指令値を発生し、速度制御系と、半径方向位置制御系を非干渉化することを特徴とした。
【0020】
又、永久磁石形回転電気機械の固定子に、回転子回転駆動用のp極の巻線と、回転子半径方向位置制御用のp±2極の追加巻線とを備え、主軸の半径方向位置を検出して、該主軸の半径方向位置が指令値と一致するように、前記巻線にそれぞれ電流を供給して半径方向力を発生させる、回転電気機械の制御システムにおいて、前記回転子回転駆動用のp極の巻線に流れる電流と端子電圧を検出し、あらかじめ測定した電動機定数から導出された電圧電流方程式により回転子回転角を検出し、回転子回転駆動用のp極の巻線の電流のq軸成分iqと、d軸成分idと、永久磁石のd軸電流等価換算分ipとから、磁束ベクトルの大きさに比例するid’(i dm =id+ip、id’=(i dm +iq (1/2) )と前記磁束ベクトルのd軸からの傾き角度2θを演算し、この演算結果を非干渉化ブロックに伝送し、全体を前記磁束ベクトルの大きさに比例するid’で除し、位相を2θ増加することで、位置制御電流指令値を発生し、速度制御系と、半径方向位置制御系を非干渉化することを特徴とした。
【0021】
【発明の実施の形態】
図4は、半径方向力を発生する電気回転機械の直流機等価モデルを示している。図4の直流機モデルでは、4極の界磁巻線Nd が突極状の固定子に施されている。また、4極の電機子巻線Nq が回転子に施されている。ここで、Nq はブラシを通して通電されており、回転子が回転しても固定子に対して移動しない。Nd 巻線に電流を流すことにより界磁磁束Ψd を発生する。この界磁磁束とNq 巻線電流によりトルクが発生して回転子は回転する。
【0022】
電気回転機械として半径方向力を発生するために、2極の直交巻線Nx、Nyも電機子に施されている。Nx、Nyはブラシを通して給電されており、回転子が回転しても固定子に対して位置は移動しない。いま、固定子に固定した直交2軸x、yをとる。Nx、Ny巻線に正方向の電流を流すと、それぞれx、y方向の起磁力が発生する。Nx巻線に正方向の電流を流すと図4に示すように2極の磁束Ψxが発生する。このΨxの方向は、極1ではΨdと逆方向、極3ではΨdと等しい方向である。即ち、極1では磁束密度が減少し、極3では磁束密度が増加する。この結果、回転子にはx軸負方向に作用する半径方向力が発生する。
【0023】
一方、Nx巻線に負方向の電流が流れると、磁束Ψxの方向が反対方向となり、極1で磁束密度が増加し、極3で磁束密度が減少する。この結果、回転子にはx軸正方向に作用する力が発生する。
y軸方向の半径方向力はNx巻線に電流を流すことにより発生できる。Ny巻線に正方向の電流が流れると、回転子にy軸正方向に作用する半径方向力が発生する。一方、Ny巻線に負方向の電流が流れると、回転子にy軸負方向の半径方向力が発生する。
【0024】
このように、直交2軸x、yの正負両方向の半径方向力が発生可能である。Nx、Ny巻線に流れる電流の大きさを調整することにより、x、y軸方向の半径方向力の大きさを調整できる。そこで、Nx、Ny巻線電流の方向と大きさを調整することにより、所望の方向、大きさの半径方向力を発生することが可能である。
【0025】
[インダクタンス行列と半径方向力]
既に示した図4の直流機モデルから、インダクタンス行列を求め、半径方向力を導出することが可能である。この際、半径方向力は磁気蓄積エネルギーの半径方向位置に対する偏微分として求めることができる。そこで、固定子の中心位置を基準として、回転子中心位置を直交2軸座標系x、yで表す必要がある。さらに、このx、yを用いてインダクタンス行列を表す必要がある。
【0026】
いま、Nd、Nq、Nx、Nyの各巻線の電流をそれぞれid、iq、ix、iyとして、各巻線の磁束鎖交数をそれぞれΨd、Ψq、Ψx、Ψyとし、d、q軸のインダクタンスをLd、Lq、Nx、Ny巻線の自己インダクタンスをL2とすると、
【0027】
【数1】
Figure 0003705658
である。ここで、Md’、Mq’はそれぞれd軸方向、q軸方向の4極と2極の巻線の相互インダクタンスの半径方向位置x、yに対する偏微分値である。
【0028】
(1)式より、この回転機に蓄積されるエネルギーWmは、
【数2】
Figure 0003705658
である。
【0029】
x軸方向、y軸方向の半径方向力Fx、Fyは、回転機が線形であると仮定すれば、磁気エネルギーをそれぞれx方向、y方向に偏微分したものである。即ち、
【数3】
Figure 0003705658
である。
【0030】
(3)式に(2)式を代入し、計算すると以下の結果が得られる。
【数4】
Figure 0003705658
即ち、半径方向力はixとiyの線形結合で表される。(4)式から以下の点が明らかである。
【0031】
(1)電機子反作用が小さければMq’iqの非対角要素が小さく簡単化できる。この際、Fx、Fyはそれぞれix、iyに比例する。その係数はMd’idである。永久磁石形の電動機であれば、idは永久磁石と界磁電流成分による界磁磁束を形成する電流成分である。また、誘導電動機やシンクロナスリラクタンス機であれば、idは励磁電流である。従って、電動機の励磁磁束を有効に利用して半径方向力を発生することが明らかである。
(2)電機子反作用が生じる場合にはx、y間に干渉が生じる。しかし、
id=iq=0
である特殊な場合をのぞき、(4)式の2×2行列には逆行列が存在する。このため、制御系であらかじめ逆行列を構成することにより非干渉化する必要がある。
(3)逆突極形の回転機では、非対角要素が大きくなり、トルク電流iqとの相互作用で大きな半径方向力が発生する。
(4)円筒形の回転機では、Md’=Mq’であり、(4)式は簡単化できる。
【0032】
[ACマシン]
図5は、既に示した図4の直流機モデルを永久磁石形同期機で実現した回転機の一例を示している。回転機の固定子には24のスロットがあり、3相の4極巻線U4、V4、W4、3相の2極巻線U2、V2、W2が施されている。U4、V4、W4はNd、Nq巻線に対応し、U2、V2、W2はNx、Ny巻線に対応する。各巻線に流れる電流をこれらの巻線の添え字を施してiu4、iv4、iw4、iu2、iv2、iw2とする。固定子に固定した直交2軸α、βを定義する。回転子は4極の突極状であり、永久磁石、界磁巻線あるいはU4、V4、W4の励磁電流成分により図示する極性に着磁されており、時計回りに回転する。この回転子に固定した回転座標系の直交2軸x、yが描かれている。このx、y軸は図4のx、y軸に対応している。いま、α、β軸方向の半径方向力をFα、Fβとする。回転子の回転方向を時計回りとし、y軸とβ軸の回転角度をφとする。図はφ=30°での回転子と固定子の位置を示している。
【0033】
一方、2相機のモデルを想定することができる。4極2相巻線a、bと2極の2相巻線α、βが施されているとする。x、y軸は図4のx、y軸に対応する回転座標系であり、α、β軸はそれぞれα、β巻線の起磁力方向を示すとする。
すると、直流回転機モデルと、交流回転機モデルには以下の関係がある。まず、半径方向力については、回転角φに対する回転座標変換を行えばよいので、
【0034】
【数5】
Figure 0003705658
である。
【0035】
次に、電動機の電流について考える。まず、回転座標軸上での直流機モデルの電流id、iqを2相軸の固定座標系に変換した量をia、ibと定義する。即ち、
【数6】
Figure 0003705658
と定義する。
【0036】
すると、ia、ibは2相モデルの巻線a、bの正方向の電流である。さらに、4極巻線の電流は、この2相軸の巻線電流を2相3相変換したものであるから、
【数7】
Figure 0003705658
ここで、[C32]は2相3相変換行列であり、
【数8】
Figure 0003705658
である。
【0037】
一方、2極の半径方向力を発生する巻線は、既に示した回転座標軸上の直流機モデルの電流iz、iyを、固定子に固定した2相軸上の2極巻線電流iα、iβに変換する。ここで、iα、iβはそれぞれに示すα、β巻線の電流である。このとき、iα、iβが正であれば、α、β軸方向の起磁力が発生する。このiα、iβは、ix、iyを用いて、(5)式の2×2行列の逆行列を用いて、
【数9】
Figure 0003705658
さらに、4極電流と同様に2相3相変換の行列を用いて、
【数10】
Figure 0003705658
となる。
【0038】
以上のように3相機は2相機に等価であるので、以下では、実用的な3相機について延べる。
【0039】
図6は、フィードフォワードによる制御システムの構成を示している。ベクトル制御系では、速度ループなどによって決定するトルク指令値τ*を入力とし、速度などに応じて決定する励磁電流指令値id*、トルク電流指令値iq*、磁束角度方向φを決定する。(6)式を(7)式右辺に代入する。さらに、右肩に*で示した変数を制御系内の指令値とすれば、
【数11】
Figure 0003705658
となる。ベクトル制御のブロックは、この式に基づいて電流指令値iu4*、iv4*、iw4*を発生する。さらに、4極の巻線電流は電流指令値に基づいて電流制御されるインバータにより、指令値と一致するように制御される。
【0040】
一方、半径方向の位置制御は以下のように行われる。主軸の半径方向位置α、βは変位センサにより検出され、指令値α*、β*と比較される。比例、微分、積分(PID)コントローラは主軸半径方向位置を中心に戻すための半径方向力指令値Fα*、Fβ*を発生する。この固定子軸上の半径方向力の指令値は、回転座標系x、yに変換される。即ち、(5)式の演算が指令値について行われる。
【数12】
Figure 0003705658
【0041】
さらに、この回転座標軸上の半径方向力の指令値Fx*、Fy*に基づいて(4)式を逆に解いて回転座標軸上の電流の指令値を、
【数13】
Figure 0003705658
と決定する。
【0042】
この回転座標軸上の半径方向力発生巻線の電流指令値ix*、iy*は、(9)式に基づいて固定子座標軸上へ変換され、さらに、(10)式に基づいて3相軸上に変換される。(12)式以降の変換をまとめると、半径方向力発生巻線の3相電流指令値iu2*、iv2*、iw2*は、固定子座標軸上の半径方向力の指令値から以下の式により求められる。
【0043】
【数14】
Figure 0003705658
【0044】
この指令値に基づいて電流指令値iu2、iv2、iw2 を発生する。2極3相巻線はこの指令値に基づいて運転される電流制御形インバータに接続されている。
【0045】
[制御システムの構成]
図6は、電動機駆動系がベクトル制御され、磁束の回転角度、d、q軸の電流値が制御系内で明らかである場合のシステムの構成であった。ベクトル制御では、磁束フィードフォワード形、磁束フィードバック形があり、いづれの場合も磁束の角度、d、q軸の電流値が明らかである。
【0046】
一方、電動機駆動に汎用のインバータを用いるような場合、あるいは、極めて高速であり瞬時電流を制御することが困難である場合、PWMインバータの適用が困難である場合もある。このような場合は、ベクトル制御の適用が困難である。また、回転機が電動機ではなく発電機として用いられる場合、簡単なダイオード整流器などが接続される場合がある。このような場合、回転機をフィードフォワード制御することは不可能である。そこで、半径方向位置制御系自体が磁束方向、d、q軸電流を検出して非干渉化する必要がある。
【0047】
は半径方向位置制御系が、ロータリーエンコーダの出力、電動機巻線電流などから磁束方向、d、q軸電流を演算することにより検出する場合のシステム構成を示している。検出値を用いて、図6と同様な手法で半径方向の位置制御を行っている。なお、電動機の制御系は、要求される半径方向力が発生できる程度の磁束レベルを保つ必要がある。
【0048】
電機子反作用が生じる永久磁石形の円筒機では、電機子反作用の影響をあらかじめ考慮する必要がある。図7は電機子反作用に対して、半径方向の位置制御系を非干渉化する手法を示している。いま、電機子電流のd軸成分をid、q軸成分をiqとする。(14)式のd軸電流は、idと永久磁石のd軸電流等価換算分ipの和ip+idとなる。いま、
idm=id+ip
とすると、idmはd軸磁束を形成するd軸電流ベクトルである。一方、iqによりq軸磁束が発生する。円筒機であるので、d軸、q軸磁束により形成される磁束ベクトルの大きさは、
id’=(idm2+iq2(1/2)
に比例し、その角度は
2θ=tan-1(iq/idm)
だけd軸から傾く。即ち、電機子反作用により形成される磁束の大きさが増加し、角度がずれる。そこて、非干渉化ブロックで、全体をid’で除し、位相を2θ増加すればよい。
【0049】
電機子反作用が発生しない場合は、永久磁石のサーボモータで行われるように、d軸電流は0となる。また、q軸電流に起因し発生する磁束は0となるため、id、iqを検出する必要はなくなる。そこで、θ=0であるので、図7は大きく簡単化することが可能となる。
【0050】
図8は、回転機のトルクを発生する巻線の電圧と電流を検出し、d軸電流とq軸電流、回転角を検出するものである。まず、電流、電圧を検出して3相2相変換し、2相軸上の電圧電流に変換する。さらに、d、q軸に回転座標変換する。この際、回転座標変換には推定している回転子の回転角度を用いる。一方、あらかじめ測定した回転機の電動機定数から電圧電流方程式を導出する。この電圧電流方程式に電圧あるいは電流を代入し、電流あるいは電圧を算出する。この電流あるいは電圧を検出した電圧あるいは電流と比較する。この際、誤差が発生するようであれば、誤差は回転子の回転角度の推定値に起因するのであるから、回転角度の推定値を修正する。このようなフィードバックにより、回転角の推定値は実際の回転角度と常に一致する。このようにして、電圧電流からd、q軸の電圧、電流、回転子回転角度を検出できる。そこで、図7と同様に制御することができる。
【0051】
図9は、フィードバック形の発電機の構成例を示す。トルク発生巻線に整流器が接続された点を除いて図7と同等なシステム構成である。発電機として運転する場合には、整流器により直流電力に変換してPC電力として取出すこともできる。このようにしても、図7と等しい原理で安定に浮上回転することが可能である。また、図8に示したシステム構成でもよい。
【0052】
尚、電流制御器としては、汎用インバータ、方形波インバータ、PAM制御インバータ、ダイオード整流器などを用いることができ、これらにより安定に浮上回転が可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
即ち、回転機とは極数が異なる追加巻線を施し、この巻線に電流を流すことにより非接触である半径方向位置制御系を持つ永久磁石形回転電気機械の制御システムにて、過渡時、負荷時等の大きなトルク電流が流れた、或いは変動した場合においても、安定に浮上制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のフィードバック形システムの構成を示す図。
【図2】ユニット全体の構成例を示す図。
【図3】半径方向力の発生原理を示す図。
【図4】直流機モデルを示す図。
【図5】巻線配置の一例を示す図。
【図6】フィードフォワード形制御器の構成例を示す図。
【図7】フィードバック形制御器の構成例を示す図。
【図8】フィードバック形制御器の電流検出を用いた構成例を示す図。
【図9】フィードバック形のシステムの発電機の構成例を示す図。
【符号の説明】
Ψ4 4極磁束
Ψ2 2極磁束
N4,Nd,Nq,U4,V4,W4 4極巻線(駆動巻線)
N2,Nx,Ny,U2,V2,W2 2極巻線(追加巻線)
F,Fx,Fy 半径方向力
id d軸電流
iq q軸電流
C 非干渉制御器
α,β 主軸の変位

Claims (4)

  1. 永久磁石形回転電気機械の固定子に、回転子回転駆動用のp極の巻線と、回転子半径方向位置制御用のp±2極の追加巻線とを備え、主軸の半径方向位置を検出して、該主軸の半径方向位置が指令値と一致するように、前記巻線にそれぞれ電流を供給して半径方向力を発生させる、回転電気機械の制御システムにおいて、
    前記回転子回転駆動用のp極の巻線に流れる電流と、回転子回転角を検出し、回転子回転駆動用のp極の巻線の電流のq軸成分iqと、d軸成分idと、永久磁石のd軸電流等価換算分ipとから、磁束ベクトルの大きさに比例するid’(i dm =id+ip、id’=(i dm +iq (1/2) )と前記磁束ベクトルのd軸からの傾き角度2θを演算し、
    この演算結果を非干渉化ブロックに伝送し、全体を前記磁束ベクトルの大きさに比例するid’で除し、位相を2θ増加することで、位置制御電流指令値を発生し、速度制御系と、半径方向位置制御系を非干渉化することを特徴とした制御システム。
  2. 前記電流の検出値を3相2相変換し、この電流をd軸とq軸よりなる回転座標に変換することにより、電流のd軸成分とq軸成分とを検出することを特徴とした請求項1記載の制御システム。
  3. 永久磁石形回転電気機械の固定子に、回転子回転駆動用のp極の巻線と、回転子半径方向位置制御用のp±2極の追加巻線とを備え、主軸の半径方向位置を検出して、該主軸の半径方向位置が指令値と一致するように、前記巻線にそれぞれ電流を供給して半径方向力を発生させる、回転電気機械の制御システムにおいて、
    前記回転子回転駆動用のp極の巻線に流れる電流と端子電圧を検出し、あらかじめ測定した電動機定数から導出された電圧電流方程式により回転子回転角を検出し、回転子回転駆動用のp極の巻線の電流のq軸成分iqと、d軸成分idと、永久磁石のd軸電流等価換算分ipとから、磁束ベクトルの大きさに比例するid’(i dm =id+ip、id’=(i dm +iq (1/2) )と前記磁束ベクトルのd軸からの傾き角度2θを演算し、
    この演算結果を非干渉化ブロックに伝送し、全体を前記磁束ベクトルの大きさに比例するid’で除し、位相を2θ増加することで、位置制御電流指令値を発生し、速度制御系と、半径方向位置制御系を非干渉化することを特徴とした制御システム。
  4. 前記電圧・電流の検出値を3相2相変換し、この電圧・電流を回転座標に変換することにより、電圧・電流のd軸成分とq軸成分とを検出することを特徴とした請求項3記載の制御システム。
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