JP3705068B2 - 半導体装置及びこれを用いた半導体マイクロアクチュエータ及び半導体マイクロバルブ及び半導体マイクロリレー - Google Patents

半導体装置及びこれを用いた半導体マイクロアクチュエータ及び半導体マイクロバルブ及び半導体マイクロリレー Download PDF

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  • Thermally Actuated Switches (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板と、半導体基板から切り離され温度変化により変位する可撓領域と、両者の間に設けられた熱絶縁領域から構成される半導体装置及びこれを用いた半導体マイクロアクチュエータ及び半導体マイクロバルブ及び半導体マイクロリレーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体基板と、半導体基板から切り離され温度変化により変位する可撓領域と、両者の間に設けられた熱絶縁領域から構成される半導体装置を用いたものとして、異なった熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料を組み合わせ(バイメタル構造)、その部分を加熱し熱膨張係数の差を利用して変位を得る半導体マイクロアクチュエータがある。この半導体マイクロアクチュエータについては、特表平4−506392号「半導体マイクロアクチュエータ」に開示されている。
【0003】
特表平4−506392号に記載されている半導体マイクロアクチュエータは、図53の上面図、図54の断面図に示すとおりであり、シリコンのダイアフラム300の一部にアルミニウム薄膜304が形成されたバイメタル構造になっている可撓領域を有している。シリコンからなるダイアフラム300中に形成されたヒータ301に電流を流すと発熱し、ダイアフラム300の温度が上昇する。ここで、シリコンとアルミニウムは熱膨張係数が大きく異なるため、熱応力が発生しダイアフラム300を撓ませ、ダイアフラム300に連設された可動部305の変位を生じる機構となっている。また、効率的な変位を得るために、ダイアフラム300の周辺と半導体基板であるシリコン枠302の間に二酸化ケイ素薄膜のヒンジ303を設け、ダイアフラム300で発生した熱がシリコン枠302に逃げることを防ぐ構造となっている。
【0004】
しかし、このような構造をもつ半導体マイクロアクチュエータにおいては以下のような問題点がある。まず、二酸化ケイ素薄膜のヒンジ構造の熱絶縁効果について考察する。一般に、高温部分から低温部分へ逃げる熱量Qは
Q(W)=−λ((t−t)/δ)A (式X)となる。
ここで、Q;熱量(熱移動の速さ)
−t;温度差(℃)
δ;熱源からの距離(cm)
A;熱流の向きに垂直な断面(cm
λ;熱伝導率(J/cm・s・℃)
で与えられる。
【0005】
そこで、この関係式を用いてダイアフラム300からシリコン枠302へ逃げる熱量を計算する。ダイアフラム300とシリコン枠302の温度差を150℃、ヒンジ303の横幅を30μm、ダイアフラム300の直径を2.5mm、ヒンジ303の厚みを2μm(「Electrically‐Activated,Micromachined Diaphram Valves」 Technical Digest IEEE Solid−State Sensor and Actuator Workshop,pp65−69,June1990より推定)とすると、熱流の向きに垂直な断面A1は、
A1=2.5mm×π×2μm=0.25cm×π×2×10−4cm=1.57×10−4cm
となり、二酸化ケイ素の熱伝導率λ=0.084(W/cm・℃)であるから、逃げる熱量Q1は、
Q1=0.084(W/cm・℃)×150℃/(30×10−4cm)×1.57×10−4cm=0.66W=660mW
となる。次に二酸化ケイ素のヒンジ構造を設けなかった場合を計算する。シリコンのダイアフラム300の厚みを10μmとし、熱流の向きに垂直な断面A2を計算すると、
A2=2.5mm×π×10μm=0.25cm×π×10×10−4cm=7.85×10−4cm
となり、シリコンの熱伝導率λ=1.48(W/cm・℃)であるから、逃げる熱量Q2は、
Q2=1.48(W/cm・℃)×150℃/(30×10−4cm)×7.85×10−4cm=58W
となる。そこで、二酸化ケイ素薄膜のヒンジ303を設けることにより約90倍の熱絶縁効果が得られたことになる。このように特表平4−506392号に記載されている半導体マイクロアクチュエータは、従来の構造のものよりも熱効率の良い構造となっている。しかし、現状の使用用途を考えた場合には熱損失の更なる低減が望まれている。具体的には、この熱の逃げ(熱損失)はダイアフラム300を所定の温度(例えば150℃)に維持するために常時供給される電力(消費電力)と考えられる。
【0006】
そこで、特表平4−506392号に記載されている半導体マイクロアクチュエータの消費電力は数百mW(計算では660mW)と推定できるわけであるが、小型で携帯できる電池駆動用途の場合を考えた場合には百mW以下であることが望ましい。
【0007】
また、特表平4−506392号記載の半導体マイクロアクチュエータは、二酸化ケイ素薄膜がヒンジ303の部分は、厚さ2μmと厚くなっている。このヒンジ303の二酸化ケイ素薄膜の厚みを決める要因については、明細書中に明確に記載されていない。しかし、特表平4−506392号記載の半導体マイクロアクチュエータがマイクロバルブ等に使用された場合には、可動エレメントに加えられた圧力がこのヒンジ303に集中することが予想され、この圧力に対し破壊しない程度の膜厚が必要となる。ところが、ヒンジ303の膜厚を増すと上記熱の逃げの計算式(式X)に示されるように熱絶縁効果が低下する。そこで、ある程度の強度をもち、かつ熱絶縁効果を有する二酸化ケイ素薄膜の膜厚として2μmが決定されたものと推定できる。
【0008】
ところで、特表平4−506392号記載の半導体マイクロアクチュエータは、明細書にも記載のごとくシリコンからなるダイアフラム300とアルミニウム薄膜304により構成されたバイメタルにより可動する構造となっているが、ダイアフラム300とアルミニウム薄膜304の間には電気的絶縁を得るために二酸化ケイ素薄膜306が挿入されている。
【0009】
半導体製造プロセスでは、この二酸化ケイ素薄膜306とヒンジ303の二酸化ケイ素薄膜は同時に形成され、これらの膜厚は同じであることが望ましい。しかし、ダイアフラム300とアルミニウム薄膜304の間に挿入された二酸化ケイ素薄膜306の膜厚が2μmと厚くなった場合には、駆動源となるバイメタル特性を劣化させることが予想できる。文献(「Electrically‐Activated,Micromachined Diaphram Valves」Technical Digest IEEE Solid−State Sensor and Actuator Workshop,pp65−69,June1990)に記載されている例においてはアルミニウム薄膜304の膜厚5〜6μmとなっており、膜厚2μmの二酸化ケイ素薄膜306がダイアフラム300とアルミニウム薄膜304の間に挿入されれば、加熱時のダイアフラム300の撓みを阻害する要因となることは容易に推定できる。
【0010】
また半導体製造プロセスでは、二酸化ケイ素の薄膜は通常1000℃程度の高温で形成されるため、シリコンと二酸化ケイ素の熱膨張係数を考慮するとシリコンのダイアフラム300−二酸化ケイ素薄膜306間でかなりの内部応力が発生するものと考えられる。この内部応力は二酸化ケイ素薄膜306の厚みが増すにつれ大きくなり、バイメタル特性を低下させる要因となるのである。以上のような点から考えて、ダイアフラム300−アルミニウム薄膜304間の二酸化ケイ素薄膜306はできるだけ薄く(2×10−8m(200Å))、またヒンジ303の二酸化ケイ素の膜はある程度厚く(2μm)しなければならない。しかし、このような二酸化ケイ素の薄膜構造を形成するためには、非常に複雑な半導体製造プロセスが必要となる。この製造プロセスについては、特表平4−506392号の明細書では言及されていない。
【0011】
またこの改善策として米国特許No.5,271,597に他のヒンジ構造が開示されている。これは上記のような二酸化ケイ素の薄膜構造ではなく、ヒンジ部分の二酸化ケイ素とダイアフラム−アルミニウム薄膜間の二酸化ケイ素薄膜は同一膜厚となっている。この方法はヒンジ部分の二酸化ケイ素薄膜を薄くし、それにより生じるヒンジ部の強度低下を補うために、ヒンジ以外にダイアフラムとシリコン枠の結合をダイアフラムの一部のシリコンを用いているので熱絶縁効果が低下し、半導体マイクロアクチュエータの消費電力を小さくする構造になっていない。このように半導体マイクロアクチュエータにおける熱絶縁構造においては、まだ多くの問題点が残されている。
【0012】
また、半導体マイクロバルブの従来例として、特開平5−187574号に記載されている超小型バルブがある。この超小型バルブにおいても異なった熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料を組み合わせ、その部分を加熱し熱膨張係数の差を利用して変位を得る半導体マイクロアクチュエータが使用されている。このマイクロアクチュエータの熱絶縁構造はトーション・バー式サスペンションを設けることにより行われている。この構造は、熱流に垂直な断面の減少と熱流が通過する経路長の増加の双方により、シリコン枠への熱損失を最小化するものとなっている。しかし、このトーション・バー式サスペンション構造がシリコンにより形成されているため、熱の逃げの計算において考察したように、熱絶縁効果が十分に得られないと考えられる。
【0013】
これは、文献「SILICON MICROVALVES FOR GAS FLOW CONTROL」The 8th International Conference on Solid-State Sensor and Actuators,Stockholm,Sweden,1995,p276-279に記載されているマイクロバルブ性能比較表より推定できる。この文献には、特表平4−506392号に開示の「半導体マイクロアクチュエータ」に係わるマイクロバルブと、特開平5−187574号に開示の「超小型バルブ」に係わるバイクロバルブの比較がなされており、後者は前者に比べて耐圧が6倍、流量範囲が10倍であるが、消費電力は約2倍、熱抵抗で約1/3となっている。
【0014】
このように特開平5−187574号に記載されている超小型バルブは、シリコンにより形成されたトーション・バー式サスペンション構造により大きな力を発生できる構造となっているが、消費電力が大きくなってしまう。
【0015】
さらに、半導体マイクロリレーの従来例として、特開平6−338244号や特開平7−14483号に開示されたものがある。これらに示された半導体マイクロリレーを図面を参照して説明する。
【0016】
図55は従来の半導体マイクロリレーの構成を示した断面図である。図55に示すように、第1の熱膨張係数を有し、一方端が移動可能なように他端が支持されたシリコン単結晶基板312からなるカンチレバー梁313を有している。このカンチレバー梁313の裏面側には導電層315を介して、第1の熱膨張係数よりも大きい第2の熱膨張係数を有する金属層316を有している。このカンチレバー梁313の主表面には、一方端側に酸化膜314を介して接点回路317が設けられている。また、カンチレバー梁313の主表面の略全面には、酸化膜314を介してヒータ回路318が設けられている。
【0017】
一方、接点回路317の上方には、所定の空間を介在して対面する位置に導電層319を対向表面に有する対向接点部320が設けられている。ヒータ回路318に電流を流すことによりヒータ回路318を加熱する。これにより、カンチレバー梁313と金属層316からなる可撓領域とが加熱される。このとき、金属層316の方の熱膨張率が大きくなるように設定していることにより、カンチレバー梁313と金属層316は上方に変位する。従って、カンチレバー梁313の一方端に設けられた接点回路317が対向接点部320に押し付けられ導通状態となる。このようなバイメタル駆動のリレーは従来の静電駆動型リレーに比べ、接点間隔を大きくすることができ、且つ接点荷重を大きくすることができる。このため、接触抵抗が小さく、溶着などの少ない信頼性のよいリレーを実現できる。
【0018】
しかし、従来の半導体マイクロリレーにおいても、次のような問題点がある。リレーの駆動には、カンチレバー梁313の主表面に設けられたヒータ回路318に電流を流しカンチレバー梁313と金属層316とを加熱することが必要である。ところが、カンチレバー梁313を構成するシリコン単結晶は熱伝導が非常によい材料であり、またカンチレバー梁313の他方端はシリコン単結晶基板312と繋がっており、カンチレバー梁313からシリコン単結晶基板312への熱の逃げが大きく、少ない消費電力でカンチレバー梁313の温度を上昇させることが非常に困難となる。
【0019】
ここで、図56に熱伝導のモデルを示す。破線はカンチレバー梁313の断面と仮定する。このモデルを用いてシリコン単結晶基板312への熱の逃げ(矢印方向)を概算すると以下のようになる。まず、カンチレバー梁313のサイズを1.5mm×1.5mm、厚さを10μmとすると、熱流の向きに垂直な断面A3は、
A3=10μm(厚さ)×1500μm(幅)=1.50×10−4cm
となる。シリコンの熱伝導率λはλ=1.48W/cm・℃であり、例えば加熱時のカンチレバー梁313の温度を250℃とすると、シリコン単結晶基板312に逃げる熱量Q3は、上記式Xを用いて、
Q3=1.48(W/cm・℃)×(250(℃)/280×10−4(cm))×1.50×10−4(cm)=1.98(W)
となる。つまり、従来の半導体マイクロリレーでは導通状態を維持するために、概算で2W程度の電力を常時供給しなければならない。これは、数十mWで駆動できるメカ式リレーと比べると非常に大きな値であり、実用化においては低消費電力化が大きな課題となっている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の半導体装置を用いた半導体マイクロアクチュエータ、半導体マイクロバルブ、半導体マイクロリレーは、大きな消費電力を必要とするものであるため、電池で駆動することが困難となり、それらの小型化や携帯しての使用ができなくなってしまう。
【0021】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は消費電力が小さく、かつ製造プロセスが簡単な半導体装置及びこれを用いた半導体マイクロアクチュエータ及び半導体マイクロバルブ及び半導体マイクロリレー を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、半導体基板と、温度変化により前記半導体基板に対して変位する可撓領域と、前記半導体基板と前記可撓領域との間に設けられ前記半導体基板と前記可撓領域を連結する樹脂製の熱絶縁領域とから構成され、前記半導体基板および前記可撓領域の前記熱絶縁領域に接する部分が、前記半導体基板と前記可撓領域の連結方向に櫛刃を形成する形状になるとともに、前記半導体基板と前記可撓領域との各櫛刃形状が前記熱絶縁領域を介して互いに噛み合っていることを特徴としており、樹脂製の熱絶縁領域を半導体基板と可撓領域の間に設けることで、可撓領域を温度変化させるときの熱の逃げを防ぐため、消費電力を抑えることができ、さらにその製造工程も簡単である。さらに、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0023】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記熱絶縁領域を構成する材料がポリイミドであることを特徴としており、可撓領域と半導体基板の熱絶縁性が良くなるとともに、製造が容易となる。
【0024】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記熱絶縁領域を構成する材料がフッ素化樹脂であることを特徴としており、可撓領域と半導体基板の熱絶縁性が良くなるとともに、製造が容易となる。
【0025】
また、請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明において、前記熱絶縁領域に前記熱絶縁領域を構成する材料よりも硬い材料からなる補強層が設けられていることを特徴としており、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0026】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記補強層のヤング率が、9.8×10N/m以上であることを特徴としており、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0027】
また、請求項の発明は、請求項に記載の発明において、前記補強層が二酸化ケイ素薄膜であることを特徴としており、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0028】
また、請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の半導体装置と、前記可撓領域に連設された可動エレメントとを備え、前記可撓領域の温度が変化したときに、前記可動エレメントが前記半導体基板に対して変位することを特徴としており、低消費電力で駆動可能であることに加えて、請求項1から請求項の発明と同様の効果を有する半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0029】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記可撓領域は片持ち梁構造を有していることを特徴としており、可動エレメントの変位の大きな半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0030】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記可動エレメントは複数の可撓領域により支持されていることを特徴としており、可動エレメントを安定して支持できる。
【0031】
また、請求項10の発明は、請求項記載の発明において、前記可撓領域は前記可動エレメントを挟んで十字形状であることを特徴としており、可動エレメントの変位の精度が良いものとなる。
【0032】
また、請求項11の発明は、請求項記載の発明において、前記可動エレメントの変位は、前記半導体基板の基板面に対して水平方向に回転する変位を含むことを特徴としており、可動エレメントの変位が大きなものとなる。
【0033】
また、請求項12の発明は、請求項又は請求項11記載の発明において、前記可撓領域は、それぞれがL字形状をしている4つ可撓領域が前記可動エレメントを中心として四方向に等間隔で設けられていることを特徴としており、可撓領域の長さを大きくすることができ、そのため可動エレメントの変位を大きくすることができる。
【0034】
また、請求項13の発明は、請求項から請求項12のいずれかに記載の発明において、前記可撓領域は異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの領域からなり熱膨張係数差に応じて変位をすることを特徴としており、可撓領域の温度変化により可撓領域の変位を得ることができる。
【0035】
また、請求項14の発明は、請求項から請求項13のいずれかに記載の発明において、前記可撓領域と前記可動エレメントの間に、前記可撓領域と前記可動エレメントを連結する樹脂からなる熱絶縁領域が設けられていることを特徴としており、可撓領域と可動エレメントの熱絶縁性を確保することができ、可撓領域を温度変化させるときの消費電力をより抑えることができる。
【0036】
また、請求項15の発明は、請求項14記載の発明において、前記半導体基板と前記可撓領域の間に設けられた熱絶縁領域の剛性と、前記可撓領域と前記可動エレメントの間に設けられた熱絶縁領域の剛性とを異なるようにすることを特徴としており、各熱絶縁領域の剛性の違いにより可動エレメントの変位の方向を決めることができる。
【0037】
また、請求項16の発明は、請求項から請求項15のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、前記半導体マイクロアクチュエータに接合され、前記可動エレメントの変位に応じて流れる流体量が変化する流路を有する流体エレメントとを備えたことを特徴としており、低消費電力で駆動可能であることに加えて、請求項から請求項15の発明と同様の効果を有する半導体マイクロバルブが得られる。
【0038】
また、請求項17の発明は、請求項から請求項15のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、前記可動エレメントに可動接点が設けられ、その対応する位置に前記可動接点と接触可能な固定接点を有し前記半導体マイクロアクチュエータに接合される固定エレメントとを備えたことを特徴としており、低消費電力で駆動可能であることに加えて、請求項から請求項15の発明と同様の効果を有する半導体マイクロリレーが得られる。
【0039】
この発明は、ポリイミドまたはフッ素化樹脂等の樹脂材料が高い熱絶縁性(二酸化ケイ素の約80倍)を有し、さらに液状で加工し易くスピンコートなどの半導体製造工程により所望の厚さ(数μm〜数十μm)の薄膜を容易に得ることができるという特徴に着目しなされたものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を説明する。図1は本発明に係わる半導体装置を用いた半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図、図2(a)は断面図、図2(b)は上面図である。
【0041】
図示したように、半導体マイクロアクチュエータ1は、中空で略四角形状の枠体となる半導体基板3と、半導体基板3より切り離され半導体基板3の各辺の略中央より内方向に熱絶縁領域7を介して一端が連結される略四角片状の4つの薄肉部2Sと、上面が四角形状に開口し下方に向かうにつれて幅が狭くなる中空の四角錐台形状に形成され、上記各薄肉部2Sの他端に上面の開口部周縁が連設される可動エレメント5と、上記各薄肉部2Sの上面に設けられ、薄肉部2Sとともに可撓領域2を構成するアルミニウム薄膜またはニッケル薄膜などの薄膜2Mにより構成されている。
【0042】
上記半導体基板3、薄肉部2S、および可動エレメント5は、例えばシリコン基板などの半導体基板を加工して形成される。また、薄肉部2Sの表面には加熱手段である不純物拡散抵抗6(以下、拡散抵抗6という)が形成されており、この拡散抵抗6は半導体基板3の4隅に設けられた電極パッド4と接続された配線4aにより電力が供給されて温度が上昇し、薄肉部2Sと薄膜2Mにより構成される可撓領域2を加熱する。薄膜2Mは上述したようにアルミニウムまたはニッケルなどにより構成され、また薄肉部2Sはシリコンなどにより構成され、両者は異なる熱膨張係数を有している。
【0043】
半導体基板3と可撓領域2を連結する熱絶縁領域7は、薄肉部2Sと略同じ厚さであり、フッ素化樹脂、ポリイミド等の熱絶縁材料により構成されており、半導体基板3と可撓領域2を熱絶縁している。なお、半導体基板3の4隅に設けられた電極パッド4は図2(b)における右上の電極パッド4と左下の電極パッド4が外部電源に接続され、電源に対して2つの拡散抵抗6の直列回路が並列に接続されている。
【0044】
また、上記4つの可撓領域2が中央の可動エレメント5を挟んで十字形状となっており、可動エレメント5はその周囲を複数の可撓領域2により支持される構造となっている。ここで、半導体基板3と可撓領域2とその間の熱絶縁領域7とで半導体装置8が構成される。
【0045】
上記半導体マイクロアクチュエータ1は、拡散抵抗6に電力が加えられると温度上昇し可撓領域2が加熱され、可撓領域2を構成する薄膜2Mと薄肉部2Sの熱膨張係数の違いによる熱応力が発生する。例えば、薄膜2Mとしてアルミニウム、ニッケル等の金属薄膜が形成させている場合には、薄肉部2Sを構成するシリコンよりも熱膨張係数が大きいため、可撓領域2は図中下方向へ曲げられる。すなわち、可撓領域2は半導体基板3に対して下方向に変位する。そして、可撓領域2に連設された可動エレメント5は、可撓領域2の熱応力を受けて、半導体基板3に対して下方向に変位する。
【0046】
上述したように、半導体マイクロアクチュエータ1は、4つの可撓領域が中央の可動エレメント5を挟んで十字形状となっており、可動エレメント5の変位は半導体基板3に対して非回転的な変位となり、変位の制御精度が良く大きな力を発生することができる。また、上述したように可撓領域2はその表面に可撓領域2を加熱するための拡散抵抗6が設けられているので、すなわち可撓領域2に拡散抵抗6が含まれているため、半導体マイクロアクチュエータ1を小型化できる。
【0047】
なお、本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ1は、可撓領域2として異なる熱膨張係数を有する2つの領域である薄肉部2Sと薄膜2Mにより構成されるものとしたがこれに限定されず、例えば可撓領域2がニッケルチタンなどの形状記憶合金により構成され、温度変化により形状記憶合金からなる可撓領域2を変位させるようにしてもよい。
【0048】
また、本発明は半導体マイクロアクチュエータに限定されるものではなく、温度変化による可撓領域の変位をレーザ変位計等により測定し、その変位に応じて温度を検出する温度センサなど、可撓領域2と半導体基板3の間に熱絶縁領域7が設けられていることで、可撓領域を加熱するときの熱が半導体基板3へ逃げるのを防止できる効果が利用される半導体装置であればよい。
【0049】
ここで本発明の半導体マイクロアクチュエータ1に用いられる半導体装置8の作用を説明するために、具体的例として図3の断面図に示すように熱絶縁領域7における半導体基板3と可撓領域2の連結方向の長さを30μm、厚さを20μmとし、その構成材料としてポリイミド(商品名「フォトニース」、以下ポリイミドという)を使用した場合について考察する。また図1に示した可撓領域2の上記連結方向の長さを800μm、可撓領域2の幅(上記連結方向と直交する方向の長さ)を600μmとする。
【0050】
可撓領域2から熱絶縁領域7を通して半導体基板3へ逃げる熱量Q3を計算すると、従来例で示した式Xに従う。ここで、逃げる熱の熱流の向きに垂直な断面A10は
A10=(ポリイミドの厚み)×(可撓領域の幅)=20μm×600μm=1.2×10−4cm
となる。また、ポリイミドの熱伝導率は1.17×10−3(W/cm℃)であり、熱源から距離δ、すなわち可撓領域2と半導体基板3の距離は30μmであるから、150℃に加熱された可撓領域2から半導体基板3へ逃げる熱量Q3は
Q3=1.17×10−3(W/cm・℃)×(150℃/(30×10−4cm))×1.2×10−4(cm)=4.2×10−3(W)=4.2(mW)
となる。上記したように半導体装置8は4つの可撓領域2を有しているため、全体として16.8mWの熱量となる。これは、拡散抵抗6に入力電力16.8mWを投入することにより可撓領域2の温度を150℃に維持できることを示しており、従来例の660mWに比べて、消費電力を1/40に低減できる。
【0051】
次に、ポリイミドで構成された熱絶縁領域7の強度について考察する。図4(a)に示す両端固定の両持ち梁構造のモデルを考える。図4(a)に示すように梁21(可撓領域2と対応する)の中心に荷重Wが下から加えられた場合には、梁21のせん断力、モーメント力はそれぞれ図4(b)(c)に示すようになる。熱絶縁領域7は、図4(a)においては、両端の固定端22a,22bと梁21の間のいずれか一方に位置する。そこで、例えば荷重Wが1g、梁21の中央に加わった場合(マイクロバルブの場合にオリフィス500μmに46.7kPaの圧力がかかった場合に相当する)における梁21にかかる力を求める。
【0052】
梁にかかるせん断力F1は
F1=W/2=1.0×10−3(kgf)/2=0.5×10−3(kgf)=4.9×10−3(N)となり、梁にかかる最大せん断応力Fmaxは、
Fmax=F1/S1(S1は梁の断面積)となる。ここで、梁21の幅b1=600μm、梁21の厚みh1=20μmとすると断面積S1は
S1=(b1)(h1)=600×10−4×20×10−4=1.2×10−4cmとなる。よって、梁21にかかる最大せん断応力Fmaxは、
Fmax=0.50×10−3(kgf)/1.2×10−4(cm)=4.16(kgf/cm)=4.16×0.098(MPa)=0.41(MPa)
となる。次に、梁21にかかる最大応力σmaxを求める。最大応力σmaxは、σmax=Mmax/Z1で表される。このとき、Mmaxは最大モーメントであり、Z1は断面係数である。最大モーメントMmaxは図4(c)に示したとおり、Mmax=WL/8(Lは梁の長さ800μm)であり、よって、最大モーメントMmaxは、
Mmax=WL/8=1.0×10−3(kgf)×800×10−4(cm)/8=1.0×10−5(kgf・cm)=9.8×10−5(N・cm)となる。また、断面係数Z1は
Z1=(b1)(h1)/6=1/6×600×10−4×(20×10−4=4.0×10−8(cm)となる。そこで、モーメントによる最大応力σmaxは
σmax=Mmax/Z=1.0×10−5(kgf・cm)/4.0×10−8(cm)=250(kgf/cm)=24.5(MPa)となる。ここで、梁21の寸法を上述したように、幅600μm、長さ800μmとして求めた。
【0053】
ポリイミドの破壊強度は30MPa程度であるため、上記した熱絶縁領域7で1g程度の荷重に耐えうる半導体マイクロアクチュエータを実現できる。またこの熱絶縁領域7の強度については、他の例に示すように強度を上げることが可能である。また、ここで記載していないが、フッ素化樹脂においても同様の効果が期待できる。
【0054】
ここで、熱絶縁領域7の形成方法例を図5を用いて説明する。まず、図5(a)に示すように半導体基板17の表面の熱絶縁領域に対応する部分をKOHなどによりエッチングして溝15を形成する。その後、図5(b)に示すように、ポリイミド薄膜16をコータ等により回転塗布し、溝15を埋め尽くすように形成する。次に、図5(c)に示すように半導体のフォトリソ工程などにより溝15を埋め尽くした部分のポリイミド薄膜16を残し、その他の部分を除去するようにパターニングし、400℃程度に加熱してポリイミド中に含まれる有機溶剤などを蒸発させ固化させる。次に、図5(d)に示すように半導体基板17の裏面よりKOHなどによりエッチングを行う。このとき、19は枠体となる半導体基板、20は可撓領域を示している。このような工程を経て熱絶縁領域7が形成される。
【0055】
以上のように、熱絶縁領域7は、ポリイミド、フッ素化樹脂等の樹脂材料が高い熱絶縁性(熱伝導率:0.4W/(m・℃)以下、二酸化ケイ素の約80倍)を有し、さらに液状で加工し易くスピンコートなどの半導体製造工程により所望の厚さ(数μm〜数十μm)の薄膜を容易に得ることができるという性質をうまく利用して、可撓領域2と半導体基板3の間に形成されるので、従来例に比べて熱絶縁効果が優れかつ強度をもつ半導体装置を、半導体製造工程を用い容易に実現できる。また、上記したように熱絶縁領域7を可撓領域2の薄肉部2Sとほぼ同じ厚さにすることで、半導体基板3と可撓領域2の連結を確実にし、その連結部分の強度を強くできる。
【0056】
このような効果を備えた半導体装置8を用いた半導体マイクロアクチュエータ1は、製造プロセスが簡単であり、また熱絶縁性が高いため拡散抵抗6により発生した熱の逃げを防いで低消費電力で駆動可能となり、電池で駆動できるので小型化が可能となる。
【0057】
次に、上記半導体装置8の他の構成例を説明する。本構成例の半導体装置8は図6(a)、図6(b)に示すように、半導体基板3と可撓領域2との間に、フッ素化樹脂あるいはポリイミドなどの熱絶縁材料からなる熱絶縁領域7が形成される点は図3と同じであるが、この熱絶縁領域7の下面(厚み方向と直交する面)に例えば二酸化ケイ素薄膜(ヤング率:9.8×10N/m以上)のような熱絶縁領域7を構成する材料よりも硬い材料からなる補強層12が設けられている点が異なる。尚、図6(a)は断面図、図6(b)は上面図であり、図7は図6(b)のY−Y’断面図である。
【0058】
図7に示したように具体的な寸法は、熱絶縁領域7が19μmの厚さであり、、補強層12は1μmの厚さである。そして、図6(a)に示すように熱絶縁領域7における半導体基板3と可撓領域2の連結方向の長さが30μm、そしてY−Y’方向、すなわち奥行き方向の長さが600μmである。ここで、熱絶縁材料領域7を構成する材料としてポリイミドを用い、補強層12を構成する材料として二酸化ケイ素を使用した場合の熱絶縁領域7の強度を上述した図3における熱絶縁領域7の強度計算と同様な条件で行う。
【0059】
熱絶縁領域7、補強層12の各構成材料のヤング率をE、各領域の図7で示した断面の断面積をAとすると、底面から中立軸までの距離をηaは次式で与えられる。
【0060】
【式1】
Figure 0003705068
補強層12を構成する二酸化ケイ素について各値を求めると次のようになる。
【0061】
【式2】
Figure 0003705068
また、熱絶縁材料7を構成するポリイミドについて各値を求めると次のようになる。
【0062】
【式3】
Figure 0003705068
ここで、上記値を用いて中立軸までの距離ηaを求めると次のようになる。
【0063】
【式4】
Figure 0003705068
次に、二酸化ケイ素、ポリイミドの中立軸に関する2次モーメントIs、Ifを求めると次のようになる。
【0064】
【式5】
Figure 0003705068
ここで、ηi=η−ηa、すなわちηiは中立軸からの距離を示している。図4で説明したように両端が固定された梁の中央に1gの荷重が加えられた場合、梁にかかる最大モーメントMmaxは、Mmax=1.00×10−5(kgf・cm)=9.8×1.00×10−5×10−2(N・m)=9.8×10−7(N・m)となる。二酸化ケイ素の最大曲げ応力σsmaxを計算すると、
【0065】
【式6】
Figure 0003705068
ここで、Iは上記各2次モーメントI,Iを示している。また、ポリイミドの最大曲げ応力σfmaxを計算すると次のようになる。
【0066】
【式7】
Figure 0003705068
よって、ポリイミドにより構成された熱絶縁領域7にかかる応力は図3で示した例に比べ約1/2となる。これは見かけ上、強度が2倍になったことと等価である。なお図6では、補強層12を熱絶縁領域7の下面に設けているが、厚さ方向と直交する方向であれば上面であっても同等の効果が得られる。また、上下両面に設けた場合は下面、上面それぞれに設けた場合の2倍の効果が得られる。
【0067】
このように、図6で示した熱絶縁領域7の形成方法例を、図8を用いて説明する。まず、図8(a)に示すように半導体基板17aの表面の熱絶縁領域に対応する部分をKOHなどによりエッチングし、溝15aを形成する。その後、図8(b)に示すように熱酸化などにより半導体基板17aの表面に二酸化ケイ素薄膜18を形成する。二酸化ケイ素薄膜18はエッチングなどにより溝15aの表面部分以外は除去される。
【0068】
次に、図8(c)に示すように、ポリイミド薄膜16aをコータなどにより回転塗布し、溝15aを埋め尽くすように形成する。さらに、図8(d)に示すように、半導体のフォトリソ工程などにより溝15aを埋め尽くした部分のポリイミド薄膜16aを残し、その他の部分を除去するようにパターニングし、400℃程度に加熱してポリイミド中に含まれる有機溶剤などを蒸発させ固化させる。次に、図8(e)に示すように、半導体基板17aに裏面よりKOHなどによりエッチングを行い、熱絶縁領域7が形成される。このとき、19aは枠体となる半導体基板、20aは可撓領域である。
【0069】
次に、本発明の半導体装置におけるさらに他の構成例を説明する。図9(b)の上面図に示されるとおり、半導体基板3と可撓領域2の間に熱絶縁領域10が設けられ、半導体基板3および可撓領域2の熱絶縁領域10と接する部分が、半導体基板3と可撓領域2の連結方向(B−B’と直交方向)に櫛刃を形成する互いに櫛刃状となっている。図9(b)のB−B’断面図である図10に示されるように、B−B’方向に可撓領域2、半導体基板3、熱絶縁領域10が混在した構成となる。ここで、熱絶縁領域10はフッ素化樹脂、ポリイミドなどにより構成される。
【0070】
この熱絶縁領域10の強度を計算するために、具体例として図9(a)(b)に示すように熱絶縁領域10の厚さを20μm、B−B’方向と垂直方向の幅を30μmとする。また図10に示すように、上記可撓領域2と半導体基板3からなる各櫛刃のB−B’方向の幅を180μm、熱絶縁領域10のB−B’方向の幅を30μmとする。また、熱絶縁領域10の材料をポリイミドとし、半導体基板3、可撓領域2がシリコンにより構成されるものとする。尚、比較のため図3の強度計算と同様の条件で熱絶縁領域10の強度を計算する。
【0071】
図10のようなシリコンとポリイミドからなる組み合わせ構造の場合、シリコンのヤング率をEsi、ポリイミドのヤング率をEPh、シリコン部の断面2次モーメントをISi、ポリイミド部の断面2次モーメントをIPh、シリコン部にかかるモーメントMSi、ポリイミド部にかかるモーメントをMPhとすると、以下の関係式に従う。
【0072】
【式8】
Figure 0003705068
【0073】
【式9】
Figure 0003705068
ここで、シリコン部、ポリイミド部に関する各値を計算する。シリコンのヤング率ESi=0.19×1012(N/m)=1.9×1012(dyne/cm)であり、
【0074】
【式10】
Figure 0003705068
よって、ESi・ISi=1.93×10(kgf/cm)×3.6×10−11(cm)=6.94×10−5(kgf・cm)=6.8×10−4N・cmである。ポリイミドのヤング率EPhは500MPaであり、
【0075】
【式11】
Figure 0003705068
よって、EPh・IPh=5.10×10(kgf/cm)×4×10−12(cm)=2.04×10−8(kgf・cm)=2.00×10−7(N・cm)である。
【0076】
ここで、ポリイミド部にかかるモーメントMPhは次のようになる。
【0077】
【式12】
Figure 0003705068
ここで、MPh=2.93×10−9(kgf・cm)=2.87×10−8(N・cm)である。
【0078】
同様にしてシリコン部にかかるモーメントMSiは次のようになる。
【0079】
【式13】
Figure 0003705068
ここで、MSi=9.99×10−6(kgf・cm)=9.79×10−5(N・cm)である。
【0080】
そこで、ポリイミド部にかかる最大応力σPhは次のようになる。
【0081】
【式14】
Figure 0003705068
ここで、Zaは断面係数である。また、シリコン部にかかる最大応力σSiを求めると次のようになる。
【0082】
【式15】
Figure 0003705068
ここで、Zbは断面係数である。
【0083】
よって、ポリイミドで構成された熱絶縁領域にかかる応力は図3で示した例に比べて約1/300となる。これは見かけ上、強度が300倍になったことと等価である。図9においては、半導体基板3と可撓領域2により櫛刃の数は図9で示したものにこれに限定されるものではなく、少なくとも2本以上の櫛刃状の構造にすることにより同様の効果が得られる。
【0084】
(実施形態2)
次に本発明の第2の実施形態を説明する。図11は本実施形態における半導体マイクロアクチュエータの斜視図であり、図12(a)は断面図、図12(b)は上面図を示している。
【0085】
本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ1aにおいて、図1、図2に示す実施形態と異なる点は、本実施形態では可撓領域2と可動エレメント5の間に新たに熱絶縁領域7Aを設け、可撓領域2と可動エレメント5は熱絶縁領域7Aにより連結されている点である。
【0086】
このように、熱絶縁領域7Aを設けることで、可撓領域2と可動エレメント5の間の熱絶縁性が高まり、拡散抵抗6より発生する熱が可動エレメント5に逃げるのを防いで可撓領域2の加熱を効果的に行い消費電力の低減が図れる。
【0087】
また、半導体基板3と可撓領域2の間に設けられた熱絶縁領域7と、可撓領域2と可動エレメント5の間に設けられた熱絶縁領域7Aの剛性を異なるようにして、可動エレメント5の変位の方向を決めている。例えば、熱絶縁領域7の剛性を高くし、熱絶縁領域7Aの剛性を低くすることで、可動エレメント5を半導体基板3の厚み方向下側(図11中下側)に変位させることができ、逆にすることで可動エレメント5を逆側に変位させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、可撓領域2と半導体基板3の連結部分、又は可撓領域2と可動エレメント5との連結部分近傍に可撓領域2が変位したときに加わる応力を緩和する丸みが設けられている。
【0089】
すなわち、図12(b)に示すように、枠体となる半導体基板3の各辺略中央より内方向に向かって突出形成している突出部25と可撓領域2が熱絶縁領域7により連結されており、この突出部25の基端部両端に半導体基板3での基板面での形状がR形状となるように丸み25aが形成されているのである。この丸み25aはマスクを形成してウェットエッチングなどして形成される。
【0090】
また、図12(a)に示すように、可撓領域2を構成する薄肉部2Sは半導体基板3の図中下面側より凹部27を設けてその凹部27の底面部に形成され、凹部27の底面部27aと側面部27bの境界にR形状となるように丸み28が形成されているのである。この凹部27は半導体基板の基板面よりエッチングにより設けられ、例えばこの凹部27の上記境界に犠牲層を形成しエッチングにより犠牲層を除去することにより、犠牲層を拡散するときの等方性を利用して丸み28が形成される。
【0091】
このように、丸み25a、28を形成することで、可撓領域2が変位したときの応力が丸み25a、28により分散されて緩和され、半導体基板3が破壊されるのを防止している。つまり、半導体基板3より内方向に突出する突出部25の基端部両端が角(エッジ)のある形状である場合は、可撓領域2の応力がその角に集中して半導体基板3が割れる可能性がある。また、可撓領域2を形成するために設けた凹部27の底面部27aと側面部27bの境界についても同様、角のある形状であると可撓領域2の応力がその角に集中して半導体基板3が割れる可能性がある。
【0092】
ここで、図11、図12に示したように、可撓領域と半導体基板の間、および可撓領域と可動エレメントの間に熱絶縁領域が設けられている半導体マイクロアクチュエータにおける他の構成例を図13に示し、その作成方法を説明する。
【0093】
図示したように、半導体基板3aと可撓領域2aとは熱絶縁領域7aを介して連結しており、可撓領域2aと可動エレメント5aは熱絶縁領域7bを介して連結している。また、可撓領域2aは互いに熱膨張係数の異なる薄膜2mと薄肉部2sにより構成され、薄肉部2sの表面には拡散抵抗6aが設けられている。また、拡散抵抗6aに電力を供給するための配線13aが、半導体基板3a上の電極パッド(図示せず)より熱絶縁領域7aの下面を通って拡散抵抗6aに接続されている。また、9a,9bは保護薄膜である。
【0094】
この半導体マイクロアクチュエータの作成方法を図14を用いて説明する。まず、単結晶シリコン基板80の両面に熱酸化等によりシリコン酸化膜80aを形成し、所定形状にパターニングされたフォトレジストをマスクとして、単結晶シリコン基板80の裏面に設けられたシリコン酸化膜80aのエッチングを行うことにより開口部80bを形成し、プラズマアッシング等によりそのフォトレジストを除去する。形成された開口部80bを水酸化カリウム水溶液(以後、KOH水溶液と呼ぶ)等によりエッチングすることでギャップ80cを形成する(図14(a))。このとき、KOH水溶液の他にTMAH(テトラメチル水酸化アンモニウム溶液)、ヒトラジン水溶液などを用いてもよい。以降に述べるKOH水溶液についても同様である。
【0095】
次に、上記シリコン酸化膜80aを全面除去した後、ボロン等をデポジション、熱拡散を行い、単結晶シリコン基板80の表面にヒータとなる拡散抵抗6aを形成する。続いて、この単結晶シリコン基板80の両面上に熱酸化等によりシリコン酸化膜81bを形成し、各シリコン酸化膜81bの上部に減圧CVDによりシリコン窒化膜81aを形成する(図14(b))。
【0096】
そして、所定形状にパターニングされたフォトレジストをマスクとして、シリコン酸化膜81b及びシリコン窒化膜81aのエッチングを行うことにより開口部82を形成し、プラズマアッシング等によりフォトレジストを除去する(図14(c))。
【0097】
次に、単結晶シリコン基板80の開口部82をKOH水溶液等によりエッチングすることで可動エレメント5aと薄肉部2sを形成する。このとき、所望の可動エレメント5aの厚さ、及び薄肉部2sの厚さを得るために、単結晶シリコン基板80の各面からのエッチング開始に時間差を設けてもよい。その後、単結晶シリコン基板80のエッチングにより、熱絶縁領域7a,7bを形成するための溝83a,83bを形成する。この溝83a,83bは、後工程でポリイミド等の有機材料を埋め込むための溝であり、その底厚が10μm程度の厚みとなるようにエッチングを行う(図14(d))。
【0098】
続いて、可動エレメント5a、薄肉部2sを形成するためにエッチングされた基板表面を酸化して、基板にメッキするときの保護膜84を形成する(図14(e))。
【0099】
そして、単結晶シリコン基板80の上面にアルミニウムをスパッタリング又はEB蒸着により形成して、拡散抵抗6aに接続される配線13a(アルミ配線)を形成する(図15(a))。
【0100】
次に、上記溝83a,83bにポリイミド等の有機物85を埋め込む(図15(b))。このようにして有機物85の下部面に配線13aが形成された構造となる。またここで、ポリイミド等の有機物85は半導体リソグラフィ工程を用いて所定の部分のみに形成する。
【0101】
そして次に、所定形状の金属パターンをメッキなどで薄肉部2s上部のシリコン窒化膜81a(図13の保護薄膜9a)上に形成して薄膜2mとし(図15(c))、薄肉部2sと薄膜2mで半導体マイクロアクチュエータの駆動源であるバイメタル構造となる。
【0102】
次に、薄肉部2sの裏面からRIE等でエッチングして、薄肉部2sを単結晶シリコン基板80の周辺部(図13での半導体基板3a)及び可動エレメント5aと分離させる(図15(d))。これにより、可動エレメント5a、可撓領域2a、半導体基板3aは各々が熱絶縁され、各々の間に熱絶縁領域7a,7bが設けられる構成となっている。
【0103】
ところで、図13に示す構成例では、配線13aが熱絶縁領域7aの下部面に設けられているが、図16に示すように配線(アルミ配線)13bが熱絶縁領域7aの上面と下面の略中間、すなわち熱絶縁領域7aの内部に設けられるようにしてもよい。
【0104】
このように配線13bを形成するには、図14(e)に示す保護膜84の形成工程の後、図14(d)の工程で形成された溝83aに、図15(b)に示すポリイミド等の有機物85を埋め込む工程により略中央部までポリイミドを埋め込み、図15(a)に示す配線の形成工程を行い、再度図15(b)に示す埋め込み工程により溝83aを埋めるようにすればよい。
【0105】
このように配線13bが熱絶縁領域7aの内部に形成されているため、後工程のエッチング工程等でのアルミの保護効果があり、信頼性の高い配線構造が実現できる。
【0106】
また、上記配線構造において、配線が熱絶縁領域の上面に設けられる(図12(a))ようにしてもよく、配線を可撓領域、熱絶縁領域、半導体基板が面一である側の面上に形成することで、配線が熱絶縁領域7aの内部あるいは下面部に設けられる場合に比べて配線の段差が小さくなり断線防止効果がある。
【0107】
このように熱絶縁領域の上面に配線を形成するには、図14(e)に示す保護膜84の形成工程の後、図14(d)の工程で形成された溝83aに、図15(b)に示すポリイミド等の有機物85を埋め込む工程によりポリイミドを埋め込み、その後図15(a)に示す配線の形成工程にてポリイミドの上面に配線を形成すればよい。
【0108】
(実施形態3)
次に、第3の実施形態を説明する。図17は本実施形態における半導体マイクロアクチュエータの構造を示す斜視図であり、図18はその上面図である。本実施形態において、実施形態2と異なる点は、実施形態2では拡散抵抗6に電力を供給する配線4aが熱絶縁領域7の上部を通って拡散抵抗6に接続されているのに対して、本実施形態では半導体基板3と可撓領域2の薄肉部2Sに跨る部位(いわゆる入り隅の部位)に例えば有機材料からなる隅肉部29を形成し、この隅肉部29の上部を通って配線4aが形成されている点である。すなわち、本実施形態では、配線4aが熱絶縁領域7を介さずに形成されている。
【0109】
この構造は、例えば異方性エッチングによって半導体基板の上面(可撓領域2の形成されている面)側から溝部を形成し、この溝部に有機材料の樹脂(例えばポリイミドなど)を流し込んで高温硬化し、半導体基板の裏面から隅肉部29が現れるまでエッチング除去した後、隅肉部29の上面にアルミニウムのスパッタリングなどにより配線4aを形成するという方法で製造可能である。
【0110】
この配線4aはアルミニウムなどの非常に熱伝導性のよい材料であるため、断面積が小さいにも関わらず、樹脂からなる熱絶縁領域7の数分の1の熱抵抗となる場合があり、この配線4aが熱絶縁領域7に形成されていると、配線4aの熱絶縁距離が確保できず、結果として熱絶縁領域7の熱絶縁性能が得られないという問題がある。本実施形態では、熱絶縁領域7を介さずに配線4aが形成されていることで、配線4aの熱絶縁距離を大きくとることができ熱抵抗の低下を抑えて熱絶縁効果を向上させることができる。また、隅肉部29によって熱絶縁領域7の機械的強度が補強される。
【0111】
このように、本実施形態における半導体マイクロアクチュエータでは、実施形態2に比べて熱絶縁効果が向上し、さらに低消費電力化が図れる。
【0112】
(実施形態4)
次に、第4の実施形態を説明する。図19は、本実施形態における半導体マイクロアクチュエータの構造を示す斜視図であり、図20はその上面図である。本実施形態において実施形態1と異なる点は、実施形態1では、可撓領域2の略四角片状の4つの薄肉部2Sが可動エレメント5を挟んで略十字形状であるのに対して、本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ31は、可撓領域32の4つの薄肉部32Sが略L字形状をしており、各薄肉部32Sの一端が可動エレメント35の四角形状に開口した上面周縁の各辺略中央に連なり、各可撓領域32が中央の可動エレメント35を挟んでいわゆる卍字形状をしている点である。すなわち、可撓領域32の各薄肉部32Sが可動エレメント35を中心として四方向に等間隔で設けられている。さらに、各薄肉部32Sの他端は、四角形状の枠体である半導体基板33の各辺の端部に熱絶縁領域37を介して連結されている。
【0113】
また、可撓領域32は上記薄肉部32Sとアルミニウムやニッケルなどからなる薄膜32Mとで構成される点は実施形態1と同様であり、加熱手段である拡散抵抗36が薄肉部32Sの表面に形成されている点も実施形態1と同様である。この拡散抵抗36は半導体基板33の4隅に設けられた電極パッド34および配線34aを介して外部から電力が供給される。なお、半導体基板33、可撓領域32、熱絶縁領域37により半導体装置38が構成される。
【0114】
上記半導体マイクロアクチュエータ31は、実施形態1と同様に、拡散抵抗36の温度上昇により可撓領域32が加熱され、薄肉部32Sと薄膜32Mの熱膨張差により可撓領域32が下方向に変位する(薄膜32Mが薄肉部32Sより熱膨張係数が大きい場合)。可撓領域32が下方向に変位することで、可撓領域32に連設された可動エレメント35が可撓領域32の熱応力を受けて半導体基板33に対して下方向に変位する。
【0115】
本実施形態では、上述したように、各可撓領域32は中央の可動エレメント35を挟んでいわゆる卍字形状であるため、可動エレメント35の変位は半導体基板33に対して水平方向の回転を含んでいる。また、可撓領域32はL字形状であるため、単なる四角片状である場合に比べてその長さを長くすることができ、可撓領域32の変位が大きくなるので、可動エレメント35の変位を大きくすることができる。ここで、半導体装置38は前述した図3、図6、図9に示したいずれの構成としてもよく、上述したものと同様の効果を有する半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0116】
(実施形態5)
次に、第5の実施形態を説明する。図21は本実施形態の半導体マイクロアクチュエータの構造を示す斜視図、図22はその上面図である。本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ31aは、上述した可撓領域32が可動エレメント35を挟んでいわゆる卍字形状をした構成であるものにおいて、可動エレメント35と可撓領域32を連結する熱膨張領域37aがそれらの間に設けられているものである。
【0117】
このように、熱絶縁領域37aを設けることで、可撓領域32と可動エレメント35の間の熱絶縁性が高まり、拡散抵抗36より発生する熱が可動エレメント35に逃げるのを防ぐことができる。よって、実施形態4に比べて可撓領域32の加熱を効果的に行い消費電力の低減が図れる。
【0118】
また、本実施形態では、可撓領域32と半導体基板33の連結部分、又は可撓領域32と可動エレメント35との連結部分近傍に可撓領域32が変位したときに加わる応力を緩和する丸みが設けられている点は、図11、図12の実施形態と同様である。例えば、図22(a)に示すように、半導体基板33の各辺端部より内方向に突出する突出部39の基端部両端にR形状の丸み39aが形成されている。
【0119】
(実施形態6)
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。図23は本実施形態の半導体マイクロアクチュエータの構造を示す斜視図である。本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ41は、中空で略四角形状の枠体となる半導体基板43と、半導体基板43より切り離され半導体基板43の一辺より熱絶縁領域47を介して一端が連結される略四角片状の薄肉部42Sと、上面が四角形状に開口し下方に向かうにつれて幅が狭くなる中空の四角錐台形状に形成され、上記薄肉部42Sの他端に上面の開口部周縁が連設される可動エレメント45と、上記薄肉部42Sの上面に設けられ、薄肉部42Sとともに可撓領域42を構成するアルミニウム薄膜またはニッケル薄膜などの薄膜42Mにより構成されている。
【0120】
上記半導体基板43、薄肉部42S、および可動エレメント45は、例えばシリコン基板などの半導体基板を加工して形成される。また、薄肉部42Sの表面には加熱手段である不純物拡散抵抗46(以下、拡散抵抗46という)が形成されており、この拡散抵抗46は半導体基板43上に設けられ外部電源に接続された電極パッド44と接続された配線44aにより電力が供給されて温度が上昇し可撓領域42を加熱する。薄膜42Mは上述したようにアルミニウムまたはニッケルなどにより構成され、また薄肉部42Sはシリコンなどにより構成され、両者は異なる熱膨張係数を有している。
【0121】
半導体基板43と可撓領域42を連結する熱絶縁領域47は、薄肉部42Sと略同じ厚さであり、フッ素化樹脂、ポリイミド等の熱絶縁材料により構成されており、半導体基板43と可撓領域42を熱絶縁している。ここで、半導体基板43と可撓領域42とその間の熱絶縁領域47とで半導体装置48が構成される。また上記半導体マイクロアクチュエータ41は、可撓領域42が半導体基板43に一端で支持される片持ち梁構造を有している。
【0122】
半導体マイクロアクチュエータ41は、拡散抵抗46に電力が加えられると温度上昇し可撓領域42が加熱され、可撓領域42を構成する薄膜42Mと薄肉部42Sの熱膨張係数の違いによる熱応力が発生する。例えば薄膜42Mとしてアルミニウム、ニッケル等の金属薄膜が形成させている場合には、薄肉部42Sを構成するシリコンよりも熱膨張係数が大きいため、可撓領域42は図中下方向へ曲げられる。そして、可撓領域42に連設された可動エレメント45は、可撓領域42の熱応力を受けて、半導体基板43に対して下方向に変位する。
【0123】
本実施形態では、可撓領域42を片持ち梁構造としているため、可撓領域42の自由度を大きくとれ、加熱時の可撓領域42の変位が大きくなる。そのため、可動エレメント45の変位が大きくなり、大きな力が得られる。ここで、半導体装置48は実施形態1で説明した図3、図6、図9のいずれの構成としてもよく、同様の効果を有する半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0124】
(実施形態7)
次に、第7の実施形態を説明する。図24は本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ41aの構造を示す斜視図であり、本実施形態において、実施形態6と異なる点は、可撓領域42と可動エレメント45がその間に設けられたポリイミド又はフッ素化樹脂などの樹脂からなる熱絶縁領域47aにより連結されている点である。
【0125】
このように新たに熱絶縁領域47aを設けることで、可撓領域42と可動エレメント45の間の熱絶縁性が高まり、拡散抵抗46より発生する熱が可動エレメント45に逃げるのを防ぐことができ、実施形態6に比べてより可撓領域42の加熱を効果的に行い消費電力の低減が図れる。
【0126】
(実施形態8)
次に、本発明の第8の実施形態を説明する。図25は本実施形態の半導体マイクロアクチュエータ41bの構造を示す斜視図であり、本実施形態において実施形態7と異なる点は、可撓領域42の薄肉部47Mと、熱絶縁領域47とが同一材料である熱絶縁性を有する樹脂(例えばポリイミド、フッ素化樹脂)により構成されている点である。これにより、熱絶縁領域47と薄膜47Mを同時に形成することが可能となり、製造工程を簡単にすることができる。
【0127】
また、この半導体マイクロアクチュエータ41bの可動エレメント45には、上面から掘り込みを設けて凹部45Hが形成されており、可動エレメントに凹部が形成されていない場合(図26に示す半導体マイクロアクチュエータ41cの可動エレメント45a)に比べて、可動エレメント45の熱容量が小さくなるため、可撓領域42の温度上昇が急速に行えることになる。また、凹部45Hを形成することで可動エレメントの重量(体積)が小さくなるので、外部からの衝撃に対して誤動作しないという利点もある。
【0128】
(実施形態9)
次に、本発明の実施形態9を説明する。図27は本実施形態における半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。この半導体マイクロバルブは、基板を加工して形成される流体エレメントである台座50と、その上部に陽極接合、共晶接合などにより接合されているアクチュエータ部とにより構成されており、このアクチュエータ部として、図1、図2で示した可撓領域2が可動エレメント5を挟んで十字形状をしている半導体マイクロアクチュエータ1を用いている。
【0129】
台座50はその表面上の半導体マイクロアクチュエータ1の可動エレメント5と対応する位置に流体の流路に相当する貫通孔51(いわゆるオリフィス)が設けられており、その貫通孔51の上面開口部の周囲部には、周りより高く突出し上面が略平面状の台部52が形成されている。ここで、可動エレメント5はいわゆる弁体に相当する。
【0130】
このように構成された半導体マイクロバルブ55は、拡散抵抗6に電力が供給されて可撓領域2が加熱されると薄肉部2Sと薄膜2Mの熱膨張差により変位し、可撓領域2に連設された可動エレメント5が変位する。この可動エレメント5の変位によりその下面部と台座50の台部52の間隔が変化し、貫通孔51を流れる流体量が制御される。
【0131】
本実施形態の半導体マイクロバルブにおいても、半導体基板3と可撓領域2との間にポリイミドなどの樹脂からなる熱絶縁領域7が設けられているため、可撓領域2を加熱する際の熱が半導体基板3へ逃げるのを防止することができる。そのため、その駆動における消費電力を抑えることが可能となる。
【0132】
また、4つの可撓領域2が中央の可動エレメント5を挟んで十字形状となっているため可動エレメント5の制御精度がよく、流体の制御精度のよい半導体マイクロバルブが得られる。
【0133】
ここで、図27における半導体マイクロバルブのアクチュエータ部を図11、図12で示した半導体マイクロアクチュエータ1aで構成した例を図28に示す。本構成例の半導体マイクロバルブは、台座50と半導体マイクロアクチュエータ1aがポリイミドからなるスペーサ層53を介して接合されている。
【0134】
また、可撓領域2と可動エレメント5の間にも熱絶縁領域7Aが設けられており、図27で示した半導体マイクロバルブに比べて可撓領域2より逃げる熱をさらに少なくすることが可能となり、その駆動における消費電力を抑えることができる。
【0135】
また、可撓領域2と半導体基板3の連結部分、又は可撓領域2と可動エレメント5との連結部分近傍に可撓領域2が変位したときに加わる応力を緩和する丸みが設けられていることによる効果は、図11、図12で説明したものと同様である。
【0136】
さらに、台座50と半導体マイクロアクチュエータ1aの間にスペーサ層53が形成されていることで、次のような効果がある。通常、半導体マイクロアクチュエータ1aはシリコン基板からなり、台座50はガラス基板からなる。この両者は高温下で接合される(400℃で陽極接合される)ため、常温では両者の熱膨張差に起因する収縮度合いの違いにより両者間にストレスが発生する。このストレスは半導体マイクロアクチュエータ1aの可撓領域2に集中するため、可撓領域2の十分な変位が得られず、半導体マイクロバルブの駆動性が悪くなってしまう。そこで、両者間にスペーサ層53を設けることで、上述したように両者間に発生するストレスを吸収して緩和させることができる。
【0137】
なお、本構成例の半導体マイクロバルブの動作は図27の場合と同様であるのでその説明を省略する。
【0138】
またここで、図27における半導体マイクロバルブのアクチュエータ部を図17で示した半導体マイクロアクチュエータ1bで構成した例を図29に示す。本構成例の半導体マイクロバルブは、可撓領域2を加熱する拡散抵抗6に電力を供給する配線4aが熱絶縁領域7を介さずに形成されている点が図28に示した構成例と異なり、熱伝導率のよい配線4aの熱絶縁距離を長くとることが可能となるため、さらに熱絶縁効果の高い半導体マイクロバルブが得られ、それを駆動するための消費電力を抑えることができる。
【0139】
なお、本構成例の半導体マイクロバルブの動作も図27の場合と同様のため、その説明を省略する。
【0140】
(実施形態10)
次に、本発明の第10の実施形態を説明する。図30は本実施形態の半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。図30に示す半導体マイクロバルブは、基板を加工して形成される流体エレメントである台座56と、その上部に陽極接合、共晶接合などにより接合されているアクチュエータ部とにより構成されており、このアクチュエータ部として、図19、図20で示した可撓領域32が可動エレメント35を挟んでいわゆる卍字形状をした半導体マイクロアクチュエータ31を用いている。
【0141】
台座56はその表面上の半導体マイクロアクチュエータ31の可動エレメント35と対応する位置に流体の流路に相当する貫通孔57(いわゆるオリフィス)が設けられており、その貫通孔57の上面開口部の周囲部には、周りより高く突出し上面が略平面状の台部58が形成されている。ここで、可動エレメント35は弁体に相当する。
【0142】
このように構成された半導体マイクロバルブは、拡散抵抗36に電力が供給されて可撓領域32が加熱されると薄肉部32Sと薄膜32Mの熱膨張差により変位し、可撓領域32に連設された可動エレメント35が変位する。この可動エレメント35の変位によりその下面部と台座56の台部58の間隔が変化し、貫通孔57を流れる流体量が制御される。
【0143】
本実施形態の半導体マイクロバルブにおいても、半導体基板33と可撓領域32との間にポリイミドなどの樹脂からなる熱絶縁領域37が設けられているため、可撓領域32を加熱する際の熱が半導体基板33へ逃げるのを防止することができる。そのため、その駆動における消費電力を抑えることが可能となる。
【0144】
また、本実施形態の半導体マイクロバルブは、可撓領域32がL字形状であるためその長さが長くなっており、そのため可撓領域32の変位が大きくなるので、可動エレメント35の変位を大きくすることができる。よって、流体の流量制御範囲の広い半導体マイクロバルブとなる。
【0145】
ここで、図30におけるアクチュエータ部を図21、図22で示した半導体マイクロアクチュエータ31aで構成した例を図31に示す。本構成例の半導体マイクロバルブは、可撓領域32と可動エレメント35の間にも熱絶縁領域37aが設けられており、図30で示した半導体マイクロバルブに比べて可撓領域32より逃げる熱をさらに少なくすることが可能となり、その駆動における消費電力を抑えることができる。
【0146】
また、可撓領域32と半導体基板33の連結部分、又は可撓領域32と可動エレメント35との連結部分近傍に可撓領域32が変位したときに加わる応力を緩和する丸みが設けられていることによる効果は、図21、図22で説明したものと同様である。
【0147】
(実施形態11)
次に、本発明の第11の実施形態を説明する。図32は本実施形態における半導体マイクロリレーの構造を示す一部破断の斜視図である。図32における半導体マイクロリレーは、表面に固定接点67,68が設けられた固定エレメントである固定片65と、その上部に陽極接合、共晶接合などにより接合されたアクチュエータ部とにより構成されており、このアクチュエータ部は、図23で示した半導体マイクロアクチュエータ41で構成される。
【0148】
半導体マイクロアクチュエータ41の可動エレメント45の下面には、可動接点66が設けられており、固定片65上の固定接点67,68は可動接点66と対応する位置に可動接点66と接触可能に離間して設けられている。
【0149】
ここで、拡散抵抗46に電流が流れ可撓領域42が加熱されると、薄肉部42Sと薄膜42Mの熱膨張差により可撓領域42が変位し、可動エレメント45が変位する。この変位により可動エレメント45の下面に設けられた可動接点66と固定接点67,68が接触し、固定接点67,68が可動接点66を介して導通してリレーがオンする。
【0150】
本実施形態の半導体マイクロリレーのアクチュエータ部は半導体マイクロアクチュエータ41で構成されており、実施形態6で説明したように可撓領域42と半導体基板43の熱絶縁効果が高く、消費電力の少ない半導体マイクロリレーが得られる。また、半導体マイクロアクチュエータ41は半導体基板43を固定端とする片持ち梁構造をしており、接点圧力の大きい半導体マイクロリレーが得られる。
【0151】
(実施形態12)
次に、第12の実施形態を説明する。図33は本実施形態における半導体マイクロリレーの構造を示す斜視図であり、図32で示したアクチュエータ部を図25で示した半導体マイクロアクチュエータ41bで構成したものである。
【0152】
すなわち、本実施形態の半導体マイクロリレーは、可撓領域42の薄膜47Mと、可撓領域42と半導体基板43を連結する熱絶縁領域47が例えばポリイミドなどの同一材料により構成されている。
【0153】
また、図33に示す半導体マイクロリレーは、可動エレメント45に凹部45Hが設けられており、凹部が設けられていないもの(図37参照)に比べて、熱容量が小さく、可撓領域42の温度上昇が急速に行える点、可動エレメントの重量(体積)が小さくなるので、外部からの衝撃に対して誤動作しない点は、図25で説明した通りである。
【0154】
次に、本実施形態における半導体マイクロリレーの製造方法を示す。例えばシリコン基板などの半導体基板43(図34(a)参照)をシリコン窒化膜などをマスクとしてKOHなどにより下面からエッチング除去して、ギャップ40を形成する(図34(b)参照)。このギャップ40は、半導体マイクロリレーにおける可動接点と固定接点間の接点ギャップとなる。ここで、シリコン基板である半導体基板43はp型、n型のどちらでもよく、結晶方位は<100>が望ましい。
【0155】
次に、イオン注入または不純物拡散などにより拡散抵抗46を半導体基板43の上面に形成する(図34(c)参照)。ここで、不純物はp型、n型のどちらであってもよい。
【0156】
さらに、半導体基板43の両面にシリコン窒化膜などを形成しパターニングする。その後、半導体基板43の上面からKOHなどによりエッチング除去して(異方性エッチング)、可動エレメント45の上部に凹部45Hを形成し中空形状とすると同時に、半導体基板43の下面からKOHなどによりエッチング(異方性エッチング)除去して凹部を設けてその底面部を可撓領域を構成する薄肉部42Sとして形成する(図34(d)参照)。
【0157】
次に、半導体基板43の上面よりシリコン窒化膜などをマスクにして、エッチング除去して後に熱絶縁領域47,47aとなる部分に孔部47B,47Cを形成する(図35(a)参照)。このときエッチングされる深さは、熱絶縁領域47,47aの厚みに対応する。
【0158】
そして次の工程では、スパッタリングなどによりアルミニウム薄膜を形成しパターニングすることで、拡散抵抗46に電力を供給する配線49Aなどが形成される(図35(b)参照)。
【0159】
次に、ポリイミドなどの熱絶縁材料を半導体基板43の全面にコートし、孔部47B,47Cを埋める。その後、その埋め込まれた部分と薄肉部42S上部の熱絶縁材料以外の熱絶縁材料をエッチングなどにより除去して、熱絶縁領域47,47aと薄膜47Mをポリイミドなどの同一材料により形成する(図35(c)参照)。そして、熱絶縁領域47,47aの下面側をエッチング除去し(図35(d)参照)、可動エレメント45の下面側に金コバルトなどからなる後述する可動接点66をメッキなどにより形成する(図35(e)参照)。
【0160】
その後、このように加工された半導体基板43と、メッキなどにより金コバルトなどの固定接点67が形成された固定片65を陽極接合などにより接合し(図36(a))、最後にRIEなどにより可動エレメント45及び可撓領域42を枠体となる半導体基板43から切り離し、半導体マイクロリレーが製造される(図36(b))。すなわち、半導体マイクロアクチュエータ41bが製造されることになる。
【0161】
このように、可撓領域42の薄膜47Mと熱絶縁領域47とを同一材料で同時に形成するため、製造工程が簡単になりコストを低減できる。
【0162】
ここで、本実施形態の半導体マイクロリレーにおける可撓領域42の薄肉部42Sと薄膜47Mからなるいわゆるバイメタルの構成を図38に示す。図示したように、10μm厚のシリコンからなる薄肉部42Sの上部に、薄膜47Mとして20μm厚のポリイミド(商品名:フォトニース)が形成されている。この可撓領域42の平面サイズは1000μm×1000μmとする。このとき、可撓領域42の曲りは以下に示すチモチェンコの式によって表される。
【0163】
【式16】
Figure 0003705068
ここでΔTは温度変化を示している。
【0164】
上記式に具体的な数値を導入し計算した結果を図39に示す。図39に示すように、可撓領域42の温度が高くなればその変位(曲り)が大きくなる。この曲りが半導体マイクロリレーの可動接点66と固定接点67,68の接点ギャップよりも大きくなると、可動接点66と固定接点67,68が接触しリレーがオンする。
【0165】
ここで、接点ギャップが20μmであり、バイメタルを200℃とした場合のバイメタルの動作を考察する。図39に示すように、200℃におけるバイメタルの変位は約65μmである。
【0166】
半導体マイクロリレーは片持ち梁構造であり、可撓領域42に対応する梁は図40に示すように変位する。その先端部の変位Xaは、Xa=(Fa・τa)/(3Ea・Ia)で表される。Faは梁の先端部に加えられる力、taは梁の厚み、τaは梁の長さ、Eaは梁のヤング率を示している。ここで、Iaは梁の断面2次モーメントを示しており、その断面が長方形の場合は、Ia=ba・ta/12(baは梁の奥行き幅)で表されるため、先端の撓みXaは、Xa=4・Fa・τa/(ba・ta・Ea)となる。この式より梁の先端部に加えられた力Faは、Fa=(Xa・ba・ta・Ea)/(4・τa)で表される。ここで、接点ギャップ20μmとすると接点圧faは、fa=((Xa−20μm)・ba・ta・Ea)/(4・τa)となる。先端部の撓みXaは、Xa=65μmであるから、接点圧faはfa=0.87gf=8.5×10−3Nとなり、ほぼ1gf(9.8×10−3N)に近い接点圧が得られる。
【0167】
(実施形態13)
次に、本発明の第13の実施形態を説明する。図41は本実施形態の半導体マイクロリレーの構造を示す斜視図である。図41に示す半導体マイクロリレーは、図33で示した半導体マイクロリレーのアクチュエータ部を図23で示した半導体マイクロアクチュエータ41で構成したものであり、図33と異なる点は、可撓領域42の薄膜42Mがアルミニウム薄膜あるいはニッケル薄膜などの金属薄膜により構成されている点である。
【0168】
本実施形態の半導体マイクロリレーにおいても、可動エレメント45に凹部45Hが形成されており、図48に示す半導体マイクロリレーのように凹部が形成されていない場合に比べて、可撓領域42の温度上昇を急速に行える点、可動エレメントの重量(体積)が小さくなるので、外部からの衝撃に対して誤動作を防止できる点は実施形態12と同様である。
【0169】
次に、図41で示した半導体マイクロリレーの製造方法を示す。まず、可撓領域42を構成する薄膜42Mをアルミニウム薄膜で構成した場合についての製造方法を説明する。
【0170】
例えばシリコン基板などの半導体基板43(図42(a)参照)をシリコン窒化膜などをマスクとしてKOHなどにより下面からエッチング除去して、ギャップ40を形成する(図42(b)参照)。このギャップ40は、半導体マイクロリレーにおける可動接点と固定接点間の接点ギャップとなる。ここで、半導体基板43(シリコン基板)はp型、n型のどちらでもよく、結晶方位は<100>が望ましい。
【0171】
次に、イオン注入または不純物拡散などにより拡散抵抗46を半導体基板43の上面に形成する(図42(c)参照)。ここで、不純物はp型、n型のどちらであってもよい。
【0172】
さらに、半導体基板43の両面にシリコン窒化膜などを形成しパターニングする。その後、半導体基板43の上面からKOHなどによりエッチング除去して(異方性エッチング)、可動エレメント45の上部に凹部45Hを形成し中空形状とすると同時に、半導体基板43の下面からKOHなどによりエッチング(異方性エッチング)除去して凹部を設けてその底面部を可撓領域を構成する薄肉部42Sとして形成する(図42(d)参照)。
【0173】
次に、半導体基板43の上面よりシリコン窒化膜などをマスクにして、エッチング除去して後に熱絶縁領域47,47aとなる部分に孔部47B,47Cを形成する(図43(a)参照)。このときエッチングされる深さは、熱絶縁領域47,47aの厚みに対応する。
【0174】
そして次の工程では、図43(b)に示すように、スパッタリングなどによりアルミニウム薄膜を形成しパターニングして、可撓領域を構成する薄膜42Mと、拡散抵抗46に電力を供給する配線49Aが形成される。そして、ポリイミドなどの熱絶縁材料を半導体基板43の全面にコートし、半導体基板43の上面に設けられた孔部47B,47Cを埋め、埋め込んだ部分以外の熱絶縁材料をエッチングなどにより除去して熱絶縁領域47,47aを形成する(図43(c)参照)。
【0175】
その後、熱絶縁領域47,47aの下面側をエッチング除去して熱絶縁材料のみで構成される熱絶縁領域47,47aを形成する(図43(d)参照)。そして次に、可動エレメント45の下面側に金コバルトなどからなる可動接点66をメッキなどにより形成する。
【0176】
次に、このように加工された半導体基板43とメッキなどにより金コバルトなどの固定接点67が形成された固定片65を陽極接合などにより接合し(図44(a)参照)、最後にRIEなどにより可動エレメント45及び可撓領域42を枠体となる半導体基板43から切り離し、半導体マイクロリレーが製造される。すなわち、半導体マイクロアクチュエータ41aが製造されることになる(図44(b)参照)。
【0177】
次に、図41で示した半導体マイクロリレーの薄膜42Mをニッケルで構成した場合の製造方法を説明する。図45(a)〜(e)の工程で示されるように、半導体基板43の下面にギャップ40を形成する工程、半導体基板43の上面に拡散抵抗46を形成する工程、可動エレメント45の上部に凹部45Hを形成する工程、可撓領域42の薄肉部42Sを形成する工程、後に熱膨張領域となる部分である孔部47B,47Cを形成する工程は、図42(a)〜(d)、図43(a)で説明した工程と同様であるためその説明を省略する。
【0178】
その次の工程では、図46(a)に示すように、スパッタリングなどによりアルミニウム薄膜を形成しパターニングすることで、拡散抵抗46に電力を供給する配線49Aなどが形成される。次に、図46(b)に示すように、ポリイミドなどの熱絶縁材料を半導体基板43の全面にコートし、半導体基板43の上面に設けられた孔部47B,47Cを埋め、埋め込んだ部分以外の熱絶縁材料をエッチングなどにより除去して熱絶縁領域47,47aを形成する。
【0179】
その後、熱絶縁領域47,47aの下面側をエッチング除去し(図46(c)参照)、薄肉部42Sの上面に薄膜42Mとしてメッキなどによりニッケル薄膜を形成し(図46(d)参照)、可動エレメント45の下面側に金コバルトなどからなる可動接点66をメッキなどにより形成する(図46(e)参照)。
【0180】
そして次に、このように加工された半導体基板43と、メッキなどにより金コバルトなどの固定接点67が形成された固定片65を陽極接合などにより接合し(図47(a)参照)、最後にRIEなどにより可動エレメント45及び可撓領域42を枠体となる半導体基板43から切り離し、半導体マイクロリレーが製造される(図47(b)参照)。すなわち、半導体マイクロアクチュエータ41aが製造される。
【0181】
ここで、図41で示した半導体マイクロバルブにおける可撓領域42の薄肉部42Sと薄膜42Mからなるいわゆるバイメタルの構成を図49に示す。図示したように、15μm厚のシリコンからなる薄肉部42Sの上部に、薄膜42Mとして5μm厚のアルミニウム薄膜が形成されている。可撓領域42の平面サイズは1000μm×1000μmとする。
【0182】
このとき、可撓領域42の変位(曲り)は以下に示すチモチェンコの式によって表される。
【0183】
【式17】
Figure 0003705068
ここで、ΔTは温度変化を示している。
【0184】
上記式に具体的な数値を導入し計算した結果を図50に示す。図50に示すように、可撓領域42の温度が高くなれば変位(曲り)が大きくなる。この変位が半導体マイクロリレーの可動接点66と固定接点67,68の接点ギャップよりも大きくなると、可動接点66と固定接点67,68が接触しリレーがオンする。
【0185】
ここで、接点ギャップが20μmであり、可撓領域42を200℃とした場合の動作を考察する。図50に示すように、200℃における可撓領域42の変位は約70μmである
【0186】
上述したように、接点圧faはfa=((Xa−20μm)・ba・ta・Ea)/(4・τa)で表されるため、接点圧faを求めるとfa=0.82gf=8.0×10−3Nとなり、ほぼ1gf(9.8×10−3N)に近い接点圧が得られる。
【0187】
一方、薄膜42Mとしてニッケル薄膜を用いると、ニッケルはアルミニウムに比べて熱膨張係数が小さいため、温度変化に対する可撓領域42の変位(曲り)が小さい。ところが、ニッケルはアルミニウムに比べてヤング率が大きいため、大きな熱応力を発生することができる。
【0188】
図51には、シリコンにより構成される薄肉部42Sの厚さを変化させた場合の薄膜42Mがアルミニウムである場合とニッケルである場合のそれぞれにおける可撓領域42の変位特性を示している。アルミニウムとニッケルはそれぞれ5μm厚で可撓領域42の温度は200℃で計算している。図より明らかなように薄肉部42Sの厚さが20μmでアルミニウムとニッケルの特性が逆転しており、厚さが20μm以上となると、薄膜42Mがニッケルで構成されている場合に可撓領域42の変位特性が大きくなっている。このように、薄肉部42Sの厚さが厚い場合は薄膜42Mとしてニッケルを用いた方が良い特性が得られる。
【0189】
ここで、本実施形態における半導体マイクロリレーの他の構成例を図52に示す。図52の半導体マイクロリレーにおいて図41に示したものとの違いは、図52では固定片65と半導体マイクロアクチュエータ41aとがポリイミドからなるスペーサ層63を介して接合(例えば陽極接合)されている点であり、固定片65と半導体マイクロアクチュエータ41aの両者間に発生するストレスを吸収して緩和させることができる点は図28に対応する実施形態と同様である。
【0190】
【発明の効果】
上記したように、請求項1の発明は、半導体基板と、温度変化により前記半導体基板に対して変位する可撓領域と、前記半導体基板と前記可撓領域との間に設けられ前記半導体基板と前記可撓領域を連結する樹脂製の熱絶縁領域とから構成され、前記半導体基板および前記可撓領域の前記熱絶縁領域に接する部分が、前記半導体基板と前記可撓領域の連結方向に櫛刃を形成する形状になるとともに、前記半導体基板と前記可撓領域との各櫛刃形状が前記熱絶縁領域を介して互いに噛み合っており、樹脂製の熱絶縁領域を半導体基板と可撓領域の間に設けることで、可撓領域を温度変化させるときの熱の逃げを防ぐため、消費電力を抑えることができ、さらにその製造工程も簡単である。さらに、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0191】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記熱絶縁領域を構成する材料がポリイミドであるため、可撓領域と半導体基板の熱絶縁性が良くなるとともに、製造が容易となる。
【0192】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記熱絶縁領域を構成する材料がフッ素化樹脂であるため、可撓領域と半導体基板の熱絶縁性が良くなるとともに、製造が容易となる。
【0193】
また、請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明において、前記熱絶縁領域に前記熱絶縁領域を構成する材料よりも硬い材料からなる補強層が設けられているため、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0194】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記補強層のヤング率が、9.8×10N/m以上であるため、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0195】
また、請求項の発明は、請求項に記載の発明において、前記補強層が二酸化ケイ素薄膜であるため、半導体基板と可撓領域の連結強度を上げることができる。
【0196】
また、請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の半導体装置と、前記可撓領域に連設された可動エレメントとを備え、前記可撓領域の温度が変化したときに、前記可動エレメントが前記半導体基板に対して変位するため、低消費電力で駆動可能であることに加えて、請求項1から請求項の発明と同様の効果を有する半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0197】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記可撓領域は片持ち梁構造を有しているため、可動エレメントの変位の大きな半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0198】
また、請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記可動エレメントは複数の可撓領域により支持されているため、可動エレメントを安定して支持できる。
【0199】
また、請求項10の発明は、請求項記載の発明において、前記可撓領域は前記可動エレメントを挟んで十字形状であるため、可動エレメントの変位の精度が良いものとなる。
【0200】
また、請求項11の発明は、請求項記載の発明において、前記可動エレメントの変位は、前記半導体基板の基板面に対して水平方向に回転する変位を含むため、可動エレメントの変位が大きなものとなる。
【0201】
また、請求項12の発明は、請求項又は請求項11記載の発明において、前記可撓領域は、それぞれがL字形状をしている4つ可撓領域が前記可動エレメントを中心として四方向に等間隔で設けられているため、可撓領域の長さを大きくすることができ、そのため可動エレメントの変位を大きくすることができる。
【0202】
また、請求項13の発明は、請求項から請求項12のいずれかに記載の発明において、前記可撓領域は異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの領域からなり熱膨張係数差に応じて変位をするため、可撓領域の温度変化により可撓領域の変位を得ることができる。
【0203】
また、請求項14の発明は、請求項から請求項13のいずれかに記載の発明において、前記可撓領域と前記可動エレメントの間に、前記可撓領域と前記可動エレメントを連結する樹脂からなる熱絶縁領域が設けられているため、可撓領域と可動エレメントの熱絶縁性を確保することができ、可撓領域を温度変化させるときの消費電力をより抑えることができる。
【0204】
また、請求項15の発明は、請求項14記載の発明において、前記半導体基板と前記可撓領域の間に設けられた熱絶縁領域の剛性と、前記可撓領域と前記可動エレメントの間に設けられた熱絶縁領域の剛性とを異なるようにするため、各熱絶縁領域の剛性の違いにより可動エレメントの変位の方向を決めることができる。
【0205】
また、請求項16の発明は、請求項から請求項15のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、前記半導体マイクロアクチュエータに接合され、前記可動エレメントの変位に応じて流れる流体量が変化する流路を有する流体エレメントとを備えたため、低消費電力で駆動可能であることに加えて、請求項から請求項15の発明と同様の効果を有する半導体マイクロバルブが得られる。
【0206】

また、請求項17の発明は、請求項から請求項15のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、前記可動エレメントに可動接点が設けられ、その対応する位置に前記可動接点と接触可能な固定接点を有し前記半導体マイクロアクチュエータに接合される固定エレメントとを備えたため、低消費電力で駆動可能であることに加えて、請求項から請求項15の発明と同様の効果を有する半導体マイクロリレーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に対応する半導体装置を用いた半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図2】 同上の構造を示す図であって、(a)は断面図、(b)は上面図である。
【図3】 同上の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図4】 同上の半導体装置の強度を求めるために用いる構造モデルを示すものであって、(a)は模式図、(b)は分布図、(c)は分布図である。
【図5】 同上の半導体装置の製造工程を示す図であって、(a)から(d)はいずれも断面図である。
【図6】 同上の他の半導体装置の構造を示す図であって、(a)は断面図、(b)は上面図である。
【図7】 同上の構造を示す断面図である。
【図8】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断面図である。
【図9】 同上のさらに他の半導体装置の構造を示すものであって、(a)は断面図、(b)は上面図である。
【図10】 同上の構造を示す断面図である。
【図11】 本発明の実施形態2に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図12】 同上の構造を示す図であって、(a)は断面図、(b)は上面図である。
【図13】 同上の他の半導体マイクロアクチュエータの構造を示す断面図である。
【図14】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断面図である。
【図15】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(d)はいずれも断面図である。
【図16】 同上の半導体マイクロアクチュエータの他の配線構造を示す断面図である。
【図17】 本発明の実施形態3に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図18】 同上の構造を示す上面図である。
【図19】 本発明の実施形態4に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図20】 同上の構造を示す上面図である。
【図21】 本発明の実施形態5に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図22】 同上の構造を示す上面図である。
【図23】 本発明の実施形態6に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図24】 本発明の実施形態7に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図25】 本発明の実施形態8に対応する半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図26】 同上の他の半導体マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図27】 本発明の実施形態9に対応する半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図28】 同上の他の半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図29】 同上のさらに他の半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図30】 本発明の実施形態10に対応する半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図31】 同上の他の半導体マイクロバルブの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図32】 本発明の実施形態11に対応する半導体マイクロリレーの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図33】 本発明の実施形態12に対応する半導体マイクロリレーの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図34】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(d)はいずれも断面図である。
【図35】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断面図である。
【図36】 同上の製造工程を示す図であって、(a)、(b)はいずれも断面図である。
【図37】 同上の他の半導体マイクロリレーの構造を示す一部破断の斜視図である。
【図38】 同上の半導体マイクロリレーの作用説明に用いる斜視図である。
【図39】 同上の半導体マイクロリレーの作用説明に用いる関係図である。
【図40】 同上の半導体マイクロリレーの作用説明に用いる側面図である。
【図41】 本発明の実施形態13に対応する半導体マイクロリレーの構造を示す一部破断の斜視図である
【図42】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(d)はいずれも断面図である。
【図43】 同上の製造工程を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断面図である。
【図44】 同上の製造工程を示す図であって、(a)、(b)はいずれも断面図である。
【図45】 同上の他の製造工程を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断面図である。
【図46】 同上の他の製造工程を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断面図である。
【図47】 同上の他の製造工程を示す図であって、(a)、(b)はいずれも断面図である。
【図48】 同上の他の半導体マイクロリレーの構造を示す一部破断の斜視図である
【図49】 同上の半導体マイクロリレーの作用説明に用いる斜視図である。
【図50】 同上の半導体マイクロリレーの作用説明に用いる関係図である。
【図51】 同上の半導体マイクロリレーの作用説明に用いる関係図である。
【図52】 同上の他の半導体マイクロリレーの構造を示す図である。
【図53】 従来の半導体マイクロアクチュエータの構造を示す上面図である。
【図54】 同上の構造を示す断面図である。
【図55】 従来の半導体マイクロリレーの構造を示す断面図である。
【図56】 同上の作用説明のために用いる模式図である。
【符号の説明】
1 半導体マイクロアクチュエータ
2 可撓領域
2S 薄肉部
2M 薄膜
3 半導体基板
4a 配線
5 可動エレメント
6 拡散抵抗
7 熱絶縁領域
8 半導体装置

Claims (17)

  1. 半導体基板と、温度変化により前記半導体基板に対して変位する可撓領域と、前記半導体基板と前記可撓領域との間に設けられ前記半導体基板と前記可撓領域を連結する樹脂製の熱絶縁領域とから構成され、前記半導体基板および前記可撓領域の前記熱絶縁領域に接する部分が、前記半導体基板と前記可撓領域の連結方向に櫛刃を形成する形状になるとともに、前記半導体基板と前記可撓領域との各櫛刃形状が前記熱絶縁領域を介して互いに噛み合っていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記熱絶縁領域を構成する材料がポリイミドであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記熱絶縁領域を構成する材料がフッ素化樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記熱絶縁領域に前記熱絶縁領域を構成する材料よりも硬い材料からなる補強層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記補強層のヤング率が、9.8×10 N/m 以上であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記補強層が二酸化ケイ素薄膜であることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体装置と、前記可撓領域に連設された可動エレメントとを備え、前記可撓領域の温度が変化したときに、前記可動エレメントが前記半導体基板に対して変位することを特徴とする半導体マイクロアクチュエータ。
  8. 前記可撓領域は片持ち梁構造を有していることを特徴とする請求項7記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  9. 前記可動エレメントは、複数の可撓領域により支持されていることを特徴とする請求項7記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  10. 前記可撓領域は前記可動エレメントを挟んで十字形状であることを特徴とする請求項9記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  11. 前記可動エレメントの変位は、前記半導体基板の基板面に対して水平方向に回転する変位を含むことを特徴とする請求項9記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  12. 前記可撓領域は、それぞれがL字形状をしている4つ可撓領域が前記可動エレメントを中心として四方向に等間隔で設けられていることを特徴とする請求項9又は請求項11記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  13. 前記可撓領域は、異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの領域からなり熱膨張係数差に応じて変位をすることを特徴とする請求項7から請求項12のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  14. 前記可撓領域と前記可動エレメントの間に、前記可撓領域と前記可動エレメントを連結する樹脂からなる熱絶縁領域が設けられていることを特徴とする請求項7から請求項13のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  15. 前記半導体基板と前記可撓領域の間に設けられた熱絶縁領域の剛性と、前記可撓領域と前記可動エレメントの間に設けられた熱絶縁領域の剛性とを異なるようにすることを特徴とする請求項14記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  16. 請求項7から請求項15のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、前記半導体マイクロアクチュエータに接合され、前記可動エレメントの変位に応じて流れる流体量が変化する流路を有する流体エレメントとを備えたことを特徴とする半導体マイクロバルブ。
  17. 請求項7から請求項15のいずれかに記載の半導体マイクロアクチ ュエータと、前記可動エレメントに可動接点が設けられ、その対応する位置に前記可動接点と接触可能な固定接点を有し前記半導体マイクロアクチュエータに接合される固定エレメントとを備えたことを特徴とする半導体マイクロリレー。
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