JP2001150394A - 半導体マイクロアクチュエータ - Google Patents

半導体マイクロアクチュエータ

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JP2001150394A
JP2001150394A JP33506399A JP33506399A JP2001150394A JP 2001150394 A JP2001150394 A JP 2001150394A JP 33506399 A JP33506399 A JP 33506399A JP 33506399 A JP33506399 A JP 33506399A JP 2001150394 A JP2001150394 A JP 2001150394A
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movable element
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JP33506399A
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English (en)
Inventor
Keiko Fujii
圭子 藤井
Hironori Katayama
弘典 片山
Kimiaki Saito
公昭 齊藤
Kenji Toyoda
憲治 豊田
Shigeaki Tomonari
恵昭 友成
Hiroshi Kawada
裕志 河田
Hitoshi Yoshida
仁 吉田
Masaari Kamakura
將有 鎌倉
Kazuji Yoshida
和司 吉田
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動部位(可動エレメント)の変位を大きく
できるようにする。 【解決手段】 温度変化に応じて変位する4つの可撓領
域2、これら可撓領域2の各上面上に形成された薄膜
4、および各可撓領域2の変位に応じて上下方向に移動
する可動エレメント5Aを有して成る可動部位8と、こ
の可動部位8の各可撓領域2側を支持する半導体基板3
とを備える半導体マイクロアクチュエータ1Aに対し
て、各可撓領域2と半導体基板3との間に熱絶縁領域7
を設け、可動エレメント5A側に熱絶縁部51Aを設け
た。つまり、可動エレメント5A全体を熱絶縁部51A
として形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度変化に応じて
変位する少なくとも1つの可撓領域およびこの可撓領域
の一の面上に形成された薄膜を有して成る可動部位と、
この可動部位の可撓領域側を支持する半導体基板とを備
えて成る半導体マイクロアクチュエータに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体基板と、半導体基板から切り離さ
れ温度変化により変位する可撓領域と、両者の間に設け
られた熱絶縁領域から構成される熱絶縁構造体を用いた
ものとして、異なった熱膨張係数を有する少なくとも2
つの材料を組み合わせ(バイメタル構造)、その部分を
加熱し熱膨張係数の差を利用して変位を得る半導体マイ
クロアクチュエータがある。この半導体マイクロアクチ
ュエータについては、特表平4−506392号公報に
記載の「半導体マイクロアクチュエータ」、特開平5−
187574号公報に記載の「超小型バルブ」等があ
る。
【0003】特表平4−506392号公報に記載の半
導体マイクロアクチュエータは、図10の上面図、図1
1の断面図に示すとおりであり、シリコンのダイアフラ
ム100の一部にアルミニウム薄膜104が形成された
バイメタル構造になっている。シリコンからなるダイア
フラム100中に形成されたヒータ101に電流を流す
と発熱し、ダイアフラム100の温度が上昇する。ここ
で、シリコンとアルミニウムは熱膨張係数が大きく異な
るため、熱応力が発生しダイアフラム100を撓ませ、
可動部105の変位を生じる機構となっている。また、
効率的な変位を得るために、ダイアフラム100の周辺
とシリコン枠102の間に二酸化ケイ素薄膜のヒンジ1
03を設け、ダイアフラム100で発生した熱がシリコ
ン枠102に逃げることを防ぐ構造となっている。
【0004】しかし、このような構造をもつ半導体マイ
クロアクチュエータにおいては以下のような問題点があ
る。まず、二酸化ケイ素薄膜のヒンジ構造の熱絶縁効果
について考察する。一般に、高温部分から低温部分へ逃
げる熱Qは Q(W)=−λ(t2−t1)/δ・A (式X) となる。
【0005】ここで、Qは熱流(熱移動の速さ)、t2
−t1は温度差(℃)、δは熱源からの距離(cm)、
Aは熱流の向きに垂直な断面(cm2)、およびλは熱
伝導率(J/cm・s・℃)である。
【0006】そこで、この関係式を用いてダイアフラム
100からシリコン枠102へ逃げる熱量を計算する。
ダイアフラム100とシリコン枠102の温度差を15
0℃、ヒンジ103の横幅を30μm、ダイアフラム1
00の直径を2.5mm、ヒンジ103の厚みを2μm
(「Electrically‐Activated,Micromachined Diaphr
am Valves」 Technical Digest IEEE Solid−Stat
e Sensor and Actuator Workshop,pp65−69,June
1990より推定)とすると、熱流の向きに垂直な断面A1
は、 A1=2.5mm×π×2μm =0.25cm×π×2×10-4cm =1.57×10-4cm2 となり、二酸化ケイ素の熱伝導率λ=0.084(W/
cm・℃)であるから、逃げる熱Q1は、 Q1=0.084(W/cm・℃)×150℃/(30
×10-4cm)×1.57×10-4cm2=0.66W
=660mW となる。次に二酸化ケイ素のヒンジ構造を設けなかった
場合を計算する。シリコンのダイアフラム100の厚み
を10μmとし、熱流の向きに垂直な断面A2を計算す
ると、 A2=2.5mm×π×10μm =0.25cm×π×10×10-4cm =7.85×10-4cm2 となり、シリコンの熱伝導率λ=1.48(W/cm・
℃)であるから、逃げる熱Q2は、 Q2=1.48(W/cm・℃)×150℃/(30×
10-4cm)×7.85×10-4cm2=58W となる。そこで、二酸化ケイ素薄膜のヒンジ103を設
けることにより約90倍の熱絶縁効果が得られたことに
なる。このように特表平4−506392号公報に記載
の半導体マイクロアクチュエータは、従来の構造のもの
よりも熱効率の良い構造となっている。しかし、現状の
使用用途を考えた場合には熱損失の更なる低減が望まれ
ている。具体的には、この熱の逃げ(熱損失)はダイア
フラム100を所定の温度(例えば150℃)に維持す
るために常時供給される電力(消費電力)と考えられ
る。
【0007】そこで、特表平4−506392号公報に
記載の半導体マイクロアクチュエータの消費電力は数百
mW(計算では660mW)と推定できるわけである
が、小型・携帯等の電池駆動用途の場合を考えた場合に
は百mW以下であることが望ましい。
【0008】また、特表平4−506392号公報に記
載の半導体マイクロアクチュエータは、二酸化ケイ素薄
膜がヒンジ103の部分は、厚さ2μmと厚くなってい
る。このヒンジ103の二酸化ケイ素薄膜の厚みを決め
る要因については、明細書中に明確に記載されていな
い。しかし、同上半導体マイクロアクチュエータがマイ
クロバルブ等に使用された場合には、可動エレメントに
加えられた圧力がこのヒンジ103に集中することが予
想され、この圧力に対し破壊しない程度の膜厚が必要と
なる。ところが、ヒンジ103の膜厚を増すと上記熱の
逃げの計算式より熱絶縁効果が低下する。そこで、ある
程度の強度をもち、かつ熱絶縁効果を有する二酸化ケイ
素薄膜の膜厚として2μmが決定されたものと推定でき
る。
【0009】次に、ヒンジ103の二酸化ケイ素薄膜を
厚くする必要性について考察する。特表平4−5063
92号公報に記載の半導体マイクロアクチュエータは、
明細書にも記載のごとくシリコンからなるダイアフラム
100とアルミニウム薄膜104により構成されたバイ
メタルにより可動する構造となっているが、ダイアフラ
ム100とアルミニウム薄膜104の間には電気的絶縁
を得るために二酸化ケイ素薄膜106が挿入されてい
る。
【0010】半導体製造プロセスでは、この二酸化ケイ
素薄膜106とヒンジ103の二酸化ケイ素薄膜は同時
に形成され、これらの膜厚は同じであることが望まし
い。しかし、ダイアフラム100とアルミニウム薄膜1
04の間に挿入された二酸化ケイ素薄膜106の膜厚が
2μmと厚くなった場合には、駆動源となるバイメタル
特性を劣化させることが予想できる。文献(「Electric
ally‐Activated,Micromachined Diaphram Valves」
Technical Digest IEEE Solid−State Sensor a
nd Actuator Workshop,pp65−69,June1990)に記載
されている例においてはアルミニウム薄膜104の膜厚
5〜6μmとなっている。そこで膜厚2μmの二酸化ケ
イ素薄膜106がダイアフラム100とアルミニウム薄
膜104の間に挿入されれば、加熱時のダイアフラム1
00の撓みを阻害する要因となることは容易に推定でき
る。
【0011】また半導体製造プロセスでは、二酸化ケイ
素の薄膜は通常1000℃程度の高温で形成されるた
め、シリコンと二酸化ケイ素の熱膨張係数を考慮すると
シリコンのダイアフラム100−二酸化ケイ素薄膜10
6間でかなりの内部応力が発生するものと考えられる。
この内部応力は二酸化ケイ素薄膜106の厚みが増すに
つれ大きくなり、バイメタル特性を低下させる要因とな
るのである。以上のような点から考えて、ダイアフラム
100−アルミニウム薄膜104間の二酸化ケイ素薄膜
106はできるだけ薄く(2×10-8m(200
Å))、またヒンジ103の二酸化ケイ素の膜はある程
度厚く(2μm)しなければならない。しかし、このよ
うな二酸化ケイ素の薄膜構造を形成するためには、非常
に複雑な半導体製造プロセスが必要となり、特表平4−
506392号の明細書においては製造方法については
言及されていない。
【0012】またこの改善策として米国特許No.5,27
1,597に他のヒンジ構造が開示されている。これは上記
のような二酸化ケイ素の薄膜構造ではなく、ヒンジ部分
の二酸化ケイ素とダイアフラム−アルミニウム薄膜間の
二酸化ケイ素薄膜は同一膜厚となっている。この方法は
ヒンジ部分の二酸化ケイ素薄膜を薄くし、このために生
じるヒンジ部の強度低下を補うために、ヒンジ以外にダ
イアフラムとシリコン枠の結合をダイアフラムの一部の
シリコンを用いており、半導体マイクロアクチュエータ
の消費電力を小さくする構造になっていない。
【0013】このように半導体マイクロアクチュエータ
における熱絶縁構造においては、まだ多くの問題点が残
されている。
【0014】また、特開平5−187574号公報に記
載の超小型バルブも異なった熱膨張係数を有する少なく
とも2つの材料を組み合わせ、その部分を加熱し熱膨張
係数の差を利用して変位を得る半導体マイクロアクチュ
エータが使用されている。このマイクロアクチュエータ
の熱絶縁構造はトーション・バー式サスペンションを設
けることにより行われている。この構造は、熱流に垂直
な断面の減少と熱流が通過する経路長の増加の双方によ
り、シリコン枠への熱損失を最小化するものとなってい
る。しかし、このトーション・バー式サスペンション構
造がシリコンにより形成されているため、熱の逃げの計
算において考察したように、熱絶縁効果が十分に得られ
ないと考えられる。
【0015】これは、文献「SILICON MICROVALVES FOR
GAS FLOW CONTROL」The 8th International Conference
on Solid-State Sensor and Actuators,Stockholm,Swe
den,1995,p276-279に記載されているマイクロバルブ性
能比較表より推定できる。この文献には、特表平4−5
06392号公報に記載の「半導体マイクロアクチュエ
ータ」に係わるマイクロバルブと、特開平5−1875
74号公報に記載の「超小型バルブ」に係わるバイクロ
バルブの比較がなされており、後者は前者に比べて耐圧
が6倍、流量範囲が10倍であるが、消費電力は約2
倍、熱抵抗で約1/3となっている。
【0016】このように特開平5−187574号公報
に記載の超小型バルブは、シリコンにより形成されたト
ーション・バー式サスペンション構造により大きな力を
発生できるマイクロアクチュエータとなっているが、消
費電力については、小型・携帯用のニーズに応えるもの
ではない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このような事由を考慮
し、熱絶縁効率が高く、かつ製造プロセスが簡単な半導
体マイクロアクチュエータが本出願人により別途提案さ
れている(特願平11−304729号参照)。この半
導体マイクロアクチュエータは、ポリイミドまたはフッ
素化樹脂等の樹脂材料が高い熱絶縁性(二酸化ケイ素の
約80倍)を有し、さらに液状で加工し易くスピンコー
トなどの半導体製造工程により所望の厚さ(数μm〜数
十μm)の薄膜を容易に得ることができるという特徴に
着目しなされたものである。以下、この半導体マイクロ
アクチュエータについて説明する。
【0018】図12は上記半導体マイクロアクチュエー
タの構造を示す一部破断の斜視図、図13(a)は断面
図、図13(b)は上面図である。
【0019】図示したように、半導体マイクロアクチュ
エータ1は、シリコン等からなる中空で略四角形状の枠
体となる半導体基板3と、その内方にそれぞれ熱絶縁領
域7を介して4点で接合される半導体基板3より切り離
された可動部位8により構成される。この可動部位8
は、上面が四角形状に開口し下方に向かうにつれて幅が
狭くなる中空の四角錐台形状に形成された中央の可動エ
レメント5をその上面の開口部4辺のそれぞれより外方
に延びる四角片状の可撓領域2で支える構造となってお
り、可撓領域2は可動エレメント5を挟んで略十字形状
となっている。
【0020】半導体基板3と可撓領域2との間の熱絶縁
領域7には、可撓領域2とほぼ同じ厚さでフッ素化樹
脂、ポリイミド等の熱絶縁材料が充填されている。ま
た、可撓領域2上の表面には不純物拡散抵抗等よりなる
可撓領域2を加熱するための加熱手段6が設けられてお
り、この可撓領域2はその上にアルミニウム薄膜または
ニッケル薄膜などの、可撓領域2を構成するシリコンと
熱膨張係数の異なる薄膜4が設けられている。ここで、
半導体基板3と可撓領域2とその間の熱絶縁領域7とで
熱絶縁構造体が構成される。
【0021】ここでこの半導体マイクロアクチュエータ
の作用を説明するために、具体的例として図14の断面
図に示すように熱絶縁領域7の横方向の長さを30μ
m、厚さを20μmとし、その構成材料としてポリイミ
ド(商品名「フォトニース」、以下ポリイミドという)
を使用した場合について考察する。また図12に示した
可撓領域2の長さ(半導体基板3から可動エレメント5
への方向の長さ)を800μm、可撓領域2の幅(熱絶
縁領域7と平行方向)を600μmとする。
【0022】可撓領域2から熱絶縁領域7を通して半導
体基板3へ逃げる熱Q3を計算すると、従来例で示した
式Xに従う。ここで、逃げる熱Q3の熱流の向きに垂直
な断面A3は A3=(ポリイミドの厚み)×(可撓領域の幅) =20μm×600μm =1.2×10-4cm となる。また、ポリイミドの熱伝導率は1.17×10
-3(W/cm℃)であり、熱源から距離δ、すなわち可
撓領域2と半導体基板3の距離は30μmであるから、
150℃に加熱された可撓領域2から半導体基板3へ逃
げる熱Q3は Q3=1.17×10-3(W/cm・℃)×(150℃
/(30×10-4cm))×1.2×10-4(cm2
=4.2×10-3(W)=4.2(mW) となる。上記したように可動部位8は4つの可撓領域を
有しているため、全体として16.8mWの熱量とな
る。これは、加熱手段6に入力電力16.8mWを投入
することにより可撓領域2の温度を150℃に維持でき
ることを示しており、従来例の660mWに比べて、消
費電力を1/40に低減できる。
【0023】次に、ポリイミドで構成された熱絶縁領域
7の強度について考察する。図15(a)に示す両端固
定の両持梁構造のモデルを考える。図15(a)に示す
ように梁の中心に荷重Wが下から加えられた場合には、
梁のせん断力、モーメント力はそれぞれ図15(b)
(c)に示すようになる。熱絶縁領域7は、図15
(a)においては、両端の固定端25,26と梁27の
間に位置する。そこで、例えば荷重Wが1g、梁27の
中央に加わった場合(マイクロバルブの場合にオリフィ
ス500μmに46.7kPaの圧力がかかった場合に
相当する)における梁27にかかる力を求める。
【0024】梁にかかるせん断力Fは F=W/2 =1.0×10-3(kgf)/2 =0.5×10-3(kgf) =4.9×10-3(N) となり、梁にかかる最大せん断応力Fmaxは、 Fmax=F/S(Sは梁の断面積) となる。ここで、梁の幅b=600μm、梁の厚みh=
20μmとすると断面積Sは S=bh =600×10-4×20×10-4 =1.2×10-4cm2 となる。よって、梁27にかかる最大せん断応力Fma
xは、 Fmax=0.50×10-3(kgf)/1.2×10-4(cm2) =4.16(kgf/cm2) =4.16×0.098(MPa) =0.41(MPa) となる。次に、梁にかかる最大応力σmaxを求める。
最大応力σmaxは、 σmax=Mmax/Z で表される。このとき、Mmaxは最大モーメントであ
り、Zは断面係数である。最大モーメントMmaxは図
15(c)に示したとおり、Mmax=WL/8(Lは
梁の長さ800μm)であり、よって、最大モーメント
Mmaxは、 Mmax=WL/8=1.0×10-3(kgf)×800×10-4(cm)/8 =1.0×10-5(kgf・cm) =9.8×10-5(N・cm) となる。また、断面係数Zは Z=bh2/6 =1/6×600×10-4×(20×10-42 =4.0×10-8(cm3) となる。そこで、モーメントによる最大応力σmaxは σmax=Mmax/Z =1.0×10-5(kgf・cm)/4.0×10-8(cm3) =250(kgf/cm2) =24.5(MPa) となる。ここで、梁の寸法を上述したように、幅600
μm、長さ800μmとして求めた。
【0025】ポリイミドの破壊強度は30MPa程度で
あるため、上記した熱絶縁領域7で1g程度の荷重に耐
えうる半導体マイクロアクチュエータを実現できる。ま
たこの熱絶縁領域7の強度については、強度を上げるこ
とが可能である。また、ここで記載していないが、フッ
素化樹脂においても同様の効果が期待できる。
【0026】ここで、図14で示した熱絶縁領域7の形
成方法例を図16を用いて説明する。まず、図16
(a)に示すように半導体基板17の表面の熱絶縁領域
に対応する部分をKOHなどによりエッチングして溝1
5を形成する。その後、図16(b)に示すように、ポ
リイミド薄膜16をコータ等により回転塗布し、溝15
を埋め尽くすように形成する。次に、図16(c)に示
すように半導体のフォトリソ工程などにより溝15を埋
め尽くした部分のポリイミド薄膜16を残し、その他の
部分を除去するようにパターニングし、400℃程度に
加熱してポリイミド中に含まれる有機溶剤などを蒸発さ
せ固化させる。次に、図16(d)に示すように半導体
基板17の裏面よりKOHなどによりエッチングを行
う。このとき、28は枠部となる半導体基板、29は可
撓領域を示している。このような工程を経て図14に示
す熱絶縁領域7が形成される。
【0027】以上のように、熱絶縁領域7は、ポリイミ
ド、フッ素化樹脂等の樹脂材料が高い熱絶縁性(二酸化
ケイ素の約80倍)を有し、さらに液状で加工し易くス
ピンコートなどの半導体製造工程により所望の厚さ(数
μm〜数十μm)の薄膜を容易に得ることができるとい
う性質をうまく利用して、可撓領域2と半導体基板3の
間の熱絶縁領域7の可撓領域2の厚み内に形成されるの
で、従来例に比べて熱絶縁効果が優れ、かつ強度をもつ
熱絶縁構造体を半導体製造工程を用い容易に実現でき
る。また、上記したように熱絶縁領域7を可撓領域2と
ほぼ同じ厚さにすることで、半導体基板3と可撓領域2
との接合を確実にし、その接合部分の強度を強くでき
る。
【0028】ここで、半導体マイクロアクチュエータ1
の動作を説明する。加熱手段6に電力が加えられると可
撓領域2の温度が上昇する。可撓領域2の上部には可撓
領域2と異なる熱膨張係数を持つ薄膜4が形成されてい
るため、両者の熱膨張差による熱応力が発生する。例え
ば、薄膜4としてアルミニウム、ニッケル等の金属薄膜
が形成させている場合には、可撓領域2を構成するシリ
コンよりも熱膨張係数が大きいため、可撓領域2は図中
下方向へ曲げられる。可動エレメント5は可撓領域2に
連接されているため、可撓領域2の熱応力を受けて、半
導体基板3に対して下方向に変位する。
【0029】半導体マイクロアクチュエータ1において
は、中央の可動エレメント5とその周囲の4つの可撓領
域2とで十字形状の梁を構成しており、可動エレメント
5の変位は半導体基板3に対して非回転的な変位とな
り、変位の制御精度が良く大きな力を発生することがで
きる。また、上記の構成により製造プロセスが簡単であ
り、また熱絶縁性が高く小型・低消費電力で駆動可能で
ある。また、可撓領域2には可撓領域2を加熱するため
の拡散抵抗等からなる加熱手段6が設けられているので
半導体マイクロアクチュエータ1を小型化できる。
【0030】次に、上記した半導体基板3と可撓領域2
と熱絶縁領域7とにより構成される熱絶縁構造体の他の
例を説明する。本例の熱絶縁構造体は図17(a)、図
17(b)に示すように、半導体基板3と、可撓領域2
との間の厚み内に、可撓領域2の厚さとほぼ同じ厚さの
熱絶縁領域10が形成される点は図14と同じである
が、この熱絶縁領域10は上部にフッ素化樹脂あるいは
ポリイミドなどの熱絶縁材料からなる熱絶縁材料領域1
1と、下部に二酸化ケイ素などの熱絶縁領域11を構成
する材料よりも硬い薄膜で構成された補強領域12より
構成されている。尚、図17(a)は断面図、図17
(b)は上面図であり、図18は図17(b)のY−
Y’断面図である。
【0031】熱絶縁領域10の具体的な寸法としては図
18に示したように、全体の厚さが20μmであり、熱
絶縁材料領域11は19μm、補強領域12は1μmの
厚さである。そして、図17(a)に示すように熱絶縁
領域10の横方向、すなわち半導体基板3から可撓領域
2の方向の長さが30μm、そしてY−Y’方向、すな
わち奥行き方向の長さが600μmである。ここで、熱
絶縁材料領域11を構成する材料としてポリイミドを用
い、補強領域12を構成する材料として二酸化ケイ素を
使用した場合の熱絶縁領域10の強度を上記した図14
における熱絶縁領域7の強度計算と同様な条件で行う。
【0032】熱絶縁領域10の各構成材料のヤング率を
Ei、各領域の図18で示した断面の断面積をAiとする
と、底面から中立軸までの距離をηaは次式で与えられ
る。
【0033】
【数1】
【0034】補強領域12を構成する二酸化ケイ素につ
いて各値を求めると次のようになる。
【0035】
【数2】
【0036】また、熱絶縁材料領域11を構成するポリ
イミドについて各値を求めると次のようになる。
【0037】
【数3】
【0038】ここで、上記値を用いて中立軸までの距離
ηaを求めると次のようになる。
【0039】
【数4】
【0040】次に、二酸化ケイ素、ポリイミドの中立軸
に関する2次モーメントIs、Ifを求めると次のように
なる。
【0041】
【数5】
【0042】ここで、ηi=η−ηa、すなわちηiは
中立軸からの距離を示している。図15で説明したよう
に両端が固定された梁の中央に1gの荷重が加えられた
場合、梁にかかる最大モーメントMmaxは、 Mmax=1.00×10-5(kgf・cm) =9.8×1.00×10-5×10-2(N・m) となる。二酸化ケイ素の最大曲げ応力σsmaxを計算
すると、次のようになる。
【0043】
【数6】
【0044】ここで、Iiは上記各2次モーメントIs,
Ifを示している。また、ポリイミドの最大曲げ応力σ
fmaxを計算すると次のようになる。
【0045】
【数7】
【0046】よって、ポリイミドにより構成された熱絶
縁材料領域11にかかる応力は図14で示した例に比べ
約1/2となる。これは見かけ上、強度が2倍になった
ことと等価である。図17では、補強領域12を熱絶縁
材料領域11の下部に設けているが、上部であっても同
等の効果が得られる。また、上下両側に設けた場合は下
部、上部それぞれに設けた場合の2倍の効果が得られ
る。
【0047】このように、図17で示した熱絶縁領域1
0の形成方法例を図19を用いて説明する。まず、図1
9(a)に示すように半導体基板18の表面の熱絶縁領
域に対応する部分をKOHなどによりエッチングし、溝
19を形成する。その後、図19(b)に示すように熱
酸化などにより半導体基板18の表面に二酸化ケイ素薄
膜21を形成する。二酸化ケイ素薄膜21はエッチング
などにより溝19の表面部分以外は除去される。
【0048】次に、図19(c)に示すように、ポリイ
ミド薄膜22をコータなどにより回転塗布し、溝19を
埋め尽くすように形成する。さらに、図19(d)に示
すように、半導体のフォトリソ工程などにより溝19を
埋め尽くした部分のポリイミド薄膜22を残し、その他
の部分を除去するようにパターニングし、400℃程度
に加熱してポリイミド中に含まれる有機溶剤などを蒸発
させ固化させる。次に、図19(e)に示すように、半
導体基板18に裏面よりKOHなどによりエッチングを
行う。このとき、23は半導体基板、24は可撓領域で
ある。このような工程を経て、図17に示す熱絶縁領域
10が形成される。
【0049】次に、熱絶縁構造体の更に他の例を説明す
る。本例は図20(a)、図20(b)に示すように、
半導体基板3から切り離された可撓領域2と半導体基板
3との間の厚み内に可撓領域2とほぼ同じ厚さの熱絶縁
領域20が形成されている。本例では図20(b)の上
面図に示されるとおり、半導体基板3と可撓領域2のそ
れぞれが、可撓領域2のB−B’方向の外側では可撓領
域2が突出し、内側では半導体基板3が突出するように
3本の櫛刃を有する櫛刃状に形成され、それぞれの間に
熱絶縁領域20が設けられている。図20(b)のB−
B’断面図である図21に示されるように、B−B’方
向に可撓領域2、半導体基板3、熱絶縁領域20が混在
した構成となる。ここで、熱絶縁領域20はフッ素化樹
脂、ポリイミドなどにより構成される。
【0050】この熱絶縁領域20の強度を計算するため
に、具体例として図20(a)(b)に示すように熱絶
縁領域20の厚さを20μm、B−B’方向と垂直方向
の幅を30μmとする。また図21に示すように、上記
した可撓領域2と半導体基板3からなる各櫛刃のB−
B’方向の幅を180μm、熱絶縁領域20のB−B’
方向の幅を30μmとする。また、熱絶縁領域20の材
料をポリイミドとし、半導体基板3、可撓領域2がシリ
コンにより構成されるものとする。尚、比較のため図1
4の強度計算と同様の条件で熱絶縁領域20の強度を計
算する。
【0051】図21のようなシリコンとポリイミドから
なる組み合わせ構造の場合、シリコンのヤング率を
si、ポリイミドのヤング率をEPh、シリコン部の断面
2次モーメントをISi、ポリイミド部の断面2次モーメ
ントをIPh、シリコン部にかかるモーメントMSi、ポリ
イミド部にかかるモーメントをMPhとすると、以下の関
係式に従う。
【0052】
【数8】
【0053】そこで、シリコン部のモーメントMSiとポ
リイミド部のモーメントをMPhは、
【0054】
【数9】
【0055】で表される。そこで、熱絶縁構造体にかか
るモーメントMmaxは、
【0056】
【数10】
【0057】となる。
【0058】また、ポリイミド部のモーメントMPhは、
【0059】
【数11】
【0060】となる。同様にしてシリコン部のモーメン
トMSiは次のようになる。
【0061】
【数12】
【0062】ここで、シリコン部、ポリイミド部に関す
る各値を計算する。シリコンのヤング率ESi=0.19
×1012(N/m2)=1.9×1012(dyne/c
2)であり、
【0063】
【数13】
【0064】よって、ESi・ISi=1.93×10
6(kgf/cm2)×3.6×10-11(cm4)=6.
94×10-5(kgf・cm2)=6.8×10-4N・
cm2である。ポリイミドのヤング率EPhは500MP
aであり、
【0065】
【数14】
【0066】よって、EPh・IPh=5.10×10
3(kgf/cm2)×4×10-12(cm4)=2.04
×10-8(kgf・cm2)=2.00×10-7(N・
cm2)である。
【0067】ここで、ポリイミド部にかかるモーメント
MPhは次のようになる。
【0068】
【数15】
【0069】ここで、MPh=2.93×10-9(kgf
・cm)=2.87×10-8(N・cm)である。
【0070】同様にしてシリコン部にかかるモーメント
Siは次のようになる。
【0071】
【数16】
【0072】ここで、MSi=9.99×10-6(kgf
・cm)=9.79×10-5(N・cm)である。
【0073】そこで、ポリイミド部にかかる最大応力σ
Phは次のようになる。
【0074】
【数17】
【0075】ここで、Zaは断面係数である。また、シ
リコン部にかかる最大応力σSiを求めると次のようにな
る。
【0076】
【数18】
【0077】ここで、Zbは断面係数である。
【0078】よって、ポリイミドで構成された熱絶縁領
域にかかる応力は図14で示した例に比べて約1/30
0となる。これは見かけ上、強度が300倍になったこ
とと等価である。図20においては、半導体基板3と可
撓領域2により3本の櫛刃状である場合について記載し
ているが、これに限定されるものではなく、少なくとも
2本以上の櫛刃状の構造にすることにより同様の効果が
得られる。
【0079】尚、図12〜図14に示した半導体マイク
ロアクチュエータでは、可撓領域2と可動エレメント5
が一体化されて可動エレメント5が可撓領域2に連接す
るよう構成されているが、図22に示すように、可動エ
レメント5aが可撓領域2aから切り離されており、可
動エレメント5aと可撓領域2aとの間にポリイミド等
の樹脂が充填された熱絶縁領域7bが形成される構成で
あってもよい。半導体基板3aと可撓領域2aとの間に
熱絶縁領域7aが形成されている点は図12〜図14と
同じである。
【0080】半導体基板3aのほうが可動エレメント5
aより熱容量が大きく、可撓領域2aを半導体基板3a
より切り離して、その間に熱絶縁領域7aを設ける構造
であっても、拡散抵抗6aからの熱の逃げを抑制する効
果があるが、可撓領域2aより可動エレメント5aを切
り離して熱絶縁領域7bを設ける構造とすることで更に
熱絶縁性が高まり、加熱手段なる拡散抵抗6aにより効
果的に可撓領域2aと薄膜4aを加熱することができ
る。よって、消費電力の低減が図れる。
【0081】図22を説明する。半導体基板3a、可撓
領域2a、可動エレメント5aの各上面には保護薄膜9
bが設けられており、その一部の上面に保護薄膜9aが
設けられている。可撓領域2aの表面には可撓領域2a
を加熱するための加熱手段(ヒータ)なる拡散抵抗6a
が設けられており、この拡散抵抗6aに一端が接続さ
れ、可撓領域2a上部の保護薄膜9a上、熱絶縁領域7
aの下部面を介して、半導体基板3a上部の保護薄膜9
a上に設けられた例えば電極パッド(図示せず)に接続
されるアルミ配線13aが形成されている。
【0082】また、可撓領域2a上部の保護薄膜9aの
上面に可撓領域2aを構成するシリコンとは熱膨張係数
の異なる薄膜4aが設けられており、アルミ配線13a
を介して拡散抵抗6aに電力が加えられると、拡散抵抗
6aの温度が上昇し、可撓領域2のシリコンと薄膜4a
の熱膨張差により熱応力が発生して可撓領域2aが変位
し、可動エレメント5aが変位する。
【0083】図23はアルミ配線13aの形成状態を模
式的に示したものであり、可撓領域2aの上部から熱絶
縁領域7aの側部、可撓領域2aの厚み方向の一端面で
ある下面部7P、側部を介して半導体基板3aの上部に
わたって形成されている。尚、図23では保護薄膜の図
示は省略している。
【0084】図22のように構成される半導体マイクロ
アクチュエータの製造工程を図24、図25を用いて説
明する。
【0085】まず、単結晶シリコン基板80の両面に熱
酸化等によりシリコン酸化膜80aを形成し、所定形状
にパターニングされたフォトレジストをマスクとして、
単結晶シリコン基板80の裏面に設けられたシリコン酸
化膜80aのエッチングを行うことにより開口部80b
を形成し、プラズマアッシング等によりそのフォトレジ
ストを除去する。形成された開口部80bを水酸化カリ
ウム水溶液(以後、KOH水溶液と呼ぶ)等によりエッ
チングすることでギャップ80cを形成する(図24
(a))。このとき、KOH水溶液の他にTMAH(テ
トラメチル水酸化アンモニウム溶液)、ヒトラジン水溶
液などを用いてもよい。以降に述べるKOH水溶液につ
いても同様である。
【0086】次に、上記シリコン酸化膜80aを全面除
去した後、ボロン等をデポジション、熱拡散を行い、単
結晶シリコン基板80の表面にヒータとなる拡散抵抗6
aを形成する。続いて、この単結晶シリコン基板80の
両面上に熱酸化等によりシリコン酸化膜81bを形成
し、各シリコン酸化膜81bの上部に減圧CVDにより
シリコン窒化膜81aを形成する(図24(b))。
【0087】そして、所定形状にパターニングされたフ
ォトレジストをマスクとして、シリコン酸化膜81b及
びシリコン窒化膜81aのエッチングを行うことにより
開口部82を形成し、プラズマアッシング等によりフォ
トレジストを除去する(図24(c))。
【0088】次に、単結晶シリコン基板80の開口部8
2をKOH水溶液等によりエッチングすることで可動エ
レメント5aと可撓領域2aを形成する。このとき、所
望の可動エレメント5aの厚さ、及び可撓領域2aの厚
さを得るために、単結晶シリコン基板80の各面からの
エッチング開始に時間差を設けてもよい。その後、単結
晶シリコン基板80のエッチングにより、熱絶縁領域7
a,7bを形成するための溝83a,83bを形成す
る。この溝83a,83bは、後工程でポリイミド等の
有機材料を埋め込むための溝であり、その底厚が10μ
m程度の厚みとなるようにエッチングを行う(図24
(d))。
【0089】続いて、可動エレメント5a、可撓領域2
aを形成するためにエッチングされた基板表面を酸化し
て、基板にメッキするときの保護膜84を形成する(図
24(e))。
【0090】そして、単結晶シリコン基板80の上面に
アルミニウムをスパッタリング又はEB蒸着により形成
して、拡散抵抗6aに接続される電気配線なるアルミ配
線13aを形成する(図25(a))。
【0091】次に、上記溝83a,83bにポリイミド
等の有機物85を埋め込む(図25(b))。このよう
にして有機物85の下部面にアルミ配線13aが形成さ
れた構造となる。またここで、ポリイミド等の有機物8
5は半導体リソグラフィ工程を用いて所定の部分のみに
形成する。
【0092】そして次に、所定形状の金属パターンをメ
ッキなどで可撓領域2a上部のシリコン窒化膜81a
(図22の保護薄膜9a)上に形成して薄膜4aとする
(図25(c))。これにより可撓領域2aと薄膜4a
で、半導体マイクロアクチュエータの駆動源であるバイ
メタル構造となる。
【0093】次に、可撓領域2aの裏面からRIE等で
エッチングして、可撓領域2aを単結晶シリコン基板8
0の周辺部(図22での半導体基板3)及び可動エレメ
ント5aと分離させる(図25(d))。これにより、
可動エレメント5a、可撓領域2a、半導体基板3aは
各々が熱絶縁され、各々の間に熱絶縁領域7a,7bが
設けられる構成となっている。
【0094】このように半導体マイクロアクチュエータ
87が製造され、この半導体マイクロアクチュエータ8
7と所定の型に形成されたガラス基板88とを陽極接合
等により接合して図26に示すような半導体マイクロア
クチュエータを用いた半導体マイクロバルブが製造され
る。これは、その後可撓領域2a以外のダイヤフラム部
がRIE等によりエッチングされる。(図示せず) 図22におけるアルミ配線13aは、図23に示すよう
に熱絶縁領域7aの下部面に設けられているが、図27
に示すようにアルミ配線13bが熱絶縁領域7aの上面
と下面の略中間、すなわち熱絶縁領域7aの内部に設け
られるようにしてもよい。
【0095】このようにアルミ配線13bを形成するに
は、図24(e)に示す保護膜84の形成工程の後、図
24(d)の工程で形成された上記溝83aに、図25
(b)に示すポリイミド等の有機物85を埋め込む工程
により略中央部までポリイミドを埋め込み、図25
(a)に示すアルミ配線の形成工程を行い、再度図25
(b)に示す埋め込み工程により溝83aを埋めるよう
にすればよい。他の工程は図24、図25で示した通り
のためその説明を省略する。
【0096】このようにアルミ配線13bが熱絶縁領域
7aの内部に形成されているため、後工程のエッチング
工程等でのアルミの保護効果があり、信頼性の高い配線
構造が実現できる。
【0097】また、上記配線構造において、図28に示
すようにアルミ配線13cが熱絶縁領域7aの上面に設
けられるようにしてもよい。
【0098】このようにアルミ配線13cを形成するに
は、図24(e)に示す保護膜84の形成工程の後、図
24(d)の工程で形成された上記溝83aに、図25
(b)に示すポリイミド等の有機物85を埋め込む工程
によりポリイミドを埋め込み、その後図25(a)に示
すアルミ配線の形成工程にてポリイミドの上面にアルミ
配線を形成すればよい。他の工程は図24、図25で示
した通りのためその説明を省略する。
【0099】このようにアルミ配線13cが熱絶縁領域
7aの上面部に形成されているため、すなわち可撓領域
2a、熱絶縁領域7a、半導体基板3aが面一である側
の面上に形成されているので、アルミ配線が熱絶縁領域
7aの内部あるいは下面部に設けられる場合に比べて、
アルミ配線の段差が小さくなり、アルミ配線の断線防止
効果がある。
【0100】次に、図29の斜視図を用いて他の半導体
マイクロアクチュエータについて説明する。この半導体
マイクロアクチュエータ41は、シリコン等からなる枠
体となる半導体基板43と、その内方に熱絶縁領域47
を介して接合される半導体基板43より切り離された可
動部位48により構成される。この可動部位48は、一
端に下方に突出形成される中空状の可動エレメント45
と、この可動エレメント45に連接して形成される四角
片状の可撓領域42とにより構成されている。
【0101】半導体基板43と、可動エレメント45の
ない側の可撓領域42の端部との間の厚み内に、可撓領
域42の厚みと同じ厚さの熱絶縁領域47が設けられて
いる。可撓領域42は、半導体基板43を固定端とする
片持梁構造となっている。この熱絶縁領域47はフッ素
化樹脂、ポリイミド等により構成されている。また、可
撓領域42の表面には不純物拡散抵抗等によりなる加熱
手段46が設けられ、可撓領域42の上部にはアルミニ
ウム薄膜またはニッケル薄膜などのシリコンと熱膨張係
数の異なる薄膜44が形成されている。また、半導体基
板43の表面には加熱手段46の電極パッド49があ
る。ここで、半導体基板43と可撓領域42と熱絶縁領
域47により熱絶縁構造体が構成されている。
【0102】このように構成された半導体マイクロアク
チュエータ41の動作を説明する。加熱手段46に電力
が加えられると、可撓領域42の温度が上昇する。可撓
領域42の上部には可撓領域42と異なる熱膨張係数を
もつ薄膜44が形成されているためその熱膨張係数差に
より、可撓領域42に熱応力が発生する。例えば、薄膜
44がアルミニウム、ニッケル等の金属薄膜である場合
は、可撓領域42を構成するシリコンよりも熱膨張係数
が大きいため可撓領域42は図中下方向に曲げられる。
【0103】そこで、可撓領域42と連接した可動エレ
メント45は、可撓領域42の熱応力を受け、半導体基
板43に対し下方向に変位する。この場合の変位は半導
体基板43に対し、垂直方向の回転を含む。このように
可撓領域42を片持梁構造にすることにより、可撓領域
42の自由度を大きくとれ、加熱時の可撓領域42の撓
みが大きくなり、可動エレメント45の変位を大きく
し、大きな力が得られる。ここで、熱絶縁構造体は図1
4、図17、図20で示したものいずれを用いてもよ
く、上記した熱絶縁構造体の効果と同様の効果を有する
半導体マイクロアクチュエータが得られる。
【0104】本発明は、このようにして得られる高い熱
絶縁効率および簡易な製造プロセスに加えて、可動部位
の可動エレメントの変位を大きくし得る半導体マイクロ
アクチュエータを提供することを目的とする。
【0105】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明の半導体マイクロアクチュエー
タは、温度変化に応じて変位する少なくとも1つの可撓
領域、この可撓領域の一の面上に形成された薄膜、およ
び前記可撓領域の変位に応じて移動する可動エレメント
を有して成る可動部位と、この可動部位の可撓領域側を
支持する半導体基板とを備え、前記可撓領域と前記半導
体基板との間に熱絶縁領域が設けられ、前記可動エレメ
ント側に熱絶縁部が設けられて成るのである。
【0106】この構成では、薄膜が一の面上に形成され
た可撓領域が熱絶縁領域と熱絶縁部とに挟まれることに
なるので、あるいは、薄膜が一の面上に形成された可撓
領域側から可動エレメント側に逃げてくる熱が少なくな
るので、薄膜の可撓領域との接合面温度が上昇しやすく
なる。これにより、可動部位の可動エレメントの変位を
大きくすることが可能になる。
【0107】なお、請求項1記載の半導体マイクロアク
チュエータにおいて、前記熱絶縁部は前記薄膜が形成さ
れていない前記可動エレメント側全体に設けられている
構成でもよい(請求項2)。この構成では、薄膜が一の
面上に形成された可撓領域が熱絶縁領域と熱絶縁部とに
挟まれることになるので、薄膜の可撓領域との接合面温
度が上昇しやすくなる。これにより、可動部位の可動エ
レメントの変位を大きくすることが可能になる。
【0108】また、請求項1記載の半導体マイクロアク
チュエータにおいて、前記熱絶縁部は少なくとも1本の
帯状に形成されている構成でもよい(請求項3)。この
構成では、薄膜が一の面上に形成された可撓領域が熱絶
縁領域と熱絶縁部とに挟まれることになるので、あるい
は、薄膜が一の面上に形成された可撓領域側から可動エ
レメント側に逃げてくる熱が少なくなるので、薄膜の可
撓領域との接合面温度が上昇しやすくなる。これによ
り、可動部位の可動エレメントの変位を大きくすること
が可能になる。
【0109】また、請求項1記載の半導体マイクロアク
チュエータにおいて、前記可動エレメントは一方に開口
する箱状に形成され、前記熱絶縁部は前記可動エレメン
トにおける開口縁部および各コーナー部を除く領域に形
成されている構成でもよい(請求項4)。この構成で
は、薄膜が一の面上に形成された可撓領域側から可動エ
レメント側に逃げてくる熱が少なくなるので、薄膜の可
撓領域との接合面温度が上昇しやすくなる。これによ
り、可動部位の可動エレメントの変位を大きくすること
が可能になる。
【0110】また、請求項1〜4のいずれかに記載の半
導体マイクロアクチュエータにおいて、前記熱絶縁部の
構成材料がポリイミドであれば(請求項5)、加工が容
易になる。
【0111】さらに、請求項1〜4のいずれかに記載の
半導体マイクロアクチュエータにおいて、前記熱絶縁部
の構成材料はフッ素化樹脂であれば(請求項6)、加工
が容易になる。
【0112】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施形態に係
る半導体マイクロアクチュエータの断面斜視図である。
ただし、図1は図12に対応する断面等の構造を示す。
【0113】図1に示す半導体マイクロアクチュエータ
1Aは、温度変化に応じて変位する4つの可撓領域2、
これら可撓領域2の各上面上に形成された薄膜4、およ
び各可撓領域2の変位に応じて上下方向に移動する可動
エレメント5Aを有して成る可動部位8と、この可動部
位8の各可撓領域2側を支持する半導体基板3とを備
え、各可撓領域2と半導体基板3との間に熱絶縁領域7
が設けられ、可動エレメント5A側に熱絶縁部51Aが
設けられて成る。ただし、その他の具体構造について
は、上述した特願平11−304729号に記載の半導
体マイクロアクチュエータと同様の構造が各種使用形態
に応じて採用されるのは言うまでもない。
【0114】ここで、可動エレメント5Aは、上方に四
角形状の開口部を有し側面が下方に向けてテーパー状に
狭くなる断面構造の箱状に形成されている点で、図12
の可動エレメント5と類似し、当該可動エレメント5A
全体が熱絶縁部51Aとして形成される点で、図12の
可動エレメント5と相違する。このように、可動エレメ
ント5A全体を熱絶縁部51Aとして構成すれば、薄膜
4が上面に積層された各可撓領域2が熱絶縁領域7と熱
絶縁部51Aとに挟まれることになるので、加熱手段6
による各薄膜4の可撓領域2との接合面温度が一層上昇
する。これにより、可動エレメント5Aの上下方向の変
位が一層大きくなる。
【0115】図2は可動エレメントを熱絶縁部として構
成した場合とそうでない場合とで生じる薄膜の最高温度
の差を示す図である。ただし、図2は有限要素法を用い
たシミュレーション結果である。図2では、可動エレメ
ントを熱絶縁部として構成した場合の薄膜(図1の薄膜
4)の最高温度TAはそうでない場合の薄膜(図12の
薄膜4)の最高温度TBよりも高くなっている。
【0116】以上により、可動エレメント5Aの変位お
よび可動エレメント5Aから受ける力の幅が広がるの
で、可動エレメント5Aのより大きな変位または可動エ
レメント5Aからのより大きな力を必要とする様々な要
求に応えることができるようになる。また、各薄膜4の
可撓領域2との接合面に対する温度上昇に消費される電
力を低減することができる。さらに、熱絶縁部51Aの
形状が単純で加工が容易である。
【0117】なお、第1実施形態では、図12に示した
半導体マイクロアクチュエータ1に対して、全体が熱絶
縁部として形成される可動エレメントを適用したが、こ
れに限らず、図29に示した半導体マイクロアクチュエ
ータ41に対して、全体が熱絶縁部として形成される可
動エレメントを適用してもよい。この構成例を図3に示
す。この図の半導体マイクロアクチュエータ41Aは、
温度変化に応じて変位する可撓領域42、この可撓領域
42の上面上に形成された薄膜44、および可撓領域4
2の変位に応じてほぼ上下方向に移動する可動エレメン
ト45Aを有して成る可動部位48と、この可動部位4
8の可撓領域42側を支持する半導体基板43とを備
え、可撓領域42と半導体基板43との間に熱絶縁領域
47が設けられ、可動エレメント45A側に熱絶縁部4
51Aが設けられて成る。つまり、図3に示すように、
可動エレメント45A全体を熱絶縁部451Aとして形
成すれば、上記同様、可動エレメント45Aの上下変位
を大きくすることができる。
【0118】また、第1実施形態では、可動エレメント
の全体を熱絶縁部として形成する構成になっているが、
可動エレメントの一部を熱絶縁部として形成する構成で
もよい。この構成例を図4に示す。この図の半導体マイ
クロアクチュエータ1Bは、温度変化に応じて変位する
4つの可撓領域2、これら可撓領域2の各上面上に形成
された薄膜4、および各可撓領域2の変位に応じて上下
方向に移動する可動エレメント5Bを有して成る可動部
位8と、この可動部位8の各可撓領域2側を支持する半
導体基板3とを備え、各可撓領域2と半導体基板3との
間に熱絶縁領域7が設けられ、可動エレメント5B側に
熱絶縁部51Bが設けられて成る。つまり、図4に示す
ように、可動エレメント5Bの開口縁部より下側を熱絶
縁部51Bとして形成すれば、上記とほぼ同様、可動エ
レメント5Bの上下変位を大きくすることができる。
【0119】図5は本発明の第2実施形態に係る半導体
マイクロアクチュエータの断面斜視図である。ただし、
図5は図12に対応する断面等の構造を示す。
【0120】図5に示す半導体マイクロアクチュエータ
1Cは、温度変化に応じて変位する4つの可撓領域2、
これら可撓領域2の各上面上に形成された薄膜4、およ
び各可撓領域2の変位に応じて上下方向に移動する可動
エレメント5Cを有して成る可動部位8と、この可動部
位8の各可撓領域2側を支持する半導体基板3とを備
え、各可撓領域2と半導体基板3との間に熱絶縁領域7
が設けられ、可動エレメント5C側に熱絶縁部51Cが
設けられて成る。
【0121】ここで、可動エレメント5Cは、上方に四
角形状の開口部を有し側面が下方に向けてテーパー状に
狭くなる断面構造の箱状に形成されている点で、図12
の可動エレメント5と類似し、側面上方および中寄りに
2本の熱絶縁部51Cが周設されている点で、図12の
可動エレメント5と相違する。このように、可動エレメ
ント5Cの側面上方および中寄りにそれぞれ熱絶縁部5
1Cを周設すれば、薄膜4が上面に積層された各可撓領
域2が熱絶縁領域7と熱絶縁部51Cとに挟まれること
になるので、加熱手段6による各薄膜4の可撓領域2と
の接合面温度が一層上昇する。
【0122】これにより、可動エレメント5Cの上下方
向の変位が一層大きくなり、可動エレメント5Cの変位
および可動エレメント5Cから受ける力の幅が広がるの
で、可動エレメント5Cのより大きな変位または可動エ
レメント5Cからのより大きな力を必要とする様々な要
求に応えることができるようになる。また、各薄膜4の
可撓領域2との接合面に対する温度上昇に消費される電
力を低減することができる。さらに、各薄膜4の可撓領
域2との接合面温度のばらつきを低減する効果がある。
【0123】なお、第2実施形態では、可動エレメント
の側面に複数本の帯状の熱絶縁部を周設する構成になっ
ているが、この構成に限らず、可動エレメントの側面に
1本の帯状の熱絶縁部を周設する構成でもよい。この構
成例を図6に示す。この図の半導体マイクロアクチュエ
ータ1Dは、温度変化に応じて変位する4つの可撓領域
2、これら可撓領域2の各上面上に形成された薄膜4、
および各可撓領域2の変位に応じて上下方向に移動する
可動エレメント5Dを有して成る可動部位8と、この可
動部位8の各可撓領域2側を支持する半導体基板3とを
備え、各可撓領域2と半導体基板3との間に熱絶縁領域
7が設けられ、可動エレメント5D側に熱絶縁部51D
が設けられて成る。つまり、図6に示すように、可動エ
レメント5Dの側面中寄りに1本の熱絶縁部51Dを周
設すれば、上記とほぼ同様、可動エレメント5Dの上下
変位を大きくすることができる。
【0124】また、第2実施形態では、図12に示した
半導体マイクロアクチュエータ1に対して、熱絶縁部が
側面に周設される可動エレメントを適用したが、図29
に示した半導体マイクロアクチュエータ41に対して、
熱絶縁部が側面に周設される可動エレメントを適用して
もよい。この構成例を図7に示す。この図の半導体マイ
クロアクチュエータ41Bは、温度変化に応じて変位す
る可撓領域42、この可撓領域42の上面上に形成され
た薄膜44、および可撓領域42の変位に応じてほぼ上
下方向に移動する可動エレメント45Bを有して成る可
動部位48と、この可動部位48の可撓領域42側を支
持する半導体基板43とを備え、可撓領域42と半導体
基板43との間に熱絶縁領域47が設けられ、可動エレ
メント45B側に熱絶縁部451Bが設けられて成る。
つまり、図7に示すように、可動エレメント45Bの側
面上方に1本の熱絶縁部451Bを周設すれば、上記と
ほぼ同様、可動エレメント45Bの上下変位を大きくす
ることができる。
【0125】図8は本発明の第3実施形態に係る半導体
マイクロアクチュエータの断面斜視図である。ただし、
図8は図12に対応する断面等の構造を示す。
【0126】図8に示す半導体マイクロアクチュエータ
1Eは、温度変化に応じて変位する4つの可撓領域2、
これら可撓領域2の各上面上に形成された薄膜4、およ
び各可撓領域2の変位に応じて上下方向に移動する可動
エレメント5Eを有して成る可動部位8と、この可動部
位8の各可撓領域2側を支持する半導体基板3とを備
え、各可撓領域2と半導体基板3との間に熱絶縁領域7
が設けられ、可動エレメント5E側に熱絶縁部51Eが
設けられて成る。
【0127】ここで、可動エレメント5Eは、上方に四
角形状の開口部を有し側面が下方に向けてテーパー状に
狭くなる断面構造の箱状に形成されている点で、図12
の可動エレメント5と類似し、当該可動エレメント5E
における開口縁部および各コーナー部を除く領域に(別
言すると可動エレメント5Eの各壁面中央部に)熱絶縁
部51Eが形成されている点で、図12の可動エレメン
ト5と相違する。このように、可動エレメント5Eにお
ける開口縁部および各コーナー部を除く領域に熱絶縁部
51Eを形成すれば、薄膜4が上面に積層された各可撓
領域2側から可動エレメント5E側に逃げてくる熱が少
なくなるから、加熱手段6による各薄膜4の可撓領域2
との接合面温度が一層上昇する。
【0128】これにより、可動エレメント5Eの上下方
向の変位が一層大きくなり、可動エレメント5Eの変位
および可動エレメント5Eから受ける力の幅が広がるの
で、可動エレメント5Eのより大きな変位または可動エ
レメント5Eからのより大きな力を必要とする様々な要
求に応えることができるようになる。また、各薄膜4の
可撓領域2との接合面に対する温度上昇に消費される電
力を低減することができる。さらに、可動エレメント5
Eが移動することで接する箇所に高い圧力が要求される
場合に有効である。
【0129】なお、第3実施形態では、図12に示した
半導体マイクロアクチュエータ1に対して、可動エレメ
ントにおける開口縁部および各コーナー部を除く領域に
形成される熱絶縁部を適用したが、図29に示した半導
体マイクロアクチュエータ41に対して、可動エレメン
トにおける開口縁部および各コーナー部を除く領域に形
成される熱絶縁部を適用してもよい。この構成例を図9
に示す。この図の半導体マイクロアクチュエータ41C
は、温度変化に応じて変位する可撓領域42、この可撓
領域42の上面上に形成された薄膜44、および可撓領
域42の変位に応じてほぼ上下方向に移動する可動エレ
メント45Cを有して成る可動部位48と、この可動部
位48の可撓領域42側を支持する半導体基板43とを
備え、可撓領域42と半導体基板43との間に熱絶縁領
域47が設けられ、可動エレメント45C側に熱絶縁部
451Cが設けられて成る。つまり、図9に示すよう
に、可動エレメント45Cにおける開口縁部および各コ
ーナー部を除く領域に熱絶縁部451Cを形成すれば、
上記同様、可動エレメント45Cの上下変位を大きくす
ることができる。
【0130】また、上記各実施形態において、熱絶縁部
の構成材料としてポリイミドまたはフッ素化樹脂などを
使用すれば、加工が容易になる。
【0131】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、請求項
1記載の発明によれば、温度変化に応じて変位する少な
くとも1つの可撓領域、この可撓領域の一の面上に形成
された薄膜、および前記可撓領域の変位に応じて移動す
る可動エレメントを有して成る可動部位と、この可動部
位の可撓領域側を支持する半導体基板とを備え、前記可
撓領域と前記半導体基板との間に熱絶縁領域が設けら
れ、前記可動エレメント側に熱絶縁部が設けられて成る
ので、可動部位の可動エレメントの変位を大きくするこ
とが可能になる。
【0132】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の半導体マイクロアクチュエータにおいて、前記熱絶
縁部は前記薄膜が形成されていない前記可動エレメント
側全体に設けられているので、可動部位の可動エレメン
トの変位を大きくすることが可能になる。
【0133】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の半導体マイクロアクチュエータにおいて、前記熱絶
縁部は少なくとも1本の帯状に形成されているので、可
動部位の可動エレメントの変位を大きくすることが可能
になる。
【0134】請求項4記載の発明によれば、請求項1記
載の半導体マイクロアクチュエータにおいて、前記可動
エレメントは一方に開口する箱状に形成され、前記熱絶
縁部は前記可動エレメントにおける開口縁部および各コ
ーナー部を除く領域に形成されているので、可動部位の
可動エレメントの変位を大きくすることができる。
【0135】請求項5記載の発明によれば、請求項1〜
4のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータに
おいて、前記熱絶縁部の構成材料がポリイミドであるの
で加工が容易になる。
【0136】請求項6記載の発明によれば、請求項1〜
4のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータに
おいて、前記熱絶縁部の構成材料はフッ素化樹脂である
ので加工が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体マイクロア
クチュエータの断面斜視図である。
【図2】可動エレメントを熱絶縁部として構成した場合
とそうでない場合とで生じる薄膜の最高温度の差を示す
図である。
【図3】図1の熱絶縁部の構造を適用した別の半導体マ
イクロアクチュエータの断面斜視図である。
【図4】図1の熱絶縁部の別構造例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体マイクロア
クチュエータの断面斜視図である。
【図6】図5の熱絶縁部の別構造例を示す図である。
【図7】図5の熱絶縁部に類似の構造を適用した別の半
導体マイクロアクチュエータの断面斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る半導体マイクロア
クチュエータの断面斜視図である。
【図9】図8の熱絶縁部の構造を適用した別の半導体マ
イクロアクチュエータの断面斜視図である。
【図10】従来の半導体マイクロアクチュエータの構造
を示す上面図である。
【図11】従来の半導体マイクロアクチュエータの構造
を示す断面図である。
【図12】特願平11−304729号に記載の半導体
マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図
である。
【図13】(a)および(b)はそれぞれ図12の半導
体マイクロアクチュエータの断面図および上面図であ
る。
【図14】図12、図13に示す熱絶縁構造体の構造を
示す断面図である。
【図15】図12、図13に示した熱絶縁構造体の強度
を求めるために用いる構造モデルを示すものであって、
(a)は模式図、(b)はせん断力の分布図、(c)は
モーメントの分布図である。
【図16】(a)から(d)はいずれも図12、図13
に示した熱絶縁構造体の製造工程を示す断面図である。
【図17】特願平11−304729号に記載の他の熱
絶縁構造体の構造を示し、(a)は断面図、(b)は上
面図である。
【図18】図17(b)に示す熱絶縁構造体のY−Y’
で切断した断面図である。
【図19】(a)から(e)はいずれも図17に示した
熱絶縁構造体の製造工程を示す断面図である。
【図20】特願平11−304729号に記載のさらに
他の熱絶縁構造体の構造を示すものであって、(a)は
断面図、(b)は上面図である。
【図21】図20(b)に示す熱絶縁構造体のB−B’
で切断した断面図である。
【図22】特願平11−304729号に記載の半導体
マイクロアクチュエータの他の構造を示す断面図であ
る。
【図23】同上の半導体マイクロアクチュエータにおけ
るアルミ配線の構造を示す断面図である。
【図24】同上の半導体マイクロアクチュエータの製造
方法を示す図であって、(a)から(e)はいずれも断
面図である。
【図25】同上の半導体マイクロアクチュエータの製造
方法を示す図であって、(a)から(d)はいずれも断
面図である。
【図26】同上の半導体マイクロアクチュエータを用い
た半導体マイクロバルブの構造を示す断面図である。
【図27】特願平11−304729号に記載の半導体
マイクロアクチュエータにおけるアルミ配線の他の構造
を示す断面図である。
【図28】特願平11−304729号に記載の半導体
マイクロアクチュエータにおけるアルミ配線の更に他の
構造を示す断面図である。
【図29】特願平11−304729号に記載の半導体
マイクロアクチュエータの構造を示す一部破断の斜視図
である。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D,1E 半導体マイクロアクチ
ュエータ 2 可撓領域 3 半導体基板 4 薄膜 5A,5B,5C,5D,5E 可動エレメント 51A,51B,51C,51D,51E 熱絶縁部 7 熱絶縁領域 8 可動部位 41A,41B,41C 半導体マイクロアクチュエー
タ 42 可撓領域 43 半導体基板 44 薄膜 45A,45B,45C 可動エレメント 451A,451B,451C 熱絶縁部 47 熱絶縁領域 48 可動部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齊藤 公昭 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 豊田 憲治 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 友成 恵昭 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 河田 裕志 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 吉田 仁 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 鎌倉 將有 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 吉田 和司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度変化に応じて変位する少なくとも1
    つの可撓領域、この可撓領域の一の面上に形成された薄
    膜、および前記可撓領域の変位に応じて移動する可動エ
    レメントを有して成る可動部位と、この可動部位の可撓
    領域側を支持する半導体基板とを備え、前記可撓領域と
    前記半導体基板との間に熱絶縁領域が設けられ、前記可
    動エレメント側に熱絶縁部が設けられて成る半導体マイ
    クロアクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記熱絶縁部は前記薄膜が形成されてい
    ない前記可動エレメント側全体に設けられている請求項
    1記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記熱絶縁部は少なくとも1本の帯状に
    形成されている請求項1記載の半導体マイクロアクチュ
    エータ。
  4. 【請求項4】 前記可動エレメントは一方に開口する箱
    状に形成され、前記熱絶縁部は前記可動エレメントにお
    ける開口縁部および各コーナー部を除く領域に形成され
    ている請求項1記載の半導体マイクロアクチュエータ。
  5. 【請求項5】 前記熱絶縁部の構成材料はポリイミドで
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の半導体マイクロア
    クチュエータ。
  6. 【請求項6】 前記熱絶縁部の構成材料はフッ素化樹脂
    である請求項1〜4のいずれかに記載の半導体マイクロ
    アクチュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003045838A1 (en) * 2001-11-29 2003-06-05 Aoi Electronics., Co., Ltd Nano gripper and method of manufacturing the nano gripper
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KR100804031B1 (ko) * 2001-11-29 2008-02-18 가부시키가이샤 테크노 네트워크 시코쿠 나노 그리퍼 및 그 제조방법

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