JP3704529B2 - 顕微鏡観察システムおよび顕微鏡画像の表示方法 - Google Patents

顕微鏡観察システムおよび顕微鏡画像の表示方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として医療・生物系の顕微鏡観察に利用されるシステムに係り、特に病理分野での観察やテレパソロジー、テレコンサルテーション等の遠隔病理診断を高効率で行う顕微鏡観察システムおよび顕微鏡画像の表示方法に関する。
従来、例えば医療分野においては、顕微鏡を用いた病理診断が必須の診断項目とされている。そして、遠隔地の病院から大学等に顕微鏡画像を伝送し、該顕微鏡画像を基に大学の病理専門医が診断を行うためのシステムも提案されている。このようなシステムは、主としてリアルタイムの顕微鏡動画像を扱うシステムと静止画像を扱うシステムとの2つに大別される。
例えば、この静止画像を扱うシステムには、顕微鏡静止画像を親子関係によって取り込み、保存や管理をするシステムがある。このシステムは、低倍率の対物レンズで取り込んだ画像上で高倍率のレンズで観察したい領域を指定し、その領域の画像を拡大して取り込むものである。そして、この低倍率の画像は親画像、高倍率の画像は子画像と称される。このように、このシステムは観察経過を構造的に残すことができデータ量も少ないので一般的な通信回線でも実現することができる。
しかしながら、前述したリアルタイムの顕微鏡動画像を扱うシステムでは、動画は静止画に比べて情報量が多いため、画像を伝送する通信回線が高価なものになってしまう。即ち、現状においては衛星や光ファイバを利用する以外に手段がないため実用的ではない。さらに、観察経過における診断記録を全てファイリングして検索し、再生することは通信回線やディスク容量、処理能力等の理由で実用的ではない。そして、一度取り込んだ画像は取り込んだ後から焦点を調節できないという問題もある。特に、細胞診断においては焦点をずらしながら顕微鏡を覗き診断を下すということがよくあるが、このようなスタンドアローンの顕微鏡での手法により観察ができないことも従来のシステムの問題点である。
一方、前述した静止画像を扱うシステムでは、静止画を転送する場合に一度取り込み転送してしまった画像は、後から焦点を調整し直すことができないといった問題がある。また、特に細胞診においては、標本自体にある程度の厚みがあるため、焦点の合う位置は必ずしも1ケ所とは限らない。このような場合に、通常の顕微鏡観察のように、ある対象の焦点をずらしながら観察するような使い方ができないことも問題となっている。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、顕微鏡画像における所望とする対象の焦点位置を変えた画像の観察を可能とし、更には操作性、データ取り込み・圧縮効率を向上させる顕微鏡観察システムおよび顕微鏡画像の表示方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、標本の観察画像を取り込む手段と、取り込んだ画像を保存する手段と、観察画像の焦点位置を変化させる手段とを備えた顕微鏡観察システムであって、第1の観察画像を取り込んで表示する手段と、表示された第1の観察画像の一部分の領域を指定する手段と、前記指定した領域について、前記第1の観察画像とは焦点位置を変化させた同一倍率の標本画像を取り込んで部分画像として保存する部分画像取得手段とを備え、前記部分画像を、第1の観察画像の対応する領域に嵌め込んで表示することを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記部分画像取得手段は、同じ領域に対して焦点位置の異なる複数の部分画像を取り込んで保存し、前記第1の観察画像に嵌め込んで表示する画像を前記焦点位置の異なる複数の部分画像の中から選択する選択手段をさらに備えたことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記指定する手段は、前記第1の観察画像の互いに異なる複数の部分画像を指定可能であり、前記部分画像取得手段は、指定された複数の部分領域に対してそれぞれ前記部分画像を取得し、前記選択手段は、前記第1の観察画像に嵌め込んで表示する画像を前記複数の部分領域ごとに独立して選択可能であることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、厚みのある標本の顕微鏡画像の表示方法であって、標本の一視野を所定倍率で取り込んだ全体画像と、この全体画像の一部分の領域について異なる焦点位置で取り込まれた同一倍率で複数の部分画像とを用いて、前記全体画像のうち前記部分画像が取り込まれている領域に対して、全体画像とは焦点位置の異なる部分画像を前記全体画像に嵌め込んで表示することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記部分画像は、前記全体画像の互いに異なる複数の部分領域に対してそれぞれ取り込まれており、前記全体画像に嵌め込んで表示する画像を、前記複数の部分画像ごとに独立して選択可能にするための選択手段とともに表示することを特徴としている。
本発明によれば、顕微鏡画像における所望とする対象の焦点位置を変えた画像の観察を可能とし、更には操作性、データ取り込み・圧縮効率をも向上させた顕微鏡観察システムおよび顕微鏡画像の表示方法を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡遠隔観察システムの構成を示すブロック図である。
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る顕微鏡遠隔観察システムは、実際に顕微鏡を操作して画像を取り込む依頼側端末100と、この依頼側端末100より通信回線11を介して送信された画像データに基づき所望とする顕微鏡画像を観察する観察側端末101とで構成されている。そして、この依頼側端末100はパソコン部12と顕微鏡部13と会議用電話機10で構成されており、上記観察側端末101はパソコン部12´と会議用電話機10´とで構成されている。さらに、上記依頼側端末100は、詳細には図1(b)に示すような構成となっている。即ち、上記パソコン部12は全体を制御するパーソナルコンピュータ1とCRTディスプレイ2、ポインティングデバイスであるマウス3、入力機器であるキーボード4、フレームメモリ5、TVモニタ6とで構成されている。
そして、上記顕微鏡部13はカメラコントロールユニット(CCU;Camera Control Unit) 7と顕微鏡8、TVカメラ9とで構成されている。さらに、上記会議用電話機10は受話機を持たずに会話ができるもので、通信回線11を介して観察側端末101における会議用電話機10´に接続されている。尚、上記観察側端末101におけるパソコン部12´は、上記依頼側端末100におけるパソコン部12と同一構成であるので、ここでは説明を省略する。
このような構成において、上記依頼側端末100における顕微鏡8はパーソナルコンピュータ1によって制御され、そのステージ15のx,y,z方向への移動が指示される。そして、画像データは顕微鏡8に取り付けられたカメラ9により取り込まれ、ファイルとして記録するときには圧縮される。さらに、顕微鏡画像の遠隔観察の際には、このカメラ9により取り込まれた画像データは通信回線11を介して観察側端末101へと転送される。
そして、第1の実施の形態に係る顕微鏡遠隔観察システムは、x,y座標、対物レンズ14の倍率及び親画像によって決定される一つの対象に対して、焦点を変えた複数の顕微鏡拡大画像を取り込むことを可能とした事に特徴を有している。
次に、図2を参照して顕微鏡画像間の親子関係について説明する。
図2(a)に示すように、本実施の形態では、画像はx,y平面上での対物レンズ14の切り替えによる拡大・縮小の関係である親子関係により全て管理されており、更には同一の対物レンズ14でとらえた同一座標の画像をステージ15の光軸方向であるz方向に操作して複数枚の静止画として取り込み親子関係と共に管理している。例えば、図2(a)に示す画像1〜5は、図2(b)に示す焦点位置1〜5をずらして同一対象を取り込んだ画像である。このように、焦点位置をずらした顕微鏡画像を比較することにより、遠隔地にいても自ら顕微鏡を操作し観察するときと同等の顕微鏡画像の観察が可能となる。
以下、図3のフローチャートを参照して、第1の実施の形態による画像取り込みの動作について詳細に説明する。
先ず、ステップS101ではマウス3やキーボード4などにより画像の属性を設定し、パーソナルコンピュータ1に入力する。この属性値としてはステージ15のx,y座標、対物レンズ14の倍率及び親画像があるが、本実施の形態では、これらデータが等しい画像を同一対象に対する画像として一つにまとめて取り扱う。
続いて、ステップS102では顕微鏡8のステージ15をz方向に動かすことでピント合わせを行う。この操作はオートフォーカスの顕微鏡であれば全自動で行う事ができる。さらに、ステップS103ではTVカメラ9により顕微鏡画像の取り込みを行う。
そして、ステップS104では移動後のステージ15のz座標を取得する。このz座標の違いによって、同一対象の複数画像を区別する。尚、このデータはステップS101で入力した他の属性値とまとめてパーソナルコンピュータ1に記録される。
次に、ステップS105では画像の取り込み、圧縮を行う。ここで、フレームメモリ5上に記録されている画像データは図示しない画像圧縮伸長装置によってデータ圧縮され、この圧縮データがファイルとして記録される。
続いて、ステップS106では画像の取り込みを終了するか否かを確認し、終了するならばループを抜け、終了せずに画像を取り込むならばステップS107でステージ15のz座標を調節する。この調節は手動でも自動でもよい。
そして、ステップS108では、取り込んだ画像を取り込まれた順序に関わらずz座標によって高さ順にソートする。このとき、ステージ15が設置台から離れている方、即ち対物レンズ14に近い方が上である。このソートにより、画像をまとめて見るとあたかもステージ15を上から下へと動かしたように見えるのである。尚、この上下は反対方向でもよいことは勿論である。こうして、ステップS109で全ての取り込みを終了する。そして、取り込み終了後は通信観察中であれば観察側端末に画像を転送する。
以上のようにして取り込んだ画像は、親子関係を利用して表示・観察することができる。即ち、図4に示すように、同一対象に関する画像が複数枚ある場合は画像の横にスクロールバー19が表示され、このスクロールバー19のアイコン20,22をマウス3でクリックすることでアイコン21を上下し、表示される画像を1フレームずつz座標値が高いもの、低いものへと変える。
このアイコン21はz方向の値でソートされた画像の中で表示中の画像がどの位置にあるかを示すもので、該アイコン21を動かすことによって表示画像を変えることもできる。そして、これらアイコン21の操作で実際の高さ順に画像が表示される。つまり、アイコン21を上へ動かせば上の画像が見え、下に動かせば下の画像が見えるようになる。
尚、画像間の関係の概念図は先に図2に示した通りで、そのツリー構造図は図5に示す通りであり、全ての画像は標本単位の親子関係の中に属している。
そして、同一対象に対する画像はz座標値以外の全ての属性が同じなので、一つにまとめて取り扱われる。また、z座標値によってソートされているので、高さ順に並んでいる。この画像同士はシーケンシャルあるいはランダムに呼び出し合うことができる。そして、同一対象に対する画像は、親子関係という観点からは全て同じに扱われる。即ち、この複数画像中のどの画像からでも同一の親画像或いは子画像を呼び出して表示することができる。
さらに、一般的な親子関係は、画像の大きさ、即ち対物レンズ14の倍率とステージ15上での座標位置(x,y)による画像の関係であったが、この親子関係にz座標の関係を加えたのが同一対象に対する複数画像という関係である。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る顕微鏡画像観察システムでは、同一対象に対して焦点をずらした複数の画像を取り込んで比較することができ、更には、それらを一つにまとめて管理することで、顕微鏡画像の遠隔観察をより高効率のものとしている。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、画像を取り込むときのステージ15のz座標を画像毎に独自に設定していた。これに対して、第2の実施の形態では、取り込み枚数と各画像間の間隔とを初めに設定し、顕微鏡8のステージ15を制御することによって数フレーム〜十数フレームの画像を連続的に取り込むことを可能にする。また、その再生を高速で実行すれば動画的な再生も可能となる。尚、第2の実施の形態の構成は先に図1に示した第1の実施の形態の構成とほぼ同じであるため説明は省略する。
以下、図6のフローチャートを参照して、第2の実施の形態による画像取り込みの動作について説明する。
ステップS201では画像の属性をマウス3、キーボード4により設定し、パーソナルコンピュータ1に入力する。この属性値としては第1の実施の形態と同様にx,y座標、対物レンズ14の倍率及び親画像があるが、本実施の形態ではこれらに加えてフレーム間ピッチpと取り込み枚数nを設定する。このpとnが画像の連続取り込みのパラメータとなる。
続いて、ステップS202ではステージ15を顕微鏡8のオートフォーカス機能によってz方向に動かしてピントを合わせる。更に、ステップS203では、このときの値を得る。この焦点位置Z0 を連続取り込みの中央の座標とする。そして、ステップS204ではz座標を取り込み範囲の最大値まで移動する。このときの最大値、最小値は次式で示される。
Z=Z0 +1/2×(n−1)pZ=Z0 −1/2×(n−1)p
そして、ステップS205のループで画像取り込みをn枚連続して行い、ステップS206では、移動後のステージ15のz座標を取得する。このz座標の違いによって同一対象の複数画像を区別する。そして、このデータはステップS211で入力した他の属性値とまとめて記録される。さらに、ステップS207では画像の取り込み、圧縮を行う。ここで、フレームメモリ5上に記録されている画像データは、図示しない画像圧縮伸長装置によってデータ圧縮され、その圧縮データがファイルとして記録される。そして、ステップS208では、次の画像の取り込み位置にステージ15を移動させる。画像間の距離はピッチpで設定されているので移動後の座標は次式で示される。
Z=Z−p
こうしてn枚の画像の取り込みが終了するとループを抜け、ステップS209で取り込み終了となる。第1の実施の形態と異なり高さ順に画像を取り込んでいるので改めてソートする必要はない。
このようにして、取り込んだ画像の表示・観察は、第1の実施の形態と同様にスクロールバーによる画像の選択による。ここで、第1の実施の形態と大きく違う点は、画像の伸長・再生速度が速ければ(約1枚当り1/10秒以下)、取り込んだ画像の連続再生は動画に見えるという点である。即ち、各画像間のピッチはpによって一定なのでステージ15をz方向に一定速度で動かした状態を見ているのと同じことになる。尚、画像間の親子関係については第1の実施の形態と同様である。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、手動による選択で画像1枚づつピントを気にして作業に手間をかけることなく、複数画像の取り込みを自動化することによって操作性を向上することができる。更には、動画としての再生を可能とすることで、手元の顕微鏡の操作による観察により近づけることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
前述した第1及び第2の実施の形態では、焦点をずらした複数の画像データを持つことになるので、その複数画像の中の所望とする特定画像をマーキングしておく必要がある。そこで、第3の実施の形態は、同一対象に対する複数画像へのマーキング機能を備えたものである。尚、第3の実施の形態の構成は図1に示した第1の実施の形態の構成とほぼ同じであるため、ここでは説明を省略する。
このマーキング機能によりユーザが特定の画像をマーキングするのは非常に簡単である。即ち、図7に示すように、ディスプレイ2上に表示されたマーク釦23をマウスでクリックすれば、表示中の画像がマーキングされるのである。この時、システム内部では表示中の画像の画像取り込み時に入力した画像属性データ中のマーキングのフラグを“オン”にする。
一方、画像の表示・再生時にはマークされたものとそれ以外のものを区別しなければならない。そこで、図8に示すように、区別するためにスクロールバー19上のアイコン26の色を表示されている画像によって変える。即ち、マークされていない画像ではアイコン26は特に色はついていない。そして、スクロールバー19を操作して表示画像を変えたときマーキングされた画像であればアイコン26は色が変わる。この図8に示す二つの三角形が描かれている釦25をクリックすると、画像の表示は高さ順の1枚づつの表示(この場合、釦24をクリック)ではなく、マーキングされているものだけのスキップ表示になる。
さらに、複数画像の連続取り込みを行うと当然静止画1枚だけの転送よりも転送時間が長くなる。この時間を短くするためには画像の圧縮率を上げなければならないため画質は自ずと低下する。そこで、本実施の形態ではマーキングした画像の低圧縮・高画質による再取り込みを可能にする。
以下、図9のフローチャートを参照して、第3の実施の形態による再取り込みの動作について説明する。
先ず、ステップS301では表示中の画像の属性データを再びマウス3、キーボード4によりパーソナルコンピュータ1に入力する。このデータは1度目の取り込み時に設定されたものである。続いて、ステップS302では顕微鏡8のステージ15を動かし、ステップS303では対物レンズ14を切り替える。そして、ステップS304では圧縮率を低く高画質にする。
そして、ステップS305では画像を取り込む。尚、高画質の画像がこの取り込みで得られたので低画質の画像は必要ない。よって、ステップS306では元の画像を消去する。こうしてステップS307で全ての動作を終了する。
このようにして取り込まれた画像は依頼側端末100から観察側端末101へと転送されて両端末で同時に見ることができる。そして、この画像は画像同士の関係の中では図10に示すように再取り込みした画像が位置していた場所に示される。
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、観察側でのマーキングにより依頼側端末100では観察側端末101の観察者がどこに注目しているかを把握することができる。さらに、子画像を取り込むときに、親画像となる複数画像群の中でマーキングされたものがある場合に、ピントを合わせるべき位置を依頼側端末100が把握することができる。
そして、観察・診断終了時に再び再生するとき、観察側端末101の観察者が注目していた位置も把握することができる。また、低圧縮での連続取り込みとマーキングしたものの再取り込みを組み合わせることにより、転送時間の短縮と必要なところの高画質化を両立することもできる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
前述した第1乃至第3の実施の形態のように全ての対象に対して画像全体の連続取り込みを行うとデータ量が増え、第3の実施の形態のように特定画像をマーキングをしても注目しているのが画像全体の中のどの部分なのかは記録に残らない。
これに対して、第4の実施の形態は画像の一部分のみを指定し、その部分だけの連続取り込みを行うようにしたシステムである。ここで、一部分のみを取り込んだ画像を部分画像と称し、対象全体を取り込んだ画像を全体画像と称す。
さらに、第4の実施の形態では、この部分画像の中で注目したもののz座標値を用いて、全体を焦点位置を変えた画像として追加取り込みできるようにした。尚、第4の実施の形態の構成は先に図1に示した第1の実施の形態の構成とほぼ同じであるため説明は省略する。
以下、図11のフローチャートを参照して、第4の実施の形態による部分画像取り込みの動作について説明する。
先ず、ステップS401では、部分画像の取り込み範囲を指定する。これは図12に示すように、マウスポインティング27を所望とする位置に移動させ、マウス3をクリックすることにより全体画像上で指定することができる。このステップS401では指定した取り込み範囲も入力する。
続いて、ステップS402では画像の属性を入力する。このステップで前述した第1及び第2の実施の形態と違うのは、親画像の代りに全体画像が属性値として入力される点である。そして、連続取り込みの設定は前述した第2及び第3の実施の形態と同様にフレーム間ピッチpと取り込み枚数nによって決められる。
そして、ステップS403では連続取り込みを行う。この手順は第2の実施の形態と同様である。但し、圧縮してファイルに残す画像データは、図13に示す取り込み指定範囲28の中の画像に係るデータだけである。こうして、画像データを取り込むと、ステップS404で全ての取り込みを終了する。
このようにして取り込まれた画像間の関係は図13に示す通りであり、更に図14はそのツリー構造図である。同図に示すように、全ての画像は標本単位の親子関係の中に属しており、同一対象に対する複数画像という関係は第1乃至第3の実施の形態と同じである。
さらに、本実施の形態では、これらの関係に加え全体画像と部分画像という関係が加わる。この全体画像とは従来取り込んでいたフルサイズの画像であり、部分画像とは同じ対象の一部分の領域だけを取り込んだ画像である。そして、ある領域を連続取り込みした部分画像の集まりを部分画像群という。尚、一つの全体画像上に複数の場所を指定した部分画像群があっても構わない。
そして、同一対象に対する複数画像という関係は全体画像においても部分画像においても成立する。この全体画像と部分画像という関係は親画像と子画像の関係に似ているが表示方法が全く違う。
この部分画像は図15に示すように、全体画像上ではその範囲を示す矩形30によって表示される。この場合、子画像を示す矩形29と部分画像の矩形30は表示方法を変えて区別する必要がある。そして、この違いを表す方法としては、図15に示すように、矩形の色を変える方法や矩形の太さを変える方法、片方の矩形の角を丸めて表示する方法などが考えられる。
ここで、一つの対象、一つの全体画像群上には複数の部分画像群が存在する。そして、これらの表示・再生方法としては、第1乃至第3の実施の形態のような一つのスクロールバーを用いる方法と、各部分画像群毎にスクロールバーを出す方法とがある。先ず、図16を参照して、一つのスクロールバーによる表示方法について説明する。
図16(a)に示すように二つの部分画像群31,32が画面上にあり、各画像のz座標は図16(b)に示すようになっている。この時、二つの部分画像は同じz座標値のものが表示される。但し、各部分画像群のz座標の最大値・最小値は等しいとは限らないので、そのときはz座標の値が違う画像が表示される。例えば、図16(b)のaが表示されているときはa′が同時に表示され、全体画像が複数枚取り込まれているときは部分画像のz座標に最も近いz座標値のものが表示される。しかし、複数の部分画像群があったとき、取り込んでいる対象が違うのだから、焦点の合う位置は異なっているはずである。それならば各部分画像ごとにスクロールバーを出し、表示する画像を選択できる方がよい。そこで、図17を参照して、部分画像毎にスクロールバーを出す表示方法について説明する。
図17に示すように、部分画像を表す矩形上でマウス3をクリックすると、横にスクロールバー34が表示される。初めから表示されていないのは画像全体の観察に邪魔だからである。表示する部分画像を変える方法は今までのスクロールバー35による画像表示方法と同様である。
そして、一つの部分画像群の表示調節が終わったら、別の部分画像の矩形内をクリックすれば良い。すると、その部分画像の横にまたスクロールバー34が表示され、表示画像を変えることができるようになる。また、全体画像が複数の時は今までの実施の形態通りにスクロールバー35が全体画像の横に表示される。これを動かせば全体画像の表示を変えることができる。
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、連続取り込みをする領域が小さいので取り込み・圧縮速度が速くなりデータ量が少なくなる。さらに、注目する対象のみを連続取り込みするので、観察経過がより明確に残せる。そして、特に顕微鏡の最高倍率で取り込んだ画像の中の重要な部分に係るデータを記録しておくことができる。また、適切な焦点位置の画像のみ全体の再取り込みをすることが出来るのでデータ量を減らすことができる。そして、部分画像毎の表示により一つの対象中の複数の注目部分を適切なフォーカスの画像で同時に観察することができる。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
前述した第4の実施の形態では、既に取り込まれている全体画像の上で部分画像の連続取り込みを指定している。これに対して、第5の実施の形態は、子画像取り込み時に部分画像の範囲指定を行い、子画像全体は連続取り込みしないで1枚だけの取り込みとして、部分画像の連続取り込みを子画像取り込み時に行うことに特徴を有している。尚、第5の実施の形態の構成は図1に示す第1の実施の形態の構成とほぼ同じであるため説明は省略する。
以下、図18のフローチャートを参照して、第5の実施の形態による画像取り込み方法について説明する。
先ず、ステップS501では子画像取り込み指定をする。続いて、ステップS502では部分取り込みの範囲を指定する。即ち、図19に示すように親画像上に描かれた取り込むべき子画像の矩形38の中に、小さい矩形37をマウスポインティング36を移動させ、マスス3をクリックすることで指定する。
そして、ステップS503では、上記子画像上での実際の部分取り込み範囲をステップS5011とステップS502の指定データから求める。これは、図20に示す通りである。即ち、図20において、親画像及び子画像の画素数をX,Yとし、子画像指定領域x,yに対する子画像指定時の部分画像領域39の相対座標を(x1,y1)、(x2,y2)とすると、子画像上での実際の部分画像の範囲40の座標(X1,Y1)、(X2,Y2)は次式で示される。
X1=X/x×x1,Y1=Y/y×y1X2=X/x×x2,Y2=Y/y×y2
続いて、ステップS504では子画像を取り込む。この時は子画像全体の画像は1枚しか取り込まない。そして、ステップS505で部分画像の連続取り込みを行う。この時の方法は、先に図16(a),(b)に示した第4の実施の形態の部分画像取り込みと同じである。尚、画像間の関係、表示・再生共に第4の実施の形態と同様である。
以上説明したように、第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態の機能に加えて子画像取り込み時に特に注目する部分を指定することができる。
以上詳述したように、本発明の顕微鏡遠隔観察システムによれば、同一対象に対して焦点をずらした複数画像を取り込んで比較することを可能とし、顕微鏡画像の遠隔観察をより高効率のものとしている。更には、複数画像の取り込みを自動化することで操作性を向上することもできる。そして、画像取り込み、圧縮速度を向上させデータ量自体も縮小させることができる。
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されることなく、種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る顕微鏡遠隔観察システムの構成を示すブロック図である。 (a)及び(b)は、画像間の親子関係について説明するための図である。 第1の実施の形態による画像取り込みの動作について説明するためのフローチャートである。 同一対象の画像が複数枚ある場合に、表示されるスクロールバーを示す図である。 画像間の関係を示すツリー構造図である。 第2の実施の形態による画像取り込みの動作について説明するためのフローチャートである。 第2の実施の形態のマーキング機能によりユーザが特定の画像をマークキングする場合に使用されるマークを示す図である。 画像の表示・再生時にマークキングされた画像とそれ以外の画像とを区別する手法について説明するための図である。 第3の実施の形態による再取り込みの動作について説明するためのフローチャートである。 画像間の関係を示すツリー構造図である。 第4の実施の形態による部分画像取り込みの動作について説明するためのフローチャートである。 部分画像の取り込み範囲の指定について説明するための図である。 画像間の関係を示す概念図である。 画像間の関係を示すツリー構造図である。 子画像を示す矩形と部分画像の矩形とを区別する手法について説明するための図である。 (a)及び(b)は一つの対象、一つの全体画像群上に存在する複数の部分画像群の一つのスクロールバーによる表示方法について説明するための図である。 一つの対象、一つの全体画像群上に存在する複数の部分画像群の部分画像ごとにスクロールバーを出す表示方法について説明するための図である。 第5の実施の形態による画像取り込み方法について説明するためのフローチャートである。 親画像上に描かれた取り込むべき子画像の矩形中に小さい矩形を指定した様子を示す図である。 子画像上での実際の部分取り込み範囲を指定データから求める手法について説明するための図である。
符号の説明
1…パーソナルコンピュータ、2…CRTディスプレイ、3…マウス、4…キーボード、5…フレームメモリ、6…TVモニタ、7…カメラコントロールユニット、8…顕微鏡、9…TVカメラ、10,10´…会議用電話、11…通信回線、12,12´…パソコン部、13…顕微鏡部、14…対物レンズ、15…ステージ。

Claims (5)

  1. 標本の観察画像を取り込む手段と、取り込んだ画像を保存する手段と、観察画像の焦点位置を変化させる手段とを備えた顕微鏡観察システムであって、
    第1の観察画像を取り込んで表示する手段と、
    表示された第1の観察画像の一部分の領域を指定する手段と、
    前記指定した領域について、前記第1の観察画像とは焦点位置を変化させた同一倍率の標本画像を取り込んで部分画像として保存する部分画像取得手段とを備え、
    前記部分画像を、第1の観察画像の対応する領域に嵌め込んで表示することを特徴とする顕微鏡観察システム。
  2. 前記部分画像取得手段は、同じ領域に対して焦点位置の異なる複数の部分画像を取り込んで保存し、
    前記第1の観察画像に嵌め込んで表示する画像を前記焦点位置の異なる複数の部分画像の中から選択する選択手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の顕微鏡観察システム。
  3. 前記指定する手段は、前記第1の観察画像の互いに異なる複数の部分画像を指定可能であり、前記部分画像取得手段は、指定された複数の部分領域に対してそれぞれ前記部分画像を取得し、前記選択手段は、前記第1の観察画像に嵌め込んで表示する画像を前記複数の部分領域ごとに独立して選択可能であることを特徴とする請求項2記載の顕微鏡観察システム。
  4. 厚みのある標本の顕微鏡画像の表示方法であって、
    標本の一視野を所定倍率で取り込んだ全体画像と、この全体画像の一部分の領域について異なる焦点位置で取り込まれた同一倍率で複数の部分画像とを用いて、
    前記全体画像のうち前記部分画像が取り込まれている領域に対して、全体画像とは焦点位置の異なる部分画像を前記全体画像に嵌め込んで表示することを特徴とする顕微鏡画像の表示方法。
  5. 前記部分画像は、前記全体画像の互いに異なる複数の部分領域に対してそれぞれ取り込まれており、前記全体画像に嵌め込んで表示する画像を、前記複数の部分画像ごとに独立して選択可能にするための選択手段とともに表示することを特徴とする請求項4記載の顕微鏡画像の表示方法。
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