JP3704220B2 - 落石源の位置評定システム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、山岳や沿岸道路沿いの岩盤斜面における落石や崩壊の位置あるいはトンネル巻出し部における落石位置の検出、および岩盤の硬さやもろさの探査を行なう震源位置評定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来用いられていた落石、崩壊検知システムには、一般に図10および図11にて示す構成のものが採用されている。即ち図10は従来例の種々の落石検知方法を表す斜視図であり、(a)は動電型振動計を使用した検知方法、(b)は電流が流されている導線を使用した検知方法、(c)は圧電板を使用した検知方法である(落石対策便覧、日本道路協会編 丸善、昭和58年、351〜352頁)。図中符号61は動電型振動計、62は導線、63は圧電板、64は岩盤斜面、65は落石である。
【0003】
(a)は衝撃加速度感知式と呼ばれ、加速度を検知する動電型振動計61を落石防止網等に設置し、落石衝突時の加速度を感知して落石を検知する。(b)は断線式と呼ばれ、落石の予想される箇所に被覆導線を張り、落石の衝突による金属線の断線を電気的に感知して落石を検知する。(c)は受圧式と呼ばれ、圧力を電圧に変換できる圧電板を斜面上に設置し、落石の衝撃圧を感知して落石を検知する。
【0004】
また、図11は従来例のケーブルセンサを使用した落石検知方法のブロック図を含む斜視図であり、図中符号71はケーブルセンサ、72は信号中継ボックス、73は信号処理装置、74は回転灯、75はサイレン、76は岩盤斜面、77は落石を示す。
【0005】
ケーブルセンサは内部導体と外部導体の間に支持誘電体を充填して作られており、振動による内・外部導体の微小変形により支持誘電体の充填電荷を発生させ、電気信号に変えて振動を検知する(センサハンドブック、片岡照栄他編、 培風館、昭和61年、1008〜1009頁)。通常ケーブルセンサ71は図11に示されるように、斜面底部のフェンスの金網などに1本だけ取付られて使用され、図11のブロック図のような測定回路で信号中継ボックス72を経由して入力した信号が信号処理装置73で処理されて前兆的な落石音を受感し、回転灯74やサイレン75で警報を発するシステムになっている。
【0006】
一方、地下の構造を知る方法として反射法地震探査や屈折法地震探査が知られている(物理探査、物理探査学会編、ラティス、1989、3〜23頁)。これは地下の構造による弾性波伝播速度の違いにより地下の構造を推定するもので、これらの方法により斜面を構成する岩盤の強度(硬さ、もろさ)とその変化を評価することによって落石や崩壊の危険性の予測の参考とすることができる。これらの方法は通常人工地震を発生させる震源と地下構造からの反射波や屈折波をとらえる受振器と、データを収録して分析する探査装置を用いて行なわれる。
【0007】
受振器としては通常永久磁石の磁界の中の導体の運動速度に比例した起電力により振動を測定する動電型速度計(ジオフォン)(振動工学ハンドブック、谷口修編、養賢堂、1976、587〜593頁)が用いられる。
【0008】
図12は屈折法地震探査の原理を説明する模式図であり、(a)は各受振点の受振器の受振波形を示す模式図、(b)は発破点から発信された弾性波の伝播状態の模式図であり、図中符号81は発破点、82は受振器である。発破点81から放射される弾性波は、直接波・反射波・屈折波として受振器の置かれた図中1〜10で示される受振点82に到達する。表層より下層の弾性波速度が速いとき、ある距離以上離れた受振点では屈折波が最も早く到達する波(初動)として観測される。初動到達時間である走時を発破点からの距離でプロットした走時曲線(図12(a)の斜めの破線)を分析して地下の構造がわかる。
【0009】
また、トンネルの巻出し部や覆道等に対する落石の検知も事故防止のために必要とされながら、現在は適当な検知や位置評定の方法がない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図10及び図11に示される従来の検知システムでは、斜面底部での落石音が感知されるのみで、落石源がどの位置か、どのような経路を経て落石しているかを評定することはできないという問題点がある。
【0011】
落石源と落下経路を特定できなければ、アンカーボルト工、ワイヤーネット工、防護壁工等の防護措置を適切な位置に施工することができない。
【0012】
岩盤の強度(硬さ、もろさ)とその変化を評価するための反射法地震探査や屈折法地震探査においては、人工地震を発生させる震源と地下構造からの反射波や屈折波をとらえる複数の受振器とを都度現地に配置する必要があり、多くの時間と多額の費用を必要とし、その変化を追跡するためには時系列的に探査を実施する必要がある。また動電型速度計が感知できる周波数成分は数百ヘルツ単位までであり、測定間隔が短いと波形の立上り時刻の差を明確に読み取れない。
【0013】
本発明の目的は、不安定な岩体の基盤からの剥離音やその岩体を支えている岩石の小崩壊音の発生位置、さらには落下経路、あるいはトンネルの巻出し部への落石位置を2次元で位置評定でき、さらに岩盤の強度とその変化を探査できる落石源の位置評定システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の落石源の位置評定システムは、
岩盤斜面における落石源の位置評定システムであって、評定対象斜面に所定の間隔で格子状に配設され、交点部を岩盤に固定され、落石源による斜面の振動を検知して電気信号を出力する複数のケーブルセンサと、ケーブルセンサの出力した電気信号を増幅する増幅器と、不要の周波数をろ波するフィルタと、増幅されろ波された電気信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、A/D変換器から入力したデジタル情報を用いて所望の計算を実行するデータ処理装置を備え、データ処理装置によって、格子状に配設されたケーブルセンサの交点毎に、振動を検知した時点の該交点で直交する2本のケーブルセンサの電気信号から算定されたそれぞれの振幅値を乗じ、乗じた値をZ座標とし、各交点の位置をX、Y座標とした所望の範囲の交点に対するトポグラフィを画面や紙面に出力し、画像の分析によって振動源の位置と大きさとを評定する。
【0015】
また、振動を検知した時点から時系列的にトポグラフィを作製し、トポグラフィの時間的な変化によって、振動源の移動状況を評定することができる。
【0016】
落石源の位置評価システムを用いて評価された落石源の位置、および所定の位置に設置された人工地震発生源のいずれかを震源とし、ケーブルセンサの岩盤に固定された交点を受振位置とし、ケーブルセンサの受振した弾性波の初動を分析することにより初動が伝達された交点の位置を確定し、初動到達時間である走時と震源からの距離とにより走時曲線を作製し、弾性波を用いる反射法および屈折法のいずれかの地震探査手法によって、弾性波の通過した岩盤の硬さやもろさを含む強度を評価してもよい。
【0017】
さらに、トンネル巻出し部および覆道を含む、岩盤斜面に接する構造物上への落石の落下位置を評定する落石源の位置評定システムであって、構造物の内面に格子状に所定の間隔で配設され、交点を構造物に固定され、落石源による構造物の振動を検知して電気信号を出力する複数のケーブルセンサと、ケーブルセンサの出力した電気信号を増幅する増幅器と、不要の周波数をろ波するフィルタと、増幅されろ波された電気信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、A/D変換器から入力したデジタル情報を用いて所望の計算を実行するデータ処理装置を備え、データ処理装置によって、格子状に配設されたケーブルセンサが受振した振動に対応した電気信号から算定された出力波形の振幅の比較、波形の立ち上がり時刻の比較、および格子状に配設されたケーブルセンサの交点毎に、振動を検知した時点の該交点で直交する2本のケーブルセンサの出力波形の振幅値を乗じ、乗じた値をZ座標とし、各交点の位置をX、Y座標とした所望の範囲の交点に対するトポグラフィの解析の少なくともいずれかによって振動源の位置と大きさとを評定してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態のケーブルセンサを使用した落石源の位置評定システムのブロック図を含む斜視図であり、図中符号10は岩盤斜面、11はケーブルセンサ、12は固定具、13は信号中継ボックス、14は増幅器、15はフイルタ、16はA/D変換器、17はデータ処理装置、18は表示装置、19はプリンタ、20は入力装置、21は警報装置、22は遠隔伝送装置である。
【0019】
本発明では、振動を鋭敏に検知できるケーブルセンサ11を観測対象とする岩盤斜面10に碁盤の目状に所定の間隔で岩盤に固定した固定具12に固着して複数本配設し、各ケーブルセンサの電気信号を信号中継ボックス13を経由して増幅器14で増幅し、フィルタ15でろ波してA/D変換器16でデジタル信号に変換し、データ処理装置17で各ケーブルセンサ11の波形の振幅をソフト的に読み取り、各格子点において直交しているケーブルセンサの値を互いに掛け合わせ、その掛け合わせた値をそれぞれの格子点上に表示してトポグラフィ(地勢図)を作り、表示装置18に表示し、必要あればプリンタ19に出力する。
【0020】
トポグラフィ表示には、振動源の近くに山が表示され、振動源の位置が2次元的に評定される。また、トポグラフィ表示の山の高さによって振動の大きさも評定できる。さらに、連続して計測を行なうことによってトポグラフィ表示の山の位置の移動によって落下経路を評定できる。
【0021】
また、予め設定した基準によって警報装置21や遠隔伝送装置22で現地あるいは所定の場所に警報を発信することができる。
【0022】
ケーブルセンサ11は振動を鋭敏に検知できるケーブルセンサであればよいが、米国Stellar System社が防犯用センサとして市販している同軸ケーブル状のケーブルセンサを用いて感度特性(震源からの距離と出力電圧との関係)を試験した。
【0023】
図2は、長さ2mのケーブルセンサを用いたときの、震源からケーブルセンサまでの距離と出力電圧の関係を示すグラフである。
【0024】
出力電圧は、距離が離れると、べき関数的に減少する特性を持っている。なお、図の出力電圧は増幅前の値である。またこのケーブルセンサは200〜300mの長さのどの点に振動を加えても電圧信号が出力できることが確認できた。従って、ケーブルセンサの1ユニットで300m平方の範囲の観察が可能であり、格子形状のケーブルセンサの密度は求められる評定精度により決定できる。上述の試験から高い評定精度を得るためにはケーブルセンサの間隔は5m以下が好ましい。
【0025】
本落石源の位置評定システムを評価するために実験室で模擬実験を行なった。
図3は、本発明の実験のケーブルセンサの配置状況を示すブロック図を含む平面図である。コンクリート床に、図3のようにケーブルセンサを碁盤の目状に張った。図中符号Cl〜C7は長さ3.2mの7本のケーブルセンサであり、C8〜Cl2は長さ4.8mの5本のケーブルセンサであり、31はケーブルセンサ、32はケーブルセンサの交点、34は増幅器、35はフイルタ、36はA-D変換器、39は鋼球の落下地点である。
【0026】
本実験ではケーブルセンサは縦横とも0.8m間隔で、コンクリート床のケーブルセンサ交点に固定した25mmφ×100mmの鋼製固定端子の上部に設けた十字の溝に取り付けた。従ってケーブルセンサの交点は35点であり、12本のケーブルセンサは一端が増幅度20倍の増幅器34に接続され、増幅器34からの出力はフイルタ35(500Hzハイパス)を通りA/D変換器36へ接続されている。A/D変換器36のデジタル出力はパーソナルコンピュータ(不図示)へ送られ、波形の表示とピーク電圧の読み取りがリアルタイムで行える。
【0027】
225gの鋼球を30cmの高さから図3中の黒丸点に自由落下させて実験を行った。ケーブルセンサは震源から離れると感度が図2のように低下する特性を持っているため、図4のような振幅を持つ12個の信号波形が得られた。図4はパーソナルコンピュータからプロッターへ出力した信号波形である。(a)〜(l)は順にケーブル番号C1〜C12の信号波形である。震源からの距離が大きくなると波形の振幅が減少している状況が明瞭に読み取れる。S/N比が良好であるため20倍以上の増幅が可能であった。
【0028】
次に12個の波形の振幅をソフト的に読み取る。さらに35個の格子点において直交している2本のケーブルセンサのソフト的に読み取った出力波形のピーク値の振幅を互いに掛け合わせ、その値をそれぞれの格子点にトポグラフィ表示すると、図5に示すような縦横が7本および5本のケーブルセンサの交点35点における振幅の積をトポグラフィで示したグラフが得られる。
【0029】
すなわち、鋼球を落下させた点の近傍にトポグラフィの山が位置している。この結果は、ケーブルセンサを格子状に敷設する本発明のシステムで岩盤破壊振動、崩壊振動の振動源を2次元的に位置評定できることを示している。すなわち本システムは、岩盤斜面の落石源、落石経路を、前兆的に発生する剥離振動、小崩壊振動から位置評定できる可能性を持ったシステムであり、また、トポグラフィ表示の山の高さによって振動の大きさも評定でき、さらに連続して計測を行なうことによってトポグラフィ表示の山の位置の移動によって落下経路を評定できるシステムといえる。
【0030】
次に本発明の第2の実施の形態を図1ならびに図12を用いて説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態の落石源の位置評価システムを用いて、併せて岩盤の強度(硬さ、もろさ)を評価する。
【0031】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で評価された落石源の位置や岩盤の破壊位置を反射法および屈折法地震探査における震源とし、落石や岩盤の破壊によって岩盤に発生した弾性波の直接波・反射波・屈折波の伝播の状態を所定の間隔で岩盤に固定された固定具12を介してケーブルセンサ11を受振器として検知する。即ち図12を用いて従来例として説明した反射法地震探査および屈折式地震探査の受振器82の役割を固定具12とケーブルセンサ11が代行する。
【0032】
ケーブルセンサ11にはケーブルセンサを固定する複数の固定具12が受振した弾性波が伝達されるが、縦、横のケーブルセンサのそれぞれの初動を分析することにより初動が伝達された固定具12の位置が確定でき、初動到達時間である走時と震源からの距離でプロットした走時曲線が作製でき、従来技術の分析法によって岩盤の強度を評価することができる。
【0033】
さらに積極的に岩盤の強度の評価を必要とする場合は、評価の対象となる岩盤の位置とケーブルセンサの固定具12の配置の関係から望ましい震源位置を選定し、選定された震源位置で爆薬等による人工地震を発生させ、ケーブルセンサ11が受振した弾性波により、岩盤の強度を評価すればよい。
【0034】
また、落石や岩盤の破壊が近接位置で時系列的に発生すれば岩盤の強度の時系列的な変化を分析でき、一層危険発生の予測の精度を高めることができる。変化の予測される岩盤に対して人工地震による弾性波の計測を時系列に行なってもよい。
【0035】
従来技術で説明したように、受振器として通常使用される動電型速度計が感知できる周波数成分は数100Hz単位までであるのに対し、上述のケーブルセンサの周波数特性は2000Hzまでであるので、測定間隔を1〜2mとした場合、動電型速度計では波形の立上り時刻の差を明瞭に読み取れないが、ケーブルセンサでは可能であり、狭い測定間隔での弾性波速度の測定に有利である。
【0036】
次に第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では図1のように岩盤面に格子状に所定の間隔で交点を固定して配設した複数のケーブルセンサを、第3の実施の形態ではトンネルの巻出し部や覆道の内面に格子状に交点を固定して配設する。図1の信号中継ボックス13から遠隔伝送装置22までの構造と機能は第3の実施の形態でも同じなので説明を省略する。第1の実施の形態と同様にトポグラフィ表示の、振動源の近くに山が表示され、振動源が2次元的に評価できる。
【0037】
第3の実施の形態の落石の位置評定システムを評価するために実験室で模擬実験を行なった。図6は本発明の第3の実施の形態のケーブルセンサを使用したトンネル巻出し部に対する落石の位置評定システムの実験装置の模式図である。図7は図6の模擬トンネルの展開図であり、(a)は組立状態、(b)は底部を除いた状態、(c)は(b)を展開したときのケーブルセンサの配置状態である。図8はパーソナルコンピュータからプロッタに出力した各ケーブルセンサの信号波形のグラフであり、図9はケーブルセンサの交点における出力電圧の積をトポグラフィで示したグラフである。図中符号41aは軸方向のケーブルセンサA1〜A5、41bは円周沿いのケーブルセンサB1〜B14、42は交点、43は模擬トンネル、44a、44bは小型増幅器、46はA/D変換器、47はパーソナルコンピュータ、49は鋼球落下位置である。図6に示すように実際のトンネル巻出し部、覆道等に見立てた模擬トンネル43の上に鋼球を落下させ、落下位置49を評定した。
【0038】
模擬トンネル43は内径135cm、長さ400cm、肉厚10cmのヒューム管4本を連結した全長16mの中空円筒であり、枕木の上に設置した。図6および図7(c)に示すように71cm(60°)間隔で模擬トンネル43の内面の軸方向にケーブルセンサA1〜A5、41aを5本、110cm間隔で模擬トンネル43の内面の円周沿いにケーブルセンサB1〜B14、41bを14本、碁盤の目状に張った。
【0039】
ケーブルセンサAl〜A5は長さ15m、ケーブルセンサB1〜Bl4は長さ32mであり、5×14=70箇所の交点42にはケーブルセンサ41a、41bを固着するための十字の溝を切った直径25.4mm、長さ60mmの鋼製の固定具を模擬トンネル43の内部に固着し、ケーブルセンサ41a、41bを交点42に固定した。
【0040】
合計19本のケーブルセンサ41a、41bの一端はそれぞれ増幅率5倍の小型増幅器44a、44bに接続され、増幅器44a、44bからの出力はフイルタ(不図示)を通りA/D変換器46を経由してパーソナルコンピュータ47へ接続されて処理され、波形の表示とピーク電圧の読み取りがリアルタイムで行える。
【0041】
実験では7.26kgの鋼球を50cmの高さから疑似トンネル43の真上に当る図7(c)中の鋼球落下位置49(A3、B11の交点)に自由落下させた。図8はその時に計測された円周沿いのケーブルセンサ41b14本の出力波形を示している。ケーブルセンサは震源から離れると感度が図2のように低下する特性を持っているため、多少の例外を除き震源に近いほど波形の振幅が大きい。
また、波形の初動の部分を結んだ立ち上がり時刻を見ると、明かに鋼球落下位置49(B11)の波形の立ち上がり時刻が早く、鋼球落下位置から遠くなると立ち上がり時刻が遅くなっており、このグラフによっても震源の位置評定が可能であることがわかる。
【0042】
円周沿いの方向のケーブルセンサ41bの出力波形のピーク値の2乗と、軸方向のケーブルセンサ41aの出力波形のピーク値とを掛け合わせたトポグラフィである図9において、トポグラフィの盛り上がっているいる部分が衝撃が大きかったことを意味するが、鋼球落下位置とトポグラフィの山とは一致している。この場合位置評定に影響度の大きい円周沿いの方向のケーブルセンサ41bの出力波形のピーク値を2乗して掛け合わせたが、2乗しなくても構わない。
【0043】
このように本発明のシステムで、トポグラフィの山の位置や、波形の振幅の大きさの比較や、波形の立ち上がり時刻からトンネルの巻出し部や覆道に対する落石の位置評定が可能である。すなわち本システムによって落石を常時監視でき、落石の位置評価から、トンネルの巻出し部や覆道に接する岩盤斜面の落石源、落石経路を推定でき、トポグラフィ表示の山の高さによって振動の大きさも評定でき、さらに連続して計測を行なうことによってトポグラフィ表示の山の位置の移動によって落下経路を評定できるシステムといえる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の落石源の位置評定システムは、不安定な岩体の基盤からの剥離振動やその岩体を支えている岩石の小崩壊振動の発生位置、さらには落下経路を2次元で位置評定できる能力を持ち、少ない費用でほとんどの実斜面に対し応用できるシステムであり、剥離や崩落の警報の他に、落石源と落下経路を特定できるので、アンカーボルト工、ワイヤーネット工、防護壁工等の防護措置を適切な位置に施工できるという効果がある。
【0045】
本システムを活用することによって、国内に9万箇所ある岩盤斜面の落石・崩壊危険箇所の災害予知と防護に資するところが多大である。
【0046】
また、本システムのため設置された機器を利用して反射法地震探査や屈折法地震探査による岩盤の強度(硬さ、もろさ)の評価が容易に行なうことができ、災害予知の判断データを提供できるという効果がある。
【0047】
さらに、本システムを応用することによってトンネルの巻出し部や覆道などの岩盤斜面に接した構造物に対する落石とその位置の評定が可能となり、災害の予知と防護のための判断データを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のケーブルセンサを使用した落石源の位置評定システムのブロック図を含む斜視図である。
【図2】長さ2mのケーブルセンサを用いたときの、震源からケーブルセンサまでの距離と出力電圧の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実験のケーブルセンサの配置状況を示すブロック図を含む平面図である。
【図4】パーソナルコンピユータからプロッターへ出力した信号波形である。
(a)〜(l)は順にケーブル番号C1〜C12の信号波形である。
【図5】縦横7本および5本のケーブルセンサの交点35点における出力電圧の積をトポグラフィで示したグラフである。
【図6】本発明の第3の実施の形態のケーブルセンサを使用したトンネル巻出し部に対する落石の位置評定システムの実験装置の模式図である。
【図7】図6の模擬トンネルの展開図である。
(a)は組立状態である。
(b)は底部を除いた状態である。
(c)は(b)を展開したときのケーブルセンサの配置状態である。
【図8】パーソナルコンピュータからプロッタに出力した各ケーブルセンサの信号波形のグラフである。
【図9】ケーブルセンサの交点における出力電圧の積をトポグラフィで示したグラフである。
【図10】従来例の種々の落石検知方法を表す斜視図である。
(a)は動電型振動計を使用した検知方法である。
(b)は電流が流されている導線を使用した検知方法である。
(c)は圧電板を使用した検知方法である。
【図11】従来例のケーブルセンサを使用した落石検知方法のブロック図を含む斜視図である。
【図12】屈折法地震探査の原理を説明する模式図である。
(a)は各受振点の受振器の受振波形を示す模式図である。
(b)は発破点から発信された弾性波の伝播状態の模式図である。
【符号の説明】
10、64、76 岩盤斜面
11、31 ケーブルセンサ
12 固定点
13 信号中継ボックス
14、34 増幅器
15、35 フイルタ
16、36、46 A/D変換器
17 データ処理装置
18 表示装置
19 プリンタ
20 入力装置
21 警報装置
22 遠隔伝送装置
32 交点
39 落下位置
41a 軸方向のケーブルセンサA1〜A5
41b 円周沿いのケーブルセンサB1〜B14
42 交点
43 模擬トンネル
44a、44b 小型増幅器
47 パーソナルコンピュータ
49 鋼球落下位置
61 動電型振動計
62 導線
63 圧電板
65、77 落石
71 ケーブルセンサ
72 信号中継ボックス
73 信号処理装置
74 回転灯
75 サイレン
81 発破点
82 受振器
A1〜A5、B1〜B14、C1〜Cl2 ケーブルセンサ

Claims (4)

  1. 岩盤斜面における落石源の位置評定システムであって、
    評定対象斜面に所定の間隔で格子状に配設され、交点部を前記岩盤に固定され、落石源による前記斜面の振動を検知して電気信号を出力する複数のケーブルセンサと、前記ケーブルセンサの出力した電気信号を増幅する増幅器と、不要の周波数をろ波するフィルタと、増幅されろ波された電気信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、前記A/D変換器から入力したデジタル情報を用いて所望の計算を実行するデータ処理装置を備え、
    前記データ処理装置によって、格子状に配設された前記ケーブルセンサの交点毎に、振動を検知した時点の該交点で直交する2本の前記ケーブルセンサの電気信号から算定されたそれぞれの振幅値を乗じ、前記乗じた値をZ座標とし、各交点の位置をX、Y座標とした所望の範囲の交点に対するトポグラフィを画面や紙面に出力し、画像の分析によって振動源の位置と大きさとを評定することを特徴とする落石源の位置評定システム。
  2. 請求項1に記載の落石源の位置評定システムにおいて、
    振動を検知した時点から時系列的に前記トポグラフィを作製し、前記トポグラフィの時間的な変化によって、振動源の移動状況を評定することを特徴とする落石源の位置評定システム。
  3. 請求項1に記載の落石源の位置評価システムを用いて評価された落石源の位置、および所定の位置に設置された人工地震発生源のいずれかを震源とし、前記ケーブルセンサの岩盤に固定された交点を受振位置とし、前記ケーブルセンサの受振した弾性波の初動を分析することにより初動が伝達された前記交点の位置を確定し、初動到達時間である走時と前記震源からの距離とにより走時曲線を作製し、弾性波を用いる反射法および屈折法のいずれかの地震探査手法によって、前記弾性波の通過した岩盤の硬さやもろさを含む強度を評価することを特徴とする請求項1に記載の落石源の位置評価システム。
  4. トンネル巻出し部および覆道を含む、岩盤斜面に接する構造物上への落石の落下位置を評定する落石源の位置評定システムであって、
    前記構造物の内面に格子状に所定の間隔で配設され、交点を前記構造物に固定され、落石源による前記構造物の振動を検知して電気信号を出力する複数のケーブルセンサと、前記ケーブルセンサの出力した電気信号を増幅する増幅器と、不要の周波数をろ波するフィルタと、増幅されろ波された電気信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、前記A/D変換器から入力したデジタル情報を用いて所望の計算を実行するデータ処理装置を備え、
    前記データ処理装置によって、格子状に配設された前記ケーブルセンサが受振した振動に対応した電気信号から算定された出力波形の振幅の比較、波形の立ち上がり時刻の比較、および格子状に配設された前記ケーブルセンサの交点毎に、振動を検知した時点の該交点で直交する2本の前記ケーブルセンサの出力波形の振幅値を乗じ、前記乗じた値をZ座標とし、各交点の位置をX、Y座標とした所望の範囲の交点に対するトポグラフィの解析の少なくともいずれかによって振動源の位置と大きさとを評定することを特徴とする落石源の位置評定システム。
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