JP3703925B2 - 保護継電器の試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高調波抑制機能を有する保護継電器の非同期法による保護継電器の試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
比率差動保護継電器は変圧器や発電機等の保護に使用される保護継電器で、保護区間の内部故障を検出するため、保護区間に流入する電流と保護区間から流出する電流との差電流を判別して動作する保護継電器である。この比率差動保護継電器を変圧器の保護目的に使用した場合、変圧器に電源を投入すると、この変圧器に当初励磁突入電流が流れ、このため、見かけ上変圧器内部の事故であると見なされる誤動作を起こすおそれがある。従って、このような電源投入時の励磁突入電流と実際の故障による電流とを区別する必要がある。一般に励磁突入電流には2次高調波成分が多く含まれていることが知られており、この現象を利用して基本成分に対する2次高調波成分の比率がある設定値以上(例えば15%程度)のときに作動する高調波抑制機能を設けて、2次高調波成分の比率がある設定値以上の場合はこの高調波抑制機能が働いて比率差動保護継電器の動作をロックして、継電器の誤動作を防止している。
【0003】
図7は、高調波抑制機能の特性を試験するための非同期法による従来の試験装置を示したものである。同図において31は基本波信号発生器でその出力の基本波信号f1 は調節器32により信号振幅が調節されて電流増幅器33の入力側に印加される。高調波信号発生器34は2次高調波信号f2 を発生するもので、その周波数f2 は基本波信号発生器31の周波数f1 の2倍から若干ずらした設定が可能であり、意識的に基本波信号に対して位相が連続して変化するようにスリップ(滑り)を持たせて設定されており、信号調節器35により信号振幅が調節されて電流増幅器36の入力側に印加される。電流増幅器33、36のそれぞれの出力は電流計37、38を介して一つに接続されて被試験保護継電器39に供給される。被試験保護継電器39の動作/復帰状態は出力接点Sの出力を監視することにより行われる。
【0004】
このように構成された試験装置による試験方法を説明する。まず、2次高調波用の信号調節器35を絞った状態にして、基本波信号発生器31の周波数f1 を例えば50Hzに設定し、信号調節器32を調整して電流計37を読み取りながら所要の試験電流If1を流し被試験保護継電器39を動作状態にする。次に任意の位相で試験を行うために高調波信号発生器34の周波数を例えば101Hzに設定した後、信号調節器35を調整して2次高調波成分を多めに印加して被試験保護継電器39を復帰状態にする。この復帰状態から信号調節器35を調整して2次高調波成分を徐々に減らして行き被試験保護継電器39の出力接点Sが再び動作する電流値を動作値Im とする。次に被試験保護継電器39を動作状態にしておき、この状態から信号調節器35を調整して2次高調波成分を徐々に増加させて、被試験保護継電器39が復帰するときの2次高調波成分の復帰値Ir を測定する。以上の動作値/復帰値の測定を基本波の大きさIf1の値を種々変化させて行い、各If1におけるIfm/Ifrの値を測定する。この測定による試験結果に基づいて被試験保護継電器39の良否が判定される。
【0005】
以上に述べたように、非同期法による高調波抑制測定の試験方法によれば、2次高調波の周波数を僅かに真の2次高調波よりずらしているので、原理的に2次高調波の重ね合わせ位相は0度から360度までの範囲をとることは可能であるが、しかし、二つの周波数間の滑り速度が被試験保護継電器39の動作または復帰時間より早いと誤った試験結果を生じるおそれがあるので、継電器の動作/復帰時間を考慮して非同期法の滑りの速さを設定する必要がある。
【0006】
そのため、従来の試験方法では、試験に当たって予め試験対象の保護継電器の動作/復帰時間を知り、その値から所定の滑り速度を保証できる2次高調波成分の周波数、つまり、滑り速度を電卓等で計算して決定しなければならない問題があった。このため操作に手間が掛かり、また、誤った設定をしてしまうことがあった。また、動作/復帰点を測定するとき、被試験保護継電器39に印加する電流値を自動掃引して測定を自動化する自動試験装置を使用する場合があるが、この場合も被試験保護継電器39に応じて掃引速度を算出して自動試験装置に設定する必要があった。また、別の問題として、信号発生器として基本波信号発生器31と高調波信号発生器34の周波数の基本周波数が極めて接近しているので、それぞれの信号発生器のクロック信号相互が干渉し、周波数引込み現象等のため試験動作に悪影響を与えるおそれがあるため、部品の配置などに細心の注意をする必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記したような問題を解決するためになされたもので、被試験保護継電器の既知の動作/復帰時間に基づいて自動的に滑り速度および自動掃引の場合の掃引速度を算出し、この算出値の自動設定を可能にした保護継電器の試験装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、基本波信号発生手段と、信号レベルおよび周波数が可変可能な高調波相当信号発生手段と、この高調波相当信号発生手段に設定する信号レベルおよび周波数を算出し、この算出された信号レベルおよび周波数を高調波相当信号発生手段に対して設定する算出・設定手段とを備え、前記算出・設定手段で、被試験保護継電器の動作又は復帰時間のうち長い方の時間に基づいて、基本波信号と高調波相当信号間に生じる滑り速度があらかじめ定めた許容値を超えないような周波数を算出し、その結果に基づいて、高調波相当信号発生手段の周波数を設定し、また、前記算出・設定手段で、信号レベル変化値があらかじめ定めた許容値を超えない速度となる掃引速度を算出し、その結果に基づいて、高調波相当信号発生手段の信号レベルを設定する。このように構成することで、効率よく短時間で保護継電器を試験することができる。
【0009】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の保護継電器の試験装置において、前記基本波信号発生手段は、クロック発生器と、このクロックを計数する第1の計数手段と、第1の計数手段の出力に基づいて基本波信号を発生させるD/A変換手段とから構成され、前記高調波相当信号発生手段は、前記クロックを所定の分周比で計数する分周手段と、分周手段に分周比を設定する分周設定手段と、分周された分周手段の出力を加算する第2の計数手段と、第1の計数手段の出力と第2の計数手段の出力とを加算または減算する加減算手段と、加減算手段の出力に基づいて高調波相当信号を発生させるD/A変換手段とから構成される。このように構成することで、請求項1に対応する発明の作用効果に加えて、単一のクロック発生源で基本波信号およびこの基本波信号と位相関係および高調波周波数が近接した高調波相当信号を発生させることができ、両信号発生器間に引込み現象等が発生しない安定した保護継電器の試験装置を提供できる。
【0010】
請求項3に対応する発明は、請求項1に対応する発明の保護継電器の試験装置において、前記基本波信号発生手段は、クロック発生器と、このクロックを計数する第1の計数手段と、第1の計数手段の出力に基づいて基本波信号を発生させるD/A変換手段とから構成され、前記高調波相当信号発生手段は、前記クロックで歩進する整数部と小数部を含む累積加算手段と、累積加算手段に小数を含む累積値を設定する累積値設定手段と、累積加算手段の整数部の出力に基づいて高調波相当信号を発生させるD/A変換手段とから構成される。このように構成することで、請求項1に対応する発明の作用効果に加えて、前項の場合と同様に、単一のクロック発生源で基本波信号およびこの基本波信号と位相関係および高調波周波数が近接した高調波相当信号を発生させることができ、両信号発生器間に引込み現象等が発生しない安定した保護継電器の試験装置を提供できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態の高調波抑制機能を有する保護継電器の試験装置を示すもので、1は基本波信号(f1 )を発生する基本波信号発生器で、この出力は信号振幅を調節する信号調節器1aにより振幅が調整された後、電流増幅器1bに入力される。2は2次高調波相当の信号(以下2次高調波信号と呼ぶ)を発生する高調波信号発生器でこの高調波信号(f2 )は基本波信号発生器1が発生する基本波信号の周波数(f1 )の2倍から意識的に若干ずらして基本波信号に対してスリップ(滑り)させて基本波信号(f1 )と2次高調波信号(f2 )間の位相が連続的に変化するようにしている。この出力は信号振幅を調節する信号調節器2aにより振幅が調整された後、電流増幅器2bに入力される。電流増幅器1b、2bのそれぞれの出力は電流値を検出する電流トランス(CT)1c、2cを経由して両出力が接続され、ここで両電流増幅器の出力電流が重ね合わされ、この合成電流が被試験保護継電器3の電流端子に印加されるようになっている。
【0012】
4は上記した試験回路を制御するCPUで、このCPU4には入出力回路4a、記憶部4b、表示部4c、操作部4dが接続されており、入出力回路4aを介して試験回路の各部を制御している。基本波信号発生器1、高調波信号発生器2に接続される信号線はこれら信号発生器の発振周波数を制御するものである。信号調節器1a、2aに接続されている信号線は、信号調節器1aの出力を所定の出力レベルに設定するとともに、信号調節器2aの出力レベルをCPU4の制御により所定時間(掃引時間)中に信号振幅を自動的に変化させることも可能なようになっている。これにより被試験保護継電器3に印加する電流の掃引(スイープ)を行うこともできる。電流トランス(CT)1c、2cに接続される信号線は電流値をCPU4内に取り込むもので、被試験保護継電器3の出力接点Sに接続されている信号線は、出力接点Sより入出力回路4aを介して被試験保護継電器3の動作状態をCPU4に送るものである。
【0013】
このように構成された試験装置による被試験保護継電器3の高調波抑制特性の試験方法を基本波が50Hzの場合について説明する。なお、この試験に先立って被試験保護継電器3の動作/復帰時間は予め測定されており、そのデータは記憶部4bに格納されているものとする。
【0014】
まず、基本波信号発生器1の発振周波数f1 をCPU4を介して50Hzに設定し、信号調節器1aを電流増幅器1bの出力電流が規定値になるように設定する。この場合、出力電流は電流トランス1cの出力を入出力回路4aを介して読み取ることができる。次に、高調波信号発生器2の発振周波数f2 を設定するが、この設定に際して、基本波信号発生器1の発振周波数f1 と高調波信号発生器2の発振周波数f2 との間の位相を連続的に変化させる必要があるため、この2周波数間のn倍(第2高調波の場合は2倍)から滑り周波数だけ若干ずらして設定し、意図的に滑り(スリップ)を発生させるようにする。
【0015】
いま、基本波を sin(2πf・t)、n次高調波の滑り周波数をnΔfとすると、高調波の瞬時値は、
sin{2πn(f+Δf)・t}= sin{(2πnf・t)+(2πnΔf・t) となり、本来の高調波に対して瞬時位相差 Δθ=2πnΔf・t を生じる。 したがって、この式から被試験保護継電器3の動作または復帰時間のうちいずれか長い方の時間Tr 内において、位相変化(滑り角)を許容角p(度)以下に収めるには、n次高調波の滑り周波数nΔfは次の条件を満足する必要がある。
【0016】
nΔf≦p/(360Tr )……(1)
この条件から、滑り時間(=滑り周期)Tsは次のようになる。
Ts≧(360Tr )/p………(2)
これらの式から滑り周波数nΔfまたは滑り時間Tsが決定できる。これらの数値をCPU4を介して高調波信号発生器2に設定する。高調波を2次高調波にとり、以上の式から、2次高調波の滑り周波数を2Δfとすると、必要な滑り時間を得るには、2Δfは2f1 に対して周波数が高くても、低くてもよいので、2次高調波f2 の上限と下限の値は、
f2 =2f1 ±2Δf=2f1 ±p/(360Tr ) となる。
【0017】
一例として、p=10度、Tr =50msecとすると、f1 =50Hzで、滑り周波数2Δf=±0.56Hzであるから、f2 の上限は100.56Hzとなり、下限は99.44Hzとなる。
【0018】
高調波信号発生器2の発振周波数f2 の設定に伴う演算等の一連の動作は、記憶部4bに予め記憶してある被試験保護継電器3の動作/復帰時間の値を用い、所要プログラムによりCPU4で算出し、高調波信号発生器2に設定するとともに、表示部4cに表示する。
【0019】
次に、被試験保護継電器3に印加する電流値を自動掃引(スイープ)により変化させて、この被試験保護継電器3の動作/復帰値を自動的に測定する場合における掃引時間の算出方法を説明する。被試験保護継電器3の動作値を求めるには、最初、2次高調波信号を多く流してこの被試験保護継電器3を不動作状態にしておく。次に、この不動作状態から電流掃引機能(スイープ)を用いて印加電流値を自動的に減少させて、被試験保護継電器3の動作状態の監視を接点Sを介してCPU4が行い、接点Sが動作した時点で掃引動作を停止させて、この時点の印加電流値を記憶部4bで記憶し、この記憶値を表示部4cに表示させる。
【0020】
この電流掃引に当たって、電流変化速度が1滑り時間より早いと1滑り時間中に電流値が大きく変化(この場合は減少)してしまうため、動作値が低めに測定されて誤った試験結果を求めてしまう可能性があるので、電流変化速度は基本波f1 と高調波f2 の間に生じる滑りが一巡するに要する1滑り時間を考慮して設定する必要がある。
【0021】
いま掃引電流の開始電流値をIi 、停止電流値をIe 、Ii からIe への掃引時間をTw 、被試験保護継電器3の動作または復帰電流の定格値をIa 、この定格値のIa の近傍において、1滑り時間Ts 中にdの電流変化を許容した場合、電流の掃引時間Tw は次の関係を満足する必要がある。
【0022】
Tw ≧k(Ii −Ie )Ts /d・Ia …(3)
一例として、掃引電流の変化幅(Ii −Ie )=10A、電流変化の許容率d=3%、動作電流Ia =5A、1滑り時間Ts =1.8秒とすると、これら各数値の単位ディメンションからk=100となり、これらの値を(3)式に導入すると掃引時間を120秒以上に設定する必要がある。
【0023】
以上に述べたように、(1)または(2)および(3)式に従って被試験保護継電器3に適した滑り速度および掃引速度を求め、プログラムしておけば、この被試験保護継電器3を自動的に、かつ効率よく、しかも測定誤差を許容値内に収めた試験をすることができる。
【0024】
この実施の形態では、2次高調波について説明したが、3次以上の高調波についても同様の考え方ができる。また、復帰値の試験については、動作値の試験とは逆に、最初、被試験保護継電器3を動作状態にしておき、この状態から高調波信号の印加電流を自動的に増加させて、被試験保護継電器3が復帰する電流値を測定する。また、前述の試験に際して、被試験保護継電器3の動作/復帰時間は測定してあるものとしたが、実際は、対象の試験保護継電器の仕様が分かっている場合が多いので、このような場合は仕様の規格値より多少を余裕のある値に設定すれば良い。
【0025】
上記した実施の形態では、2次高調波を印加した場合の被試験保護継電器3
の動作または復帰の動作点を掃引動作(スイープ)で求める試験方法を説明したが、規格値などの所定値の基本波と高調波を印加して、被試験保護継電器3の動作状態を試験する場合は掃引動作は不要である。
【0026】
図2は、この発明による第2の実施の形態の保護継電器の試験器の信号源のブロック回路図である。この実施の形態は、一つのクロック源から基本波及びこれとは同期関係にない高調波相当の周波数を発生させるものである。同図において、基準クロック10は水晶振動子を使用した発振器であり、この出力は12ビットの基本波カウンタ11に印加され、この基本波カウンタ11の並列バイナリ出力は基本波ROM12の12ビットのアドレス入力に接続されている。このROM12には試験用の基本波の正弦波の1周期分のデータが格納されており、ROM12のデータ出力は12ビットのD/A変換器13のデジタル入力側に入力され、このD/A変換器13の出力からアナログ値に変換された基本波信号f1 を発生する。
【0027】
基本波とは同期関係にない高調波は次に説明する回路により発生させる。基準クロック10の出力を12ビットの分周カウンタ14に入力して、この分周カウンタ14の並列出力は12ビットの比較器15の一方の入力に接続されている。この比較器15の他の入力は、発生させる高調波に対応してNの分周比にするために必要な数値をセットする分周比入力15aの出力に接続されている。この比較器15の出力は分周カウンタ14のクリア(CLR)端子および12ビットの分周波カウンタ16の入力側に接続されている。このように接続されている分周カウンタ14、比較器15、および分周比入力15aからなる回路は分周回路を構成しており、分周カウンタ14はN個のパルス毎にクリアされるN進カウンタとして動作し、分周波カウンタ16は基本波カウンタ11のN倍のパルス数で繰り返しを行うカウント動作を行う。この分周波カウンタ16の12ビットの並列出力は加減算器17の一方の入力Bに接続されている。また、加減算器17の他方の入力Aには基本波カウンタ11の12ビットの並列出力が接続されている。この加減算器17はMODE端子を0にすると加算器として、1にすると減算器として動作するようになっている。
【0028】
高調波ROM18には正弦波2周期分のデータが格納されており、加減算器17の並列出力を高調波ROM18のアドレス入力側に入力してアドレスを指定することにより、このアドレスに対応する2周期分の高調波の波形データを順次読み出して次段のD/A変換器19に入力し、D/A変換器19の出力側にアナログ化した高調波信号f2 を出力する。
【0029】
このように構成された回路において、高調波相当の信号を生成させるための加減算回路17のA入力およびB入力には前述したように基本波カウンタ11と分周波カウンタ16の出力のそれぞれが入力されている。ここでB入力をゼロと仮定すると、基本波ROM2と高調波ROM18のアドレス入力値は同一となり、基本波と高調波の位相は一致し、周波数は高調波が基本波の2倍つまり2f1 となる。この状態でB入力にある数値を設定すると、その値に応じて基本波と高調波との間に位相差を生じる。この実施の形態では、B入力を分周波カウンタ16から取ることにより時間的に変化させて常に基本波と高調波との位相関係を変化させるようにして試験に誤差が入らないようにしている。
【0030】
図3はこの実施の形態の動作を説明するタイムチャートである。同図aは基本波カウンタ11の基本波ROM12に送る基本波の1周期分のアドレス情報の時間的変化を示したもので、正確には階段状に変化するものである。(以下同じ)同図bは、基本波ROM12から読み出される基本波の正弦波形を示している。同図cは、基本波カウンタ11のN倍の周期で繰り返されて、加減算器17の入力Bに入力される分周波カウンタ16の出力を示しており、同図dは、基本波カウンタ11の出力と分周波カウンタ16の出力が加算された加減算器17の出力を示すもので、基本波カウンタ11と分周波カウンタ16の出力が加算されているので加減算器17の繰り返し周期は早く(この場合はN=5で繰り返し回数は6)なり、同図eに示すようにD/A変換器19からは基本波周波数の2倍よりも高い周波数の第2高調波相当の信号を送出する。(高調波ROM18には2周期分の波形データが格納されている。)また、同図fとgは加減算器17のMODE端子を1にして減算器として動作させた場合の波形で、加減算器17の繰り返し周期は遅くなり、D/A変換器19からは基本波周波数の2倍よりも低い周波数の第2高調波相当の信号を送出する。
【0031】
このように、高調波ROM18のアドレスデータの周期は基本波ROM12のアドレスデータの周期の(1±1/N)倍であり、高調波ROM18には2周期分の波形データが格納されているので、D/A変換器19からは次式で示す周波数の出力が送出される。
【0032】
f2 =(2±2/N)f1 ……(4)
この式を±の符号を無視してNの絶対値について解くと、
N=2/({f2 /f1 }−2)となり、f2 /f1 =nとすると、
N=|2/(n−2)|………(5)
となる。図4に(5)式より算出した高調波次数nと分周比Nとの関係を示す。
【0033】
以上までの説明では、高調波の次数については2次高調波のみを対象にしてきたが、Nの値を選ぶことにより、高次の高調波を発生させることができる。例えば、N=2とすると3次の高調波が、また、N=1とすると4次の高調波が得られる。この実施の態様では加減算器17を減算器としても使用しているが、加算器と2の補数発生器を用いてもよい。この実施の態様では高調波ROM18には2周期分の正弦波を記憶させるものを説明したが、3周期分、4周期分のデータを記憶させれば、さらに高次の高調波を発生させることが容易になる。尚、分周カウンタ14に加えるクロックは、基準クロック10とは別の他のクロック源からとってもよい。
【0034】
次に第3の実施の形態を説明する。第5図はこの実施の形態の保護継電器の試験器に使用される発振器のブロック回路図である。同図において、基準クロック21の一方の出力は12ビットの基本波カウンタ22に入力され、基本波カウンタ22の出力は、正弦波の1サイクル分のデータが格納されている基本波ROM23のアドレスに入力されており、この基本波ROM23の出力はD/A変換器24の入力に接続され、その出力側がらは基本波の正弦波が読み出されて、出力端子に基本波f1 を送出するようになっている。
【0035】
基準クロック21の分岐された出力は24ビット(上位12ビットが整数部、下位12ビットが小数部)のラッチ25のクロック(CK)入力に接続されている。このラッチ25と24ビットの加算器26は累積加算器(アキムレータ)を構成し、ラッチ25内にクロックが入力される毎に、ラッチ25の累積値にB入力の加算値が加算されて格納されて行くような動作を行うものである。これらラッチ25と加算器26は、整数部が12ビット(=4096)であるので、入力Bの値によって違いはあるが、大略、基準クロツク×4096の周期で繰り返し動作を行う。このような構成になる累積加算器は、いま例えば、加算器26のB入力に与えられたデータを単位ステップ量をαとすると、ラッチ25のクロック入力毎にラッチ25内の値はα、2α、3α、4α、・・と前の数値にαが加算された累積加算値に変化する。この実施の形態では、加算器26の入力Bには次式で算出されるデータを単位ステップ量として入力するようにしている。
【0036】
1+(n/m)……(6)
m…基本波の分割定数
n…高調波の周波数を決定する変数
(6)式から算出されるデータは整数と小数をも含むもので、ラッチ25と加算器26は小数を含む数値の累積加算器として動作している。加算器26の24ビットの出力は次段のラッチ25のデータ入力に接続されている。このラッチ25の24ビットの出力は再び加算器26に戻りA入力に入力される。そしてラッチ25の出力の内上位12ビットの整数部のみが高調波ROM27のアドレス入力に加えられる。この高調波ROM27には2次高調波の2サイクル分の正弦波の波形データが格納されている。高調波ROM27の出力はD/A変換器28の入力に接続されており、D/A変換器28の出力からは、基本波1サイクルに対して正弦波2サイクル分の2次高調波信号が送出されるようになっている。
【0037】
このように構成された高調波信号発生回路において、ラッチ25に基準クロック21からのクロックが与えられると、クロックが入力される毎にラッチ25の内容は、その時点の内容に加算器26のB入力からの1+(n/m)が加算されて行く。この実施の形態ではm=4096(12ビットの最大値)とし、nを41の整数倍を設定するようにしている。このようにnを設定すると高調波の周波数をほぼ1Hzのステップで設定することが可能になる。この実施の形態では加算器26のB入力を1−(n/m)とすることも可能で、この場合は高調波の周波数はnの値に伴ってに減少する。図6(a)(b)は正負のn値(41の倍数)によって高調波の周波数がどの様に変化するか示している。
【0038】
また、この実施の形態では加算器26のB入力に1+(n/m)のステップ量を与えているが、このステップ量を2+(n/m)に変更すると、ラッチ25の出力には2倍の周波数の出力が現れるので、高調波ROM27には正弦波の1サイクル分のデータを格納すれば良いので、基本波ROM23と同じROMが使用できる。また、ラッチ25に加えるクロックは、基準クロック21とは別の他のクロック源からとってもよい。
【0039】
この発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して実施できる。
尚、対象の信号が電源周波数程度であれば、特別に発振器用のハードウェアを用意しなくとも最近の高速CPUを用いれば、基本波、高調波の作成はすべてソフトウェアで処理することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
この発明によれば、被試験保護継電器の高調波抑制特性を非同期法で試験するに際し、被試験保護継電器の既知の動作/復帰時間に基づいて自動的に滑り速度を算出し算出値の設定を可能にした。また、自動掃引の場合も掃引速度の算出および設定を可能にした。さらに、単独のクロック源で基本波信号と高調波相当の信号の発生が可能な保護継電器の試験装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施の形態のブロック回路図。
【図2】 第2の実施の形態のブロック回路図。
【図3】 同実施の形態を説明する各部の出力変化図と波形図。
【図4】 同実施の形態における分周比Nと高調波次数の関係を示す図。
【図5】 第3の実施の形態のブロック回路図。
【図6】 同実施の形態における累積加算の入力値nと高調波周波数の関係を示す図。
【図7】 従来の保護継電器の試験装置のブロック回路図。
【符号の説明】
1……基本波信号発生器 1a…信号調節器
1b…電流増幅器 1c…電流トランス
2……高調波信号発生器 2a…信号調節器
2b…電流トランス 2c…電流トランス
3……被試験保護継電器 4……CPU
4a…入出力回路 4b…記憶部
4c…表示部 4d…操作部
10…基準クロック 11…基本波カウンタ
12…基本波ROM 13…D/A変換器
14…分周カウンタ 15…比較器
15a…分周比入力
16…分周波カウンタ 17…加減算器
18…高調波ROM 19…D/A変換器
21…基準クロック 22…基本波カウンタ
23…基本波ROM 24…D/A変換器
25…ラッチ 26…加算器
27…高調波ROM 28…D/A変換器。
Claims (3)
- 基本波信号に高調波相当信号を時間的に滑らせて重畳するとともに該高調波相当信号の信号レベルを時間的に掃引して被試験保護継電器に印加し、非同期法により高調波抑制特性を試験する保護継電器の試験装置において、
基本波信号発生手段と、
信号レベルおよび周波数が可変可能な高調波相当信号発生手段と、
この高調波相当信号発生手段に設定する信号レベルおよび周波数を算出し、この算出された信号レベルおよび周波数を高調波相当信号発生手段に対して設定する算出・設定手段と
を備え、
前記算出・設定手段で、被試験保護継電器の動作又は復帰時間のうち長い方の時間に基づいて、基本波信号と高調波相当信号間に生じる滑り速度があらかじめ定めた許容値を超えないような周波数を算出し、その結果に基づいて、高調波相当信号発生手段の周波数を設定し、また、
前記算出・設定手段で、信号レベル変化値があらかじめ定めた許容値を超えない速度となる掃引速度を算出し、その結果に基づいて、高調波相当信号発生手段の信号レベルを設定することを特徴とした保護継電器の試験装置。 - 請求項1記載の保護継電器の試験装置において、前記基本波信号発生手段は、クロック発生器と、このクロックを計数する第1の計数手段と、第1の計数手段の出力に基づいて基本波信号を発生させるD/A変換手段とから構成され、
前記高調波相当信号発生手段は、前記クロックを所定の分周比で計数する分周手段と、分周手段に分周比を設定する分周設定手段と、分周された分周手段の出力を加算する第2の計数手段と、第1の計数手段の出力と第2の計数手段の出力とを加算または減算する加減算手段と、加減算手段の出力に基づいて高調波相当信号を発生させるD/A変換手段とから構成されたことを特徴とする保護継電器の試験装置。 - 請求項1記載の保護継電器の試験装置において、前記基本波信号発生手段は、クロック発生器と、このクロックを計数する第1の計数手段と、第1の計数手段の出力に基づいて基本波信号を発生させるD/A変換手段とから構成され、
前記高調波相当信号発生手段は、前記クロックで歩進する整数部と小数部を含む累積加算手段と、累積加算手段に小数を含む累積値を設定する累積値設定手段と、累積加算手段の整数部の出力に基づいて高調波相当信号を発生させるD/A変換手段とから構成されたことを特徴とする保護継電器の試験装置。
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JPH10174272A JPH10174272A (ja) | 1998-06-26 |
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