JP3703828B2 - 医薬製剤におけるカルシウム活性化中性プロテアーゼ抑制因子の使用 - Google Patents

医薬製剤におけるカルシウム活性化中性プロテアーゼ抑制因子の使用 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、カルシウム活性化中性プロテアーゼ(CANPs)に特異的な抑制因子またはその活性なサブユニットの医薬学的使用に関する。より詳しくは、該抑制因子またはその活性なサブユニットは、腫瘍、特に癌、ウイルス疾患、AIDSの治療を目的として、また避妊薬として、特に使用されることができる。さらに本発明は、上記疾病の治療および避妊薬としての使用を目的とした医薬製剤の製造に関する。
発明の背景
悪性細胞の最も致死的な性質の一つは、正常組織へ侵入し、遠隔領域へ転移するその能力である。正常結合組織は、グリコプロテイン、コラーゲン、エラスチン、およびプロテオグリカンを含有する細胞外マトリックス中に包埋した細胞からなる。腫瘍関連組織融解酵素が、マトリックスタンパク質の除去による浸潤過程を幇助している可能性が示唆されている(Hart,I.ら,1980,JNCI 64:891)。腫瘍細胞生物学の上記推論に多くの研究が集中し、多くの形質転換細胞でプロテアーゼ産生の増加が観察されている(Jones P.A.およびDeclerk Y.A.,1980,Cancer res.40:3222)。
カルパイン(calpain)IおよびIIとしても知られるm−およびμ−カルシウム−活性化中性プロテアーゼ(CANPs)は、高等動物の典型的な細胞内システインプロテイナーゼである。これらはCa2+を介して種々の細胞性機能にあずかると推定されているが、その正確な機能はまだ明かでない。CANPsは試験管内において、表皮成長因子受容体、血小板由来成長因子受容体及びプロテインキナーゼCを含む、限られた種類のタンパク質を加水分解する。これらは、筋肉の筋繊維性タンパク質および神経細胞骨格元素の代謝回転および分解の調節に関係すると見られており、このことからCANPsが本質的な細胞機能に関係していることが示唆される(Murachi T.,1983,Trends.Biochem.Sci.8,167-169)。
上記過程におけるCANPsの役割の研究では、該酵素の種々の外生抑制因子が用いられており、例えばN−アセチル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−アルギニナール構造のペプチドであるロイペプチン、およびL−トランス−3−カルボキシ−オキシラン−2−カルボニル−L−ロイシルアグマチン構造のペプチドのエポキシ化合物であるE64は、双方共にチオールプロテアーゼの特異的抑制因子である。
ロイペプチンおよびE64をデュシェーヌ筋ジストロフィーの治療に使用することが提案されている(Hollenberg Sher J.ら,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78(12),7742-7744、およびKomatsu K.ら,1986,Exper.Neurol.91,23-29)。さらに、ロイペプチンおよびE64は、シナプス形成ならびに筋繊維の神経支配を促進するための医薬製剤として用いられている(PCT出願番号WO-A-9 000 401,1990,University College,London)。
癌の分野においては、ロイペプチンだけが用いられて、ラット脳細胞の試験管内における細胞成長を抑制することだけが見いだされている(Nishiura I.ら,1979,Neurol.Med.Chir.(Tokyo)19(1),1-8)。
小分子であるロイペプチンおよびE64は、細胞膜を通り抜けて神経末端部および細胞に浸透し、そして次にカルシウム活性化プロテイナーゼを抑制すると信じられている(Nishimura I.ら,1979,Neurol.Med.Chir.19(1),1-8およびPCT出願番号WO-A-9 000 401,1990,University College,London)。
このことは、ロイペプチンが治療目的で使用され得ることを示唆している。しかし、そのような治療は特に成功すると見なされていない。それは、CANPsはロイペプチドにより抑制されない(Mehdi S.ら,1988,Biochem.and Biophys.Res.Comm.157(3) 1117-1123)か、または部分的にだけ抑制される(Tsuji S.およびImahori K.,1981,J.Biochem.1990,233-240)からである。また、CANPs抑制因子が作用する、悪性細胞内の基質は現在まで知られていない。さらに、後述するように、本発明による試験に用いられたロイペプチンおよびE64は、悪性細胞の成長を抑制しない。
ヒト尿路(urothelial)浸潤性癌由来の培養悪性細胞が腫瘍小結節および細胞内外に伸展する膜を有するグリコサミノグリカン膜性嚢(GSG)を形成することが、報告されている(Logothetou-Rella,Hら,1988a,Europ.Urol.14(i),61-64および65-71)。同様の観察が、ヒト栄養芽細胞の培養においてもなされている(Logothetou-Rella,Hら,1989,Histol.Histopath.4:367-374)が、ヒト正常尿路細胞の培養においては観察されていない(Logothetou-Rella,Hら,1988,Europ.Urol.15,259-263)。生体内において腫瘍で活発化される毛細管形成におけるGSGの協同も報告されている(Logothetou-Rella,Hら,1990,Histol.Histopath.5:55-64)。
悪性細胞および胚細胞特有の細胞外マトリックス(GSG)は、パパニコロ染色により明緑色(EA色)かつ滑らかに染色されることで繊維様の半透明組織として同定され、PASおよびPAS−ジアスターゼ陽性である。悪性細胞のGSGは細胞内外の膜性嚢中に分布および蓄積される。膜性GSG嚢は膜の伸展を起こすが、この膜は試験管内で、緑色GSGが細胞内から細胞外に通過するチャンネルを形成し、腫瘍小結節の形成および他の細胞の侵略を活発化する。
発明の目的
驚くべきことに、細胞間浸潤および基質(GSG結合CANP)形成の新規機構は、例えば腫瘍形成、ウイルス疾患、AIDSおよび受精において一般的であることが判明した。
さらに、CANPsの特異的抑制因子またはその活性なサブユニットを投与して、ヒトおよび動物の生体に前記抑制因子の有効濃度を与えることにより、上述のプロセスを抑制し得ることも判明した。但し、このCANPsの特異的抑制因子は、ロイペプチンではない。
発明の詳細な説明
試験管内および生体内における悪生細胞と正常細胞の相互作用により生じる細胞内外のマトリックス(嚢−GSG結合CANPs)が、CANPsの特異的抑制因子またはその活性なサブユニットの基質として使用可能であることが判明した。
細胞内のGSGと結合したCANPs−嚢は伸展した膜により細胞外環境と連絡し、(基質が全体に)大きな細胞外チャンネル、またはCANPs抑制因子および不活性GSG結合CANPsの(分子量約240,000の)大きな分子が細胞内に入ることを可能とする融合マトリックスを形成する。嚢−GSG結合CANPsおよび細胞外マトリックスは、例えば腫瘍内で、ウイルスの細胞感染ならびに受精に関連した細胞間浸潤の新規機構により生じる。CANPs抑制因子は、悪性細胞だけがそれに生存および増殖を依存する特別なマトリックスである、細胞内外のGSG結合CANPsの不活性化によってのみ悪性細胞を選択性に殺す。
細胞のウイルス感染および精子による接合子嚢貫入は、やはり細胞間湿潤、即ちウイルスによる細胞浸潤ならびに精子による接合子嚢浸潤を包含し、悪性細胞と同一の細胞外マトリックス(基質)を生じ、CANPsの存在を必要とする、生物学的現象である。細胞間浸潤のこの新規機構に基づき、CANPs抑制因子またはその活性なサブユニットは抗ウイルス作用および避妊薬作用を示す。
本発明の抑制因子の悪性細胞に対する作用機構として、例えば細胞外GSG(基質)結合CANPsと接触しつつ、抑制因子が4つのサブユニット(例えば、分子量が広範に変化し、かつそれが用いられる基質に依存するモノマー)に分離して、(ヘマトキシリンで青色染色される顆粒である)不活性な抑制因子−プロテイナーゼ複合体を形成する可能性が考えられる。
次に、以下の現象が起こるだろう。細胞外で生じた抑制因子サブユニットは悪性細胞の膜を通って拡散して内生CANPsを不活性化するか、または、細胞内の活性化CANPsが細胞内で拡散して(細胞外の活性化CANPsの不活性化後に)低濃度グレディエント(gradient)となり細胞外の抑制因子モノマーにより不活性化する可能性がある。また、両方の現象が起こる可能性もある。抑制因子により処理した悪性細胞において観察される細胞質を欠く空胞は、活性化CANPsの拡散およびその細胞外での不活性化を支援するものである。
さらに、細胞外のGSG−CANPsチャンネルは、抑制因子がそのままGSG−CANPs嚢内に入るに充分な大きさである。
精子に対するCANPs抑制因子の効果は、精子がCANPs酵素と協同しており、該酵素に運動性、生存性および浸透性を依存していることを示唆している。高濃度のCa2+により観察される精子の運動性の増加(Fakihら,1986,Fertil.Steril.46(s),938-944))は精子の内生CANPsの活性化により達成され得る。多重受精防止の為の卵皮質による高濃度のCa2+放出(Steinhardtら,1977,Develop.Biol.58,185-196)は、恐らくは接合子嚢のCANPs抑制因子の協同を含む可能性がある。
精液ムチンに対するCANPs抑制因子の細胞学的効果は、活性酵素が、明らかにプロテアーゼおよび抑制因子双方の作用の一般的な基質であるグリコサミノグリカンに結合されていることを強く実証付けている。さらに、精子に対する抑制因子の作用機構は、ムチン(基質)結合CANPsと接触する特定の抑制因子の分解、および(ヘマトキシリンで青色に染色される顆粒である)不活性抑制因子−プロテイナーゼ複合体の形成である可能性がある。分離後に細胞外で生じた抑制因子サブユニットは、精子の膜を通って拡散して内生CANPsを不活性化するか、またはCANPsが細胞外に移動して細胞外のCANPsの不活性化後に低濃度グレディエントとなる可能性がある。正常細胞に対しては無毒性であり、かつ精子に対しては毒性であるCANPs抑制因子は男性用避妊薬に適すると思われる。
この観察は、種々の医薬学的問題への新たなアプローチを可能とするが、特に、腫瘍とりわけ癌、全てのウイルス疾患、AIDSの治療および妊娠の処理に適したCANPs抑制因子を含有する新規な医薬学的製剤の製造、および上記の医薬学的な疾患ならびに要求を治療および処理するための方法を可能とする。
本発明に用いられるCANPs抑制因子は、中性pHにおいて熱に安定で、トリプシン消化により破壊され、そして0.1〜1mMのCa2+により、(MelloniらによりArch.of Biochem.and Biophys.Vol.232,No.2,513-519,1984に記載の)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が60,000のサブユニットに分離され、ゲル濾過法(セファデックスG-200による溶離)による分子量が約240,000である4分割可能なタンパク質であることが好ましい。上記タンパク質の医薬学的に許容な塩、誘導体、類似物もしくは(用いる基質に依存する)異なる分子量の活性サブユニットも全て、CANPsの特異的抑制因子として用いることができる。
特異的抑制因子の活性サブユニットの分子量は使用される基質(例えばカゼイン、変性グロビン等)に依存すると信じられている。従って、抑制因子の活性部位の分子量は上記の値より高く、例えば約150,000である可能性も、より低く、約15,000である可能性もある。
抑制因子は、赤血球、脳、噴門筋、肺、脾臓、肝臓、骨格筋、腎臓、精巣等の生物学的資源から単離された内生天然抑制因子であってもよい。
ウサギ骨格筋から単離された好ましい抑制因子が製造され、シグマケミカル社(Sigma Chemical Company St.Louis,USA)から商品番号P−0787として市販されている。
抑制因子または分子量60,000のサブユニットの様な該因子の活性な断片は、合成により、特に生物工学的または遺伝子工学的な方法、例えば大腸菌における表現により製造することができる。
本発明において医薬学的製剤は、最終的に精製された特異的な天然または合成の抑制因子またはその医薬学的に許容な添加塩、活性サブユニット、断片、誘導体、または関連化合物を公知の適切な賦形剤と共に各々適切な量含有する、急速または持続放出性の形態の、溶液、粉末、注射液、錠剤、カプセル、ペレットの形態をとることができる。
抑制因子は、ヒトおよび温血動物の筋肉内、皮下、腹腔内もしくは静脈内に投与することが好ましい。その際の投与量は、疾患の種類ならびに進行度、抑制因子の抑制効果、投与経路、治療対象の生物種、患者の体重および全身状態に依存するが、多くの場合、主治医により最終的に決定される。通常は、投与量は一日当たり約1〜25mg/kgである。しかし必要であれば、例えば一日当たり100mg/kgまでの量で、上記投与量よりも大量に投与することができる。
CANPsの抑制因子の目ざましい効果は以下の試験により確認され、立証された。全ての試験において、ヘペス(hepes)を25mM添加したRPMI−1640に溶解したアプロチニン(Aprotinin,Sigma A-4 529)、トリプシン−キモトリプシン抑制因子(Sigma T-9777)、ロイペプチン(Sigma L-2884)、およびE64(Sigma E-3132)も、プロテアーゼ抑制因子のコントロールとして用いて試験を実施した。全ての抑制因子溶液を0.22μのザルトリアスフィルタ(Sartorius filters)で
Figure 0003703828
し、一定量を投与し、−20℃で凍結した。新鮮な、あるいは解凍した抑制因子溶液を使用した。
しかし、目ざましい効果は、本発明によるCANPs抑制因子によってだけ示された。以下の試験において、ウサギ骨格筋由来CANPs抑制因子の茶色がかった黄褐色粉末(Sigma Chemical Company,St.Louis,USA,製品番号P-0787)50単位/645mg固体を25mMのヘペス(Seromed)を添加した基本RPMI−1640 5mlに溶解して透明な黄褐色溶液(10単位/ml)を得たが、ここに述べる1単位とは、pH7.5、30℃(反応量=1.8ml、1cm光路)の条件で、1単位のCANPs(Sigma Chemical Company,St.Louis,USA,製品番号P4533)の活性を50%にまで減少させる抑制因子の量である。当然ながら、本発明の範囲は以下の例中で用いられた特定の抑制因子の使用に制限されるものではない。
例 1
悪性細胞の成長および生存度を試験管内で抑制するためのCANPの突然抑制因子の使用
細胞培養の確立
定常培養細胞は、酵素的消化によりヒト固形腫瘍組織試料から確立した。転移性肺癌由来悪性細胞系であるM−細胞、P−細胞およびB−細胞は、近年出願人により特徴付けられている。悪性尿路培養細胞は、浸潤性移行細胞癌の患者由来の組織試料から確立した。5系列が確立された尿路悪性細胞系を、それぞれPa−細胞、R−細胞、S−細胞、Br−細胞およびIG−細胞とした。Pa−細胞を誘導した患者だけが抗癌剤の膀胱内注入を受けていた。黒色腫培養細胞(Ha−細胞)は、直腸に黒色腫が原発し、組織試料を得た右腕のリンパ節に転移した男性患者を起源としていた。
悪性骨髄細胞は、慢性骨髄性白血病の(5人の)患者の吸引液を起源とした。ウオーカー腫瘍ラット細胞は、ウイスターラットに移植した腫瘍組織から単離した。正常ヒト肝臓細胞(L−細胞)は、胆嚢切除の手術を受けた男性患者の肝臓組織試料から単離した。
正常なファロピウス管細胞(F−細胞)は、子宮全摘出術を受けた女性患者由来組織試料から単離した。正常膀胱細胞(N−細胞)は、既に特徴付けられている(Logothetou-Rella,H.ら,1988,Europ.Urol.15,259-263)。また、5人の健常者由来の白血球細胞もコントロール細胞として用いた。
2細胞期に収穫されたマウスの胚を、10%の牛胎児血清および抗生物質を補給したアール完全平衡塩類溶液中で、ふ化胚磐胞(hatched blastocysts)期まで培養した。胚細胞が全て無くなってから培養細胞を細胞学のために用いた。また、出生前診断用に培養された5人の妊婦由来羊膜胚細胞も本研究に使用した。全ての培養細胞を、10%の牛胎児血清(Seromed)、グルタミンおよび抗生物質(Seromed)を補給した完全培地RPMI−1640中で育て、37℃のCO2−加湿インキュベータ内でインキュベートした。貯蔵する細胞を凍結して液体窒素内に保存した。
細胞遺伝学的分析
最近、M−細胞、P−細胞およびB−細胞の染色体分析が報告されている(Logothetou-Rella,H.ら,1991,J.Exper.Clin.Cancer Res.,投稿中)。尿路の悪性細胞であるP−細胞は、147染色体までの多倍数体ならびに複雑な構造異常を有する悪性細胞クローンだけからなる。S−細胞は、細胞総数の20%までの数の規則正しい4倍体悪性細胞クローンおよび80%の正常細胞からなる。Br−細胞は正常細胞および悪性細胞のクローンからなるが、その詳細な染色体分析は成功しなかった。黒色腫Ha−細胞は2分間しか染色体を現さない。肝臓L−細胞、ファロピウス管F−細胞、および羊膜胚細胞は細胞遺伝学的に正常であった。
抑制因子の腫瘍細胞および正常細胞に対する細胞毒性の測定には2種類の技術を用いた。
a) 抑制因子の継続的存在下における培養細胞の細胞学的変化
完全培地RPMI−1640を7種類調製した。一つの培地には、CANPs抑制因子を1単位/ml;2番目の培地にはトリプシン−キモトリプシン抑制因子を2mg/ml;3番目の培地にはアプロチニンを1mg/ml;4番目の培地にはロイペプチンを1mg/ml;5番目の培地にはE64を1mg/ml;6番目の培地には5種類の抑制因子全てを前記濃度で補給し、そして7番目の培地はコントロール培地として完全RPMI−1640とした。
10個のガラス製ペトリ皿(直径5cm)それぞれにM−細胞を1×106個、別のペトリ皿10個それぞれにP−細胞を1×106個播いた。抑制因子を含有する完全培地全種類および完全培地だけを含有するコントロール培養を2重に細胞培養した。細胞培養は、37℃の、加湿したCO2インキュベータ内で120時間インキュベートした。培養培地は、培養開始24および72時間後に、それぞれ同じ種類の新鮮な培地と交換した。細胞培養の半数は、培養開始72時間後に、残りの半数は120時間後に、50%エタノールで固定した。全ての培養細胞をパパニコロ法により染色した。
悪性M−細胞、P−細胞および正常L−細胞の集密的な定常細胞培養(20日間の連続培養)により細胞外マトリックスを大量に生じた後、CANPs抑制因子を1単位/ml補給した新鮮なRPMI−1640完全培地を与え、37℃で3日間インキュベートし、次に50%エタノールで固定してパパニコロ法により染色した。
トリプシン−キモトリプシン抑制因子、アプロチニン、ロイペプチンおよびE64は、コントロール細胞培養と比較して、M−およびP−細胞の成長および細胞学に影響を与えなかった。
CANPs抑制因子は、培養内に継続的に72時間存在した後に、細胞および細胞外マトリックス(ECM)の培養培地内への大量の落屑を引き起こした。(トリパンブルー染色によれば)落屑した細胞は全て死んでおり、高色性で凝縮した核、僅かな細胞質および尾状物を有する核を有していた。培養皿表面上には、僅かに、区画当たりの数が数えられる数で、細胞学的に正常な、接着した繊維芽細胞様の細胞が生存していた。(抑制因子を含有する1番及び6番を除く)全ての他の細胞培養皿およびコントロールの培養皿は、細胞および区画当たりの数を数え切れない数の核ブリマ(nuclear vlimma=“NV”,“ブリマ”=弾丸;宿主細胞を用いた多数の分裂操作の後の寄生細胞の状態であり、該細胞は核の頭部および小さな動けない精子に似た尾部を装着し、核小体の大きさに達する。核頭部の産生、他の細胞への射出および移入は主として、細胞外グリコサミノグリカン結合CANPおよび細胞膜が位置する培養領域で起こる。正常細胞培養においてはNVは認められず、例えば母細胞から遊離した、もしくはまだ母細胞に接着した産生中のヒト固形ならびに血液学的腫瘍において観察される。NVは悪性細胞の不完全な、不均等な、非対称的分裂の最終産物である。それらの産生過程において、それらは結局母細胞から離れてランダムに宿主細胞を探す。NVが正常宿主細胞の核に移入され、協働するときには、受精およびウイルス感染のプロセスと類似したプロセスを経ると考えることができる。結果として、宿主細胞の遺伝型および表現型が改変され、形質転換細胞の如く振る舞う。分裂を重ねた後、宿主細胞はその細胞質を失い、それ以上分裂する事ができなくなり;この宿主細胞は別の宿主細胞もしくは細胞外マトリックスの助力を必要とするようになり、こうして、この宿主細胞は寄生細胞にされ、NVを産生するようにさせられる。)で満たされ、細胞の落屑を伴わず、肉眼的外観が緑色であり繊維状の半透明なECMならびにGSG嚢を有していた。細胞培養中にCANPs抑制因子を継続的に120時間存在させた後でも、生存していた繊維芽細胞様の細胞がCANPs抑制因子の存在下で成長した以外は、上記と同様の観察結果であった。
融合後のM−細胞およびP−細胞培養は、系統として空胞化した細胞質を有し、尾部を有する、および有さない異なる大きさの変性核を有する細胞を呈する。丸まり、剥離した、死んだ細胞は、顕微鏡観察では、ヘマトキシリン好性の(青色)膜の網目構造により培養皿表面上で互いにつながっていた。ECMおよびGSG嚢は出現していなかった。そのかわりに、顕微鏡観察では大量のヘマトキシリン好性顆粒が存在した。
b) 液体培地短期培養法(Chang S.Y.ら,1989,Eur.Urol.16,51-56)
細胞をトリプシン−EDTA(Seromed)により剥離し、完全RPMI−1640に再懸濁した後、血球計算板を用いて細胞数を計測した。生存細胞数は0.4%トリパンブルー排除法(exclusion method)を用いて評価した。次に、細胞を完全RPMI−1640で1度洗浄し、200Gで8分間遠心した後、培地0.5ml当たり30,000から200,000の細胞数で完全RPMI−1640中に再懸濁し、以下に示す如くポリプロピレン試験管に接種した。
Figure 0003703828
抑制因子の濃度毎に細胞の試料を2重に試験した。全ての試料を水浴中で1時間、37℃でインキュベートおよび振とうした。次に、細胞を200Gで8分間の遠心により、完全RPMI−1640を用いて2度洗浄した。リンスした細胞ペレットをそれぞれ1mlの完全RPMI−1640中に再懸濁した後、静かにピペッティングしてペレットを単細胞に分離させ、次に24ウエルのマイクロプレート(Costar Cambridge Mass.)に播種して、5%CO2の加湿雰囲気の中で、37℃で4日間の短期培養を行った。細胞毒性の評価は0.4%トリパンブルーを用いた染料排除法を用いて実施した。細胞毒性の程度は次の式により測定した:
Figure 0003703828
CANPs抑制因子は試験した悪性細胞の全ての種類を選択的に殺したが、同一または別の培養内の正常細胞の成長および増殖は許した(表1および表2)。4〜5単位/mlの最適濃度抑制因子は全ての悪性クローンを殺すが、低濃度では低い割合で悪性細胞を殺す。最適濃度より高い濃度でも結果は変わらない。抑制因子は、肝臓細胞、ファロピウス細胞および白血球細胞を包含する正常細胞に対して細胞毒性を有しない。CANPs抑制因子処理後の(混合細胞系中の)生存細胞の細胞遺伝学的分析は正常な核型を示した。CANPs抑制因子は、胚細胞に対してもまた、細胞毒性を有している。
Figure 0003703828
Figure 0003703828
各試料における抑制因子の細胞毒性は2重試料の平均から得た。
例 2
正常および悪性尿路組織の生存力に関するCANPs抑制因子の使用
(5人の患者からの)腫瘍および(5人の人からの)正常組織の2mm×2mm×2mmの大きさのヒト尿路の小片を完全RPMI−1640中でリンスし、微細鉗子で静かに扱い、ポリプロピレン試験管内で、(各組織型の)小片を一つづつ(コントロールである)完全RPMI−1640中に、別の小片を一つづつ(10単位/ml)の抑制因子溶液中に液侵した後、37℃の加湿した5%CO2インキュベータ内で1時間インキュベートした。次に、全ての組織片を完全培地中で注意深くリンスし、2mlの完全RPMI−1640を含むポリプロピレン試験管内に(試験管当たり組織片1つの割合で)液侵し、次に37℃で4日間インキュベートした。ホルムアルデヒド中で組織片を固定してパラフィンに包埋し、組織切片をエオシン−ヘマトキシリン染色した。悪性組織片を入れた試験管中の落屑した細胞を、円錐形のポリプロピレン試験管内に10分間放置し、次にスライドグラス上に塗抹してシトスプレイ(cytospray)で固定し、パパニコロにより染色した。CANPs抑制因子は悪性組織の大量の細胞落屑を引き起こした。抑制因子で処理した悪性組織の組織学的試験は、類壊死領域から壊死領域、および細胞の露出したエオシン好性細胞外マトリックスからなる広い組織領域を呈した。落屑した細胞は死んでおり、変性した核および精子様の形態を有し、互いに離れ、緑色ECMを欠いていた。CANPs抑制因子が存在しないときには、悪性組織は殆ど細胞を落屑せず、密着した細胞境界による緑色ECM内の密な細胞塊となる。
正常尿路組織は抑制因子による処理後にも最初の状態を保っていた。
例 3
ヒト腫瘍小結節に対する生体内でのCANPs抑制因子の使用
肝骨(hepatic bone)および皮下への広範な転移を伴う胸部転移性癌を有しており、化学療法および放射線治療に何度か失敗し、また、全身状態も思わしくない女性患者が、彼女の皮下小結節における本発明の薬の試験投与を承認した。小結節は胸部全体を覆い、またその一部は腹部に位置していた。豆粒大の固い小結節の一つの中央に、25mMのヘペスを添加したRPMI−1640に溶解したCANPs抑制因子を0.1ml(1単位/0.1、ml)注射した。24時間後、処理した小結節およびその近傍の無処理のコントロール小結節を切除し、フォルマリン中で固定して、顕微鏡観察のためにパラフィン包埋した。
注射した1、4および24時間後には、患者は如何なるアレルギー反応も示さなかった。注射4時間後には、小結節は柔らかく、そして僅かに小さくなったように思われた。24時間後には、小結節は柔軟になり、元の大きさの半分にまで退縮した。処理した新生物は、変性した小さな細胞性凝集および多くの変性単細胞により組織学的に特徴付けられた。細胞の多くは、不規則な凝縮性、核崩壊性もしくは変性空胞性核を有していた。幾つかの細胞は空胞化した細胞質を示していた。腫瘍の外側周縁領域では、規則的な核、良好な染色質および痩せた一つの核小体を有する新生物細胞が少し残っていた。CANPs抑制因子により生じた腫瘍細胞変性の主領域は全体で、5.2mm×2.5mmの主腫瘍切片領域の内のほぼ3.4mm×2.5mmの領域であると測定された。隣接する汗腺および上皮は無傷のままにした。注射による裂性出血領域の周囲においてさえ、炎症反応はなかった。無処理の腫瘍小結節の組織学的試験は、新生物が、良く露出した染色質および痩せた核小体を伴う比較的均一な卵型または円形の核を有する新生物細胞の生存可能な大きなカラムもしくは1本鎖により特徴付けられることを示している。組織学的写真は、転移性胸部癌に類似していた。
例 4
ラット腫瘍に対する生体内でのCANPs抑制因子の使用
雄のウイスターラットに腫瘍組織を皮下移植した2週間後に、2つのウオーカー腫瘍を切除した。注射用の腫瘍細胞懸濁液を公知の手法(Fisher E.R.およびFisher B.,1959,12,926-928)により調製した。各々の体重が100gである、雄ウイスターラット群の左の足せき(foot pad)に10×106個のウオーカー腫瘍細胞を皮下注射した。次に、このラットを4つの群に分け、2群をコントロール群に、後の2群を処理群とした。処理は、腫瘍が50〜100立方mmの計測可能な大きさに達したときに開始した。ラットの第1の群には、各々のラット当たり50単位/2.5ml(645mg/2.5ml)のCANPs抑制因子を1日1回、2日間(0.5単位/kgまたは6.45mg/kgラット体重)、腹腔内に注射した。
ラットの第2の群には、0.25単位/kg(3.23mg/kg)ラット体重の投薬量で1日2回、5日間腹腔内に処理した。コントロール群のラットには、25mMのヘペスを添加したRPMI−1640培地2.5mlをそれぞれ注射した。コントロール群の全てのラットは、注射した脚のために最後の処理から4日後に死亡したが、この注射した脚は肩胛骨まで腫瘍に全て覆われ、コントロール腫瘍の正確な測定は不可能であった。全てのラットから腫瘍脚、リンパ節、肝臓を切除し、これらをホルマリン固定およびパラフィン包埋して組織学的研究に供した。最初の投薬の後、腫瘍の体積を毎日キャリパーで測定した。CANPs抑制因子は、第1の群のラットでは50%の腫瘍退縮をもたらし、第2の群のラットでは90%の退縮をもたらした。(処理およびコントロールの)全ての群には、試験開始時点では腫瘍の体積に如何なる意味のある差異もなかった。
処理中ラットは健康であり、ウサギ骨格筋由来抑制因子の大量投与によるアレルギー反応または副作用を示さなかった。処理ラット肝臓の組織学的試験は、抑制因子による細胞毒作用をまったく示さず、中央細静脈に壊死または細胞損傷は観察されなかった。
第1の群のラットでは、その内の1匹が転移性の腹部の細胞増殖性病巣を、別の1匹が転移性の肝臓性細胞増殖性病巣を発達させた。腹部の細胞増殖性病巣の触感は、最初の投薬の24時間後には消失した。組織学的試験は、腫瘍形成を伴う大きな癌性結節の壊死、上皮および潰瘍の壊死を示した。肝臓の細胞増殖性病巣は、周縁部に有糸分裂を有する癌性組織の中央部および残留部に、核の残骸を有する壊死物質を呈して壊死していた。処理ラットの足せき腫瘍は、微細な腫瘍形成を伴う種々の大きさの壊死領域を示した。(通常マウスは移植の20日後に死亡する)ウオーカー腫瘍細胞の病原力を考慮すればこれらの結果は非常に重要なものである。
例1−4から推論される結論
本発明の医薬学的組成物は、正常細胞の遺伝子型に影響すること無く、異なる染色体異常、組織および起源動物種の全ての悪性細胞を殺した。試験管内における最適投与量には、溶液1ml当たり4〜5単位のCANPs抑制因子が含有される。
この医薬学的組成物は肝臓細胞および白血球細胞を含む正常細胞に対する細胞毒性を有していなかった。該組成物はヒト腫瘍の異なる型に対する幅広い作用を呈した。該組成物は、ヒトの固形および血液性腫瘍細胞、特に異なる腫瘍起源の化学療法抵抗性腫瘍細胞(肺のP−細胞および膀胱のPa−細胞)に対する細胞毒性を有していた(胚細胞はこの抑制因子に対して非常に感受性が高いが、それは胚細胞と悪性細胞との類似性によるものである)。
ラット腫瘍で試験した本発明の医薬学的組成物は、主腫瘍の50〜90%退縮をもたらし、転移を有する腫瘍では、転移性細胞増殖性病巣の壊死をもたらした。これは非免疫原性、無毒性に、体重1kg当たり0.5単位(6.5mg)の1日の投与量で、1日1度あるいは何度かに分割して用いるのに適している。腫瘍が完全に退縮するまで投与を続けることが適当である。
例 5
CANPs抑制因子の避妊作用
10人の提供者からの(泳動性試験後の)妊性運動型精子を4つのプラスチック試験管(5ml,Falcon)それぞれに分配した。2つの試験管に、0.4mlの精子懸濁液(600,000の精子)および0.6mlの完全EBSSを添加した。他の2本の試験管にはそれぞれ0.4mlの精子懸濁液、0.4ml(10単位/ml)のCANPs抑制因子および0.1mlの牛胎児血清を添加した。全ての試験管を37℃で1時間インキュベートした。次に、完全EBSSにより精子を2回洗浄し、遠心した。得られた精子ペレットをそれぞれ2mlの完全EBSSに再懸濁して、37℃で18時間インキュベートしたが、このとき精子の数をエオシンY生存力排除染色(eosin Y viability exclusion stain)により計測し、スライドグラスに塗抹して50%エタノールで固定し、パパニコロにより染色した。
CANPs抑制因子による細胞毒性の程度は次の式により計測した:
Figure 0003703828
抑制因子処理した精子および無処理精子を、融合後の顆粒膜細胞培養に接種して37℃で18時間インキュベートし、50%エタノールで固定してパパニコロで染色した。抑制因子で処理した妊性精子の運動性の計測は、処理2時間後には運動型精子が3%だけであり、そして処理18時間後には運動型精子がいないことを示した。(エオシンYによる染色では)非運動型精子の80%が死亡していた。抑制因子で処理した精子は混合培養中に顆粒膜細胞に貫入することに失敗した。
細胞学的試験は、抑制因子で処理した精子の80%が、処理18時間後には、巻いた尾部末端および透明な先体帽を有していたことを明らかにした。さらに、コントロール試料中に存在する緑色の繊維状ムチンが変化して、抑制因子で処理した精子中で大きな青色顆粒の分散弛緩性塊となった。
例 6
CANPs抑制因子の試験管内における抗ウイルス作用
1) エプスタイン−バーウイルス(EBV)に対する作用
細胞のウイルス感染は、宿主−寄生相互作用を含む。ウイルスはまた、生存および繁殖のために宿主細胞内に生物学的に活性なDNAまたはRNAを運ぶ乗物であり、動物およびヒトのウイルス疾患を引き起こす。
以下の試験により、2つの細胞系におけるCANPs抑制因子の抗ウイルス作用を試験した。細胞系の1つは、培養バーキット腫瘍リンパ芽球(Raji株)に試験管内でエプスタイン−バーウイルス(EBV)を感染させた細胞系(Kottaridisら,J.Natl.Cancer Inst.1977,59(1),89-91)であり、他の細胞系は、EBV産生細胞であるP3HR−1バーキットリンパ腫細胞系(Hinuma Y.ら,1967,J.Virol.1,1045-1051)であった。IgG抗体は免疫蛍光(Gull labs)により、EBV感染Raji細胞の塗抹標本では10%の細胞で、P3HR−1では20〜25%の細胞で蛍光を示した。陰性コントロールとして、IgG−EBV陰性抗体を用いた。
化学療法感受性を試験するために、200,000細胞/試験管を用いた。EBV感染Raji細胞に対する試験の結果は、2単位/mlのCANPs抑制因子で22%、4単位/mlで97%、および5単位/mlで100%の細胞毒性を示した。EBV産生細胞であるP3HR−1細胞の場合には、2単位/mlのCANPs抑制因子で95%、4単位/mlおよび5単位/mlで100%の細胞毒性を示した。両方の細胞系共に、4単位/ml以上のCANPs抑制因子による処理後には検出可能な免疫蛍光IgGを結合しないことが判明した。
悪性細胞であるために両細胞系共にCANPs抑制因子に対して感受性であるにも拘らず、処理後には免疫蛍光IgGが消失することは、CANPs抑制因子の抗ウイルス作用を表している。
2) ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV−I,AIDSウイルス)に対する作用
MOLT−4細胞系(ATCC CRL 1582、急性リンパ芽細胞性白血病由来)にHIV−Iを感染させた細胞系(Koyanagi Y.S.ら,1987,Science 236,819-822およびCann A.J.ら,1990,J.Virol.64(10)4735-4742)を用いた。化学療法感受性試験のために、200,000細胞/試験管を、4単位/mlおよび10単位/mlのCANPs抑制因子により処理した。試験結果は、CANPs抑制因子濃度が4単位/mlで97%、および10単位/mlで100%の細胞毒性を示した。
冷アセトン中で固定した細胞塗抹標本を、HIV−Iに対する抗体(1:100)および抗ヒトIgG蛍光体接合体(1:200 Daka corp.)を含有する陽性ヒト血清を用いた免疫蛍光のために用いた。陰性コントロールとして、HIV−I抗体陰性のヒト血清を用いた。無処理のHIV−I感染MOLT−4培養細胞の60%において、免疫蛍光HIV−I−抗体を検出した。4単位/mlおよび10単位/mlのCANPs抑制因子濃度で処理したHIV−I感染MOLT−4細胞は、検出可能な免疫蛍光HIV−I−抗体を結合しなかった。
MOLT−4細胞が悪性であるためにHIV−Iに感染したMOLT−4細胞はCANPs抑制因子に対して高感受性であるにも拘らず、免疫蛍光HIV−I−抗体が消失したことは、CANPs抑制因子の抗AIDS作用を表している。

Claims (10)

  1. 精製されたカルシウム活性化中性プロテイナーゼ(CANPs)特異的抑制因子を含み、ここで、該抑制因子が、中性のpHにおいて熱に安定で、トリプシン消化により破壊され、そして0.1〜1mMのCa 2+ によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が60,000のサブユニットに分離され、ゲル濾過法による分子量が240,000である4分割可能なタンパク質であるか、あるいは、該タンパク質の医薬学的に許容な添加塩、誘導体、類似物、または活性サブユニットである、癌を含む腫瘍(神経細胞起源の腫瘍を除く)の成長を抑制する腫瘍治療用医薬学的製剤。
  2. 精製されたカルシウム活性化中性プロテイナーゼ(CANPs)特異的抑制因子を含み、ここで、該抑制因子が、中性のpHにおいて熱に安定で、トリプシン消化により破壊され、そして0.1〜1mMのCa 2+ によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が60,000のサブユニットに分離され、ゲル濾過法による分子量が240,000である4分割可能なタンパク質であるか、あるいは、該タンパク質の医薬学的に許容な添加塩、誘導体、類似物、または活性サブユニットである、ウイルス疾患の治療用医薬学的製剤。
  3. 精製されたカルシウム活性化中性プロテイナーゼ(CANPs)特異的抑制因子を含み、ここで、該抑制因子が、中性のpHにおいて熱に安定で、トリプシン消化により破壊され、そして0.1〜1mMのCa 2+ によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が60,000のサブユニットに分離され、ゲル濾過法による分子量が240,000である4分割可能なタンパク質であるか、あるいは、該タンパク質の医薬学的に許容な添加塩、誘導体、類似物、または活性サブユニットである、AIDSの治療用医薬学的製剤。
  4. 精製されたカルシウム活性化中性プロテイナーゼ(CANPs)特異的抑制因子を含み、ここで、該抑制因子が、中性のpHにおいて熱に安定で、トリプシン消化により破壊され、そして0.1〜1mMのCa 2+ によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が60,000のサブユニットに分離され、ゲル濾過法による分子量が240,000である4分割可能なタンパク質であるか、あるいは、該タンパク質の医薬学的に許容な添加塩、誘導体、類似物、または活性サブユニットである、避妊用医薬学的製剤。
  5. 記抑制因子が、赤血球、脳、噴門筋、肺、脾臓、骨格筋、腎臓、精巣を含む生物学的資源から単離された内生天然抑制因子を精製したものである、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬学的製剤
  6. 記抑制因子が、ウサギの骨格筋もしくは肝臓から単離された内生天然抑制因子である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬学的製剤
  7. 前記抑制因子、該抑制因子の医薬学的に許容な添加塩、誘導体、類似物、または活性サブユニットが合成製造物である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬学的製剤
  8. 前記合成製造物が、大腸菌を用いる方法を含む生物工学的または遺伝子工学的な方法により製造される、請求項に記載の医薬学的製剤
  9. 切な賦形剤を有効量含有した、急速または持続放出性の形態の溶液、粉末、注射液、錠剤、カプセル、ペレットの形態である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬学的製剤
  10. 肉内、皮下、腹腔内、または静脈内投与のための、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬学的製剤
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