JP3703563B2 - リブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体 - Google Patents
リブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3703563B2 JP3703563B2 JP12611396A JP12611396A JP3703563B2 JP 3703563 B2 JP3703563 B2 JP 3703563B2 JP 12611396 A JP12611396 A JP 12611396A JP 12611396 A JP12611396 A JP 12611396A JP 3703563 B2 JP3703563 B2 JP 3703563B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shaped body
- oblique
- oblique yarn
- yarn layer
- shaft
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Braiding, Manufacturing Of Bobbin-Net Or Lace, And Manufacturing Of Nets By Knotting (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射方向にリブが突出されたリブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、筒状織物の外周に放射方向のリブが必要な場合、織成された筒状織物の外周に別途用意したクロスを糸を用いて縫着するという手段が採用されている。
【0003】
しかしながら、この手段では筒状織物とリブとなるクロスとの一体性(接合性)が不十分である。
【0004】
このようなリブ付の筒状織物は、樹脂含浸後加熱硬化せしめ、筒体にリブを放射状に突設した繊維強化樹脂製部材として種々の用途に供される訳であるが(リブは筒体を適宜な場所に固定する場合の固定手段として利用したりする。)、筒状織物とクロスとの接合が弱い為、結局、繊維強化樹脂製部材となってもリブ(クロス)が所定の負荷に耐えられず、筒体からリブが脱落してしまうことが往々にして生じ、結局、所望の用途には使用できないという問題がある。
【0005】
本発明は、リブが堅固に設けられ、よって、リブが脱落することのないリブ付の筒状の繊維強化樹脂製部材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
軸芯方向に移動可能な軸7の外周面上に、該軸7の軸芯に対して所定角度±θで斜向糸Sを織成積層することで第一斜向糸層を形成し、続いて、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を織成積層し、同様に第n斜向糸層まで織成積層して筒状織物19を形成する公知のブレーダーを使用して成るリブ付の筒状織物の製造方法であって、軸7に、外周面に貫通孔14を形成した筒状の賦形体13を被嵌し、この賦形体13の外周面上に斜向糸層を形成した後、前記貫通孔14に、糸受け部15aと針部15bとを着脱自在に連結したピン体15の該針部15bを挿入し、続いて、斜向糸Sが糸受け部15a上に当接する状態で斜向糸Sを織成積層して斜向糸層を形成し、続いて、賦形体13から軸7を抜き取り、続いて、賦形体13の内孔13’側から針部15bを抜き取るとともに糸受け部15a上に斜向糸Sが当接することにより斜向糸層に形成される突出部17の両側開口16から該糸受け部15aを抜き取り、続いて、この突出部17を板状のリブ18に形成すべく適宜な型20を外側から押圧し、続いて、賦形体13を脱型することを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載のリブ付の筒状織物の製造方法において、斜向糸Sにより形成される第n−1斜向糸層と第n斜向糸層との間に軸7の軸芯方向に配される軸方向糸Rを複数本設けて成る軸方向糸層を形成することを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に係るものである。
【0009】
また、軸芯方向に移動可能な軸7の外周面上に、該軸7の軸芯に対して所定角度±θで斜向糸Sを織成積層することで第一斜向糸層を形成し、続いて、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を織成積層し、同様に第n斜向糸層まで織成積層して筒状織物19を形成する公知のブレーダーを使用して成るリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体13であって、この賦形体13は、軸7に適宜な手段で固着される筒状構造に構成され、この賦形体13の外周面には内孔13'に貫通するスリット状の貫通孔14が形成され、この貫通孔14には糸受け部15aに適当本数の針部15bが突設されたピン体15の該針部15bが脱着自在に挿入される構造であることを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体に係るものである。
【0010】
また、請求項3記載のリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体において、賦形体13として、複数の部材を連結して組み立てる構造の賦形体13を採用したことを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体に係るものである。
【0011】
【発明の作用並びに効果】
リブ18と筒状織物19とは一体的に設けられている為、筒状織物19からのリブ18の脱落は可及的に防止される。
【0012】
そして、このリブ18付の筒状織物19は、貫通孔14を形成した賦形体13並びに糸受け部15aと針部15bとを着脱自在に連結したピン体15を使用するから、極めて効率的に製造し得ることになる。
【0013】
本発明は、上述のようにしたから、筒状織物19からリブ18が脱落することのない極めて耐久性の高いリブ18付の筒状織物19を効率よく製造し得ることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2〜15は本発明の第一実施例、図16〜18は分割可能な賦形体13を使用した本発明の第二実施例である。
【0015】
第一実施例について説明する。
【0016】
ここで、公知のブレーダーについて説明する。公知のブレーダーとは図1に図示したもので、回転盤6の外周部に適宜数の斜向糸供給部5(糸巻体)が設けられ、この回転盤6に軸7が貫挿された構造で、回転盤6を回転させつつ軸7を図1中の矢印方向に移動させ、該軸7の外周面上に、糸巻体から供給される糸(斜向糸S)を該軸7の軸芯に対して所定角度±θで織成積層して第一斜向糸層を形成し、続いて、斜向糸Sを切断後、軸7を元の位置まで引き戻し、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を積層し、これを繰り返してn層の斜向糸層から成る筒状織物を製造するものである。
【0017】
本実施例は、この公知のブレーダーを使用する。
【0018】
図2に図示したように軸7に賦形体13を被嵌する。この賦形体13は先端に先細りテーパー13”が形成され、この先細りテーパー13”にスリット状の貫通孔14が4カ所穿設された筒状体である。
【0019】
この賦形体13と公知のブレーダーとを組み合わせて使用することでリブ18付の筒状織物19を製造する。具体的には次の通りである。
【0020】
図3に図示した状態から軸7を図3中左側へ適宜な手段により引動するとともに回転盤6を回動させ、糸巻体から糸(斜向糸S)を供給して賦形体13の外周面上にして該賦形体13の軸芯に対して所定角度±θで該斜向糸Sを織成積層して第一斜向糸層を形成し(図4参照)、賦形体13の前側及び後側位置を糸で縛着した後、斜向糸Sを図4中のXの位置でカットする。
【0021】
続いて、方形板状の糸受け部15aに4本の針部15bを凹凸嵌合連結した構造のピン体15の該針部15bを夫々の斜向糸Sの間の目を通過させて貫通孔14内に挿入する(図5,6参照)。
【0022】
続いて、再び軸7を引動するとともに斜向糸Sを供給して該斜向糸Sが糸受け部15a上に当接する状態で斜向糸Sを織成積層して斜向糸層を形成する(図7参照)。
【0023】
軸7が所定の位置に達したら適宜斜向糸Sを切断し、軸7を元の位置に引き戻し、再び同様にして前記で形成した第一斜向糸層上に第二斜向糸層を形成し、これを適当回数繰り返す。
【0024】
所定数の斜向糸層を織成積層した後、賦形体13から軸7を抜き取り、続いて、図8に図示したように賦形体13の内孔13’側から針部15bを抜き取るとともに糸受け部15a上に斜向糸Sが当接されることにより斜向糸層に形成される突出部17の両側開口16から該糸受け部15aを抜き取る(図8,9参照)。
【0025】
続いて、図10に図示したように、この突出部17を板状のリブ18に形成すべく1/4円弧状の型20を夫々の型20が突出部17を挾持する状態で押圧する。
【0026】
続いて、この型20により押圧整形されたリブ18を適宜な糸21で図11に図示したようにステッチしてリブ18を完成させ、賦形体13を脱型すると図12に図示したリブ18付の筒状織物19が製造されることになる。
【0027】
このようにして製造されたリブ18付の筒状織物19に適宜熱硬化性樹脂を含浸せしめ、加熱硬化せしめると、リブ18が筒状織物19に一体的に突設された繊維強化樹脂部材が製造されることになる。
【0028】
斜向糸S、軸方向糸Rに使用する糸は、有機繊維,無機繊維どのようなものでも良い。
【0029】
本実施例は、斜向糸Sの本数、角度θの調整により、所望の強度を実現し得ることになる。
【0030】
尚、本実施例に係るリブ18付の筒状織物19は最初に斜向糸層を形成するため該最初の斜向糸層により賦形体13の内孔13’とリブ18の裏側とは貫通状態とならない(図9参照)。従って、賦形体13の内孔13'内面は凹部のない平坦な内面になる。そして、この最初に形成される斜向糸層がないと、内孔13'は両側開口16を介して外部と通じることになるが、本実施例の場合、この最初の斜向糸層の存在により内孔13'と外部とは遮閉されることになる。
【0031】
また、斜向糸層間に環状に配される複数本の軸方向糸Rから成る軸方向糸層を介存せしめる場合には、前記公知のブレーダーの回転盤6の後方に軸方向糸Rを巻回する適宜数の軸方向糸供給部1(糸巻体)を設け、一方、回転盤6の前面に軸方向糸Rを整列せしめるガイド孔3を穿設したガイド板4を設けた図13,14に係る改良ブレーダーを使用する。尚、符号2は軸7の引き取り装置、12は糸止着環である。
【0032】
このような本実施例に係る改良ブレーダーを作動させる。
【0033】
具体的には、回転盤6を回転させるとともに断面円形状の軸7を図13,14中の矢印方向に引き取り装置2により移動させながら、軸7上に軸芯に対して所定角度±θの斜向糸Sを織成積層して第一斜向糸層を形成する。
【0034】
続いて、この第一斜向糸層上に前記同様ピン体15を用いて斜向糸層及び複数本の軸方向糸Rから成る軸方向糸層を適当数積層形成する。
【0035】
具体的には、前記で説明した場合と同様、軸7が所定の位置に達したら適宜斜向糸Sを切断し、軸7を元の位置に引き戻し、この繰り返しにより斜向糸層間に軸方向糸層を形成すると、第n−1斜向糸層と第n斜向糸層との間に軸方向糸Rによる軸方向糸層を介存せしめて成るリブ18付の筒状織物19(リブ18を省略した組織図は図15に図示)が製造される。
【0036】
このようにして製造されたリブ18付の筒状織物19は軸方向糸Rが存在するため、軸芯方向の強度が著しく向上することになる。特に、このような製造方法は任意の本数の軸方向糸Rを配することができる為、当該筒状織物19の軸芯方向の強度を任意に設定し得ることになる。
【0037】
第二実施例について説明する。
【0038】
第二実施例は賦形体13として分割可能な賦形体13を採用した場合である。
【0039】
中央部に径小部を有するリブ付の筒状織物を織成する場合、該分割可能な賦形体13を採用すれば脱型不能は生じない。具体的には、この分割可能な賦形体13は図16,17,18に図示したように、環状の前部材22と、環体23aに筒体23bを突設した後部材23と、二つの半筒状の中央部材24,25と、この中央部材24,25に挾持される貫通孔14を形成した被挾持部材26,27とで構成されたものである。
【0040】
脱型は次の手順による。まず、前部材22,後部材23を除去し、被挾持部材26,27を中心側に落とし込み、中央部材24,25を中心側に寄せ、筒状織物19から脱型する。
【0041】
符号28はボルト、29はボルト孔である。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知のブレーダーの説明斜視図である。
【図2】第一実施例の賦形体の斜視図である。
【図3】第一実施例の製造工程説明図である。
【図4】第一実施例の製造工程説明図である。
【図5】第一実施例の製造工程説明図である。
【図6】第一実施例の製造工程説明図である。
【図7】第一実施例の製造工程説明図である。
【図8】第一実施例の製造工程説明図である。
【図9】第一実施例の製造工程説明図である。
【図10】第一実施例の製造工程説明図である。
【図11】第一実施例の製造工程説明図である。
【図12】第一実施例のリブ付の筒状織物の正面図である。
【図13】第一実施例の製造装置(改良ブレーダー)の斜視図である。
【図14】第一実施例の製造装置(改良ブレーダー)の側面図である。
【図15】第一実施例の筒状織物の拡大組織説明図である。
【図16】第二実施例の分割可能な賦形体の分解正面図である。
【図17】第二実施例の分割可能な賦形体の前部材を除去した側面図である。
【図18】図17において後部材,被挾持部材を除去した状態の側面図である。
【符号の説明】
S 斜向糸
R 軸方向糸
7 軸
13 賦形体
13’ 内孔
14 貫通孔
15 ピン体
15a 糸受け部
15b 針部
16 開口
17 突出部
18 リブ
19 筒状織物
20 型
【発明の属する技術分野】
本発明は放射方向にリブが突出されたリブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、筒状織物の外周に放射方向のリブが必要な場合、織成された筒状織物の外周に別途用意したクロスを糸を用いて縫着するという手段が採用されている。
【0003】
しかしながら、この手段では筒状織物とリブとなるクロスとの一体性(接合性)が不十分である。
【0004】
このようなリブ付の筒状織物は、樹脂含浸後加熱硬化せしめ、筒体にリブを放射状に突設した繊維強化樹脂製部材として種々の用途に供される訳であるが(リブは筒体を適宜な場所に固定する場合の固定手段として利用したりする。)、筒状織物とクロスとの接合が弱い為、結局、繊維強化樹脂製部材となってもリブ(クロス)が所定の負荷に耐えられず、筒体からリブが脱落してしまうことが往々にして生じ、結局、所望の用途には使用できないという問題がある。
【0005】
本発明は、リブが堅固に設けられ、よって、リブが脱落することのないリブ付の筒状の繊維強化樹脂製部材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
軸芯方向に移動可能な軸7の外周面上に、該軸7の軸芯に対して所定角度±θで斜向糸Sを織成積層することで第一斜向糸層を形成し、続いて、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を織成積層し、同様に第n斜向糸層まで織成積層して筒状織物19を形成する公知のブレーダーを使用して成るリブ付の筒状織物の製造方法であって、軸7に、外周面に貫通孔14を形成した筒状の賦形体13を被嵌し、この賦形体13の外周面上に斜向糸層を形成した後、前記貫通孔14に、糸受け部15aと針部15bとを着脱自在に連結したピン体15の該針部15bを挿入し、続いて、斜向糸Sが糸受け部15a上に当接する状態で斜向糸Sを織成積層して斜向糸層を形成し、続いて、賦形体13から軸7を抜き取り、続いて、賦形体13の内孔13’側から針部15bを抜き取るとともに糸受け部15a上に斜向糸Sが当接することにより斜向糸層に形成される突出部17の両側開口16から該糸受け部15aを抜き取り、続いて、この突出部17を板状のリブ18に形成すべく適宜な型20を外側から押圧し、続いて、賦形体13を脱型することを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載のリブ付の筒状織物の製造方法において、斜向糸Sにより形成される第n−1斜向糸層と第n斜向糸層との間に軸7の軸芯方向に配される軸方向糸Rを複数本設けて成る軸方向糸層を形成することを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に係るものである。
【0009】
また、軸芯方向に移動可能な軸7の外周面上に、該軸7の軸芯に対して所定角度±θで斜向糸Sを織成積層することで第一斜向糸層を形成し、続いて、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を織成積層し、同様に第n斜向糸層まで織成積層して筒状織物19を形成する公知のブレーダーを使用して成るリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体13であって、この賦形体13は、軸7に適宜な手段で固着される筒状構造に構成され、この賦形体13の外周面には内孔13'に貫通するスリット状の貫通孔14が形成され、この貫通孔14には糸受け部15aに適当本数の針部15bが突設されたピン体15の該針部15bが脱着自在に挿入される構造であることを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体に係るものである。
【0010】
また、請求項3記載のリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体において、賦形体13として、複数の部材を連結して組み立てる構造の賦形体13を採用したことを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体に係るものである。
【0011】
【発明の作用並びに効果】
リブ18と筒状織物19とは一体的に設けられている為、筒状織物19からのリブ18の脱落は可及的に防止される。
【0012】
そして、このリブ18付の筒状織物19は、貫通孔14を形成した賦形体13並びに糸受け部15aと針部15bとを着脱自在に連結したピン体15を使用するから、極めて効率的に製造し得ることになる。
【0013】
本発明は、上述のようにしたから、筒状織物19からリブ18が脱落することのない極めて耐久性の高いリブ18付の筒状織物19を効率よく製造し得ることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2〜15は本発明の第一実施例、図16〜18は分割可能な賦形体13を使用した本発明の第二実施例である。
【0015】
第一実施例について説明する。
【0016】
ここで、公知のブレーダーについて説明する。公知のブレーダーとは図1に図示したもので、回転盤6の外周部に適宜数の斜向糸供給部5(糸巻体)が設けられ、この回転盤6に軸7が貫挿された構造で、回転盤6を回転させつつ軸7を図1中の矢印方向に移動させ、該軸7の外周面上に、糸巻体から供給される糸(斜向糸S)を該軸7の軸芯に対して所定角度±θで織成積層して第一斜向糸層を形成し、続いて、斜向糸Sを切断後、軸7を元の位置まで引き戻し、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を積層し、これを繰り返してn層の斜向糸層から成る筒状織物を製造するものである。
【0017】
本実施例は、この公知のブレーダーを使用する。
【0018】
図2に図示したように軸7に賦形体13を被嵌する。この賦形体13は先端に先細りテーパー13”が形成され、この先細りテーパー13”にスリット状の貫通孔14が4カ所穿設された筒状体である。
【0019】
この賦形体13と公知のブレーダーとを組み合わせて使用することでリブ18付の筒状織物19を製造する。具体的には次の通りである。
【0020】
図3に図示した状態から軸7を図3中左側へ適宜な手段により引動するとともに回転盤6を回動させ、糸巻体から糸(斜向糸S)を供給して賦形体13の外周面上にして該賦形体13の軸芯に対して所定角度±θで該斜向糸Sを織成積層して第一斜向糸層を形成し(図4参照)、賦形体13の前側及び後側位置を糸で縛着した後、斜向糸Sを図4中のXの位置でカットする。
【0021】
続いて、方形板状の糸受け部15aに4本の針部15bを凹凸嵌合連結した構造のピン体15の該針部15bを夫々の斜向糸Sの間の目を通過させて貫通孔14内に挿入する(図5,6参照)。
【0022】
続いて、再び軸7を引動するとともに斜向糸Sを供給して該斜向糸Sが糸受け部15a上に当接する状態で斜向糸Sを織成積層して斜向糸層を形成する(図7参照)。
【0023】
軸7が所定の位置に達したら適宜斜向糸Sを切断し、軸7を元の位置に引き戻し、再び同様にして前記で形成した第一斜向糸層上に第二斜向糸層を形成し、これを適当回数繰り返す。
【0024】
所定数の斜向糸層を織成積層した後、賦形体13から軸7を抜き取り、続いて、図8に図示したように賦形体13の内孔13’側から針部15bを抜き取るとともに糸受け部15a上に斜向糸Sが当接されることにより斜向糸層に形成される突出部17の両側開口16から該糸受け部15aを抜き取る(図8,9参照)。
【0025】
続いて、図10に図示したように、この突出部17を板状のリブ18に形成すべく1/4円弧状の型20を夫々の型20が突出部17を挾持する状態で押圧する。
【0026】
続いて、この型20により押圧整形されたリブ18を適宜な糸21で図11に図示したようにステッチしてリブ18を完成させ、賦形体13を脱型すると図12に図示したリブ18付の筒状織物19が製造されることになる。
【0027】
このようにして製造されたリブ18付の筒状織物19に適宜熱硬化性樹脂を含浸せしめ、加熱硬化せしめると、リブ18が筒状織物19に一体的に突設された繊維強化樹脂部材が製造されることになる。
【0028】
斜向糸S、軸方向糸Rに使用する糸は、有機繊維,無機繊維どのようなものでも良い。
【0029】
本実施例は、斜向糸Sの本数、角度θの調整により、所望の強度を実現し得ることになる。
【0030】
尚、本実施例に係るリブ18付の筒状織物19は最初に斜向糸層を形成するため該最初の斜向糸層により賦形体13の内孔13’とリブ18の裏側とは貫通状態とならない(図9参照)。従って、賦形体13の内孔13'内面は凹部のない平坦な内面になる。そして、この最初に形成される斜向糸層がないと、内孔13'は両側開口16を介して外部と通じることになるが、本実施例の場合、この最初の斜向糸層の存在により内孔13'と外部とは遮閉されることになる。
【0031】
また、斜向糸層間に環状に配される複数本の軸方向糸Rから成る軸方向糸層を介存せしめる場合には、前記公知のブレーダーの回転盤6の後方に軸方向糸Rを巻回する適宜数の軸方向糸供給部1(糸巻体)を設け、一方、回転盤6の前面に軸方向糸Rを整列せしめるガイド孔3を穿設したガイド板4を設けた図13,14に係る改良ブレーダーを使用する。尚、符号2は軸7の引き取り装置、12は糸止着環である。
【0032】
このような本実施例に係る改良ブレーダーを作動させる。
【0033】
具体的には、回転盤6を回転させるとともに断面円形状の軸7を図13,14中の矢印方向に引き取り装置2により移動させながら、軸7上に軸芯に対して所定角度±θの斜向糸Sを織成積層して第一斜向糸層を形成する。
【0034】
続いて、この第一斜向糸層上に前記同様ピン体15を用いて斜向糸層及び複数本の軸方向糸Rから成る軸方向糸層を適当数積層形成する。
【0035】
具体的には、前記で説明した場合と同様、軸7が所定の位置に達したら適宜斜向糸Sを切断し、軸7を元の位置に引き戻し、この繰り返しにより斜向糸層間に軸方向糸層を形成すると、第n−1斜向糸層と第n斜向糸層との間に軸方向糸Rによる軸方向糸層を介存せしめて成るリブ18付の筒状織物19(リブ18を省略した組織図は図15に図示)が製造される。
【0036】
このようにして製造されたリブ18付の筒状織物19は軸方向糸Rが存在するため、軸芯方向の強度が著しく向上することになる。特に、このような製造方法は任意の本数の軸方向糸Rを配することができる為、当該筒状織物19の軸芯方向の強度を任意に設定し得ることになる。
【0037】
第二実施例について説明する。
【0038】
第二実施例は賦形体13として分割可能な賦形体13を採用した場合である。
【0039】
中央部に径小部を有するリブ付の筒状織物を織成する場合、該分割可能な賦形体13を採用すれば脱型不能は生じない。具体的には、この分割可能な賦形体13は図16,17,18に図示したように、環状の前部材22と、環体23aに筒体23bを突設した後部材23と、二つの半筒状の中央部材24,25と、この中央部材24,25に挾持される貫通孔14を形成した被挾持部材26,27とで構成されたものである。
【0040】
脱型は次の手順による。まず、前部材22,後部材23を除去し、被挾持部材26,27を中心側に落とし込み、中央部材24,25を中心側に寄せ、筒状織物19から脱型する。
【0041】
符号28はボルト、29はボルト孔である。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知のブレーダーの説明斜視図である。
【図2】第一実施例の賦形体の斜視図である。
【図3】第一実施例の製造工程説明図である。
【図4】第一実施例の製造工程説明図である。
【図5】第一実施例の製造工程説明図である。
【図6】第一実施例の製造工程説明図である。
【図7】第一実施例の製造工程説明図である。
【図8】第一実施例の製造工程説明図である。
【図9】第一実施例の製造工程説明図である。
【図10】第一実施例の製造工程説明図である。
【図11】第一実施例の製造工程説明図である。
【図12】第一実施例のリブ付の筒状織物の正面図である。
【図13】第一実施例の製造装置(改良ブレーダー)の斜視図である。
【図14】第一実施例の製造装置(改良ブレーダー)の側面図である。
【図15】第一実施例の筒状織物の拡大組織説明図である。
【図16】第二実施例の分割可能な賦形体の分解正面図である。
【図17】第二実施例の分割可能な賦形体の前部材を除去した側面図である。
【図18】図17において後部材,被挾持部材を除去した状態の側面図である。
【符号の説明】
S 斜向糸
R 軸方向糸
7 軸
13 賦形体
13’ 内孔
14 貫通孔
15 ピン体
15a 糸受け部
15b 針部
16 開口
17 突出部
18 リブ
19 筒状織物
20 型
Claims (4)
- 軸芯方向に移動可能な軸の外周面上に、該軸の軸芯に対して所定角度±θで斜向糸Sを織成積層することで第一斜向糸層を形成し、続いて、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を織成積層し、同様に第n斜向糸層まで織成積層して筒状織物を形成する公知のブレーダーを使用して成るリブ付の筒状織物の製造方法であって、軸に、外周面に貫通孔を形成した筒状の賦形体を被嵌し、この賦形体の外周面上に斜向糸層を形成した後、前記貫通孔に、糸受け部と針部とを着脱自在に連結したピン体の該針部を挿入し、続いて、斜向糸Sが糸受け部上に当接する状態で斜向糸Sを織成積層して斜向糸層を形成し、続いて、賦形体から軸を抜き取り、続いて、賦形体の内孔側から針部を抜き取るとともに糸受け部上に斜向糸Sが当接することにより斜向糸層に形成される突出部の両側開口から該糸受け部を抜き取り、続いて、この突出部を板状のリブに形成すべく適宜な型を外側から押圧し、続いて、賦形体を脱型することを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法。
- 請求項1記載のリブ付の筒状織物の製造方法において、斜向糸Sにより形成される第n−1斜向糸層と第n斜向糸層との間に軸の軸芯方向に配される軸方向糸Rを複数本設けて成る軸方向糸層を形成することを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法。
- 軸芯方向に移動可能な軸の外周面上に、該軸の軸芯に対して所定角度±θで斜向糸Sを織成積層することで第一斜向糸層を形成し、続いて、同様にして第一斜向糸層上に第二斜向糸層を織成積層し、同様に第n斜向糸層まで織成積層して筒状織物を形成する公知のブレーダーを使用して成るリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体であって、この賦形体は、軸に適宜な手段で固着される筒状構造に構成され、この賦形体の外周面には内孔に貫通するスリット状の貫通孔が形成され、この貫通孔には糸受け部に適当本数の針部が突設されたピン体の該針部が脱着自在に挿入される構造であることを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体。
- 請求項3記載のリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体において、賦形体として、複数の部材を連結して組み立てる構造の賦形体を採用したことを特徴とするリブ付の筒状織物の製造方法に使用する賦形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12611396A JP3703563B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | リブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12611396A JP3703563B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | リブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09310256A JPH09310256A (ja) | 1997-12-02 |
JP3703563B2 true JP3703563B2 (ja) | 2005-10-05 |
Family
ID=14926963
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12611396A Expired - Fee Related JP3703563B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | リブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3703563B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102002790B (zh) * | 2010-12-21 | 2012-07-25 | 东华大学 | 一种三维立体织物织造成型方法 |
CN114086294B (zh) * | 2021-11-19 | 2023-11-21 | 北京方硕复合材料技术有限公司 | 一种变形易于调控的纤维织物及模具组件 |
JP7205979B1 (ja) * | 2021-12-27 | 2023-01-17 | 川崎重工業株式会社 | 脱型装置 |
-
1996
- 1996-05-21 JP JP12611396A patent/JP3703563B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09310256A (ja) | 1997-12-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2531175C2 (ru) | Способ изготовления делати из компазиционного материала, получаемой наложением слоев усиливающих волокон, прижимаемых к оправке | |
US20170320289A1 (en) | Composite Core and Method of Making Same | |
JP5840779B2 (ja) | 巻層を有する繊維複合材料からなる部材 | |
JP4944003B2 (ja) | ケーシングと収束部分とを有するユニットを形成する方法 | |
JPH09277391A (ja) | 繊維強化樹脂製管体の製造方法 | |
JP3703563B2 (ja) | リブ付の筒状織物の製造方法及びその製造方法に使用する賦形体 | |
CA2844210A1 (en) | Composite core and method of making same | |
US8307621B2 (en) | Device and method for the provision of cut rovings and machine for the reinforcement of a semi-finished textile product | |
JP3732953B2 (ja) | 樹脂強化繊維の引抜成形法および引抜成形機 | |
JPH09132844A (ja) | 改良ブレーダー並びに筒状織物の製造方法並びに筒状織物並びに円柱状織物の製造方法 | |
JPH0569491A (ja) | 折れ曲がり形状の複合材層の製造方法及びその装置 | |
RU2386534C2 (ru) | Фиксирующая нить для сшивания армирующих волокон | |
AU603031B2 (en) | Winding device and process for winding fiber material | |
JPH06278216A (ja) | ゴルフシャフト、釣り竿等の管状体の製造方法 | |
JP5010447B2 (ja) | 繊維強化樹脂部材の製造方法 | |
JP4062882B2 (ja) | 三次元繊維構造体の製造方法及びカーボン/カーボン複合材の製造方法 | |
US4833028A (en) | Reinforced composite product | |
JP5431285B2 (ja) | 釣糸ガイド及び釣糸ガイドを装着した釣竿 | |
JPH045542B2 (ja) | ||
JP2567059B2 (ja) | テープ巻取シャフトのドラム本体及びその製造方法 | |
JPH02200840A (ja) | 円盤状織物及びその製造方法 | |
JPH045544B2 (ja) | ||
JPH04371099A (ja) | スピーカーコーン用ダンパー | |
JPH07324252A (ja) | 円柱状繊維構造体及び繊維強化複合材 | |
JPH05305675A (ja) | 繊維強化複合材からなる筒状体の成形方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050617 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050623 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050720 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |