JP3703393B2 - 弦楽器および弦楽器を製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は楽器に関する。特に、本発明はフレット付きの楽器で正確に調整された楽音を発生させる楽器および方法、および関連する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
純正及び中全音律調律
オクターブはユニゾン以外の最もナチュラルな音程として広く知られている。従来より、オクターブをより小さい音程に分割することは小さい整数(“純正”音程と称する)の周波数比で作られるので、楽音間の倍音関係が得られる。完全に純正音程で作られる音階は連結された純正音程が正確なオクターブを形成しないので不可避なピッチ誤差を含むことが知られている。ピッチの固定された楽器では、コンマとして知られる残留誤差が展開される種々の調律が音階の異なる音程で一まとめにされた。中全音律は、音程が“純正”調律と比較して大きな誤差を持たないように2つの近接の音程にコンマを配分するために発明された。
【0003】
平均律による調律
音階を開始し且つ終了するために選択される周波数は音楽表現のキー(調)を規定する。キーは音階内の一組の楽音の周波数を規定する。現在に至る数世紀に渡って、同一の曲で複数のキー間を移調することは音楽の顕著な特徴になった。12音キーボードのような固定調律された最も普通の楽器で、伝統的な中全音律のような近倍音調律(near-harmonious tunings)は複合のキー(調)で同時に達成できなかったので、必要に応じて全てのキーで楽音を演奏する必要性は楽器の調律に特別の課題を提供した。この課題は再調整せずにキー間の移調を容易にするために種々の妥協した調律およびオクターブの分割を“等分する(tempering)”概念になった。調律された音階を考慮できる中全音律は、オクターブが互いに正確に等分である音程に分割される等分平均率の基本表現を発見した。等分調律された音階で、コンマはオクターブの全音程で展開される。
【0004】
等分に調律された音階はキーを自由に変更できるように“純正”及び中全音律で見つかる和声構成を解決する。しかしながら、西洋文化の音楽はこの音階内で進化を続け、他の文化にも影響を与えたので、移調は重要な音楽伝統で必要な一部となった。その結果、現代の楽器は、できるだけ正確に、12音の等分調律された音階を発生する必要がある。
【0005】
等分平均律と等比級数
各数が前数の一定の倍数である一連の数が等比級数(geometric series)と呼ばれ、定数が幾何定数(geometric constant)と呼ばれる。下降する12音等分調律音階の周波数は下記値である幾何定数kを有する等比級数から構成される。
【数1】
ここで、2はオクターブ比を表し、12はオクターブ内の音程の数を表す。もし4の有効数字以降が切頭されると、この定数は小数値k=0.9438を生じる。
【0006】
18のルール
ギターのネック(棹)の製造における共通の慣行は“18のルール”として知られている。このルールによれば、ナットから第1フレットが始まり、各フレットをブリッジに対する前のフレットの距離の17/18に配置する。結果として、継続するフレットに押下される弦の振動長は17/18の幾何定数を有する等比級数である。分数17/18に等価で、4の有効桁に正確である小数は0.9444である。この値はほぼ0.06%内の値kに近い。換言すると、18のルールでは、楽器のネックが12音の等分調律音階の周波数とほぼ同じ関係で分割される。
【0007】
マッカフェリー(Maccaferri)の米国特許第2,649,828号、ストーン(Stone)の米国特許第4,132,143号及びフェイテン(Feiten)の米国特許第5,600,079号は分数17/18の不正確さについて述べている。マッカフェリーとフェイテンはkに正確な小数値を与えている。
【0008】
分数17/18、すなわち、より正確な値kが使用されるかどうかは、本発明以前のギターネックを製作するとき、フレットを、ギターの他の次元や弦の物理特性に対してでなく、音階の長さに対して配置しなければならない。
【0009】
現代の製造において、一度にフレット溝を切り込みすることまたは他の溝の測定値から1つのフレットの位置を計算する必要はない。従来、幾何定数kで分割されるギターネックにおいて、ブリッジから任意のフレットの距離は簡単な下記式で全てのフレットに対して表すことができる。
【数2】
式(1)において、nはフレット番号であり、Lnは弦の有効長(使用フレットからブリッジまでの距離)である。L0(ナットとブリッジ間の距離)は楽器の音階長として規定される。式(1)は従来技術の幾何的ネック分割技術に従って正確に製作された楽器上の全てのフレットの位置を規定する。等分平均律の幾何定数を参照すると、式(1)は以下のごとく記載される。
【数3】
【0010】
従来のギターのフレット位置を規定するこの式は、後の式が追加項を有する点で、本発明によりフレット位置を規定する式と対照を成す。これらの追加項は弦の特性に関係する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施例はブリッジと、ネックと、ナットと、複数のフレットを備える弦楽器である。複数のフレットはナットから各距離にあるフレットに沿って離間している。ナットから各距離の少なくとも一つは弦の剛性パラメータまたは複数のパラメータを有する所定の式で計算される。
【0012】
弦楽器の他の実施例において、各フレットは第1領域と第2領域を有する。複数のフレットの少なくとも一つの第1領域はナットから第1領域の距離離間している。1フレットの第1領域の距離は第1の弦剛性パラメータを有する所定の式から計算される。ナットに対するフレットの第2領域の位置を計算する式は第1の弦剛性パラメータと異なり、第2の弦剛性パラメータを含んでいる。
【0013】
上記の教示から明らかであるように、本発明はさらに楽器を製造する方法に関する。一方法は、フレットを配置する所望の位置を計算し、フレットを所定の位置に配置する工程を含んでいる。計算工程は弦の剛性の関数である。一般的に、剛性は曲げ成分、縦成分、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0014】
楽器を製造する他の方法は、音階を選択し、第1の実際の弦の開放音階長を計算する工程を含んでいる。第1の実際の弦は音階の第1開放音階音を発生するために剛性を持っている。計算工程は弦の剛性パラメータを有する式を解き、剛性パラメータ値として第1弦の剛性を利用する工程を含んでいる。
【0015】
本発明の一実施例は、実際の剛性を有する実際の弦を利用し、フレットを配置する所望の位置を計算し、フレットを所望の位置に配置する工程からなる。位置を計算する工程は実際の弦の実際の剛性を計算する式を利用する工程を含んでいる。フレット押さえによる張力の変化はいくつかの実施例で説明される。
【0016】
発明は、部分的に、ネックと、複数のフレットと、ナットから構成された弦楽器を包含する。ネックは縦軸を有する。フレットはネックの縦軸に対して傾斜している。この実施例において、ナットはネックの縦軸に直交する。
【0017】
本発明の1弦楽器はネックに沿って扇状に広がる複数のフレットを有する。多数の扇状に広がるフレットはネックの縦軸に対して傾斜している。扇状に広げられた複数のフレットの大部分はネックの縦軸に対して傾斜している。いくつかの実施例において、扇状に広がる少なくとも2つのフレットは互いに平行している。
【0018】
本発明は楽器のフィンガーボードからなる。一実施例は各々が楽器のナットに対して所定の距離に配置された第1の位置を有する複数のフレットからなる。一般的に、所定の距離は第1の実際の弦が所定の音階の楽音を発生するような剛性を有する第1の実際の弦のために計算される。第1の実際の弦用のフレットの第1の領域を配置する式がフレットに対する押下により張力の増加を含んでいる。
【0019】
音階の楽音を発生する方法は本発明に包含される。一方法は音階を選択し、楽器に実際の弦を張り、実際の弦の下に複数のフレットを配置する工程を含む。実際の弦がフレットの一つに押下され弾かれると、弦が後述される選択された音階の楽音を発生させる様に、フレットが配置される。フレットを配置する工程は一つまたは複数の剛性パラメータと実際の弦のマスパラメータを有する式でナットに対する距離を計算する工程を含む。フレットと接触させるように押さえられ場合実際の弦の張力増加に等しい張力増加パラメータはいくつかの実施例の式に含まれる。
【0020】
音階の楽音を発生する他の方法は剛性を有する実際の弦を押下するために複数の位置を計算する工程からなる。典型的には、実際の弦は対応する張力増加を生じる。この方法はまた複数のフレット位置の一つで弦を押し、弦を振動させる工程を含んでいる。フレット位置を計算する工程は実際の弦の剛性の原因を説明する工程を含む。この方法は実際の弦の張力増加の原因を説明する。
【0021】
本発明は弦楽器の正確な調律を可能にする工程を含んでいる。一方法は所定の音階を選択し、各弦の剛性の原因を明らかにするために各実際の弦の下にフレットを位置決めする工程からなる。
【0022】
本発明の目的は、フレットの位置が所望の音階の周波数を正確に発生するために選択され、弦の剛性によるおよびフレットに向けて押下中の弦の降下による張力増加による周波数のずれを考慮した、ギターまたは類似楽器を製造することを提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、フレットの位置が、例えば、コード(和音)を弾く場合同時に演奏される楽音の部分音間のうなり(beat)を最小にするために選択されるフレット付き楽器を製造することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は弦のフレット押さえによる張力増加を制御するために選択された縦のネック形状を有するフレット付き楽器を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的や利点は、添付の図面およびクレームの参照を含む、ここに開示された教示から当業者に明らかであろう。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は弦楽器に関する。特に、本発明は音階の楽音を正確に発生できるフレット付き弦楽器を製造する方法に関する。これらの方法および装置は弦楽器の実際の弦の剛性および、いくつかの実施例では、フレット押さえによる張力増加の原因を明らかにすることにより達成される。本発明は同一参照番号と文字が同一部品を示している添付の図面を参照して容易に理解されるであろう。
【0027】
実際には、例えば、ギター弦は背景説明で示された理想的な弦ではない。弦は太さや弾性係数による曲げ剛性を持っている。本発明は、理想的な弦の計算と比較されるに、弦のある物理特性および楽器の音階長以外の次元に関係する追加項付き計算を利用している。
【0028】
理想的な弦と実際の弦の自由振動間の相違
説明の明瞭と便利のために、横振動を受けている弦状機械構造の3つの別個のカテゴリを規定し、区別する。これらのカテゴリは以下のごとくである。
a)ケーブル
b)ビーム(棹)
c)実際の弦
これらの構造はここでは次のように定義される。
ケーブル: 曲げ剛性を無視できる相当な張力下にある弦状構造
ビーム: 無視できる張力下で相当の曲げ剛性を有する弦状構造
実際の弦: 相当の張力下で相当の曲げ剛性を有する弦状構造
【0029】
これらの定義を参照して、従来のネック分割法は弦がケーブルである場合に等分平均律に相当することが指摘される。本発明は目的の一つとして弦が実際の弦であると仮定されるとき等分平均律に相当する新規なネック分割を利用している。
【0030】
ケーブルとビームの振動
もしLnが2つの強固な境界間に延びるケーブルまたはビームの自由長であり、横振動の基音周波数fは2つの式(式2aおよび式2b)の一つで計算できる。
A.ケーブル周波数
【数4】
ここで、d=弦の線形密度(単位長当たりの質量)
T=張力
B.ビーム周波数
【数5】
ここで、E=ヤング係数
I=断面の第2慣性能率の動き
【0031】
半径Dの中実円形断面に関して、
【数6】
EとIの積は時には断面係数(section modulus)と称する場合がある。
Xは値が境界条件に依存する境界係数である。ピン止め条件に関して、X2=9.869であり、クランプ条件に関して,X2=22.37である。図10参照のこと。
ビーム周波数のみが弦の半径の関数であり、ケーブル周波数のみが張力の関数である。
【0032】
n=1,2,3,4,...で式(2a)から周波数が12音の等分調律された音階の音と比較されると、幾何級数ネック分割(式1)の物理的意味と18のルールは以下のように理解できる。
【0033】
12音の等分調律音階からなる周波数組の数式は以下のごとくである。
【数7】
ここで、f0は音階(主音)のはじめの周波数であり、nは音階の楽音の番号であり、fnは楽音nの周波数である。例えば、f12は12番目の楽音、即ち、音階(オクターブ)の終わりである。
【0034】
もし弦がケーブルとして機能すると仮定して、分析を限定すると、式(2a)と式(3)を組み合わせて、以下の式が得られる。
【数8】
【0035】
弦の一端はブリッジで制限される。弦の他端がナット(n=0)で制限され、弦の張力Tは周波数f0が開放弦の標準ピッチになるまで調整されると、弦が調律される。開放弦の調律は式(4)によりフレットに押下された弦の周波数を決定する。例えば、第1のフレット(n=1)で、式(4)は以下のごとくなる。
【数9】
【0036】
他のフレットの周波数はnを式(4)の所望のフレット番号に代入することにより同様に計算できる。従って、同時にフレット番号を1だけ増加することにより(n=2,3,4,...)、式(4)は理想的な弦(またはケーブル)により発生する周波数の音階をもたらす。番号nが12より大きくなり、次のオクターブの周波数が得られる。
【0037】
ギター弦が厳密にケーブルとして作用し、張力が弦の押下または開放で同一であると仮定すると、12番目のフレットで発生する周波数は(式3により)f12=f0・2になる。それにより、開放弦周波数のオクターブは、不可欠なブリッジで長さを補償することなく、12番目のフレットで発生する。
【0038】
弦高のため、弦を押下することにより弦を僅かに延ばし、その張力を増加させる。その結果、弾かれたギター弦は式(2)で得られるより僅かに高い周波数で振動する。以下に説明されるように、得られる周波数差はネック全体で一定でなく、より高いフレットでは増加する。
【0039】
楽器を製作する従来技術にかかわる研究者(楽器製作者)はこれらの現象の重要性を認識しておらず、調律におけるこれらの効果をキャンセルするために楽器のネックを分割するより正確な式を開発できなかった。その代わり,従来の研究者らはネックの不正確な分割により生ずる問題を部分的に補償する装置と方法を発明した。これらの修正は“特定の音調を発生する(intonating)”楽器として従来技術において総称的に知られている。これを実践する理由の一部によれば、正確なネック分割が使用される弦の特性とフィンガーボードに直接関係しない他の要因に依存している。
【0040】
イントネーション方法は各弦の音階長L0を変更することを含んでいる。これらの方法はブリッジで(米国特許第2,740,313号;第4,281,576号;第4,541,320号;第4,236,433号;第4,373,417号;第4,867,031号)、またはナットで(米国特許第3,599,524号;第5,461,956号)または双方で、弦の長さ補償することを含んでいる。
【0041】
弦長L0を調整することにより、任意のフレットで作られた楽音を開放弦または別のフレットの楽音と調子を合わせることができる。しかしながら、式(4)で解るように、弦の長さを変化させることは一度に全てのフレットの周波数に影響を与える。もしネックの分割が正しくなければ、各弦を1つのフレットでのみ正しく整調できる。従って、本発明以前に提案されたイントネーション装置やギター調律装置は楽器全体で正確に調律できなかった。従来の方法は他の領域を犠牲にしてネックの1領域のイントネーションを改善するものである。従来技術の解決法の根本的な問題はネック分割が不正確であることである。
【0042】
種々の従来または現代のイントネーション方法が開発された。これらの方法は良好な妥協点を見つける技術を示している。これらの方法は不正確に分割されたネック、例えば、式(1)に従って分割されたネックに対処する場合、できるだけ調和した音程および和音を最大限に利用している。特に、“ブズ・フェイテン・調律システム(Buzz Feiten Tuning Systems)”に属するフェイテン・システムズ・インコーポレーテッド(Feiten Systems, Inc.)は米国特許第5,600,079号のビー.フェイテンにより記載された技術を含む従来のネック分割技術により妥協したギターで不正確なネック分割の可聴効果を最小化する方法論的解決法を開発した。
【0043】
標準ピッチに調律されたギター弦において、軸張力は充分に高いので、弦が静止状態から瞬間的に偏倚すると、曲げ剛性から生じる復帰力は張力により生じた復帰力に比べ非常に小さい。その結果、ギター弦の振動の自然周波数はケーブルの周波数に近い。しかしながら、その差異、しかしながら、小さい差異は、コードで演奏される場合、ギターで発生するほとんどの楽音で可聴となる。
【0044】
ギター弦はケーブルでもビームでもない。ギター弦は軸張力を受けるが厚みと弾性係数による曲げ剛性を有する。その結果、引張されたギター弦は式(2a)から得られる周波数より僅かに大きい周波数で振動する。実際の弦のより大きい周波数fsは式(2a)と式(2b)および式(5)を追加的に使用して計算できる。
【数10】
【0045】
式(2a)および式(2b)を参照すると、充分な張力fb下で充分に長い弦がfcに対して無視できるほど小さくできる。もしこれが事実であれば、式(5)から明らかなように、弦の基音周波数fsはケーブル周波数fcにほぼ等しい。この小さい周波数差はネック全体で一定でないが、Lnがより小さくなるのでより高いフレットで増加する。“より高いフレット”は一般的にブリッジに近いフレットを意味する。作動している弦長はブリッジとフレット間であるので、ブリッジに近くで押下された弦はより短い(またはより小さい)作動長を有する。
【0046】
以下の例は式(2)と式(5)の物理的意味の実証として示される。ギターの調子が合っていると、動作周波数はfsである。弦張力が減少すると(例えば、古い弦を取り替える場合)、弦の共鳴周波数は低下する。しかしながら、張力が残っていないと、周波数は零に向かって下がる。力のないギターの残留低周波数はビーム周波数fbである。非常に小さい半径(低曲げ剛性)の弦では、ビーム周波数は非常に低く、調子が合っている場合、弦周波数はケーブル周波数に充分に近接している。しかしながら、比較的大きい半径のギター弦では、これは事実でない。
【0047】
実際の弦の曲げ剛性によるこの小さい周波数要因により、フレット板の分割が幾何級数であると、発生する音程は正確に等分平均律を構成しない。
【0048】
部分周波数と対応する弦長の計算
ケーブル周波数はハーモニックシリーズ(倍音列)(基音ケーブル周波数の整数倍)である。これらのケーブル周波数は基音ケーブル周波数(式2a)にモード数を乗算することにより得られる。
【0049】
各モードのビーム周波数は式2bに境界条件に依存するモード定数Xの対応する値を代入することにより計算される。
【0050】
弦の両端の(循環的に拘束されていない)ピン止めされた境界条件では、ビーム振動のm番目のモードのモード定数Xの値は下記式のm番目の基(根)音として得られる。
【数11】
【0051】
弦の両端の(循環的に拘束されていない)クランプされた境界条件では、ビーム振動のm番目のモードのモード定数Xの値は下記式のm番目の根音として得られる。
【数12】
【0052】
第1の6モード定数は下記の表1に示される。
【表1】
【0053】
表1はピン止め及びクランプ止め境界条件でのビームの横振動の最低の6自然モードのモード定数を一覧している。
【0054】
表1からm番目のモード(Xm)のモード定数を使用して、式(2a)と式(2b)を式(5)に代入する。その結果、下記式を得る。
【数13】
式(6)はn番目のフレットで押下されたギター弦のm番目の自然周波数fm,nを与える。これは弾かれた時に発生する音のm番目の部分音の周波数である。
【0055】
一方、もし自然モードの周波数が既知であり、対応する弦長が求められると、式(6)を2乗し、再配置し、(fm,n)2と
【数14】
の2次式で表現する事により未知の長さを決定することができる。
【数15】
ここで、
【数16】
【数17】
【0056】
イントネーションにおける弦高の効果
開放弦はブリッジとナット間の区画が直線である場合に調律される。しかしながら、弦はフレットと接触するように押さえられると、その長さが増加する。弦の延びは弦の張力を増加させ、周波数を上昇させる。本発明の全般的な目的は全ての調律誤差を打ち消すためフレット位置を計算することである。フレット押さえによる張力増加を補償する方法が本発明に実施されている。
【0057】
本発明以前には、ナットを18標準のルールよりブリッジに近接してブリッジすることによりよりよいイントネーション(音調)を得ようと試みられた。例えば、モスライト・ギター・カンパニー(Mosrite Guitar Company)は1950年代の初期のこの方法で得られるイントネーションの改良を宣伝した。ナットを再配置する量は使用される弦と弦の高さに依存する。弦楽器製作者は種々の成功の度合いでナットを再配置することによりギターを組立て、顧客の注文に応じた。より最近になって、米国特許第5,600,079号において、フェイテン氏は設計された電気またはアコースティックギターの形式に依存するナットと第1フレット間の距離を減少させるために特定の量を与えた。音階長に対するフレット対ブリッジ間距離の増加は開放弦の周波数に対するフレットに押下された弦の周波数を低下させる。これは弦押さえにより生ずる周波数の増加を補償することである。しかしながら、フレット押さえによる張力増加の量は全ての弦で一定ではなく、この量は従来のネック分割法で見過ごされたいくつかの変数の関数である。従って、充分な打ち消しを達成するために必要な正確な長さの補償はフレット毎に異なる。
【0058】
従来のナットの配置方法では全てのフレットがナットに対して同じ補償量を与える事を要求している。一方、本発明によれば、振動している弦長が張力とは別に各フレットの式(6)で計算され、フレット押さえに起因する計算された張力増加を含んでいるので、完全な打ち消しが全てのフレットで達成される。弦の延びと張力増加を計算するために、(従来技術による)ネックの近似幾何級数分割の仮定により充分な精度が得られる。しかしながら、必要であれば、より高い精度が反復により得られる。この近似幾何級数分割の仮定はフレット押さえによる長さの増加および関連する張力増加を計算するためにのみ使用される。
【0059】
図12において、弦42がフレットに押下されている。開放弦96は破線想像線で示されている。弦を押さえている指圧は2つのベクトルで示され、指幅でオフセットされている矢印95として示される。指位置はほぼ0.5のフレット間隔として示され、弦42はフレット板(ネック)14に対してほぼ0.5のフレット深さに押下されることが示されている。指圧は(弦張力の方向に成分はない)開放弦に直交して示される。これらの値と条件は例示のためだけに示され、本発明を制限するために解釈されるべきではない。
【0060】
本発明によれば、ナットをブリッジ(破線)に接続する直線の長さはフレットに押下された弦(実線)を表す5セグメントの和から引き算される。この差はフレット押さえによる長さの増加ΔLである。張力増加は以下の式でフックの法則による長さ増加から計算される。
【数18】
ここで、
ΔT=フレット押さえによる張力増加
ΔL=フレット押さえによる長さの増加
D=弦の半径(巻き線のために、有効コア(等価縦剛性を有する無地の弦の半径)が使用される)
L0=ナットとブリッジ間の開放弦の長さ
L1=ナットを越える無効長
L2=ナットを越える無効長
式(6)でフレット押さえによる調律誤差の打ち消しのため、張力Tと長さLnの以下の値が使用される。
T=(T0+ΔT)(開放弦張力とフレット押さえによる張力増加の和)
Ln=演奏のための長さ(使用中のフレットからブリッジまでの距離)
【0061】
従って、本発明によれば、まずフレットの高さを含むネックの長手方向の輪郭が決定される。この決定は周波数に依存しない。次に、張力増加と全張力が幾何級数ネック分割で近似フレット距離に基づき各フレットと弦のために計算され、正確なフレット距離が式(6)で各フレットと弦の所望の周波数を得るために計算される。
【0062】
ネックの長手方向の形状
全てのフレットの上部を弦に対して角度を持って直線上に配置してもよく、そうすることは普通のやり方である。この直線のネック形状はフレット押さえによる張力増加がネック全体で一致し、最小のイントネーション誤差のみ生じる好ましい効果を与える。しかしながら、本発明は周波数誤差の全てのキャンセルを可能にし、各フレットと弦の組合せで実施するので、どのようなネック形状も使用可能である。好ましいネックの形状が以下に説明される。
【0063】
好ましい縦方向のネック形状の概略図である図13に関して以下の説明がされる。図13において、凹型に反った縦方向のネック形状14が示される。弦42はナット16とブリッジ18間に延びている。フレットに押下されていない弦42の位置は破線で示され、フレット押下された位置は実線で示されている。演奏中のフレット即ち使用中のフレットは番号100で示される。次のより高いフレット102および次のより低いフレット104も示される。
【0064】
引張時に、ぶんぶん(buzzing)またはがたがた(rattling)鳴るのを避けるために、弦42は弦振動の移動範囲に渡ってフレット100と接触した状態で維持されなければならない。弦42の下方(フレット板方向の)移動量の限界は次のより高いフレット102との接触により決まる。
【0065】
弦が次のより高いフレットに対してぶんぶん鳴る前の最大移動範囲は2θである。ここで、θは頂点を有する角度である。頂点は演奏フレットの上部を持ちその底辺が弦である弦と、演奏フレット100の上部から次のより高いフレット102の上部へ延びるライン106との結合部である。本発明のネックの設計時、好ましい縦方向ネック形状は以下のように得られる。まず、ナットからの縦方向のフレット距離は(従来技術により)幾何級数ネック分割を仮定して計算される。各フレットのため、演奏フレットの上部を次のより高いフレットの上部に結ぶラインの傾斜は角度θがネックを通して一定であるように選択される。大きな弦振幅が必要な場合、大きいθ値が選択される。小さいθ値は軽い動きになる。一定の角度θの原理で、図13に概略的に例示されるように、僅かに反っている湾曲縦方向ネック形状が形成される。もちろん、θ値は、必要であれば、ネックの範囲の異なる部分で変更でき、直線に限らず他のネック形状にすることも可能である。
【0066】
図13は概略ネック形状を示している。このネック形状は弦とフレットボード(ネック)間の垂直な間隙を示し、立面形状と称される。この間隙はネックに沿った(ナットからの距離の関数としての)形状に従って変化する。このネック形状は各弦で異なる形状を持ってもよい。もし異なる形状を持ち、弦が平面状態にあると、フレットボードは3次元表面になる。代案として、弦は同一表面上でなくともよく、フレットボードが同一平面であってもよい。
【0067】
部分音、拡張音階および“目標調律(Targeted Tuning)”間のうなり
上述のように、任意の組の弦と12音等分平均律(12-TET)のような“目標(target)”音階を実現するための本発明のギターネックの設計が説明された。当業者にとって、本発明が特定の音階に制約されず、数学的に規定された組の周波数を含むどのような“目標”音階にも応用可能であることは明らかである。この様な“目標”音階のいくつかの例はピタゴラス音律、中全音律と平均律の多くの形態である。12-TETに関するこれらの調律の利点は1つのキー(調)を続けるまたは緊密に関係した少数のキー(調)に制限された音楽を演奏する場合に認識される。これはほとんど断念される奏法である。しかしながら、特別に関心のある音階は音程が弦の不調和により延びる変形12-TETである。この概念は“目標調律”と呼ばれている。目標調律において、フレットのコーディネイト(整合)は、厳密には、振動の基音モード(m=1を有する式2および式5、または式6)からではなく、振動の基音およびより高いモードを含む(m≧1を有する式6)から計算される。
【0068】
単一音符の音は複数の周波数成分から構成される。各周波数成分は振動構造の自然モードと関係している。これらの成分の周波数と関連レベルは楽音を規定している。ギターでは、演奏される音符の楽音は弦の振動の自然モードで規定される。これらのモードは基音周波数と部分音と呼ばれる一連の高い周波数を含んでいる。
【0069】
理想的な弦(ケーブル周波数)の部分音は基音周波数の整数倍である。このような楽音は倍音と称される。実際の弦で、張力が充分に高い場合、部分音の周波数は基音周波数の整数倍に極めて近い。ピンと張られた複数の弦の周波数成分のこの近倍音関係は全ての弦楽器の動作原理となる。
【0070】
ギターで音程とコードを弾くとき、各基音周波数の調子が合っていても弦が不調和で音の変調を生じる。この変調は、各周波数が近接しているが同時に弾いている別の弦からの部分音と一致しないある部分音の振幅の周期的増減として聞こえる場合がある。この現象は音響学ではうなりとして知られている。うなりはうなりの部分音の振幅がほぼ同等である場合に最強になる。
【0071】
目標調律はフレット付き楽器でコードを弾く場合うなりを最小化する目的で拡張された音程を好ましい音階に提供する。この好ましい音階は、以下に示されるように、計算されるか測定しなければならない弦特性、ギター音発生の原理、人間の手の詳細分析、および人間の聴力の音響心理学から得られる。
【0072】
ピアノや他の弦を張ったキーボード楽器を製作、調律する技術において、調子を合わせて最適に響くように音階を“拡張”しなければならないことがよく知られている。ピアノでは、各楽音は代表的に調律されるので、その基本音はオクターブ低い音の第2部分音と一致し、ほとんどの可聴し、妨害するうなりを回避することができる。弦は不調和であり、第2部分音は基音の第2倍音に対してシャープであるので、オクターブ離れた音の基音は2/1より僅かに大きい比率になる。
【0073】
ギターのほとんどの音は1本以上の弦で演奏可能で、各弦は異なった不調和性を持っているので、ギターはピアノより遙かに難しい調律の問題がある。等分平均律の妥協に従わない、2つのユニゾンとオクターブ高い音の組合せにおいても、第1音が第2音と調和し、第2音が第3音と調和するが、第3音が第1音と同調しないような楽音がギターに存在しうる。この問題は基音の周波数とユニゾンにおける2つの音の第2部分音の周波数との間の比率が異なるため生じる。ほとんどの場合、ユニゾンは基音を等しくすることにより互いに最良に調律され、同時に第2部分音を高い方の音の基音と同じにする事によりオクターブ高い音に最良に調律される。この場合、低い方の音の基音同士は等しくない。
【0074】
さらに、ギターの最も不調和な弦は典型的には最も低い弦である。不調和性は、より高い巻き線では少なく、最低のプレーンな弦(通常、EまたはG弦)でより大きくなり、より高いプレーンな弦または複数の弦では減少する。すでに説明したように、不調和性は各弦のより高いフレットでより大きくなる。従って、ギターの最適な音調を達成するためにキーボード楽器の音階の単純な“拡張”より複雑な手段を使用する必要がある。
【0075】
しかしながら、ある軽減要因が問題を御しやすくするために適用可能である。
【0076】
ギターの最大出力は典型的には中間の周波数範囲内であり、どの単一音符の最大出力も典型的に最低の部分音である。人間の聴力は中間周波数より低周波数で非常に感度が低いことがよく知られている。同じ周波数比のうなり率はより小さくなると、周波数がより低くなる。
【0077】
フレットを押下している手は限られた範囲のフレットのみに広げられる。従って、手の幅内の楽音間のイントネーションは手の幅を超える楽音間のイントネーションより重要である。1つの例外として、開放弦がネック上の手の位置にかかわらず演奏可能であるので、ネックと開放弦のいずれの音の間のイントネーションも重要である。
【0078】
ギターの各弦は一度に一つの音のみ演奏できる。従って、単一の弦の複数の楽音間の正確なイントネーションは別々の弦の複数の楽音間のイントネーションより重要でない。
【0079】
これらのギターの特性と人間の聴力の特性を適用することにより、下記のように弦と弦との間のイントネーション誤差を減少させ且つキャンセルさせることが可能である。
【0080】
1)ギターの範囲の中間の周波数は基音が中間周波数以下である全ての楽音の“目標周波数”として指定される。議論のため、中間周波数はギターの開放された高いE弦の基音をほぼ330ヘルツになるように選択される。
【0081】
2)第1、第2、または第4部分音が名目上この同一周波数である低弦のどの音も、弦の音のフレット位置は式6から決定され、その“目標”部分音を名目上この“目標”周波数である他の弦の全ての部分音と正確に同調する。ギター弦は不調和であり、この不調和性が異なるフレットで且つ異なる弦で同一でないので、“目標”周波数でより高い部分音を持つ音のより低い部分音は理想的な音程以下になり、量を変化させることにより低下することは、明らかである。しかしながら、ギターの最低周波数範囲で、うなりが遅く、アコースチックまたは増幅された出力が比較的小さく、人間の聴力が比較的敏感でないので、イントネーション誤差は聞きとれない。
【0082】
3)この時点で、“目標”周波数およびこの周波数の約数(sub-multiples)のオクターブの楽音の周波数のみが確立した。追加の工程として、基音が“目標”周波数以下である各弦の他の楽音の基音周波数を確立することが要求される。これらの基音は数学的曲線適合に従って決定される。そこで、x値(独立変数)は理想的な調律値(通常、12音等分平均律)であり、y値(非独立変数)は“目標”部分音を有する対応する楽音の基音に従って確立される(工程2)。
【0083】
いくつかの弦において、3点または4点(典型的には、2次または3次多項式)曲線適合を展開するために、ギターの弦の実際の演奏範囲内に充分な“目標”音が無い可能性がある。これらの場合、弦の物理パラメータは1つまたは2つの必要な追加点を引き出すためにより大きな長さに外挿される。
【0084】
4)“目標”周波数以上の範囲において、うなりはより速く、人間の聴力特性やギターの出力特性は最低の部分音間のうなりを最も重要なものにしている。従って、“目標”周波数以上の範囲におけるほとんどの楽音の基音はフレットを押さえる手の幅内であるオクターブより低い楽音の第2部分音の周波数を平均化する事により確立される。これらの音は基音が確立される弦下の第2および第3弦にある。より低い弦の第2部分音とより高い弦の基音は“目標”周波数である場合に理想的であるので、弦下の“目標”領域からこの領域への移行はなめらかで自動的である。
【0085】
5)最も高い範囲の低E弦の急速に増加する不調和性により、4)項のように他の弦のより高いフレットを調律するとフレットが開放弦の調律からはずれることになる。弦の音が響く部分上の引っ張る手のほぼ中央位置のため、さらに短く太い音の響かせる弦の比較的高い減衰のため、低E弦の最も高いフレットのより高い部分音は弱い。より高い部分音がますます不調和で弱くなると、正確な調律の主観的な意味を確立することにおいて、基音間の差分音は部分音間の一致以上に重要になる。
【0086】
これらの理由で、ギターの中央弦の最も高い範囲のフレットは他の開放弦の一致する部分音と調和する様に配置される。例えば、G弦の21番目のフレットは基音が開放高E弦の第2部分音と一致するように配置される。D弦の21番目のフレットは基音が開放B弦の第2部分音と一致するように配置される。A弦の24番目のフレットは開放D弦の第3番目の部分音と一致するように配置される(この最後のケースでは、他の弦の高フレットに対して最適調律を達成するように等分平均律に調整される)。
【0087】
6)4)項のオクターブによる調律範囲と5)項の開放弦の調律範囲間のなめらかな移行は追加の湾曲した付属部品により可能である。ギターの最も高い範囲で得られるイントネーションはどのフレットも開放弦と共に演奏可能と考慮して最大の調和性を生じる。
【0088】
全体として、いくつかの技術が最も本質的で正確で調和する調律を得るために適用され、ギターの特性に提供される。
【0089】
上述の単純な実施例において、これまでに説明されたように、弦の張力増加と不調和性の補償、および目標調律のため、各弦の異なる長さを与えるために各フレットを分割する必要がある。しかしながら、従来技術のように平行であるか互いに対して角度を持たせた従来の直線フレットを使用しながら、追加の技術により同様な調律を実施し、または同様な調律に近づけることが可能である。これらの技術は以下のごとくである。
1)所望の周波数ずれ値になるように張力増加の値を異なる角度で得るためにネックの縦形状の調整(例えば、各フレットで角度θに調整)。
2)弦の有効縦撓み性を増加させるため、したがって、張力増加による周波数のずれを減少させるために、弦を直列にバネを使用。この解決法は全ての弦の横弦移動をほぼ等しくし、任意の周波数ずれ(“曲がり音(bent note)”)を達成し、弦の張力を保持し、従って、弦振動の異なる振幅にかかわらず周波数をほぼ一定に保持できる利点を有する。
3)すでに説明したギターの従来のイントネーションにおけるように、ブリッジ駒での弦の振動長の調整。
4)どのフレットが演奏されているかにより所望の振動周波数を得るため、周波数センサーおよび/またはフレットセンサーおよび弦の張力を調整するためのコンピュータ制御サーボ機構の使用。
【0090】
適切なフレット分割と共に、解決法1)、2)、および3)は全ての弦の所望の目標調律のほぼ正確な複製になることが数学的に示される。すなわち、解決法1)、2)および3)は他のフレットでの所望の調律から非常に小さい偏差のみで、どの3つのフレットでも調律を正確にすることが可能である。使用された分析的解法は無色の光学レンズの設計で使用される方法に似ている幾何級数湾曲付属具によるものである。解決法4)は所望の調律を実施できる“暴力(brute force)”法である。
【0091】
得られた“目標調律”は通常のネック分割を行うより開放弦のピッチの僅かに異なる調整を要求する。この調整は以下の2つの方法の一方で実施される。
1)“目標”周波数で部分音を有する音を調整して、音は互いにうなりを生じない。この調律のため、開放弦が他の弦の便利な調律基準になるので、開放高E弦の基音の“目標”周波数は最適である。
2)開放弦の基音の周波数または他の選択周波数を“目標調律”により要求される値に設定するように較正される電子調律手段による方法。
【0092】
巻き線
不必要な剛性を追加することなく弦のリニア質量密度を増加するため、ギターのバス弦は直線コアワイヤの上に螺旋外部ワイヤを巻くことにより製造される。巻き線は比較的少ない曲げ剛性に寄与するため、巻き線弦の不調和度は巻き線弦と同じ基音周波数に調律された同じ長さと半径のプレーンな弦より少ない。従って、巻き線弦のためのフレット軸を計算する場合、巻き線の実際の(測定)半径は計算されるかまたは経験的に決定される等価の半径で置換される。
【0093】
境界条件
実際の振動弦の正確な変形形状は多数の変数の関数である。これらは振動長の両端の近傍で幾何級数および材料特性を含み、弦をフレット押さえしている指の特性を含む。図10は両端でヒンジ止めされた上部弦と両端でクランプ止めされた底部弦を示している。実際の境界条件の最も正確なモデルは無限に柔軟でもなく(ヒンジ)無限の強固(クランプ)でない回転の拘束力を仮定することである。代わりに、任意の周波数のフレット位置はこれらの2つの条件から得られる値の重み付けされた平均として計算される。典型的なギター弦として、重み付け係数はクランプ止め条件で0.7およびヒンジ止め条件で0.3として近似される。重み付け係数は弦から弦、フレットからフレット、またはフレット押下での楽音と開放弦間で変化する。
【0094】
機械インピーダンス
フレットまたはナットおよびブリッジ駒が動かない場合のケースのために境界条件の上記検討がされた。機械インピーダンスとはある点での速度に対する力の比として規定される。静止物体は全ての点で無限機械インピーダンスを持っている。ギターの胴体とネックの共鳴によりかつこれらの有限質量および剛性により、弦振動の境界(ブリッジ駒、ナット、またはフレット)は周波数の関数である有限機械インピーダンスを有する。
【0095】
楽器胴体の共鳴の結果は、周波数が連続的に増加するので、弦の有効長の延びと短縮の繰り返しサイクルである。ほとんどの中実胴体の電気ギターのような比較的強固な構造を持った楽器において、この追加の長さの変化は無視できるほど小さい。しかしながら、本発明の一実施例によれば、フレット位置は周波数依存機械インピーダンスを使用して計算された基音および部分周波数から計算される。この周波数依存性は測定されるか、有限要素方法のような構造力学の共通な方法により予測される。
【0096】
図1は従来技術の楽器10を示す。図1に示される楽器10は6本弦の電気ギターである。図1の楽器10は胴体12,胴体12から延びるネック14、ネック14を横切って延びるナット16を有する。ヘッドストック24はネック14から延び、図1に示される。弦楽器10はブリッジ18を有する。複数の弦20はナット16とブリッジ18間で支持されている。図1はネック14に直交して延びる複数のフレット22を示している。図2は図1に示される楽器10のネック14の一部を示す拡大図である。図3は図2のネック14の小領域の拡大図であり、フレットの向きをより明瞭に示している。
【0097】
本発明はネック14を有する弦楽器10に関する。図4は本発明10の部分図である。ネック14は破断図で示される。楽器10はネック14上にナット16を有する。複数の弦が一般に駒によりブリッジで支持されていることは当業者に明らかである。典型的に、ブリッジは各弦のための1つ駒を有する。これらの駒はナットの対応部品から所定の距離に配置される。これらの距離は一般に各弦で異なる。解りやすくするために、本発明は駒を参照することなく説明される。図4はナット16から複数の距離28のネック14に沿って離間している複数のフレット26を示している。本発明において、ナット16から複数の距離28の少なくとも一つが剛性パラメータを有する所定の式で計算される。剛性パラメータは典型的には曲げ剛性パラメータまたは縦剛性パラメータまたはそれらの両方である。
【0098】
距離28がナット16と1つのフレット26の様な2つの支持体との間に規定される場合、この距離は弦により係合される複数の支持体上の点間の距離であるとされる。例えば、ナット16の形態に依存して、弦はナット16上の中央線、先端、後端、またはある他の点上に置かれる。
【0099】
一つの好ましい実施例において、剛性パラメータは弾性係数を有する。
【0100】
楽器10のいくつかの実施例において、ネック14は中心軸30を有する。ここでは中心軸30は縦軸30として示される。楽器10の好ましい実施例において、複数のフレット26の大部分はネック14の中心軸30に対して傾斜している。傾斜は中心軸30に対して0度または90度以外の角度である。即ち、中心軸30に対して傾斜しているフレット26は中心軸30に対して平行でもないし、垂直でもない。ある傾斜角のフレット26は中心軸30に対して平行でないことが理解される。傾斜フレットは中心軸に対して平行と垂直間のある角度にある。
【0101】
いくつかの実施例において、フレット26は、図4および図5に示されるように、直線である。しかしながら、他の実施例において、図6に示されるように、フレット26は湾曲している。フレットの湾曲はフレットの中心軸および少なくとも一つの端部点を含む平面にあることは当業者に明白である。
【0102】
図7は図5に示されるネックと同様なネック14の拡大図である。本発明の他の実施例はネック14とネック14上のナット16を具備している弦楽器10である。図7を参照すると、楽器10はネック14に沿って離間された複数のフレット26を有する。各フレット26は第1領域32と第2領域34を有する。複数のフレット26の少なくとも一つの第1領域32がナット16から(図7に示されず、図8を参照)第1領域距離44だけ離間されている。少なくとも一つのフレット36の第1領域距離44は第1弦剛性パラメータを有する所定の式から計算される。いくつかの実施例において、剛性パラメータは曲げ剛性、縦剛性、または両方である。フレット26の少なくとも一つのフレット36の第2領域34はナット16から(図7に示されず、図8を参照)第2領域距離50だけ離間している。少なくとも一つのフレット36の第2領域距離50は第2剛性パラメータを有する所定の式から計算される。
【0103】
図7に示される実施例において、少なくとも一つのフレット36は第1領域32と第2領域34間で直線である。他の実施例において、少なくとも一つのフレット36は第1領域32と第2領域34間で湾曲している(図6参照)。
【0104】
本発明はフレット26を配置するための所望の位置28(ナットからの距離)を計算する工程からなる楽器10を製作する方法である。この計算工程は弦38の剛性の関数である(図7参照)。この方法はフレット26を所望の位置で配置する工程を有する。
【0105】
演奏フレット26を接触するための押下により弦38を伸張させることがこの方法で説明される。同様に、フレットを押さえている指により弦の刻み目または弦の形状を考慮する事も可能である。非理想境界条件と境界での有限機械インピーダンスを補償できる。
【0106】
一般的に、この方法は楽器10が演奏に適用される音階を選択する工程を有する。いくつかの実施例において、音階はピタゴラス音律である。他の実施例において、音階はミクロトーン音階、即ち、純正イントネーションの音階である。しかしながら、通常、音階は等分平均律音階である。ほとんどの好ましい実施例において、音階は12音等分平均律、すなわち、12音等分平均律音階を近似する“拡張”音階である。
【0107】
各弦38の音階が選択されることおよび音階が量拡張できることは当業者に明らかである。さらに、音階が対応する異なる基準に基づいて弦の異なる領域で拡張できる。
【0108】
弦の領域は楽器の音域の中間で特定の周波数以下の基音を持っている。本発明の実施例は名目上特定の周波数の部分音を正確に特定の周波数にするために弦の領域で音階を拡張する工程を含んでいる。
【0109】
同様に、弦の領域は、楽器の音域の中間において、特定周波数以上の基音を持っている。一実施例では、弦を押さえている手の範囲内でオクターブ低い音符の部分音の基音間で平均化された周波数に基音を置くためのこれらの領域の音階を拡張している。
【0110】
最も高いフレットの弦の領域で音階を拡張できることは明らかである。これはこれらの基音を開放弦の基音または部分音と一致する周波数に設定するために実施可能である。
【0111】
いくつかの実施例において、この方法は楽器10が12音等分平均律音階または他の音階の楽音を発生できるように各弦38に複数の所定周波数を選択することをさらに含んでいる。図7に示されるように、典型的には、フレット26を配置することはナットに対する距離で各弦38の下方に各フレット26の一部を配置する事である(図8参照)。弦38が各フレット26の位置でフレットに対して押下されると、弦38は所定の周波数近傍で振動するように各フレット26は位置決めされる。
【0112】
図8を参照すると、楽器10を製造する他の実施例では、音階を選択する工程と、音階の第1開放音階音を発生するため剛性を有する第1弦42の開放音階長40を計算する工程を含んでいる。この計算工程は弦剛性パラメータを有する式を解き、剛性パラメータの値として第1弦剛性を利用することを含んでいる。剛性パラメータは湾曲および縦成分(例えば、パラメータ)を含む。
【0113】
本発明の他の実施例において、音階の第1の対応する複数の音を発生するために、第1弦42のための複数の弦押しされた音階長44を計算する工程を有する。一般的に、弦押しされた音階長44を計算する工程は剛性パラメータの値として第1弦剛性パラメータを利用する式を解くことを含んでいる。この方法は第1弦押しされた音階長44で複数のフレット26を位置決めする工程を含んでいる。
【0114】
当業者に明らかであるように、本実施例の方法は音階の第2開放音階音を発生するために剛性を有する第2弦48のための開放音階長46を計算する工程を有する。典型的には、この計算工程は剛性パラメータの値として第2弦剛性値を利用する式を解くことを含んでいる。さらにこの方法では、音階の第2の対応する複数の音を発生するため、第2弦48のための複数の弦押しされた音階長50を計算することを含んでいる。
【0115】
一実施例の方法において、第1領域32と第2領域34を有する複数のフレット26を設ける工程を有する。この方法は弦押しされた音階長44での第1弦42下にフレット26の第1領域32を位置決めする工程と、弦押しされた音階長50で第2弦48下のフレット26の第2領域34を位置決めする工程を含んでいる。
【0116】
図7に示されるように、この方法の一実施例は第1領域32と第2領域34間でフレット26を直線に維持する工程を含んでいる。このことは図8に示される。図8はフレット26の大部分をネック14の中心軸30に対して傾斜して配向する工程を含む方法を示している。
【0117】
本発明の他の実施例は中心軸に直交するラインに対して最大フレット角度を最小にする工程を含んでいる。図7は中心軸30に直交するライン52に対するフレット角54を示している。一実施例において、最大角と称されるフレット角54の最大値を最小にする工程は互いに平行である少なくとも2つのフレットを配向する工程からなる。図8において、フレット58と60は互いに平行である。好ましくは、最大角を最小にする工程は互いに平行な2つの内部フレットを配向する工程からなる。内側のフレットはナット16近傍の第1フレットまたはナット16から離間して配置された最後のフレット以外のフレット(例えば、最後のフレットと最初のフレット間の複数のフレットを含む最も遠くの近傍のフレット)を意図している。いくつかの実施例では、その方法はネック14の中心軸30に直交する2つの平行フレット58と60を配向する工程からなる。図8において、フレット58と60は中心軸30に直角である。いくつかの実施例において、この方法は、図6に示されるように、フレットを湾曲する工程を含む。フレット26を湾曲する工程は複数の第3弦押しされた音階長に渡ってフレットを湾曲する工程を含むことは当業者に明らかであろう。
【0118】
本発明の他の実施例では、楽器10を製造する方法が実際の剛性を有する実際の弦62を利用する工程を含んでいる。図7において、弦38は実際の弦62である。この方法では、実際の弦62の実際の剛性26を説明する式を利用して、フレット26を配置する所望の位置を計算している。この方法では、フレット26を所望の位置に配置することを含んでいる。図7に示されるように、この方法はネック14の中心軸30に対する複数のフレット26を傾斜させる工程を含んでいる。
【0119】
本発明の一実施例において、弦楽器10は縦軸30を有するネック14と、縦軸30に対して傾斜する複数のフレット26と、ネック14の縦軸30に直交するナット16を有する。これは図5に示される実施例に類似している。図8を参照すると、楽器10はネックの縦軸30に直交するフレット60を設けてもよい。いくつかの実施例において、図8に示されるように、フレット60はネック14の縦軸に直交する最後のフレットである。
【0120】
楽器10のいくつかの実施例において、複数のフレット26はナット16から複数の所定の距離28に配置される。この距離28は剛性を有する代表的な実際の弦62のために決定される。一般的に、所定の距離28は所定の音階の楽音を発生するために決定される。説明したように、楽器10は2つの平行フレットから構成される。図8に示されるように、2つの平行フレットはナット16に近接する第1フレット58とナット16から離れている最後のフレット60である。
【0121】
本発明は縦軸30を有するネック14と、ネック14を横断する扇形に広がった複数のフレット94を有する。図4と図11を参照すると、図11は図4に類似している。しかしながら、フレットが扇状に広がっている。扇状に広がったフレット94の大部分はネック14の縦軸30に対して傾斜している。一般的に、参照番号94と26は扇状に広げられたフレットを論ずるときには交換可能である。図8は少なくとも2つの扇状に広げられたフレット26が互いに平行である実施例を示している。いくつかの実施例において、2つの平行な扇状に広げられたフレットはネック14の縦軸30に直交している。
【0122】
当業者に明らかであるように、扇状に広げられたフレット26は図6のように湾曲してもよい。
【0123】
図8はナット16が縦軸30に直交する実施例である。
【0124】
図9は従来のネック分割と本発明の実施例に従ったネック分割との比較を示している。両方のフィンガーボードは名目上628mmである。図9において、フィンガーボード70は円で囲まれたフレット番号により表された24個のフレットである。フィンガーボード70に示される各フレットは低側と高側を有する。低側は0.046インチの半径と、有効半径0.018インチのスチールコアと、0.0064kg/mのリニア質量密度を有する巻き線低E弦のために計算される。高側は0.010インチの直径を有するスチールからなるプレーンな高E弦のために計算される。各フレットの低E側と高E側からナット16の対応する側の距離は以下の表2で示される。フレットの傾斜は低E側から高E側間の距離である.表2と図9はナットと24番目のフレットが直線および平行に作られる本発明の一実施例のための図である。この設計において、長さ補償は低E弦で1.3mm、高E弦で0.1mmである。図9と表2に示されるネック設計は単に本発明の多くの実施例の一つの例である。一般に、フレット押さえによる張力増加を補償するためにネック設計する場合、本発明によれば、縦フレット座標(表2)とフレットの平面図(図9)は弦高形状に依存する。この例では,通常の弦高が仮定され、フレット押さえによる張力増加は補償されない。結果として、直線ネックで、最適長補償は上述の値と僅かに異なり、弦高に依存する。
【表2】
【0125】
図9はフィンガーボード70の反対側で異なる半径のスチール弦を受けるフィンガーボード70を示している。調和した組の弦の中間弦(図7および図8を参照)がこの構造を受け入れるために特定の半径で製造されると仮定すると、フレットは図7に示されるように直線である。選択的に、または追加的に、弦は全てまたは一部の弦の有効縦剛性を減らすために利用され、変更される。
【0126】
本発明は楽器10用のフィンガーボード70(図9参照)を含む。このフィンガーボード70は縦軸30と、複数のフレット26を含む(楽器10を示している図面を参照)。各フレット36は楽器10のナット16に対する所定の距離28に配置された第1領域を有する。この所定の距離28は第1弦42が所定の音階の楽音を発生するような剛性を有する第1弦42のために計算される。
【0127】
一般的に、複数のフレット26の各フレット36はナット16までの他の所定の距離に配置された第2領域34を有する。他の所定の距離は第2弦48が所定の音階の音を発生するような剛性を有する第2弦のために計算される。図8を参照すると、第1領域の所定の距離は44で示され、第2領域の所定の距離は50で示される。図7および図8で示されるように、第2弦48の剛性は第1弦42の剛性より小さい。これは弦の相対厚みで示される。典型的には、第1および第2弦の剛性は対応する曲げ剛性成分を含む。
【0128】
典型的には、複数のフレット26の各々36は第1領域32と第2領域34間に第3領域64を有する。各フレット36のナット16に対する他の所定の距離(図示せず)は第3弦66が所定の音階の音を発生するような剛性を有する(図7に示される)第3弦66のために計算される。図7に示されるように、第3弦66の剛性は第1弦42の剛性と第2弦48の剛性間の中間である。
【0129】
フィンガーボードの一実施例において、各フレット36は第1領域32と第2領域34間で直線である。しかしながら、図6に示されるように、各フレットは湾曲させることも可能である。フレットに直線または湾曲した異なる領域を持たせることも可能である。あるフレットを直線にし、他のフレットを湾曲にし、または部分的に湾曲にする事も可能である。各第3領域64を第3弦66に対応する他の所定の距離に配置させ、フレット第3領域64を他の所定の距離に沿って湾曲させることも可能である。
【0130】
本発明が音階の音を発生させる方法も含むことは当業者に明らかであろう。この方法は音階を選択し、楽器10に実際の弦42を張り、弦42の下方に複数のフレット26を配置する工程を含む。フレットは弦42が一つのフレット26で押下され、弾かされると、弦42が音階の音を発生する。フレット26を配置する工程は弦42の剛性パラメータに等しい剛性パラメータを有する式でナット16に対する距離28(図4参照)を計算することを含んでいる。剛性パラメータが曲げ成分および縦成分を含むことは明らかであろう。
【0131】
計算工程からなる音階の楽音を発生するための本発明の他の方法は弦の剛性パラメータを説明することを含む。当業者に明らかであるように、単数形の使用は適切である場合複数形を含む。この方法は、もちろん、位置の一つで弦を押下すること、およびその弦を振動させることを含んでいる。
【0132】
本発明は弦楽器の正確な調律を実施する方法であることは明らかである。この方法は、所定の音階を選択すること、および各弦の剛性を明らかにするため各弦下にフレットを位置決めすることを含んでもよい。
【0133】
この方法はさらに演奏フレットを接触させるための弦の押下により張力増加を補償するようにフレットを位置決めする工程を含むことは明らかである。同様に、この方法はフレットに押下する指による弦の降下に起因する張力増加を補償するようにフレットを位置決めする工程を含んでもよい。
【0134】
この方法はさらに理想的でない境界条件を補償するためフレットを位置決めする工程を含んでもよい。
【0135】
さらに、この方法はバネを弦と直列に追加することにより、弦の有効縦剛性を変化させる工程を含んでもよい。バネ110は図5に概略的に示される。同様に、この方法は弦をフレットに対する押下に起因して張力増加を補償するように、ネックの縦形状を選択する工程を含んでもよい。
【0136】
いくつかの実施例はサーボ機構で弦の振動周波数を調整する工程を含む。このサーボ機構は使用中のフレットと発生した部分音の周波数に応答し、弦の張力を調整する。
【0137】
図10は端部82と84で単純に支持された(例えば、ピン止めされたまたはヒンジ止めされた)第1弦80の基音モードを示している。端部88と90でクランプ止めされた第2弦86の基音モードを図10に示される。
【0138】
数値例
下記の例は代表的な従来技術の電気ギターで弦剛性と幾何級数ネック分割に起因するイントネーション誤差の大きさの例示として示されている。
【0139】
スチールは207ギガパスカル(3000万ポンド/平方インチ)の弾性係数を有する。スチールの密度は7800kg/cm3である。これにより,0.00115kg/m(0.000064ポンド質量/インチ)である半径0.43mm(0.017インチ)の代表的G弦のリニア質量になる。ほぼ628mm(24.75インチ)の音階長の場合、G弦を196Hzの標準ピッチに調律するために要求される張力はほぼ70ニュートン(16ポンド)である。弦が停止すると、例えば、12番目のフレットで、その自由長はほぼ314mm(12.375インチ)になる。クランプ境界を求めるためこれらの値を式(5)と式(6)に代入することにより、以下の式が得られる。
【数19】
【0140】
音楽の条件において、弦の剛性により生じる0.1%ピッチ増加は理想的な弦またはケーブルのピッチに対する12番目のフレット(オクターブ)で1.7セントシャープである堅い弦のピッチに等価である。高いフレットで、誤差はより大きい。例えば、17番目のフレットで、誤差は3.5セントである。セントは相対ピッチを測定する音楽単位である。1セントはオクターブの1/1200である。3セントより大きいピッチ誤差は、順次聞かれる場合、聞き取れることが一般に認められている。複数の音が同時に弾かれる場合、より小さいピッチ誤差も聞き取れる。
【0141】
より高いフレットで、弦の自由長が減少するにつれて、ピッチ誤差が急速に大きくなる。例えば、24番目のフレットで、誤差は8.5セントに上昇する。
【0142】
この先行技術ネック分割の欠点は弦に対して角度付けされた固定ブリッジにより、または個別に調整可能なブリッジ駒で部分的に修正される。どちらの場合も、半径の大きい弦がより小さい半径の弦より長い開放弦長に与えられる。巻き線のために、関連する半径は測定されまたは計算された有効コア半径であり、巻き線がある剛性に寄与するので常に幾分実際のコア半径より大きい。
【0143】
ブリッジを調整して開放弦を長くすることにより、イントネーション誤差が任意のフレットで打ち消すことができる。上記例に使用されるG弦で、従来技術のネック分割を使用して、開放弦の長さは経験的に事実上決定される少量だけ増加する。対応する張力増加で、開放弦は標準ピッチに再度調律されるが、12番目のフレットで1.7セント誤差が完全に除去される。しかしながら、フレットが元の628mm音階のために配置されるので、この長さ補償はナットに対し且つ相互に対して全てのフレットに影響を与える。弦長がブリッジで増加すると、任意のフレットの周波数はナットからのフレットの距離にほぼ比例して減少する。半径0.017インチのG弦の上記例において、もしブリッジが0.6mmだけ移動し、開放弦長を628mmから628.6mmに増加させると、12番目のフレットは完全な音調を有する。弦の張力の対応する増加により、弦に開放弦と12番目のフレットで標準ピッチを持たせることができる。12番目以下のフレットは非常に少量だけピッチを下げ、より高いフレットで残るイントネーション誤差はかなり減少する。
【0144】
この方法は便利であるが、このように達成された周波数補償は1以上のフレットで正確でない。12番目のフレット(例えば、0.6mm)の正確な補償のために調整された長さの補償の例において、例えば、24番目のフレットは3.3セントシャープが高くなる。
【0145】
12番目のフレットの代わりに、より高いフレットが誤差をうち消すように選択されるかもしれない。しかしながら、オクターブ(12番目のフレット)はピッチが下がる。この数値例は長さの補償のみでは、各弦の一のフレット以上でイントネーション誤差をキャンセルすることができないことを示している。
【0146】
表3は12番目のフレットで正確なオクターブのために楽器に音調を与える前後の例で使用されるG弦の曲げ剛性により生じる計算された各弦の周波数誤差量を一覧している。周波数誤差は開放弦周波数に基づいて等分平均律から始まる基点として規定される。より大きい半径の弦で、弦の剛性から生じる周波数誤差が表3に示される誤差より大きいことが注目される。簡単に論じられる、フレット押さえから得られる張力増加による周波数のズレはこれらの計算値に含まれない。628mmの名目音階長が仮定されている。
【表3】
【0147】
固有の弦の曲げ剛性に対してフレットを最適にすることによりこの弦の曲げ剛性により生じるイントネーション誤差を消去できることは明らかである。しかしながら、異なる区画係数を有する別の弦は今まで通り別個に調律される。各弦の区画係数に従って全ての弦に対して式(5)により弦のネックを分割すると一般にネックが互いに平行でないネック設計になる。
【0148】
図9はネックを反対側に異なる半径のスチール弦を設けるギターネックを示す。調和した組の弦の中間弦がこの案を受け入れるために特定の寸法で製造されると仮定すると、フレットは図9のように直線にする事ができる。通常の組の弦を使用している場合でも、一組の中間弦は中間剛性特性を有することは明らかである。その結果、本発明のネック分割は従来の組の弦でも弦剛性に起因するイントネーション誤差を減少させる。これらの誤差は、較正され、調和した組の弦でのみ消去可能である。
【0149】
他の基準により選択された任意の寸法と合成特性の弦を設けるため、フレットは図6で示されるように湾曲される。各フレット(6弦ギターの各弦の1点)の長さに沿って6点のブリッジからの距離が式(5)により決定される。次に、各フレットの形状が6点を通過するなめらかな曲線として決定される。
【0150】
明確に調和していない弦でさえ、中間弦は中間剛性特性を持っているので、本発明の角度付けされた直線として製造されたフレットがフレットを相互に平行することに起因するイントネーション誤差を減ずることは明らかである。
【0151】
以上本発明の特有の実施例が述べられたが、以下のクレームに記載されるように、実施例の参照が本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0152】
【発明の効果】
以上の説明から、本発明の弦楽器製造方法によれば、楽音を正確に調律できるフレット付き楽器を提供できる。
さらに、本発明によれば、弦押しによる張力増加に起因する周波数の低下を考慮でき、所望の音階の周波数を正確に発生できるフレット位置を選択できる。
さらに、本発明によれば、コード(和音)を弾く場合同時に演奏される楽音の部分音間のうなりを最小にするフレット位置を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は従来の弦楽器の平面図である。
【図2】 図2は図1に示されるネックの拡大図である。
【図3】 図3は図2に示されるネックの一部を示す拡大図である。
【図4】 図4は本発明の弦楽器のネック部分を示す拡大図である。
【図5】 図5は、図4と同様なネックの図であり、増加した厚みと剛性を有する弦が傾斜フレット上に描かれている。
【図6】 図6は図5に示されるものと類似のネックの図であり、フレットは湾曲し、傾斜している。
【図7】 図7は傾斜フレットを有するネックの部分拡大図であり、弦の剛性が異なる理由を説明するためにフレットはある距離の弦下に配置された領域を持っている。
【図8】 図8は本発明の楽器のネックの破断図であり、開放音階とフレット音階の長さが剛性と指圧を含む弦の特性を最適化するために選択される。
【図9】 図9は本発明のフレットボードと比較される平行フレットを有する従来のフレットボードを示し、フレットは高E弦(右側)用の太さ0.010インチおよび低E弦(左側)用の太さ0.045インチを有するスチール弦用に位置決めされている。
【図10】 図10はピン留めされた弦(上部)の基音モードとクランプされた弦(下部)の基音モードを示している。
【図11】 図11は図4に類似した図であり、複数のフレットが扇状に広げられている。
【図12】 図12はフレットに押下された弦の上昇側面概略図であり、開放形状即ちフレットに押下されていない形状が想像線で示されている。
【図13】 図13は図12に類似した図であり、湾曲状に反った長尺ネックの形状を概略的に示している。
【符号の説明】
10 楽器
12 導体
14 ネック
16 ナット
18 ブリッジ
22、26、58、60 フレット
24 ヘッドストック
28 距離
30 中心軸
32 第1領域
34 第2領域
38、42 弦
40 開放音階長
54 フレット角
Claims (8)
- 前記弦剛性パラメータが弾性係数を有することを特徴とする請求項1記載の弦楽器。
- 前記ネックが中心軸を有し、前記複数のフレットの大部分は前記ネックの中心軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項1記載の弦楽器。
- 前記フレットが直線であることを特徴とする請求項3記載の弦楽器。
- 前記フレットが湾曲していることを特徴とする請求項3記載の弦楽器。
- ネックと、
前記ネック上のナットと、
前記ネックに沿って離間された複数のフレットとを備え、
各フレットは第1領域と第2領域を有し、
前記複数のフレットの少なくとも一つの第1領域は前記ナットから第1領域の距離に離間され、少なくとも一つのフレットの第1領域の距離は第1弦剛性パラメータを有する下記の式で計算され、
前記複数のフレットの少なくとも一つの第2領域は前記ナットから第2領域の距離に離間され、少なくとも一つのフレットの第2領域の距離は第2弦剛性パラメータを有する下記の式で計算されることを特徴とする弦楽器。
T=張力
E=ヤング係数
D=半径
Xm=振動のm番目のモードのモード定数
m=振動のモード番号
fm,n=n番目のフレットで押下されたm番目のモードの周波数 - 前記少なくとも一つのフレットは前記第1領域と前記第2領域間で直線であることを特徴とする請求項6記載の弦楽器。
- 前記少なくとも一つのフレットは前記第1領域と前記第2領域間で湾曲していることを特徴とする請求項6記載の弦楽器。
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