JP3702845B2 - 波形表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の入力を電子化して表示する波形表示装置に関し、特に基準波形と測定波形を同時に表示させることによる基準から逸脱したデータの比較判定作業の効率改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波形表示装置の機能の一つに波形の判定機能がある。これは測定波形が予め設定された判定領域に入っているか否かを判定して、その結果を出力するものであり、電源波形等の監視をする場合等に必要とされる。このような波形判定では、例えば特開平7−280593号が提案されている。その構成は、測定波形をA/D変換器で電子化しメモリに繰り返し記憶させておき、リアルタイムに予め作成された基準波形エリアと測定波形を比較して、基準波形エリアから測定波形が逸脱した時点をトリガとして認識し、その時点の測定波形データを起点として所定区間の測定波形データを抽出し波形表示させて観測する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、基準波形エリアから逸脱しトリガ発生の原因となった測定波形データがメモリへの取り込まれた時のアドレスを記憶することにより、その測定波形データを特定でき、そのデータを起点に所定区間の再表示ができる。
しかし、従来の波形表示装置では、取り込んだ測定波形データからは基準波形エリアと比較を開始したデータが特定できないため、測定波形と基準波形エリアとを同期させ重ね合わせて表示することができない。
従って、測定データが基準波形エリアに対してどの程度逸脱しているかを、同一画面上で表示させて確認することができないという問題があった。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、測定波形データについて基準波形と比較を開始した点に目印を付加することで、測定波形と基準波形を同期させ重ね合わせて表示させることを可能とし、基準から逸脱したデータの確認作業の効率を向上させた波形表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の通りの構成になった波形表示装置である。
【0006】
(1)電子化した測定波形データを表示する波形表示装置において、
予め設定されたトリガ条件と測定波形データとを比較し、そのトリガ条件を満たすと第1トリガ信号を発生する第1トリガ発生手段と、
前記第1トリガ信号発生の有無を示すトリガ情報を測定波形データに付加して記憶する情報付加手段と、
予め設定された基準波形データから逸脱した測定波形データを検出する逸脱点検出手段と、
この逸脱点検出手段により検出された測定波形データを起点に測定波形データを読み出すと共に、測定波形データに付加したトリガ情報を目印に測定波形データと同期した基準波形データを読み出す第1読み出し手段と、
この読み出し手段で読み出した測定波形データと基準波形データを重ね合わせて表示する表示器と、
を有し、
前記逸脱点検出手段は、
前記基準波形データを読み出す第2読み出し手段と、
この読み出した基準波形データと測定波形データとを比較する比較手段と、
この比較手段の比較結果に応じて第2トリガ信号を発生する第2トリガ発生手段と、
を有することを特徴とする波形表示装置。
(2)前記第2トリガ信号が発生したときに、発生時点から所定期間に渡って測定波形データをメモリ内に確保する書き込み制御手段を有することを特徴とする(1)記載の波形表示装置。
(3)前記逸脱点検出手段は、前記基準波形データに対して予め設定された上限値と下限値の加減算を行う演算手段を設けたことを特徴とする(1)に記載の波形表示装置。
(4)前記基準波形データは、測定波形データから生成することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の波形表示装置。
(5)前記基準波形データは、エディタ機能により任意に作成することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の波形表示装置。
(6)前記トリガ情報は、前記測定データと同一メモリ内に記録することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の波形表示装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例を示した構成図である。
【0008】
図1において、アンプ7は測定波形を増幅または減衰させて正規化を行う。A/Dコンバータ1は正規化された測定波形をデジタル値に変換し電子化する。書き込み制御手段4は、メモリ6のアドレスを生成し電子化された測定波形データをメモリ6に格納する。メモリ6は、データ領域が区切られていて、一つの領域には測定波形データを、他の領域には基準波形データを記憶する。この基準波形データは、例えば測定対象が電源であれば、その出力波形の連続監視を行う場合に、良・不良の判定基準となる電源波形データである。この基準波形データを加減算処理して基準エリアを作成する。タイミングコントローラ10は、クロックや制御信号等を各部へ出力し、各部の動作タイミング等を制御する。
尚、予め設定される基準波形データは、測定波形データの所定周期分により作成しても良いし、装置のエディタ機能等により入力、編集して作成しても良い。
【0009】
第1トリガ発生手段2には、測定波形データが入力され、予め設定された条件に従って第1トリガ信号を発生させる。トリガ設定条件の詳細は、トリガレベル、立ち上がり検出または立ち下がり検出等である。
図2は、第1トリガ発生手段の動作説明図である。
図2において、破線aは予め設定されたトリガレベルを示している。トリガレベルに対して立ち上がり検出を行いそのトリガレベルを交差した点t1、t2、t3で第1トリガ信号を発生させる。
【0010】
ここで図1の説明に戻る。
測定波形データは、第1トリガ信号が発生したことの目印となるトリガ情報が付加されメモリ6に記憶される。トリガ情報は、例えばビットデータとして測定波形データに付加される。
【0011】
図3は、測定波形データ及びトリガ情報(ビットデータ)を示したメモリの概念図である。
図3において、測定波形データはメモリのアドレスnより順次書き込まれる。第1トリガ信号が発生したとき、上述したトリガ情報がビットデータとして測定波形データに付加される。図3では、第1トリガ信号が発生したときに“1”を、発生しなければ“0”が各測定波形データに付加されている。
尚、トリガ情報は、イベントデータ等と結合させて複数ビットの値の一つとしても良い。
また、トリガ情報は、測定波形データとアドレス関係が既知である等の対応可能な状態にあれば、記憶先は同一メモリ内の同一アドレスでなくても良い。
【0012】
図1の説明に戻り、逸脱点検出手段3は、第2読み出し手段31とトリガコンパレータ32から成る。また、トリガコンパレータ32は図示しない演算手段、比較手段及び第2トリガ発生手段から構成される。
第2読み出し手段31は、メモリ6から読み出す基準波形データのアドレスを生成する。前述の第1トリガ信号が、第2読み出し手段31に入力されることにより生成アドレスはリセットされる。従って第1トリガ信号が発生する度に、常に同じ基準波形データから読み出されることになる。トリガコンパレータ5は、内部に演算手段(図示せず)を備え、その演算手段により読み出された基準波形データに対し、予め設定された上限値と下限値の加減算を行なって上限値と下限値の幅を有する基準波形エリアデータを自動生成する。そのエリアデータを判定に用い測定波形データとリアルタイムに比較して、測定波形データがそのエリアから逸脱した時に出力から検出信号を出力する。
【0013】
この検出信号がトリガ信号として、上記の書き込み制御手段4に入力される。その時の処理の一例として、検出信号発生時の測定波形データを起点とした所定区間のデータを記憶した後、記憶を休止しメモリ6内にデータを確保する。メモリ6には繰り返し測定波形データが記憶され続けていたので、起点となる測定波形データに対しある程度過去のデータから始まり、基準波形エリアの逸脱点以降の所定区間のデータ迄が記憶されることになる。
【0014】
表示手段8は、表示コントローラ81と表示器82から成る。表示コントローラ81は、第1読み出し手段83と演算手段(図示せず)を備えている。第1読み出し手段83は、メモリ6に記憶されている測定波形データを、逸脱点検出手段3で検出されたデータを起点に読み出す。さらに、測定波形データを読み出すときに、図3で説明した測定波形データに付加されたトリガ情報を目印にして、基準波形データを読み出す。そこで、読み出したデータについて、図示しない演算手段が、トリガコンパレータ32内の演算手段と同様に基準波形エリアデータを作成する。これらを基に表示コントローラ81は、測定波形データと共に基準波形エリアを表示器82の同一画面上に重ね合わせて表示させる。
【0015】
図4は、測定波形データと共に基準波形エリアを重ね合わせた表示例の説明図である。
図4において、実線波形sが測定波形データである。破線波形s1が基準波形データから算出した上限値波形であり、s2が下限値波形である。
点t1は、メモリから測定波形データを順次読み出していった時のトリガ情報の検出により基準波形データを読み出し、測定波形データに重ねて基準波形エリアを描画し始めた点である。一周期分の描画を終えると再び同様の処理が繰り返される。
【0016】
尚、本発明は複数チャネルを表示する波形表示装置等に適用しても良い。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果がある。
【0018】
請求項1乃至請求項記載の発明によれば、測定波形データについて基準波形と比較を開始した点に目印を付加することで、その目印を基に測定波形と基準波形を同期させ読み出すことができるため、測定波形と基準波形とを同期させて表示画面に重ね合わせて表示させることが可能となり、測定波形データが基準波形エリアからどの程度逸脱したかの確認作業が容易に行える。
【0019】
請求項記載の発明によれば、装置へ波形を入力することにより基準波形データを作成できるため、データ作成作業を別途行う必要が無く作業効率が向上する。
【0020】
請求項記載の発明によれば、エディタ機能により任意に波形を作成できるため、複雑な基準波形データ等の作成を容易に実現できる。
【0021】
請求項記載の発明によれば、トリガ情報を測定波形と同一メモリ内に記憶することでメモリの増加を防ぎ、コスト効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】本発明の実施例における、第1トリガ発生手段の動作説明図である。
【図3】本発明の実施例におけるメモリ内の概念図である。
【図4】本発明の実施例における表示例の説明図である。
【符号の説明】
2 第1トリガ発生手段
3 逸脱点検出手段
4 書き込み手段
6 メモリ
8 表示手段
31 読み出し手段
32 トリガコンパレータ
32 情報送信手段
81 表示コントローラ
82 表示器

Claims (6)

  1. 電子化した測定波形データを表示する波形表示装置において、
    予め設定されたトリガ条件と測定波形データとを比較し、そのトリガ条件を満たすと第1トリガ信号を発生する第1トリガ発生手段と、
    前記第1トリガ信号発生の有無を示すトリガ情報を測定波形データに付加して記憶する情報付加手段と、
    予め設定された基準波形データから逸脱した測定波形データを検出する逸脱点検出手段と、
    この逸脱点検出手段により検出された測定波形データを起点に測定波形データを読み出すと共に、測定波形データに付加したトリガ情報を目印に測定波形データと同期した基準波形データを読み出す第1読み出し手段と、
    この読み出し手段で読み出した測定波形データと基準波形データを重ね合わせて表示する表示器と、
    を有し、
    前記逸脱点検出手段は、
    前記基準波形データを読み出す第2読み出し手段と、
    この読み出した基準波形データと測定波形データとを比較する比較手段と、
    この比較手段の比較結果に応じて第2トリガ信号を発生する第2トリガ発生手段と、
    を有することを特徴とする波形表示装置。
  2. 前記第2トリガ信号が発生したときに、発生時点から所定期間に渡って測定波形データをメモリ内に確保する書き込み制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の波形表示装置。
  3. 前記逸脱点検出手段は、前記基準波形データに対して予め設定された上限値と下限値の加減算を行う演算手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の波形表示装置。
  4. 前記基準波形データは、測定波形データから生成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の波形表示装置。
  5. 前記基準波形データは、エディタ機能により任意に作成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の波形表示装置。
  6. 前記トリガ情報は、前記測定データと同一メモリ内に記録することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の波形表示装置。
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