JP3702677B2 - 生体吸収性接着剤および粘着材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外科手術時に臨床応用可能な生体吸収性軟組織接着剤および粘着材に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科手術時の切開部組織の結合、結紮、牽引、支持、固定などの処置については、古来縫合糸による処置が施されてきたが、近年縫合材料も、その材質、形状に様々な工夫が施されるようになつた。
例えば化学合成材料を用いた生体吸収性縫合糸であり、ポリジオキサノン、ポリグラクチン、ポリグリコール酸などを原料とするものが上市されている。
さらに形状を変えたものとしてクリップ、ステープル、テープなどが手術の迅速化のために提案され、使用されている。また接合組織の保護、液漏れの防止などの目的に軟組織用接着剤が縫合糸とともに補助的に用いられるに至った。
天然由来材料として、フイブリン糊とゼラチン系接着剤があり、合成材料としてシアノアクリレート系およびポリウレタン系接着剤などが臨床応用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、近年手術の迅速化のために、従来の縫合糸に代わる材料として様々な形態のものが提案され、使用されるようになつてきた。その一つが軟組織接着剤であるが、天然由来材料のうち、フィブリン糊は生体適合性に優れた接着剤であり、組織親和性が高く、適度に吸収されるなどの利点がある反面、血液製剤であるため感染の恐れがあり、また接着強度が充分でないなどの欠点がある。またゼラチン系の接着剤についても接着強度が充分でなく、架橋剤に用いる物質の害為性等の問題がある。
【0004】
合成材料として用いられているシアノアクリレート系の接着剤は、感染などの問題が無く、また接着速度が速い点や、接着強度の大きい面では優れているが、硬化物が硬すぎることで、軟組織の吻合部に応力が集中し、炎症や裂傷の原因となることや、硬化したポリマーの加水分解による生成物のホルムアルデヒドの毒性などが問題とされている。
ウレタン原料の接着剤については、硬化物が柔軟性を示すことや、体内の水分で硬化するために、生体組織表面の水を吸収して組織との密着が高まるなどの利点はあるが、合成原料のジイソシアネートの毒性が問題とされている。
このように、現在臨床応用されている軟組織用接着剤については、感染、毒性、接着強度等の問題が多く、すべての点について満足できる接着剤は見あたらないのが実情である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
ポリ乳酸とポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールのブロック共重合体が、親水性、柔軟性や生体吸収性に優れた材料であることは一般に知られている。
本件発明者は、該共重合体の、特に比較的低分子量の共重合体が粘稠な物質となることに着目し、この物質の軟組織接着剤への応用を試みた。しかしながら、ポリアルキレングリコールの共重合比率を増やせば親水性が上がる反面、接着強度、粘度等は低下する傾向にある。これはポリアルキレングリコールが多価アルコールであるために、共重合比率の上昇とともにアルコール性水酸基が過剰となるため、到達平均分子量の低下を招き、結果的に分子凝集力が低下することによる。ポリアルキレングリコールの共重合比率を減らすことで分子量低下を防止することができるが、疎水性が上がる、柔軟性が低下するなどの要因で、軟組織接着剤としては不向きな物性になる,これらのことから、実用上充分な接着強度と親水性を併せ持つた軟組織接着剤を合成することは、容易ではない。
【0006】
この問題を解決する方法として、使用するポリアルキレングリコールの分子量を上げる方法や、複数のカルボキシル基を有するジカルボン酸類などを第3成分として添加する方法などが考えられるが、これらの物質の生体内組織での代謝性については確認されていない部分が多く、好ましい方法とは言えない。
【0007】
以上の問題を踏まえ、本件発明者は鋭意検討を続けた結果、ポリL−乳酸とポリアルキレンエーテルのブロック共重合体と、ポリD−乳酸とアルキレンエーテルのブロック共重合体を任意の割合で混合することで、又は少なくとも1種類のポリ乳酸と、ポリアルキレンエーテルのブロック共重合体と、結晶性の低い高分子量ポリ乳酸をブレンドすることで、それぞれが単独で存在する場合よりも分子凝集力が上がり、親水性と実用上充分な接着強度を持つだ接着剤となることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1は、ポリL―乳酸と、ポリアルキレンエーテルより合成されるブロック共重合体と、ポリD―乳酸とポリアルキレンエーテルより合成されるブロック共重合体の混合物より成る生体吸収性接着剤および粘着材に関するものである。
【0009】
ポリ乳酸と、ポリエチレングリコールとのブロック共重合体は、生体適合性に優れた素材であり、ドラツグデリバリーシステムの薬物徐放用担体として近年注目されている。一般に、高分子物質の生体組織への接着強度はその物質の持つ分子凝集力、および生体組織と高分子物質との間の相互作用に依存すると言われており、この相互作用の1つの例として、水素結合が挙げられる。生体組織表面には水酸基やアミノ基が存在し、ポリ乳酸内に存在するカルボキシル基との間で水素結合を形成するため、親水性ポリエーテル鎖を持つポリアルキレンエーテルとのブロック共重合体は、生体適合性に優れた吸収性組織接着剤となりうる。
しかしながら、該共重合体のこれらの用途への適用は、通常の方法では困難である。その理由は、前述したように、ポリアルキレンエーテルの共重合比率を増やせば親水性、柔軟性が上がる反面、分子量低下を招き、分子凝集力の低下によって接着強度が低下するためである。
以上の問題点を解決するため、本発明の第1は上記構成からなる。
【0010】
本発明で使用するポリL−乳酸および/又はポリD−乳酸の光学純度は、90%以上が好ましい。光学純度がこれより低いと、混合による接着力向上の効果が見られにくいからである。
また、使用するポリアルキレンエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテル、ポリヘキサンエーテル、ポリオクタンエーテルなど炭素数2〜12のアルキル基を持つものおよびそれらの共重合物が用いられ、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好ましい。原料として用いられるポリアルキレンエーテルの分子量は、100〜2000が好ましい。分子量が2000を超えると生体内で代謝するには分子量が高すぎるという問題が発生するからである。
ブロック共重合体は、ポリ乳酸(L)とポリアルキレンエーテル(PE)とが、1:1でL・PEの型に結合したものでも、2:1又は1:2でL・PE・L、PE・L・PEのような型に結合してもよく、同じくL・PE・L・PE・L・PEなどのように多数のブロックが結合してもよい。ブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、1000〜10000の範囲のものが好ましい。
共重合体の製造方法は特に限定されることはなく、従来公知の方法で製造できる。例えば、密封機能のついた試験管に原料としてL−ラクチドおよびポリエチレングリコールを規定量投入し、重合触媒を添加した後、撹梓後一定時間静置し、共重合体(A)とする。同様の方法にてD―ラクチドとポリエチレングリコールより、共重合体(B)を作成する。共重合体(A)および(B)をそれぞれアセトンに溶解し、蒸留水にて再沈させ、濾過、乾燥により共重合体精製物を得る。
上記の方法で得られた共重合体精製物を一定の割合で加熱溶融混合することにより、生体吸収性接着剤および粘着材組成物を得る。
使用原料としては上記L−ラクチド、D−ラクチドの代わりにそれぞれL―乳酸あるいはD―乳酸を用いることもできる。原料として乳酸を用いる場合、脱水縮合により合成するため触媒を使用する必要がなく、より安全性の高い生体吸収性材料を提供できるという利点がある。
【0011】
本発明の該接着剤および粘着材は、ポリL−乳酸およびポリアルキレンエーテルのブロック共重合体と、ポリD−乳酸およびポリアルキレンエーテルのブロック共重合体を混合することにより得られる。
使用するポリL−乳酸およびポリD−乳酸のまた該共重合体の混合比は、1:9〜9:1、より好ましくは3:7〜7:3の範囲が望ましい。混合比がこの範囲外であると、混合による接着力向上の効果が得られない。また共重合体中のポリアルキレンエーテルの共重合比率は、重量基準で1〜50%の範囲が好ましい。より好ましくは、重量基準で10〜40%の範囲が好ましい。共重合比率がこれより低いと、剛性が高くなり体温付近での接着性に乏しくなるため生体内部では使用できない。逆に共重合比率がこれより高いと、体温付近で液状の物質となり、接着性に乏しくなり目的の性能を持たないものとなる。
【0012】
また、本発明の第2は、少なくとも1種類のポリ乳酸と、ポリアルキレンエーテルよりなるブロック共重合体(C)と、ポリ乳酸(D)の混合物(E)よりなる。
共重合体に用いられる乳酸の光学純度は任意のものを用いることができる。また、共重合体に用いられる乳酸は1種類に限定されることはなく、例えば光学純度の異なる2種類以上の乳酸と、ポリアルキレンエーテルの共重合体をそれぞれ合成し、それらを混合して使用することも可能である。 ポリアルキレンエーテルは、前述のものを用いることができる。
また、共重合体中のポリアルキレンエーテルの共重合比率は、重量基準で1〜50%の範囲が好ましい。より好ましくは、重量基準で10〜40%の範囲が好ましい。共重合比率がこれより低いと、疎水性が高くなり、湿潤面における接着性に乏しくなるため生体内では使用できない。逆に共重合比率がこれより高いと、水溶性の物質となるため接着成分が体内で速やかに溶散してしまい、目的の接着性能が得られない。共重合体の重量平均分子量は1,000〜10,000の範囲が好ましい。
【0013】
ブロック共重合体の製造は、公知の方法でできる。例えば、前述したように密封機能のついた試験管に原料としてL−ラクチドおよびポリエチレングリコールを規定量投入し、重合触媒を添加した後、攪拌後一定時間静置し、共重合体とする。共重合体をそれぞれアセトンに溶解し、蒸留水にて再沈させ、濾過、乾燥により共重合体精製物を得る。 ラクチド原料としては上記L−ラクチドのみに限定されるわけではなく、D−ラクチド、メソラクチド、L−ラクチドとD一ラクチドの混合物など任意の光学純度のものを用いることができる。また、上記ラクチドの中から2種類以上の原料を選び、それぞれの原料とポリエチレングリコールの共重合体を合成し、混合することも可能である。また上記ラクチド原料の代わりに、それぞれ対応する光学純度を持つ乳酸を用いることもできる。原料として乳酸を用いる場合、脱水縮合により合成するため触媒を使用する必要がなく、より安全性の高い生体吸収性材料を提供できるという利点がある。
【0014】
ブロック共重合体にブレンドするポリ乳酸の光学純度は、0〜80%、より好ましくは0〜70%の範囲にあるものを用いることができる。使用するポリ乳酸の光学純度がこれより高いと、結晶性を持つポリマーとなるため、剛性、脆性が強くなり体温付近での接着性に乏しくなるため軟組織接着剤および粘着材用途には適さない。
また、ブレンドするポリ乳酸の重量平均分子量は、20,000〜200,000の範囲にあることが望ましい。分子量がこれ以下だと、分子凝集力が弱くなり、充分な接着強度が得られない。また分子量がこれ以上になると剛性、脆性が強くなり体温付近での接着性に乏しくなるため、やはり軟組織接着剤および粘着材用途には適さない。
【0015】
上記の方法で得られた共重合体精製物と結晶性を持たない高分子量ポリ乳酸を一定の割合で加熱溶融混練することにより、生体吸収性接着剤および粘着材組成物を得る。溶融混練の方法としては、例えば一軸混練機などを用いて実施することができる。混合割合は、混合物(E)中に含まれるブロック共重合体(C)の比率が、重量基準で10〜90%の範囲にあるのが好ましい。混合比率がこの範囲外であると、混合による接着力向上の効果が得られない。
【0016】
上述の方法で得られた重合体組成物は、一般の接着剤と同様に、溶剤に溶解する、あるいは加熱などによってフィルムなどの支持体上に流延することにより、医療用のみならず汎用の接着テープ用途に使用することも可能である。
また、本組成物の特徴としては以下の点が挙げられる。従来の外科用接着剤のように、接着部位が硬化し、柔軟性が失われることはない。これにより、接着周辺部に応力が集中することを防止でき、炎症等の副作用が起きることもない。また生体由来でなく、化学合成品であるため、感染等の問題に関しても安全性の高いものである。
【0017】
本発明の実施例を述べる前に、物性値の同定に用いた分析条件について説明する。
共重合組成物の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定は、以下の条件にてGPC(ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー)により測定した。
検出器:RID−6A
ポンプ:LC−9A
カラムオーブン:GTO―6A
カラム: Shim-pack GPC-801C、-804C、-806C、8025Cを直列
以上 島津製作所製
移動相:クロロホルム
流 速:1m1/min
サンプル:200μl(サンプル濃度0.5wt%)
カラム温度:40℃
ガラス転移温度、融点の測定は、島津製作所製走査型示差熱量計DSC−500を用いて行った。(測定温度上限:200℃ 昇温速度:10℃/min)
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
【0018】
【実施例】
[実施例1]
(合成例1:L−ラクチドとポリエチレングリコールの共重合組成物の作成)
密封機能を持ったガラス試験管に、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(商品名:マクロゴール#400三洋化成工業製)3.0g、L−ラクチド(島津製作所製光学純度99.6%)7.0gおよびオクチル酸スズ0.6gを入れ、窒素封入した後、190℃のホツトブロック中に5時間静置し、上記共重合組成物を得た。この共重合物の重量平均分子量は3,500、融点は72℃、ガラス転移温度は1.75℃であつた。
【0019】
(合成例2:D−ラクチドとポリエチレングリコールの共重合組成物の作成)
密封機能を持つだガラス試験管に、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(商品名:マクロゴール#400三洋化成工業製)3.0g、D−ラクチド(Purac製光学純度100%)7.0gおよびオクチル酸スズ0.6gを入れ、窒素封入した後、190℃のホツトブロツク中に5時間静置し、上記共重合組成物を得た。この共重合物の重量平均分子量は3,900、融点は78℃、ガラス転移温度は0.82℃であつた。
【0020】
(合成例3:精製および生体吸収性接着剤および粘着材の作成)
上記合成例1および2によつて得られた2種類の共重合組成物(合成例1:4.63g合成例2:4.72g)に、それぞれ等重量のアセトンを加え、50wt%のアセトン溶液とした。得られた溶液を混合し、大過剰の水を加えることにより不溶物を沈澱させた。この不溶物を濾過回収し、エバポレータで80℃、10Torrの真空下で3時間乾燥し、それぞれの精製物を得た。この精製物を100℃にて溶融混合し、サンプルとした。
【0021】
(JIS Z 0237準拠180°引き剥がし試験の実施)
合成例1の精製サンプルと合成例2の精製サンプルを3:1の割合で溶融混合したサンプルを、長さ100mm、幅15mmの吸水性パルプ上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一の吸水性パルプを張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した。
上記サンプルを5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均200gf/cm2 であつた。
また合成例1の精製サンプルと合成例2の精製サンプルを1:3の割合で溶融混合したサンプルを用い、上記と同様の試験片を5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均230gf/cm2であつた。
【0022】
[比較例1]
(JIS Z 0237準拠180°引き剥がし試験の実施)
上記合成例3で得られたL−ラクチドとポリエチレングリコールの共重合組成物を100℃で加熱融解し、長さ100mm、幅15mmの吸水性パルプ上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一の吸水性パルプを張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した。
上記サンプルを5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均30gf/cm2であつた。
【0023】
[比較例2]
(JIS Z 0237準拠180°引き剥がし試験の実施)
上記合成例3で得られたD一ラクチドとポリエチレングリコールの共重合組成物を100℃で加熱融解し、長さ100mm、幅15mmの吸水性パルプ上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一の吸水性パルプを張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した。
上記サンプルを5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均40gf/cm2であつた。
【0024】
[実施例2]
(合成例1:L−ラクチドとポリエチレングリコールの共重合組成物の作成)
密封機能を持つだガラス試験管に、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(商品名:マクロゴール#400三洋化成工業製)3.0g、L−ラクチド(島津製作所製光学純度99.6%)7.0gおよびオクチル酸スズ0.6gを入れ、窒素封入した後、190℃のホツトブロック中に5時間静置し、上記共重合組成物を得た。この共重合物の重量平均分子量は3,500、融点は7 2℃、ガラス転移温度は1.75℃であつた。
【0025】
(合成例2:共重合組成物の精製)
上記合成例1によつて得られた共重合組成物(合成例1:4.63g)に、等重量のアセトンを加え、50wt%のアセトン溶液とした。得られた溶液に大過剰の水を加えることにより不溶物を沈澱させた。この不溶物を濾過回収し、エバポレータで80℃、10Torrの真空下で3時間乾燥し、精製物を得た。
【0026】
(合成例3:接着剤、粘着材の作成)
合成例2で得られた精製物に、光学純度78%、重量平均分子量170,000のポリ乳酸を共重合体3に対してポリ乳酸を1加え、140℃にて溶融混練し、サンプルとした。
【0027】
(JIS Z 0237準拠180°引き剥がし試験の実施)
[乾燥表面での接着強度評価]
合成例3のサンプルを、溶融状態で長さ100mm、幅15mmのポリL−乳酸フィルム(厚さ40μm)上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一寸法の乾燥状態の吸水性パルプを圧着圧力1kgf/cm2で張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した。
上記サンプルを5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均1,100gf/cm2であつた。
【0028】
[湿潤表面での接着強度評価]
合成例3のサンプルを、溶融状態で長さ100mm、幅15mmのポリL−乳酸フィルム(厚さ40μm)上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一寸法の含水させた吸水性パルプを圧着圧力1kgf/cm2で張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した
上記サンプルを5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均500gf/cm2であつた。
【0029】
[比較例1]
(JIS Z 0237準拠180°引き剥がし試験の実施)
[乾燥表面での接着強度評価]
上記合成例2で得られたL−ラクチドとポリエチレングリコールの共重合組成物を100℃で加熱融解し、長さ100mm幅15mmの吸水性パルプ上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一寸法の乾燥状態の吸水性パルプを圧着圧力1kgf/cm2で張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した。
上記サンプルを5本作成し、180゜引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均30gf/cm2であつた。
【0030】
[湿潤表面での接着強度評価]
合成例2のサンプルを、溶融状態で長さ100mm、幅15mmのポリL−乳酸フィルム(厚さ40μm)上に薄膜状に流延させ、長さ30mmの粘着剤層を作成し、その上から同一寸法の含水させた吸水性パルプを圧着圧力1kgf/cm2で張り合わせることにより、JIS Z 0237準拠の粘着テープ、粘着シート引き剥がし試験用のサンプルを作成した。
上記サンプルを5本作成し、180°引き剥がし試験を実施したところ、引き剥がしに要した力は平均10gf/cm2であつた。
【0031】
【発明の効果】
乳酸とポリエチレングリコールの低分子量共重合体は、生体吸収性の接着剤あるいは粘着材への応用が期待される。しかしながら、実施例1、2の比較例1および2に見られるように、L―ラクチドあるいはD−ラクチドとポリエチレングリコールとの共重合体においては、実用上充分な親水性と接着強度を持たせることは単独では困難である。
これに対し、実施例に見られるように、上記2種類の共重合体を混合物すること又は共重合体に結晶性を持たない高分子量ポリ乳酸を混合することによつて、親水性を低下させることなく接着強度を飛躍的に向上させることが可能になる。
この方法により、該共重合体を成分とする、実用上充分な親水性、および接着強度を持つ、生体吸収性の接着剤および粘着材を提供することが可能となる。
Claims (6)
- ポリL−乳酸およびポリアルキレンエーテルのブロック共重合体(A)と、ポリD―乳酸およびポリアルキレンエーテルのブロック共重合体(B)の混合物よりなる生体吸収性接着剤および粘着材。
- ポリL−乳酸および/またはポリD−乳酸の光学純度が90%以上であることを特徴とする請求項1記載の生体吸収性接着剤および粘着材。
- 共重合体(A)と共重合体(B)の混合比が1:9〜9:1の範囲にある請求項1記載の生体吸収性接着剤および粘着材。
- 少なくとも1種類のポリ乳酸と、ポリアルキレンエーテルよりなるブロック共重合体(C)と、ポリ乳酸(D)の混合物(E)よりなる生体吸収性接着剤および粘着材。
- ポリ乳酸(D)の光学純度が0〜80%である請求項4記載の生体吸収性接着剤および粘着材。
- 混合物(E)に含まれるブロック共重合体(C)の比率が重量基準で10〜90%の範囲にある請求項4記載の生体吸収性接着剤および粘着材。
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