JP3702511B2 - 湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法 - Google Patents

湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿式排煙脱硫システムにおいて発生する排水から、主として塩素成分を固体として円滑に除去するための湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、発電用等の各種プラントにおける重油ボイラーや石炭ボイラーあるいは焼結プラントなどから排出される排ガスは、亜硫酸ガスやSO3 に加えて、煤塵や塩素成分等が含まれており、これらの成分を湿式排煙脱硫システムによって除去して無害化されたうえで大気に放出されている。
ここで、上記排ガスに含まれる亜硫酸ガス等の硫黄酸化物の除去に関しては、一般に上記湿式排煙脱硫システムの吸収塔において、上記排ガスと石灰石粉末を水に溶解または懸濁させた吸収液とを気液接触させて当該吸収液中に吸収し、これを酸化して最終的に石膏として析出させることにより、高い効率で除去する各種の方法が採られている。
これに対して、比較的微量な成分である塩素については、系内に蓄積されると装置を腐食させるために、これを防止するためにもっぱら当該システムにおいて塩素成分を捕捉した洗浄液や吸収液の一部を、排水として中和、空気酸化、沈殿分離等の処理を施した後に、系外へと排出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の湿式排煙脱硫システムにおける塩素成分の処理方法にあっては、上記塩酸の中和処理等に余分の水を消費することとなり、システムとして重要な水の確保に多大の負担を強いる一因になるとともに、上記湿式排煙脱硫システムの設置場所によっては、そもそも上記塩素成分の排出自体が厳格に規制されているところもあり、上記システムにおける塩素成分の円滑な除去・排出方法の開発が望まれていた。
そこで、このような塩素成分を含む排水の系外への排出を無くし、しかも回収水を系内の補給水として利用することにより、上記問題点を解決しようとする湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法が提案されている。
【0004】
図4および図5は、特開平2−298315号公報にみられる従来のこの種の排水の処理方法が適用された排煙脱硫システムを示すものである。
図4において、この排煙脱硫システムにおいては、排ガス流路1から送られてくる排ガスを乾式集塵機2に供給して、ここで煤塵3を除去し、ガスヒータ4において排熱を回収した後に、管路5を介して除塵塔6に送り、この除塵塔6において冷却液をポンプ7で循環させて上記排ガスと気液接触させ、当該排ガスを増湿冷却するとともに同伴した上記微量成分を捕集し、次いで上記排ガスを管路8を介して吸収塔9に供給し、ポンプ10により循環する石灰石粉末等を水に溶解または懸濁させた吸収液と気液接触させて排ガス中の亜硫酸ガスを吸収し、無害化された上記排ガスをガスヒータ11で加熱した後に、煙突から系外に排出するようにしたものである。
また、吸収した亜硫酸ガスがCaCO3 によって中和されることにより上記吸収液中に生成した亜硫酸カルシウムを含むスラリーは、ポンプ10から管路12を介して酸化塔13へ供給され、空気等によって酸化されて石膏スラリーとされた後に、固液分離機14において副成石膏15と母液とに分離され、得られた母液は、管路16を介して上記吸収液または冷却液の補給水として吸収塔9または除塵塔6へと戻されるようになっている。
【0005】
次いで、このような湿式排煙脱硫システムにおける、排ガス中の塩素成分等を捕集した冷却水(排水)の処理方法について説明すると、上記冷却水の一部は、管路17から中和槽18へと送られて消石灰19により中和され、CaCl2、MgCl2等の溶解塩類を含む中和スラリーとなって管路20から自己蒸気圧縮型濃縮装置21に供給されて濃縮される。
ここで、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置21は、図5に示すように、上記管路20から送られる中和スラリーを予熱器22に供給して、後述する凝縮水との熱交換によって予熱した後に、濃縮器本体23の上部に供給し、内部に水平多段に配設された蒸発管24の管外壁に接触させながら流下させる。
一方、濃縮器本体23の上部からは、中和スラリーの濃縮によって生成された蒸気が管路25を介して蒸気圧縮機26により圧縮・昇温されて凝縮器本体23に供給され、蒸発管24内を介して上方に流れることにより、外部を流下する上記中和スラリーを加熱して凝縮させる。
【0006】
このようにして濃縮された中和スラリーは、ポンプ27によって抜き出されて管路28から再び濃縮器本体23内へと循環され、5〜50倍まで濃縮されて濃縮スラリーとされた後に、管路29から図1に示すスプレードライヤ30へと供給され、ガスヒータ4の上流側から分岐して管路31から供給される排ガスによってそのスラリー分が蒸発され、上記濃縮スラリー中の塩類が乾燥粉体33として回収されるとともに、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置21における凝縮によって生成された凝縮水が、管路34から取り出されて上記除塵塔6に戻される。
【0007】
したがって、上記従来の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法によれば、排ガス中に含まれる塩素成分等を、系外に排出することなく乾燥粉体33として回収することができるとともに、排水からの回収水を、系内の冷却水への補給水として利用することができるといった利点がある。
【0008】
しかしながら、上記従来の排水の処理方法にあっては、自己蒸気圧縮型濃縮装置21において、濃縮スラリーの移送性が損われない限度において濃縮度を高めれば、これに対応して凝縮水の回収効率を向上させることができるものの、反面濃縮スラリー中のCaCl2、MgCl2等の溶解塩類の濃度が上昇し、これに伴って沸点が上昇するために、伝熱のための圧縮蒸気と中和スラリーの温度差が小さくなり、蒸気圧縮機の圧縮比を大きくとって圧縮蒸気の温度を上げなければならないので、蒸気圧縮機の所用動力費が大幅に増加するとともに、スラリー分を蒸発させるためのスプレードライヤ30の伝熱面積を大きくする必要があり、よってスプレードライヤ30およびフィルタ等の付帯設備を含めた装置全体の大型化を招いてしまうという問題点があった。
さらに、濃縮スラリー中において、例えばCaCl2 がCaCl2・5H2Oのように結晶化し、凝縮水とともに同伴して再び系内に戻ってしまうおそれもあった。
【0009】
本発明は、このような従来の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法が有する課題を有効に解決すべくなされたもので、装置の大型化を招来することなく、かつ排水中に含まれる塩素成分等の微量成分を、確実に固体として回収して排出することができる湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法は、排ガスを除塵塔等において冷却液と気液接触させて冷却するとともに洗浄し、次いで排ガスを吸収塔において吸収液と気液接触させて排ガス中の亜硫酸ガスを吸収して、これにより生成した吸収液石膏スラリーから石膏として回収する湿式排煙脱硫システムにおいて、上記冷却液および/または吸収液から取り出した塩素成分を含む排水を処理するに際して、先ず上記排水を、Ca成分を含む中和剤によって中和し、次いで得られた中和スラリーを自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮して当該排水中の塩素を含む溶解塩類を析出させた濃縮スラリーを得て、当該濃縮スラリーの一部を固液分離機に供給して固体を分離・排出することを特徴とするものである。
但し、この種の湿式排煙脱硫システムとしては、除塵塔を省略したシステムの場合もあるため、この場合には、上記排水は上記吸収液から固液分離された母液となる。また、上記冷却塔がある場合においても、上記吸収液から固液分離された母液を排水とすることもある。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した濃縮スラリーの一部を加熱し、次いで晶析器において上記溶解塩類を析出させて分離・排出することを特徴とするものであり、請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した上記濃縮スラリーの一部を加熱し、次いで晶析器において上記溶解塩類をさらに濃縮した後に、上記晶析器から濃縮液の一部を取り出して冷却することにより、上記溶解塩類を固体として固定化することを特徴とするものである。
さらに、請求項4に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明において、上記晶析器において溶解成分を析出させた後に、さらに固液分離機によって固体を分離・排出するとともに、上記固液分離機で分離された母液を、上記晶析器に戻すことを特徴とするものである。
【0012】
次いで、請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記固液分離機によって分離された母液、または上記晶析器において分離された母液を、自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給するとともに、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置で蒸発した水分を、上記冷却液および/または吸収液の補給水として戻すことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、請求項6に記載の発明は、上記吸収液の石膏スラリーの一部を石膏種晶として上記自己蒸気圧縮型濃縮装置の被加熱側に供給することを特徴とするものであり、他方請求項7に記載の発明は、予め上記排水に硫酸(H2SO4)を添加して、当該排水中のCaCO3 を石膏とし、これを中和した後に上記自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、上記請求項2ないし4のいずれかに記載の自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した濃縮スラリーの一部を、先ず第2の固液分離機により固体を分離し、得られた上記固体を種晶として上記自己蒸気圧縮型濃縮装置の被加熱側に供給するとともに、上記第2の固液分離機によって分離された液を加熱し、上記晶析器に送ることを特徴とするものである。
【0015】
請求項1または2に記載の発明にあっては、塩素(Cl)成分等を含む排水を、消石灰や生石灰等のCa成分を含む中和剤によって中和することにより、上記塩素成分を溶解塩として含む中和スラリーとし、次いでこれを自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮して上記溶解塩類を析出させた濃縮スラリーを得た後に、これを固液分離機または晶析器によって分離することにより、上記排水中の塩素成分等を固体として排出することができる。
ここで、特に請求項2に記載の発明において、自己蒸気圧縮型濃縮装置における濃縮度等の条件により、晶析器のみによっては溶解塩類の分離・排出が不充分な場合には、請求項3に記載の発明のように、濃縮液の一部を取り出して冷却することにより、上記溶解塩類を固体として固定化したり、あるいは請求項4に記載の発明のように、上記晶析器の後段にさらに固液分離機を配設することにより、当該固液分離機によって固体を分離・排出させればよい。
【0016】
したがって、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明によれば、上記排水中の塩素成分等を排水とともに流出させることなく、また固形化するに際してスプレードライヤ等の大型の設備を要することなく、確実に排水中から固体として分離して排出することが可能となる。
この際に、請求項5に記載の発明にように、上記固液分離機または晶析器において分離された母液を、自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給するとともに、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置で蒸発した清澄な凝縮水を、上記冷却液および/または吸収液に補給水として戻すようにすれば、上記排水中の水分を系内において円滑かつ有効に活用することが可能となり、システム全体の水バランス上有利となって好適である。
【0017】
なお、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置内においては、濃縮スラリー中に含まれるCaCO3の固体析出によるスケールングが発生し易い。この点、請求項6ないし8のいずれかに記載の発明によれば、上記吸収液中の石膏スラリーの一部、あるいは自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した濃縮スラリーの一部を第2の固液分離機により分離して得られた石膏等の固体を、それぞれ種晶として自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給することにより、または予め上記排水に硫酸を添加して、当該排水中のCaCO3 を石膏とし、これを中和した後に上記自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給することにより、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置内におけるスケーリングの発生を防止することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態1】
図1は、本発明に係る湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法の第1の実施形態を実施するためのシステムの要部を示す概略構成図であり、他の構成については図4に示したものと同様であるため、同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図1において、この湿式排煙脱硫システムにおいては、上記中和槽18から中和スラリーを導く管路20に沿って、それぞれ予熱器50およびガス分離機51が配設されており、このガス分離機51の後段に自己蒸気圧縮型濃縮装置52が配置されている。
この自己蒸気圧縮型濃縮装置52は、下部の濃縮液(中和スラリー)槽53と上部空間54とが上下方向に並列された複数本の濃縮管55…で連通されてなる被加熱側空間と、上記濃縮管55の外周側の加熱側空間56とに画成されたもので、上記濃縮液槽53に導入された中和スラリーが、ポンプ57によって管路58から上部空間54に供給されるようになっている。また、上記濃縮管55において中和スラリーの濃縮により生成された蒸気は、蒸気溜め59から管路60を介して蒸気圧縮機61により圧縮および昇温されて加熱側空間56に供給され、濃縮管55…を流下する上記中和スラリーを加熱して当該スラリー分を蒸発させることにより濃縮するようになっている。
【0019】
また、上記ポンプ57の吐出側には、枝配管62を介してこの自己蒸気圧縮型濃縮装置52において濃縮した濃縮スラリーの一部を固液分離するための固液分離機63が配設されており、さらにこの固液分離機63によって濃縮スラリーから分離された母液を溜める母液タンク64と、この母液タンク64内の母液を管路65から上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52に戻すポンプ66が配設されている。また、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52には、排煙脱硫装置から石膏スラリーの一部を石膏種晶として、図4に示す中和槽18に供給される。
他方、加熱側空間56の底部には、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52における凝縮によって生成された凝縮水を管路68を介して一時溜める凝縮水タンク69が配設され、内部の凝縮水がポンプ70により管路71から取り出され、上記予熱器50を経て排煙脱硫装置に戻されるようになっている。
【0020】
次に、以上の構成からなる湿式排煙脱硫システムを用いた本発明に係る排水の処理方法の第1の実施形態について説明する。
先ず、図4に示したように、上記冷却液から管路17を介して取り出した塩素成分を含む排水を中和槽18に送って、管路19から供給される消石灰により中和する。次いで、図1に示すように、得られた中和スラリーを管路20から予熱器50およびガス分離機51に順次送って、それぞれ加熱してガス分を取り除いた後に、自己蒸気圧縮型濃縮装置52の濃縮液槽53に供給し、下部からポンプ57によって抜き出して上部空間54から濃縮管55内を流下させる。
一方、上記濃縮管55の外周の加熱側空間56には、中和スラリーの濃縮によって生成された蒸気が蒸気圧縮機61により圧縮・昇温されて管路60から供給されて流れ、これにより濃縮管55内を流下する中和スラリーが加熱されてスラリー分が蒸発することにより濃縮される。
【0021】
そして、このようにして濃縮された中和スラリーが、上記ポンプ57によって抜き出されて管路58から再び上部空間54内へと循環されることにより、2〜50倍までさらに濃縮されて濃縮スラリーとされた後に、その一部が管路62から固液分離機63へと供給され、ここで固体72として分離・排出される。この際に、上記固液分離機63によって分離された母液は、一旦母液タンク64に蓄えられ、適宜ポンプ66によって抜き出されて、管路65から上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52の加熱側空間56へと供給される。
他方、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52における凝縮によって生成された清澄な凝縮水は、管路68から取り出されて一旦凝縮水タンク69に蓄えられ、ポンプ70により管路71を介して予熱器50において中和スラリーを加熱した後に、補給水として上記除塵塔6に戻される。
また、これと並行して、吸収液の石膏スラリーの一部が石膏種晶として図4に示す中和槽18に供給されて、被加熱側空間におけるスケーリングの発生が防止される。
【0022】
以上のように、上記湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法によれば、上記排水中に含まれる主として塩素成分を、従来のように排水とともに流出させることなく、また固形化するに際してスプレードライヤ等の大型の設備を要することなく、固液分離機63によって確実に固体として分離して排出することができる。
この際に、特に自己蒸気圧縮型濃縮装置52において上記濃縮スラリーの濃縮度を高めることにより、濃縮スラリー中のCaCl2、MgCl2等の溶解塩類の濃度が上昇し、これに伴って沸点が上昇しても、上記固液分離機63によって確実に固体に分離することができ、よって自己蒸気圧縮型濃縮装置52における凝縮水の回収効率を向上させることができるとともに、上記固液分離機63において分離された母液を、自己蒸気圧縮型濃縮装置52に供給し、かつ上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52で蒸発した清澄な凝縮水を、除塵搭6に補給水として戻しているので、上記排水中の水分を系内において有効に活用することができ、よって余分な水を必要とすることなくシステム全体の水バランスを円滑に保持することができる。
またこの際に、図4に示す中和槽18に、吸収液中の石膏スラリーの一部を種晶として供給しているので、濃縮スラリー中に含まれるCaCO3の固体析出によるスケールングの発生を防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態2】
図2は、本発明に係る排水の処理方法の第2の実施形態を実施するためのシステムの要部を示すもので、同様に図1および図4に示したものと同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図2において、この湿式排煙脱硫システムにおいては、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52において濃縮した上記濃縮スラリーの一部が、ポンプ57によって枝配管75から加熱器76に導かれ、後段に配設された晶析器77の大気脚78に供給されるようになっている。なお、上記加熱器76には、加熱源として蒸気86が導入されている。
【0024】
この晶析器77は、真空蒸発式の晶析器であり、上記大気脚78に送られた濃縮スラリーは上部の蒸発室においてスラリー分が真空蒸発して濃縮され、過飽和となって流下して内部の結晶成長槽79に送られ、結晶が成長して粒径が大きくなった後に、底部からポンプ80によって管路81から抜き出されるようになっている。そして、この管路81の下流側には、固液分離機82が配設されており、さらに分離されて得られた母液を貯留する母液タンク83と、この母液タンク83内の母液を管路84から上記加熱器76の上流側に戻すポンプ85とが配設されている。
他方、上記晶析器77には、この晶析器77において蒸発した蒸気(母液)を上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52の蒸気溜め59に供給する管路87が配管されている。
【0025】
次に、以上の構成からなる湿式排煙脱硫システムを用いた本発明に係る排水の処理方法の第2の実施形態について説明すると、上記第1の実施形態と同様にして自己蒸気圧縮型濃縮装置52において濃縮した濃縮スラリーの一部を管路75から加熱器76に送って蒸気86により加熱した後に、晶析器77に供給する。すると、この晶析器77の大気脚78上部の蒸発室において、スラリー分が真空蒸発することにより濃縮され、当該濃縮スラリーに含まれる溶解塩類が過飽和となって下部の結晶成長槽79に送られ、ここで結晶が成長した後に底部のポンプ80によって抜き出される。次いで、後段の固液分離機82によってさらに分離されて固体88として排出される。
他方、上記固液分離機82で分離された母液は、ポンプ85によって管路84を介して加熱器76の送られ、上記晶析器77に戻されるとともに、晶析器77において分離された蒸気(母液)は、管路87を介して上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52へと供給される。
【0026】
したがって、この第2の実施形態の排水の処理方法によっても、第1の実施形態に示したものと同様に、上記排水中に含まれる塩素成分等を、自己蒸気圧縮型濃縮装置52および晶析器77によって、固体として分離して排出することができる等の効果が得られる他、濃縮スラリー中の溶解塩類等を晶析器77によって析出させて分離しているので、自己蒸気圧縮型濃縮装置52において濃縮度が高められた濃縮スラリー中のCaCl2 が結晶化して凝縮水とともに再び系内に戻ることを防止して、確実に固体として分離・排出することができる。
【0027】
【発明の実施の形態3】
図3は、本発明に係る排水の処理方法の第3の実施形態を実施するためのシステムの要部を示すもので、この湿式排煙脱硫システムにおいては、図2に示したものに加えて、さらに濃縮スラリーを晶析器77へ供給する管路75の加熱器76の前段に、固液分離機(第2の固液分離機)90が介装されている。そして、この固液分離機90の底部には、当該固液分離機90で分離された石膏等の固体を種晶として自己蒸気圧縮型濃縮装置52の濃縮液槽53内へと供給するための流下管91が配設されている。
【0028】
上記システムを用いた第3の実施形態においては、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52において濃縮した濃縮スラリーの一部を、先ず固液分離機(第2の固液分離機)90によって石膏等を含む固体を分離し、得られた上記固体を種晶として流下管91から上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52の濃縮液槽53に供給することにより、当該自己蒸気圧縮型濃縮装置52内におけるスケーリングの発生が防止される。
そして、上記固液分離機90によって分離された液を加熱器76において加熱し、以下第2の実施形態と同様にして上記晶析器77に送り、スラリー分を蒸発させて分離するとともに、濃縮スラリーに含まれる溶解塩類を結晶化させた後に、後段の固液分離機82によってさらに固体を分離して排出する。
また同様に、上記固液分離機82で分離された母液は、ポンプ85によって管路84を介して加熱器76へ送られ、上記晶析器77に戻されるとともに、晶析器77において分離された蒸気(母液)は、管路87を介して上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52へと供給される。
【0029】
したがって、この排水の処理方法によれば、上記第2の実施形態と同様の作用効果が得られるうえ、さらに自己蒸気圧縮型濃縮装置52において濃縮した濃縮スラリーの一部を固液分離機90により分離して、得られた石膏等の固体を種晶として自己蒸気圧縮型濃縮装置52に供給しているので、当該石膏によって上記自己蒸気圧縮型濃縮装置52内におけるスケーリングの発生を防止することができる。
【0030】
なお、上記第2および第3の実施形態においては、晶析器77の後段に固液分離機82を配設した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、濃縮スラリー中の溶解塩類の濃度等の条件により、晶析器77のみによって充分に当該濃縮スラリー中の塩素成分等を分離・排出することができる場合には、上記固液分離機82は設置しなくてもよい。
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、図4に示す中和槽18に吸収液中の石膏スラリーの一部を種晶として供給することにより、濃縮スラリー中に含まれるCaCO3の固体析出によるスケールングの発生を防止するようにしたが、これに限るものではなく、予め、上記排水に硫酸を添加して、当該排水中のCaCO3 を石膏とし、これを中和した後に自己蒸気圧縮型濃縮装置52に供給することにより、上述したスケールングの発生を防止するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明によれば、上記排水中の塩素成分等を排水とともに流出させることなく、また固形化するに際してスプレードライヤ等の大型の設備を要することなく、確実に排水中から固体として分離して排出することが可能となり、さらに請求項5に記載の発明によれば、排水中の水分を系内において円滑かつ有効に活用することが可能になるとともに、さらに、請求項6ないし8のいずれかに記載の発明によれば、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置内における、濃縮スラリー中のCaCO3、石膏等の固体析出によるスケールングが発生を防止して、安定的な操業を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法の第1の実施形態を実施するためのシステムを示す要部の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を実施するためのシステムを示す要部の概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を実施するためのシステムを示す要部の概略構成図である。
【図4】従来の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法を実施するためのシステムを示す概略構成図である。
【図5】図4の自己蒸気圧縮型濃縮装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 排ガス流路
6 除塵搭
9 吸収搭
14 固液分離機
15 副成石膏
18 中和槽
52 自己蒸気圧縮型濃縮装置
53 濃縮液槽
54 上部空間
55 濃縮管(被加熱側)
56 加熱側空間
61 蒸気圧縮機
63、82 固液分離機
64、83 母液タンク
69 凝縮水タンク
76 加熱器
77 晶析器
90 固液分離機(第2の固液分離機)

Claims (8)

  1. 排ガスを吸収塔において吸収液と気液接触させて上記排ガス中の亜硫酸ガスを吸収して生成した吸収液石膏スラリーから石膏として回収する湿式排煙脱硫システムにおいて、上記吸収液から取り出した塩素成分を含む排水を処理する方法であって、
    先ず上記排水を、Ca成分を含む中和剤によって中和し、次いで得られた中和スラリーを自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮して当該排水中の塩素を含む溶解塩類を析出させた濃縮スラリーを得て、当該濃縮スラリーの一部を固液分離機に供給して固体を分離・排出することを特徴とする湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  2. 上記自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した上記濃縮スラリーの一部を加熱し、次いで晶析器において上記溶解塩類を析出させて分離・排出することを特徴とする請求項1に記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  3. 上記自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した上記濃縮スラリーの一部を加熱し、次いで晶析器において上記溶解塩類をさらに濃縮した後に、上記晶析器から濃縮液の一部を取り出して冷却することにより、上記溶解塩類を固体として固定化することを特徴とする請求項1に記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  4. 上記晶析器において溶解成分を析出させた後に、さらに固液分離機によって固体を分離・排出させるとともに、上記固液分離機で分離された母液を、上記晶析器に戻すことを特徴とする請求項2に記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  5. 上記固液分離機によって分離された母液、または上記晶析器において分離された母液を、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給するとともに、上記自己蒸気圧縮型濃縮装置で蒸発した水分を、上記冷却液および/または吸収液の補給水として戻すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  6. 上記吸収液の石膏スラリーの一部を石膏種晶として上記自己蒸気圧縮型濃縮装置の被加熱側に供給することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  7. 予め、上記排水に硫酸(H2SO4)を添加して、当該排水中のCaCO3 を石膏とし、これを中和した後に上記自己蒸気圧縮型濃縮装置に供給することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
  8. 上記自己蒸気圧縮型濃縮装置において濃縮した濃縮スラリーの一部を、先ず第2の固液分離機により固体を分離し、得られた上記固体を種晶として上記自己蒸気圧縮型濃縮装置の被加熱側に供給するとともに、上記第2の固液分離機によって分離された液を加熱し、上記晶析器に送ることを特徴とする請求項2または3に記載の湿式排煙脱硫システムにおける排水の処理方法。
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