JP3701502B2 - 芳香具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存中の香料の揮散率が低く、密封性が向上し、香りの強度変化がなく、適度な香りを短期間楽しめる芳香具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の芳香剤は、香りの持続目標期間が約1ヶ月に設定され、香りを持続させるべく揮発性の異なる多種の香料を配合しているため、使い始めには香りが強すぎるとともに、その後は香りの質の変化が大きい。
一方、揮発性の高い香料を多く含有する香料組成物は、香りが短期間に揮発するため、短期間使用する芳香剤に適しているが、保存中にも香料が揮散しやすく、特に、フィルム製容器にヒートシールで密封した場合には、デラミネーションを起こすなど、密封性が低下するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存中の香料の揮散率が低く、密封性が向上し、香りの強度変化がなく、適度な香りを短期間楽しめる芳香具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、揮発性の高い香料の配合量が多くても、特定の溶剤を特定の割合で併用すれば、前記課題を解決し、短期間用いるのに好適な芳香具が得られることを見出した。
【0005】
本発明は、20℃における蒸気圧が4Pa以上の香料を50〜100重量%含有する調合香料と、グリコール類、グリコールエーテル類及びパラフィン系炭化水素から選ばれる1種以上の溶剤とを、重量比10/1〜1/10で含有する液体香料組成物を、担体に含浸させて容器内部に密封してなり、前記液体香料組成物含浸させた担体を、フィルム製容器中に、ヒートシールにより密封してなる芳香具を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる液体香料組成物は、調合香料と溶剤とを含有する。
調合香料に配合される20℃における蒸気圧が4Pa以上の香料としては、通常の芳香剤等に用いられるものであれば特に制限されず、例えばエチルアセテート、イソアミルアセテート、エチルブチレート、オルトターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、n−ヘキサノール、リモネン、リナロール、シトラール、リナリルアセテート、アリルヘプタノエート、ベンジルアセテート、アルトール、l−メントン、エチルヘキサノエート、ヘキシルアセテート等が挙げられる。これらのうち、蒸気圧が6〜14000Pa、特に100〜14000Paの香料が好ましい。
【0007】
これらの香料は1種以上を用いることができ、調合香料中に50〜100重量%、特に60〜100重量%、更に70〜100重量%配合するのが好ましい。50重量%未満では、短期間に香りを揮散させることができない。
また、調合香料中には、他の香料成分を配合できる。
【0008】
本発明で用いる溶剤は、グリコール類、グリコールエーテル類及びパラフィン系炭化水素から選ばれるものである。グリコール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール等が挙げられ;グリコールエーテル類としては、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられ;パラフィン系炭化水素としては、例えばC818〜C2042で示されるもの等が挙げられる。
これらのうち、特にジプロピレングリコール、C1634を主成分とするイソパラフィン系炭化水素(例えばIP2028(出光化学社製)等)、C2042を主成分とするイソパラフィン系炭化水素(例えばIP2835(出光化学社製)等)が好ましい。
【0009】
これらの溶剤は、1種以上を用いることができ、前記調合香料との重量比が、10/1〜1/10、好ましくは1/1〜10/1となるように配合される。この範囲外では、保存中の香料の揮散を抑えることができない。
また、液体香料組成物中には、前記以外の成分、例えば植物ワックス、動物ワックス、界面活性剤、高級脂肪酸、シュガーエステル等を配合しても良い。
【0010】
本発明の芳香具は、前記液体香料組成物を、担体に含浸させて容器内部に密封して得られる。ここで、担体としては、例えばゼオライト、シリカゲル、素焼き等の無機多孔体又は粒体、セルロース、セルロース誘導体、紙、木材、アクリル酸ポリマー、多糖類ゲル等の有機多孔体、吸油高分子、吸水性高分子等が挙げられる。容器中に封入する液体香料組成物を含浸した担体の重量は、1〜10g、特に0.5〜2gが好ましい。
【0011】
特に、液体香料組成物を含浸させた担体を、フィルム製容器中に、ヒートシールにより密封するのが好ましい。
そして、本発明の芳香具は、使用時に開封することにより、香料成分を短期間で揮散させることができる。
【0012】
短期間の使用に適したコンパクトな形状とするには、担体としてろ紙等を用い、アルミラミネートフィルム等の可撓性シートからなるピロー袋に密封するのが好ましい。例えば、図1に示す芳香具10は、密封体として矩形状のピロー袋11の内部に、液体香料組成物を含浸した担体12を収容して構成される。
ピロー袋11は、可撓性シートからなる一対の矩形フィルム13の周縁部分14を密着接合してなり、これによって内部に密封された収容空間が形成される。周縁部は、ヒートシールにより密封するのが好ましい。
【0013】
ピロー袋11の前面側の矩形フィルム13には、その表面中央部分に、未接合部分の上端縁部から下端縁部に向かって平衡に延長する一対の引き剥がし案内溝15が設けられている。この引き剥がし案内溝15に挟まれる矩形フィルム13の上端縁部には、半円状の摘み片16が連結接合されていて、この摘み片16を摘んで下方に引き下げることにより、矩形フィルム13が案内溝15に添って引き剥がされて、ピロー袋11が開封されることになる。
【0014】
ピロー袋11の後面側の矩形フィルム13には、アクリル系、合成ゴム系、熱硬化性ゴム系等の接着剤を塗着でき(図示せず)、この接着剤を介して芳香具10を使用箇所に容易に貼着設置できる。なお、接着剤による接着力は、芳香具10の重量や設置面の材質等を鑑みて適宜設定され、設置面に取り付けた際に、落下することなく設置箇所に容易に保持され、接着面の剥がれが生じず、また接着剤の後残りが生じないように調整される。
【0015】
芳香具10は、使い捨て用の軽量の芳香具として、例えば自動車内やその他の狭い空間を短時間香ばしい香りの雰囲気にするのに好適である。すなわち、摘み片16を摘んで矩形フィルム13を引き剥がして密封体を開封し、1〜10cm2 程度の香料揮散開口17を形成した状態で、接着剤を覆う剥離紙を取り除き、この接着剤を介して、車内の座席シート(繊維面)やインスツルメンタルパネル部分(ポリ塩化ビニル面)等に貼着設置して使用する。
短期間の使用なので、芳香具10は1〜10g程度の軽量とするのが好ましく、接着剤の強度が弱くても良く、貼着個所を傷めない。
担体12に含浸された液体香料組成物は、揮散性に優れるため、適度な香りを伴いながら、香料揮散開口17を介して速やかに拡散する。
【0016】
【発明の効果】
本発明の芳香剤は、保存中の香料の揮散率が低く、密封性が向上し、香りの強度変化がなく、一定の香りが短期間持続するため、適度な香りを短期間楽しむのに好適である。
【0017】
【実施例】
実施例1
表2〜4に示す組成の液体香料組成物を、パルプろ紙(厚さ2mm、面積9cm2)に含浸させ、アルミラミネートフィルム製のピロー袋(縦5cm、横6cm;図1)中にヒートシールにより密封し、芳香具を製造した。得られた芳香具について、6ヶ月保存したときの香料の揮散率、デラミネーションの有無及び香りの強度変化を評価した。結果を表2〜4に併せて示す。なお、液体香料組成物に用いる調合香料は、表1に示す組成のものであり、カッコ内は20℃における蒸気圧を示す。また、表2及び3のピロー袋の材質は、12μmポリエチレンテレフタレート/7μmアルミ/30μmイージーピールポリプロピレンである。
【0018】
(評価方法)
(1)香料の揮散率:
芳香具を40℃で6ヶ月保存したとき、保存前後の重量を測定し、下記式により揮散率を求めた。
【0019】
【数1】
Figure 0003701502
【0020】
(2)デラミネーションの有無:
引き裂いて開封したときのフィルムの切断面を観察し、以下の基準で判定した。
無;多層フィルムの切断面が表層と内層ともに一緒に切れた状態で、切断面が一層に見える。
有;切断面が表層と内層の2層以上に見え、表層以外のシーラント層が切断面周辺に残っている状態、又はシーラント層がデラミネーションで剥がれていて切断すること自体が困難な状態。
【0021】
(3)香りの強度変化:
保存後と同様の芳香具を作成し、保存前後の両芳香具のつかみ片をつかみ、引き剥がし案内溝に沿って下方に引き下げ、ろ紙の揮散面を露出させ、香りの強度を比較した。強度変化のないものを「○」、強度変化がややあるものを「△」、強度が大きく変化しているものを「×」として示した。
【0022】
【表1】
Figure 0003701502
【0023】
【表2】
Figure 0003701502
【0024】
【表3】
Figure 0003701502
【0025】
【表4】
Figure 0003701502

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の芳香具の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 芳香具
11 ピロー袋(密封体)
12 担体
13 矩形フィルム(可撓性シート部材)
17 香料揮散開口

Claims (2)

  1. 20℃における蒸気圧が4Pa以上の香料を50〜100重量%含有する調合香料と、グリコール類、グリコールエーテル類及びパラフィン系炭化水素から選ばれる1種以上の溶剤とを、重量比10/1〜1/10で含有する液体香料組成物を、担体に含浸させて容器内部に密封してなり、前記液体香料組成物を含浸させた担体を、フィルム製容器中に、ヒートシールにより密封してなる芳香具。
  2. 前記調合香料は、エチルアセテート、イソアミルアセテート、エチルブチレート、オルトターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、n−ヘキサノール、リモネン、リナロール、シトラール、リナリルアセテート、アリルヘプタノエート、ベンジルアセテート、アルトール、l−メントン、エチルヘキサノエート及びヘキシルアセテートから選ばれる1種以上である請求項1に記載の芳香具。
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