JP3700212B2 - 二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気自動車用電源のように電気容量の大きな大型の電池に適用して好適な二次電池およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の円筒型でシート状電極を巻いて作る二次電池は図6のようになっており、巻き付け時には必ず中心部は大なり小なりのロール状電極の巻きつける為の巻き芯が必要である。
【0003】
電池内の熱伝導率はラジアル方向より円筒長さ方向のほうが良好なので、電池を大型化する時、放熱性を良くするにはラジアル方向のサイズを大きく出来ないので、細長い電池となる。
【0004】
その為、電池の巻き芯も細長くなる。電気容量が1〜5Ah程度の小型電池の場合は電極を巻付ける巻き芯も片持ち梁で達成出来る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の二次電池では、電気容量が10Ahを越えたり、長さ300mmを越える巻き芯では体積エネルギー密度を稼ぐ為には細くなる(例えばφ18mm以下)ので、片持ち梁では電極を巻き付けるのに有る程度シワが発生しないようにかける必要テンションがかけづらい。すなわち、巻かれた電極自身の重みでも片持ちの細い軸では軸がたわみ、軸心が出づらいという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、巻き芯の長い電池電極を両端支持で巻き取る構造にした時に巻きずれが起こるのを防止できるとともに、電池の圧壊時のつぶれに対する圧力を高くすることができる二次電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の二次電池は、帯状の正極電極、負極電極、セパレータを巻回した電極渦巻体および極柱を有する二次電池において、電極渦巻体が、少なくとも両端支持で巻き取るための巻き芯と、短冊状リード部を有してなり、短冊状リード部と極柱は溶接により接合されてなり、巻き芯が、中空部を有する円筒状の形状をなし、巻き芯の端部の少なくとも一方に動力軸に設けられた回転ストッパをはめ込むための溝を有するものである。
【0008】
また、本発明の二次電池は、正極電極、セパレータ、負極電極、セパレータに順に重ね、巻き芯に巻回されるに際し、電極渦巻体の巻き芯長さ方向の一側は正極電極の短冊状リード、他側は負極電極の短冊状リードとし、各々リードが集まるように短冊状リードの位置は反対側になるように巻回されている二次電池である。
【0009】
また、本発明の二次電池は、非水電解液二次電池である上述構成の二次電池である。
【0010】
また、本発明の二次電池は、リチウムイオン二次電池である上述構成の二次電池である。
【0011】
また、本発明の二次電池は、電気容量が10〜500Ahの大型電池である上述構成の二次電池である。
また、本発明の二次電池は、帯状の正極電極および負極電極は、活物質を塗布した塗布部分と塗布しない未塗布部分からなり、未塗布部分は所定寸法で短冊状にカットし、短冊状リードとする上述構成の二次電池である。
また、本発明の二次電池は、短冊状リード部は、極柱の円板状部分の外周部に沿って溶接されている上述構成の二次電池である。
また、本発明の二次電池は、帯状の正極電極、負極電極、およびセパレータを巻回した電極渦巻体を有する二次電池において、電極渦巻体が、両端支持で巻き取るための巻き芯を内蔵し、巻き芯がその一端に、押し当ての先端が入れられることにより押し当ての回転中心が巻き芯の軸心に保持されるための、中空部を有し、巻き芯がその他端に、動力軸の先端が入れられることにより動力軸の回転中心が巻き芯の軸心に保持されるための、中空部を有し、巻き芯がその他端に、動力軸の先端に設けられた回転ストッパがはめ込まれることにより動力軸からのトルクを上記巻き芯に伝達するための、溝を有する二次電池である。
また、本発明の二次電池は、巻き芯の長さが、354mm以上である上述構成の二次電池である。
また、本発明の二次電池の製造方法は、帯状の正極電極、負極電極、およびセパレータを巻き芯に巻回して電極渦巻体を作製する、二次電池の製造方法において、巻き芯の一端に設けられた中空部に押し当ての先端を入れ、押し当ての回転中心を上記巻き芯の軸心に保持し、巻き芯の他端に設けられた中空部に動力軸の先端が入れ、動力軸の回転中心を上記巻き芯の軸心に保持し、かつ巻き芯の他端に設けられた溝に動力軸の先端に設けられた回転ストッパをはめ込み、動力軸からのトルクを巻き芯に伝達する二次電池の製造方法である。
【0012】
本発明の二次電池によれば、巻き芯がその一端に溝を有する円筒であるので、巻き芯の長い電池電極を両端支持で巻き取る構造にした時、巻きずれが起こるのを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明二次電池の一実施例について図1〜図5を参照しながら説明する。
図1および図2は、それぞれ本例のリチウムイオン二次電池の要部の断面図および側面図を示すものである。また、図5は、本例のリチウムイオン二次電池の全体の構成を概略示すものである。
【0014】
本例においては、図5に示すように、円筒状の電池容器17に電極渦巻体35を収納してある。この電極渦巻体35は、図1に示すように、帯状の負極電極14と帯状の正極電極13とをセパレータ30を介して、巻き芯31に巻回したものである。
ここで、負極電極14の作製方法について説明する。
負極電極14の活物質は、出発原料として石油ピッチを用い、これを酸素を含む官能基を10〜20%導入(いわゆる酸素架橋)した後、不活性ガス気流中1000℃で熱処理して、ガラス状炭素に近い性質を持った炭素材料を得、この炭素材料を粉砕した平均粒径20μmの炭素材料粉末を使用する。
【0015】
この炭素材料粉末を90重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)10重量とを混合し、この混合物を溶剤N−メチルピロリドンに分散してスラリー状とし、このスラリー状の負極活物質を厚さ10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布して、厚さ180μmの負極電極原板を作製し、側部に負極電極のリード部となる未塗布部を残して、帯状にカットして形成する。負極電極14の形状は、幅が383mmであり、このうち塗布部分が348mmで、未塗布部分が35mmである。また、長さは6940mmである。
【0016】
正極電極13は次の方法により作製する。
すなわち、平均粒径15μmのLiCoO2 の粉末を91重量部と、導電剤としてグラファイトを6重量部と、結着材としてフッ化ビニリデンを3重量部とを混合し、この混合物を溶剤N−メチルピロリドンに分散してスラリー状とし、このスラリー状の正極活物質を厚さ20μmの帯状アルミ箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布して、厚さ150μmの正極電極原板を作製し、側部に正極電極のリード部となる未塗布部を残して、帯状にカットして形成する。正極電極の形状は、幅が379mmであり、このうち塗布部分が344mで、未塗布部分が35mmである。また、長さは7150mmである。
【0017】
上述のように作製した正極電極13および負極電極14のそれぞれの未塗布部は、巻き取り前に幅10mm、長さ30mmで、ピッチ15mmおきに短冊状にカットし短冊状リードとする。ここで、正極電極13および負極電極14の未塗布部は、上述の寸法で全長にわたりカットされる。
【0018】
ここで、短冊状リード11の長さは、電極端から、極柱10までの距離より長くなければならない。また、短冊状リード11の幅は、この短冊状リード11の総断面積が最大通電電流値を満足させるよう設定される。また、短冊状リード11の折れ曲がりを考えると幅は10mm以下であることが望ましい。
【0019】
図3は、本例の二次電池に用いる巻き芯31と、この巻き芯31に正極電極、負極電極、セパレータを巻回するときに用いる押し当て22および動力軸25を示すものである。
図3からわかるように、巻き芯31は中空部26を有する円筒状の形状をしている。この巻き芯31の寸法は、外径が17mm、内径が14mm、長さが354mmである。
【0020】
巻き芯31の図面右上には溝23が設けられている。この溝23に、後述する動力軸25に設けられた回転ストッパ(ピン)24をはめ込んで、動力軸25のトルクを巻き芯31に伝達する。
【0021】
巻き芯31の材質は、純アルミ、ステンレスなどの金属、PPなどの高分子化合物のほか種々のものを用いることができる。
【0022】
図3の図面左下には、押し当て22が示してある。この押し当て22は、その先端が円錐状の突起を持つ円柱形状をしている。この押し当て22は、巻き芯31に正極電極、負極電極、セパレータを巻回するときに、その円錐形状の部分を巻き芯31の図面左下の端面に現れた中空部26に入れて、巻き芯31の回転中心のブレを防止し、回転中心を巻き芯31の軸心に保持するものである。
【0023】
図3の図面右上には、動力軸25が示されている。
この動力軸25は、その先端が円錐形状をした円柱状の形状である。この動力軸25の先端の円錐形状の部分は、上述した押し当て22と同様に、その先端の円錐形状の部分を巻き芯31の図面右上の巻き芯31の中空部26にはめ込んで、巻き芯31の回転中心のブレを防止し、回転中心を巻き芯31の軸心に保持するものである。
【0024】
また、動力軸25の先端の円錐形状の部分の表面には、動力軸25の軸心に対して垂直の方向にその軸心を持つ回転ストッパ(ピン)24が設けられている。この回転ストッパ(ピン)24は、上述したように、巻き芯31に設けられた溝23にはまり込んで、動力軸25の先端の円錐形状の部分と巻き芯31の側面の接触部が空回りするのを防止し、動力軸25からのトルクを巻き芯31に伝達するものである。
【0025】
また、動力軸25は、動力源と直結しており、図面上に示した矢印の方向に回転する。この回転によるトルクは、上述のように、回転ストッパ(ピン)24、溝23を通じて巻き芯31に伝達される。
【0026】
図4に示すように、正極電極13、負極電極14、およびセパレータ30は、正極電極13・セパレータ30・負極電極14・セパレータ30の順に重ね、巻き芯31に巻回され、電極渦巻体35を形成する。このとき、この電極渦巻体35の一側は正極電極13の短冊状リード11、他側は負極電極14の短冊状リード11として各々リードが集まるように短冊状リード11の位置は反対側になるように巻いていく。
【0027】
巻き芯31に正極電極13、負極電極14、セパレータ30を巻き付ける際には、ある程度テンションをかけてシワの発生を防ぎながら巻き芯31に巻き付けるワインダーと呼ばれる機械を用いる。
【0028】
一定長さの正極電極13、負極電極14、セパレータ30をワインダーで巻取った後、カッターにて正極電極13、負極電極14、セパレータ30を切り離す。次に、押し当て22を解除する事により電極渦巻体35が出来上がる。
【0029】
なお、セパレータ30は、厚さ38μmで、353×7600mmの幅にカットされた、微少な孔が形成されているポリエチレンのシートである。
【0030】
このように、電極渦巻体35の巻き芯31の両側に短冊状リード11を取り出しているので、電極集電体で得られた電流を速やかに外部に取り出すことができる。また、この短冊状リード11は、細長い短冊の形状に形成されているため、その変形が容易であり、極柱10の円板状部分の外周部に沿って溶接することができる。
【0031】
以上のことから、本例によれば、巻き芯の長い電池電極を両端支持で巻き取る構造にした時、巻き芯自体に剛性がある為、巻きずれが起こるのを防止できる。
また、電池を移動体に搭載したとして、交通事故等の非常時に電池が圧壊するような力を受けた時、中心部に空洞が開いている場合に比べると、中心部の潰れに抗する力が強くなる為、圧壊時のつぶれに対する圧力が高くなる。
また、巻き芯は中空構造であるので、電池の軽量化を図ることができる。
また、電極渦巻体の正極電極、負極電極、およびセパレータのうち巻き芯に近い電極渦巻体の中心部付近の電極およびセパレータは、巻き芯がなければ電極渦巻体の中心部に向かってゆるもうとするが、巻き芯が存在するためにそのゆるみが阻止される。したがって、電極とセパレータはタイトに巻かれた状態を維持され、電池性能を劣化されることなく正常に維持することができる。
【0032】
正極電極13、負極電極14、およびセパレータ30を巻き芯31に巻き取った後、図1に示すように、短冊状リード部11は、極柱10の円板状部分の外周部の全周にわたって略均等に押さえ金具33により押さえつけられる。
なお、極柱10の材質は、正極電極は純アルミ(A1050)であり、負極は純銅(C1100)である。また、押さえ金具33の材質は、正極側は純アルミ(A1050)であり、負極側は純銅(C1100)である。
【0033】
短冊状リード部11を、極柱10の円板状部分の外周部へ押さえ金具33により押さえつけた後、短冊状リード11を極柱10の円板状部分の上部端面にてカットする。この後、極柱10の円板状部分の上面よりレーザーを照射し、円板状部分の全周にわたり溶接を行う。
【0034】
このように、電極集電体から出ている短冊状リード11と極柱10とは、溶接により、しかも広い面積で接合されているために、内部抵抗は低く、またばらつきも小さい。しかも大面積という点から、特に大電流放電特性に優れた電池が得られる。
【0035】
溶接された電極渦巻体35および極柱10は、バックアップリング51、シール8、セラミック突き当て6、キャップ(天板)1、リング50、およびセラミックワッシャ5を組み込み、ナット7で締め込まれる。
【0036】
この後、図1に示すように、キャップ1の外周を電池容器17の中に圧入するとともにレーザー溶接する。すなわち、キャップ1の上面よりその円周上にレーザーを照射し、溶接して密閉する。
このように、電池容器17のキャップ1をレーザーによって溶接を行うことにより、完全密閉構造の電池を得ることができる。
【0037】
なお、電池容器17の材質は、ステンレス鋼(SUS304)であり、その肉厚は0.3〜0.5mmの範囲である。また、キャップ1の材質は、同じくステンレス鋼(SUS304)であり、その肉厚3mmである。
【0038】
図1からわかるように、正極の極柱10の先端部の外側には、M14のおねじ(おねじ部15)が切られている。このおねじ部15には、ナット7が配置されている。このナット7を締め付けることにより、セラミックワッシャ5およびセラミック突き当て6の間にキャップ1を挟みつけて、極柱10自身がキャップ1に固定される。また、極柱10の円板状部分とキャップ1の間にシール8を挟みつけて内部の電解液が漏れないように密閉される。
【0039】
正極の極柱10にはその中心部分にM6のめねじ(めねじ部16)が切られている。このめねじ部16は、外部との結線を行うときに使用するものである。すなわち、このめねじ部16に、ボルト19を螺入することにより、極柱の先端部の端面とボルト19の頭部との間にブスバーまたは導線を挟みつけて接続固定する。
【0040】
なお、図1に示すように、巻き芯31と極柱10との間は、ポリプロピレン(PP)製の絶縁カラー12によって絶縁される。
【0041】
図1および図2に示すように、セラミックワッシャ5は、その中心に円形の孔を持つ円板の形状をしており、ナット7とキャップ1との間に挟み込まれている。このセラミックワッシャ5の材質はアルミナ(Al2 3 )である。
【0042】
このセラミックワッシャ5の目的は、極柱10とキャップ1とを絶縁することにあるが、その材質が上述の通りアルミナであるので、絶縁性を確保することができる。
【0043】
また、極柱10は、ナット7を締め付けることによりキャップ1に固定されているので、セラミックワッシャ5は、この締結力、すなわち圧縮力に十分耐える剛性がなければならない。この点においても、セラミックワッシャ5の材質がアルミナであるので、ナット7による圧縮力に十分耐えることができる。さらに、材質がアルミナであることから、締結後長期間経過してもその形状が変化しないので、強い締結力を維持することができる。
また、アルミナは、温度変化に対してもその剛性が変化しないので、広い範囲で温度が変化してもその締結力を維持することができる。
【0044】
またさらに、アルミナは剛性が非常に高いので、ナット7をより強く締め付けることができる。その結果、大きな締結力を得ることができ、車載運用で発生する振動にも経時的にナット7がゆるんだりせず、十分なシールが得られるので、非水電解液が漏れたりすることを防止できる密閉性を保持できる。
【0045】
セラミックワッシャ5とセラミック突き当て6との間で、かつ、キャップ1の内側と極柱10の外側の間には、リング50が配置されている。このリング50は、その断面形状が長方形のリングであり、PPなどの高分子材料からなっている。このリング50は、ナット7を締め付けることにより極柱10をキャップ1に固定するときに、極柱10の中心軸を電池の長手方向の中心軸に保持させるために用いるものである。
【0046】
キャップ1の内側の面と極柱10の円板状部分の間には、セラミック突き当て6が挟みつけられている。このセラミック突き当て6は、セラミックワッシャ5と同様に、その中心に円形の孔を持つ円板の形状をしており、その材質はアルミナ(Al2 3 )である。
【0047】
このセラミック突き当て6は、セラミックワッシャ5と同様に、極柱10とキャップ1との絶縁性を確保している。
また、セラミック突き当て6はナット7による圧縮力に十分耐えることができる。さらに、締結後長期間経過しても強い締結力を維持することができる。
また、セラミック突き当て6は、広い範囲で温度が変化してもその締結力を維持することができる。
またさらに、セラミック突き当て6は、大きな締結力を得ることができ、車載運用で発生する振動にも経時的にナット7がゆるんだりせず、十分なシールが得られるので、非水電解液が漏れたりするのを防止できる。
【0048】
このほか、セラミック突き当て6は、その外周の寸法をシール8の弾性変形がある程度以上起こらない位置に設定することにより、シール8の大きな弾性変形を阻止し、その結果として、シール8の極柱10の軸方向の反発力を増大させることができる。このようにして、セラミック突き当て6を配置することにより、シール8のシール力を十分な大きさまで増大させることができる。
【0049】
シール8の外周には、シール8に接する位置にバックアップリング51が配置されている。このバックアップリング51はPPからなるものである。
このバックアップリング51により、シール8が電池内に存在する非水電解液に触れ、膨潤して変形したときに、その変形を阻止してシール8の極柱10の軸方向の反発力が低下するのを防止することができる。
【0050】
図1および図2に示すように、キャップ1の中心から外れた位置には、開放弁9が設置してある。開放弁9は、キャップ1に設けられた孔にねじ込み式で固定されている。
この開放弁9は、電池容器の内部の圧力が上昇したときに内部のガスを外部に放出するためのものである。
【0051】
開放弁9の中に配置された弁は、バネにより電池の内側に押しつけられ、電池内部の液密を図っている。
【0052】
何かの原因で、電池内部の圧力が上昇すると、開放弁9の中の弁が電池の外側に押しつけられる。この結果電池内部のガスは、弁の移動により生じた隙間を通じて、開放弁9の側面に設けられた孔を通して外部に放出される。この開放弁9の設置により電池内部の圧力が上昇しても、ある一定以上の圧力になることを防止することができる。
【0053】
図1に示すように、キャップ1の中心より外れた位置に、電解液注入口32が設けてある。この電解液注入口32は電池構造体の組立後に、電解液を電池内部に注入するのに用いられる。
【0054】
また、図1および図2に示すように、キャップ1の中心より外れた電解液注入口の位置に、メクラ栓4が配置してある。このメクラ栓4は、電解液注入口32にメタルシール2を介してねじ込み式で締められ、電池容器を密閉する。
【0055】
また、メクラ栓4の頭部とキャップ1の表面との間には、メタルシール2が挟みつけられている。このメタルシール2はその断面形状が長方形のリングであり、その材質は純アルミよりなるものである。
【0056】
一方、メタルシール2に接する金属部分は電池のキャップ1とメクラ栓4の頭部であり、これらはステンレス鋼(SUS304)で作製してある。
【0057】
なお、ステンレス鋼と純アルミの2種類の金属を接触させて、本例の電池の非水電解液に触れさせても、純アルミの腐食は進まないことが確認されている。
【0058】
このように、純アルミからなるメタルシールを用いることにより、たとえばゴム材などの高分子材料からなるシールに比べ、外部とのガスや水分の透過性・通過性を低く抑えることができ、電池の寿命を長くすることができる。
また、純アルミは高分子材料に比べ寿命が長いので、純アルミからなるメタルシールをメクラ栓のシールに使用すれば半永久的に使用することができ、シールの交換の必要がなくなる。
また、図1に示すように、上述した開放弁9のシールにも純アルミからなるメタルシールを使用することができる。
【0059】
なお以下に、電池容器内への非水電解液の注入方法について説明する。
まず、注入アタッチメントを電解液注入口32にねじ込んで固定する。これにより、電解液(EL)タンク内に貯蔵してある非水電解液と電池容器とがパイプを通して連結される。この電解液タンク内の非水電解液の液面より高い空間の部分は、切り替えバルブを介して、真空ポンプと連結されている。
【0060】
なお、本例に使用する電解液は、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒の中にLiPF6 を1モル/lの割合で溶解して形成したものである。
【0061】
次に、真空ポンプを作動させる。真空ポンプが作動すると、電池内部の空気が電池容器の外に放出され、電池容器の内部が大気圧に比べて負圧になる。
【0062】
次に、真空ポンプと電解液タンクとの間にある切り替えバルブを切り替えて、電解液タンクの液面を大気に開放する。すると、タンク内の圧力が電池容器内より高くなるので、タンク内の非水電解液が押し出されて電池容器内に浸入する。
【0063】
上述した工程を何度か繰り返すことにより、電池容器内に所定の非水電解液を注入することができる。
【0064】
非水電解液の注入後は、電池容器から電解液が電池外部に出ていかないようにシールする必要がある。そのため、電解液注入口32にメタルシール2を介してメクラ栓4をねじ込み式で締め、電池容器を密閉する。
【0065】
なお、本発明は上述の実施例に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、巻き芯の長い電池電極を両端支持で巻き取る構造にした時、巻きずれが起こるのを防止できる。
また、中心部に空洞が開いている場合に比べると、中心部の潰れに抗する力が強くなる為、圧壊時のつぶれに対する圧力が高くなる。
また、巻き芯は中空構造であるので、電池の軽量化を図ることができる。
また、電極渦巻体の正極電極、負極電極、およびセパレータのうち電極渦巻体の中心部付近の電極およびセパレータは、巻き芯が存在するためにそのゆるみが阻止される。したがって、電極とセパレータはタイトに巻かれた状態を維持され、電池性能を劣化されることなく正常に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二次電池の一実施例の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の二次電池の一実施例の要部を示す側面図である。
【図3】本発明二次電池に用いる巻き芯を示す斜視図である。
【図4】二次電池の正極電極および負極電極の巻取り方法を示す斜視図である。
【図5】本発明の二次電池の一実施例の全体を示す断面図である。
【図6】従来の二次電池の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 キャップ(天板)
2、3 メタルシール
4 メクラ栓
5 セラミックワッシャ
6 セラミック付き当て
7 ナット
8 シール
9 開放弁
10 極柱
11 短冊状リード
12 絶縁カラー
13 正極電極
14 負極電極
15 おねじ部
16 めねじ部
17 電池容器
18 プラスマーク
19 ボルト
22 押し当て
23 溝
24 回転ストッパ(ピン)
25 動力軸
26 中空部
31 巻き芯
32 電解液注入口
33 押さえ金具
35 電極渦巻体
50 リング
51 バックアップリング

Claims (10)

  1. 帯状の正極電極、負極電極、セパレータを巻回した電極渦巻体および極柱を有する二次電池において、
    上記電極渦巻体は、少なくとも両端支持で巻き取るための巻き芯と、短冊状リード部を有してなり、
    上記短冊状リード部と極柱は溶接により接合されてなり、
    上記巻き芯は、中空部を有する円筒状の形状をなし、該巻き芯の端部の少なくとも一方に動力軸に設けられた回転ストッパをはめ込むための溝を有することを特徴とする二次電池。
  2. 正極電極、セパレータ、負極電極、セパレータに順に重ね、巻き芯に巻回されるに際し、
    上記電極渦巻体の巻き芯長さ方向の一側は正極電極の短冊状リード、他側は負極電極の短冊状リードとし、該各々リードが集まるように短冊状リードの位置は反対側になるように巻回されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  3. 非水電解液二次電池であることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  4. リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  5. 電気容量が10〜500Ahの大型電池であることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  6. 上記帯状の正極電極および負極電極は、活物質を塗布した塗布部分と塗布しない未塗布部分からなり、
    上記未塗布部分は所定寸法で短冊状にカットし、短冊状リードとすることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  7. 上記短冊状リード部は、上記極柱の円板状部分の外周部に沿って溶接されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  8. 帯状の正極電極、負極電極、およびセパレータを巻回した電極渦巻体を有する二次電池において、
    上記電極渦巻体は、両端支持で巻き取るための巻き芯を内蔵し、
    上記巻き芯はその一端に、押し当ての先端が入れられることにより押し当ての回転中心が上記巻き芯の軸心に保持されるための、中空部を有し、
    上記巻き芯はその他端に、動力軸の先端が入れられることにより動力軸の回転中心が上記巻き芯の軸心に保持されるための、中空部を有し、
    上記巻き芯はその他端に、上記動力軸の先端に設けられた回転ストッパがはめ込まれることにより上記動力軸からのトルクを上記巻き芯に伝達するための、溝を有することを特徴とする二次電池。
  9. 巻き芯の長さが、354mm以上であることを特徴とする請求項8記載の二次電池。
  10. 帯状の正極電極、負極電極、およびセパレータを巻き芯に巻回して電極渦巻体を作製する、二次電池の製造方法において、
    上記巻き芯の一端に設けられた中空部に押し当ての先端を入れ、押し当ての回転中心を上記巻き芯の軸心に保持し、
    上記巻き芯の他端に設けられた中空部に動力軸の先端が入れ、動力軸の回転中心を上記巻き芯の軸心に保持し、かつ
    上記巻き芯の他端に設けられた溝に上記動力軸の先端に設けられた回転ストッパをはめ込み、上記動力軸からのトルクを上記巻き芯に伝達することを特徴とする二次電池の製造方法。
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