JP3700078B2 - 面状照明装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、看板や各種反射型表示装置等の照明手段に用いられる面状照明装置に関するものであり、特に、液晶表示装置の照明手段として用いられるものである。
【０００２】
【従来の技術】
低消費電力で動作する液晶表示装置は、薄型、軽量等の特徴があるので、主にコンピュータ用途を中心とした表示装置としての需要が増大している。液晶表示装置の構成部材である液晶は、自ら発光しないため、ブラウン管等の発光型素子と異なり、画像を観察するための照明手段が必要である。特に、近年の薄型化の要求の中では、液晶表示装置を照射するための照明手段として、薄板状のサイドライト方式（導光板方式）の面状照明装置を使用することが多い。
【０００３】
このようなサイドライト方式の面状照明装置の一例として本願発明者が特開平１１−２４２２２２号公報で提案したものがある。この面状照明装置１は、図３及び図４に示すように、反射型液晶素子５１の観察面Ｆを覆うように配置され、ほぼ矩形の透明基板２の一側端面３ａに沿って所定距離おいて光源ランプ５２を配置している。
【０００４】
透明基板２の表面１１ａには、光反射パターン１２が形成されており、光源ランプ５２からの距離に左右されることなく透明基板２の何れの位置においても明るさがほぼ均一になるようにしている。光反射パターン１２は、断面形状ほぼ三角形の多数の溝部１３及び溝部１３に隣接する平坦部１４とで構成される。
【０００５】
溝部１３は、光源ランプ５２に近い（一側端面３ａに近い）側（図４の左側）の傾斜面（以下、第１傾斜面という）３０と、一側端面３ａに対向する側端面（他側端面）３ｂに近い側（図４の右側）の傾斜面（以下、第２傾斜面という）４０とから構成されている。
平坦部１４は、透明基板２の裏面１１ｂと平行にされており、裏面１１ｂに対する第１傾斜面３０の上縁部３１の高さ及び第２傾斜面４０の上縁部４１の高さは同等とされている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、図４に示すように、光源ランプ５２から出射して第１傾斜面１３に進行する光線６０の一部が、漏れ光Ｍとして第１傾斜面３０から透明基板２の外部に漏れてしまい、照明に関与しないことが起こり得る。透明基板２に入射する光量に対する前記漏れ光Ｍの割合は１０〜２０％であり、照明効率が大きく低下する要因になっている。また、上述したように漏れ光が発生することに伴い、表示面のコントラストの低下の原因にもなっている。
【０００７】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、漏れ光の発生を抑制できる面状照明装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、反射型液晶素子の観察面を覆うように、透光性材料からなる透明基板を配置し、該透明基板の一側端面付近に直線状の光源を配置し、前記透明基板における前記反射型液晶素子に対向する裏面部の反対側の面部である観察面に、断面形状ほぼ三角形で前記光源の軸方向と平行に延び、前記一側端面側から前記一側端面に対向する他側端面側に向けて多数条形成される溝部と、当該多数条の溝部間に平面状に形成される平坦部とからなる光反射パターンを設けたフロントライト型の面状照明装置において、前記多数条の各溝部を構成する前記一側端面側の第１傾斜面及び前記他側端面側の第２傾斜面に関して、前記各溝部の第１傾斜面の上縁部を結んで構成される仮想基準平面に比して、第２傾斜面の上縁部の高さを高レベルに設定すると共に、前記平坦部は、前記一側端面から前記他側端面に向かって前記透明基板の裏面部に向けて傾斜していることを特徴とする。
【０００９】
請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の面状照明装置において、第２傾斜面の上縁部の前記溝部の底部に対する高さ寸法は、第１傾斜面の上縁部の前記溝部の底部に対する高さ寸法の２倍以下であることを特徴とする。
請求項３に記載の発明は、請求項１又は２に記載の面状照明装置において、透明基板は、一側端面から他側端面の間で全体として板厚が同等であることを特徴とする。
請求項４に記載の発明は、請求項１又は２に記載の面状照明装置において、透明基板は、一側端面から遠ざかるにしたがって、その板厚が徐々に薄くなる楔形に形成したことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の第１実施の形態に係る面状照明装置１Ａを図１及び図２に基づいて説明する。なお、図３及び図４と同等の部分、部材については同一の符号を付し、その説明は、適宜、省略する。
【００１１】
この面状照明装置１Ａは、透光性材料からなるほぼ矩形の透明基板２の一側端面３ａに近接させて長手状の光源４を配置して大略構成されており、例えば反射型液晶素子（図示省略）の観察面を覆うように配置され、その補助照明として用いられるようになっている。
【００１２】
透明基板２は、一側端面３ａからこれに対向する他側端面３ｂの間で全体として板厚が同等とされている。
透明基板２における面積の大きい面部のうち一方（図１上側）の面部（観察面。以下、表面という。）１１ａには、光反射パターン１２Ａが形成されている。なお、透明基板２における表面１１ａに対向する面部（図１下側の面部）を、以下、裏面１１ｂという。
【００１３】
光反射パターン１２Ａは、断面形状ほぼ三角形の多数条の溝部１３Ａ及び溝部１３Ａに隣接する平面状の平坦部１４Ａとで構成され、導光体５からの距離に左右されることなく透明基板２の何れの位置においても明るさがほぼ均一になるようにしている。透明基板２に形成される光反射パターン１２Ａの溝部１３Ａは、非常に微細であるため、画面の観察においては目視で確認することは困難である。
【００１４】
前記溝部１３Ａは、導光体５の軸方向と平行に延び、一側端面３ａ側から他側端面３ｂ側に向けて多数条、形成されている。
前記断面形状ほぼ三角形の溝部１３Ａは、一側端面３ａ側の傾斜面（第１傾斜面）３０と、第１傾斜面３０とともに断面視ほぼＶ字形をなす他側端面３ｂ側の傾斜面（第２傾斜面）４０とからなり、第１傾斜面３０及び第２傾斜面４０の合わせ部が溝部１３Ａの底部１３ｄをなしている。
【００１５】
第１傾斜面３０の上縁部３１の後述する仮想基準平面Ｓに対する高さに比して、第２傾斜面４０の上縁部４１の仮想基準平面Ｓに対する高さを高レベルになるように設定している。この際、第２傾斜面４０の上縁部４１から第１傾斜面３０の上縁部３１の間の部分が平面状になるように（段差や凹凸を有さず、かつ湾曲せずに）平坦部１４Ａを形成し、これにより、平坦部１４Ａが前記一側端面３ａから前記他側端面３ｂに向けて下がる方向に傾斜したものになっている。
本実施の形態では、前記仮想基準平面Ｓは、複数の第１傾斜面３０の上縁部３１を結ぶ面により構成されている。この場合、上縁部３１は仮想基準平面Ｓに含まれており、第１傾斜面３０の上縁部３１の仮想基準平面Ｓに対する高さは、高さ０であり、上述した「第１傾斜面３０の上縁部３１の後述する仮想基準平面Ｓに対する高さに比して、第２傾斜面４０の上縁部４１の仮想基準平面Ｓに対する高さを高レベルになる」は、「第１傾斜面３０の上縁部３１に対して第２傾斜面４０の上縁部４１を高レベルにする」に相当する。なお、本実施の形態では、仮想基準平面が複数の第１傾斜面３０の上縁部３１を結ぶ面により構成される仮想基準平面Ｓである場合を例にしたが、これに代えて仮想基準平面を透明基板２の裏面１１ｂとしてもよい。
第２傾斜面４０の上縁部４１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ2は、第１傾斜面３０の上縁部３１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ1の２倍以下とされている。
【００１６】
また、平坦部１４Ａの仮想基準平面Ｓに対する傾斜角度αは５°以下であり、前記第１傾斜面３０の傾斜角度βは３５°〜５５°であり、前記第２傾斜面４０の傾斜角度γは７０°以上とされている。
【００１７】
光源４は、透明基板２の一側端面３ａに沿って近接配置される透明材料からなる直線状の導光体５と、導光体５の一端部５ａに対面して配置される発光ダイオードからなる点状光源６と、から大略構成されている。導光体５の他端部５ｂに対面して光反射板７が配置されている。
光反射板７は白色（散乱白色発泡タイプ）反射板又は金属蒸着フィルム等からなる反射板が用いられている。なお、上記光反射板７に代えて、導光体５の他端部５ｂの表面に、直接的に金属（銀、アルミニウム等）を蒸着し、金属層を形成したもの、白色の塗料を塗布し、塗料層を形成したもの等を用いるようにしてもよい。
【００１８】
また、導光体５における導光体第１面５ｃ（導光体の透明基板に対向する面）以外の長手方向周囲（導光体第２面５ｄ、導光体第３面５ｅ及び導光体第４面５ｆ）を覆い、かつ透明基板２の一側端面３ａ側の部分（以下、透明基板基部という。）８まで延びる略コ字形のフレーム１５が設けられている。
【００１９】
導光体５の導光体第２面５ｄには光路変換手段１６が設けられている。光路変換手段１６は、断面形状が略三角形の溝部１６ａと、該溝部１６ａの間に形成される平坦部１６ｂとから構成されている。
そして、導光体５内部を進行し導光体第２面５ｄで反射する光線は、溝部１６ａで反射される場合には、溝部１６ａを形成する傾斜面（図示省略）によって導光体第１面５ｃにほぼ垂直に進行しやすく、平坦部１６ｂで反射する場合と比較して、導光体第１面５ｃを透過して結果的に透明基板２内へ進行する光量が多くなる。したがって、平坦部１６ｂの幅（占有面積）に対する溝部１６ａの幅（占有面積）の比率は、導光体５の一端部５ａから遠ざかるに従って徐々に大きくなるように設定されている。このとき、点状光源６からの距離および溝部１６ａの占有面積のバランスを考慮して形成することにより、点状光源６が一端部５ａに配置されているにも関わらず、光線は導光体第１面５ｃにおいて均一に放射される。
【００２０】
上述のように溝部１６ａおよび平坦部１６ｂの占有面積の比率を具体的に変化させるために、本実施の形態の光路変換手段１６は、一の溝部１６ａと隣接する溝部１６ａとの間隔（ピッチ）を一定にして、溝部１６ａの切り込み深さが、点状光源６から遠ざかるにしたがって徐々に大きくなるように設定している。なお、図示しないが、溝部１６ａの切り込み深さは一定にして、溝部１６ａを形成する間隔（ピッチ）を徐々に狭くなるように形成して、溝部１６ａおよび平坦部１６ｂの占有面積の比率を変化させるようにしてもよい。
【００２１】
フレーム１５は、アルミ、ステンレス等の金属（例えばSUS304）などの剛性を有する材料で作製され、所定の肉厚寸法（例えば板厚０．１ｍｍ）に設定されている。フレーム１５は、その内側に鏡面加工が施されており光反射機能を有するものになっている。
【００２２】
上述したように構成した本実施の形態によれば、第１傾斜面３０の上縁部３１の仮想基準平面Ｓに対する高さに比して第２傾斜面４０の上縁部４１の仮想基準平面Ｓに対する高さは高レベルになるように設定している。このため、光源４から出射して第１傾斜面３０に進行した光線６０は、仮に外部に出ても第２傾斜面４０における第１傾斜面３０より高レベルの領域で捕捉されやすくなる。このため、従来技術においては漏れ光となってしまった光が、第２傾斜面４０に再度入射して、照明に関与することとなり、その分、照明効率の向上を図ることができる。
【００２３】
また、上述したように第２傾斜面４０の上縁部４１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ2を、第１傾斜面３０の上縁部３１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ1の２倍以下にしたのは、次の（１）、（２）に基づくものである。
（１）本願発明者の実験などにより、前記高さ寸法ｈ2を高さ寸法ｈ1の２倍を超える値にしても、前記照明効率はほとんど向上しないという検証結果を得た。
（２）高さ寸法ｈ2を高さ寸法ｈ1の２倍を超える値にすると、透明基板２の加工上、問題を生じやすい。
【００２４】
また、傾斜角度αを５°以下としたのは、傾斜角度αを５°を越える値とした場合には、光源４の反対側（他側端面１１ｂ）に到達する光線が少なくなり、透明基板２によるほぼ均一の明るさの確保が困難になり、このようなことになるのを回避するためである。
【００２５】
また、傾斜角度βを３５°〜５５°とし、傾斜角度γを７０°以上としたのは、このように設定して本願発明者が実験を行なったところ、良好な照明効率を得ることを確認できたためである。
【００２６】
上記実施の形態では、透明基板２として、一側端面３ａからこれに対向する他側端面３ｂの間で全体として板厚が同等とされているものを例にしたが、透明基板２として、一側端面３ａから遠ざかるにしたがって、その板厚が徐々に薄くなる、いわゆる楔形に形成されているものを用いるようにしてもよい。この場合、上記実施の形態と同様に、仮想基準平面を第１傾斜面の上縁部を結ぶ面として前記傾斜角度α、β、γを定めると共に、第１傾斜面の上縁部の高さ（仮想基準平面に対する高さ）に比して第２傾斜面の上縁部の高さ（仮想基準平面に対する高さ）を高レベルに定めるようにする。
【００２７】
上記実施の形態では、点状光源６を１個設けた場合を例にしたが、２個以上を設けるように構成してもよい。
また、点状光源６を導光体５の一端部５ａに対面させ、導光体５の他端部５ｂに対面して光反射板７を設けた場合を例にしたが、光反射板７に代えて点状光源を設けるように構成してもよい。又、光源として蛍光管を使用してもよい。
【００２８】
導光体５の素材は、光を効率よく通過させる物質であれば良く、その透光性・加工性からアクリル樹脂が最も適している。なお、これに代えて、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂等の各種熱可塑性の透明樹脂等も使用可能である。また、エポキシ樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂等の熱硬化性透明樹脂や各種ガラス材料等の無機透明材料も場合によっては適用可能である。
【００２９】
導光体５の作製方法は、切削、研削加工との直接的な機械加工、又は、キャスト法、熱加圧成形法、押出し成形法、射出成形法等の各種成形法が適用可能であるが、生産性の点からは樹脂材料を用いた射出成形法が最も適している。
【００３０】
導光体５に形成される光路変換手段１６は、本実施の形態においては、導光体第２面５ｄにのみ形成される構成としたが、導光体第２面５ｄに形成すると共に、導光体第２面５ｄ以外の他面にも形成し、より広範囲にわたる光路変換手段１６を形成することも可能である。
【００３１】
【発明の効果】
本発明によれば、各溝部の第１傾斜面の上縁部を結んで構成される仮想基準平面に比して、第２傾斜面の上縁部の高さを高レベルに設定しており、光源から出射して第１傾斜面に進行した光線は、仮に外部に出ても第２傾斜面における第１傾斜面より高レベルの領域で捕捉されやすくなる。このため、従来技術においては漏れ光となってしまった光が、再度第２傾斜面に入射して、照明に関与することとなり、その分、照明効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施の形態に係る面状照明装置を示す分解斜視図である。
【図２】図１の透明基板及び光路を模式的に示す図である。
【図３】従来の面状照明装置の一例を示す断面図である。
【図４】図３の透明基板における光線の進行状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
１Ａ 面状照明装置
２ 透明基板
３ 一側端面
４ 光源
１３Ａ 溝部
１４Ａ 平坦部
３０ 第１傾斜面
３１ 上縁部
４０ 第２傾斜面
４１ 上縁部
Ｓ 仮想基準平面（第１傾斜面の上縁部を結ぶ面）
【発明の属する技術分野】
本発明は、看板や各種反射型表示装置等の照明手段に用いられる面状照明装置に関するものであり、特に、液晶表示装置の照明手段として用いられるものである。
【０００２】
【従来の技術】
低消費電力で動作する液晶表示装置は、薄型、軽量等の特徴があるので、主にコンピュータ用途を中心とした表示装置としての需要が増大している。液晶表示装置の構成部材である液晶は、自ら発光しないため、ブラウン管等の発光型素子と異なり、画像を観察するための照明手段が必要である。特に、近年の薄型化の要求の中では、液晶表示装置を照射するための照明手段として、薄板状のサイドライト方式（導光板方式）の面状照明装置を使用することが多い。
【０００３】
このようなサイドライト方式の面状照明装置の一例として本願発明者が特開平１１−２４２２２２号公報で提案したものがある。この面状照明装置１は、図３及び図４に示すように、反射型液晶素子５１の観察面Ｆを覆うように配置され、ほぼ矩形の透明基板２の一側端面３ａに沿って所定距離おいて光源ランプ５２を配置している。
【０００４】
透明基板２の表面１１ａには、光反射パターン１２が形成されており、光源ランプ５２からの距離に左右されることなく透明基板２の何れの位置においても明るさがほぼ均一になるようにしている。光反射パターン１２は、断面形状ほぼ三角形の多数の溝部１３及び溝部１３に隣接する平坦部１４とで構成される。
【０００５】
溝部１３は、光源ランプ５２に近い（一側端面３ａに近い）側（図４の左側）の傾斜面（以下、第１傾斜面という）３０と、一側端面３ａに対向する側端面（他側端面）３ｂに近い側（図４の右側）の傾斜面（以下、第２傾斜面という）４０とから構成されている。
平坦部１４は、透明基板２の裏面１１ｂと平行にされており、裏面１１ｂに対する第１傾斜面３０の上縁部３１の高さ及び第２傾斜面４０の上縁部４１の高さは同等とされている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、図４に示すように、光源ランプ５２から出射して第１傾斜面１３に進行する光線６０の一部が、漏れ光Ｍとして第１傾斜面３０から透明基板２の外部に漏れてしまい、照明に関与しないことが起こり得る。透明基板２に入射する光量に対する前記漏れ光Ｍの割合は１０〜２０％であり、照明効率が大きく低下する要因になっている。また、上述したように漏れ光が発生することに伴い、表示面のコントラストの低下の原因にもなっている。
【０００７】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、漏れ光の発生を抑制できる面状照明装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、反射型液晶素子の観察面を覆うように、透光性材料からなる透明基板を配置し、該透明基板の一側端面付近に直線状の光源を配置し、前記透明基板における前記反射型液晶素子に対向する裏面部の反対側の面部である観察面に、断面形状ほぼ三角形で前記光源の軸方向と平行に延び、前記一側端面側から前記一側端面に対向する他側端面側に向けて多数条形成される溝部と、当該多数条の溝部間に平面状に形成される平坦部とからなる光反射パターンを設けたフロントライト型の面状照明装置において、前記多数条の各溝部を構成する前記一側端面側の第１傾斜面及び前記他側端面側の第２傾斜面に関して、前記各溝部の第１傾斜面の上縁部を結んで構成される仮想基準平面に比して、第２傾斜面の上縁部の高さを高レベルに設定すると共に、前記平坦部は、前記一側端面から前記他側端面に向かって前記透明基板の裏面部に向けて傾斜していることを特徴とする。
【０００９】
請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の面状照明装置において、第２傾斜面の上縁部の前記溝部の底部に対する高さ寸法は、第１傾斜面の上縁部の前記溝部の底部に対する高さ寸法の２倍以下であることを特徴とする。
請求項３に記載の発明は、請求項１又は２に記載の面状照明装置において、透明基板は、一側端面から他側端面の間で全体として板厚が同等であることを特徴とする。
請求項４に記載の発明は、請求項１又は２に記載の面状照明装置において、透明基板は、一側端面から遠ざかるにしたがって、その板厚が徐々に薄くなる楔形に形成したことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の第１実施の形態に係る面状照明装置１Ａを図１及び図２に基づいて説明する。なお、図３及び図４と同等の部分、部材については同一の符号を付し、その説明は、適宜、省略する。
【００１１】
この面状照明装置１Ａは、透光性材料からなるほぼ矩形の透明基板２の一側端面３ａに近接させて長手状の光源４を配置して大略構成されており、例えば反射型液晶素子（図示省略）の観察面を覆うように配置され、その補助照明として用いられるようになっている。
【００１２】
透明基板２は、一側端面３ａからこれに対向する他側端面３ｂの間で全体として板厚が同等とされている。
透明基板２における面積の大きい面部のうち一方（図１上側）の面部（観察面。以下、表面という。）１１ａには、光反射パターン１２Ａが形成されている。なお、透明基板２における表面１１ａに対向する面部（図１下側の面部）を、以下、裏面１１ｂという。
【００１３】
光反射パターン１２Ａは、断面形状ほぼ三角形の多数条の溝部１３Ａ及び溝部１３Ａに隣接する平面状の平坦部１４Ａとで構成され、導光体５からの距離に左右されることなく透明基板２の何れの位置においても明るさがほぼ均一になるようにしている。透明基板２に形成される光反射パターン１２Ａの溝部１３Ａは、非常に微細であるため、画面の観察においては目視で確認することは困難である。
【００１４】
前記溝部１３Ａは、導光体５の軸方向と平行に延び、一側端面３ａ側から他側端面３ｂ側に向けて多数条、形成されている。
前記断面形状ほぼ三角形の溝部１３Ａは、一側端面３ａ側の傾斜面（第１傾斜面）３０と、第１傾斜面３０とともに断面視ほぼＶ字形をなす他側端面３ｂ側の傾斜面（第２傾斜面）４０とからなり、第１傾斜面３０及び第２傾斜面４０の合わせ部が溝部１３Ａの底部１３ｄをなしている。
【００１５】
第１傾斜面３０の上縁部３１の後述する仮想基準平面Ｓに対する高さに比して、第２傾斜面４０の上縁部４１の仮想基準平面Ｓに対する高さを高レベルになるように設定している。この際、第２傾斜面４０の上縁部４１から第１傾斜面３０の上縁部３１の間の部分が平面状になるように（段差や凹凸を有さず、かつ湾曲せずに）平坦部１４Ａを形成し、これにより、平坦部１４Ａが前記一側端面３ａから前記他側端面３ｂに向けて下がる方向に傾斜したものになっている。
本実施の形態では、前記仮想基準平面Ｓは、複数の第１傾斜面３０の上縁部３１を結ぶ面により構成されている。この場合、上縁部３１は仮想基準平面Ｓに含まれており、第１傾斜面３０の上縁部３１の仮想基準平面Ｓに対する高さは、高さ０であり、上述した「第１傾斜面３０の上縁部３１の後述する仮想基準平面Ｓに対する高さに比して、第２傾斜面４０の上縁部４１の仮想基準平面Ｓに対する高さを高レベルになる」は、「第１傾斜面３０の上縁部３１に対して第２傾斜面４０の上縁部４１を高レベルにする」に相当する。なお、本実施の形態では、仮想基準平面が複数の第１傾斜面３０の上縁部３１を結ぶ面により構成される仮想基準平面Ｓである場合を例にしたが、これに代えて仮想基準平面を透明基板２の裏面１１ｂとしてもよい。
第２傾斜面４０の上縁部４１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ2は、第１傾斜面３０の上縁部３１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ1の２倍以下とされている。
【００１６】
また、平坦部１４Ａの仮想基準平面Ｓに対する傾斜角度αは５°以下であり、前記第１傾斜面３０の傾斜角度βは３５°〜５５°であり、前記第２傾斜面４０の傾斜角度γは７０°以上とされている。
【００１７】
光源４は、透明基板２の一側端面３ａに沿って近接配置される透明材料からなる直線状の導光体５と、導光体５の一端部５ａに対面して配置される発光ダイオードからなる点状光源６と、から大略構成されている。導光体５の他端部５ｂに対面して光反射板７が配置されている。
光反射板７は白色（散乱白色発泡タイプ）反射板又は金属蒸着フィルム等からなる反射板が用いられている。なお、上記光反射板７に代えて、導光体５の他端部５ｂの表面に、直接的に金属（銀、アルミニウム等）を蒸着し、金属層を形成したもの、白色の塗料を塗布し、塗料層を形成したもの等を用いるようにしてもよい。
【００１８】
また、導光体５における導光体第１面５ｃ（導光体の透明基板に対向する面）以外の長手方向周囲（導光体第２面５ｄ、導光体第３面５ｅ及び導光体第４面５ｆ）を覆い、かつ透明基板２の一側端面３ａ側の部分（以下、透明基板基部という。）８まで延びる略コ字形のフレーム１５が設けられている。
【００１９】
導光体５の導光体第２面５ｄには光路変換手段１６が設けられている。光路変換手段１６は、断面形状が略三角形の溝部１６ａと、該溝部１６ａの間に形成される平坦部１６ｂとから構成されている。
そして、導光体５内部を進行し導光体第２面５ｄで反射する光線は、溝部１６ａで反射される場合には、溝部１６ａを形成する傾斜面（図示省略）によって導光体第１面５ｃにほぼ垂直に進行しやすく、平坦部１６ｂで反射する場合と比較して、導光体第１面５ｃを透過して結果的に透明基板２内へ進行する光量が多くなる。したがって、平坦部１６ｂの幅（占有面積）に対する溝部１６ａの幅（占有面積）の比率は、導光体５の一端部５ａから遠ざかるに従って徐々に大きくなるように設定されている。このとき、点状光源６からの距離および溝部１６ａの占有面積のバランスを考慮して形成することにより、点状光源６が一端部５ａに配置されているにも関わらず、光線は導光体第１面５ｃにおいて均一に放射される。
【００２０】
上述のように溝部１６ａおよび平坦部１６ｂの占有面積の比率を具体的に変化させるために、本実施の形態の光路変換手段１６は、一の溝部１６ａと隣接する溝部１６ａとの間隔（ピッチ）を一定にして、溝部１６ａの切り込み深さが、点状光源６から遠ざかるにしたがって徐々に大きくなるように設定している。なお、図示しないが、溝部１６ａの切り込み深さは一定にして、溝部１６ａを形成する間隔（ピッチ）を徐々に狭くなるように形成して、溝部１６ａおよび平坦部１６ｂの占有面積の比率を変化させるようにしてもよい。
【００２１】
フレーム１５は、アルミ、ステンレス等の金属（例えばSUS304）などの剛性を有する材料で作製され、所定の肉厚寸法（例えば板厚０．１ｍｍ）に設定されている。フレーム１５は、その内側に鏡面加工が施されており光反射機能を有するものになっている。
【００２２】
上述したように構成した本実施の形態によれば、第１傾斜面３０の上縁部３１の仮想基準平面Ｓに対する高さに比して第２傾斜面４０の上縁部４１の仮想基準平面Ｓに対する高さは高レベルになるように設定している。このため、光源４から出射して第１傾斜面３０に進行した光線６０は、仮に外部に出ても第２傾斜面４０における第１傾斜面３０より高レベルの領域で捕捉されやすくなる。このため、従来技術においては漏れ光となってしまった光が、第２傾斜面４０に再度入射して、照明に関与することとなり、その分、照明効率の向上を図ることができる。
【００２３】
また、上述したように第２傾斜面４０の上縁部４１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ2を、第１傾斜面３０の上縁部３１の底部１３ｄに対する高さ寸法ｈ1の２倍以下にしたのは、次の（１）、（２）に基づくものである。
（１）本願発明者の実験などにより、前記高さ寸法ｈ2を高さ寸法ｈ1の２倍を超える値にしても、前記照明効率はほとんど向上しないという検証結果を得た。
（２）高さ寸法ｈ2を高さ寸法ｈ1の２倍を超える値にすると、透明基板２の加工上、問題を生じやすい。
【００２４】
また、傾斜角度αを５°以下としたのは、傾斜角度αを５°を越える値とした場合には、光源４の反対側（他側端面１１ｂ）に到達する光線が少なくなり、透明基板２によるほぼ均一の明るさの確保が困難になり、このようなことになるのを回避するためである。
【００２５】
また、傾斜角度βを３５°〜５５°とし、傾斜角度γを７０°以上としたのは、このように設定して本願発明者が実験を行なったところ、良好な照明効率を得ることを確認できたためである。
【００２６】
上記実施の形態では、透明基板２として、一側端面３ａからこれに対向する他側端面３ｂの間で全体として板厚が同等とされているものを例にしたが、透明基板２として、一側端面３ａから遠ざかるにしたがって、その板厚が徐々に薄くなる、いわゆる楔形に形成されているものを用いるようにしてもよい。この場合、上記実施の形態と同様に、仮想基準平面を第１傾斜面の上縁部を結ぶ面として前記傾斜角度α、β、γを定めると共に、第１傾斜面の上縁部の高さ（仮想基準平面に対する高さ）に比して第２傾斜面の上縁部の高さ（仮想基準平面に対する高さ）を高レベルに定めるようにする。
【００２７】
上記実施の形態では、点状光源６を１個設けた場合を例にしたが、２個以上を設けるように構成してもよい。
また、点状光源６を導光体５の一端部５ａに対面させ、導光体５の他端部５ｂに対面して光反射板７を設けた場合を例にしたが、光反射板７に代えて点状光源を設けるように構成してもよい。又、光源として蛍光管を使用してもよい。
【００２８】
導光体５の素材は、光を効率よく通過させる物質であれば良く、その透光性・加工性からアクリル樹脂が最も適している。なお、これに代えて、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂等の各種熱可塑性の透明樹脂等も使用可能である。また、エポキシ樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂等の熱硬化性透明樹脂や各種ガラス材料等の無機透明材料も場合によっては適用可能である。
【００２９】
導光体５の作製方法は、切削、研削加工との直接的な機械加工、又は、キャスト法、熱加圧成形法、押出し成形法、射出成形法等の各種成形法が適用可能であるが、生産性の点からは樹脂材料を用いた射出成形法が最も適している。
【００３０】
導光体５に形成される光路変換手段１６は、本実施の形態においては、導光体第２面５ｄにのみ形成される構成としたが、導光体第２面５ｄに形成すると共に、導光体第２面５ｄ以外の他面にも形成し、より広範囲にわたる光路変換手段１６を形成することも可能である。
【００３１】
【発明の効果】
本発明によれば、各溝部の第１傾斜面の上縁部を結んで構成される仮想基準平面に比して、第２傾斜面の上縁部の高さを高レベルに設定しており、光源から出射して第１傾斜面に進行した光線は、仮に外部に出ても第２傾斜面における第１傾斜面より高レベルの領域で捕捉されやすくなる。このため、従来技術においては漏れ光となってしまった光が、再度第２傾斜面に入射して、照明に関与することとなり、その分、照明効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施の形態に係る面状照明装置を示す分解斜視図である。
【図２】図１の透明基板及び光路を模式的に示す図である。
【図３】従来の面状照明装置の一例を示す断面図である。
【図４】図３の透明基板における光線の進行状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
１Ａ 面状照明装置
２ 透明基板
３ 一側端面
４ 光源
１３Ａ 溝部
１４Ａ 平坦部
３０ 第１傾斜面
３１ 上縁部
４０ 第２傾斜面
４１ 上縁部
Ｓ 仮想基準平面（第１傾斜面の上縁部を結ぶ面）
Claims (4)
- 反射型液晶素子の観察面を覆うように、透光性材料からなる透明基板を配置し、該透明基板の一側端面付近に直線状の光源を配置し、前記透明基板における前記反射型液晶素子に対向する裏面部の反対側の面部である観察面に、断面形状ほぼ三角形で前記光源の軸方向と平行に延び、前記一側端面側から前記一側端面に対向する他側端面側に向けて多数条形成される溝部と、当該多数条の溝部間に平面状に形成される平坦部とからなる光反射パターンを設けたフロントライト型の面状照明装置において、
前記多数条の各溝部を構成する前記一側端面側の第１傾斜面及び前記他側端面側の第２傾斜面に関して、前記各溝部の第１傾斜面の上縁部を結んで構成される仮想基準平面に比して、第２傾斜面の上縁部の高さを高レベルに設定すると共に、前記平坦部は、前記一側端面から前記他側端面に向かって前記透明基板の裏面部に向けて傾斜していることを特徴とする面状照明装置。 - 第２傾斜面の上縁部の前記溝部の底部に対する高さ寸法は、第１傾斜面の上縁部の前記溝部の底部に対する高さ寸法の２倍以下であることを特徴とする請求項１に記載の面状照明装置。
- 透明基板は、一側端面から他側端面の間で全体として板厚が同等であることを特徴とする請求項１又は２に記載の面状照明装置。
- 透明基板は、一側端面から遠ざかるにしたがって、その板厚が徐々に薄くなる楔形に形成したことを特徴とする請求項１又は２に記載の面状照明装置。
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