JP3699862B2 - 機器の冷却設備及びその冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、常用機器と非常用機器とを併設した系統の冷却設備と冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図4のように、発電所において一般に採用されている補機冷却設備は、常用機器3と非常用機器4に冷却水を供給するために直列に配管10,11で接続された少なくとも1台の循環ポンプ1及び1基の熱交換器2を含む配管系統、循環ポンプ1の吸込側に接続する連絡配管16を有する開放型サージタンク5、前記開放型サージタンク5に配管31と弁32を介して補給水を供給する補給水供給設備30、通常時には常用機器3へ冷却水を供給し、非常時には非常用機器4に冷却水を選択的に供給するための弁21,24及び配管12,13,14,15を備えた、同一ループから構成されている。
【0003】
このように、循環ポンプ1と熱交換器2を直列に接続してある配管系統に常用機器3と非常用機器4とが互いに並列となるように弁21,24を介して接続されている。
【0004】
従来技術の補機冷却設備を一層具体的に図4及び図5により説明する。
【0005】
図4は、従来の補機冷却設備の通常時における運転状態を示す系統図である。
図4の補機冷却設備では、開放型サージタンク5を常用機器3及び非常用機器4よりも高い位置に配置し、通常時には常用機器3へ冷却水を供給し、非常時には非常用機器4に冷却水を選択的に供給するための弁21,22,24及び配管12,13,14,15を備えた、同一ループから構成されている。
【0006】
熱交換器2は、海水との熱交換を行うため海水ポンプ40、配管41,42を備えた補機冷却海水設備にて冷却する構成となっている。
【0007】
開放型サージタンク5には補給水の供給を可能にする補給水供給設備30,配管31及び弁32が接続され、開放型サージタンク5の水位が低下する場合には補給水供給設備30から補給水を供給する構成となっている。
【0008】
通常時には常用機器3に冷却水を供給するため、循環ポンプ1にて昇圧した冷却水を熱交換器2に通水、冷却した後、冷却水供給用の配管12を介して常用機器3に冷却水を供給しこれらの機器を冷却する。
【0009】
常用機器3に送られた冷却水は再び、冷却水戻り用の配管13を経由して循環ポンプ1に戻される。
【0010】
この通常運転時における冷却水供給のための弁の開閉状態は、図4のように、常用機器冷却水供給用の弁21及び戻り用の弁22が全開、非常用機器冷却水供給用の弁24は全閉状態にある。
【0011】
また、この通常運転状態における循環ポンプ1の押し込み圧力は、開放型サージタンク5の水頭圧にて確保されることになる。
【0012】
図5は、前記図4の補機冷却設備の非常時における運転状態を示す系統図である。
【0013】
非常時には非常用機器4に冷却水を供給するため、循環ポンプ1にて昇圧した冷却水を熱交換器2に通水、冷却した後、冷却水供給配管14を介して非常用機器4に冷却水を供給しこれらの機器を冷却する。
【0014】
非常用機器4に送られた冷却水は再び、冷却水戻り用の配管15を経由して循環ポンプ1に戻される。
【0015】
この非常運転時における冷却水供給弁の開閉状態は、図5のように、常用機器冷却水供給用の弁21及び戻り用の弁22が全閉、非常用機器冷却水供給用の弁24は全開状態にある。
【0016】
また、この非常運転状態における循環ポンプ1の押し込み圧力は、開放型サージタンク5の水頭圧にて確保されることになる。
【0017】
特開昭58−96287 号公報では、残留熱除去系と中間ループ系と海水系からなり、前記残留熱除去系の炉水と前記中間ループ系の冷却水との熱交換を第1熱交換器にて行い、前記海水系の海水と熱交換を第2熱交換器にて行うようにした原子炉補機冷却設備の公知例が開示されている。
【0018】
特開平3−15800号公報では、常用機器,非常用機器及び原子炉冷却材浄化系非再生熱交換器等へ冷却水を供給してこれらの機器を冷却するとともに、前記原子炉冷却材浄化系非再生熱交換器を冷却した冷却水を所内温水系の所内温水系熱交換器へ導いて、前記原子炉冷却材浄化系非再生熱交換器からの廃熱を利用する原子炉補機冷却設備の公知例が開示されている。
【0019】
特開平8−146191 号公報では、設備を大型化することなく、かつ安価にして原子炉補機冷却設備の据付け開始から、系統性能試験終了までの期間を短くすることが可能な原子炉補機冷却設備の公知例が開示されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の従来の技術,特開昭58−96287 号公報,特開平3−15800号公報及び特開平8−146191 号公報の補機冷却設備では、常用機器を非常用機器より高い位置に配置することでサージタンクが常用機器より低い位置に配置せざるを得ない場合の常用機器への冷却水供給手段及びサージタンク加圧制御方法の技術は開示されていない。
【0021】
発電所を原子力発電所に例えて述べると、原子力発電所の原子炉建屋とタービン建屋とは独立して建てられており、両建屋の耐震性の考慮から原子炉建屋がタービン建屋よりも岩盤に近い低い位置となることが考えられる。
【0022】
このような場合には、原子炉建屋内のサージタンクよりもタービン建屋内の常用機器が高所に位置する可能性がでてくる。
【0023】
その一方、耐震性の配慮やスペース的な配慮から相対的に高所のタービン建屋内にサージタンクを配備することができない。
【0024】
従って、サージタンクよりも常用機器が高所に存在するレイアウトにたいして対処することが必要である。
【0025】
従って、本発明の目的は、常用機器と非常用機器との機器の冷却設備において、通常時におけるサージタンクよりも高所の常用機器の冷却及び非常時における非常用機器の冷却を確実なものとすることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、熱交換器と循環ポンプとを直列に備えた配管系統と、その配管系統に、常用機器が非常用機器よりも高い位置に配置された状態で、互いに並列になるように接続された前記常用機器と前記非常用機器と、前記配管系統と前記常用機器と非常用機器との接続途中に備えられた開閉自在な弁と、前記循環ポンプの吸込み側の配管に接続されて前記常用機器よりも低い位置であって前記非常用機器よりも高い位置に配置されたサージタンクと、前記常用機器使用時に前記サージタンク内の液体に圧力を強制的に付与する手段と、前記非常用機器使用時に前記圧力を開放する手段とを備えた冷却設備、或いは、サージタンクが接続された循環ポンプの駆動力で熱交換器を通過した冷却水を常用機器と非常用機器とのいずれかに選択的に供給する機器の冷却設備において、前記常用機器を前記サージタンクよりも高い位置に、前記非常用機器を前記サージタンクよりも低い位置に配備し、前記常用機器使用時に前記サージタンクに前記循環ポンプの押し込み圧力を確保するに必要な圧力を付与する手段と前記非常用機器使用時に前記圧力を開放する手段とを装備してあることを特徴とした機器の冷却設備であって、サージタンク内の液体で押し込み圧力が確保されている循環ポンプで熱交換器を通過させた冷却水を常用機器と非常用機器とへ選択的に供給する機器の冷却方法において、前記常用機器へ前記冷却水を供給する場合には前記サージタンク内を加圧し、前記サージタンクや前記常用機器よりも低い位置に配備された前記非常用機器へ前記冷却水を供給する場合には前記サージタンク内の圧力を大気に開放することを特徴とした機器の冷却方法を採用しているものである。
【0027】
そのような採用技術によって、非常時にはサージタンクの加圧を必要としないサージタンク加圧制御方法とすることで、非常時における加圧手段の機能維持に対する要求を排除し、通常時も非常時も機器の冷却を確実に行う。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1〜図3に基づいて説明する。
【0029】
図1は発電所における本発明の補機冷却設備の通常時における運転状態を示す系統図である。
【0030】
図1の補機冷却設備は、常用機器3を非常用機器4より高い位置に配置する機器配置で、これらの機器に冷却水を供給するために少なくとも1台の循環ポンプ1及び1基の熱交換器2を配管10,11で直列に接続した配管系統,循環ポンプ1の吸込側に接続する連絡配管16を有する加圧型サージタンク6,加圧型サージタンク6に補給水を供給する補給水供給設備30,加圧型サージタンク6内を加圧する加圧設備50,常用機器3へ冷却水を供給し、非常時には非常用機器4に冷却水を供給する配管12及び逆止弁20,弁21,常用機器3から冷却水を戻すための配管13及び弁22,逆止弁23、非常用機器4に冷却水を供給する配管14及び弁24,非常用機器4から冷却水を戻すための配管15を備えた、同一ループから構成する。
【0031】
このように、循環ポンプ1と熱交換器2を直列に接続してある配管系統に常用機器3と非常用機器4とが互いに並列となるように弁21,22,24を介して接続されている。特に、弁21と配管11とは逆止弁20を介して、弁22と配管10は逆止弁23を介してそれぞれ接続される。それらの逆止弁20,23は配管12,13に付けた矢印方向の流通を許容し、その矢印と逆方向の流通を阻止する。
【0032】
加圧型サージタンク6は非常用機器4より高い位置であって常用機器3より低い位置に配置する構成とする。
【0033】
熱交換器2は、海水との熱交換を行うため海水ポンプ40,配管41,42を備えた補機冷却海水設備にて冷却する構成とする。
【0034】
加圧型サージタンク6には冷却水の補給を可能にする補給水供給設備30,配管31及び弁32を接続し、加圧型サージタンク6の水位が低下する場合には補給水供給設備30から冷却水を供給する構成とする。
【0035】
加圧型サージタンク6は密閉構造とし、加圧型サージタンク6内を加圧する加圧設備50,加圧用の配管51及び弁52を接続するとともに、加圧型サージタンク6内の圧力を大気に開放する配管53及び弁54を備える構成とする。
【0036】
通常時は常用機器3に冷却水を供給するため、循環ポンプ1にて昇圧した冷却水を配管10を介して熱交換器2に通水、冷却した後、配管11及び冷却水供給用の配管12を介して常用機器3に冷却水を供給し、これらの機器を冷却する。
常用機器3に送られた冷却水は再び、冷却水戻り用の配管13を経由して循環ポンプ1に戻される。
【0037】
この通常運転時における冷却水供給用の弁や戻り用の弁の開閉状態は、図1のように、常用機器冷却水供給用の弁21及び戻り用の弁22が全開,非常用機器冷却水供給用の弁24は全閉状態にある。
【0038】
また、通常時には常用機器3より低い位置に加圧型サージタンク6を配置するため、加圧型サージタンク6内を加圧設備50により加圧し、常用機器3と加圧型サージタンク6との水頭差より高い圧力になるように加圧型サージタンク6内を加圧し、循環ポンプ1の押し込み圧力を確保する。
【0039】
通常時における循環ポンプ1の押込み圧力は、加圧型サージタンク6と循環ポンプ1との水頭差に加圧型サージタンク6内圧力(常用機器3と加圧型サージタンク6との水頭差より高い圧力)を加えることにより確保されることになる。
【0040】
図2及び図3は、前記図1の補機冷却設備の非常時における運転状態を示す系統図である。
【0041】
図2は、前記図1の補機冷却設備の非常時における冷却水の供給先を常用機器3から非常用機器4側に切り替えるための冷却水供給用の弁及び戻り用の弁の開閉状態を示す系統図である。
【0042】
非常時には、常用機器3から非常用機器4へ冷却水の供給を切り替えるため、常用機器冷却水供給用の弁21及び戻り用の弁22を全開から全閉に操作し常用機器3への冷却水を遮断するとともに、非常用機器冷却水供給用の弁24を全閉から全開に操作し非常用機器4へ冷却水を供給する。
【0043】
図3は、前記図1の補機冷却設備の非常時における運転状態を示す系統図である。
【0044】
このように、非常時は常用機器3への冷却水の供給を断ち非常用機器4に冷却水を供給するという冷却水の供給先の選択切替えを行うため、図1から図2のように、常用機器冷却水供給用の弁21及び戻り用の弁22が全閉、非常用機器冷却水供給用の弁24は全開状態にする。
【0045】
更に、加圧型サージタンク6への補給水供給圧力を低減するため、図2から図3のように、加圧型サージタンク開放用の弁54を開し、加圧型サージタンク6内圧力を大気に開放して系統の運転が継続される。その運転継続中に加圧型サージタンク6内の水位が低下すれば、弁32が開かれてサージタンク補給水供給設備30から加圧型サージタンク6内へ冷却水が補給される。
【0046】
このような各弁の開閉状況下で循環ポンプ1で昇圧した冷却水を配管10を介して熱交換器2に通水、冷却した後、配管11や冷却水供給用の配管14を介して非常用機器4に冷却水を供給し、非常用機器を冷却する。
【0047】
非常時における循環ポンプ1の押し込み圧力は、加圧型サージタンク6を非常用機器4より高い位置に配置することから、加圧型サージタンク6と循環ポンプ1との水頭差により確保することができるため、加圧型サージタンク開放用の弁54を全閉から全開に操作し、加圧型サージタンク6内圧力を大気に開放する。
この非常時の運転状態における加圧型サージタンク6の加圧の必要性がなくなるため、サージタンク加圧設備50に対する非常時の機能維持要求を排除することが可能になる。
【0048】
また、非常時に加圧型サージタンク6を大気に開放することから、加圧型サージタンク6へ冷却水を補給する場合の供給圧力を低減することができる。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、常用機器を非常用機器より高い位置に配置する機器配置でも、通常時に常用機器に、非常時には非常用機器に冷却水を選択して供給することができる上、非常時には加圧型サージタンクの加圧を必要としないサージタンクの加圧制御方法とすることで、非常時における加圧設備の機能維持に対する要求を排除することが可能となる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、常用機器と非常用機器との配置の自由度が広がる上、非常時におけるサージタンクへの加圧機能の保証を行わなくて済むという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による発電所における補機冷却設備の通常時における運転状態を示す系統図である。
【図2】図1の補機冷却設備の非常時における冷却水の供給先を切り替えるための各弁の開閉状態を示す系統図である。
【図3】図1の補機冷却設備の非常時における運転状態を示す系統図である。
【図4】従来技術の発電所における補機冷却設備の通常時における運転状態を示す系統図である。
【図5】図4の補機冷却設備の非常時における運転状態を示す系統図である。
【符号の説明】
1…循環ポンプ、2…熱交換器、3…常用機器、4…非常用機器、6…加圧型サージタンク、10,11,12,13,14,15,31,41,42,51,53…配管、16…サージタンク連絡配管、20,23…逆止弁、21,22,24,32,52,54…弁、30…サージタンク補給水供給設備、40…海水ポンプ、50…サージタンク加圧設備。
Claims (3)
- 熱交換器と循環ポンプとを直列に備えた配管系統と、
その配管系統に、常用機器が非常用機器よりも高い位置に配置された状態で、互いに並列になるように接続された前記常用機器と前記非常用機器と、
前記配管系統と前記常用機器と非常用機器との接続途中に備えられた開閉自在な弁と、
前記循環ポンプの吸込み側の配管に接続されて前記常用機器よりも低い位置であって前記非常用機器よりも高い位置に配置されたサージタンクと、
前記常用機器使用時に前記サージタンク内の液体に圧力を強制的に付与する手段と、
前記非常用機器使用時に前記圧力を開放する手段と、
を備えた冷却設備。 - サージタンクが接続された循環ポンプの駆動力で熱交換器を通過した冷却水を常用機器と非常用機器とのいずれかに選択的に供給する機器の冷却設備において、
前記常用機器を前記サージタンクよりも高い位置に、前記非常用機器を前記サージタンクよりも低い位置に配備し、前記常用機器使用時に前記サージタンクに前記循環ポンプの押し込み圧力を確保するに必要な圧力を付与する手段と前記非常用機器使用時に前記圧力を開放する手段とを装備してあることを特徴とした機器の冷却設備。 - サージタンク内の液体で押し込み圧力が確保されている循環ポンプで熱交換器を通過させた冷却水を常用機器と非常用機器とへ選択的に供給する機器の冷却方法において、
前記常用機器へ前記冷却水を供給する場合には前記サージタンク内を加圧し、前記サージタンクや前記常用機器よりも低い位置に配備された前記非常用機器へ前記冷却水を供給する場合には前記サージタンク内の圧力を大気に開放することを特徴とした機器の冷却方法。
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CN107941036B (zh) * | 2017-12-21 | 2023-08-22 | 中国电力工程顾问集团西北电力设计院有限公司 | 一种高位布置的辅机冷却水系统 |
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