JP3699817B2 - 曝気装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚水の浄化等に用いられる曝気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特公昭63−51760号公報に開示されているように、羽根車の回転によって汚水等の被処理液を吸引し、当該被処理液に空気を供給して曝気を行う曝気装置が知られている。図6に示すように、上記曝気装置は、水中ギヤードモータaの軸端に羽根車cを取り付けて形成された本体部Aと、被処理液の流路eを形成する装置ケーシングBとにより構成されている。この本体部Aと装置ケーシングBとは、取付金具dを介して固定されている。水中ギヤードモータaは、水中モータa1と減速機a2とにより構成されている。
【0003】
水中ギヤードモータaに交流電力を供給すると、水中モータa1が駆動して、羽根車cが回転する。その結果、被処理液は流路e中に吸引され、散気管fから供給された空気と撹拌混合した後、水平方向に開口した吐出口gから吐出される。
【0004】
一般に、曝気装置の性能は、ポンプの単位出力当たりの吐出流量に大きく左右され、吐出流量が多くなるほど装置の性能も良くなる。吐出流量を多くするためには、大きな羽根車を低速で回転させることが望ましい。そのため、上記のような曝気装置では、通常、極数が4の水中モータa1を減速機a2で減速させていた。このように、羽根車cには減速機a2によって減速された回転駆動力が伝達されるので、羽根車cは低速で回転する。その結果、単位出力あたりの吐出流量が十分な量に確保されていた。
【0005】
ところで、水中ギヤードモータaに供給される交流電力の周波数は、曝気装置が使用される地域によって異なる。例えば、関東地域では50Hzの交流電力が供給され、関西地域では60Hzの交流電力が供給される。ところが、電源周波数が異なると、モータの回転数、ひいては羽根車cの回転数が異なってくる。そのため、電源周波数が異なる複数の地域において同一規格(同一吐出流量)の曝気装置を提供するためには、各地域ごとに種類の異なった羽根車を使用しなければならなかった。つまり、従来は、電源周波数の小さな地域では、回転数当たりの吐出流量が相対的に大きな羽根車を使用する一方、電源周波数の大きな地域では、回転数当たりの吐出流量が相対的に小さな羽根車を使用することにより、いずれの地域においても吐出流量が同一になるようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の曝気装置では、羽根車cの回転数を低下させるために減速機a2が必要であったため、部品点数が増加していた。そのため、製造工程が複雑であった。また、減速機a2は比較的高価な機器であるため、曝気装置のコスト低減の妨げとなっていた。
【0007】
また、減速機a2内には減速ギアとしての歯車が設けられており、この歯車を潤滑するために、ギアオイルが必要である。ギアオイルは劣化しやすいため、定期的に交換を行わなければならない。そのため、頻繁にメンテナンスを行わなければならず、多くのメンテナンス費用が必要であった。
【0008】
また、減速機a2において相当量の動力損失が起こるため、曝気装置全体として、多くの損失が発生していた。そのため、減速機a2を使用する以上、装置の飛躍的な効率向上は困難であった。
【0009】
さらに、各地域ごとに電源周波数に応じた羽根車を設計及び製作する必要があったため、同一規格の曝気装置に対して羽根車を共通化できないという課題があった。通常、羽根車の設計及び製造には、多大のコストと時間が必要とされる。そのため、各地域ごとに別種類の羽根車が必要となり、曝気装置全体の開発及び製作に多くの時間とコストがかかっていた。その結果、規格統一による部品共通化のメリットが十分に享受できないという課題があった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、減速機を不要にするとともに羽根車を共通化して、装置の製造を簡易かつ安価に行い、加えて、羽根車の回転に伴う損失を低減して、性能を向上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、減速機を用いることなく、モータを羽根車に直接接続(直結)することとし、加えて、使用電源周波数に応じて相対的に極数の大きなモータを用いることとした。また、電源周波数が異なる複数の地域で使用される複数の機種に対し、羽根車の回転数がいずれの地域においても同一となるように、それぞれの電源周波数に応じた極数のモータを設ける一方、羽根車を含む他の部品は共通化することとした。
【0012】
具体的には、第1の発明が講じた手段は、所定の第1設計周波数の交流電力が供給されて所定回転数で回転する第1モータと、所定の第2設計周波数の交流電力が供給されて該所定回転数で回転するように該第1モータと極数が異なる第2モータとのいずれをも取付自在なモータ取付部が形成されたモータケーシングに、該第1モータまたは該第2モータのいずれか一方のモータが取り付けられ、上記第1モータのシャフト及び上記第2モータのシャフトのいずれもが接続自在なシャフト接続部が設けられた羽根車が上記一方のモータに接続されて本体部が構成され、上記モータケーシングに上記第1モータを取り付けると共に該第1モータのシャフトに上記羽根車を接続して成る第1本体部と、上記モータケーシングに上記第2モータを取り付けると共に該第2モータのシャフトに上記羽根車を接続して成る第2本体部とのいずれをも取付固定自在に形成された装置ケーシングに対し、上記本体部が取付固定されて構成されていることとしたものである。
【0013】
上記発明特定事項により、第1設計周波数の交流電力が供給される第1モータを備える装置と、第2設計周波数の交流電力が供給される第2モータを備える装置とが、モータケーシング、羽根車及び装置ケーシングを共通化したうえで得られることになる。それら装置の羽根車の回転数はともに所定回転数であるため、それらの装置はいずれも所定の定格能力を発揮することになる。そのため、電源の周波数が異なる複数の地域で使用される複数種類の曝気装置に対し、モータ以外の部品を共通化することができる。また、減速機を用いないため、安価に構成されるとともに、メンテナンス周期が長期化し、さらに、減速に伴う損失が低減し、装置の効率が向上する。
【0014】
第2の発明が講じた手段は、上記第1の発明において、第1設計周波数は50Hzであり、第1モータの極数は10である一方、第2設計周波数は60Hzであり、第2モータの極数は12であることとしたものである。
【0015】
上記発明特定事項により、電源周波数が50Hzの地域で使用される曝気装置と、電源周波数が60Hzの地域で使用される曝気装置との間で、羽根車を含め、モータ以外の部品が共通化されることになる。
【0016】
第3の発明が講じた手段は、設計周波数が10×n(nは自然数)Hzの第1曝気装置、及び設計周波数が10×m(mはnと異なる自然数)Hzの第2曝気装置を製造する曝気装置の製造方法であって、極数が2×nの第1モータを製作する第1モータ製作工程と、上記第1モータと同一形状を有し且つ極数が2×mの第2モータを製作する第2モータ製作工程と、上記第1モータ及び第2モータのいずれも取付自在に構成された所定のモータ取付部を有するモータケーシングを製作するモータケーシング製作工程と、上記第1モータ及び第2モータのいずれのシャフトにも接続自在に構成された所定のシャフト接続部を有する羽根車を製作する羽根車製作工程と、羽根車を収納すると共に、羽根車の回転によって吸引した被処理液を気体と撹拌混合させて吐出する流路を区画形成する装置ケーシングを製作する装置ケーシング製作工程と、上記モータケーシングのモータ取付部に上記第1モータを取り付けると共に上記羽根車を該第1モータの上記シャフト接続部に接続して第1本体部を形成し、該第1本体部を上記ケーシングに取付固定する第1曝気装置組立工程と、上記モータケーシングのモータ取付部に上記第2モータを取り付けると共に上記羽根車を該第2モータの上記シャフト接続部に接続して第2本体部を形成し、該第2本体部を上記ケーシングに取付固定する第2曝気装置組立工程とを包含していることとしたものである。
【0017】
上記発明特定事項により、モータケーシング製作工程において製作したモータケーシング、羽根車製作工程において製作した羽根車、及び装置ケーシング製作工程において製作した装置ケーシングは、第1曝気装置及び第2曝気装置のいずれにも使用されるので、それらの工程は、第1曝気装置の製造工程及び第2曝気装置の製造工程において共通化されることになる。また、第1曝気装置組立工程と第2曝気装置組立工程とは、モータケーシングの取付部に取り付けるモータの種類、及び羽根車のシャフト接続部に接続するモータの種類が異なっているのみであり、製造の工程自体は同様である。そのため、製造工程の共通化を一層促進することができ、使用電源周波数の異なる2種類の曝気装置がより安価かつ迅速に製造されることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1及び図4に示すように、本発明の実施の形態としての第1曝気装置61及び第2曝気装置62は、所定の定格能力を出力するように規格化された種類の異なる装置である。第1曝気装置61と第2曝気装置62とは、設計周波数(供給される電源周波数)がそれぞれ異なっている。
【0020】
−第1曝気装置61−
第1曝気装置61は、電源周波数が50Hz(第1設計周波数)の地域で使用される装置である。図1に示すように、第1曝気装置61は、第1モータ2のシャフト13に直結された羽根車8の回転によって、上方から被処理液を吸い込み、給気管11を通じて供給した空気を当該被処理液に撹拌混合して、下方の吐出口15から略水平方向に吐出するものである。
【0021】
まず、第1曝気装置61の構成を説明する。第1曝気装置61の装置ケーシングBは、吐出ケーシング10の上に吸込ケーシング9が取付固定されることによって形成されている。吸込ケーシング9は略円筒形状に形成され、被処理液の吸入を容易にするため、上側開口に向かって末広がり状になっている。吸込ケーシング9の下側開口の外周囲には、吐出ケーシング10との接続部となるフランジ31が設けられている。吐出ケーシング10の上端は、吸込ケーシング9の下側開口と滑らかに連続するように当該下側開口と同心円状に開口し、その外周囲には上記フランジ31と当接するフランジ32が形成されている。このフランジ31とフランジ32とがボルト(図示せず)で締結されることにより、吸込ケーシング9と吐出ケーシング10とが固定されている。
【0022】
吐出ケーシング10の底部には、中心部に給気管11用の挿通孔34が設けられた平坦部33が形成され、その平坦部33の周囲には、外側に向かって下向きに傾斜した内側斜面35が形成されている。そして、この内側斜面35と、内側斜面35と同様に傾斜した外枠部分との間に、全周に開口する吐出口15が形成されている。このように、装置ケーシングB内には、吸込口14を通じて上方から吸い込んだ被処理液が流れ方向を変化させて吐出口15から略水平方向に向かって吐出されるような流路16が形成されている。
【0023】
吐出ケーシング10の平坦部33には、空気の供給源としてのブロア(図示せず)に接続された給気管11が接続されている。給気管11は挿通孔34を貫通し、その開口部は吐出ケーシング10の下端面から上方に突出している。この給気管11の開口は、空気室17と流路16とを区画する空気室ケーシング12の上面と所定間隔を存して対向している。空気室ケーシング12は、給気管11から供給された空気をいったん貯留した後、流路16に対して均等に供給するための空気室17を区画形成している。空気室ケーシング12の側面は吐出ケーシング10の内側斜面35に沿って傾斜しており、その下端部には、空気室17内の空気を流路16内の被処理液に供給して撹拌混合するための供給路18が形成されている。
【0024】
装置ケーシングBの上部には、被処理液を吸引して撹拌する駆動力を付与する本体部Aが設けられている。本体部Aは、モータケーシング1、モータケーシング1に収納された第1モータ2、第1モータ2のシャフト13、オイルケーシング3、及び羽根車8等が組み立てられて構成されている。
【0025】
モータケーシング1は、上側が閉鎖された略円筒形状に形成されている。モータケーシング1の内径は、所定形状を有する第1モータ2の外径に等しい。モータケーシング1の内部には、モータ室40が区画形成されている。このモータケーシング1の内壁は、第1モータ2を取り付けるためのモータ取付部81を形成している。
【0026】
第1モータ2は、モータケーシング1の内壁のモータ取付部81に固定された円筒状のステータ2aと、ステータ2aの内部にステータ2aと同心円状に配置されたロータ2bとを備えている。そして、第1曝気装置61の特徴として、第1モータ2は、極数が10のモータで構成されている。つまり、第1モータ2は、周波数が50Hzの交流電力が供給された場合に、回転数が600rpmとなるように構成されている。
【0027】
ロータ2bの内周面には、下方に向かって延びるシャフト13が固定されている。シャフト13は、図示しない上部軸受けと、オイルケーシング3の上部に保持された下部軸受4とによって、回転自在に支持されている。オイル室25を区画形成するオイルケーシング3は、中央部が下方に向かって階段状に陥没するように形成され、中心部にはシャフト13が貫通している。シャフト13を軸支する下部軸受4は、オイルケーシング3における底部に向かって一段目の部分に保持されている。オイルケーシング3の外周部21の下端部は、メカニカルシールブラケット7の外周部22に固定されている。一方、オイルケーシング3の内周部23の下端部は、メカニカルシール6を介して、メカニカルシールブラケット7の内周部24と接続されている。その結果、オイルケーシング3及びメカニカルシールブラケット7によって、シャフト13の軸封部であるメカニカルシール6に潤滑剤としてのオイルを供給するオイル室25が区画形成されている。また、モータ室40がオイルケーシング3によって封止され、モータ室40に被処理液が侵入しないように構成されている。
【0028】
モータケーシング1とオイルケーシング3とは、ボルト41によって締結されている。従って、オイルケーシング3はモータケーシング1を固定支持するとともに、下部軸受4を介してシャフト13を回転自在に支持している。
【0029】
そして、本発明の特徴として、羽根車8は、ナット51によって、第1モータ2のシャフト13の先端部に締結されている。詳しくは、羽根車8は、シャフト13の先端部を挿通させると共に当該先端部をナット51によって締結することによって羽根車8とシャフト13とを接続するためのシャフト接続部82を備えている。そして、当該シャフト接続部82において、第1モータ2と羽根車8とが直接接続されている。
【0030】
羽根車8は、略円筒形状のハブ36と、ハブ36の外周面に突設された複数の羽根37とから構成されている。シャフト13は、ハブ36の中央部に設けられた取付孔に挿通されて締結されている。この取付孔は、シャフト接続部82の一部を構成している。これにより、シャフト13の回転に従って羽根車8が回転し、被処理液を上方から下方に導く吸引力が発生するようになっている。
【0031】
この第1曝気装置61では、オイルケーシング3の一部が中心部から外側に向かって延び、本体部Aと装置ケーシングBとを固定する固定部材としての取付用アーム部5が構成されている。つまり、取付用アーム部5はオイルケーシング3に一体ものとして形成されている。具体的には、図2に示すように、オイルケーシング3の中心部から、3本の取付用アーム部5が互いに均等の角度(120゜)を保つように、放射状に延びている。取付用アーム部5の先端部には、取付孔26が形成されている。そして、吸込ケーシング9に形成された取付孔27と当該取付孔26とを重ね合わせることによって本体部Aを位置決めし、ボルト28をこれら取付孔26,27に挿通させて締結することにより、本体部Aと装置ケーシングBとが固定されている。
【0032】
図3に示すように、取付用アーム部5は、断面形状が下向きに凹状の略コ字形に形成されている。そして、取付用アーム部5の上面における羽根車8の反回転方向側は水平面P1に形成され、回転方向側は、回転方向に向かって下方に傾斜した傾斜面P2に形成されている。つまり、取付用アーム部5の断面形状は左右に非対称な略コ字形になっており、回転方向側(図3における左側)の傾斜面P2は、被処理液の流入方向に沿うように傾斜している。詳しくは、傾斜面P2は、取付用アーム部5の強度を維持し且つ被処理液中の繊維物のからみつきを防止するのに好適なように、水平面P1に対して10゜〜40゜の所定角度をなすように傾斜している。なお、本実施形態では特に、傾斜面P2は水平面P1に対して20゜の角度をなすように形成されている。このように、取付用アーム部5は、被処理液中の繊維物の堆積を抑制して繊維物がからみつかないように、繊維物がその表面上を滑って下流側に流れやすい形状に形成されている。
【0033】
モータケーシング1の上面には、電源ケーブル55を挿通するためのケーブル取出部56が形成されている。電源ケーブル55には防水処理がなされている。この電源ケーブル55は、50Hzの交流電力を供給する図示しない交流電源と第1モータ2とを接続しており、当該交流電源から供給された交流電力を第1モータ2に供給する。
【0034】
次に、第1曝気装置61の動作を説明する。
【0035】
電源ケーブル55を介して第1モータ2に50Hzの交流電力が供給されると、第1モータ2が駆動し、シャフト13の回転に従って羽根車8が約600rpmの回転数で回転する。この羽根車8の回転によって、被処理液が吸込口14を通じて流路16に対して斜め下向きに吸い込まれる。一方、ブロア(図示せず)から給気管11を通じて送風された空気は、空気室17に放出された後、供給路18を通じて流路16中の被処理液に混合撹拌される。そして、気泡を含んだ混合液は、流れ方向を下向き方向から水平方向に変化させつつ流路16を流通し、吐出口15から略水平方向に向かって吐出される。
【0036】
−第2曝気装置62−
次に、第2曝気装置62について説明する。図4に示すように、第2曝気装置62は、第1曝気装置61と同様、羽根車8が第2モータ72のシャフト13に直結された曝気装置である。しかし、第2曝気装置62は、第1曝気装置61と異なり、設計周波数が60Hz(第2設計周波数)の曝気装置である。つまり、第2曝気装置62は、使用電源周波数が60Hzの地域で使用される曝気装置である。
【0037】
この第2曝気装置62は、第1曝気装置61において、第1モータ2を第2モータ72に置き換えた構成をしている。つまり、第2曝気装置62は、第2モータ72以外の部分はすべて第1曝気装置61と同様である。
【0038】
第2曝気装置62の第2モータ72は、第1曝気装置61の第1モータ2と同一形状かつ同一寸法に構成され、第1曝気装置61と同様、モータケーシング1の所定のモータ取付部81に取り付けられている。しかし、第2モータ72は、第1モータ2と異なり、周波数が60Hzの交流電力が供給された場合に回転数が600rpmとなるように、極数が12のモータによって構成されている。
【0039】
電源ケーブル55は、60Hzの交流電力を供給する交流電源(図示せず)と第2モータ72とを接続している。
【0040】
第2曝気装置62の運転時には、電源ケーブル55を介して上記交流電源から60Hzの交流電力が供給され、第2モータ72が駆動してシャフト13が約600rpmの回転数で回転する。このシャフト13の回転に従って羽根車8も約600rpmの回転数で回転し、第1曝気装置61と同様に、被処理液が流路16に吸引され、空気と撹拌混合された後に、吐出口15から吐出される。
【0041】
このように、第1曝気装置61と第2曝気装置62とでは、各モータ2,72の形状及び寸法を同一とすることにより、モータ2,72以外の部品を共通化している。
【0042】
−第1曝気装置61及び第2曝気装置62の製造方法−
第1曝気装置61と第2曝気装置62とは、モータ2,72以外の部品が共通化されていることから、同一の製造工程に従って製造される。次に、図5を参照しながら、第1曝気装置61及び第2曝気装置62の製造方法を説明する。
【0043】
まず、ステップST1〜ST5において、各要素部品を製作する。ステップST1は、極数が10の第1モータ2を製作する第1モータ製作工程である。ステップST2は、極数が12の第2モータ72を製作する第2モータ製作工程である。ステップST3の羽根車製作工程では、回転数が600rpmのときに所定の定格流量の被処理液を吐出するような羽根車8を製作する。ステップST4のモータケーシング製作工程においては、第1モータ2または第2モータ72を取り付けるための所定の容積及びモータ取付部81を有するモータケーシング1を製作する。ステップST5では、第1モータ2または第2モータ72のシャフト13に応じたオイルケーシング3、メカニカルシールブラケット7等を製作する。なお、上記ステップST1〜ST5は、互いに独立して行われる製作工程であるので、それぞれの工程はどのような順序で行ってもよく、また、並行して行ってもよいことは勿論である。
【0044】
上記ステップST1〜ST5が終了した後は、ステップST6及びST7に進み、各要素部品を組み立てて本体部Aを製作する。この際、まず、製造しようとする曝気装置の種類に応じて、モータケーシング1に第1モータ2または第2モータ72のいずれかを取り付ける。
【0045】
具体的には、ステップST6では、モータケーシング1に第1モータ2を取り付け、モータケーシング1にオイルケーシング3を取り付け、オイルケーシング3上に下部軸受4を固定する。また、オイルケーシング3にメカニカルシールブラケット7を固定するとともに、オイルケーシング3とメカニカルシールブラケット7との間に、シャフト13を軸封するメカニカルシール6を取り付ける。そして、ナット51を用いてシャフト13の先端部に羽根車8を締結する。このようにして、第1本体部が組み立てられる。
【0046】
一方、ステップST7では、モータケーシング1に第2モータ72を取り付け、その後は上記ステップST6と同様にして、第2本体部を組み立てる。
【0047】
ステップST8においては、装置ケーシングBを組み立てる。詳しくは、吐出ケーシング10に給気管11を取り付けるとともに、吐出ケーシング10の上に吸込ケーシング9を固定する。
【0048】
なお、ステップST6〜ST8は、互いに独立した工程であるので、それぞれの工程はどのような順序で行ってもよく、また、並行して行ってもよい。
【0049】
そして、上記ステップST6〜ST8が終了した後は、ステップST9及びST10において、本体部と装置ケーシングBとを組み立てて、曝気装置を完成する。
【0050】
具体的には、ステップST9において、上記第1本体部のオイルケーシング3から延びる取付用アーム部5を装置ケーシングBに締結し、第1本体部と装置ケーシングBとを固定する。このことにより、第1曝気装置61が完成する。
【0051】
一方、ステップST10においては、ステップST9と同様にして、上記第2本体部と装置ケーシングBとを固定することによって、第2曝気装置62が完成する。
【0052】
なお、上記ステップST6、ST8及びST9の工程により、第1曝気装置組立工程が構成され、上記ステップST7、ST8及びST10の工程により、第2曝気装置組立工程が構成されている。
【0053】
−本実施形態の効果−
第1曝気装置61及び第2曝気装置62では、比較的極数の多いモータ2,72で羽根車8を回転させることとしたので、羽根車8の回転数を低く抑えるために減速機を設ける必要がなく、モータ2,72と羽根車8とを直結することができる。そのため、高価な減速機が不要なので、曝気装置を安価に構成することが可能となる。また、本体部Aに減速機を組み立てる工程が不要となり、製造が簡単になる。さらに、ギアオイルの交換が不要となり、メンテナンスの周期を長期化することができるので、メンテナンス性が向上する。また、減速機による動力損失がないので、ポンプ効率を従来以上に高めることが可能となる。
【0054】
第1曝気装置61と第2曝気装置62とは、モータ2,72以外の部分は互いに共通しているため、部品の共通化によるコスト低減及び製造工程の簡単化を図ることができる。特に、設計及び製造に多大の時間及びコストが必要とされる羽根車8を共通化することができるため、部品共通化のメリットを著しく発揮させることが可能となる。
【0055】
なお、モータの極数は10または12に限定されるものではなく、電源周波数に応じて、種々の極数のモータを使用することができる。例えば、羽根車の定格回転数が600rpmである場合には、電源周波数が10×n(nは自然数)Hzの地域では、極数が2×nのモータを使用することができる。また、羽根車の定格回転数が300rpmである場合には、電源周波数が10×nHzの地域では、極数が4×nのモータを使用することができる。
【0056】
電源周波数が50Hzの地域で使用するモータの極数と電源周波数が60Hzの地域で使用するモータの極数とが5対6の比例関係にあるような2種類のモータを、各地域に応じて使い分けるようにしてもよい。
【0057】
上記実施形態では、モータ以外の部品はすべて共通化していたが、羽根車を含む一部の部品のみを共通化した場合であっても、本発明の効果が得られることは勿論である。
【0058】
また、モータ2とモータ72とは互いに同一形状且つ同一寸法のモータであったが、羽根車を含む一部の部品を共通化できるのであれば、それらは同一の形状でなくても、同一の寸法でなくてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、第1〜第2の発明によれば、第1モータは第1設計周波数の交流電力の供給により所定回転数で回転し、第2モータは第2設計周波数の交流電力の供給により第1モータと同一の回転数で回転するので、電源周波数が第1設計周波数の地域では第1モータを搭載した装置を使用する一方、電源周波数が第2設計周波数の地域では第2モータを搭載した装置を使用することにより、モータ以外の部品を共通化することができる。特に、モータケーシングには所定のモータ取付部が形成され、羽根車には所定のシャフト接続部が形成され、装置ケーシングは第1及び第2本体部の双方を取付固定自在に形成されているので、製造組立が容易であり、部品を共通化することのメリットを十分に享受することができる。また、減速機が不要であるため、低コスト化、メンテナンス周期の長期化、装置の効率向上の効果が得られる。
【0060】
第3の発明によれば、電源周波数の異なる2つの地域で使用される同一能力の第1曝気装置及び第2曝気装置を、同一の製造工程に従って、簡易かつ安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1曝気装置の縦断面図である。
【図2】 第1曝気装置の上面図である。
【図3】 取付用アーム部の断面図である。
【図4】 第2曝気装置の縦断面図である。
【図5】 第1曝気装置及び第2曝気装置の製造工程図である。
【図6】 従来の曝気装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 モータケーシング
2 第1モータ
3 オイルケーシング
5 取付用アーム部
6 メカニカルシール
8 羽根車
11 給気管
13 シャフト
16 流路
61 第1曝気装置
62 第2曝気装置
81 モータ取付部
82 シャフト接続部
A 本体部
B 装置ケーシング
Claims (3)
- 所定の第1設計周波数の交流電力が供給されて所定回転数で回転する第1モータと、所定の第2設計周波数の交流電力が供給されて該所定回転数で回転するように該第1モータと極数が異なる第2モータとのいずれをも取付自在なモータ取付部が形成されたモータケーシングに、該第1モータまたは該第2モータのいずれか一方のモータが取り付けられ、
上記第1モータのシャフト及び上記第2モータのシャフトのいずれもが接続自在なシャフト接続部が設けられた羽根車が上記一方のモータに接続されて本体部が構成され、
上記モータケーシングに上記第1モータを取り付けると共に該第1モータのシャフトに上記羽根車を接続して成る第1本体部と、上記モータケーシングに上記第2モータを取り付けると共に該第2モータのシャフトに上記羽根車を接続して成る第2本体部とのいずれをも取付固定自在に形成された装置ケーシングに対し、上記本体部が取付固定されて構成されている
ことを特徴とする曝気装置。 - 請求項1に記載の曝気装置において、
第1設計周波数は50Hzであり、第1モータの極数は10である一方、
第2設計周波数は60Hzであり、第2モータの極数は12である
ことを特徴とする曝気装置。 - 設計周波数が10×n(nは自然数)Hzの第1曝気装置、及び設計周波数が10×m(mはnと異なる自然数)Hzの第2曝気装置を製造する曝気装置の製造方法であって、
極数が2×nの第1モータを製作する第1モータ製作工程と、
上記第1モータと同一形状を有し且つ極数が2×mの第2モータを製作する第2モータ製作工程と、
上記第1モータ及び第2モータのいずれも取付自在に構成された所定のモータ取付部を有するモータケーシングを製作するモータケーシング製作工程と、
上記第1モータ及び第2モータのいずれのシャフトにも接続自在に構成された所定のシャフト接続部を有する羽根車を製作する羽根車製作工程と、
羽根車を収納すると共に、羽根車の回転によって吸引した被処理液を気体と撹拌混合させて吐出する流路を区画形成する装置ケーシングを製作する装置ケーシング製作工程と、
上記モータケーシングのモータ取付部に上記第1モータを取り付けると共に上記羽根車を該第1モータの上記シャフト接続部に接続して第1本体部を形成し、該第1本体部を上記ケーシングに取付固定する第1曝気装置組立工程と、
上記モータケーシングのモータ取付部に上記第2モータを取り付けると共に上記羽根車を該第2モータの上記シャフト接続部に接続して第2本体部を形成し、該第2本体部を上記ケーシングに取付固定する第2曝気装置組立工程と
を包含していることを特徴とする曝気装置の製造方法。
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JP03113098A JP3699817B2 (ja) | 1998-02-13 | 1998-02-13 | 曝気装置及びその製造方法 |
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-
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