JP3699416B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマ処理装置に係り、特に半導体基板等の被処理基板を、プラズマを用いてエッチング処理を行うのに好適なプラズマ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスでは、一般にプラズマを用いたドライエッチングが行われている。ドライエッチングを行うためのプラズマ処理装置は種々の方式の装置が使用されている。
【0003】
プラズマ処理装置は一般に真空容器と、これに接続されたガス供給系、処理室内圧力を所定の値に保持する排気系、基板を搭載する電極、真空容器内にプラズマを発生させるためのアンテナ、真空容器内へ処理ガスを均等に供給するためのシャワープレートなどから構成されている。前記アンテナに高周波電力が供給されることによりシャワープレートから処理室内に供給された処理ガスが解離してプラズマが発生し、さらに基板搭載電極上に設置された基板のエッチングが進行する。
【0004】
このようなプラズマエッチング処理装置では、基板のエッチングにより発生した反応生成物の一部が、排気されずに処理室内壁などに付着するため、その反応生成物が剥れてパーティクルとなったり、内壁の状態が変化することによるプラズマ密度・組成の変動、さらにはエッチング性能の変化などを引き起こすという問題がある。
【0005】
反応生成物の処理室側壁への付着を防止するために、ヒータを用いて処理室側壁を加熱することが知られている。このようにすることにより反応生成物の側壁への付着を抑制できるため、処理室側壁からのパーティクルの発生を抑制できる、あるいは処理室側壁の状態が変化することによるプラズマ及びエッチング性能の変動を抑えることが期待できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラズマエッチング装置では、例えば特開2000−124190にあるように、上述のように処理室側壁を加熱することにより、処理室側壁への反応生成物の付着による側壁からのパーティクルの発生や、エッチング性能の変動を抑制することが期待できる。しかし、ヒータを用いて加熱している処理室側壁は最も温度が高くなるが、そのほかの部分の温度は熱伝達を考慮すると容易に理解できるように、処理室側壁の温度よりも相対的に低くなり、側壁以外の場所に反応生成物が付着しやすくなったり、あるいは反応生成物の付着量は減少に効果が小さいという問題が生じる。特にエッチングする基板の上方にあり、側壁からの熱が伝達しにくいシャワープレートは、温度が相対的に低く反応生成物が付着しやすくなり、これが新たなパーティクルの発生要因となったり、さらにはエッチング性能の経時的な変動要因となる。
【0007】
そこで本発明は、基板上方にあるシャワープレートへの反応生成物の付着を抑制し、パーティクルの発生やエッチング性能変動を防ぐことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
シャワープレートへの反応生成物の付着量を抑制するために、シャワープレートの温度を処理室側壁と同等以上、もしくは反応生成物が付着しない温度まで上げるための方法として、処理室側壁を加熱しているヒータをより大出力のヒータにすることが考えられる。しかし、処理室側壁からシャワープレートに伝わる熱量は限られているのでシャワープレートを効果的に加熱することは期待できない。さらに、処理室側壁を加熱しても、その多くの熱は処理室を構成している部品から大気に放出されるため、非常に効率が悪い。
【0009】
そこで本発明は、シャワープレートを効果的に加熱するために、プラズマ処理室内の処理室上部、特にシャワープレート近傍で大気中にある部品に熱源を設けシャワープレートを間接的に加熱すること、さらにシャワープレートの温度を間接的に監視して制御する制御機構を備え、シャワープレートの温度を処理室内壁と同等以上にすることにより、上記目的を達成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1のプラズマエッチング処理装置を用いて説明する。
【0011】
図1に本発明を適用したプラズマエッチング処理装置を示す。本実施例のエッチング装置の処理室1は、処理室側壁2や石英製のシャワープレート3、基板搭載電極4などから構成されている。図には明示していないガス供給系からシャワープレート3と石英板5の間に供給された処理ガスは、シャワープレート3に設けられた多数の穴を通って処理室1に供給される。処理室内の圧力は真空計6で計測され、所定の圧力になるように圧力制御手段を有する排気系7で排気される。プラズマを発生させるための高周波電力は、高周波電源8からマッチング回路9を介してアンテナ10に供給される。アンテナ10の周囲には、電磁波の導波路を構成する誘電体11及びアンテナカバー12が設けられている。また処理室外周部には、処理室1内部に磁場を生成するためのコイル13、14、15があり、磁場が外部に漏れないようにヨーク16が設けてある。さらに基板搭載電極4上にある被処理基板17にバイアス電圧を印加するため高周波電源18が、マッチング回路19を介して接続されている。処理室側壁2の大気側には処理室側壁を加熱するためのヒータ20が設けられている。さらにアンテナカバーの大気側にはシャワープレートを加熱するためのヒータ21が設けてある。
【0012】
処理ガスとして、例えばCl2(100ml/sec)、O2(10ml/sec)をシャワープレート3を通して処理室1内に導入し、真空計6が1Paを示すように排気系7で圧力を制御しながら処理室1内を排気する。アンテナ10に接続されている高周波電源8は450(MHz)の高周波が発生可能な電源を使用して例えば400(W)の高周波電力を供給し、またコイル13−15を用いて処理室内に0.016(T)の等磁場面を形成すると、この等磁場面上で電子サイクロトロン共鳴が起こり、処理室1内にプラズマが効率よく発生する。
【0013】
被処理基板17としてSiウエハを用いた場合、処理室1内に発生したプラズマによって被処理基板17はエッチングされる。このとき基板搭載電極4に接続されている高周波電源18は400kHzで、100(W)の高周波電力を被処理基板17に印加している。
【0014】
ヒータ20によって処理室側壁2は150℃に加熱・制御されていて、さらにヒータ21と、図示しないが温度センサーによってシャワープレート3も150℃に加熱・制御されている。
【0015】
この場合、被処理基板17からはSi系の反応生成物が発生する。そのうち一部は排気系7を通して直ちに処理室外部に排気されるが、残りの反応生成物は排気されずに処理室1内を浮遊する。
【0016】
ヒータ20により処理室側壁2だけが150℃に加熱・制御されている場合、浮遊している反応生成物は温度が低いシャワープレート3に付着するため、パーティクルあるいはプラズマ変動の要因となる。特にシャワープレートが被処理基板と対抗して設けられている場合、パーティクルあるいはプラズマ変動に対する影響は顕著である。また、シャワープレートに反応生成物が付着すると、シャワープレートから吹き出すガスの流れに乗って、剥れた反応生成物がウエハに到達してパーティクルとなる。このためシャワープレートへの反応生成物の付着を抑制することが重要である。
【0017】
しかし、処理室側壁2だけでなく、ヒータ21によりシャワープレート3も150℃に加熱・制御されている場合、浮遊している反応生成物は、処理室側壁2やシャワープレート3に何回も衝突するが、両者の表面温度が150℃と高温のためその表面に吸着することができない。やがて反応生成物は排気系7に到達し、そのまま処理室1の外に排気される。尚、本実施例では、温度制御器としてヒータを用いたが、その他チラユニットや赤外線ランプ加熱等を用いても良い。
【0018】
本発明の請求項2に記載の実施例を図2、3を用いて説明する。図2には本発明の処理室内部の断面図を示したものであり、図には示していないが外部アンテナなどにより処理室内にプラズマ生成が可能な構造である。シャワープレート41の中央の点A、端の点B,処理室側壁43の上部の点C,下部の点D,基板搭載電極45の側面の点Eについて、図には示していない処理室外部に設けた温度制御器によりシャワープレート41を加熱した場合の各点の温度を示したものが図3である。シャワープレート上の点A,Bの温度は処理室内の他の場所よりも温度が高く、またその値は100℃以上になる。
【0019】
図4はシャワープレート153の温度を検知するために、熱電対162をアンテナカバー156に取り付けた実施例である。本来ならばシャワープレート153の温度を直接測定するのが望ましいが、汚染の問題や耐プラズマ性の問題があるため、ここではアンテナカバー156に熱電対162を接続する。ただしあらかじめアンテナカバー156とシャワープレート153の温度関係を測定しておく。熱電対162はヒータ152のリード線151と共に温度制御装置150に接続されていて、アンテナカバー156すなわちシャワープレート153の温度が一定になるように制御可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、シャワープレートを効果的に加熱することが可能になり、シャワープレートを含む処理室内壁に付着する反応成生物量は減少するため、パーティクルの発生が抑制される、あるいはプラズマ密度・組成やエッチング性能の変動も抑制される効果がある。シャワープレートを150℃に加熱制御しない場合、シャワープレートはプラズマからの入熱により90℃になるが、この時のロット内poly−Siレート変動は1.6nm/minである。これに対しシャワープレートを150℃に加熱制御した場合、ロット内のレート変動は0.8nm/minと半減した。さらに、付着する反応成生物量が減少するために処理室を大気開放してウエットクリーニングを実施する間隔が長くなるため、稼働率が向上するという効果がある。この効果はシャワープレートの温度を他の処理室内部品の温度より高くすると、反応生成物は相対的に温度が低い箇所に付着しやすいという性質のため、シャワープレートへの反応生成物の付着が少なくなり、上述の効果が顕著となる。反応生成物の種類にもよるが、一般にシャワープレートの温度が100℃以上となると効果的である。
【0021】
以上の実施例では、UHF−ECR方式を使用したドライエッチング装置を例に説明したが、他の放電(容量結合放電、誘導結合放電、マグネトロン放電、表面波励起放電、TCP放電等)を利用したドライエッチング装置においても同様の作用効果がある。また上記実施例では、Cl2/O2を用いたpoly−Si用ドライエッチング装置について述べたが、他のガス系と被処理材の組合せでも同様の作用効果がある。さらにドライエッチング装置ばかりでなく、その他のプラズマ処理装置、例えばプラズマCVD装置、アッシング装置、表面改質装置においても同様の作用効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すプラズマ処理装置の概略図。
【図2】本発明の処理室内部の温度分布を示すための処理室断面図。
【図3】本発明の処理室内部でシャワープレートの温度が100℃以上であることを示すグラフ。
【図4】本発明の一形態で、シャワープレートの温度を検知するための温度センサーを設けたプラズマ処理装置。
【符号の説明】
1…処理室、2…処理室内壁、3…シャワープレート、4…基板搭載電極、5…石英板、6…真空計、7…排気系、8…高周波電源、9…マッチング回路、10…アンテナ、11…誘電体、12…アンテナカバー、13〜15…コイル、16…ヨーク、17…被処理基板、18…高周波電源、19…マッチング回路、20〜21…ヒータ、22〜23…Oリング、41…シャワープレート、42…Oリング、43…処理室内壁、44…被処理基板、45…基板搭載電極、150…制御装置、151…リード線、152…ヒータ、153…シャワープレート、154…アンテナ、155…誘電体、156…アンテナカバー、157…Oリング、158…Oリング、159…被処理基板、160…基板搭載電極、161…石英板、162…熱電対
Claims (4)
- 処理室内部にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、被処理材に高周波電圧を印加する手段と、真空排気装置が接続され、内部を減圧可能な処理室と、該処理室内へのガス供給装置と、前記処理室内にガスを供給するための多数の穴を設けたシャワープレートからなるプラズマ処理装置において、
前記シャワープレートを、前記処理室外部に設けた熱源により間接的に加熱制御することにより、シャワープレートの温度が、前記処理室内の他のどの部分よりも温度が高いことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1記載のプラズマ処理装置において、前記シャワープレートの温度が100℃以上であることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1または請求項2記載のプラズマ処理装置において、前記シャワープレートが前記被処理材に対向する位置に設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のプラズマ処理装置において、前記シャワープレートの温度を検知するための温度センサーを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
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