JP3698244B2 - 樹脂充填コネクタとその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジング内に樹脂材を充填して防水や防油等を図る樹脂充填コネクタにおける端子の位置決めを正確に行わせる構造の樹脂充填コネクタとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の樹脂充填コネクタを示すものである。
この樹脂充填コネクタ51は、合成樹脂製の雌型のコネクタハウジング52と、コネクタハウジング52内に挿着される合成樹脂製の端子ホルダ(インナプレート)53と、端子ホルダ53に固定される雄型の端子54と、コネクタハウジング52の電線導出部55に嵌着されるゴム栓56と、コネクタハウジング52内に充填されるエポキシ樹脂材57とで概ね構成される。
【0003】
図9の如くコネクタハウジング52のコネクタ嵌合室58内には複数の端子54のタブ部59が等ピッチで複数列に配置されている。コネクタハウジング52は一体にインサート成形された金属ブラケット(図示せず)で機器や車両のギヤボックス等のケース(図示せず)に固定される。図8は図9のA−A断面図である。
【0004】
図10は図8のB部拡大図であり、端子54はそのタブ部59を端子ホルダ53の基壁60の孔部61に圧入されている。タブ部59の両側に一対の突起62が形成され、突起62が孔部61に締まり嵌めで圧入されている。突起以外の部位は隙間嵌めで孔部61に挿入されている。それによって端子54の固定が低挿入力で容易に行われている。
【0005】
図8で、端子54は圧入とエポキシ樹脂材57の硬化によってコネクタハウジング52に固定されている。端子54に接続された電線70はエポキシ樹脂材57の内部を通ってゴム栓56の孔部(図示せず)から導出されている。電線70は例えば前記ケース内に導入され、コネクタハウジング52の外周のOリング63がケースの孔部に密着し、樹脂充填コネクタ51によってケースの内外が電気的に接続される。
【0006】
樹脂充填コネクタ51にはワイヤハーネス等の相手側の雄型のコネクタ(図示せず)が嵌合接続される。エポキシ樹脂材57は端子54を強固に固定させると共に、ケースと外部との間の防水や、ケースからの油等の洩れ出しを防止する。
【0007】
図11〜図12は上記樹脂充填コネクタの製造方法を示すものである。
この製造方法は、先ず図11の如く、合成樹脂製の端子ホルダ53に電線付きの端子54を圧入固定させる。端子ホルダ53と電線付きの端子54とで端子ホルダ組立体64が構成される。
【0008】
端子ホルダ53は、端子54のタブ部59と電線接続部65とを隔絶する前記基壁60と、基壁60と直交して電線接続部側に延びる複数の区画壁66と、コネクタ嵌合室58(図12)側に突出して各タブ部59を区画する区画壁67とを有している。基壁60の孔部61(図10)にタブ部59の突起62が圧入される。
【0009】
次いで、図12の如く、コネクタ嵌合室58の上部開口68からコネクタハウジング52内に端子ホルダ組立体64を組み付ける。端子ホルダ53はコネクタハウジング52の図示しない係止部に係合して固定される。電線70は予め導出部55側の下部開口69からコネクタハウジング52内に挿通させておく。さらに、ゴム栓56をコネクタハウジング52の導出部55に嵌着させる。電線70はゴム栓56の図示しない孔部に予め挿通させておく。
【0010】
そして、前記図8の如く、上部開口68からコネクタハウジング52内に溶融したエポキシ樹脂材57を注入して硬化させる。エポキシ樹脂材57はコネクタハウジング52と端子ホルダ53との隙間から端子54の電線接続部65側と電線70側に注入され下側のゴム栓56まで達する。
【0011】
エポキシ樹脂材57が硬化することで、前述の如く端子54が固定される。相手側のコネクタ(図示せず)を嵌合させることで、端子54に相手側の雌型の端子(図示せず)が電気的に接続される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の樹脂充填コネクタとその製造方法にあっては、端子ホルダ53への端子54の固定はほぼ突起62のみによって行っているために、安定性が悪く、図13の如く、端子ホルダ53に端子54を組み付けた後、端子54や電線70に矢印イの如く軸方向以外の方向の力が加わった場合に、端子54が傾いてしまう(アライメントが狂う)ことがあった。
【0013】
また、端子54の圧入後に端子ホルダ組立体64(図11)をコネクタハウジング52内に挿着し、エポキシ樹脂材57を充填する訳であるが、エポキシ樹脂材57が硬化するまでの間に何らかの力が端子54や電線70に加わった場合に、アライメントが狂った状態で端子54が固定されてしまい、アライメントの修正が不可能となり、その端子54を含むワイヤハーネス全体を廃棄しなければならないという問題を生じた。ワイヤハーネス(図示せず)は複数のコネクタ51と複数の電線70の集合体である。
【0014】
これを防ぐためには、図14〜図15に示す如く、エポキシ樹脂材57が硬化するまでの間で、端子54のアライメントを矯正する治具71をコネクタ嵌合室58内に挿入して、端子54の倒れを防止する方法があるが、この矯正治具71をセットする手間や矯正治具71の作製コストや管理の手間がかかり、生産性やコスト面で問題があった。また、矯正治具71の端子挿入孔72は矯正治具71の脱抜作業性を考えて、端子54の外幅や板厚に較べて大きく形成するために、端子54のアライメントの精度出しにも限界があった。
【0015】
また、矯正治具71と同様の形状の検査治具(図示せず)を用いて端子54のアライメントを検査するが、その頻度も全数に近い検査としなければならず、多くの検査工数が必要であった。検査治具は、端子54のタブ部59を挿入孔(図示せず)に挿入した状態で検査治具の自重でコネクタ嵌合室58内に落とし込むようにしたものであり、取り扱いや操作もなかなか面倒なものであった。
【0016】
本発明は、上記した点に鑑み、矯正治具を用いることなく、端子のアライメントを精度良く出すことができ、樹脂材が硬化するまでの間で例え端子に曲げ方向等の力が加わっても、アライメントが狂うことのない樹脂充填コネクタとその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、端子の基部側を圧入保持させる端子ホルダと、該端子ホルダを挿着するコネクタハウジングと、該コネクタハウジング内に充填する樹脂材とを備える樹脂充填コネクタにおいて、前記端子に対する挿通孔を有して該端子にスライド自在に係合し、且つ前記端子ホルダに接合するアライメント矯正部材を備え、該アライメント矯正部材が該端子に係合しつつ該端子ホルダから離間した状態で前記樹脂材が充填されることを特徴とする(請求項1)。
前記アライメント矯正部材が前記端子ホルダに対して可撓性の係止手段で支持されて、該アライメント矯正部材が該端子ホルダから離間した状態で、前記端子が該アライメント矯正部材と該端子ホルダとで二点支持されることも有効である(請求項2)。
また、前記端子ホルダが前記コネクタハウジングに係止手段で固定されることも有効である(請求項3)。
また、端子ホルダに端子の基部側を圧入保持させ、該端子ホルダをコネクタハウジング内に挿着し、該コネクタハウジング内に樹脂材を充填して該端子を固定させる樹脂充填コネクタの製造方法において、前記樹脂材を充填する前に、アライメント矯正部材の挿通孔を前記端子の先端部側に係合させ、該アライメント矯正部材を前記端子ホルダから離間させた状態で、該樹脂材を充填することを特徴とする(請求項4)。
前記アライメント矯正部材を前記端子ホルダに対して可撓性の係止手段で支持させることも有効である(請求項5)。
また、前記樹脂材の硬化後に前記アライメント矯正部材を押し込んで前記端子ホルダに合体させることを特徴とする(請求項6)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る樹脂充填コネクタの一実施形態を示すものである。
【0019】
この樹脂充填コネクタ1は、従来同様の合成樹脂製の雌型のコネクタハウジング2と、コネクタハウジング2の室内で雄型の端子3の平板状のタブ部(電気接触部)4を圧入固定させた合成樹脂製の端子ホルダ(インナプレート)5と、タブ部4に対するアライメント矯正用の挿通孔6を有し、タブ部4の長手方向に摺動自在で且つ端子ホルダ5に係止固定される合成樹脂製のアライメント矯正部材7とを備えるものである。
【0020】
コネクタハウジング2は、矩形状の大きな室部8を構成する前後左右の壁部9及び底壁10と、底壁10から開口して外部に続くやや狭い挿通空間11を成す矩形状ないし環状の壁部12とで構成されている。室部8の奥行方向中間部に端子ホルダ組立体13が収容され、端子3に圧着接続された電線14が端子ホルダ5から挿通空間11内のゴム栓(パッキン)15の孔部(図示せず)を経て外部に導出されている。端子ホルダ5と底壁10の間及び挿通空間11内に熱可塑性のエポキシ樹脂材(樹脂材)16が充填されている。樹脂材はエポキシ樹脂材16に限らず、流動状に軟化した状態から硬化するものであれば何でも使用可能である。
【0021】
端子ホルダ5はコネクタハウジング2の壁部9の内面に沿って挿入され、図2に示す如く可撓性の枠状の係止アーム17(係止手段)の孔部45をコネクタハウジング2の内壁18の係合突起19(係止手段)に係合させることで、しっかりと固定されている。係止アーム17は端子ホルダ5のXY方向(90度方向)に二ないし四個設けられている。係止アーム17が一つでも固定は可能である(図6参照)。
【0022】
図2で、符号20は相手ケース(図示せず)に対する固定用のブラケット、21はケースの組付孔に密着するOリング(パッキン)、22は相手側コネクタハウジングに対するロック突起、23は同じく嵌合ガイドを示す。
【0023】
図1においてコネクタハウジング2の内壁(符号9で代用する)のコネクタ嵌合方向中間部に段差部23が形成され、段差部23の下側において端子ホルダ5の側面がコネクタハウジング2の内壁面24に接している。段差部23の上側で室部8が一段広くなっており、端子ホルダ5は段差部23の上側まで突出し、その上側部分に、アライメント矯正部材7に対する位置決め固定用の溝25と係合突起26(係止手段)とを有している(図6参照)。
【0024】
アライメント矯正部材7が端子ホルダ5の上端面27に接した状態で、アライメント矯正部材7の可撓性の係止枠部28(係止手段)が溝25と係合突起26に係合し、それによってアライメント矯正部材7が端子ホルダ5に固定されている。段差部23による内壁9と端子ホルダ5との間の空間(隙間)29は係止枠部28の撓み空間として作用する。なお、本実施形態での上下の定義はエポキシ樹脂材16を注入する際の上下であり、必ずしもコネクタ1の固定方向と一致するものではない。
【0025】
アライメント矯正部材7を貫通して端子3のタブ部4がコネクタ嵌合室内に突出している。コネクタ嵌合室(符号8で代用)はコネクタハウジング2内の前記室部8の一部であり、アライメント矯正部材7とコネクタハウジング2の上部開口30との間に構成されている。
【0026】
アライメント矯正部材7は、前後二列の複数の端子3に対する各挿通孔6を等ピッチで有する基板部32と、各端子3を区画する短い区画壁33と、押圧操作用の一対の突出板34と、基板部32の両側ないし前後左右の四方向に垂設された前記係止枠部28とで構成されている(図6参照)。
【0027】
基板部32は矩形状のコネクタ嵌合室8の内壁との間に隙間29を存して挿入可能なように、コネクタ嵌合室8の断面積よりも小さな面積で矩形状に形成されている。基板部32の挿通孔6は端子3のタブ部4の幅及び板厚よりも若干大きい程度であり、ガタつきなくタブ部4を保持している。この挿通孔6の大きさは従来の端子ホルダの挿通孔よりも小さい。
【0028】
区画壁33は端子3のタブ部4の長手方向中間部に位置し、突出板34はタブ部4の先端よりも上側に突出し、且つ上部開口30よりも下側に位置している。各区画壁33及び突出板34は相手側コネクタ(図示せず)に対する嵌合時の位置決め部としても作用する。
【0029】
また、端子ホルダ5は、各端子3のタブ部4の突起35を圧入する複数の挿通孔36を有する基壁37と、基壁37から垂下され、端子3の電線圧着部38側を内側に収容する区画壁39とで構成されている。基壁37は前記アライメント矯正部材7の基板部32の二倍程度の板厚を有し、端子ホルダ5とアライメント矯正部材7とを合わせた厚さは従来の端子ホルダの板厚にほぼ等しい。基壁37の挿通孔36は従来と同じ大きさであり、タブ部4の突起35のみを締まり嵌めで圧入し、タブ部4の他の部位は隙間嵌めである。
【0030】
端子3のタブ部4と電線圧着部38との間に一対の突出部40が形成され、この突出部40が区画壁39に接して位置し、電線圧着部38の上半部が区画壁39の内側に位置している。区画壁39は外壁46(図6)で箱状に周囲を囲まれている。基壁37の両側ないし四方に前記係合突起26と溝25とが形成されている(図6参照)。
【0031】
電線14は長手方向中間部で皮剥きされて導体部41を露出させ、導体部41が端子3の電線圧着部38に圧着接続されている。電線圧着部38は一対の導体圧着片で構成されている。端子3の突出部40から下側にかけてエポキシ樹脂材16が充填され、導体部41を含む電線14がエポキシ樹脂材16で隙間なく埋められている。
【0032】
図3〜図5は樹脂充填コネクタの製造方法の一実施形態を示すものである。
図3の如く、先ずコネクタハウジング2内に上部開口30から端子ホルダ組立体13を挿着し、次いでアライメント矯正部材7を上部開口30から挿入して、端子3のタブ部4の先端側を基板部32の挿通孔6に挿入させた状態で、アライメント矯正部材7を端子ホルダ5から浮かせて隙間42を開けた状態に保持させる。
【0033】
すなわち、アライメント矯正部材7の下向きの係止枠部28の先端を端子ホルダ5の上端面27(正確には係合突起26の上端面)に当接させることで、アライメント矯正部材7の基板部32と端子ホルダ5の基壁37とを大きく離間させる。これにより、端子3のタブ部4が端子ホルダ5で基部側を、アライメント矯正部材7で先端側をそれぞれ保持され、各端子3が倒れ(アライメントの狂い)なく正確なピッチで垂直方向に位置決めされる。アライメント矯正部材7の挿入作業は一対の突出板34を摘むことでバランス良く容易に行われる。
【0034】
アライメント矯正部材7を図示しない仮係止手段(例えば係止枠部38から延長された仮係止枠部)で端子ホルダ5に仮係止させることも可能である。また、アライメント矯正部材7を部分的にコネクタハウジング2の内壁面に接触させて位置決めすることも可能である。
【0035】
アライメント矯正部材7の基板部32の挿通孔6はタブ部4の断面積よりも若干大きい程度であるから、図4に示す如く、タブ部4の上下を二点支持で位置決めすることで、図13の従来の端子ホルダに較べて端子支持距離Lが拡大し、端子3の位置決め精度が格段に向上する。また、図15の従来の矯正治具を用いる場合に較べて、後述の如くアライメント矯正部材7は組付後に脱抜する必要がないから、タブ部4との隙間を極めて小さくでき、それにより端子3の振れが小さく抑えられる。
【0036】
図3においてコネクタハウジング2への端子付きの電線14の挿入作業やゴム栓15の挿着作業は従来と同様であるので説明を省略する。
アライメント矯正部材7で端子3を位置決めした状態で、図5の如くエポキシ樹脂材16をコネクタハウジング2内に注入する。エポキシ樹脂材16はコネクタハウジング2の内壁とアライメント矯正部材7との隙間29及び端子ホルダ5との隙間(図示せず)から基壁37の下側の空間に充填される。
【0037】
この際、端子3や電線14に曲げ方向(タブ部4の板厚方向や幅方向)の力が作用しても、アライメント矯正部材7が複数の端子3のタブ部4を同時に且つガタつきなく支持しているから、端子3の位置ずれ(アライメントの狂い)を生じることがなく、端子3が正規の位置に起立した状態でエポキシ樹脂材16で固められて位置精度良く固定される。
【0038】
エポキシ樹脂材16の硬化後に、前記図1及び図6,図7の如くアライメント矯正部材7を押し込んで、端子ホルダ5に接合係止させる。この押し込み操作は突出板34を押すことで容易に行われる。アライメント矯正部材7の挿通孔6をタブ部4が相対的に摺接して、アライメント矯正部材7がスムーズにスライド移動する。
【0039】
図4の状態からアライメント矯正部材7を下向きに押圧することで、可撓性の係止枠部28が外側に撓み、アライメント矯正部材7が端子ホルダ5に接合すると同時に、係止枠部28が復元して端子ホルダ側面の矩形状の溝部25に係合すると共に、溝部25内の係合突起26が係止枠部28の孔部44に係合する。
【0040】
係合突起26(図6)は上向きの傾斜面26aと下向きの係止面26bとを有しており、係止枠部28が傾斜面26aに沿って下降し、係合突起26が孔部44に進入し、孔部44の下端が係止面26bに当接する。係止枠部28が溝部25に係合することで、端子ホルダ5に対してアライメント矯正部材7が位置決めされ、係合突起26が孔部44に係合することで、アライメント矯正部材7がしっかりと固定される。
【0041】
アライメント矯正部材7が端子ホルダ5に合体することで、タブ部4の保持長さが増して従来と同程度になり、エポキシ樹脂材硬化後のタブ部4の曲げ等に対する端子4の保持性が高まる。また、アライメント矯正部材7の区画壁33によって各タブ部4の間の沿面距離が増して絶縁性が高まると共に、相手側コネクタ(図示せず)との嵌合時の位置決めが正確に行われる。
【0042】
なお、上記実施形態においてはタブ部4を有する雄型の端子3を用いたが、平板状のタブ部4に代えて、図示しないピン状の電気接触部や矩形箱状の雌型の電気接触部を用いることも可能である。その場合、アライメント矯正部材7や端子ホルダ5にそれぞれの端子形状に応じた挿通孔(6,36)を設ける。
【0043】
また、図3におけるアライメント矯正部材7の仮支持を係止枠部28に代えてコネクタハウジング2側の仮係止部(図示せず)で行わせることも可能である。また、端子ホルダ5が上向きの可撓性の係止枠部(図示せず)を有し、アライメント矯正部材7が係止枠部に対する係合突起(図示せず)を有する構成とすることも可能である。また、係止枠部28に代えて係止突起を有する係止アーム(図示せず)を用いることも可能であり、その場合は端子ホルダ5の係合突起26に代えて係合穴を設ける。
【0044】
また、図3で端子ホルダ5にアライメント矯正部材7を仮保持させた状態で、アライメント矯正部材7を端子ホルダ5ごとコネクタハウジング2内に挿着することも可能である。また、端子3が複数でなく一つである場合でも上記樹脂充填コネクタの構成は有効である。
【0045】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載に発明によれば、アライメント矯正部材を端子ホルダから離間させて、アライメント矯正部材の挿通孔と端子ホルダの圧入孔とで端子を二点支持することにより、端子が正確に位置決めされて、複数の端子のアライメントがアライメント矯正部材の装着で一度に正確に規定される。そして、その状態で樹脂材を充填すれば、樹脂材充填時に例え端子が樹脂材で押されたり、外部から端子に曲げ等の力が加わったり、電線が引っ張られて端子に曲げ力が加わった場合でも、端子が傾くことがなく、端子の真直度及びアライメントが正確に確保される。これにより、相手側コネクタの端子との接続がかじり等なくスムーズに行われ、電気的接続の信頼性が向上すると共に、従来のように端子のアライメント不良によりワイヤハーネス全体を廃棄するという無駄が防止される。また、アライメント矯正部材は従来の矯正治具のように一々取り外す手間が要らないから、生産性が向上すると共に、従来の矯正治具の挿通孔に較べてアライメント矯正部材の挿通孔をより小さくできるから、端子の倒れ(傾き)も格段に小さくなり、製品品質が向上する。そのため、端子のアライメント検査も抜取検査で済み、検査工数が低減される。
【0046】
また、請求項2,5記載の発明によれば、可撓性の係止手段でアライメント矯正部材が支持されるから、アライメント矯正部材を押圧することで、係止手段が撓んで支持が解除され、端子ホルダに簡単且つ確実に接合させることができる。これにより、コネクタの組立作業性が向上する。
また、請求項3記載の発明によれば、端子ホルダを係止手段でコネクタハウジングに簡単に固定でき、コネクタの組立作業性が向上する。
【0047】
また、請求項4記載の発明によれば、端子の基部側を端子ホルダで保持し、端子の先端部側をアライメント矯正部材で保持することで、端子が長い距離で二点支持され、位置決めが精度良く行われ、各端子のアライメント出しが正確に行われる。それにより、請求項1記載の発明と同様の効果を奏する。
【0048】
また、請求項6記載に発明によれば、樹脂材の硬化後にアライメント矯正部材を端子ホルダに合体させることで、端子の基部側を保持する長さが増し、端子の曲げに対する剛性がアップすると共に、樹脂材による固定が補強され、樹脂材硬化後の端子の位精精度が保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂充填コネクタの一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】樹脂充填コネクタを図1とは90度位相した方向から見た状態の縦断面図である。
【図3】樹脂充填コネクタの製造方法の一過程を示す縦断面図である。
【図4】同じく一過程における特徴を示す説明図である。
【図5】製造方法の次の過程を示す縦断面図である。
【図6】端子ホルダにアライメント矯正部材を装着する状態を示す側面図である。
【図7】端子ホルダにアライメント矯正部材を装着した状態を示す側面図である。
【図8】従来の樹脂充填コネクタを示す縦断面図である。
【図9】同じく樹脂充填コネクタを示す平面図である。
【図10】図8のB部拡大図である。
【図11】従来の樹脂充填コネクタの製造方法の一過程を示す正面図である。
【図12】同じく製造方向の次の過程を示す縦断面図である。
【図13】従来の樹脂充填コネクタの問題点を示す説明図である。
【図14】従来の矯正治具を用いた製造方法を示す縦断面図である。
【図15】従来の矯正治具の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
1 樹脂充填コネクタ
2 コネクタハウジング
3 端子
5 端子ホルダ
6 挿通孔
7 アライメント矯正部材
16 エポキシ樹脂材(樹脂材)
17 係止アーム(係止手段)
19 係合突起(係止手段)
28 係止枠部(係止手段)

Claims (6)

  1. 端子の基部側を圧入保持させる端子ホルダと、該端子ホルダを挿着するコネクタハウジングと、該コネクタハウジング内に充填する樹脂材とを備える樹脂充填コネクタにおいて、前記端子に対する挿通孔を有して該端子にスライド自在に係合し、且つ前記端子ホルダに接合するアライメント矯正部材を備え、該アライメント矯正部材が該端子に係合しつつ該端子ホルダから離間した状態で前記樹脂材が充填されることを特徴とする樹脂充填コネクタ。
  2. 前記アライメント矯正部材が前記端子ホルダに対して可撓性の係止手段で支持されて、該アライメント矯正部材が該端子ホルダから離間した状態で、前記端子が該アライメント矯正部材と該端子ホルダとで二点支持されることを特徴とする請求項1記載の樹脂充填コネクタ。
  3. 前記端子ホルダが前記コネクタハウジングに係止手段で固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂充填コネクタ。
  4. 端子ホルダに端子の基部側を圧入保持させ、該端子ホルダをコネクタハウジング内に挿着し、該コネクタハウジング内に樹脂材を充填して該端子を固定させる樹脂充填コネクタの製造方法において、前記樹脂材を充填する前に、アライメント矯正部材の挿通孔を前記端子の先端部側に係合させ、該アライメント矯正部材を前記端子ホルダから離間させた状態で、該樹脂材を充填することを特徴とする樹脂充填コネクタの製造方法。
  5. 前記アライメント矯正部材を前記端子ホルダに対して可撓性の係止手段で支持させることを特徴とする請求項4記載の樹脂充填コネクタの製造方法。
  6. 前記樹脂材の硬化後に前記アライメント矯正部材を押し込んで前記端子ホルダに合体させることを特徴とする請求項4又は5記載の樹脂充填コネクタの製造方法。
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