JP3697519B2 - 路車間通信方式 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、路車間通信方式に関し、ITS(高度道路交通システム)等における路車間通信技術分野に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
路車間通信は、道路側装置と、走行する車両に搭載された車載装置と、の間の無線通信により、走行支援情報の授受、道路管理情報の授受、さらには車両のドライバへの各種情報の提供を行なう。換言すると、路車間通信は、道路側装置が情報を載せた電波を道路上の狭い領域に放射し、その領域を走行する車両の車載装置が電波を受信して情報を処理し、反対に車載装置が放射する電波を道路側装置が受信し情報処理することにより、道路側装置と車両との無線通信が行なわれることを可能とするものである。
【0003】
路車間通信を用いた走行支援道路システムは、走行支援サービス区間を開始する基準点から相対的な位置で、走行する車両で障害物の存在地点や路面が凍結している地点等の位置を走行支援情報により、車載装置に伝える。
【0004】
車載装置は、自車両の積算距離計により、この基準点をもとに自車両の走行位置を認識し、路車間通信の情報に含まれる障害物の存在地点等に近づいたことを判断してドライバに警告を与える。
【0005】
車載装置が道路側装置から情報を受信する地点は、道路側装置の構成要素である路側空中線が形成する通信領域に走行支援サービスを受ける車両が進入した位置である。
【0006】
路車間通信を用いた走行支援道路システムは、道路に沿って2個所に道路側装置を設置し、車載装置は車両が走行する方向の上流側に設置された第1の道路側装置が送出する装置識別情報Aを車載装置が抽出した時刻に車両が走行している地点を走行支援サービス区間が開始する基準点と判断し、車両が走行する方向の下流側に設置された第2の道路側装置が送出する装置識別情報B及び走行支援情報を車載装置が抽出し、その中の走行支援情報をもとにドライバに警告を与える。
【0007】
車両が走行支援サービス区間を走行する場合、車載装置は第1の道路側装置の装置識別情報Aに次いで第2の道路側装置の装置識別情報Bを受信したことを識別し、走行支援情報が有効であることを判断する。対向車線を走行する車両は、車載装置は装置識別情報Bに次いで装置識別情報Aを受信したことを識別し、走行支援情報が無効であることを判断する。
【0008】
しかしながら、道路側装置から放射された電波は、目的の道路上の通信領域ばかりではなく、対向車線あるいは隣接する道路へも伝播してしまうことが知られている(この現象を「電波漏れ」と呼ぶことにする。)。
【0009】
走行支援サービス区間の道路と並走する道路を走行する車両は、走行支援サービスの対象ではないにもかかわらず、車載装置が装置識別情報Aに次いで装置識別情報Bを受信したことを識別し、走行支援情報が有効であることを誤って判断してしまう恐れがある。この結果、誤った走行支援情報による警告を受けたドライバが不必要な判断を行い、運転操作を混乱させる恐れがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、あらかじめ設定した第1の道路側装置の装置識別情報Aを受信する位置から第2の道路側装置の装置識別情報Bを受信する位置までの距離と、実際に走行した距離を比較し、正しく走行支援サービス区間を走行していることを識別し、走行支援情報を有効と判断することができる路車間通信方式を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、この発明は、道路上に狭域の無線ゾーンを形成する道路側装置と、車両に搭載した車載装置との間の情報送受信を行うもので、道路側装置は、道路に沿って2個所に設置され、車両が走行する方向の上流側に設置された第1の道路側装置は、自らの道路側装置の装置識別情報Aを送出し、車両が走行する方向の下流側に設置された第2の道路側装置は、自らの道路側装置の装置識別情報Bに加えて、走行支援情報を送出する路車間通信方式であって、前記車載装置は、第1,2の道路側装置が送出する情報から道路側装置の装置識別情報A,Bを抽出する手段と、第1の道路側装置の装置識別情報Aを蓄積する手段と、第1の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Aを抽出したときにタイマの計数を開始する手段と、第2の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Bを抽出し、蓄積している装置識別情報Aと比較する手段と、前記比較手段による比較結果が一致したときに前記計数開始手段で計数を開始したタイマの計数を停止する手段と、前記計数停止手段で停止したタイマから経過時間を読みとる手段と、第1の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Aを抽出した地点から、第2の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Bを抽出した地点までの区間を車両が走行するときの走行速度を検出する手段と、前記経過時間読取手段で読み取った経過時間と前記走行速度検出手段で検出した走行速度を乗算して走行距離を求める手段と、第1の道路側装置の情報を受信してから第2の道路側装置の情報を受信するまでのあらかじめ設定した走行距離設定値と、前記走行距離を求める手段で求めた走行距離を比較する手段と、前記走行距離比較手段で比較した結果があらかじめ設定した走行距離値より大きいときに、前記抽出手段で抽出した走行支援情報を有効であると判断する手段とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1は第1の道路側装置及び車載装置の構成を示すブロック図、図2は第2の道路側装置及び車載装置の構成を示すブロック図、図3は車載装置の情報処理部を拡大して示すブロック図、図4は車載装置の動作フロー図、図5は道路側装置の配置を示す図である。
【0014】
図1,2に示すように道路の路側に設置された道路側装置と、道路を走行する車両に搭載された車載装置とから構成され、両者間で無線電波による送受信を行う。道路側装置は、例えば、図5に示すように走行支援サービス区間の道路に沿って2個所設置され、道路上に2つの無線通信を行う通信領域を形成するが、第1の道路側装置は、車両が走行する方向の上流側に設置され、第2の道路側装置は、車両が走行する方向の下流側に設置されている。第1の道路側装置と第2の道路側装置は、図1,2に示すようにほぼ同様な構成からなっている。すなわち、路側に設置した空中線柱の上に取り付けられて道路上の通信領域で無線電波の送受信を行う空中線、道路路側に設置して無線電波から情報を抽出または情報を無線電波に変換を行う無線通信部、及び送信する情報の作成及び受信した情報の処理を行う情報処理部から構成される。異なるところは第1の道路側装置の情報処理部が自らの道路側装置の装置識別情報Aを送出するだけであるのに対して、第2の道路側装置の情報処理部が自らの道路側装置の装置識別情報Bに加えて、走行支援情報をも送出する点である。
【0015】
車載装置は、道路側装置の無線通信に対向する無線電波の送受信を行う空中線、無線電波から情報を抽出または情報を無線電波に変換を行う無線通信部、送信する情報の作成及び受信した情報の処理を行う情報処理部から構成される。車載装置の情報処理部は、図3に示すように第1,2の道路側装置が送出する情報から各道路側装置の装置識別情報A,Bを抽出する情報抽出手段と、第1の道路側装置の装置識別情報Aを蓄積する蓄積手段と、第1の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Aを抽出したときにタイマの計数を開始する開始手段と、第2の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Bを抽出し、蓄積している装置識別情報Aと比較する比較手段1と、前記比較手段1による比較結果が一致したときに前記開始手段で計数を開始したタイマの計数を停止する停止手段と、前記停止手段で停止したタイマから経過時間を読み取る読取手段と、第1の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Aを抽出した地点から、第2の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Bを抽出した地点までの区間を車両が走行するときの走行速度を検出する走行速度検出手段と、前記読取手段で読み取った経過時間と前記走行速度検出手段で検出した走行速度を乗算して走行距離を求める乗算手段と、第1の道路側装置の情報を受信してから第2の道路側装置の情報を受信するまでのあらかじめ設定した走行距離設定値と前記乗算手段で求めた走行距離を比較する比較手段2と、前記比較手段2で比較した結果があらかじめ設定した走行距離値より大きいときに、前記抽出手段で抽出した走行支援情報を有効であると判断する判断手段と、を有している。
【0016】
前記において走行支援サービス区間の道路と並行する道路が車両の走行方向の左側(図5で下側)に位置する場合は、電波の放射方向に指向性があり、電波が放射する方向の反対側への電波の電力が小さくなるため、誤って受信する可能性は極めて少ない。従って、走行支援サービス区間の道路と並走する道路が車両の走行する方向の右側(図5で上側)に位置する場合を対象とする場合ついて述べる。
【0017】
道路側装置が形成する通信領域は、車両との通信が成立するために十分な長さを設定する。第2の道路側装置が送出する走行支援情報等を車載装置が受信するとき、情報を受信するまでに費やす時間が大きいため、長い通信領域を必要とする。第2の道路側装置が、この通信領域をカバーする無線ゾーンを形成するためには、電波を斜めに放射する。第1の道路側装置が送出する情報は小さな量であり、かつ車載装置が情報を抽出するときの車両の走行位置の範囲を小さくするため、短い通信領域とする。第1の道路側装置の通信領域をカバーする無線ゾーンの電波の放射方向は、第2の道路側装置が放射する電波ほど斜めではない。
【0018】
前記両無線ゾーンは、路側空中線に近いところを走行する車両に対するより、遠いところを走行する車両に対する方が、二つの無線ゾーンが近づくことになる。走行支援サービス区間の道路と並走する道路を走行する車両が第1の道路側装置の情報を受信してから第2の道路側装置の情報を受信までの距離は、走行支援サービス区間の道路を走行する車両のその距離より短いことになる。
【0019】
そこで、このようなときの車載装置の動作について図4を参照して説明する。第1の道路側装置が送出する装置識別情報Aを前記情報抽出手段が抽出すると、タイマの値を0に設定し、前記開始手段がカウントを開始する。また第2の道路側装置が送出する装置識別情報Bを前記情報抽出手段が抽出すると、前記蓄積手段で蓄積していた装置識別情報Aと装置識別情報Bを比較手段1で比較し、一致したときタイマの値を前記停止手段が停止させる。
【0020】
次に装置識別情報Aを抽出した地点から装置識別情報Bを抽出した地点までの区間を車両が走行するときの走行速度を前記走行速度検出手段で検出する。一方、停止したタイマから前記読取手段で経過時間を読み取り、該読み取った経過時間Nと前記走行速度検出手段で検出した走行速度Vを乗算手段で乗算して走行距離Dを求める。そして、走行距離設定値としてあらかじめ設定した値Mと前記乗算手段で求めた走行距離Dを比較手段2で比較する。
【0021】
そして、比較手段2で比較した結果があらかじめ設定した走行距離値より大きいときに、前記判断手段が前記抽出手段で抽出した走行支援情報を有効と判断し、小さいときには無効と判断する。
【0022】
なお、走行支援サービス区間の道路と並走する道路が走行車両の左側(図5で下側)に位置する場合には、第1の道路側装置が形成する無線ゾーンと第2の道路側装置が形成する無線ゾーンの間隔が大きくなる。
【0023】
従って、あらかじめ第2の走行距離値を設定し、実際に求めた走行距離が第2の走行距離値より小さいときに、抽出した走行支援情報を有効とする手段を併せることにより、課題を解決できる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、この発明の路車間通信方式によれば、あらかじめ設定した第1の道路側装置の装置識別情報Aを受信する位置から第2の道路側装置の装置識別情報Bを受信する位置までの距離と、実際に走行した距離を比較し、正しく走行支援サービス区間を走行していることを識別し、走行支援情報を有効と判断することができることとなり、従来起きていた走行支援サービス区間の道路と並走する側道に、走行支援サービス区間の走行支援情報を送信する電波が漏れ出しているとき、その側道を走行する車両の車載装置が誤って走行支援情報を受信し、その走行支援情報による警告を受けたドライバが不必要な判断を行い、運転操作を混乱させることを防ぐことができる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す第1の道路側装置及び車載装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の第2の道路側装置及び車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同上の車載装置の構成を詳しく示すブロック図である。
【図4】同上の車載装置の動作フロー図である。
【図5】同上の道路側装置の配置を示す図である。

Claims (1)

  1. 道路上に狭域の無線ゾーンを形成する道路側装置と、車両に搭載した車載装置との間の情報送受信を行うもので、道路側装置は、道路に沿って2個所に設置され、車両が走行する方向の上流側に設置された第1の道路側装置は、自らの道路側装置の装置識別情報Aを送出し、車両が走行する方向の下流側に設置された第2の道路側装置は、自らの道路側装置の装置識別情報Bに加えて、走行支援情報を送出する路車間通信方式であって、
    前記車載装置は、
    第1,2の道路側装置が送出する情報から道路側装置の装置識別情報A,Bを抽出する手段と、
    第1の道路側装置の装置識別情報Aを蓄積する手段と、
    第1の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Aを抽出したときにタイマの計数を開始する手段と、
    第2の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Bを抽出し、蓄積している装置識別情報Aと比較する手段と、
    前記比較手段による比較結果が一致したときに前記計数開始手段で計数を開始したタイマの計数を停止する手段と、
    前記計数停止手段で停止したタイマから経過時間を読みとる手段と、
    第1の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Aを抽出した地点から、第2の道路側装置が送出する情報から装置識別情報Bを抽出した地点までの区間を車両が走行するときの走行速度を検出する手段と、
    前記経過時間読取手段で読み取った経過時間と前記走行速度検出手段で検出した走行速度を乗算して走行距離を求める手段と、
    第1の道路側装置の情報を受信してから第2の道路側装置の情報を受信するまでのあらかじめ設定した走行距離設定値と、前記走行距離を求める手段で求めた走行距離を比較する手段と、
    前記走行距離比較手段で比較した結果があらかじめ設定した走行距離値より大きいときに、前記抽出手段で抽出した走行支援情報を有効であると判断する手段と、
    を有することを特徴とする路車間通信方式。
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