JP3696897B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特に複数の固体撮像素子を用いてダイナミックレンジを拡大させた撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレビジョンカメラ、電子スチルカメラ等の撮像装置における画像の取り込み手段として、CCD撮像素子を始めとする固体撮像素子が多く使用されている。この固体撮像素子のダイナミックレンジは銀塩等に比べて狭く、撮影条件によっては画質が著しく劣化する。
【0003】
そこで、固体撮像素子のダイナミックレンジ拡大の方法として、同一シーンにおいて露光量の異なる複数枚の画像を撮影し、これらの複数の画像データを何らかの演算により合成してダイナミックレンジの拡大された画像を得る手法が提案されている。その際、被写体の撮影方法として、単一の撮像素子を用いて撮影動作を複数回に分ける方法や、複数の撮像素子の露光量を何らかの手段で変えて撮影する方法などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の撮像装置にあっては、動きのある被写体を撮影する時やムービーに応用する際に、露光量の異なる複数枚の画像を合成するため、例えば単一の撮像素子を用いて複数の画像信号を得る場合に、最初に取り込まれる第1の画像とn番目に取り込まれる第nの画像との間で時間差が生じてしまい、合成する各画像で同時性がないものとなってしまう問題点があり、また、複数枚の画像を撮像する時間差を少なくするために撮像素子の高速読み出しを行うので、駆動機構が複雑になってしまうという問題点があった。
【0005】
一方、複数枚の画像の時間差を少なくするために複数の撮像素子を用いた場合、従来のように露光量を変える手段としてNDフィルタを用いると、同一シーンにおける被写体の撮影時に、露光量の変化幅が一定かもしくは被写体の照度あるいは動きに合わせて自由に露光量を変化できないという問題点があり、更に、NDフィルター挿脱のための複雑な機構が必要になるという問題点があった。
【0006】
また、従来では被写体の撮影方法や複数枚の画像データを1枚分の画像データに合成する方法については紹介されているが、どのような複数枚の画像データを用いて合成を行えばダイナミックレンジの拡大された良好な画像データが得られるかについては何も述べられていない。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、簡単な構成で、画質の優れた合成画像が得られ、ダイナミックレンジの広い撮像装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の撮像装置は、次のように構成したものである。
【0010】
像光を光電変換する複数の撮像素子と、
1回の撮像動作で前記各撮像素子の露光量を異ならせる制御手段と、
前記任意の撮像素子の出力から色信号を生成して、当該色信号より色差信号を生成する色信号生成手段と、
前記露光量が異なる撮像素子からの出力に基づき、露光量が異なるそれぞれの輝度信号を1枚の画面分の輝度信号に合成する合成手段と、
その合成した輝度信号、及び前記露光量が異なる撮像素子からのそれぞれの出力信号のうち1の出力信号に基づいて生成された色信号により1枚の画面分の画像信号を生成する信号処理手段とを備えた。
【0011】
【作用】
本発明の撮像装置においては、上記の構成により、1回の撮影動作で複数の輝度信号と色信号が得られ、複数の輝度信号を1枚のダイナミックレンジの広い輝度信号に合成し、その後色をつけており、その輝度信号と色信号を分けることによって、合成による色のバランスのくずれがなくなり、非常に画質の優れた合成画像が得られる。
【0013】
【実施例】
図1は本発明の第1の実施例の構成を示すブロック図である。図において、1は被写体からの撮像光が入射するレンズ、2はその光路中にあって複数のCCD等の撮像素子3,4,5に撮像光を分けるプリズム(分光手段)で、このプリズム2により被写体像が各撮像素子3,4,5に分けられ、各々の撮像素子3,4,5から光電変換された画像信号が出力される。
【0014】
6,7,8は各撮像素子3,4,5からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、9は第1の撮像素子3の出力から得られた色信号より色差信号(R−Yn,B−Yn)を生成する色差信号生成器(色差信号生成手段)、10は第2の撮像素子4及び第3の撮像素子5の出力から得られた複数の画像信号のうちの輝度信号を1枚の画面分の広ダイナミックレンジの輝度信号に合成する合成処理回路(合成手段)、11はその合成した輝度信号と上記生成された色差信号により1枚の画面分の画像信号(RGB信号)を生成する信号処理回路(信号処理手段)で、これらの回路10,11は演算回路等により構成されている。
【0015】
12は信号処理回路11から出力されたRGBの画像信号のガンマ補正を行うガンマ補正回路、13は第1の撮像素子3の受光部に設けられた色フィルタ、14,15,16はプリズム2と各撮像素子3,4,5との間の光路中に配置された光学ローパスフィルタ、18は1回の同一シーンの撮像動作で各撮像素子3,4,5の露光量を変化させる制御回路(制御手段)である。
【0016】
次に動作について説明する。撮影された被写体像(不図示)は、レンズ1を経てプリズム2により3方向に分散され、光学ローパスフィルタ14,15,16及び色フィルタ13を通って各撮像素子3,4,5に投影される。そして、制御回路18の露光制御により、1回の撮影動作で、第1の撮像素子3からは色信号、第2の撮像素子4及び第3の撮像素子5からは異なる露光量の輝度信号が得られる。この時、露光量の変え方として本実施例では、第2の撮像素子4と第3の撮像素子5の電子シャッタースピードを変え、露光量の異なる画像信号を得るようにしている。例えば、撮像素子4から適正露光の信号を得て、撮像素子5からは異なる露光量の信号を得るようにし、また色信号は適正露光で得るようにしている。
【0017】
表1は上記露光量の変え方の例を示したものである。露光例1,2の何れにおいても第1の撮像素子3は適正露光となっており、また第2の撮像素子4も適正露光、第3の撮像素子5は過度露出か露出不足している。
【0018】
【表1】
Figure 0003696897
【0019】
また、図2は各撮像素子3,4,5の駆動タイミングを示す図である。なお、ここでは第3の撮像素子5を過度露出にした場合を示しており、垂直同期信号Vに合わせて各撮像素子3,4,5から同時に信号の読み込み(Read)が行われる。
【0020】
上記のようにして各撮像素子3,4,5から得られた画像信号は、A/D変換器6,7,8によりデジタル信号に変換される。ここで、例えば図3の(a)のようなダイナミックレンジの広い被写体を表1の露光例1の条件で撮影した場合、シャッタースピード1/250の撮像素子4から得られた適正露光の画像輝度信号は図3の(b)のように暗い部分の領域が黒くつぶれていて、またシャッタースピード1/60の撮像素子5から得られた過度露光の画像輝度信号は図3の(c)のようになって明るい領域が白くつぶれている。そして、これらの撮像素子4と撮像素子5から得られた画像輝度信号を合成処理回路10で合成を行うと、図3の(d)のようなダイナミックレンジの広がった画像輝度信号Yhが得られる。
【0021】
一方、同時に第1の撮像素子3から得られた色信号を用いて、色差信号生成回路9は輝度信号Yn及び色差信号R−Yn,B−Ynを生成する。信号処理回路11は、この色差信号生成器9からの色差信号R−Yn,B−Ynと合成処理回路10からの輝度信号Yhを用いてRGB信号を作る。そして、このRGB信号はガンマ補正回路12を通して出力され、ダイナミックレンジの拡大された画像信号が得られる。尚、最終的にNTSC等のTV信号を作るのではなく、コンピューター等に供給する為には色差信号でなくR,G,Bの信号を輝度信号に多重しても良い。
【0022】
以上のようにして被写体を撮影することにより、1回の撮影動作で複数の画像信号が得られる。その際、電子シャッタースピードを用いて各々の露光量を変えるようにしているので、同一シーンでの露光量の変化幅を被写体の照度あるいは動きに対して自由に変化させることができる。また、異なる撮像素子から色信号と輝度信号を得ているので、合成による色のバランスのくずれがなくなり、画質の面で優れた自然な合成画像を得ることができる。尚、本実施例では電子シャッターにより各撮像素子の露光量を異ならせたが、物性絞り等により入射光の透過率を撮像素子毎に異ならせても良い。
【0023】
なお、上記の実施例で輝度信号は任意の撮像素子から得ることができるが、異なる輝度信号を得るための撮像素子は3個以上設けても差し支えない。
【0024】
図4は本発明の第2の実施例の構成を示すブロック図である。同図において、図1と同一符号は同一構成部であるので、説明は省略する。本実施例において、上述の第1の実施例と異なる点は、第1の撮像素子3の出力から色信号だけではなく輝度信号も得ることである。この第1の撮像素子3から得られた輝度信号は、合成処理回路10にライン17を通して導かれ、ここで第2の撮像素子4及び第3の撮像素子5からの輝度信号と合成される。表2に本手法を用いて撮影する露光量の変え方の例を示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003696897
【0026】
表2に示す露光例は、第1の撮像素子3を適正露光とし、第2の撮像素子4を露出不足、また第3の撮像素子5を過度露出にした場合を示している。そして、このような条件で被写体を撮影すれば、撮像素子n個を用いることにより露光量の異なるn枚の画像信号と1枚の色信号を得ることができ、撮像素子の数を節約することができる。また本実施例では、3枚の画像信号から1枚の画像を合成するので、よりダイナミックレンジの幅が拡大される。
【0027】
図5は本発明の第3の実施例の構成を示すブロック図である。本実施例は、上記第2の実施例において撮像素子の数を2つにしたものである。つまり、第1の撮像素子3から輝度信号(適正露光)と色信号を得て、第2の撮像素子4から露光量を変えた輝度信号を得るようにしている。
【0028】
表3は本実施例における露光量の変え方の例を示したもので、第1の撮像素子3は何れの場合も適正露光とし、第2の撮像素子4は、露光例1では過度露出、露光例2では露出不足としている。
【0029】
【表3】
Figure 0003696897
【0030】
上記のような条件で被写体を撮影することにより、第1の実施例と同じことを2つの撮像素子で行うことができる。したがって、更に簡単な構成になり、コストダウンを図ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、色信号と輝度信号をそれぞれ異なる撮像素子から得、輝度信号のみで合成を行うため、画質の優れた合成画像が得られ、色の変化も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の構成を示すブロック図
【図2】 図1の各撮像素子の駆動タイミングを示す図
【図3】 画像合成によるダイナミックレンジ拡大手法を示す概念図
【図4】 本発明の第2の実施例の構成を示すブロック図
【図5】 本発明の第3の実施例の構成を示すブロック図
【符号の説明】
2 プリズム(分光手段)
3 第1の撮像素子
4 第2の撮像素子
5 第3の撮像素子
9 色差信号生成回路(色差信号生成手段)
10 合成処理回路(合成手段)
11 信号処理回路(信号処理手段)
18 制御回路(制御手段)

Claims (1)

  1. 撮像光を光電変換する複数の撮像素子と、
    1回の撮像動作で前記各撮像素子の露光量を異ならせる制御手段と、
    前記任意の撮像素子の出力から色信号を生成して、当該色信号より色差信号を生成する色信号生成手段と、
    前記露光量が異なる撮像素子からの出力に基づき、露光量が異なるそれぞれの輝度信号を1枚の画面分の輝度信号に合成する合成手段と、
    その合成した輝度信号、及び前記露光量が異なる撮像素子からのそれぞれの出力信号のうち1の出力信号に基づいて生成された色信号により1枚の画面分の画像信号を生成する信号処理手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
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