JP3696349B2 - 光偏向器及び光ビーム走査装置 - Google Patents

光偏向器及び光ビーム走査装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光偏向器及び光ビーム走査装置に係り、特に、偏向方向が互いに交差するように配置された第1及び第2の音響光学偏向素子を備えた光偏向器、及び該光偏向器を備えた光ビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、音響光学効果により光偏向を行う音響光学偏向素子(AcoustoOptic Deflector:以下、AODという)が知られている。このAODは、例えば光ビーム走査装置等の光ビームの光路上に配置され、例えば走査手段により走査される光ビームをAODによって予め偏向することで被照射体への光ビーム照射位置を補正する等の用途に利用されている。また光ビーム走査装置において、被照射体への光ビーム照射位置を2次元的に補正(移動)させたい等の場合には、2個のAODを組み合わせ、光ビームの光路に沿って直列に、かつ2個のAODによる光ビームの偏向方向が互いに直交するように配置(タンデム配置)していた。
【0003】
ところで、上記AODのうち、異方性結晶内を進行する超音波と異方性結晶内を進行する光波との間に生じる異方ブラッグ回折を利用して光偏向を行うAODとして、音響光学媒体として低電力駆動が可能な二酸化テルル(TeO2 )の単結晶を用い、TeO2 結晶の[110]軸方向に進行しかつ[1’10]軸方向(ここで、1’とは−1方向を意味する)に変位する横波超音波によってTeO2 結晶内に入射した光波を回折させる構成が知られている(所謂オン-[110]型光偏向素子)。このTeO2 結晶を用いたAODは、音響光学媒体としてニオブ酸リチウム、または水晶を用いたAODと比較して大きな音響光学性能指数が得られ、高い回折効率が得られる。
【0004】
しかしながら、オン-[110]型光偏向素子は、超音波の周波数の変化に対する回折効率の変化特性がフラットではなく、中心周波数付近において回折効率が大きく低下することによって回折光の光量が大幅に低下するので、使用可能な周波数帯域が狭いという問題があった。また、オン-[110]型光偏向素子で高い回折効率を得るためには光偏向素子に入射する光を円偏光とする必要があり、レーザ光源から射出された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換するためにλ/4板が必要となるので、コストが嵩むという問題もあった。
【0005】
上記の問題点を解消したAODとして、超音波の進行方向をTeO2 結晶の[110]軸方向から大きく傾けたオフ-[110]型光偏向素子が知られている(特開昭51−99039号公報参照)。このオフ-[110]型光偏向素子によれば、前述のオン-[110]型光偏向素子の問題点であった中心周波数付近における光量の低下が解消されると共に、入射させるレーザ光も直線偏光でよいのでλ/4板も不要である。
【0006】
しかし、オフ-[110]型光偏向素子では、超音波の進行方向を[110]軸方向から大きく傾けているため、音響光学媒体として用いるTeO2 結晶のサイズを従来よりも大きくする必要があり、コストが嵩むという問題があった。そして、このコストが嵩むという問題は、特に光ビームを2次元に偏向させる等の目的で2個のAODをタンデムに配置した場合に顕著な問題となっていた。
【0007】
なお、AODを光ビーム走査装置の筐体等に実際に取付ける場合、従来は所期の回折効率を得るために、入射光の光軸と超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りにAODを所定角度回転させる調整(ブラッグ角の調整)、及び入射光の進行方向に直交する方向にAODを平行移動する調整は行われていたが、AODを前記軸と異なる軸回りに回転させる調整は成されていなかった。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、広い周波数帯域に亘って高い回折効率で入射光を2次元に偏向することができ、かつ低コストの光偏向器、及びこの光偏向器を利用した光ビーム走査装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る光偏向器は、異方性結晶内を進行する超音波と異方性結晶内を進行する光波との間に生じる異方ブラッグ回折を利用した第1及び第2の音響光学偏向素子を備え、前記第1の音響光学偏向素子で偏向された光が前記第2の音響光学偏向素子に入射される光偏向器であって、第1の音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が第1の音響光学偏向素子に入射される入射光の進行方向と前記異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ前記入射光の偏光面が前記入射光の進行方向と前記超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように第1の音響光学偏向素子が配置されており、第2の音響光学偏向素子による偏向方向が第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差し、かつ第2の音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が第2の音響光学偏向素子に入射される入射光の進行方向と前記異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ前記入射光の偏光面が前記入射光の進行方向と前記超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように第2の音響光学偏向素子が配置されていることを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の発明では、第2の音響光学偏向素子による偏向方向を第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差させると共に、異方ブラッグ回折が利用でき、かつ各偏向素子の異方性結晶の光学軸が各偏向素子に入射される入射光の進行方向と各偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ入射光の偏光面が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように、各偏向素子を配置している。なお、本発明における入射光の偏光面は、入射光が直線偏光である場合には入射光の偏光方向を含む面を意味し、入射光が楕円偏光である場合には、入射光の偏光成分の長軸の偏光方向を含む面を意味する。
【0013】
また、各偏向素子の異方性結晶の光学軸が、各偏向素子への入射光の進行方向と各偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ各偏向素子への入射光の偏光面が、各偏向素子への入射光の進行方向と各偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように各々配置することにより、各偏向素子の異方性結晶の光学軸が各偏向素子への入射光の進行方向と各偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して所定角度傾斜し、かつ各偏向素子への入射光の偏光面が各偏向素子への入射光の進行方向と各偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して所定角度傾斜した状態になる。
【0014】
上記のように音響光学偏向素子を配置するには、入射光を固定しておいて音響光学偏向素子の姿勢を調整してもよいし、音響光学偏向素子を固定しておいて入射光の進行方向を調整してもよいし、音響光学偏向素子の姿勢及び入射光の進行方向の両方を調整してもよい。
【0015】
本発明者等は、従来調整されていなかったブラッグ角以外の方向に音響光学偏向素子の姿勢を調整し、音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように音響光学偏向素子を配置すると、超音波の進行方向を異方性結晶の[110]軸方向から大きく傾けることなく広い周波数帯域に亘って高い回折効率が得られること、及び第1の音響光学偏向素子で偏向された光が第2の音響光学偏向素子に入射され、かつ入射光に対する偏向方向が互いに交差するように第1及び第2の音響光学偏向素子を配置して入射光を2次元に偏向できるように構成した光偏向器についても、光偏向器の各偏向素子の異方性結晶の光学軸が、各偏向素子への入射光の進行方向と各偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ入射光の偏光面が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように各偏向素子を配置すると、広い周波数帯域に亘って高い回折効率が得られることを実験により見い出し、本発明に想到したものである。
【0016】
光偏向器の各偏向素子を上記のように配置することによって、各偏向素子の異方性結晶のサイズを大きくすることなく、入射光として直線偏光の光を用いて従来より回折効率を向上させることができ、広い周波数帯域に亘って高い回折効率で入射光を2次元に偏向できる光偏向器を低コストで得ることができる。
【0017】
なお、光偏向器の各偏向素子を上記のように配置するにあたり、入射光を固定しておいて各偏向素子の姿勢を調整する場合には、具体的には請求項に記載したように、第1の音響光学偏向素子を、第1の音響光学偏向素子への入射光の進行方向をz軸、前記入射光の偏光方向をx軸とするxyz座標系を定めたときに、第1の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とx軸とが平行で、かつ前記異方性結晶の光学軸がz軸に一致した状態を第1の音響光学偏向素子の初期状態とし、該初期状態から、前記超音波の進行方向と同じ方向の軸回りに回転させると共にz軸と前記超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りに所定角度回転させ、更にz軸回りに回転させて配置し、第2の音響光学偏向素子を、第2の音響光学偏向素子による偏向方向が第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差し、かつ第2の音響光学偏向素子への入射光の進行方向をz’軸、前記入射光の偏光方向をx’軸とするx’y’z’座標系を定めたときに、第2の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とx’軸とが平行で、かつ前記異方性結晶の光学軸がz’軸に一致した状態を第2の音響光学偏向素子の初期状態とし、該初期状態から、前記超音波の進行方向と同じ方向の軸回りに回転させると共にz’軸と前記超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りに所定角度回転させ、更にz’軸回りに回転させて配置することができる。
【0018】
すなわち、請求項2の発明は、第1の音響光学偏向素子の異方性結晶の[110]方向が入射光の偏光面に対して平行で、かつ[001]方向をz軸に一致させた状態を第1の音響光学偏向素子の初期状態としたとき、第1の音響光学偏向素子を、前記初期状態から、z軸と第1の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りに第1の所定角度、[110]方向の軸回りに第2の所定角度、z軸回りに第3の所定角度回転して配置すると共に、第2の音響光学偏向素子の異方性結晶の[110]方向が入射光の偏光面に対して平行で、かつ[001]方向をz’軸に一致させた状態を第2の音響光学偏向素子の初期状態としたとき、第2の音響光学偏向素子を、第2の音響光学偏向素子による偏向方向が第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差し、かつ前記初期状態から、z’軸と第2の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りに第1の所定角度、[110]方向の軸回りに第2の所定角度、z’軸回りに第3の所定角度回転して配置したものである。
【0022】
上記の各所定角度は、請求項3に記載したように、第1の所定角度はブラッグ角(例えば略4°)、第2の所定角度は略3°以上、第3の所定角度は略30°〜略90°とすることができ、これらの角度をこの範囲に設定すると回折効率を好ましい値にすることができる。
【0023】
また、より好ましくは、第1の所定角度をブラッグ角(例えば略4°)、第2の所定角度を略7°〜略10°、第3の所定角度を略45°〜略90°、より好ましくは、第1の所定角度をブラッグ角(略4°)、第2の所定角度を略9°〜略10°、第3の所定角度を略70°〜略90°とすることができ、更に好ましくは請求項4に記載したように、第3の所定角度を略70°〜略75°とすることができる。第1〜第3の所定角度を上記のより好ましい値に調整した場合には、広い周波数帯域に亘って最も高くかつフラットな回折効率が得られる。
【0024】
また、第1の音響光学偏向素子による偏向方向と第2の音響光学偏向素子による偏向方向は、請求項5に記載したように直交させることが好ましい。
【0025】
また、各偏向素子の異方性結晶としては一軸結晶や二軸結晶を使用することができるが、請求項6に記載したように一軸結晶であることが好ましく、特に請求項7に記載したようにTeO2であることが好ましい。
【0026】
また、請求項8に記載したように、第1及び第2の音響光学偏向素子を単一のパッケージに各々取付けて本発明に係る光偏向器を構成すれば、該光偏向器を光ビーム走査装置等に搭載する際に、前記単一のパッケージの姿勢を調整すれば、各偏向素子の姿勢の調整が完了することになるので好ましい。
【0027】
また、上述した光偏向器は、請求項9に記載したように、光ビームを走査して画像記録を行う画像記録装置、または光ビームを走査して画像の読取を行う画像読取装置等の光ビーム走査装置に適用することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。まず本発明に係る第1の音響光学偏向素子単体について、第1の音響光学偏向素子としてTeO2 単結晶を用いたオン-[110]型光偏向素子(AOD)を適用した場合を例に説明する。
【0029】
図1に示すように、AODは、頭部が斜めにカットされたTeO2 単結晶10と、TeO2 単結晶10の底面に貼着されかつ結晶の[110]方向に進行しかつ[1’10]方向に変位する横波超音波を発生するトランスデューサ12から構成されている。なお、TeO2 単結晶10の頭部には吸音材(図示せず)を貼着してもよい。
【0030】
このAODに対し、図1及び図2に示すように、z軸が入射光の進行方向に一致し、x軸が入射光の偏光方向(入射光は直線偏光とする)に一致し、かつy軸がz軸及びx軸から右手系で定まるxyz座標系を定める。また、図1に示すように、超音波の進行方向、すなわち結晶の[110]軸方向をx軸方向に一致させ、かつ光学軸である[001]軸方向をz軸方向に一致させた状態をAODの初期状態とする。そして、この初期状態からAODの姿勢を調整するための3つの軸回りの角度、ブラッグ角θB 、あおり角θA 、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を各々次のように定める。
【0031】
ブラッグ角θB は、入射光の進行方向(z軸)と超音波進行方向とで形成される面内でのAODの回転(z軸と超音波進行方向とで形成される面に垂直な軸B回りの回転)である。このブラッグ角θB は、超音波進行方向がz軸に垂直の場合をθB =0とし、z軸方向の正方向側から超音波進行方向の正方向側にAODが回転されたとき(すなわち軸Bの正方向に向かって右ねじ方向に回転された状態)を正(θB >0)とする。
【0032】
あおり角θA は、超音波進行方向の軸回り、すなわち[110]軸方向の軸A回りの回転である。このあおり角θA は、結晶の光学軸[001]が、入射光の偏光面を含む平面に対して平行のときをθA =0とし、超音波進行方向に対して右ねじの方向にAODが回転されたときを正(θA >0)とする。
【0033】
入射光進行方向の軸回りの回転角θZ はz軸回りの回転であり、超音波進行方向がx軸と平行の場合(入射光の偏光面が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行の場合)をθZ =0とし、z軸方向に対して右ねじの方向にAODが回転されたときを正(θZ >0)とする。
【0034】
トランスデューサ12にパワー0.25Wの高周波信号を印加して超音波を進行させると共に偏光方向がx軸方向のレーザビームをz軸方向に沿って入射させ、あおり角θA を変化させ、ブラッグ角θB をブラッグ条件を満足するように調整したときの回折効率特性を図3に、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を変化させると共に、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ が各値のときに回折効率が最大になるようにあおり角θA を各々調整し、ブラッグ条件を満足する角度(≒4°)にブラッグ角θB を調整したときの駆動周波数76MHz、80MHz、84MHzにおける回折効率特性を図4に示す。なお、このときの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ とあおり角θA との関係を図5に示す。
【0035】
なお、同じ回転角θZ に対してあおり角θA を調整すると、2つの特性が得られることが本願発明者等によって確認されており、上記の図4は回折効率の周波数特性がフラット(回折効率が周波数によらず略一定)の場合を示しているが、図6に回折効率の周波数特性の形状がピーク状(回折効率が中心周波数で高く、周辺で低い比較的急峻な形状)の場合を参考として示す。
【0036】
図3から理解されるように、従来のようにブラッグ角θB のみ調整した場合(θB ≒4°、θZ =θA =0°)の回折効率(80MHzで約58%)と比較すると、ブラッグ角θB 及びあおり角θA の両方を調整することで、AODの回折効率が向上している。特に、θA ≒±9°で回折効率ηがη≒95%になっている。また、θA ≒±6°〜±9°で回折効率ηがη≒80〜95%になり、θA ≒±4°〜±9°で回折効率ηがη≒70〜95%になっている。回折効率ηを従来の回折効率より10%程度以上高くする場合には、あおり角θA を略3°以上にすればよい。
【0037】
また図4から理解されるように、従来のようにブラッグ角θB のみ調節した場合の回折効率(約58%)と比較すると、ブラッグ角θB を調整すると共に、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ 及びあおり角θA を調節することで、AODの回折効率が向上している。特に、θZ ≒±(70°〜75°)、θA ≒±(9°〜10°)のときには回折効率ηはピークであるη≒95%に達している。また、θZ ≒±(45°〜90°)、θA ≒±(7°〜10°)で回折効率ηがη≒80〜95%になり、θZ ≒±(30°〜90°)、θA ≒±(5°〜10°)で回折効率ηがη≒70〜95%になっている。
【0038】
以上はブラッグ角θB が正の場合であるが、ブラッグ角θB が負(θB ≒−4°)の場合においても同様であり、回折効率ηがピーク(約95%)になる場合をまとめると次の表1のようになる。
【0039】
【表1】
Figure 0003696349
【0040】
次に、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を、図4から得られる回折効率がピークとなる角度、例えばθZ =70°に固定し、あおり角θA を変化させた場合の回折効率特性を図7に示す。図7から理解されるように、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を固定し、あおり角θA を変化させた場合にも、あおり角θA を例えばθA ≒1.5°以上に調節することで、回折効率を従来より向上させることができ、回折効率はθA ≒9°でη≒95%、θA ≒4.5°以上でη≒80〜95%、θA ≒3°以上でη≒70〜95%になる。
【0041】
従って、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ 及びあおり角θA を調整する場合において、最大の回折効率が得られる状態から、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を固定してあおり角θA を変化させた場合には、あおり角θA を略1.5°以上にすると回折効率を従来より向上させることができ、あおり角θA が略3°以上で略70〜95%の回折効率が得られ、あおり角θA が略4.5°以上で略80〜95%の回折効率が得られることになる。
【0042】
上記は、中心周波数における結果であるが、所定の周波数帯域内で周波数を変化させたとしても、従来より回折効率は向上する。図8に、表1の回折効率がピークになる条件の1つである、θZ =70°かつθA ≒9°における回折効率の周波数特性、θZ =90°かつθA ≒9°にしたときの回折効率の周波数特性、及び従来の回折効率の周波数特性(θZ =±0°、θA =±0°)を示す。図8より明らかなように、所定の周波数帯域内の何れの周波数においても回折効率は従来より向上している。
【0043】
以上より、AODを、異方ブラッグ回折が利用できるように配置すると共に、異方性結晶の光学軸が、入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ入射光の偏光面が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように配置することで、AODの回折効率を向上させることができる。
【0045】
次に、入射光を2次元に偏向するために、上記で説明した第1の音響光学偏向素子に、更に本発明に係る第2の音響光学偏向素子とを組み合わせた場合(本発明に係る光偏向器)について、第2の音響光学偏向素子として第1の音響光学偏向素子と同一の構成の偏向素子(オン-[110]型TeO2 光偏向素子)を適用した場合を例に説明する。なお、以下では第1の音響光学偏向素子を第1のAOD、第2の音響光学偏向素子を第2のAODと称する。
【0046】
図9に示すように、第2のAODは第1のAODから射出された回折光が入射されるように配置されている。この第2のAODに対し、第2のAODへの入射光の進行方向に一致するz’軸、第2のAODへの入射光の偏光方向(図9では便宜的に第2のAODへの入射光の偏光方向を、第1のAODへの入射光の偏光方向と90°異ならせて示している)に一致するx’軸、z’軸及びx’軸から右手系で定まるy’軸から成るx’y’z’座標系を定める。また、超音波の進行方向、すなわち結晶の[110]軸方向をx’軸方向に一致させ、かつ光学軸である[001]軸方向をz’軸方向に一致させた状態を第2のAODの初期状態とする(図1参照)。
【0047】
そして、第2のAODに対する姿勢角と区別するため、第1のAODに対するブラッグ角をθB1、あおり角をθA1、入射光進行方向の軸回りの回転角をθZ1とすると共に、第1のAODに対するブラッグ角θB1、あおり角θA1、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1と同様に、前述の初期状態から第2のAODの姿勢を調整するための3つの軸回りの角度として、第2のAODへの入射光の進行方向(z’軸)と超音波進行方向とで形成される面内での第2のAODの回転(z’軸と超音波進行方向とで形成される面に垂直な軸B’回りの回転)を表すブラッグ角θB '2、超音波進行方向の軸回り、すなわち[110]軸方向の軸A’回りの回転を表すあおり角θA '2、第2のAODへの入射光の進行方向、すなわちz’軸回りの回転を表す入射光進行方向の軸回りの回転角θZ '2を各々定義する。
【0048】
第2のAODに対するx’y’z’座標系は、第1のAODから射出される回折光の偏光方向(及び射出方向)によって定まるため、第2のAODの姿勢を決定するにあたっては、第1のAODから射出される回折光の偏光方向及び偏光状態(直線偏光か楕円偏光か)が問題となる。図10には、AODの入射光進行方向の軸回りの回転角θzを変化させたときの、AODから射出される回折光の長軸の偏光方向θdi(但し、入射光の偏光方向を基準(=0°)とする)の変化を示し、図11には、AODの入射光進行方向の軸回りの回転角θzを変化させたときの、回折光の偏光成分の長軸と短軸との比率の変化を示す。
【0049】
図10及び図11に示す関係から、例えば次の条件を満足するように第1のAOD及び第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角及びあおり角を調整すれば、第1のAOD及び第2のAODの偏向方向が直交し、かつ高い回折効率が得られることが明らかとなった。
【0050】
第1のAOD:θZ1≒+80°、θA1≒+10°
第2のAOD:θZ2≒−10°(:θZ '2≒−80°)、θA '2≒+10°
なおθZ2は、第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ '2を、xyz座標系から見たときの角度(第1のAODへの入射光の偏光方向を0°としたときの角度)である。上記の条件について、図12を参照しながら説明する。
【0051】
図12は、上記の条件に従って第1のAOD及び第2のAODの姿勢を調整した場合を説明するための図であり、図12の下から順に、(1)は第1のAODへの入射光の偏光方向、(2)は第1のAODの姿勢、(3)は第1のAODから射出される回折光の偏光方向、(4)は第2のAODの姿勢、(5)は第2のAODから射出される回折光の偏光方向を、各々便宜的に図12の紙面に垂直な方向を入射及び回折光の進行方向とみなして概念的に示している。
【0052】
図12(1)に示すように、第1のAODへの入射光の偏光方向が図12の上下方向であるとすると、第1のAODに対するxyz座標系は図12(1)に示すように定まる。第1のAODの入射光の進行方向の軸回りの角度は先の条件からθZ1≒+80°であるので、図12(2)に示すように、第1のAODは入射光の進行方向の軸回りに+80°回転されて配置される。なお、図12(2)において白抜きで示す矢印は超音波の進行方向を表している。また、第1のAODの入射光の進行方向の軸回りの角度θZ1≒+80°に対する最適なあおり角θA1は、図5よりθA1≒+10°である。図4からも明らかなように、第1のAODを上記姿勢角に調整することにより、第1のAODにおける回折効率はピーク付近の高い値となる。
【0053】
第1のAODを上記の姿勢角に調整した場合、第1のAODから射出される回折光の(長軸の)偏光方向は、図10からθdi1 ≒+70°となり(図12(3)参照)、図11からも明らかなように、この回折光はほぼ直線偏光であるとみなすことができる。そして、この回折光の偏光方向を基準として、第2のAODに対するx’y’z’座標系が図12(3)に示すように定まる。
【0054】
第1のAOD及び第2のAODによって入射光を2次元に偏向するためには、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とが、少なくとも交差(好ましくは直交)している必要がある。第1のAODによる偏向方向に対し、第2のAODによる偏向方向を直交させた場合、xyz座標系から見た第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2はθZ2=θZ1−90°=−10°となる。第1のAODから射出される回折光の偏光方向θdi1 はθdi1 ≒+70°であるので、この偏光方向を基準としたときの(x’y’z’座標系から見た)第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角はθZ '2=θZ2−θdi1 ≒−80°となる。
【0055】
また、第2のAODの入射光の進行方向の軸回りの角度θZ '2≒−80°に対する最適なあおり角θA '2は、図5よりθA '2≒−10°である。図4からも明らかなように、第2のAODを上記姿勢角に調整することにより、第1のAODから射出された回折光に対する第2のAODの回折効率はピーク付近の高い値となる。そして、図10からも明らかなように、第2のAODへの入射光の偏光方向を基準としたときの、第2のAODから射出される回折光の偏光方向θdi'2は、θdi'2≒−70°であるので、第2のAODから射出される回折光のxyz座標系から見た偏光方向θdi2 は、θdi2 =θdi1 +θdi'2≒0°となり、第1のAODへの入射光の偏光方向と略一致することになる。
【0056】
第1のAOD及び第2のAODをタンデムに配置した場合の、第1のAOD及び第2のAODによる総合的な回折効率の周波数特性を図13に示す。図13においてθZ1=+80°として示す曲線は、第1のAOD及び第2のAODを先に説明した条件で配置した場合の周波数特性であり、従来の配置方法による回折効率の周波数特性(θZ1=±0°として示す曲線)と比較しても明らかなように、所定の周波数帯域内の何れの周波数においても回折効率は従来より大幅に向上している。
【0057】
なお、上記ではθZ1=+80°とした場合を例に説明したが、第1のAOD及び第2のAODの回折効率が共に高くなるのは、上記の条件に限定されるものではない。例えばθZ1=−80°とした場合にも、上記の条件と同等の回折効率が得られる条件が存在し、またブラッグ角θB <0とした場合にも上記の条件と同等の回折効率が得られる条件が存在している。また、|θZ1|=80°に限定されるものでもなく、例えば|θZ1|=70°、或いは|θZ1|=85°としてもよい。
【0058】
また、図13においてθZ1=+90°として示す曲線は、第1のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1をθZ1=+90°、第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2をθZ2=0°とした場合であるが、第1のAOD及び第2のAODの各々に対し、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1、θZ2(正確にはθZ '2)に応じて、図5よりあおり角が適正に調整されているため、この場合にも回折効率は従来より向上する。
【0059】
更に、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とは、必ずしも直交していなくてもよく、第1のAODの偏向方向と第2のAODの偏向方向が交差する、という条件の下で、第1のAODにおける回折効率及び第2のAODにおける回折効率が各々略最大となるように第1のAOD及び第2のAODの姿勢を調整してもよい。例えば次の条件を満足するように第1のAOD及び第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角及びあおり角を調整した場合には、第1のAODの偏向方向と第2のAODの偏向方向は、交差するものの直交しないが、第1のAODにおける回折効率及び第2のAODにおける回折効率が各々略最大となるので、光偏向器として更に高い回折効率が得られる。
【0060】
第1のAOD:θZ1≒+70°、θA1≒+10°
第2のAOD:θZ2≒−5°(:θZ '2≒−70°)、θA '2≒+10°
上記の条件について、図14を参照しながら説明する。図14は、上記の条件に従って第1のAOD及び第2のAODの姿勢を調整した場合を説明するための図であり、図14の下から順に、(1)は第1のAODへの入射光の偏光方向、(2)は第1のAODの姿勢、(3)は第1のAODから射出される回折光の偏光方向、(4)は第2のAODの姿勢、(5)は第2のAODから射出される回折光の偏光方向を、各々便宜的に図14の紙面に垂直な方向を入射及び回折光の進行方向とみなして概念的に示している。
【0061】
図14(1)に示すように、第1のAODへの入射光の偏光方向が図14の上下方向であるとすると、第1のAODに対するxyz座標系は図14(1)に示すように定まる。第1のAODの入射光の進行方向の軸回りの角度は先の条件からθZ1≒+70°であるので、図14(2)に示すように、第1のAODは入射光の進行方向の軸回りに+70°回転されて配置される。なお、図14(2)において白抜きで示す矢印は超音波の進行方向を表している。また、第1のAODの入射光の進行方向の軸回りの角度θZ1≒+70°に対する最適なあおり角θA1は、図5よりθA1≒+10°である。図4からも明らかなように、第1のAODを上記姿勢角に調整することにより、第1のAODにおける回折効率は略最大となる。
【0062】
第1のAODを上記の姿勢角に調整した場合、第1のAODから射出される回折光の(長軸の)偏光方向は、図10からθdi1 ≒+65°となり(図14(3)参照)、図11からも明らかなように、この回折光はほぼ直線偏光であるとみなすことができる。そして、この回折光の偏光方向を基準として、第2のAODに対するx’y’z’座標系が図14(3)に示すように定まる。
【0063】
第1のAODから射出された回折光に対し、第2のAODの回折効率が略最大となるときの、x’y’z’座標系から見た第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ '2は、図4からも明らかなように、θZ '2≒+70°又は−70°である。第1のAOD及び第2のAODによって入射光を2次元に偏向するためには、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とが交差し、かつ交差角度がなるべく90°に近い角度であることが望ましいので、θZ '2≒−70°とする(図14(4)参照)。また、第2のAODの入射光の進行方向の軸回りの角度θZ '2≒−70°に対する最適なあおり角θA '2は、図5よりθA '2≒−10°となる。
【0064】
第1のAODから射出される回折光の(長軸の)偏光方向θdi1 はθdi1 ≒+65°であるので、xyz座標系から見た第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2はθZ2=θdi1 +θZ '2≒−5°となり、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向との交差角度は、交差角度=θZ1−θZ2≒75°となる(図14(5)参照)。図4からも明らかなように、第1のAOD及び第2のAODを上記姿勢角に調整することにより、第1のAOD及び第2のAODの回折効率が各々略最大となるので、第1のAOD及び第2のAODをタンデム配置した光偏向器における回折効率も略最大となる。
【0065】
また、図10からも明らかなように、第2のAODへの入射光の偏光方向を基準としたときの、第2のAODから射出される回折光の偏光方向θdi'2は、θdi'2≒−65°であるので、第2のAODから射出される回折光のxyz座標系から見た偏光方向θdi2 は、θdi2 =θdi1 +θdi'2≒0°となり、第1のAODへの入射光の偏光方向と略一致することになる。
【0066】
なお、上記のように、光偏向器の第1のAODの偏向方向と第2のAODの偏向方向が直交していない場合であっても、後述するように、第1のAOD及び第2のAODの少なくとも一方に対し、周波数変調の位相をずらしかつ振幅を調整した駆動信号を供給するようにすれば、光偏向器に入射された光を、互いに直交する2つの方向に沿って2次元に偏向することができる。
【0067】
以上より、第1のAOD及び第2のAODをタンデム配置した光偏向器においても、各AODを異方ブラッグ回折が利用できるように配置すると共に、各AODの異方性結晶の光学軸が、各AODへの入射光の進行方向と各AODの異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して各々平行にならないように各々配置することで、光偏向器の回折効率を向上させることができる。
【0068】
次に、上記の光偏向器を利用した円筒内面走査型画像記録装置の実施形態を図面を参照して説明する。図15に示すように、本実施形態に係る画像記録装置は、レーザビームLを発生するレーザビーム発生器14と、レーザビーム発生器14から発生されたレーザビームを3本のレーザビームL1 ,L2 ,L3 に分割するレーザビームスプリッタ16とを備えている。
【0069】
レーザビームL1 の射出側には、レーザビームL1 を、回転鏡32に入射されるレーザビーム(回転鏡32については後述)に対して設定したXYZ座標系におけるX軸方向に相当する方向に偏向する第1のAOD18xと、第1のAOD18xで回折されたレーザビームL1 をY軸方向に相当する方向に偏向すると共に画像情報に応じてレーザビームを強度変調(オンオフ変調)する第2のAOD18yと、から成る光偏向器18が配置されている。
【0070】
またレーザビームL2 の射出側には、レーザビームL2 を偏向することなく画像情報に応じてレーザビームをオンオフ変調するAOD20が配置されており、レーザビームL3 の射出側には、レーザビームL3 をX軸方向に相当する方向に偏向する第1のAOD22xと、第1のAOD22xで回折されたレーザビームL3 をY軸方向に相当する方向に偏向すると共に画像情報に応じてレーザビームをオンオフ変調する第2のAOD22yと、から成る光偏向器22が配置されている。
【0071】
図16に示すように、光偏向器18の第1のAOD18x及び第2のAOD18yは、各々の姿勢が調整された状態で同一のパッケージ18A内に取付けされている。また、図示は省略するが、光偏向器22の第1のAOD22x及び第2のAOD22yについても、各々の姿勢が調整された状態で同一のパッケージ内に取付けられている。従って、入射光に対する各光偏向器のパッケージの姿勢を調整することにより、第1のAOD及び第2のAODの姿勢の調整が完了するので、本実施形態に係る画像記録装置の製造が容易になる。
【0072】
本実施形態では、各パッケージ内における光偏向器18の第1のAOD18x及び第2のAOD18y、光偏向器22の第1のAOD22x及び第2のAOD22yの各々の姿勢が、先に説明した条件、すなわちブラッグ角θB がθB ≒4°、第1のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1がθZ1≒+80°、第1のAODのあおり角θA1がθA1≒+10°、第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2がθZ2≒−10°、第2のAODのあおり角θA '2がθA '2≒+10°となるように調整されている。
【0073】
光偏向器18、AOD20、及び光偏向器22のレーザビーム射出側には、各々レーザビームをx軸の負の方向に反射するミラー24、26、28が配置されおり、これらのミラーのレーザビーム反射側には、各ミラーから反射されたレーザビームを集光する集光レンズ30、軸に対して45°傾斜した反射面を備え、かつモータ34により軸を中心として回転される円柱状の回転鏡32が配置されている。なお、記録シートSは、展開して図示した円筒状のドラム36の内周面に保持されており、回転鏡32は軸がドラム36の中心軸と一致するように配置されている。
【0074】
上記の画像記録装置では、レーザビームによって記録されるドットが記録シートS上でM方向に配列されている状態(図15の状態)から回転鏡32を90°回転させると、図17(1)に示すようにドット配列が90°回転されことになる。すなわち、ドット配列が回転鏡32の回転に伴って回転されることになり、回転鏡32の反射面の中心に入射されないレーザビームL1 、L3 によって記録されるドットが単振動し、レーザビームL1 、L3 によって記録されるドットの軌跡は正弦波状になる。
【0075】
これに対し、回転鏡32の反射面が図18(1)に示す向き(反射面の短軸がY軸と一致)の場合、Z軸に沿って反射面の中心に入射するレーザビームL0の回転鏡32への入射方向を、X軸方向に−θx だけ変位させたとすると、反射面で反射されたレーザビームのX軸に直交する平面上への照射位置がZ軸方向に沿って+Δzだけ変位する。このレーザビームの照射位置の変位の方向は、前記X軸に直交する平面が記録シートSであるとすると、図15及び図17に示すM方向(回転鏡32の回転に伴うレーザビームの走査方向(θ方向)と直交する方向)である。
【0076】
従って、レーザビームL1 に対し、光偏向器18の第1のAOD18XによってX軸方向に相当する方向に偏向すると共に、正弦波状の振動が相殺されるように偏向量を余弦波状に変化させることで、図17(1)に示すレーザビームL1 の軌跡を走査方向に沿った直線とすることができる。また、レーザビームL3 に対し、光偏向器22の第1のAOD22XによってX軸方向に相当する方向に偏向すると共に、正弦波状の振動が相殺されるように偏向量を余弦波状に変化させることで、図17(1)に示すレーザビームL3 の軌跡を走査方向に沿った直線とすることができる。
【0077】
これにより、レーザビームL1 、L2 、L3 によって形成される3本の走査線を互いに平行にすることはできるが、各レーザビームによって形成される走査線端の位置は、図17(2)に示すように互いにずれることになる。この走査線端の位置を揃えるためには、記録シートSへのレーザビーム照射位置を走査方向(θ方向)にも変位させる必要がある。
【0078】
これに対し、回転鏡32の反射面が図18(2)に示す向き(反射面の短軸がY軸と一致:先に説明した図18(1)に示す向きと同一))の場合、Z軸に沿って反射面の中心に入射するレーザビームL0の回転鏡32への入射方向を、Y軸方向に+θY だけ変位させたとすると、反射面で反射されたレーザビームのX軸に直交する平面上への照射位置がY軸方向に沿って+Δyだけ変位する。このレーザビームの照射位置の変位の方向は、前記X軸に直交する平面が記録シートSであるとすると、図15及び図17に示すθ方向(回転鏡32の回転に伴うレーザビームの走査方向)である。
【0079】
従って、例として図18(3)にも示すように、レーザビームL0の回転鏡32への入射方向を、X軸方向及びY軸方向に変位させる(図ではX、Y軸方向にθXYだけ変位させている)ことにより、レーザビームの照射位置を2次元に変位させることができる。図19(1)に示すように、回転鏡32の反射面に入射するレーザビームL1 、L2 、L3 の光スポットを、記録シートSと共役な面S’に射影した場合、回転鏡32の回転に伴う面S’上におけるレーザビームL1 及びL3 の光スポットの軌跡は、回転鏡32の角速度をωとすると、
【0080】
レーザビームL1 :X=−a・cos ωt ,Y=−a・sin ωt …(1)
レーザビームL3 :X=a・cos ωt ,Y=a・sin ωt …(2)
上記(1)式、(2)式で表される円となる(図19(2)参照)。このため、レーザビームL1 を、光偏向器18の第1のAOD18X、第2のAOD18Yにより上記(1)式に応じてX軸方向に相当する方向及びY軸方向に相当する方向に偏向し、レーザビームL3 を、光偏向器22の第1のAOD22X、第2のAOD22Yにより上記(2)式に応じてX軸方向に相当する方向及びY軸方向に相当する方向に偏向することで、回転鏡32から射出されるレーザビームL1 、L2 、L3 を常にZ軸方向(記録シートS上のM方向)に沿って一定間隔で配列することができ、図17(3)に示すように、レーザビームL1 、L2 、L3 によって形成される3本の走査線を、互いに平行でかつ端部の位置を揃えることができる。
【0081】
上記に基づき、本実施形態では図20に示す制御装置38が設けられている。図20に示すように、制御装置38は各AODのトランスデューサに接続されている。制御装置38は制御回路40を備えている。制御回路40には、モータ34に取り付けられた図示しないロータリエンコーダが接続されており、ロータリーエンコーダから入力されたモータの回転に同期した回転位置信号P及び主走査開始信号LSYNCに基づいてクロック信号を生成する。
【0082】
制御回路40には、余弦波電圧信号生成回路42、正弦波電圧信号生成回路44、定電圧信号生成回路46、余弦波電圧信号生成回路48、及び正弦波電圧信号生成回路50が接続されている。余弦波電圧信号生成回路42は、制御回路40から入力されるクロック信号に従って、X=−a・cos ωtの余弦波電圧信号(但し、aは定数、ωはクロック信号が表すモータ34(回転鏡32)の角速度、tは経過時間)を生成する。また、正弦波電圧信号生成回路44は、制御回路40から入力されるクロック信号に従って、Y=−a・sin ωtの正弦波電圧信号を生成する。
【0083】
また、定電圧信号生成回路46は一定電圧の信号を生成する。余弦波電圧信号生成回路48は制御回路40から入力されるクロック信号に従って、X=a・cos ωtの余弦波電圧信号を生成する。そして正弦波電圧信号生成回路50は、制御回路40から入力されるクロック信号に従って、Y=a・sin ωtの正弦波電圧信号を生成する。
【0084】
上記の電圧信号生成回路42〜50は、入力された信号の電圧レベルに応じた周波数の高周波信号を出力する電圧制御発振器(VCO)52A、52B、52C、52D、52Eに接続されている。従って、VCO52AからはX=−a・cos ωtの余弦波電圧信号に応じて周波数変調された高周波信号が出力され、VCO52BからはY=−a・sin ωtの正弦波電圧信号に応じて周波数変調された高周波信号が出力され、VCO52DからはX=a・cos ωtの余弦波電圧信号に応じて周波数変調された高周波信号が出力され、VCO52EからはY=a・sin ωtの正弦波電圧信号に応じて周波数変調された高周波信号が出力されることになる。またVCO52Cからは一定周波数の高周波信号が出力される。
【0085】
VCO52Aの出力端は、増幅器56Aを介して光偏向器18の第1のAOD18xのトランスデューサに接続されており、VCO52Dの出力端は、増幅器56Dを介して光偏向器22の第1のAOD22xのトランスデューサに接続されている。VCO52A、52Dから出力された信号は、増幅器56A、56Dで増幅されて第1のAOD18x、第1のAOD22xのトランスデューサに各々入力される。
【0086】
また、VCO52Bの出力端は、変調器54A、増幅器56Bを介して光偏向器18の第2のAOD18yのトランスデューサに接続されており、VCO52Cの出力端は、変調器54B、増幅器56Cを介してAOD20のトランスデューサに接続されており、VCO52Eの出力端は、変調器54C、増幅器56Eを介して光偏向器22の第2のAOD22yのトランスデューサに接続されている。また、制御回路40には2値画像信号生成回路58が接続されており、2値画像信号生成回路58の出力端は変調器54A、54B、54Cに各々接続されている。
【0087】
2値画像信号生成回路58は、制御回路40から入力されたクロック信号と同期したタイミングで変調器54A、54B、54Cに2値画像信号を出力する。VCO52B、VCO52C、VCO52Eから出力された高周波信号は、2値画像信号生成回路58から入力された2値画像信号に応じて変調器54A、54B、54Cで各々オンオフ変調され、増幅器56B、56C、56Eによって増幅された後に、第2のAOD18y、AOD20、第2のAOD22yのトランスデューサに各々入力される。
【0088】
次に、画像記録装置の動作について説明する。レーザビーム発生器14から射出されたレーザビームLはビームスプリッタ16によってレーザビームL1 、L2 、L3 に分割される。ビームスプリッタ16から射出されたレーザビームL2 は、AOD20に入射される。AOD20のトランスデューサには、2値画像信号に応じてオンオフ変調された一定周波数の高周波信号が入力されるので、AOD20に入射されたレーザビームL2 は、x軸に相当する方向及びy軸に相当する方向に偏向(回折)されることなく、2値画像信号に応じたオンオフのみが行われてAOD20から射出され、ミラー26で反射され、集光レンズ30を介して回転鏡32に入射される。
【0089】
また、ビームスプリッタ16から射出されたレーザビームL1 は、光偏向器18の第1のAOD18xに入射される。第1のAOD18xのトランスデューサには、X=−a・cos ωtの余弦波電圧信号に応じて周波数変調された高周波信号が入力されるので、第1のAOD18xに入射されたレーザビームL1 は、x軸に相当する方向に偏向(回折)されると共に、その偏向量がX=−a・cos ωtに応じて随時変化されて第1のAOD18xから射出され、光偏向器18の第2のAOD18yに入射される。
【0090】
また、第2のAOD18yのトランスデューサには、Y=−a・sin ωtの正弦波電圧信号に応じて周波数変調されると共に、2値画像信号に応じてオンオフ変調された高周波信号が入力されるので、第2のAOD18yに入射されたレーザビームL1 は、y軸に相当する方向に偏向されると共に、その偏向量がY=−a・sin ωtに応じて随時変化され、更に2値画像信号に応じたオンオフが行われて第2のAOD18yから射出される。第2のAOD18yから射出されたレーザビームL1 は、ミラー24で反射され、集光レンズ30を介して回転鏡32に入射される。
【0091】
更に、ビームスプリッタ16から射出されたレーザビームL3 は、光偏向器22の第1のAOD22xに入射される。第1のAOD22xのトランスデューサには、X=a・cos ωtの余弦波電圧信号に応じて周波数変調された高周波信号が入力されるので、第1のAOD22xに入射されたレーザビームL3 は、x軸に相当する方向に偏向(回折)されると共に、その偏向量がX=a・cos ωtに応じて随時変化されて第1のAOD22xから射出され、光偏向器22の第2のAOD22yに入射される。
【0092】
また、第2のAOD22yのトランスデューサには、Y=a・sin ωtの正弦波電圧信号に応じて周波数変調されると共に、2値画像信号に応じてオンオフ変調された高周波信号が入力されるので、第2のAOD22yに入射されたレーザビームL3 は、y軸に相当する方向に偏向されると共に、その偏向量がY=a・sin ωtに応じて随時変化され、更に2値画像信号に応じたオンオフが行われて第2のAOD22yから射出される。第2のAOD22yから射出されたレーザビームL3 は、ミラー28で反射され、集光レンズ30を介して回転鏡32に入射される。
【0093】
回転鏡32はz軸を中心に回転しているので、回転鏡32に入射された3本のレーザビームL1 、L2 、L3 は、回転鏡32の反射面で反射されることによって、記録シートS上を走査される。また、レーザビームL1 は、光偏向器18により(1)式に応じてx軸に相当する方向及びy軸に相当する方向に偏向されており、レーザビームL3 は、光偏向器22により(2)式に応じてx軸に相当する方向及びy軸に相当する方向に偏向されているので、図17(3)に示すように、レーザビームL1 、L2 、L3 によって記録シートS上に形成される3本の走査線は、互いに平行でかつ端部の位置が揃うことになる。従って、画像を構成する各走査線の主走査方向の記録範囲が同一で、かつ歪みが生ずることのないように、記録シートSに高精度に画像を記録することができる。
【0094】
また、本実施形態では先に説明したように、光偏向器18の第1のAOD18xと第2のAOD18y、光偏向器22の第1のAOD22xと第2のAOD22yの各々の姿勢が、ブラッグ角θB がθB ≒4°、第1のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1がθZ1≒+80°、第1のAODのあおり角θA1がθA1≒+10°、第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2がθZ2≒−10°、第2のAODのあおり角θA '2がθA '2≒+10°となるように調整されているので、第1のAOD及び第2のAODによる総合的な回折効率が従来に比して非常に高く、レーザビーム発生器14から射出されるレーザビームのエネルギーを有効に利用して画像を記録することができる。
【0095】
なお、上記では光偏向器18の第1のAOD18x及び第2のAOD18y、光偏向器22の第1のAOD22x及び第2のAOD22yの各々の姿勢を、ブラッグ角θB がθB ≒4°、第1のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1がθZ1≒+80°、第1のAODのあおり角θA1がθA1≒+10°、第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2がθZ2≒−10°、第2のAODのあおり角θA '2がθA '2≒+10°となるように、すなわち第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とが直交するように調整した場合を例に説明したが、入射光を2次元に偏向するためには、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とが少なくとも交差していればよく、例えば第1のAOD及び第2のAODの姿勢を、ブラッグ角θB がθB ≒4°、第1のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1がθZ1≒+70°、第1のAODのあおり角θA1がθA1≒+10°、第2のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ2がθZ2≒−5°、第2のAODのあおり角θA '2がθA '2≒+10°となるように調整してもよい。これにより、第1のAODによる回折効率、第2のAODによる回折効率が各々略最大となり、第1のAOD及び第2のAODによる総合的な回折効率を略最大とすることができる。
【0096】
但しこの場合、第1のAODによる偏向方向及び第2のAODによる偏向方向の少なくとも一方が、回転鏡32に入射されるレーザビームに対して設定したXYZ座標系におけるX軸方向に相当する方向、又はY軸方向に相当する方向からずれることになるので、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とが直交させた場合と同様に第1のAOD及び第2のAODを駆動したとすると、回転鏡32の反射面に入射するレーザビームL1 、L2 、L3 の光スポットを記録シートSと共役な面S’に射影したとき(図19(1)参照)の面S’上におけるレーザビームL1 及びL3 の光スポットの軌跡は、(1)式又は(2)式で表される真円とはならず、楕円になるという問題がある。
【0097】
これに対しては、第1のAOD及び第2のAODのトランスデューサに入力する高周波信号の周波数変調の位相及び振幅を変化させて(VCO52に入力する余弦波電圧信号又は正弦波電圧信号の位相及び振幅を変化させて)、第1のAOD及び第2のAODによるレーザビームの偏向量を変化させれば、レーザビームL1 及びL3 の光スポットの軌跡を、(1)式又は(2)式で表される真円とすることができる。
【0098】
以下、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とを非直交とした場合に、光スポットの軌跡を真円とするための第1のAOD及び第2のAODによる偏向量を求める。
【0099】
例として図21に示すように、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とを直交させたときの各AODによる偏向方向を単位ベクトルi0 ,j 0 で表し、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とを非直交にしたとき(このときの交差角をθとする)の各AODによる偏向方向を単位ベクトルi,j で表すものとする。任意の位置のベクトルxを、直交している単位ベクトルi0 ,j 0 及び非直交の単位ベクトルi,j で表すと、
x=a0 ・i0 +b0 ・j 0 …(3)
x=a・i+b・j …(4)
となり、係数a0 ,b0 と係数a,bとの関係は
【0100】
【数1】
Figure 0003696349
【0101】
となる。次にベクトルxをレーザビームの光スポットの位置とみなし、光スポットの軌跡(ベクトルxの軌跡)が真円となるための条件を求める。単位ベクトルi0 ,j 0 を用いて光スポットの軌跡(真円)を表すと、(3)式における係数a0 ,b0 は時間の関数となり、次のように表される。
【0102】
0 (t)=cos(ω+φ) …(7)
0 (t)=sin(ω+φ) …(8)
但し、φはt=0のときの位相を表し、t=0(光スポットの位置がベクトルi0 に一致するときをt=0とする)のときをφ=0とする。また、(7)式及び(8)式では、光スポットが単位ベクトルi0 から単位ベクトルj0 へ向かう方向(図21における時計回り方向)に沿って旋回するものとした。次に(7)式及び(8)式を(5)式及び(6)式に代入することにより、単位ベクトルi,j を用いて光スポットの軌跡(真円)を表すしたときの(4)式の係数a,bを求めると、次のようになる。
【0103】
【数2】
Figure 0003696349
【0104】
ここで、θC =π/2−θなる非直交角θC を定義すると、cot θ=tan θC となるので、(9)式及び(10) 式は、
【0105】
【数3】
Figure 0003696349
【0106】
となる。従って、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とを非直交(θ≠90°)とした場合であっても、第1のAODによる偏向量及び第2のAODによる偏向量が(11) 式及び(12)式で表される変化となるように、すなわち、第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とを直交させたときと比較して、第1のAOD及び第2のAODによる偏向量が各々(1/ cosθC )倍となり、かつ一方のAODによる偏向量の変化の位相が他方のAODによる偏向量の変化の位相に対してθC だけずれるように、第1のAOD及び第2のAODに入力する高周波信号の周波数変調の位相及び振幅を変化させれば、レーザビームの光スポットの軌跡を真円にすることができる。
【0107】
また、上記では音響光学媒体としてTeO2 単結晶を用いた例を説明したが、PbMoO4 その他の一軸結晶や二軸結晶を使用することもできる。
【0108】
また、上記では本発明に係る光ビーム走査装置として画像記録装置を例に説明したが、これに限定されるものではなく、被照射体上に光ビームを走査させ、被照射体を反射又は透過した光ビームの光量を検出して被照射体上に記録されている画像を読み取る画像読取装置等の他の光ビーム走査装置に適用することも可能である。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、第1の音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が第1の音響光学偏向素子に入射される入射光の進行方向と第1の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ入射光の偏光面が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように第1の音響光学偏向素子を配置すると共に、第2の音響光学偏向素子による偏向方向が第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差し、かつ第2の音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が、第2の音響光学偏向素子に入射される入射光の進行方向と第2の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ入射光の偏光面が入射光の進行方向と超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように第2の音響光学偏向素子を配置したので、広い周波数帯域に亘って高い回折効率で入射光を2次元に偏向することができ、かつ低コストの光偏向器が得られる、という優れた効果を有する。
【0110】
また本発明は、上記の光偏向器を利用して、回折効率を向上した低コストの光ビーム走査装置が得られる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るAODの概略図である。
【図2】AODを回転させる軸を説明するためのAOD単体の斜視図である。
【図3】あおり角θA のみを変化させた場合のAOD単体の回折効率の変化を示す線図である。
【図4】あおり角θA 及び入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を変化させた場合の、入射光進行方向の軸回りの回転角θZ の変化に対するAOD単体の回折効率の変化を示す線図である。
【図5】図4に示した回折効率特性を得るための入射光進行方向の軸回りの回転角θZ とあおり角θA との関係を示す線図である。
【図6】入射光進行方向の軸回りの回転角θZ の変化に対する回折効率の変化(回折効率の周波数特性の形状がピーク状(急峻な形状)の場合)を示す線図である。
【図7】入射光進行方向の軸回りの回転角θZ が70°のときのあおり角θA の変化に対するAOD単体の回折効率の変化を示す線図である。
【図8】入射光進行方向の軸回りの回転角θZ を70°、90°、±0°とし、かつ所定周波数帯域内で駆動周波数を変化させたときのAOD単体での回折効率の変化を各々示す線図である。
【図9】第1のAODと第2のAODをタンデム配置した光偏向器において、各AODを回転させる軸を説明するための光偏向器の斜視図である。
【図10】入射光進行方向の軸回りの回転角θzを変化させたときの、AODから射出される回折光の長軸の偏光方向θdi(但し、入射光の偏光方向を基準(=0°)とする)の変化を示す線図である。
【図11】駆動周波数を各値とし、かつ入射光進行方向の軸回りの回転角θzを変化させたときの、回折光の偏光成分の長軸と短軸との比率の変化を各々示す線図である。
【図12】光偏向器の第1のAOD及び第2のAODの偏向方向が直交し、かつ高い回折効率を得るための条件を説明するための、(1)は第1のAODへの入射光の偏光方向、(2)は第1のAODの姿勢、(3)は第1のAODから射出される回折光の偏光方向、(4)は第2のAODの姿勢、(5)は第2のAODから射出される回折光の偏光方向を各々示す概念図である。
【図13】第1のAODの入射光進行方向の軸回りの回転角θZ1を+80°、+90°、±0°とし、かつ所定周波数帯域内で駆動周波数を変化させたときの、第1のAOD及び第2のAODの総合的な(光偏向器の)回折効率の変化を各々示す線図である。
【図14】光偏向器で高い回折効率を得るための他の条件を説明するための、(1)は第1のAODへの入射光の偏光方向、(2)は第1のAODの姿勢、(3)は第1のAODから射出される回折光の偏光方向、(4)は第2のAODの姿勢、(5)は第2のAODから射出される回折光の偏光方向を各々示す概念図である。
【図15】本実施形態に係る画像記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図16】光偏向器を構成する第1のAOD及び第2のAODが同一のパッケージ内に取付けられている状態を示す斜視図である。
【図17】(1)は回転鏡によって偏向された3本のレーザビームによって記録シート上に記録される走査線、(2)はレーザビームをx軸方向に相当する方向に偏向して像の回転を補正した場合の走査線、(3)はレーザビームを2次元に偏向して走査線長の相違も補正した場合の走査線を各々示す平面図である。
【図18】回転鏡の反射面に入射するレーザビームL0の入射方向を、(1)はX軸方向に−θx だけ変位させた場合、(2)はY軸方向に+θY だけ変位させた場合、(3)はX、Y軸方向にθxYだけ変位させた場合を各々示す斜視図である。
【図19】(1)は回転鏡の反射面に入射する3本のレーザビームの光スポットを、記録シートと共役な面S’に射影した場合を説明する概念図、(2)は面S’上での各レーザビームの光スポットの軌跡を示す平面図である。
【図20】本実施形態に係る画像記録装置の制御装置の概略ブロック図である。
【図21】第1のAODによる偏向方向と第2のAODによる偏向方向とを非直交とした場合に、レーザビームの光スポットの軌跡を真円とするための条件を求める過程を説明するための概念図である。
【符号の説明】
10 TeO2 単結晶
12 トランスデューサ
18 光偏向器
18x 第1のAOD
18y 第2のAOD
20 AOD
22 光偏向器
22x 第1のAOD
22y 第2のAOD

Claims (9)

  1. 異方性結晶内を進行する超音波と異方性結晶内を進行する光波との間に生じる異方ブラッグ回折を利用した第1及び第2の音響光学偏向素子を備え、前記第1の音響光学偏向素子で偏向された光が前記第2の音響光学偏向素子に入射される光偏向器であって、
    第1の音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が第1の音響光学偏向素子に入射される入射光の進行方向と前記異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ前記入射光の偏光面が前記入射光の進行方向と前記超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように第1の音響光学偏向素子が配置されており、
    第2の音響光学偏向素子による偏向方向が第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差し、かつ第2の音響光学偏向素子の異方性結晶の光学軸が第2の音響光学偏向素子に入射される入射光の進行方向と前記異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならず、かつ前記入射光の偏光面が前記入射光の進行方向と前記超音波の進行方向とを含む面に対して平行にならないように第2の音響光学偏向素子が配置されている
    ことを特徴とする光偏向器。
  2. 異方性結晶内を進行する超音波と異方性結晶内を進行する光波との間に生じる異方ブラッグ回折を利用した第1及び第2の音響光学偏向素子を備え、前記第1の音響光学偏向素子で偏向された光が前記第2の音響光学偏向素子に入射される光偏向器であって、
    前記第1の音響光学偏向素子は、第1の音響光学偏向素子への入射光の進行方向をz軸、前記入射光の偏光方向をx軸とするxyz座標系を定めたときに、第1の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とx軸とが平行で、かつ前記異方性結晶の光学軸がz軸に一致した状態を第1の音響光学偏向素子の初期状態とし、該初期状態から、前記超音波の進行方向と同じ方向の軸回りに回転されていると共にz軸と前記超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りに所定角度回転され、更に前記z軸回りに回転されて配置されており、
    前記第2の音響光学偏向素子は、第2の音響光学偏向素子による偏向方向が第1の音響光学偏向素子による偏向方向と交差し、かつ第2の音響光学偏向素子への入射光の進行方向をz’軸、前記入射光の偏光方向をx’軸とするx’y’z’座標系を定めたときに、第2の音響光学偏向素子の異方性結晶内の超音波の進行方向とx’軸とが平行で、かつ前記異方性結晶の光学軸がz’軸に一致した状態を第2の音響光学偏向素子の初期状態とし、該初期状態から、前記超音波の進行方向と同じ方向の軸回りに回転されていると共にz’軸と前記超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りに所定角度回転され、更に前記z’軸回りに回転されて配置されている
    ことを特徴とする光偏向器。
  3. 前記第1の音響光学偏向素子に対する前記z軸と第1の音響光学偏向素子内の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りの回転角度がブラッグ角、前記超音波の進行方向と同じ方向の軸回りの回転角度が略3°以上、前記z軸回りの回転角度が略30°〜略90°とされており、
    前記第2の音響光学偏向素子に対する前記z’軸と第2の音響光学偏向素子内の異方性結晶内の超音波の進行方向とを含む面に垂直な軸回りの回転角度がブラッグ角、前記超音波の進行方向と同じ方向の軸回りの回転角度が略3°以上、前記z’軸回りの回転角度が略30°〜略90°とされている
    ことを特徴とする請求項2記載の光偏向器。
  4. 前記第1の音響光学偏向素子の前記z軸回りの回転角度が略70°〜略75°とされており、
    前記第2の音響光学偏向素子の前記z’軸回りの回転角度が略70°〜略75°とされている
    ことを特徴とする請求項3記載の光偏向器。
  5. 前記第1及び第2の音響光学偏向素子は、第1の音響光学偏向素子に よる偏向方向と第2の音響光学偏向素子による偏向方向とが直交するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の光偏向器。
  6. 前記異方性結晶は一軸結晶であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の光偏向器。
  7. 前記異方性結晶はTeO 2 であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の光偏向器。
  8. 第1及び第2の音響光学偏向素子が単一のパッケージに各々取付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の光偏向器。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の光偏向器を備えた光ビーム走査装置。
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