JP3695981B2 - 電池 - Google Patents

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  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のエレクトロニクス機器(電子機器)等のバックアップ用電源として使用される電池に係り、特に、電子機器の部品あるいはその構成要素として基板に半田付けにより直接実装される電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の各種のエレクトロニクス機器の普及に伴い、これらの機器中に組み込まれるICメモリーや時計回路などの停電時のバックアップ用電源として、コイン型や円筒型などの電池をプリント基板などに直接実装する方法が広く採用されている。この種の基板実装用の電池は、長期間に亘って安定した動作を行わせるために、電流取出し用の金属製リード板の一端部を電池の外部端子面にスポット溶接やレーザー溶接などにより直接溶接して取り付けられ、金属製リード板の他端部はプリント基板の端子孔に挿入されて、半田付けなどにより取り付けられることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子部品を基板に安価に実装するために、電子部品を基板に装着した後、ハンダリフローにより電子部品を直接基板に実装することが行われている。このハンダリフローは、基板にクリームハンダを塗布し、クリームハンダの塗布面に電子部品を載置した後、基板ごとリフロー炉を通過させて220〜240℃の温度で約1分間加熱してハンダを溶融させるようにしている。このため、ハンダリフローされる電子部品は240℃程度の耐熱性が要求されるが、電子部品として電池が用いられる場合、電池はその構成要素の1つとして電解液などの液体が存在するため、ほとんどの電池は240℃程度で沸点を超えることとなり、耐熱性に対する要求を満たすことは困難な要求であった。
【0004】
ところが、最近、ハンダリフローが可能な電池として、回路のメモリーバックアップ用の小型コイン型電池が耐熱性を有する電池として開発されるようになった。しかしながら、耐熱性を有する電池であっても、電池は本質的には電解液が使用されるため、その耐熱性はハンダリフローが可能なぎりぎりの条件の240℃ということになる。このため、例えば、240℃に温度設定されていたリフロー炉の温度が設定温度よりも10℃上昇して250℃になると、耐熱性を有する電池であっても、電池性能が急激に低下して、目的とする用途には使用できないというような事態を生じた。
【0005】
このように、リフロー炉の温度が設定温度よりも上昇するような事態を生じた場合、その電池は不良品として取り除かなければならないが、不良品を取り除くための作業が必要となって、作業性が著しく低下するとともに、手間もかかるという問題を生じた。また、不良品を取り除くためには、電池電圧、内部抵抗などの電池特性の測定を実施しなければならないが、電池電圧、内部抵抗などの測定装置が必要になるとともに、電池特性の測定は煩雑で面倒なため、製品のコストが上昇し、かつ製造工程も増加して、製品の製造速度が低下し、製造歩留まりも低下するという問題を生じた。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、測定装置を用いることなく、温度上昇による電池不良を変色により容易に分かる電池を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電池は、電池の表面温度が電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上になることにより色が不可逆的に変化する感熱色素を電池に備えるようにしている。このように、電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上の温度になると色が不可逆的に変化する感熱色素を備えると、感熱色素の色が変化するため、測定装置を用いることなく、目視により、電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上の温度になったか否かを直ちに判別できるようになる。
【0008】
なお、色の変化を検出できる測定装置を用いるようにすると、電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上の温度になったか否かを自動的に非接触で判別できるようになる。この場合、接触を必要とする電気的な検査よりも高速度で行えるため、製造速度が向上する。また、使用する感熱色素は、リフロー炉の設定温度あるいは電池の耐熱性を考慮して適宜選択すればよいし、電池に塗布する位置も目視しやすい位置にすればよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
ついで、本発明の電池の一実施形態を図1に基づいて説明する。なお、図1は感熱色素を備えた電池をプリント基板に実装する状態を示す図であり、図1(a)は上面図であり、図2(b)は正面図である。
1.感熱色素を備えた電池の作製
図1に示すように、正極缶11内に二酸化マンガンを主体とする正極活物質のペレットとセパレータを充填し、負極キャップ12内にリチウム負極活物質を充填した後、正極缶11内に絶縁ガスケットを介して負極キャップ12を載置して密封した。ついで、正極缶11の外表面に正極リード板13を、負極キャップ12の外表面に負極リード板14をそれぞれスポット溶接あるいはレーザ溶接により固着して、リード付きコイン型電池10を作製した。
【0010】
このリード付きコイン型電池10は250℃の耐熱性を備えた構成のものである。なお、耐熱性が230〜270℃程度のコイン型電池を作製することは可能であるが、本実施形態においては250℃の耐熱性を有するコイン型電池を使用した。ついで、リード付きコイン型電池10の正極缶11に固着された正極リード板13の正極缶11の上部位置に感熱塗料15を円形に塗布して、感熱色素を備えた電池を作製した。なお、正極リード板13として、予め正極缶11の上部位置となる場所に感熱塗料15が円形に塗布されたものを使用すれば、感熱塗料15の塗布工程は省略できる。
なお、感熱塗料15は、250℃になると青緑色から赤灰色に不可逆的に変色する変色温度が250℃の感熱色素(サーモペイント(製品名):日油技研工業(株)製)を塗料に添加、混合することにより作製されたものである。
【0011】
2.ハンダリフロー試験
ついで、プリント基板20の表面に形成されたプリント配線21,22上にクリームハンダ23,24を塗布した後、上述のように作製されたリード付きコイン型電池10の正極リード板13および負極リード板14をそれぞれクリームハンダ23,24上に載置した。ついで、このプリント基板20をリフロー炉の中に配置した後、リフロー炉を150℃の温度で2分間予熱した後、255℃の温度で1分間本加熱した。リフロー終了後、リード付きコイン型電池10を観察すると、感熱塗料15の色は赤灰色に変色していた。これにより、リード付きコイン型電池10は250℃以上の温度に曝されたことが分かる。
【0012】
一方、プリント基板20の表面に形成されたプリント配線21,22上にクリームハンダ23,24を塗布した後、リード付きコイン型電池10の正極リード板13および負極リード板14をそれぞれクリームハンダ23,24上に載置し、上述と同様に、リフロー炉の中に配置した後、リフロー炉を150℃の温度で2分間予熱した後、245℃の温度で1分間本加熱した。リフロー終了後、リード付きコイン型電池10を観察すると、感熱塗料15の色は青緑色のままであった。これにより、リード付きコイン型電池10は250℃以上の温度に曝されていないことが分かる。
【0013】
なお、電池の温度上昇を変色により表示できるようにした電池としては、例えば、特開昭63−66865号公報、実開昭56−104069号公報あるいは実開昭61−19962号公報などに提案されているが、本発明の電池はこれらの電池と次の点で相違する。
まず、特開昭63−66865号公報にて提案された電池にあっては、ハイレート放電による自己発熱を検出するために不可逆的に変色する検知子(製品名:サーモラベル)を目視可能な位置に備えるようにしているが、ハイレート放電による自己発熱を検出するため、検出できる温度が50℃程度の低温である。このため、温度上昇による電池不良を変色により検出することはできない。
【0014】
また、実開昭56−104069号公報にて提案された電池にあっては、温度変化による変色が可逆的であり、かつ検出できる温度も最高で46℃の低温であるため、温度上昇による電池不良を変色により検出することはできない。
さらに、実開昭61−19962号公報公報にて提案された電池にあっては、過充電時の温度上昇をを検出するため、検出できる温度がせいぜい100℃程度の低温であり、かつ温度変化による変色が可逆的であるので、温度上昇による電池不良を変色により検出することはできない。
【0015】
上述したように、本発明においては、リード付きコイン型電池10の正極リード板13の表面に不可逆的に変色する色素が添加された感熱塗料15が塗布されいるため、この電池10が電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上の温度に曝されると、感熱塗料15が変色(例えば、青緑色から赤灰色に変色)するため、測定装置を用いることなく、目視により、電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上の温度になったか否かを直ちに判別できるようになる。
【0016】
なお、色の変化を検出できる測定装置を用いるようにすると、電池の耐熱温度(例えば、230〜270℃)以上の温度になったか否かを自動的に非接触で判別できるようになる。この場合、接触を必要とする電気的な測定(電圧や抵抗の測定)よりも高速度で行えるため、製造速度が向上する。また、使用する色素は、リフロー炉の設定温度あるいは電池の耐熱性を考慮して適宜選択すればよいし、電池に塗布する位置も目視しやすい位置にすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 感熱色素を備えた電池をプリント基板に実装する状態を示す図であり、図1(a)は上面図であり、図1(b)は正面図である。
【符号の説明】
10…リード付きコイン型電池、11…正極缶、12…負極缶、13…正極リード板、14…負極リード板、15…感熱塗料、20…プリント基板、21,22…プリント配線、23,24…クリームハンダ

Claims (3)

  1. 電子機器の基板にハンダリフローにより直接実装することが可能な電池であって、
    前記電池の表面温度が電池の耐熱温度以上になると色が不可逆的に変化する感熱色素を前記電池に備えたことを特徴とする電池。
  2. 前記電池の耐熱温度は230〜270℃であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  3. 前記電池はリード付きコイン型電池であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池。
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