JP3695154B2 - 油圧ウィンチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧モータによってウィンチドラムを駆動する油圧ウィンチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、クレーン等に装備される油圧ウィンチは、一般にモータによって負荷(吊荷)を巻上・巻下駆動する動力運転モードとは別にフリーフォール運転モードを備え、このフリーフォール運転モードで、負荷によりウィンチドラムを巻下回転させて負荷を自由降下させるように構成されている(特開平9−216793号公報参照)。
【0003】
このフリーフォール運転モードを備えた従来の油圧ウィンチの構成を図19〜図22によって説明する。
【0004】
図19はウィンチ本体部分の構成を模式的に示している。
【0005】
同図において、1はウィンチドラム、2はこのウィンチドラム1の駆動源としての油圧モータ(以下、ウィンチモータという)で、このウィンチモータ2の出力軸2aとウィンチドラム1との間に動力伝達を行う遊星歯車機構3が設けられている。
【0006】
4はこの遊星歯車機構3のサンギヤ、5はプラネタリギヤ、6はウィンチドラム1の内周に設けられたリングギヤ、7はプラネタリギヤ5を支持するキャリア、8はキャリア軸で、このキャリア軸8に多板ディスク9が設けられ、この多板ディスク9と、同ディスク9を作動・作動解除するプレッシャープレート10と、このプレッシャープレート10を駆動するブレーキシリンダ11と、加圧バネ12とにより、ウィンチドラム1をモータ出力軸2aに対して連結・分離し、かつ、同ドラム1のフリーフォール回転を制動するクラッチ兼用の油圧ブレーキ13が構成されている。
【0007】
多板ディスク9は、キャリア軸8に対して一体回転可能で軸方向に移動可能に取付けられた複数枚のインナプレート(第1摩擦板)14…と、この各インナプレート14…に対して接離しうるように軸方向移動可能でかつ回転不能な状態でブレーキケース15に取付けられた複数枚のアウタプレート(第2摩擦板)16…とから成り、このインナ、アウタ両プレート14,16がブレーキケース15の一方の側壁15aとプレッシャープレート10との間で圧接してブレーキ(クラッチ)オン、離間してブレーキ(クラッチ)オフとなる。
【0008】
加圧バネ12は、ブレーキケース15の他方の側壁15bとプレッシャープレート10との間に設けられ、プレッシャープレート10にブレーキオン方向のバネ力を付与する。
【0009】
ブレーキシリンダ11は、両ロッド型のピストン11Pと、プレッシャープレート10をブレーキオン方向(図の右方向)に加圧するポジティブ側油室11aと、同プレート10をブレーキオフ方向(図の左方向)に加圧するネガティブ側油室11bとを有し、ネガティブ側油室11bに接続されたネガティブライン17が直接、ブレーキ油圧源18に接続されている。
【0010】
一方、ポジティブ側油室11aに接続されたポジティブライン19は、高圧選択弁(シャトル弁)20を介して二つに分岐され、一方の分岐ラインが電磁式のモード切換弁21を介して油圧源18またはタンクTに、他方の分岐ラインがブレーキ弁(減圧弁)22を介して油圧源18またはタンクTにそれぞれ接続される。
【0011】
モード切換弁21は、図示しないモード切換スイッチの操作によってブレーキ位置aとフリーフォール位置(ブレーキ解除位置)bとの間で切換わり作動し、ポジティブ側油室11aが、ブレーキ位置aで油圧源18に、フリーフォール位置bでタンクTにそれぞれ接続される。
【0012】
ブレーキ弁22は、ペダル23によって操作され、その操作量に応じた二次圧が高圧選択弁20を介してブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aに供給される。
【0013】
この構成により、次のような作用が得られる。
【0014】
( ) モード切換弁21がブレーキ位置aにセットされた状態では、ブレーキシリンダ11の両側油室11a,11bが同圧となるため、同シリンダ11そのものには推力は発生せず、加圧バネ12のバネ力によりブレーキシリンダ11とともにプレッシャープレート10が多板ディスク9側(ブレーキ作用方向)に押されてブレーキオンとなる。
【0015】
この状態では、キャリア軸8が回転不能に固定されるため、ウィンチモータ2の回転力が遊星歯車機構3を介してウィンチドラム1に伝達され、図示しないリモコン弁の操作に応じてウィンチドラム1が巻上または巻下回転する。
【0016】
( ii ) モード切換弁21がフリーフォール位置bに切換えられると、ブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aがタンクTに連通してネガティブ側油室11bとの間に圧力差が生じ、この差圧によるブレーキシリンダ11の推力が加圧バネ12のバネ力を超えることにより、同シリンダ11が多板ディスク9と反対側(ブレーキ解除方向)に押されてブレーキオフとなる。
【0017】
この状態では、キャリア軸8がフリーとなるため、ウィンチドラム1が負荷によって巻下方向に自由回転しうる状態、すなわちフリーフォールが可能な状態となる。
【0018】
そして、このときブレーキ弁22が操作されることにより、その操作量に応じた二次圧によって多板ディスク9がオンとなり、ウィンチドラム1にブレーキ力が作用する。
【0019】
一方、この種の油圧ウィンチの本体部分の具体的構成を図20〜図22に示している。各図において、図19と同一部分に同一符号を付している。
【0020】
ブレーキシリンダ11におけるピストン11Pの片側にポジティブ側ロッド24、反対側にネガティブ側ロッド25がそれぞれ一体に設けられている。
【0021】
この両側ロッド24,25は中空軸として形成され、ネガティブ側ロッド25の先端に連結プレート26を介してプレッシャープレート10が取付けられている。
【0022】
27,27はプレッシャープレート取付用のボルト、28はキャリア軸8の外周に固定されたインナプレート取付体で、同取付体28の外周に多板ディスク9のインナプレート14…が軸方向に移動可能に取付けられている。
【0023】
ブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aは、シリンダエンドプレート29とピストン11Pとの間に、またネガティブ側油室11bはピストン11Pとブレーキケース15の側壁15bとの間にそれぞれ形成され、油路30,31を介してポジティブライン19、ネガティブライン17に接続されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の油圧ウィンチによると、次のような問題点があった。
【0025】
(I)ブレーキシリンダ11におけるピストン11Pのオーバーストロークについて
図21に拡大して示すように、プレッシャープレート10は中心部に嵌合穴10aを備え、この嵌合穴10aに連結プレート26が嵌合している。
【0026】
この連結プレート26には一端に鍔状部26aが設けられ、この鍔状部26aがプレッシャープレート10の嵌合穴10aの周縁部に多板ディスク9側から係止する状態で同プレート10がブレーキシリンダ11のピストン11P(および両側ロッド24,25)にボルト27,27で連結されている。
【0027】
これにより、ブレーキオフ方向のシリンダ推力が連結プレート26を介してプレッシャープレート10に伝えられる一方、加圧バネ12のブレーキオン方向のバネ力がプレッシャープレート10および連結プレート26を介してピストン11Pに伝えられる。
【0028】
ここで、ブレーキシリンダ11におけるネガティブ側ロッド25の外径寸法φ1と連結プレート26の本体径寸法φ2はほぼ等しく形成され、かつ、これら両寸法φ1,φ2はプレッシャープレート10の嵌合穴径寸法φ3よりも小さく設定されている。
【0029】
従って、ネガティブ側ロッド25および連結プレート26は、プレッシャープレート10に対して多板ディスク9方向(図の右方向)にフリーとなっている。
【0030】
このため、図19のモード切換弁21がフリーフォール位置bからブレーキ位置aに切換えられてプレッシャープレート10が加圧バネ12のバネ力によって多板ディスク9側に押され、同プレート10とともにネガティブ側ロッド25および連結プレート26が多板ディスク9側に移動するときに慣性によってオーバーストロークしてしまい、次にモード切換弁21がブレーキ位置aからフリーフォール位置bに切換えられたときに、上記オーバーストローク分、ピストン11Pの移動が遅れて切換応答性が悪くなり、作業能率が低下する。
【0031】
(II)湿式クラッチの連れ回り抵抗について
油圧ブレーキ13に摩擦式の多板ディスク9を使用すると、熱によって摩擦面の摩擦係数が低下してブレーキ力が低下するフェード現象が生じるおそれがある。
【0032】
そこで、従来、このような場合に多板ディスク9に冷却油を導入・循環させる湿式のブレーキ方式を採用している(たとえば特開平9−100093号公報参照)。
【0033】
ところが、この湿式ブレーキによると、フリーフォール運転時に、多板ディスク9におけるインナ、アウタ両プレート14,16の圧接を解除した(あるいはさらに両プレート間にクリアランスを確保した)場合でも、両プレート間に介在する冷却油の粘性抵抗によって両プレート14,16に連れ回り抵抗(ドラグ抵抗)がブレーキ力として作用する。
【0034】
この連れ回り抵抗によるブレーキ力も、上記両プレート間の接触抵抗と同様にさほど大きくないため大負荷時には問題とならないが、小負荷時にフリーフォール降下速度が低下したり降下不能になったりする。
【0035】
この点の対策として、フリーフォール運転時に両プレート14,16間のクリアランスを十分大きくとるようにすることが考えられるが、こうすると小負荷時には確実なフリーフォール作業が可能となる反面、両プレート14,16の圧接・解除のための必要ストロークが大きくなってブレーキ応答性が低下するため、急停止ができなくなる等、とくに大負荷時の作業に不利となる。
【0036】
そこで本発明は、第1に、ブレーキ解除状態からブレーキ作用状態に切換えたときのブレーキシリンダのオーバーストロークを防止して、再びブレーキ解除状態に切換えるときの切換応答性を改善することができる油圧ウィンチを提供するものである。
【0037】
第2に、湿式ブレーキを採用した場合に、摩擦板間の連れ回り抵抗を負荷に応じて可変とし、小負荷時にはクリアランスを大にしてフリーフォール作業能率を上げ、大負荷時には良好なブレーキ応答性を確保することができる油圧ウィンチを提供するものである。
【0038】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、油圧モータによって回転駆動されるウィンチドラムに、同ドラムのフリーフォール回転を制動する油圧ブレーキが設けられ、この油圧ブレーキは、相対向して配置された第1および第2両摩擦板同士が圧接してブレーキ力を発揮するブレーキ作用方向の推力およびこのブレーキ力が解除されるブレーキ解除方向の推力を発生するブレーキシリンダを具備し、このブレーキシリンダのピストンロッドには、中心部に嵌合穴を備えたプレッシャープレートが嵌合連結され、このプレッシャープレートにより、上記ブレーキシリンダのブレーキ作用方向の推力を上記両摩擦板に伝えるように構成された油圧ウィンチにおいて、上記ブレーキシリンダのピストンロッドとプレッシャープレートの嵌合連結部分に軸方向および径方向の隙間が設けられ、ピストンロッドとプレッシャープレートがこの隙間により軸方向および径方向に一定の規制された範囲で相対移動可能な状態で連結されてなるものである。
【0039】
請求項2の発明は、油圧モータによって回転駆動されるウィンチドラムに、同ドラムのフリーフォール回転を制動する油圧ブレーキが設けられ、この油圧ブレーキは、相対向して配置された第1および第2両摩擦板同士が圧接してブレーキ力を発揮するブレーキ作用方向の推力およびこのブレーキ力が解除されるブレーキ解除方向の推力を発生するブレーキシリンダを備え、かつ、このブレーキシリンダをブレーキ作用状態とブレーキ解除状態との間で切換えるモード切換弁と、上記ブレーキ解除状態で上記ブレーキシリンダをブレーキ作用方向に加圧して上記第1及び第2両摩擦板を圧接させるブレーキ弁とが設けられた油圧ウィンチにおいて、上記モード切換弁によってブレーキシリンダがブレーキ解除状態にセットされた状態で、上記第1および第2両摩擦板間のクリアランスを大小切換えるフリーフォールモード切換装置が設けられたものである。
【0040】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、フリーフォールモード切換装置が、ブレーキシリンダの両側油室間の差圧を変化させることによって両摩擦板間のクリアランスを可変とするように構成されたものである。
【0041】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、フリーフォールモード切換装置として、ブレーキシリンダにおけるブレーキ作用方向に加圧されるポジティブ側油室に接続されたポジティブラインと、ブレーキ解除方向に加圧されるネガティブ側油室に接続されたネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに、圧力の異なる二種類の油圧源と、このうちの一方の油圧源を選択して上記一方の油圧ラインに導く圧力切換弁が設けられたものである。
【0042】
請求項5の発明は、請求項4の構成において、フリーフォールモード切換装置の出力側が圧力選択弁の一方の入力ポートに接続され、ブレーキシリンダをブレーキ作用方向に作動させるブレーキ弁の出力側が上記圧力選択弁の他方の入力ポートに接続され、これらフ リーフォールモード切換装置およびブレーキ弁の出力圧のうち上記圧力選択弁によって選択された圧力がポジティブラインとネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに導入されるように構成されたものである。
【0043】
請求項6の発明は、請求項の構成において、フリーフォールモード切換装置の出力側がポジティブラインとネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに直接、またはブレーキシリンダをブレーキ作用方向に作動させるブレーキ弁を介して接続されたものである。
【0044】
請求項7の発明は、請求項の構成において、ブレーキシリンダにおけるブレーキ作用方向に加圧されるポジティブ側油室に接続されたポジティブラインと、ブレーキ解除方向に加圧されるネガティブ側油室に接続されたネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに、出力圧が複数通りに変更可能な油圧源が設けられてフリーフォール切換装置が構成されたものである。
【0045】
請求項8の発明は、請求項の構成において、出力圧が複数通りに変更可能な油圧源として、操作によって二次圧が変化する可変減圧弁が用いられたものである。
【0046】
請求項1の構成によると、ブレーキシリンダのピストンロッドがプレッシャープレートに対して軸方向に一定の規制された範囲でのみ移動可能に連結され、ピストンロッドの単独での軸方向の動きが規制されるため、ブレーキ作用状態への切換時のブレーキシリンダのオーバーストロークが防止される。このため、再びブレーキ解除状態に切換えるときの切換応答性を改善することができる。
【0047】
しかも、ピストンロッドとプレッシャープレートは軸方向および径方向に対して隙間の範囲で遊動可能であるため、これらを一切相対移動不能に連結した場合のように嵌合部分に無理な荷重(曲げ荷重等)が作用して連結部分が損傷するというおそれがない
【0048】
た、請求項2〜8の構成によると、湿式ブレーキをとる油圧ウィンチにおいて、フリーフォールモード切換装置によってブレーキ解除状態での両摩擦板のクリアランスを変えることができる。
【0049】
このため、負荷に応じてこのクリアランスを適切な大きさとすること、すなわち、小負荷時にはクリアランスを大きくして連れ回り抵抗を小さくし、連れ回り抵抗が問題とならない大負荷時にはクリアランスを小さくしてブレーキ応答性を良くすることができる。
【0050】
この場合、請求項の構成によると、ブレーキシリンダのポジティブ、ネガティブ両側油室間の差圧を変化させることによって、両摩擦板間のクリアランスを大小変化させることができる。
【0051】
すなわち、ポジティブ側油室の圧力をPp、ネガティブ側油室の圧力をPnとし、これらの差圧ΔP(=Pn−Pp)を小さくするとクリアランスが小さくなり、差圧ΔPを大きくするとクリアランスが大きくなる。
【0052】
一方、フリーフォール作業時にブレーキ弁が操作されると、請求項の構成では圧力選択弁によりこのブレーキ弁の二次圧が選択されてブレーキ作用が行われる。
【0053】
これに対して、請求項の構成によると、ブレーキ弁の二次圧によって直接ブレーキ作用が行われる。
【0054】
すなわち、請求項の構成において必須となる圧力選択弁が不要となる。このため、故障因子が減少して装置の信頼性が高くなるとともにコストが安くてすむ。
【0055】
また、請求項の構成によると、出力圧が複数通りに変更可能な油圧源を設けることによってブレーキシリンダの差圧を複数通りに変化させることができるため、摩擦板間のクリアランスを負荷に応じてより細かに調整することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1〜図18によって説明する。
【0057】
なお、以下の各実施形態において、従来技術を示す図19〜図22と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0058】
第1実施形態(請求項1の発明に対応。図1参照)
ブレーキシリンダ11におけるネガティブロッド25の先端に、中心部に嵌合穴10aを有するプレッシャープレート10が、鍔状部26aを備えた連結プレート26を介して嵌合連結されている。
【0059】
図21との比較において相違点のみを説明すると、第1実施形態では、ブレーキシリンダ11におけるネガティブ側ピストンロッド25の外径寸法φ1、連結プレート26の外径寸法φ2、プレッシャープレート10の内径寸法(嵌合穴10aの径寸法)φ3の関係について、
( ) φ1>φ3で、φ1−φ3=d
( II ) φ3>φ2で、φ3−φ2=e
に設定されている。
【0060】
また、連結プレート26とプレッシャープレート10の嵌合部分の長さL1,L2について、
( III ) L1>L2で、L1−L2=f
に設定されている。
【0061】
この( )( II )( III )の寸法設定により、連結プレート26(ネガティブ側ピストンロッド25)とプレッシャープレート10が、軸方向および径方向の隙間f,eの範囲で相対移動可能な状態で連結されている。
【0062】
この構成により、ピストン11Pの単独での軸方向の動きが範囲f内に規制されるため、ブレーキ解除状態からブレーキ作用状態への切換時に、ピストン11Pが多板ディスク側(図の右方向)に大きくオーバーストロークするおそれがなくなる。
【0063】
このため、次にブレーキ解除状態へ切換えるときの応答性が良くなる。
【0064】
しかも、ネガティブ側ピストンロッド25および連結プレート26とプレッシャープレート10とは軸方向および径方向に隙間f,eの範囲で相対的に遊動可能であるため、これらを一切相対移動不能に連結した場合のように嵌合部分に無理な荷重(曲げ荷重等)が作用し、たとえば連結ボルト27,27が損傷する等のおそれがない。
【0065】
なお、この実施形態では、上記( )の寸法設定によりネガティブ側ピストンロッド25とプレッシャープレート10との間に径方向の段差dを設けてこれらの軸方向相対移動を一定の小範囲(隙間f)に規制する構成をとったが、φ1≦φ3とし、
(イ)連結プレート26またはネガティブ側ピストンロッド25の外周に、プレッシャープレート10の多板ディスク側と反対側(図1の左側)の面に対向する止め輪を装着すること、
(ロ)プレッシャープレート10の内周側に、連結プレート鍔部26aの多板ディスク側(図1の右側)の面に対向する止め輪を装着すること
によっても同様の作用を得ることができる。
【0066】
第2〜第4実施形
多板ディスク9は、図19,22に示す従来技術同様、軸方向に交互に相対向して配置された複数枚ずつのインナ、アウタ両プレート(第1、第2摩擦板)14,16によって構成されている。
【0067】
第2〜第4各実施形態では、この多板ディスク9に複数のバネ部材32…が設けられ、このバネ部材32…によって両プレート14,16間のクリアランスcを保つように構成されている。
【0068】
このバネ部材32…は、図2,3に示す第2実施形態では隣り合うアウタプレート16,16の外周部間に、図4に示す第3実施形態では隣り合うインナプレート14,14の内周部間に、図5に示す第4実施形態では第2および第3両実施形態を合わせた形で隣り合うアウタプレート16,16間およびインナプレート14,14間にそれぞれ設けられている。
【0069】
バネ部材32は、図6,7に示すようにジグザグ状に折れ曲がった線バネをリング状に加工した形状をなし、インナプレート間もしくはアウタプレート間、またはこれらの双方に軸方向のバネ力を発揮する状態で取付けられている。
【0070】
この構成によると、ブレーキ解除状態で、第2実施形態では各アウタプレート16…間に、第3実施形態では各インナプレート14…間にそれぞれ一定の間隔が保たれるため、インナ、アウタ両プレート14,16の片面間のクリアランスcが確保される。このため、両プレート14,16間の接触抵抗が減少する。
【0071】
また、第4実施形態では、インナ、アウタ両プレート14,16間に一定のクリアランスcが確保されて両プレート14,16間の接触抵抗が零となる。
【0072】
従って、これら実施形態の構成により、フリーフォール作業時の多板ディスク9の接触抵抗によるブレーキ力を減少させることができるため、小負荷のフリーフォール作業時に負荷の降下速度が低下したり降下不能になったりするおそれがない。
【0073】
次の第5実施形態〜第14実施形態は、多板ディスク9におけるインナ、アウタ両プレート14,16間のクリアランスを可変とする請求項〜請求項の発明に対応する。
【0074】
第5実施形態(請求項の発明に対応。図8,9参照)
図8に示すように、ブレーキシリンダ11のネガティブ側油室11bに接続されたネガティブライン17は直接、油圧源18に接続されている。
【0075】
一方、ポジティブ側油室11aに接続されたポジティブライン19は、ブレーキ位置aとフリーフォール位置(ブレーキ解除位置)bとの間で切換わる電磁切換弁であるモード切換弁33の出力ポートに接続されている。
【0076】
このモード切換弁33は二つの入力ポートを有し、一方の入力ポートは直接、油圧源18に接続され、他方の入力ポートはフリーフォールモード切換装置34およびペダル23によって足踏み操作されるブレーキ弁22を介して油圧源18およびタンクTに接続されている。
【0077】
フリーフォールモード切換装置34は、油圧源18の圧力Pgを一定圧力Phに減圧する減圧弁35と、この減圧弁35の二次側に連通する高圧位置aとタンクTに連通する低圧位置bとの間で切換わる電磁切換弁である圧力切換弁36とを具備している。
【0078】
37は圧力切換弁36によって選択された圧力(減圧弁二次圧Phまたはタンク圧Pt)とブレーキ弁22の二次圧Piのうち高圧側を選択する高圧選択弁(シャトル弁)で、この高圧選択弁37の出力ポートとモード切換弁33の一方の入力ポートが接続されている。
【0079】
なお、図8中、38はウィンチモータ2の巻上・巻下回転を制御するリモコン弁、39はこのリモコン弁38の二次圧(リモコン圧)によって中立、巻上、巻下の三位置イ,ロ,ハ間で切換わり制御されるウィンチ用コントロールバルブ、40はウィンチモータ2の油圧源である油圧ポンプである。
【0080】
また、41は油圧シリンダ式のパーキングブレーキで、バネ41aの力によってモータ出力軸2aにブレーキ力を付与し、油圧導入時にブレーキ力を解除するネガティブブレーキとして構成され、このパーキングブレーキ41の油室41bが、油圧パイロット式のパーキングブレーキ制御弁42を介してブレーキ用油圧源18またはタンクTに接続される。
【0081】
パーキングブレーキ制御弁42は、リモコン弁38の非操作時(中立時)には図示のブレーキ位置aに、操作時にはリモコン圧を供給されて図右側のブレーキ解除位置bにそれぞれセットされる。
【0082】
すなわち、巻上・巻下操作されたときにパーキングブレーキ41が解除されてウィンチドラム1が巻上・巻下回転し、非操作時に同ブレーキ41が作用してウィンチドラム1が制動停止する。
【0083】
43はリモコン圧を取出してパーキングブレーキ制御弁42に供給するための高圧選択弁、44はこのリモコン圧を検出してb(常閉)接点からa(常開)接点に切換わる圧力スイッチである。
【0084】
さらに、この実施形態では、多板ディスク9のフェード現象を防止するために冷却用ポンプ45からの冷却油を多板ディスク9内に供給・循環する湿式ブレーキ方式がとられている。
【0085】
一方、図9において、46はモード切換スイッチで、このモード切換スイッチ46と、圧力スイッチ44と、モード切換弁33のソレノイド33sの直列回路が電源に接続され、
( ) 圧力スイッチ44がb接点にある(リモコン弁38が操作されない)状態で、
( ) モード切換スイッチ46がオン操作された
ときに、ソレノイド33sが通電されてモード切換弁33がブレーキ位置aからフリーフォール位置bに切換わるように構成されている。
【0086】
いいかえれば、モード切換弁33は、リモコン弁操作時(巻上・巻下運転時)、またはモード切換スイッチ46の非操作時にはブレーキ位置aにセットされる。
【0087】
また、図9において、47はフリーフォールモード切換スイッチで、同スイッチ47と、フリーフォールモード切換装置34における圧力切換弁36のソレノイド36sの直列回路が、モード切換弁33のソレノイド33sと並列に接続されている。
【0088】
すなわち、圧力切換弁36は、モード切換弁33がブレーキ位置aにあるときは図8に示す高圧位置aにセットされ、モード切換弁33がフリーフォール位置bに切換わったことを前提としてフリーフォールモード切換スイッチ47のオン操作時に低圧位置bに切換わるように構成されている。
【0089】
この第5実施形態にかかる油圧ウィンチの作用について、図19に示す従来ウィンチとの相違点のみを説明する。
【0090】
また、モード切換弁33がブレーキ位置aにある状態では、ブレーキシリンダ11の両側油室11a,11bに油圧源18から同圧が供給され、図19に示す従来ウィンチと同じ作用が行われるため、ここではモード切換弁33がフリーフォール位置bにセットされた状態(フリーフォール作業時)での作用のみについ説明する。
【0091】
ネガティブ側油室11bには、常時、油圧源18の圧力Pgがそのまま供給される。
【0092】
この状態で、フリーフォールモード切換スイッチ47がオフのときは、圧力切換弁36が図の高圧位置aにあるため、減圧弁35の二次圧Phがブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aに供給される。
【0093】
一方、フリーフォールモード切換スイッチ47がオン操作されると、圧力切換弁36が低圧位置bに切換わるため、ポジティブ側油室11aの圧力はタンク圧Ptとなる。
【0094】
ここで、圧力Pg,Ph,Ptは、
Pg>Ph>Pt
の関係にあるから、両側油室11a,11bの差圧ΔP=Pg−(PhまたはPt)は、フリーフォールモード切換スイッチ47がオフのときに小さく、同スイッチ47がオンのときに大きくなる。
【0095】
これにより、ブレーキシリンダ11のブレーキオフ方向の推力が、スイッチオフで小さく、スイッチオンで大きくなり、これに対応してインナ、アウタ両プレート14,16間のクリアランスが前者で小さく、後者で大きくなる。
【0096】
このため、スイッチ47がオフのときは、ブレーキ弁22の操作によるブレーキオンへの応答性が良くなり、スイッチ47がオン操作されると応答性は低下する反面、多板ディスク9の連れ回り抵抗が小さくなる。
【0097】
従って、小負荷時にはスイッチ47をオン(クリアランス大)にして連れ回り抵抗を小さくすることにより、フリーフォール作業の能率を上げ、連れ回り抵抗が問題とならない大負荷時にはスイッチ47をオフ(クリアランス小)にしてブレーキ応答性を高め、急停止性能を良くすることができる。
【0098】
第6実施形態(請求項の発明に対応。図10参照)
第5実施形態との相違点のみを説明すると、第6実施形態ではポジティブライン19がタンクTに直接接続され、ネガティブライン17が、第5実施形態におけるポジティブライン19と同様にモード切換弁33、フリーフォールモード切換装置34、ブレーキ弁22を介して油圧源18またはタンクTに接続されている。
【0099】
ブレーキ弁22はいわゆる逆比例型であり、非操作時に高圧を出力する。
【0100】
また、第5実施形態の高圧選択弁37に代えて低圧選択弁48が設けられ、フリーフォールモード切換装置34の出力PhまたはPgと、ブレーキ弁二次圧Piのうち低圧側が選択されるように構成されている。
【0101】
圧力切換弁36は、図右側の高圧位置aと左側の低圧位置bとの間で切換わり作動し、
( ) 図9のフリーフォールモード切換スイッチ47がオフの状態で、同切換弁36が低圧位置bとなって減圧弁二次圧Phがブレーキシリンダ11のネガティブ側油室11bに供給され、
( ) 同スイッチオン時に、同切換弁36が高圧位置aとなって油圧源圧力Pgが同油室11bに供給される。
【0102】
これにより、ブレーキシリンダ11のブレーキオフ方向の推力が、スイッチオフで小さく(プレート間クリアランス小)、スイッチオンで大きく(プレート間クリアランス大)なり、第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
第7実施形態(請求項の発明に対応。図11参照)
第7実施形態では、図8に示す第5実施形態の高圧選択弁37、図10に示す第6実施形態の低圧選択弁48が省略されるとともに、フリーフォールモード切換装置34が、油圧源18の圧力PgをPhに減圧する減圧弁35と、ブレーキシリンダ11の両側油室11a,11bの油圧源圧力をこの二種類の圧力Pg,Phのうちから選択する圧力切換弁36とによって構成されている。
【0104】
この圧力切換弁36で選択された圧力PgまたはPhは、
( ) ブレーキシリンダ11のネガティブ側油室11bに対しては常時供給され、
( ) ポジティブ側油室11aに対しては、モード切換弁33がブレーキ位置aのときは直接供給され、フリーフォール位置bに切換えられたときにブレーキ弁22によりさらにPiに減圧されて供給される。
【0105】
すなわち、フリーフォール作業時において、図9のフリーフォールモード切換スイッチ47がオフのとき(圧力切換弁36が低圧位置bのとき)はネガティブ側油室11bに減圧弁二次圧Phが供給され、同スイッチオンのとき(圧力切換弁36が高圧位置aのとき)はネガティブ側油室11bに油圧源圧力Pgが供給される。
【0106】
一方、ポジティブ側油室11aは、ブレーキ弁22が操作されない限りタンク圧Ptとなる。
【0107】
従って、ネガティブ側油室11bとポジティブ側油室11a間の差圧ΔPが、スイッチオフではPh−Ptで小となり、スイッチオンではPg−Ptで大となる。
【0108】
これにより、多板ディスク9のプレート間クリアランスが、スイッチオフで小となり、スイッチオンで大となる。
【0109】
この第7実施形態の構成によると、第5および第6両実施形態と比較して、圧力選択弁(高圧選択弁37、低圧選択弁48)という故障が生じ易い弁を省略できることにより、回路の信頼性が高められるとともにコストが安くてすむ。
【0110】
第8〜第11実施形態(図12〜図15参照)
これら各実施形態は、第7実施形態の一部変形例であり、第7実施形態との相違点のみを説明する。
【0111】
第7実施形態ではブレーキ弁22の一次圧が、フリーフォールモード切換装置34によって油圧源圧力Pgと減圧弁二次圧Phのうちから選択される構成とされたのに対し、図12に示す第8実施形態では、ブレーキ弁22の一次圧が油圧源圧力Pgに固定され、ネガティブ側油室11bの圧源圧力のみが、圧力切換弁36によって油圧源圧力Pgと減圧弁二次圧Phのうちから選択されるように構成されている。
【0112】
この場合、モード切換弁33がブレーキ位置aにある状態では、ポジティブ側油室11aの圧力がネガティブ側油室11bの圧力よりも高くなり、ブレーキシリンダ11にブレーキオン側の推力が作用するが、第1実施形態の油圧ウィンチ構成であれば切換時の応答性の問題は発生しない。
【0113】
一方、図13に示す第9実施形態では、ブレーキシリンダ11のネガティブ側油室11bには常時、油圧源圧力Pgが供給され、ポジティブ側油室11aには、ブレーキ弁22を介してフリーフォールモード切換装置34の圧力切換弁36によって選択された減圧弁二次圧Phまたはタンク圧Ptが供給されるように構成されている。
【0114】
図14に示す第10実施形態では、ブレーキ弁22は逆特性型であり、ブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aが常時タンクTに接続され、ネガティブ側油室11bの圧力を調整してフリーフォール作業を行う構成を前提として、ブレーキ弁22の一次圧が、圧力切換弁36によって油圧源圧力Pgと減圧弁二次圧Phのうちから選択されるように構成されている。
【0115】
図15に示す第11実施形態では、モード切換弁33がフリーフォール位置bに切換わり、かつ、逆応答型のブレーキ弁22が操作されない状態で、フリーフォールモード切換装置34の圧力切換弁36が図示の高圧位置aにあるときは、ブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aに減圧弁35の二次圧Ph、ネガティブ側油室11bに油圧源圧力Pgがそれぞれ作用して両側油室間の差圧Δが小さく(Pg−Ph)なるため、多板ディスク9のプレート間クリアランスが小さくなる。
【0116】
これに対し、圧力切換弁36が図左側の低圧位置bに切換えられると、ポジティブ側油室11aの圧力がタンク圧Ptとなって差圧ΔPが大きく(Pg−Pt)なるため、上記クリアランスが大きくなる。
【0117】
この場合、モード切換弁33がブレーキ位置aにある状態では、ポジティブ側油室11aの圧力がネガティブ側油室11bの圧力よりも高くなり、ブレーキシリンダ1にブレーキオン側の推力が作用するが、請求項1の油圧ウィンチ構成をとることによって切換時の応答性の問題は発生しない。
【0118】
第12〜第14実施形態(請求項の発明に対応。図16〜図18参照)
これら各実施形態では、フリーフォールモード切換装置34を、ハンドル等の手動操作手段により操作されて二次圧Pjが変化する手動可変減圧弁(電磁比例式減圧弁でもよい)49のみによって構成し、同減圧弁49の二次圧Pjを変化させることによってブレーキシリンダ11の差圧ΔPを変えてプレート間クリアランスを多数通りに調整しうる構成をとっている。
【0119】
ここで、
(イ)図16に示す第12実施形態では、減圧弁49の二次圧Pjがブレーキシリンダ11のネガティブ側油室11bに導入される。
【0120】
(ロ)図17に示す第13実施形態では、減圧弁二次圧Pjが高圧選択弁50により高圧側圧力としてブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aに導入される。
【0121】
(ハ)図18に示す第14実施形態は、減圧弁二次圧Pjが低圧選択弁51により低圧側圧力としてブレーキシリンダ11のポジティブ側油室11aに導入される。
【0122】
この第12〜第14実施形態によれば、負荷の大小に応じたより細かなクリアランス調整、すなわち、ブレーキ応答性と連れ回り防止性能の調整が可能となる。
【0123】
ところで、上記各実施形態では、遊星歯車機構のキャリア軸を固定・解放することによってクラッチ作用とフリーフォール時のブレーキ作用とを得る構成をとったが、本発明は、ウィンチドラムと遊星歯車機構のキャリア軸を一体化し、リングギヤの回転を固定・解放することによってクラッチ作用とフリーフォールのブレーキ作用とを得る構成の油圧ウィンチにも、またクラッチとブレーキが互いに独立して設けられ、別々に制御される油圧ウィンチにも適用することができる。
【0124】
【発明の効果】
上記のように請求項1の発明によると、ブレーキシリンダのピストンロッドがプレッシャープレートに対して軸方向に一定の規制された範囲でのみ移動可能に連結され、ピストンロッドの単独での軸方向の動きが規制されるため、ブレーキ作用状態への切換時のブレーキシリンダのオーバーストロークが防止される。このため、再びブレーキ解除状態に切換えたときの切換応答性を改善することができる。
【0125】
しかも、ピストンロッドとプレッシャープレートは軸方向および径方向に一定範囲で遊動可能であるため、これらを一切相対移動不能に連結した場合のように嵌合部分に無理な荷重が作用して連結部分が損傷するというおそれがない
【0126】
た、請求項の発明によると、湿式ブレーキをとる油圧ウィンチにおいて、フリーフォールモード切換装置によってブレーキ解除状態での両摩擦板間のクリアランスを変えることができる。
【0127】
この場合、請求項の発明では、ブレーキシリンダのポジティブ、ネガティブ両側油室間の差圧を変化させることによって両摩擦板間のクリアランスを大小変化させることができる。
【0128】
このため、負荷に応じてこのクリアランスを適切な大きさとすること、すなわち、小負荷時にはクリアランスを大きくして連れ回り抵抗を小さくし、連れ回り抵抗が問題とならない大負荷時にはクリアランスを小さくしてブレーキ応答性を良くすることができる。
【0129】
このうち請求項の発明によると、請求項の発明と比較して圧力選択弁(高圧選択弁または低圧選択弁)という故障因子が減少するため、装置の信頼性が高くなるとともにコストが安くてすむ。
【0130】
また、請求項の発明によると、出力圧が複数通りに変更可能な油圧源を設けることによってシリンダ差圧を複数通りに変化させることができるため、摩擦板間のクリアランスを負荷に応じてより細かに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態にかかる油圧ウィンチのブレーキシリンダ部分の断面図である。
【図2】 本発明の第2実施形態にかかる油圧ウィンチの多板ディスク部分のブレーキ作用状態の断面図である。
【図3】 同ブレーキ解除状態の図2相当図である。
【図4】 本発明の第3実施形態にかかる油圧ウィンチの図3相当図である。
【図5】 本発明の第4実施形態にかかる油圧ウィンチの図3相当図である。
【図6】 第2〜第4各実施形態に使用されるバネ部材の正面図である。
【図7】 同バネ部材の部分側面図である。
【図8】 本発明の第5実施形態にかかる油圧ウィンチの本体部分の模式的構成と油圧回路構成を示す図である。
【図9】 同実施形態における電気操作回路の回路図である。
【図10】 本発明の第6実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図11】 本発明の第7実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図12】 本発明の第8実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図13】 本発明の第9実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図14】 本発明の第10実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図15】 本発明の第11実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図16】 本発明の第12実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図17】 本発明の第13実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図18】 本発明の第14実施形態にかかる油圧ウィンチの一部油圧回路構成図である。
【図19】 従来の油圧ウィンチの本体部分の模式的構成と油圧回路構成を示す図である。
【図20】 従来の油圧ウィンチの一部の具体的構成を示す断面図である。
【図21】 同ウィンチのブレーキシリンダ部分の拡大図である。
【図22】 同ウィンチの多板ディスク部分のブレーキ解除状態の断面図である。
【符号の説明】
1 ウィンチドラム
2 油圧ウィンチモータ
9 多板ディスク
14 多板ディスクのインナプレート(第1摩擦板)
16 同アウタプレート(第2摩擦板)
13 油圧ブレーキ
10 プレッシャープレート
10a プレッシャープレートの嵌合穴
11 ブレーキシリンダ
11a ブレーキシリンダのポジティブ側油室
19 ポジティブライン
11b 同ネガティブ側油室
17 ネガティブライン
11P 同ピストン
24 同ポジティブ側ピストンロッド
25 同ネガティブ側ピストンロッド
26 ピストンロッドとプレッシャープレートとを連結する連結プレート
27,27 同連結ボルト
φ1 ネガティブ側ピストンロッドの外径寸法
φ2 連結プレートの外径寸法
φ3 プレッシャープレートの嵌合穴の径寸法
d,e 径方向寸法差
L1 連結プレートとプレッシャープレートの嵌合部分における連結プレートの軸方向長さ寸法
L2 同プレッシャープレートの軸方向長さ寸法
f 軸方向長さ寸法差
12 加圧バ
8 ブレーキ用油圧源
22 ブレーキ弁
33 モード切換弁
34 フリーフォールモード切換装置
35 フリーフォールモード切換装置を構成する減圧弁
36 同圧力切換弁
37 高圧選択弁(圧力選択弁)
48 低圧選択弁(圧力選択弁)
49 フリーフォールモード切換装置を構成する手動可変減圧弁
50 高圧選択弁
51 低圧選択弁

Claims (8)

  1. 油圧モータによって回転駆動されるウィンチドラムに、同ドラムのフリーフォール回転を制動する油圧ブレーキが設けられ、この油圧ブレーキは、相対向して配置された第1および第2両摩擦板同士が圧接してブレーキ力を発揮するブレーキ作用方向の推力およびこのブレーキ力が解除されるブレーキ解除方向の推力を発生するブレーキシリンダを具備し、このブレーキシリンダのピストンロッドには、中心部に嵌合穴を備えたプレッシャープレートが嵌合連結され、このプレッシャープレートにより、上記ブレーキシリンダのブレーキ作用方向の推力を上記両摩擦板に伝えるように構成された油圧ウィンチにおいて、上記ブレーキシリンダのピストンロッドとプレッシャープレートの嵌合連結部分に軸方向および径方向の隙間が設けられ、ピストンロッドとプレッシャープレートがこの隙間により軸方向および径方向に一定の規制された範囲で相対移動可能な状態で連結されてなることを特徴とする油圧ウィンチ。
  2. 油圧モータによって回転駆動されるウィンチドラムに、同ドラムのフリーフォール回転を制動する油圧ブレーキが設けられ、この油圧ブレーキは、相対向して配置された第1および第2両摩擦板同士が圧接してブレーキ力を発揮するブレーキ作用方向の推力およびこのブレーキ力が解除されるブレーキ解除方向の推力を発生するブレーキシリンダを備え、かつ、このブレーキシリンダをブレーキ作用状態とブレーキ解除状態との間で切換えるモード切換弁と、上記ブレーキ解除状態で上記ブレーキシリンダをブレーキ作用方向に加圧して上記第1及び第2両摩擦板を圧接させるブレーキ弁とが設けられた油圧ウィンチにおいて、上記モード切換弁によってブレーキシリンダがブレーキ解除状態にセットされた状態で、上記第1および第2両摩擦板間のクリアランスを大小切換えるフリーフォールモード切換装置が設けられたことを特徴とする油圧ウィンチ。
  3. 請求項2記載の油圧ウィンチにおいて、フリーフォールモード切換装置が、ブレーキシリンダの両側油室間の差圧を変化させることによって両摩擦板間のクリアランスを可変とするように構成されたことを特徴とする油圧ウィンチ。
  4. 請求項3記載の油圧ウィンチにおいて、フリーフォールモード切換装置として、ブレーキシリンダにおけるブレーキ作用方向に加圧されるポジティブ側油室に接続されたポジティブラインと、ブレーキ解除方向に加圧されるネガティブ側油室に接続されたネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに、圧力の異なる二種類の油圧源と、このうちの一方の油圧源を選択して上記一方の油圧ラインに導く圧力切換弁が設けられたことを特徴とする油圧ウィンチ。
  5. 請求項4記載の油圧ウィンチにおいて、フリーフォールモード切換装置の出力側が圧力選択弁の一方の入力ポートに接続され、ブレーキシリンダをブレーキ作用方向に作動させるブレーキ弁の出力側が上記圧力選択弁の他方の入力ポートに接続され、これらフリーフォールモード切換装置およびブレーキ弁の出力圧のうち上記圧力選択弁によって選択された圧力がポジティブラインとネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに導入されるように構成されたことを特徴とする油圧ウィンチ。
  6. 請求項記載の油圧ウィンチにおいて、フリーフォールモード切換装置の出力側がポジティブラインとネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに直接、またはブレーキシリンダをブレーキ作用方向に作動させるブレーキ弁を介して接続されたことを特徴とする油圧ウィンチ。
  7. 請求項記載の油圧ウィンチにおいて、ブレーキシリンダにおけるブレーキ作用方向に加圧されるポジティブ側油室に接続されたポジティブラインと、ブレーキ解除方向に加圧されるネガティブ側油室に接続されたネガティブラインのうちの一方の油圧ラインに、出力圧が複数通りに変更可能な油圧源が設けられてフリーフォール切換装置が構成されたことを特徴とする油圧ウィンチ。
  8. 請求項記載の油圧ウィンチにおいて、出力圧が複数通りに変更可能な油圧源として、操作によって二次圧が変化する可変減圧弁が用いられたことを特徴とする油圧ウィンチ。
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