JP3694558B2 - 高周波コイル及びそれを用いた磁気共鳴検査装置 - Google Patents

高周波コイル及びそれを用いた磁気共鳴検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴を用いた検査装置の高周波コイルに係わり、特に被験者の特定部位の断層像やスペクトルを得るのに好適な磁気共鳴検査装置(以下、MRI装置という)の高周波コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置は、静磁場中に置かれた被検体に高周波磁場を照射し、これによって被検体の組織を構成する原子の原子核スピンから発生する核磁気共鳴信号(以下、NMR信号という)を検出し画像化するものである。このためMRI装置では、被検体に高周波磁場を照射する高周波コイル(以下、RFコイルという)及び高周波信号であるNMR信号を検出するRFコイルを備えている。MRI装置には、照射用と受信用とで別々のRFコイルを備えたもの(クロスコイル方式)や、1つのRFコイルで照射用と受信用と兼ねたもの(シングルコイル方式)とがあり、これらの方式によって、また適用される部位によって様々な形状のコイルが使用される。
【0003】
例えば、照射用RFコイルとして、被検体に照射する高周波磁場を均一にするため、サドル型(鞍型)コイルやバードケージ形コイルといった全身用コイルで照射し、その一方、NMR信号受信時には受信感度を上げるため小型のコイル、例えば局所用のサーフェスコイル等で受信する方式を採用している(特開昭61−95234等)。またバードケージ形の全身用コイルを照射用と受信用で兼ねる場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような全身用コイルを照射用として用いた場合、被検体の励起は撮影に不必要な部位にまでおよぶので、SAR(Specific Absorption Ratio:比吸収率)等の人体の発熱の問題が生じる可能性がある。特に近年高速画像法が広く採用されるようになるにつれ、RFコイルへの印加電力も大電力化しており、過大なパワーによる被検者や操作者の火傷や感電の危険性を防止する必要性が生じている。
【0005】
ところで従来から受信専用のサーフェスコイルとしてダイオードを切り換えることにより、撮影視野を変えて撮影する手法が知られているが、全身用コイルについてはこのような例は知られていない。更に照射時と受信時とで、照射領域と受信領域とを切り換えて撮影するものも例がない。そのため、不必要に広い領域を励起したり、受信時の長手方向の視野が狭い等の問題が生じていた。特にシングルコイル方式の場合には長手方向の視野が狭くなり、高周波磁場分布が不均一になるなどの問題を生じていた。
【0006】
また、頭部や大腿等のMRアンギオグラフィ(以下「アンギオ」という。)の時には、全身用コイルによって全身を励起した場合には、撮影視野外の心臓から流入する血液による不要な信号が混入したりして画質の劣化を招いていた。
【0007】
そこで、本発明のRFコイルは、臨床上必要な撮影部位のみを励起することができ、不必要な高周波磁場を被検体に印加することを防止して被検体を発熱させる問題を解消し、かつ不必要なパワーの照射コイルへの印加を防止して火傷、感電等の危険性を防止することを目的とする。また、全身用コイルにおいて、同一のRFコイルを照射用及び受信用の両方に使用しても、高感度に撮影することをも目的とする。更に、アンギオ撮影の場合には、不要な励起を避けて心臓からの血流ノイズを低減させて、良好な画像を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のRFコイルは、均一な静磁界を印加する静磁場発生手段と、位置によって強度の異なる傾斜磁界を発生する傾斜磁場発生手段と共に用いられ、被検体に核磁気共鳴現象を起こさせるため高周波磁場を前記被検体に照射し、かつ/又は照射によって前記被検体に生じる核磁気共鳴信号を検出する高周波コイルであって、所定の周波数で共振する複数の共振器を構成する複数の導体と複数のキャパシタンスとを含み、前記複数の導体の少なくとも一部に接続され、前記複数の共振器のいずれかを選択的に作動させ他の共振器を非作動にする複数のスイッチ手段を備えたものである。
【0009】
高周波コイルを適用する部位に応じて、また高周波コイルを照射・受信のいずれかに用いるかに応じて、適当なスイッチ手段を駆動し、所望の共振器を作動状態とすることができる。これにより不要な励起を防止し、装置の安全性を高めると共に、特にアンギオ撮影の際の不要な信号の混入を防止することができる。
【0010】
本発明のRFコイルは、3つ以上のリング状導体と、各リング状導体を結合する複数の線状導体と、リング状導体及び/又は線状導体を分割するキャパシタンスとを備えたRFコイルに適用され、複数の、好適には3つ以上のリング状導体のうち任意の2つのリング状導体又はその一部とそれら2つのリング状導体又はその一部を接続する線状導体とで構成される共振器が作動状態となるように、リング状導体及び/又は線状導体の一部を共振器から電気的に切り離す複数のスイッチ手段を備えたものである。ここで、リング状導体とは、円形に限らず、楕円形、四角形等のループを構成する導体であればよい。
【0011】
作動状態となる共振器は、任意の2つのリング状導体とそれらリング状導体とを結合する複数の線状導体とで構成することができ、更にリング状導体がキャパシタンスで分割される場合にはその一部を使用し、それらリング状導体の各一部とそれらを結合する線状導体とで構成することもできる。このようなリング状導体の各一部とそれらを結合する線状導体とで構成されるコイルとしては、例えばサーフェス型のRFコイルがある。
【0012】
このようなRFコイルの構成は、複数のスイッチ手段の所定のものをオン・オフ制御することにより決定することができる。スイッチ手段としては、制御のしやすさ等の点から、好適にはダイオードが採用されるが、これに限定されることなく、公知のスイッチ手段、例えばリレーや同軸スイッチを採用することができる。ダイオードは、リング状導体及び/又は線状導体に直列に接続し、そのオン・オフにより直接導体を接続・非接続にするスイッチ手段として用いることもできるが、またキャパシタンスとコンダクタンスとの共振回路と組合せて用いることも可能である。
【0013】
リング状導体及び/又は線状導体に直列に接続されたダイオードの場合、ダイオードがオンであれば導体は接続したものとして作用し、オフであれば導体は切断したものとして作用する。
【0014】
一方、ダイオードを共振回路と組合せて用いる場合には、直列に接続したコンダクタンスとダイオードとを導体に直列に接続されたキャパシタンスに対し並列に接続する。ここでコンダクタンスとキャパシタンスとは、ダイオードがオンの場合に共振器の周波数で並列共振する共振回路を形成し、高インピーダンスとなり、結果としてこのような共振回路が導入された導体を非接続(オープンの状態)にする。またダイオードに逆バイアスをかけてオフにした場合には、インダクタンスを接続しないのと等価となり、導体はキャパシタンスで接続された状態となる。
【0015】
スイッチ手段として、ダイオードを用いる場合には、ダイオードに給電するダイオード駆動手段が設けられる。ダイオード駆動手段は、各ダイオード毎に設けても、またリング状導体に直列に複数のダイオードを接続する場合には、リング状導体の1ヵ所から各ダイオードに給電することも可能である。
【0016】
また本発明において好適にはダイオードは、複数のダイオードを組合せて用いる。例えば2つのダイオードの各アノードを接続した1組として用い、この場合にダイオード駆動手段は、2つのダイオードの接続点に正電圧を給電し、各カソード側に負電圧を給電するものとする。本発明のRFコイルを照射コイルとして使用する場合には、照射時、オフ状態にしているダイオードに比較的大きな電圧が印加されるので、このような電圧によってダイオードがオンしないように逆電圧を印加することが必要となる。この場合数百ボルトの逆電圧を印加しなければならない場合も生じ得る。そこで上記のように2つのダイオードを互いに順方向向きに接続し、接続点に負電圧を印加し、カソード側に正電圧を印加することにより、比較的小さな給電電圧で、照射時の高電圧に対してもダイオードがオンしないようにすることができる。
【0017】
ダイオードに給電するダイオード駆動手段は計算器などの制御器からの制御線に接続され、撮影条件や撮影手順に合わせて順方向又は逆方向にダイオードに給電する。また、照射時用と受信時用とで異なる制御線を設けて、撮影手順に合わせて異なる時間タイミングで給電することもできる。
【0018】
このようにダイオードを制御することにより、複数の共振器を構成する各導体部分を、選択的に接続或いは切断状態とすることができ、これにより任意の共振器を作動状態とすることができる。例えば、RFコイルが複数のリング状導体を含む場合には、任意の2つのリング状導体とそれを接続する線状導体で構成されるコイルを作動状態とすることができる。2つのリング状導体の組合せを変えることにより、コイル構成を変更することができる。従って、本発明のRFコイルが照射コイルである場合には、照射領域を可変にでき、また受信コイルである場合には感度分布を可変にできる。またキャパシタンスによって分割されたリング状導体の各部分がそれぞれダイオードを接続する場合には、一部のダイオードに逆方向の給電をすることにより、2つのリング状導体の一部とそれらを結合する線状導体とで構成されるコイルを作動状態とすることができる。
【0019】
このように本発明のRFコイルは、リング状導体を分割するキャパシタンスとリング状導体かつ/又は線状導体に接続されたダイオードとの組み合せで、サーフェスコイル、全身用コイル等の様々な形状、全身型コイルにおいて長いもの短いもの様々な体積の共振器を実現することができる。また、このようなRFコイルは、照射用としても受信用としても用いることができ、被検体の検査部位に合わせて、また、照射目的か受信目的かによって自在に形状、体積等が選択できる。これにより不要な高磁場照射を避けることができるとともに、撮影感度をも上げることができる。
【0020】
更に本発明のRFコイルは、作動状態の共振器が所望の周波数に同調を取るための手段を備えている。このような手段としては、リング状導体と複数の線状導体とリング状導体及び/又は線状導体を分割するキャパシタンスが、スイッチ手段のオン・オフにより作動する共振器を所望の共振周波数に同調をとるようなキャパシタンスとインダクタンスとの組合せを構成するものであるか、或いはキャパシタンスに、例えば可変キャパシタンス等の同調を取る手段を備えるもととすることができる。
【0021】
本発明のRFコイルは、コイル自体に給電するための給電手段を有し、好適には給電手段を複数有するものである。これら複数の給電手段は、本発明のRFコイルのコイル構成が変更されることに対応して、それぞれの構成コイルについての給電手段となる。
【0022】
本発明のRFコイルは、コイルの機能が阻害されない限り任意に変形させることができ、変形の1態様としてリング状導体の少なくとも1つは、被検体の形状に対応して変形された形状を有するものである。例えばリング状導体の形状を一部変形させることによって、アンギオ撮影に適した形状のRFコイルを得ることもできる。
【0023】
更に本発明のRFコイルは、高周波信号照射及び受信兼ねたRFコイルであって、照射時と受信時とでコイル構成が異なるものである。この場合、例えば受信時には照射時よりも狭い領域のコイル構成とし、感度を上げることができる。
【0024】
本発明のMRI装置は、上述したようなRFコイルを備えたものであり、このRFコイルとともに、被検体に均一な静磁界を印加する磁場発生手段と、位置によって強度の異なる傾斜磁界を発生する磁場発生手段とを備えている。このMRI装置では、照射領域を変更でき、また受信の場合の感度分布を変更できるRFコイルを備えているので、被検体に対する不必要な高周波磁場の印加を防止でき、関心領域を高感度に撮影することができる。
【0025】
本発明のMRI装置は、好適にはRFコイルに備えられたダイオードの各々を独立して給電制御する制御手段を備え、更に好適にはRFコイルのリング状導体、線状導体及びこれら導体に接続されたダイオードのオン・オフ状態を表示し、任意のダイオードをオン又はオフするために選択可能な操作パネルを備えている。操作パネルは、例えば構成するコイルの形状を被検体の撮影画像に重ねて表示する。操作者は、この操作パネルの表示に基づき、必要な領域をRF照射するために、或いは必要な領域から感度よくNMR信号を検出するためにダイオードのオン・オフ制御を行うことができる。このため、選択操作は操作性がよく、確実である。
【0026】
更に好適な本発明のMRI装置は、ダイオードのオン又はオフにより定まるコイル構成を表示する表示手段を備えている。表示手段は、操作パネルによる操作後、どのダイオードがオンされた結果どの部分が照射コイルになっているか、また、どの部分が受信コイルになっているかについて画面に表示する。これにより、操作者は現在作動中のコイル構成をモニタし、選択した共振器の妥当性を最終的に判断することができ、操作性よくオペレーションできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以上本発明のRFコイルの1実施例を図1の模式的回路図を用いて説明する。
このRFコイルは等間隔で配置された3つのリング状導体(以下、リングという。)1〜3と、これらのリングを結合する4本の線状導体(以下、ラングという。)4〜7とを備えている。
【0028】
リング1、3はそれぞれラング4〜7との各接続点間の導体部分に適当に調整されたキャパシタンス8、10が挿入され、これにより4つに分割されている。
【0029】
リング2では、ラング4〜7との各接続点間にそれぞれ2つのキャパシタンス9が挿入され、合計8つのキャパシタンスにより8つに分割されている。そして、接続点間にある2つのキャパシタンスの間の導体部分にはスイッチ手段であるダイオード11〜14が直列に接続されている。各ダイオード11〜14は図2(a)に示すようにインダクタンスを介してそれぞれ給電するための給電回路(ダイオード駆動手段)71に接続される。尚、図2(a)においてダイオードは70で、その両側のキャパシタンスは410で示されており、図1のダイオード11〜14とキャパシンタンス9にそれぞれ対応する。このような給電回路71のインダクタンスは、所定の共振周波数に対して高インピーダンスとなるようにダイオード11〜14に付加される。リング2では、ダイオードの両側にそれぞれキャパシタンス410が位置することにより、バイアス電流が流れないようにして、直流をカットしている。
【0030】
ラング4〜7は、それぞれリング2とリング3との間に位置する導体部分にダイオード15〜18が直列に接続されており、これらダイオード15〜18もダイオード11〜17と同様にインダクタンスを介して給電回路に接続されている。
【0031】
以上のように構成される図1のRFコイルは、リング2に接続されたダイオード11〜14及びリング2とリング3との間のラング4〜7に接続されたダイオード15〜18をオン・オフ制御することにより、リング1、リング3及びこれらリング1、3を接続するラング4〜7で構成される長い共振器、リング1、リング2及びこれらリング1、2を接続するラング4〜7で構成される短い共振器、更にリング1、3の一部とラングで構成されるサドル型のサーフェスコイルを構成することができる。
【0032】
RFコイルは、このようにコイル構成が変化する(作動状態となる共振器が異なる)場合、いずれの共振器においても所望の共振周波数で同調が取れることが必要である。このため、各キャパシタンス8〜10の容量を適宜選択しておくか、或いはキャパシタンス8〜10の一部を可変キャパシタンスとするか、別途可変キャパシタンスを接続し、コイル構成の変化に応じて同調をとることが望ましい。
【0033】
次にこのようなRFコイルに給電するための給電手段について説明する。RFコイルへの給電は一般に導体に設けた給電点にキャパシタンスを介して給電するする方法と、他のコイルを導体に近接して給電するインダクティブ結合による方法とがあるが、本発明のRFコイルでは前述したようにダイオードの駆動によりコイル構成を変更することができるので、これら複数のコイル構成に対応して給電手段を複数設けることが好ましい。容量結合の場合には、リング1〜3またはその近傍のラングに容量結合による給電点を設けることで各々の共振器に給電することが可能である。この場合、各給電手段をスイッチ若しくはリレーなどで切り換えてRFコイルに給電することも可能であり、これにより共振器を構成するリングにのみ給電することができ、不要なリングには給電しないですむ。またインダクティブ結合の場合には、コイル構成に応じて作動状態であるリングの近傍に給電手段である他のコイルを近接すればよい。インダクティブ結合はRFコイルに直接給電点を接続しなくてよい点で容量結合による給電よりも扱いやすい。
【0034】
またいずれの場合にも3つのリングの円周方向に対して90度の位置でそれぞれ給電することにより、RFコイルをQD化することができる。
【0035】
尚、図示する実施例では、スイッチ手段として単一のダイオードを導体に直列に接続した場合(図2(a))を説明したが、導体を分割するキャパシタンスと並列にインダクタンスとダイオードの直列回路を接続してもよい。このような実施例を図2(b)に示す。ここで給電回路71は高いインピーダンスをもつインダクタで構成され、順バイアスによりダイオード70をオンにする。この場合、インダクタンス72を適当に選ぶことで、ダイオード70がオンのときにキャパシタンス420とインダクタンス72とは所望の周波数で並列共振を起こし、キャパシタンス420の両端で高インピーダンスとすることができる。結果として、このような回路が挿入される導体ループを実質的に開状態にする。また、給電回路71よりダイオード70に逆バイアスをかけ、オフにすることにより、インダクタンス72が接続されていないのと等価となり、この回路が挿入される導体ループを閉状態にする。従って、スイッチ手段として図2(b)に示す構成をとる場合には、図2(a)の場合とは逆にダイオードをオン(図2(b)に示す状態)にすることにより、導体ループを開状態とし、ダイオードをオフにすることにより導体ループを閉状態とすることになる。
【0036】
またRFコイルを照射コイルとして用いる場合、照射時には、数百ボルト程度の比較的大きな電圧が印加されることがあり、ダイオードの構成として単一のダイオードを用いた場合には(図2(a)及び(b))、逆電圧を印加してオフとなっているダイオードもオンしてしまう可能性がある。これを防止するためには、ダイオードに印加する逆バイアス電圧を数百ボルトとする必要があるが、これは給電回路構成を困難にし、安全性の観点からも好ましくない。従って、ダイオードの構成として図2(c)及び(d)に示すように、2つのダイオード70、70をアノード同士を接続し、その接続点と各カソード側の合せて3ヵ所に給電点を設けることが好ましい。このような構成では、ダイオードをオンにする場合には図示するように接続点に正電圧を印加し、両端に負電圧を印加する。一方、ダイオードをオフにする場合には、接続点に負電圧を印加し、両端に正電圧を印加する。これにより照射時の大きな逆電圧に対してもダイオードがオンすることを防止できる。尚、図2(c)及び(d)では、2つのダイオードを示したが、これらダイオードと給電点との間に更に同方向の複数のダイオードを加えることも可能である。これにより逆電圧に対しさらに強くすることができる。
【0037】
次に、以上のように構成されるRFコイルのMRI装置における適用について説明する。本発明のRFコイルは、MRI装置の照射・受信兼用コイルとしても、また照射専用コイル或いは受信専用コイルとしても使用することができ、以下、図1のRFコイルを全身用の照射コイルとして用いる場合について説明する。
【0038】
まず撮影領域に応じて構成する共振器を選択する。広い領域で照射する場合には、長い共振器を用いるのが適しているので、この場合は、リング2に接続されたダイオード11〜14を給電手段71(図2(a))によりそれぞれ逆方向に給電してオフにすると共に、ラング4〜7に接続されたダイオード15〜18を給電手段によりそれぞれ順方向に給電してオンする。これによって図3(a)に太線で示すようにリング1とリング3とにより構成された長い共振器を照射コイルとして使用できる。一方、狭い領域の撮影のみを行う場合には、短い共振器を用いるのが適しているので、このような場合は、リング2に接続されたダイオード11〜14をそれぞれ順方向に給電してオンにすると共に、ラング4〜7に接続されたダイオード15〜18をそれぞれ逆方向に給電してオフにする。これによって、図3(b)に太線で示すようなリング1とリング2とにより構成された短い共振器を照射コイルとして使用できる。尚、ここでは説明を簡単にするためにダイオード11〜18として単一のダイオードを用いた場合(図2(a))を説明しているが、照射コイルとしての適用であるのでダイオードの構成は図2(c)又は(d)にしておくことが望ましい。
【0039】
作動状態となる共振器がいずれの場合にも、核磁気共鳴周波数と同調をとるようにキャパシタンスを調整する。また給電点が複数ある場合には、作動状態とする共振器に対応する給電点から給電する。
【0040】
このように本発明のRFコイルを照射コイルとして用いた場合には、励起する領域の広さに応じて、リング1とリング2とにより構成された短い照射コイル或いはリング1とリング3により構成された長い照射コイルとすることができ、例えば受信コイルとして頭部コイル、頸部コイル、膝コイル若しくは局所サーフェスコイル等を用いて狭い領域の撮影をする場合、その該当する部分のみを励起することができ、余分なRF照射を防止できる。又は特定領域のみを励起することによりアンギオのインフロー撮影で心臓等からの血流ノイズを防止し、画質を向上させることができる。また狭い領域で励起したときに励起される空間は広い領域で励起したときに励起される空間の1/2であるので、照射パワーは1/4となる。
【0041】
尚、本発明のRFコイルは、全身用の照射コイルのみならず、局所用の照射コイルとしても適用することができる。
【0042】
次に、図1のRFコイルを受信コイルに適用する場合について説明する。
【0043】
この場合には、照射用に設置された他のRFコイルとのカップリングを避けるために、照射時には、本実施例のRFコイルの全てのダイオード11〜18にインダクタンスを介してそれぞれ逆方向に給電し、検出方向のループをオープンにしてデカップリングを行い、照射磁界を乱さないようにする。次いで受信時には、関心領域の広さに応じて適宜所定のダイオードをオン、他のダイオードをオフとして受信する。狭い領域の撮影の場合には、リング1、2を用いた短い共振器を構成し、広い領域の撮影の場合にはリング1、3を用いた長い共振器を構成することは、前述の照射コイルの場合と同様である。
【0044】
以上、照射コイルと受信コイルとについてそれぞれ説明したが、照射・受信兼用コイルであっても、同様に適用することができる。
【0045】
一般に共振器のフィリングファクタηは、共振器の体積に反比例するので、図1に示すRFコイルでは共振器の長さによりフィリングファクタηが変化し、短い共振器ではフィリングファクタηが向上する。またRFコイルの感度Sはフィリングファクタηに比例する。従って、本実施例では短い共振器の体積は長い共振器の体積の半分であるので、感度Sは2倍となる。なお、この式の中Qの記号は共振器のQ値を示す。
【0046】
【数1】
Figure 0003694558
同様にして、共振器の体積が1/2、1/3となれば、感度は2倍、3倍となる。また、電圧Vと感度Sとは比例するので、下式のように表すことができる照射パワーPは1/4に低減される。
【0047】
P=V2/R
従って、短い共振器では長い共振器より感度がよく、なおかつ照射パワーも少なくて済む。
【0048】
また例えば大腿部を素画像で撮影し関心領域が狭かった場合には、次のように長い共振器を用いて広い領域を照射し、次いで短い共振器を用いて狭い領域を照射してもよい。この場合には、照射時にリング2に接続されたダイオード11〜14をオン、ラング4〜7に接続されたダイオード15〜18をオフとし、受信時には、逆にダイオード11〜14をオフ、ダイオード15〜18をオンとするようにダイオードのオン・オフを制御する。
【0049】
このようにして、素画像撮影時に広い領域で撮影した場合でも、診断用の画像を撮影するときには被検体をセッティングしたまま狭い領域で撮影することもできる。このように狭い領域で撮影できるためフィリングファクタが向上し、本実施例では原理的には、狭い領域で撮影した場合には広い領域で撮影した場合の2倍の感度で撮影できる。
【0050】
次に図1のRFコイルをサーフェスコイルとして使用する場合について説明する。図1のRFコイルをサーフェスコイルとするためには、例えば、リング2に接続されたダイオード11をオンし、リング2に接続された他のダイオード12〜14及びラング4〜7に接続されたダイオード15〜18をオフする。これにより図3(c)に太線で示すように、リング1とリング2との間のラング4及びラング7と、ダイオード11を含むリング1及びリング2の分割部分とでサドル型のサーフェスコイルを構成することができる。
【0051】
この場合構成されるサーフェスコイルは図1において下側に当たり、撮影領域が下側にある場合などでは、患者を寝かせたまま高感度で撮影できる。サーフェスコイルとしては、このように下側を照射・受信するものばかりでなく、リング2に接続されたダイオード13をオンし、他のダイオード11、12及び14〜18をオフすることで、同様にして上側のサーフェスコイルを構成することができる。また、リング2に接続されたダイオード12又は14をオンし、他の全てのダイオードをオフすることで、同様にして側部のサーフェスコイルを構成することができる。更に、リング2とリング3との間のラングに接続されたダイオードのうち、必要な部分をオンすることにより、ラング長の長いサーフェスコイルを構成することも可能である。
【0052】
このようなサーフェスコイルも全身用コイルの場合と同様、照射・受信に兼用することも、照射専用に使用することも、受信専用に使用することもできる。また、照射・受信時共にサーフェスコイルとして用いるばかりでなく、照射時には前述したような全身用コイルとして使用し、受信時には前述のサーフェスコイルとして使用することも可能である。尚、受信専用コイルとして用いる場合には全身用コイルで述べたように、他の照射コイルで照射するときには、全てのダイオード11〜18にインダクタンス19〜26を介してそれぞれ逆方向に給電し、検出方向のループをオープンにしてデカップリングを行い、照射磁界を乱さないようにする必要がある。
【0053】
このように本発明のRFコイルは、リング状導体を分割するキャパシタンスとリング状導体かつ/又は線状導体に接続されたダイオードとの組み合せで、サーフェスコイル、全身用コイル等の様々な形状、全身用コイルにおいて長いもの短いもの様々な体積の共振器を実現することができる。
【0054】
尚、図示はしないが、リング1にリング2と同様のダイオードを設けた場合或いはリング1、2間のラング4〜7にリング2、3間と同様にダイオードを設けた場合には、これらダイオードをオフとすることにより、リング1を切り離し、リング2、リング3及びこれらリング2、3を接続するラング4〜7で構成される短い共振器をRFコイルとして作動することができる。
【0055】
また、図示する実施例では3つのリングで構成されるRFコイルを説明したが、リングは4以上であってもよい。またこの実施例では、リング1〜3にキャパシタンス8〜10をそれぞれ接続しているが、これらのキャパシタンスを接続する代わりにダイオードを接続してもよく、さらに各リング及び各ラングにそれぞれダイオードを接続してもよい。特にサーフェスコイルとして使用する場合や、リングが4以上ある場合には他のリングにも直列にダイオードが入っていた方がよい。
【0056】
図4はこのようなRFコイルの別の実施例を示すもので、このRFコイルも、リング及び各リングを結合するラングを備える点、各リングはキャパシタンスで4つに分割されている点、リングに接続されたダイオードのバイアス給電手段としてインダクタンスを用いている点、ダイオードの両端にはバイアス電流が流れないようキャパシタンスにて直流を切っている点等については先の図1のRFコイルと同様である。このRFコイルが先の図1の例と大きく異なる点は、RFコイルを構成する全てのリングにダイオードを直列に接続し、ラングにはダイオードを接続していない点である。また、本実施例では、リングの数は4つである。
【0057】
具体的には、ダイオードで分割されたリング27〜30、これらのリングを結合するラング201〜204、リング27に直列に接続されたダイオード47〜50、リング28に直列に接続されたダイオード51〜54、リング29に直列に接続されたダイオード55〜58、リング30に直列に接続されたダイオード59〜62、ダイオード47〜50のそれぞれ両端に配置されリング27に直列に接続された8つのキャパシタンス210、ダイオード51〜54のそれぞれ両端に配置されリング28に直列に接続された8つのキャパシタンス220、ダイオード55〜58のそれぞれ両端に配置されリング29に直列に接続された8つのキャパシタンス230、ダイオード59〜62のそれぞれ両端に配置されリング30に直列に接続された8つのキャパシタンス240、各ダイオード47〜62にそれぞれ給電するインダクタンス(図示せず)を備えている。また、各インダクタンスはそれぞれ制御器に接続され、独立して給電することができる。
【0058】
尚、図示する実施例では、図1と同様に単一のダイオードが導体に直列に接続した例を示したが、スイッチ手段であるダイオードの構成は図1の実施例と同様に図2(a)〜(d)に示す構成のいずれとしてもよく、特にこのRFコイルを照射コイルとして用いる場合には、照射時の印加電圧によりオフのダイオードがオンするのを防止するために、図2(c)〜(d)に示すように複数のダイオードを組合せることが好ましい。
【0059】
図4に示すRFコイルも図1のRFコイルと同様にダイオードのオン・オフの選択によるリングの組合わせ方によって、長さ、位置の異なる様々な共振器を構成することができ、しかも図1のRFコイルよりリングの数が多く、各リングにダイオードが接続されているので、多様なコイル構成が可能となる。即ち、全身用コイルの場合、2つのリングの組合せ(リング27及び29、リング27及び28、リング28及び30と、リング28及び29、或いはリング29及び30)とそれらを結合するラングからなる6通りの共振器を作ることができる。例えば、リング27及び29により構成される共振器は、リング27に直列に接続されたダイオード47〜50と、リング30に直列に接続されたダイオード59〜62とをオンにし、リング28に直列に接続されたダイオード51〜54と、リング29に直列に接続されたダイオード55〜58とをオフにすることにより得ることができる。その他の共振器についても同様で、共振器を構成したいリングに接続されたダイオードをオンにし、それ以外のリングに接続されたダイオードをオフにすればよい。
【0060】
また任意の2つのリングの一部を用いてサドル型のサーフェスコイルを構成することも可能である。例えば、ダイオード47及び51をオンし、それ以外のダイオードをオフすることにより、リング27と28のそれぞれ一部とラング201、202とによって構成される下側のサーフェスコイルが得られる。
【0061】
前述の6通りの共振器を構成する場合やサーフェスコイルを構成する場合、各共振器の共振周波数は、キャパシタンス210、220、230、240を使用する共振器に応じて適当な容量で組合せるか、或いはこれらキャパシタンスを可変キャパシタンスとして所望の共振周波数に同調とることが可能である。
【0062】
このような全身用コイル或いはサーフェスコイルは図1のRFコイルの場合と同様、照射・受信に兼用することも、照射専用に使用することも、受信専用に使用することもできる。
【0063】
このRFコイルへの給電方法も前述と同様であり、例えば、各リング27〜30の近傍にインダクティブ結合による給電手段を設けることで、構成された各々の共振器に給電することが可能である。また、複数の給電手段を設けて、それらをスイッチ若しくはリレーなどで切り換えてRFコイルに給電することで、共振器を構成するリングにのみ給電することができ、不要なリングには給電しないですむ。
【0064】
以上説明した実施例では、ダイオードへの給電方法として個々のダイオードに給電回路を介して給電する方法を採用しているが、複数のダイオードがリングに挿入されている場合には、リングの1ヵ所からこれら複数のダイオードに給電することも可能である。そのような実施例を図5に示す。
【0065】
図5に示すRFコイルは、3つのリング63〜65と各リングを結合する4本のラング301〜304を備えている点は、図1のRFコイルと同様であるが、導体ループを閉或いは開にするためのスイッチ手段であるダイオードは、ラングには接続されず、リング64と65に接続されている。即ち、リング63には4つのキャパシタンス310が接続され、図1のRFコイルのリング1と同様の構成であるが、リング64には、円周方向90°ずつに4つのダイオード325〜328が直列に接続され、各ダイオード間にはキャパシタンスとインダクタンスとからなる回路108が直列に接続されている。リング65もリング64と同様の構成で、4つのダイオード331〜334が直列に接続され、各ダイオードとダイオードとの間の導体部分にはキャパシタンスとインダクタンスとからなる回路108が直列に接続されている。また、各ラング301〜304にはリング63と64との間にキャパシタンス311〜314が、リング64と65との間にキャパシタンス321〜324が接続されている。
【0066】
更に各リング64、65には、それぞれダイオードへの給電のためのインダクタンス66、67及び大きな容量のキャパシタンス68、69が接続されており、リングに接続されたダイオードへの給電を各リングそれぞれ1ヶ所としている。この実施例では、リングを構成する導体に直列にキャパシタンスとインダクタンスとからなる回路108を高インピーダンスとして接続しているので、1ヵ所の給電点からバイアス電流を流すことにより、そのリングを開状態とすることができるので、ダイオードへの給電方式を簡素化できる。
【0067】
次に、本発明のRFコイルの別の実施例として、一部のリングを変形した非対称な形状のRFコイルを図6を用いて説明する。このRFコイルは頭部用コイルに応用した例であり、被検体の肩部が障害とならないような形状となっている。
このような形状とすることにより、頭部コイルにおいて臨床上要求される胸椎の2〜3番目までの撮影を可能とする。
【0068】
このRFコイルは、4つのリング73〜76と、リングを結合する4つのラング501〜504とを備えており、リング73及び74の構成は図4のRFコイルにおけるリング27、28と全く同様であるので、説明を省略する。
【0069】
リング75及びリング76は図中両側方が開放となるように一部を共有しており、両リングの上側、下側は被検体の軸方向に沿って延びるように湾曲変形し、リング75はリング76より延びが少ない。これにより、このようなRFコイルの頭部にリング73及び74の部分を装着した場合に、リング75及び76の共有部分が人体の肩部に位置し、各湾曲部分が頭椎部及び胸部上に位置するように配置される。これにより被検体の肩部を避けて頭椎部及び胸部上を撮影できるようになっている。
【0070】
このようなリング75、76の共有部分及び各湾曲部分の導体にも、ダイオード99〜104及びこれらダイオードの両端にキャパシタンス530、540が接続されており、これらダイオードには給電手段であるインダクタンスが接続されている点は前述と同様である。
【0071】
このように構成された本発明のRFコイルは、リング76の被検体の軸方向に沿って延びた先端の位置が、心臓を含まない程度の胸部の上側を含む位置である場合アンギオのインフロー撮影に適している。即ち、アンギオ時には大きな照射用コイルで照射すると心臓も照射してしまい、心臓から血流ノイズにより画質を劣化させる原因となるが、上述した形状を有するRFコイルでは心臓を照射することなく、必要な領域のみを照射できるからである。一方、送受信兼用の小さな共振器で撮影した場合には視野が狭くなり、また、コイルを大きくするとフィリングファクタが低下して感度が下がってしまうといった従来の問題点もこのようなRFコイルによって、広い範囲で照射し、感度向上のために小さな共振器で狭い範囲で受信することにより解決することができる。
【0072】
例えば、照射時にはリング73に接続されたダイオード91〜94と、リング76に接続されたダイオード103及び104とを順バイアスによってオンさせ、リング74に接続されたダイオード95〜98と、リング75に接続されたダイオード99、100、101及び102とを、逆バイアスによりオフさせる。
このように給電することによりリング73とリング76とで構成される広い範囲を照射できる照射用コイルを得ることができる。但し、この場合でも従来の全身用コイルとは異なり、撮影に必要な領域だけを効率よく励起することができる。
【0073】
次に受信時にはリング73に接続されたダイオード91〜94と、リング76に接続されたダイオード100、103、102及び104とを逆バイアスによりオフさせ、リング74に接続されたダイオード95〜98と、リング75に接続されたダイオード99及び101とを順バイアスによってオンさせる。これによりリング74とリング75とで構成される狭い範囲で受信する感度のよい受信用コイルを得ることができる。
【0074】
尚、図6のRFコイルも前述した他の本発明のRFコイルと同様、照射・受信兼用のみならず、照射専用にすることも、受信専用にすることもできる。また、リングの組合わせは、前述したものに限られず、様々な組合わせ方が許容される。即ち、撮影の目的に応じて、サイズ、形状を考慮して構成したいコイルを選択し、それに応じて、ダイオードのオン・オフを制御すればよい。またダイオードへの給電方法も、インダクタンスを介する方法の他、リング毎に給電する方法等変更できる。
【0075】
次に、本発明のMRI装置について説明する。本発明のMRI装置は被検体の置かれる空間に均一な静磁場を発生する静磁場発生手段と、位置によって強度の異なる傾斜磁界を発生する傾斜磁場発生手段と、RFコイルと、これら傾斜磁場発生手段及びRFコイルの各駆動手段を所定のシーケンスに従って制御するとともに、RFコイルで受信されたNMR信号に基づき被検体特定部位の断層像やスペクトルを演算する計算機とを備える点は、従来のMRI装置と同様であるが、RFコイルとして上述したRFコイルを備え、さらにこのRFコイルに設けられたダイオードを駆動するための制御手段を備えている。
【0076】
ダイオードの制御手段は、計算器などの制御器から成り、その制御線はダイオード駆動手段に接続され、撮影条件や撮影手順に合わせて順方向又は逆方向にダイオードに給電するようにダイオード駆動手段を制御する。この制御の方法は、既にRFコイルの使用例として説明した通りである。制御手段はダイオードのオン・オフの選択を可能にする操作パネルを備える。
【0077】
操作パネルは、MRI装置の操作パネルが兼ねることができ、更に図7に示すように、本発明のRFコイル全体の形状601〜603を表示するとともに、画面上に被検体の計測部位610を重ねて表示する表示部を有している。操作者は、このような操作パネル600の表示部を見ながら作動状態(オン)にする共振器、非作動状態(オフ)にする共振器を選択し、操作卓(図示せず)からダイオード駆動手段であるインダクタンス等への給電を制御することができる。RFコイルの形状は、例えば、共振器がオンになっている部位602は実線で表示し、オフになっている部位601、603は点線で表示することができ、このようにして、操作者は共振器のオン・オフを確認しながら選択することができる。
【0078】
尚、表示方法は共振器のオン・オフを識別できれば、例えばオンオフにより色彩を変える等どのようなものであってもよい。このRFコイルの共振器オン・オフ選択操作は、RFコイルが照射・受信兼用の場合には照射用、受信用それぞれ独立して行なうことができることが好ましい。
【0079】
また、操作パネルは図6で示すような模式図を用いるものでなく、対話画面形式により名称などを入力して選択するものであってもよい。
【0080】
また本発明のMRI装置は、このようなダイオードの選択操作によって構成されたRFコイルを表示するための表示手段を備えていることが好ましい。表示手段700は、RFコイル構成を表示するための独立したモニタであってもよいが、好適にはMRI装置の撮像を表示するモニタを兼ねていることが好ましく、撮像画面の子画面として構成することができる。図7にこのような表示手段700の一例を示す。
【0081】
この表示手段700は、撮像画面中央に被検体710を表示し、画面左上及び左下に、それぞれ照射時のコイル形状及び受信時のコイル形状を表示する子画面が設けられている。ここでは照射コイルと受信コイルが異なる形状に表示されているが、同一のものを用いてもよい。この表示手段においても照射時に照射コイルとして選択した部分701を実線で示し、照射コイルとして選択しなかった部分702及び703を点線で示している。同様に、受信時に受信コイルとして選択した部分705を実線で示し、受信コイルとして選択しなかった部分704及び706を点線で示している。操作者は、このような表示手段700の表示によって被検体710、照射コイル及び受信コイルを同時に認識することができ、図7に示す操作パネル600により別々に行なった共振器のオン・オフの選択操作をチェックすることができる。
【0082】
この表示は、RFコイルが照射受信兼用の場合にも、いずれか一方に用いる場合も適用できるが、本発明のRFコイルが照射専用或いは受信専用の場合には、画面左側の2つの子画面のうちいずれか一方であってもよい。また、表示方法はこの例に限るものではなく、被検体、照射コイルの選択状態及び/又は受信コイルの選択状態が同時に確認できるようなものであればどのようなものであってもよい。
【0083】
【発明の効果】
本発明のRFコイルによれば、複数の共振器を構成する複数の導体とキャパシンタンスを含むRFコイルの導体部分に、複数の共振器のいずれかを選択的に作動とし他の共振器を非作動にする複数のスイッチ手段を設けることにより、スイッチ手段の切り替えにより、1つのRFコイルであっても、臨床上必要な撮影部位のみを励起する照射コイルとし、また関心領域のみを検出する受信コイルとすることができる。これによりコイルの照射パワーの低減及びフィリングファクタの向上を図ることができる。これにより不必要な高周波磁場を被検体に印加することを防止して被検体を発熱させる問題を低減できる。また、照射コイルへの不必要なパワーを印加することを防止して火傷、感電等の危険性をなくすことができる。また受信コイルとした場合には、狭い領域を選択的に使用することにより感度を向上することができる。
【0084】
特に本発明のRFコイルは、3つ以上のリング状導体とこれらを結合する線状導体とこれら導体を分割するキャパシタンスとで構成されたRFコイルの導体に複数のスイッチ手段を接続することにより、作動する共振器の選択の自由度の大きい、実用性のあるRFコイルを構成することができる。
【0085】
また本発明のRFコイルは、照射コイルとしても受信コイルとしても用いることができ、更にスイッチ手段の切り替えの仕方によって全身用コイルとしてもサーフェスコイルとしても動作させることができ、撮影領域に対応させて使用するコイル構成を変更することができる。例えば全身用コイルに適用した場合、照射用及び受信用のいずれの場合でも、照射時と受信時とでは共振器の長さを異なるものとすることができるため、受信時には、撮影部位の大きさに対応して短い共振器を構成できる。これにより高感度な撮影をすることができる。
【0086】
また、頭部や頸部や大腿部などのアンギオのインフロー撮影の場合には、クロス方式においても心臓を照射しないで撮影することができるため、心臓からの血液の信号による画質劣化を防止できる。
【0087】
また本発明のMRI装置によれば、上述したようなRFコイルを備えたことにより、被検体へのRF照射を最小限にして高画質の画像を得ることができる。また作動させる共振器の選択を撮影画像に重ねた操作パネルの表示を見ながら行なうことができ、操作性がよい。また、診断上撮影する必要のある領域と照射コイルかつ/又は受信コイルとして動作する部位とがモニター上に表示されるので、容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のRFコイルの1実施例の模式的回路図。
【図2】 (a)〜(d)は、それぞれ本発明のRFコイルにおけるダイオードへの給電方式を示す図。
【図3】 (a)〜(c)図1のRFコイルの異なるコイル構成を示す図。
【図4】 本発明のRFコイルの他の実施例の模式的回路図。
【図5】 本発明のRFコイルの他の実施例の模式的回路図。
【図6】 本発明の非対称な形状のRFコイルの模式的回路図。
【図7】 本発明のMRI装置におけるRFコイルの共振器選択のための操作パネルの表示例を示す図。
【図8】 本発明のMRI装置における表示手段の表示例を示す図。
【符号の説明】
1〜3・・・・・・リング状導体(リング)
4〜7・・・・・・線状導体(ラング)
8〜10・・・・・・キャパシタンス
11〜18・・・・・・ダイオード
19〜26・・・・・・ダイオード駆動手段(インダクタンス)
600・・・・・・操作パネル
700・・・・・・表示手段

Claims (5)

  1. 被検体に均一な静磁界を印加する静磁場発生手段と、位置によって強度の異なる傾斜磁界を発生する傾斜磁場発生手段と、被検体に核磁気共鳴現象を起こさせるため高周波磁場を前記被検体に照射し、かつ/又は照射によって前記被検体に生じる核磁気共鳴信号を検出する高周波コイルとを備え、
    前記高周波コイルは、所定の周波数で共振する複数の共振器を構成する複数の導体と複数のキャパシタンスとを含み、前記複数の導体の少なくとも一部に接続され、前記複数の共振器のいずれかを選択的に作動させ他の共振器を非作動にする複数のスイッチ手段を備えた磁気共鳴検査装置であって、
    前記高周波コイルの複数の導体及びこれら導体に接続されたスイッチ手段のオン・オフ状態を表示し、任意のスイッチ手段をオン又はオフするための選択手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴検査装置。
  2. 被検体に均一な静磁界を印加する静磁場発生手段と、位置によって強度の異なる傾斜磁界を発生する傾斜磁場発生手段と、被検体に核磁気共鳴現象を起こさせるため高周波磁場を前記被検体に照射し、かつ/又は照射によって前記被検体に生じる核磁気共鳴信号を検出する高周波コイルとを備え、
    前記高周波コイルは、複数のリング状導体と、前記各リング状導体を結合する複数の線状導体と、リング状導体及び/又は線状導体を分割するキャパシタンスと、前記複数のリング状導体のうち任意の2つのリング状導体又はその一部とそれら2つのリング状導体又はその一部を接続する線状導体とで構成される共振器が作動状態となるように、リング状導体及び/又は線状導体の一部を前記共振器から電気的に切り離すスイッチ手段とを備え、
    前記高周波コイルのリング状導体、線状導体及びこれら導体に接続されたスイッチ手段のオン・オフ状態を表示し、任意のスイッチ手段をオン又はオフするための選択手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴検査装置。
  3. 前記スイッチ手段のオン又はオフにより定まるコイル構成を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気共鳴検査装置。
  4. 前記スイッチ手段は、前記キャパシタンスと並列に接続されたインダクタンスと、該インダクタンスに直列に接続されたダイオードと、前記ダイオードに給電するダイオード駆動手段とから成り、前記並列に接続されたキャパシタンス及び前記インダクタンスは、前記ダイオードのオン時に前記共振器と同じ共振周波数で共振する共振回路を構成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気共鳴検査装置。
  5. 被検体に均一な静磁界を印加する静磁場発生手段と、位置によって強度の異なる傾斜磁界を発生する傾斜磁場発生手段と共に用いられ、被検体に核磁気共鳴現象を起こさせるため高周波磁場を前記被検体に照射しかつ照射によって前記被検体に生じる核磁気共鳴信号を検出する高周波コイルであって、
    前記高周波コイルは、所定の周波数で共振する複数の共振器を構成する複数の導体と複数のキャパシタンスとを含み、前記複数の導体の少なくとも一部に接続され、前記複数の共振器のいずれかを選択的に作動させ他の共振器を非作動にする複数のスイッチ手段を備え、照射時の共振器構成と受信時の共振器構成とが異なることを特徴とする高周波コイル。
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