JP3694357B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内等に挿入され、超音波信号の送受信によって管腔内の直径、断面積、さらにはこの断面積を利用して管腔内の液体流量を求める超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血管等の管腔内にカテーテルを挿入し、熱希釈法を用いて血流量を測定することによって心機能をモニタリングすることが知られている。この熱希釈法は、まず、頸静脈等よりカテーテルを挿入してカテーテル先端部を大静脈、右心房、左心室を通して肺動脈に到達させる。次に、カテーテルより右心房内に冷水を注入し、肺動脈内の血液の温度をカテーテルに備えられた温度センサによって検出し、温度の経時変化より心拍出量を算出する方法である。しかし、この熱希釈法は、冷水注入時の心拍出力量しか測定できない。従って、例えば手術中等、患者の容体変化などを随時検出するために重要となる心機能の連続モニタリングができないという問題があった。
【0003】
そこで、カテーテルとして、連続走査が可能な超音波振動子を先端に設けた超音波探触子を用い、この探触子を血管内に挿入して血管の断面積及び血流速度を求め、管腔内の流量を測定する流量測定装置が提案されている。しかし、超音波を用いて流量測定を行い、このデータに基づいて心機能をモニタリングする方法は、臨床データが少なく、また従来の流量測定方法では得られる流量精度が低いため、例えば特開平5−137725号公報等に示されているように、熱希釈法と超音波測定法とが併用がされていた。
【0004】
図6は、この併用型の流量測定装置における探触子の構成を示している。探触子50には、液体の流速を求めるための第1振動子56、58が、探触子50の長軸に交差し、かつ互いに直交する方向に超音波信号を送受信するように配置され、また、血管の内径を求めるための第2振動子60、62が、探触子50の長軸に直交しかつ互いに反対方向(180度異なる方向)に超音波信号を送受信するように配置されている。
【0005】
また、探触子50には、熱希釈法によって血流量を測定する際に、例えば右心房に冷水を注入するための注水口65と、肺動脈内での血液温度を測定するための温度センサ54が設けられている。
【0006】
更に、超音波探触子50の先端には、内部に生理食塩水等の液体を別途注入可能なバルーン52が設けられており、超音波探触子50の先端部を静脈内に挿入し、バルーン52に内に液体を注入して膨らませることにより、超音波探触子50を血流に乗せて血管の所定位置まで送ることを可能としている。なお、注水口65は、温度センサ54が例えば肺動脈に到達した際には、右心房に位置するように配置されている。
【0007】
超音波を用いた流量測定では、第2振動子60、62がそれぞれ超音波信号を送受信し、受信信号より第2振動子60、62から血管内壁までの距離を求め、この距離に基づいて血管内の内径dを求める。また、第1振動子56、58から得られる受信信号に基づき公知の方法によってそれぞれドプラ偏移周波数Δfを求め、このドプラ偏移周波数Δfに基づいて血流速度vを求めている。更に、求めた血管内径dより血管断面積Aを算出し、次式(1)を演算することにより血流量Qu を求めている。
【0008】
【数1】
Qu =A×v ・・・・・・・(1)
以上のような構成の流量測定装置においては、予め熱希釈法によって血流量Qn を求め、次に超音波によって血流量Qu を求め、この血流量Qu を熱希釈法による血流量Qn によって補正して基準血流量Qref を得る。以降は、超音波測定のみによって血流量Qu を求め、基準血流量Qref に基づいて連続的に血流量Qを算出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、装置構成の簡略化及び装置の小型化等の観点より、図6に示すような熱希釈法との併用型ではなく、超音波測定のみで正確な血流量Qを測定することが要求されている。
【0010】
一方で、図6に示す従来の流量測定装置では、探触子50が図7(a)に示すように血管の中央部に位置しない場合であっても、第2振動子60、62で得られた受信信号から直接血管内径dを求めていた。また、図7(b)のように超音波探触子50の長軸が血管内壁に対して傾いている場合も同様に第2振動子60、62の受信信号から直接血管内径dを求めていた。図7(a)の場合には、実際の血管直径Dよりも求めた血管内径dの方が小さく、反対に図7(b)の場合には求めた血管内径dが実際の血管直径Dよりも大きくなり、いずれの場合にも求めた血管内径dが誤差を含んでいた。このように、従来の流量測定装置では、探触子50の位置の偏りや血管壁に対する傾き等を全く考慮していなかったため、超音波測定だけでは正確な血管直径Dを求められず、得られる血流量Qの精度を向上することができなかった。従って、管腔の直径及び断面積の測定精度が高く、正確な流量を連続的に求めることが可能な超音波診断装置が求められている。
【0011】
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであり、管腔直径及び断面積を精度良く測定することが可能な超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は以下のような特徴を有する。
【0013】
まず、管腔内に挿入可能なシースチューブと、前記シースチューブ内に挿入され回転駆動される回転ワイヤと、前記回転ワイヤの回転軸と交差する互いに異なる方向に超音波信号を送受信する複数の振動子を含む送受信手段と、を有する超音波探触子と、前記回転ワイヤと一体的に回転する前記各振動子ごとに、回転に伴って得られる各方位ごとの受信信号に基づいて送受信軸上における超音波探触子の基準位置と管腔壁との距離を求める距離演算手段と、前記各方位ごとに、前記複数の振動子に対応する前記複数の距離に基づいて前記管腔壁に対する前記超音波探触子の回転軸の傾きを求める傾き演算手段と、前記各方位ごとに、前記傾きと前記複数の振動子に対応する前記複数の距離とに基づいて管腔壁に対する垂線方向の管腔内径を演算する管腔直径演算手段と、前記管腔内径から管腔断面積を演算する断面積演算手段と、を有する。
【0014】
上記構成によれば、管腔壁に対して超音波探触子の回転軸が傾いて配置されていてもこれを補正して正確に管腔内径を演算でき、この管腔内径に基づいて管腔断面積を求めれば、格段に信頼性の高いデータが得られる。
【0015】
また、前記受信信号に基づいて前記管腔内の液体の流速を演算する流速演算手段と、前記管腔断面積と前記流速とから液体の流量を求める流量演算手段と、を設ければ、管腔断面積を精度良く求めることができるので、得られる液体流量は正確であり、この液体流量に基づいて行われる診断の信頼性を向上させることが可能となる。
【0016】
望ましくは、前記傾き演算手段は、二つの振動子のうちの一方に対応する基準位置と管腔壁との距離r1およびこれと180度異なる方向における基準位置と管腔壁との距離r2´、並びに、二つの振動子のうちの他方に対応する基準位置と管腔壁との距離r2およびこれと180度異なる方向における基準位置と管腔壁との距離r1´に基づいて、前記管腔壁に対する前記超音波探触子の回転軸の傾きθ1を数式θ1=tan -1 {(r2+r1´)/(r1+r2´)}−π/4に従って演算することを特徴とする。
【0017】
また望ましくは、前記断面積演算手段は、複数の方位についての管腔内径のうちの最大の管腔内径を管腔直径として前記管腔断面積を演算することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、超音波探触子を管腔内に挿入して管腔断面積を求める際に、探触子が管腔中心位置からずれていても、複数の方位に超音波信号を送信して得られた受信信号に基づいて管腔断面積を求めるため、正確な管腔断面積を得ることが可能となる。
【0019】
また、管腔内径測定用の振動子と流速測定用の振動子を共用する構成にすれば、管腔内径測定用の振動子と流速測定用の振動子をそれぞれ別に設ける必要がなく、探触子の小型化等を図ることができる。
【0020】
また、さらに別の構成としては、前記超音波信号の送受信する送受信手段が、前記シースチューブの表面に設けられ、前記回転ワイヤの回転軸と交差する方向であって、かつ互いに異なる方向で超音波信号を送受信する複数の第1振動子と、前記回転ワイヤに設けられ、前記回転ワイヤの回転軸と直交する方向で超音波信号を送受信する第2振動子と、を含む。そして、前記断面積演算手段は、前記第2振動子を回転走査して得られた各方位の受信信号に基づいて前記管腔断面積を演算し、前記流速演算手段は、前記複数の第1振動子の受信信号に基づいて前記管腔内の液体の流速を演算することを特徴とする。このような構成によっても、管腔中心に対する超音波探触子の偏りを補正して正確な管腔断面積を求めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0022】
実施形態1.
図1は、本実施形態の超音波診断装置の概略構成を示している。
【0023】
血管等の管腔内に挿入可能な超音波探触子10は、ポリエチレン等からなるシースチューブ20内に回転ワイヤ12が挿入されて構成されている。回転ワイヤ12の先端付近には、第1超音波信号を送受信する第1振動子14、16が設けられており、図2(a)に示すように、この第1振動子14、16は、回転ワイヤ12の回転軸に交差し、かつ互いに所定の角度θ(例えば90度)で異なる方向に超音波信号を送受信するように配置されている。
【0024】
回転ワイヤ12は、回転制御部41の制御によってシースチューブ20内を回転可能であり、第1振動子14、16はこの回転ワイヤ12と一体的に回転し、図示しない振動子制御部からの制御に基づいて図2(b)に示すように各方位に超音波信号の送受信を行う。
【0025】
第1振動子14、16が管腔内で反射されて戻る超音波信号を受信し、この受信信号が流速演算部30にそれぞれ供給されると、流速演算部30は、まず、この受信信号に基づき血液等の流速vと次式(2)、(3)のような関係を有するドプラ偏移周波数Δf1 、Δf2 をそれぞれ求める。
【0026】
【数2】
Δf1 =(2×fc )×v×cosα ・・・・・(2)
【数3】
Δf2 =(2×fc )×v×cos(α+θ) ・・・・・(3)
fc :送信超音波(参照波)信号の周波数
α :流れ方向に対する超音波信号の送信角度
θ :2つの第1振動子の超音波送受信軸のなす角度
次に、流速演算部30は、上式(2)、(3)からαを消去して得られる次式(4)を演算することにより、角度αに依存しない周囲の液体の真の流速vを求める。なお、この流速vは、必ずしも第1振動子14、16を回転走査して各方位での流速vを求める必要はなく、例えば、所定の一方向のみで求めてもよい。
【0027】
【数4】
c :生体内での音速
また、第1振動子14、16からの受信超音波信号は、距離演算部32にもそれぞれ供給され、距離演算部32は、例えば、ローパスフィルタ等を用いて受信信号から低速運動体である管腔壁22で反射されて戻る低周波信号を抽出し、この低周波信号に基づいて超音波探触子10の基準点P(本実施形態では回転軸上の点)から管腔壁22までの距離rを求める。なお、例えば受信信号から信号強度分布を得て、管腔壁22より得られる強度の高い領域を検出して管腔壁22の位置を特定し、基準点Pから管腔壁22までの距離rを求めてもよい。
【0028】
傾き演算部34は、求められた距離rに基づいて管腔壁22に対する超音波探触子の回転軸の傾きθ1を求める。管腔直径演算部36は、距離演算部32で求められた距離rに基づいて後述する方法によって管腔直径Dを求め、管腔断面積演算部38は、この管腔直径Dに基づいて断面積Aを求めて、これを流量演算部40に供給する。流量演算部40は、得られた断面積Aと、流速演算部30より供給される流速vとを乗算し流量Qを求める。このようにして得られた流量Qは、例えば図示しないディスプレイに表示されて心機能等のモニタリングに利用される。
【0029】
[管腔直径D演算方法]
(方法1)
距離演算部32は、受信信号に基づいて管腔壁22の位置を特定し、図3に示すように、超音波探触子10の基準点Pと管腔壁22との距離r1、r2を求める。
【0030】
超音波探触子10の回転軸方向と管腔壁22とが平行であるとすると、第1振動子14の超音波送受信軸と管腔壁22との傾きαは、あらかじめ設定された超音波探触子10の回転軸と第1振動子14の超音波送受信軸とのなす角度に等しくなる。よって、管腔直径演算部36は、距離演算部32で求められた距離r1に基づいて、例えば[r1×sinα]を演算し、基準点Pから管腔壁22までの距離d1を求める。なお、距離d1は、r2に基づいて演算しても良い。
【0031】
このような演算を図2(b)に示すように第1振動子14、16を回転させながら実行し、各方位における距離d1を求める。ここで、所定方位の距離d1に対して180度方向の異なる距離をd1’とすると、所定方位における管腔内径d[d=d1+d1’]が求まる。図1の管腔直径演算部36は、得られた各方位における管腔内径dより最大値dmax を求め、この最大値dmax を管腔直径Dとして管腔断面積演算部38に出力する。
【0032】
管腔が円形であるとすると、第1振動子14、16を回転走査して得られた複数の管腔内径dの内、最大値dmax が管腔の中心を通る真の直径に一致する。従って、管腔内径dの最大値dmax を管腔直径Dとすれば、図2(b)に示すように管腔中心に超音波探触子10が位置していない場合でも、正確な管腔直径Dを求めることが可能となる。
【0033】
なお、この方法によって管腔直径Dを求める場合には、図1の傾き演算部34は不要である。
【0034】
(方法2)
超音波探触子10の回転軸方向と管腔壁22とが非平行である場合にも正確な管腔直径Dを求める場合には、次のような方法によって管腔直径Dを演算する。以下、この方法について図4を参照して説明する。
【0035】
2つの第1振動子14、16の超音波送受信軸のなす角度θが90度である場合において、図4に示すように、管腔壁22に対する超音波探触子10の回転軸の傾きをθ1とし、第1振動子14の超音波信号送受信軸と管腔壁22とのなす角度をα、第1振動子16の超音波信号送受信軸と管腔壁22の垂線とのなす角度をβ、さらに基準点Pから管腔壁22までの距離r1,r2に対し、これと180度異なる方向における距離rをそれぞれr2’,r1’とすると、管腔内径dは、次式(5)、(6)で示される。
【0036】
【数5】
d =(r1+r2’)×sinα ・・・・(5)
【数6】
d =(r2+r1’)×cosβ ・・・・(6)
また、角度α及びβは、それぞれ次式(7)、(8)で示される。
【0037】
【数7】
α =θ1+π/4 ・・・・(7)
【数8】
β =θ1+π/4 ・・・・(8)
上式(5)〜(8)に基づいてθ1を求めると次式(9)が得られる。
【0038】
【数9】
θ1=tan-1{(r2+r1’) /( r1+r2’)}−π/4 ・・(9)
従って、図1の傾き演算部34が式(9)を演算して傾きθ1を求め、これに基づいて図1の管腔直径演算部36が式(5)又は(6)のいずれかを演算することにより、図4のように管腔壁22に対して超音波探触子の回転軸が傾いている場合にも、管腔壁22に対する垂線方向の管腔内径dを求めることができる。
【0039】
更に、第1振動子14、16を回転走査させて得られた他の方位においても、それぞれ距離r1,r1’,r2,r2’を求め、各方位についてそれぞれ式(5)〜(9)を用いて演算することにより管腔内径dを求める。そして、図1の管腔直径演算部36が、求められた各方位について管腔内径dから最大値dmax を検出し、これを管腔直径Dとする。このような演算処理を行うことにより、図2(b)のように管腔中心から超音波探触子の位置がずれている場合にも、(方法1)と同様に正確な管腔直径Dを求めることができる。
【0040】
なお、例えば図1の距離演算部32において、距離r1=r2であるかどうか判定し、r1=r2の場合には、(方法1)によって管腔直径Dを求め、r1≠r2の場合には、(方法2)によって管腔直径Dを求めてもよい。このようにすれば、管腔壁22に対して超音波探触子10の回転軸が傾いていなければ(r1=r2)、演算処理の簡単な方法1が行われるため、演算処理時間を短縮することができる。
【0041】
実施形態2.
図5は、本実施形態2の超音波診断装置の概略構成を示している。なお、すでに説明した図面と対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態2において、超音波探触子11は、シースチューブ20の表面に血液等の周囲の液体の流速vを求めるための第1振動子24、26が設けられている。第1振動子24、26は、超音波探触子11の回転軸に交差し、かつ互いにその超音波送受信軸が所定の角度θ(例えばθ=90度)となるように配置されている。また、第1振動子24、26の表面は、樹脂等からなる保護膜21で覆われており、例えば超音波探触子11を管腔内に挿入する際等に第1振動子24、26が直接管腔壁22に接触したりすることを防止している。
【0043】
また、回転制御部41の制御によってシースチューブ20内を回転可能な回転ワイヤ12の先端部には、管腔直径Dを求めるための第2振動子23が設けられており、この第2振動子23は、回転ワイヤ12の回転軸と直交する方向に第2超音波信号を送受信するように配置されている。
【0044】
流速演算部30は、第1振動子24、26より得られる受信信号に基づいて、上記式(2)〜(4)を演算し、連続的に血液等の液体の流速vを求める。
【0045】
一方、距離演算部42は、第2振動子23から供給される第2受信信号から、例えばその信号強度分布(断層情報)を得て、液体に比較して高強度分布となる管腔壁22の位置を特定する。そして、第2振動子23の超音波送受信軸上における管腔壁22と超音波探触子の基準点Pとの距離d1を求める。
【0046】
更に、この距離d1の演算手順を第2振動子24を回転走査させながら順次実行し(図2(b)参照)、各方位についてそれぞれ距離d1を求める。図5の管腔直径演算部44は、実施形態1と同様に、この距離d1に基づいて各方位における管腔内径d[d=d1+d1’]を求め、最大値dmax を検出する。そして、この最大値dmax を管腔直径Dとして管腔断面積演算部38に出力する。管腔断面積演算部38は、この管腔直径Dに基づいて管腔断面積Aを求め、流量演算部40は、得られた管腔断面積Aと流速演算部30からの流速vとを乗算し、液体の流量Qを求める。
【0047】
このように、本実施形態2の構成においても、図2(b)に示すように管腔中心から超音波探触子11がずれている場合、簡単な構成で、正確な管腔直径Dを求めることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態2においては、流速測定用の第1振動子24、26と、管腔直径演算用の第2振動子23とをそれぞれ別に設けているため、簡単な演算処理によって連続的に流量Qを求めることができる。
【0049】
更に、第1振動子24、26がシースチューブ20の表面に設けられているので精度よく流速vを求めることが容易である。
【0050】
なお、この第1振動子24、26を実施形態1のように回転ワイヤ12に取り付ける構成も採用可能である。この場合には、第1振動子24、26より得られる受信信号に基づいて図4に示すように管腔壁22と超音波探触子の回転軸との傾きθ1を求め、第2振動子23からの受信信号に基づいて求めた管腔内径dを補正してもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超音波診断装置は、超音波の送受信手段を回転走査して得られた受信信号に基づいて管腔直径を求めることにより、管腔の中心に対して超音波探触子の位置が偏っていても、正確に管腔直径を求めることができる。従って、この管腔直径に基づいて正確な管腔断面積が求められ、さらにこの管腔断面積と別途求めた液体の流速とを乗算することにより正確な液体流量を求めることができる。
【0052】
更に、管腔壁に対する超音波探触子の回転軸の傾きを求め、この傾きと、超音波探触子の基準点と管腔壁との距離とに基づいて管腔内径を求めることにより、管腔壁に対して超音波探触子の回転軸が傾いて配置されている場合であっても、この管腔内径に基づいて正確に管腔直径を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る超音波診断装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1及び図5の超音波診断装置の駆動方法を説明する図である。
【図3】図1の超音波診断装置の演算方法を説明する図である。
【図4】図1の超音波診断装置の図3とは異なる演算方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る超音波診断装置の概略構成を示す図である。
【図6】従来の流量測定装置の探触子の構成を示す図である。
【図7】図6の探触子50による管腔内径の演算方法の欠点を示す図である。
【符号の説明】
10,11 超音波探触子、12 回転ワイヤ、14,16,24,26 第1振動子、20 シースチューブ、22 管腔壁、23 第2振動子、30 流速演算部、32,42 距離演算部、34 傾き演算部、36,44 管腔直径演算部、38 管腔断面積演算部、40 流量演算部。
Claims (4)
- 管腔内に挿入可能なシースチューブと、前記シースチューブ内に挿入され回転駆動される回転ワイヤと、前記回転ワイヤの回転軸と交差する互いに異なる方向に超音波信号を送受信する複数の振動子を含む送受信手段と、を有する超音波探触子と、
前記回転ワイヤと一体的に回転する前記各振動子ごとに、回転に伴って得られる各方位ごとの受信信号に基づいて送受信軸上における超音波探触子の基準位置と管腔壁との距離を求める距離演算手段と、
前記各方位ごとに、前記複数の振動子に対応する前記複数の距離に基づいて前記管腔壁に対する前記超音波探触子の回転軸の傾きを求める傾き演算手段と、
前記各方位ごとに、前記傾きと前記複数の振動子に対応する前記複数の距離とに基づいて管腔壁に対する垂線方向の管腔内径を演算する管腔直径演算手段と、
前記管腔内径から管腔断面積を演算する断面積演算手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記受信信号に基づいて前記管腔内の液体の流速を演算する流速演算手段と、
前記管腔断面積と前記流速とから液体の流量を求める流量演算手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記傾き演算手段は、二つの振動子のうちの一方に対応する基準位置と管腔壁との距離r1およびこれと180度異なる方向における基準位置と管腔壁との距離r2´、並びに、二つの振動子のうちの他方に対応する基準位置と管腔壁との距離r2およびこれと180度異なる方向における基準位置と管腔壁との距離r1´に基づいて、前記管腔壁に対する前記超音波探触子の回転軸の傾きθ1を数式
θ1=tan -1 {(r2+r1´)/(r1+r2´)}−π/4
に従って演算することを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記断面積演算手段は、複数の方位についての管腔内径のうちの最大の管腔内径を管腔直径として前記管腔断面積を演算することを特徴とする超音波診断装置。
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