JP3694277B2 - 潤滑対象部診断方法及び潤滑対象部診断システム - Google Patents

潤滑対象部診断方法及び潤滑対象部診断システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑対象部診断方法及び潤滑対象部診断システムに関し、さらに詳しくは、潤滑油中の金属濃度を精度良く測定することができ、その測定値に基づいて潤滑対象部の状態を正確に診断することができる潤滑対象部診断方法及び潤滑対象部診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、潤滑対象部診断方法として、いわゆるSOAP法(Spectrometric Oil Analysis Program)が知られており、これは、潤滑対象部から採取される潤滑油を有機溶媒で希釈して試料油を作成し、その試料油中の金属粒子等をプラズマなどによって励起発光させ、この光を分光して得られる原子スペクトル線の波長及び強度を測定して金属濃度を測定し、その金属濃度の時間経過に伴う変化率に基づいて潤滑対象部の状態を診断する方法である。この方法によると、潤滑対象部における構造物を何ら分解・点検することなく、その潤滑状態や摩耗状態を簡易に診断できる等の利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の潤滑対象部診断方法では、採取した潤滑油中に10μmを超える粒径を有する大径金属粒子が含まれている場合、その大径金属粒子は励起されないため、潤滑油中の金属濃度の正確な値を測定できず、その結果、潤滑対象部の状態を正確に診断することができなかった。即ち、従来の潤滑対象部診断方法は、潤滑対象部のある程度の状態を診断する目安にとどまっていた。
【0004】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、潤滑油中の金属濃度を精度良く測定でき、その測定値に基づいて潤滑対象部の状態を正確に診断することができる潤滑対象部診断方法及び潤滑対象部診断システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の潤滑対象部診断方法は、潤滑対象部から採取される潤滑油を濾過して大径金属粒子を分離し、その後、前記大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液の金属濃度を発光分析によって測定すると共に濾液の金属濃度を発光分析によって測定し、該溶液及び該濾液の各金属濃度の合計値から前記潤滑対象部における摩耗深さを求め、該摩耗深さの時間経過に伴う変化率に基づいて、前記潤滑対象部の摩耗深さが該潤滑対象部の予め決められた表面粗さとなる直前の時期を予測して前記潤滑対象部の状態を診断することを特徴とする。
また、前記潤滑油は、その孔径が0.01〜10.00μmであるフィルタによって濾過されることができる。
さらに、前記発光分析は誘導結合プラズマを用いる分析法であることができる。
【0006】
本発明の潤滑対象部診断システムは、潤滑対象部から採取される潤滑油を濾過して大径金属粒子を分離する濾過手段と、前記大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液及び濾液の各金属濃度を測定する発光分析手段と、前記溶液及び前記濾液の各金属濃度の合計値から前記潤滑対象部における摩耗深さを求める摩耗深さ算出手段と、該摩耗深さ算出手段による算出結果を記憶する記憶手段と、該摩耗深さ算出手段による算出結果及び該記憶手段による記憶結果から前記摩耗深さの時間経過に伴う変化率を求める変化率算出手段と、該変化率算出手段の算出結果に基づいて、前記潤滑対象部の摩耗深さが該潤滑対象部の予め決められた表面粗さとなる直前の時期を予測して前記潤滑対象部の状態を診断する診断手段と、該診断手段の診断結果として、前記摩耗深さの時間経過に伴う変化率を示すグラフ及び診断コメントを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記「潤滑対象部」としては、例えば、すべり軸受部、転がり軸受部、ギヤ部、摺動部等を挙げることができる。上記摺動部は、例えば、変圧器における接点切換機構の摺動部であることができる。これにより、変圧器における接点切換機構の摺動部の状態を正確に診断することができる。また、上記「潤滑油」としては、例えば、石油系潤滑油であるスピンドル油、マシン油、ダイナモ油、タービン油等を挙げることができる。また、上記潤滑油は、例えば、半固体状のグリースであることができる。さらに、上記潤滑油は、通常、有機溶媒で希釈して試料油とされ、この試料油を濾過して大径金属粒子が分離されることとなる。また、上記「大径金属粒子」は、例えば、その粒径が好ましくは0.01〜10.00μm(より好ましくは0.05〜5.00μm、さらに好ましくは0.07〜3.00μm、特に好ましくは0.10〜1.00μm)を超える大きさであることができる。また、上記「濾液」は、通常、上記大径金属粒子より小さな粒径を有する小径金属粒子、溶解金属、金属添加剤等を含んでいる。また、上記「潤滑対象部の状態」は、例えば、潤滑対象部の潤滑状態及び/又は摩耗状態であることができる。また、上記「潤滑対象部の状態を診断する」とは、例えば、凝着摩耗、アブレッシブ摩耗(切削摩耗)、疲労摩耗等の潤滑対象部における摩耗形態(故障モード)を推定することを意味することができる。また、例えば、凝着摩耗を発生させる油膜切れ、アブレッシブ摩耗を発生させる外部混入異物や摩耗粒子、疲労摩耗を発生させる振動や過負荷等の潤滑対象部における上記摩耗形態に応じた発生原因を推定することを意味することができる。また、例えば、潤滑油濾過、添加剤投入、更油、運転停止、オーバーホール、部品交換等の異常対策を推定することを意味することができる。さらに、例えば、上記異常対策の実施時期を予測することを意味することができる。また、上記「摩耗深さ」は、例えば、図4に示すように、潤滑対象部における予め決められる摩耗面積Sと、上述のように測定された潤滑油中の金属粒子の金属濃度(摩耗体積)とから求めることができる。また、上記「発光分析」としては、例えば、アーク放電、スパーク放電、誘導結合プラズマ等を用いるものを挙げることができる。
【0008】
また、上記「フィルタ」の孔径は、好ましくは0.01〜10.00μm、より好ましくは0.05〜5.00μm、さらに好ましくは0.07〜3.00μm、特に好ましくは0.10〜1.00μmである。また、上記「診断結果」は、例えば、凝着摩耗、アブレッシブ摩耗(切削摩耗)、疲労摩耗等の潤滑対象部における摩耗形態(故障モード)に関する情報であることができる。また、例えば、凝着摩耗を発生させる油膜切れ、アブレッシブ摩耗を発生させる外部混入異物や摩耗粒子、疲労摩耗を発生させる振動や過負荷等の各種摩耗形態に応じた発生原因に関する情報であることができる。また、例えば、潤滑油濾過、添加剤投入、更油、運転停止、オーバーホール、部品交換等の異常対策に関する情報であることができる。さらに、例えば、上記異常対策の実施時期に関する情報であることができる。
【0009】
また、上記「潤滑対象部診断方法」は、潤滑油を多角的に分析して潤滑対象部の診断精度を向上させるといった観点より、例えば、発光分析によって得られる潤滑油中の金属濃度に加え、フェログラフィ法によって得られる潤滑油中の金属粒子のサイズ、形、色のうち1つ又は2以上の組み合わせに基づいて潤滑対象部の状態を診断したり、潤滑対象部に係わる駆動機構の駆動回数に基づいて潤滑対象部の状態を診断したりすることができる。また、上記「潤滑対象部診断システム」は、例えば、前記診断手段による診断結果をネットワークを介して遠隔地へ送信する送信手段を備えることができる。これにより、診断結果を迅速に遠隔地へ送信することができる。
【0010】
【発明の効果】
本発明の潤滑対象部診断方法によると、潤滑油中に粒径が10μmを超える大径金属粒子が含まれていても、潤滑油の濾過によって大径金属粒子を分離し、発光分析によって、その大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液の金属濃度を測定すると共に濾液の金属濃度を測定できるので、潤滑油中の金属濃度を精度良く測定することができる。その結果、その金属濃度の値に基づいて潤滑対象部の状態を正確に診断することができる。
また、潤滑油中の金属濃度から潤滑対象部における摩耗深さを求め、この摩耗深さの時間経過に伴う変化率に基づいて、前記潤滑対象部の摩耗深さが該潤滑対象部の予め決められた表面粗さとなる直前の時期を予測して潤滑対象部の状態を診断するようにしたので、摩耗深さの高精度な傾向管理を実施でき、潤滑対象部の状態をより正確に診断することができる。
また、潤滑油を、その孔径が0.01〜10.00μmであるフィルタによって濾過する場合は、発光分析によって、0.01〜10.00μmを超える粒径を有する大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液の金属濃度を測定すると共に、0.01〜10.00μm以下の粒径を有する小径金属粒子を含む濾液の金属濃度を測定でき、潤滑油中の金属濃度をより精度良く測定することができる。
さらに、誘導結合プラズマを用いる発光分析によって潤滑油中の金属粒子の金属濃度を測定する場合は、微量の潤滑油中の金属濃度をより精度良く測定することができる。
【0011】
本発明の潤滑対象部診断システムによると、濾過手段によって潤滑油が濾過されて大径金属粒子が分離され、発光分析装置によって、大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液及び濾液の各金属濃度が測定され、診断手段によって溶液及び濾液の各金属濃度から求められる摩耗深さの時間経過に伴う変化率に基づいて、潤滑対象部の摩耗深さが潤滑対象部の予め決められた表面粗さとなる直前の時期を予測して潤滑対象部の状態が診断され、表示手段によって診断結果として、前記摩耗深さの時間経過に伴う変化率を示すグラフ及び診断コメントが表示される。従って、潤滑油中の金属濃度の高精度な値に基づいて、潤滑対象部の状態を正確かつ自動的に診断することができる。
また摩耗深さの高精度な傾向管理を実施でき、潤滑対象部の状態をより正確に自動診断することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例では、潤滑対象部として、発電所等の大型設備機械におけるすべり軸受部を例示する。また、本実施例では、所定の分析施設に後述する診断システムが設置され、この分析施設で、遠隔地にある発電所等で採取される潤滑油の分析及び診断が実施されるものとする。
【0013】
(1)潤滑対象部診断システムの全体構成
本実施例に係る潤滑対象部診断システム1は、図1に示すように、誘導結合プラズマ発光分析装置2(以下、ICP発光分析装置2とも略記する。)と、コンピュータ3とを基本的に備えて構成されている。上記ICP発光分析装置2は、高周波電源21、石英ガラス製のトーチ22、このトーチ22に回巻された誘導コイル23、試料容器24、ネブライザー25、分光器26及びデータ処理部27を備えている。そして、アルゴンガスボンベ28からトーチ22内に送られたアルゴンガスが誘導コイル23により励起され高温のプラズマが発生する。また、ネブライザー25に送られたアルゴンガスの一部により、試料容器24内の試料油が吸い上げられトーチ22内のアルゴンガス中に導入され、発光する。その発光を、分光器26でスペクトル分離し、各波長の発光強度を光電子倍増管で検出し、得られた電気信号をデータ処理部27で演算処理して金属濃度を算出する。尚、上記データ処理部27は、算出した金属濃度の値をコンピュータ3へ出力するようになっているが、これに限定されず、例えば、データ処理部27とコンピュータ3との間で、フレキブルディスク等の記録媒体を介して金属濃度の値を送受するようにしてもよい。また、上記金属濃度は、例えば、Fe,Pb,Cu,Zn,Ca,Mg等の金属元素毎の濃度であったり、金属元素全体の濃度であったりできる。
【0014】
上記コンピュータ3は、演算処理や表示処理などを実行する演算部31と、各種処理におけるデータを記憶する記憶部32とを備えている。この演算部31によって、上記データ処理部27から入力される金属濃度の値に基づいて後述のすべり軸受部の摩耗深さが算出され、この算出結果が記憶部32に記憶される(図3のステップP2参照)。また、演算部31によって、記憶部32に記憶された今回及び前回の分析の摩耗深さと分析時間間隔とに基づいて、摩耗深さの時間経過に伴う変化率が算出される(図3のステップP3参照)。さらに、演算部31によって、上記変化率に基づいてすべり軸受部の状態が診断され(図3のステップP4参照)、その診断結果が、表示モニタ33やプリンタ(図示せず)などの出力手段に出力表示されるようになっている(図3のステップP5参照)。
ここで、上記摩耗深さFは、例えば、図4(a)に示すように、すべり軸受部4で予め決められた面積S(軸受側の全表面積×1/3;図中斜線で示す。)と、上記ICP発光分析装置2で測定される潤滑油中の金属濃度(金属体積)とから求められる。尚、図4(b)に示すように、摩耗深さFが、新品時のすべり軸受部4の表面粗さRと略一致すると焼付きが生じてしまうため、その直前時期ですべり軸受部を含む構造物の運転停止・オーバーホール・部品交換等を実施することが望まれる。
【0015】
(2)潤滑対象部の診断方法
次に、本実施例に係る潤滑対象部の診断方法について図2及び図3のフローチャートに従って説明する。先ず、作業者が、複数のすべり軸受部4で使用されている潤滑油の中層部をサンプリングする(ステップS1)。その後、サンプリングされた10mlの潤滑油を有機溶媒で希釈して100mlの試料油とし(ステップS2)、この試料油を0.8μmの孔径のフィルタ(図示せず)で濾過する。すると、この試料油から0.8μmを超える粒径を有する大径金属粒子{例えば、鉄粒子(粉)}が分離される一方、濾液中には0.8μm以下の粒径を有する小径金属粒子、溶解金属及び金属添加剤等が含まれている(ステップS3)。次に、分離された大径金属粒子を硝酸等で溶かして溶液化する(ステップS4)。次いで、この溶液を試料容器24に入れてICP発光分析装置2を作動させ、ICP発光分析によって溶液の金属濃度を測定し(ステップS5)、データ処理部27によってその測定値(例えば、0.5ppm)がコンピュータ3へ出力される(ステップS6)。また、上記溶液と略同様にして、濾液を試料容器24に入れてICP発光分析装置2を作動させ、ICP発光分析によって濾液の金属濃度を測定し(ステップS7)、データ処理部27によってその測定値(例えば、5.0ppm)がコンピュータ3へ出力される(ステップS8)。その後、コンピュータ3によってすべり軸受部4の診断処理が実行されることとなる(ステップS9)。
【0016】
上述のステップS9で示す診断処理では、コンピュータ3が、上記データ処理部27からの溶液及び濾液の各金属濃度の測定値を取得して記憶する(ステップP1)。その後、それら測定値の合計値に基づいて摩耗深さFが算出され、記憶される(ステップP2)。次に、前回の分析で記憶された摩耗深さF(例えば、1μm)と、今回の分析で記憶された摩耗深さF(例えば、3μm)と、前回と今回との分析時間間隔(例えば、100時間)とから、摩耗深さFの時間経過に伴う変化率が算出される(ステップP3;図5参照)。次いで、その変化率に基づいて、摩耗深さFが、すべり軸受部4の予め決められた表面粗さR(例えば、6.3μm)となる直前の時期(例えば、165時間後)、即ち、オーバーホールや部品交換時期等が予測される(ステップP4)。その後、その診断結果として、摩耗深さFの時間経過に伴う変化を示すグラフ(図5参照)や診断コメント(図6参照)などが表示モニタ33などに出力表示される(ステップP5)。
尚、上記診断コメントとしては、オーバーホール時期、故障モード、故障原因等の情報が記載されている。
【0017】
(3)実施例の効果
以上のように本実施例の潤滑対象部診断方法では、先ず、試料油をフィルタで濾過して大径金属粒子を分離し、その後、発光分析によって、その大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液の金属濃度を測定すると共に、その濾液の金属濃度を測定するようにしたので、潤滑油中に10μmを超える粒径の大径金属粒子が存在している場合でも、この大径金属粒子を確実に酸で溶液化してその金属濃度を測定することができ、潤滑油中の金属濃度を精度良く測定することができる。その結果、その高精度な金属濃度の測定値に基づいて潤滑対象部の状態を正確に診断することができる。また、本実施例では、ICP発光分析によって潤滑油の金属濃度を測定するようにしたので、微量の試料油であっても、その金属濃度をより高精度に測定することができる。また、本実施例では、高精度な金属濃度の測定値に基づいて、摩耗深さFの時間経過に伴う変化率を求め、その変化率に基づいて潤滑対象部を診断するようにしたので、摩耗深さFの高精度な傾向管理を実施して潤滑対象部の正確なオーバーホール時期等を予測することができる。
【0018】
また、本実施例の潤滑対象部診断システム1では、ICP発光分析装置2とコンピュータ3とを備え、ICP発光分析装置2に、金属濃度の測定値をコンピュータ3へ出力するデータ処理部27を設け、コンピュータ3に、その金属濃度の測定値から摩耗深さFの時間経過に伴う変化率を算出し、その算出結果に基づいて潤滑対象部の状態を診断し、その診断結果を表示モニタ33などに表示させる演算部31を設けたので、潤滑油の高精度な分析及び摩耗深さFの傾向管理を実施して潤滑対象部の状態の正確な自動診断を実現できる。また、本実施例では、摩耗深さFの時間経過に伴う変化を示すグラフや診断コメントを表示出力するようにしたので、その診断結果を簡易・迅速に認識することができる。
【0019】
尚、本発明においては、前記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本実施例では、1台のICP発光分析装置2によって、先ず、大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液の金属濃度を測定し(図2のステップS4〜S6)、その後、濾液の金属濃度を測定する(図2のステップS7,S8)ようにしたが、これに限定されず、例えば、1台のICP発光分析装置によって、先ず、濾液の金属濃度を測定し、その後、溶液の金属濃度を測定するようにしてもよい。また、2台のICP発光分析装置を用いて、濾液及び溶液の金属濃度の測定を同時に実施することができる。また、本実施例では、発電所の大型設備機械におけるすべり軸受部を診断する方法及びシステムを例示したが、これに限定されず、例えば、工作機械、建設機械、航空機械等における各種潤滑対象部を診断する方法及びシステムとしてもよい。特に、変圧器における接点切換機構の摺動部を診断する方法及びシステムとすることができる。さらに、本実施例の診断システムにおいて、コンピュータで出力される診断結果を発電所(遠隔地)側へ送る手段としては、郵送、ファクシミリ、インターネットや電話回線等のネットワークを介する送信等から適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】潤滑対象部診断システムの全体構成を説明するための説明図である。
【図2】潤滑対象部診断方法を説明するためのフローチャート図である。
【図3】図2の診断処理(ステップS9)を説明するためのフローチャート図である。
【図4】すべり軸受部の摩耗深さを説明するための説明図であり、(a)は摩耗面積を示し、(b)は表面粗さを示す。
【図5】摩耗深さの時間経過に伴う変化率を説明するための説明図である。
【図6】診断コメントの一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1;潤滑対象部診断システム、2;ICP発光分析装置、3;コンピュータ、4;すべり軸受部、F;摩耗深さ。

Claims (4)

  1. 潤滑対象部から採取される潤滑油を濾過して大径金属粒子を分離し、その後、前記大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液の金属濃度を発光分析によって測定すると共に濾液の金属濃度を発光分析によって測定し、該溶液及び該濾液の各金属濃度の合計値から前記潤滑対象部における摩耗深さを求め、該摩耗深さの時間経過に伴う変化率に基づいて、前記潤滑対象部の摩耗深さが該潤滑対象部の予め決められた表面粗さとなる直前の時期を予測して前記潤滑対象部の状態を診断することを特徴とする潤滑対象部診断方法。
  2. 前記潤滑油は、その孔径が0.01〜10.00μmであるフィルタによって濾過される請求項1記載の潤滑対象部診断方法。
  3. 前記発光分析は、誘導結合プラズマを用いる分析法である請求項1又は2記載の潤滑対象部診断方法。
  4. 潤滑対象部から採取される潤滑油を濾過して大径金属粒子を分離する濾過手段と、前記大径金属粒子を酸で溶かしてなる溶液及び濾液の各金属濃度を測定する発光分析手段と、前記溶液及び前記濾液の各金属濃度の合計値から前記潤滑対象部における摩耗深さを求める摩耗深さ算出手段と、該摩耗深さ算出手段による算出結果を記憶する記憶手段と、該摩耗深さ算出手段による算出結果及び該記憶手段による記憶結果から前記摩耗深さの時間経過に伴う変化率を求める変化率算出手段と、該変化率算出手段の算出結果に基づいて、前記潤滑対象部の摩耗深さが該潤滑対象部の予め決められた表面粗さとなる直前の時期を予測して前記潤滑対象部の状態を診断する診断手段と、該診断手段の診断結果として、前記摩耗深さの時間経過に伴う変化率を示すグラフ及び診断コメントを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする潤滑対象部診断システム。
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