JP7104713B2 - 摺動部を具備する機械設備の運転管理方法 - Google Patents

摺動部を具備する機械設備の運転管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、潤滑油を用いる摺動部を具備する機械設備の稼働現場にて、当該機器に用いられている潤滑油をその場で採取し、当該潤滑油中の金属濃度を分析し、当該摺動部の摩耗状況を検知し、適切な対処を行う機械設備の運転管理方法に関する。
潤滑油は、主としてポンプ、エンジン、ピストン、軸受、弁などの機械や機器に多く用いられ、それらの摺動部分で用いられることで、摩擦力、摩擦熱、摩耗などを低減し、良好な状態でそれらの機器の機能を維持することに貢献している。
潤滑油の潤滑状態は、機械や機器の運転を通して終始安定した状態であることが望ましいが、運転の経過に伴い、潤滑油自体の潤滑性能の劣化や、潤滑油に混入する夾雑物により、摺動部分における潤滑油の潤滑状態は良好な状態をいつまでも保てず、放置すると機械や機器の運転に支障が生じ、ついには故障してしまう。
そこで、故障する前に、潤滑油を交換したり、機械や機器の摩耗した摺動部分を取り外して新しいものと交換したりするなど、いわゆるオーバーホールやメインテナンスを行うことが必要になる。
メインテナンスは故障前の機械や機器の運転が順調な状態で行う必要があるので、どのようなタイミングで行うかが重要になる。多くの機械設備においては、メインテナンスでは、機械や機器を停止して分解点検し、交換部品を交換するので、運転経過時間などの時間的な基準を設定して定期的にメインテナンスを行う時間計画保全が行われている。
しかし、時間計画保全によるメインテナンスでは、機器を停止して分解して点検し、部品の交換も行うので、作業量が大きくコストもかかる。また、多くの場合、リスクがより少ないように、過酷な使用条件を想定して定められた時間間隔でメインテナンスが行われるので、実際には、それほど過酷な使用状況ではなく、交換対象部品がまだ使用可能であっても交換するといった不合理な面がある。
そこで、実際の機械設備の稼働状況を監視し、その稼働状況に応じてメインテナンスの時期や内容を判断しようという状態監視保全の考え方が試みられてきている。稼働中の機械設備における潤滑油分析は、状態監視保全の有力な手法の一つである。
ところが、機械設備で稼働中の潤滑油の分析は、潤滑油自体の分析、潤滑油に混入する摺動部材由来の摩耗粉や潤滑油の化学的変成により生じた夾雑物の分析など、多岐の分野にわたる専門的知識と、それらを分析する分析機器等設備が必要となる。機械設備の現場にそのような希少な分析員を派遣し、分析機材を一々持ち込むことは不可能であるので、現場で採取した潤滑油をそのような設備と分析員のいるところに持っていき、そこで分析を行っているのが現状である。このため、分析結果が判明するまでに約1週間程度かかり、迅速な対応ができない。
ところで、機械設備の稼働状況を監視するうえで、その設備の稼働中の潤滑油の分析によるすべての情報が得られればそれに越したことはないが、そもそも潤滑油は機械的な摺動部分が円滑に駆動するために用いているのであるから、摺動部材自体が破損して機能が低下していることをより直接的に示す情報ほど緊急性があり重要であるといえる。このような情報の例として、具体的には、潤滑油中に混入する摺動部の摩耗により発生する摩耗粉の情報があげられる。
摺動部の摩耗により発生する摩耗粉は、多くは金属粉であるので、潤滑油中の金属粉を分析する方法はこれまでにもいくつか提案されている。
特許文献1(特開平05-340864号公報)においては、容器に採取した潤滑油を、永久磁石により発生する静磁場中で振動させ、潤滑油中の摩耗粉が磁化されることにより発生する磁気をコイルにより検出して測定する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、摩耗粉が鉄、ニッケルなどの磁性金属であることが必要であり、非磁性体の場合には磁化されず測定することができない。摺動部分には、磁性を帯びない金属も多く使われ、ステンレス鋼にも非磁性のものが多くあるので、この方法では摩耗粉の濃度の把握は磁性体に限った特定の分野に限定され、広範な機械分野での適用は困難である。
特許文献2(特開平07-159392号公報)では、潤滑油中にジチオカルバミン酸塩類やトリアゾール類を主成分とする判定剤を添加することにより、それらが、潤滑油中の金属イオンと選択的に反応し不溶性の懸濁物質を生成して特有の色を発色する性質を利用して、金属イオンの種類と濃度を簡易的に測定する方法が提案されている。
しかしながら、この方法は判定剤が金属イオンと反応する必要があるのに対し、潤滑油中の金属摩耗粉は主にイオンではなく固体金属として存在するため、判定剤と反応して発色することがなく、潤滑油中の金属摩耗粉の測定には有効ではない。
特許文献3(特開2003-344293号公報)では、採取した潤滑油を有機溶媒で希釈してフィルタに通し、フィルタに残された金属摩耗粉を酸洗して溶液化してICP発光分析し、それとは別にフィルタを通過した濾液もICP発光分析することにより、精度良く潤滑油中の金属濃度を測定することが提案されている。この方法によれば、鉄、鉛、銅、亜鉛などの金属を測定することは可能である。しかしながら、高周波電源、石英ガラス製のトーチ、誘電コイル、試料容器、ネブライザー、分光器、データ処理部などを備えた誘導結合プラズマ発光分析装置を必要とし、高温プラズマを発生させるため純アルゴンガスが多量に必要であり、分光器のデータを解析するコンピュータが必要になる。このような規模の精密分析機器を常時現場に持ち込むことは困難である。
特許文献4(特開2010-107251号公報)では、採取した潤滑油を加熱してフィルタに通し、フィルタに残された金属摩耗粉に、可搬の蛍光X線照射装置により蛍光X線を照射して鉄、鉛、銅、亜鉛などの金属を分析することが記載されている。しかしながら、高価な蛍光X線分析装置が必要であることに加えて、前処理として遠心分離もしくはろ過を行うための装置や器具も必要であり、常時現場に持ち込むことは困難である。
このように、摺動部の摩耗により発生し、潤滑油中に混入した金属摩耗粉を分析する従来提案されている分析方法は、大規模な測定機器や精密分析機器を必要としたり、分析結果を得るまでに長時間を要したりする。潤滑油では金属の多くが不溶物として存在し、比色法が採用できないため、金属成分ごとの濃度測定はその場分析ができず、分析対象の試料を採取し、分析室に運搬して、分析していた。現場で簡易に濃度分析を実施することができるのは磁性を持つ鉄粉のみに限定されていた。分析に関する専門知識を有していない現場作業員であっても、機械設備の稼働現場で簡易的に測定し、その場で迅速に正確な測定結果を得る方法が確立されているとは言えない。
また、潤滑油分析により機械状態の健全性を維持、管理するためには、ある一点の閾値で管理することは非常に難しく、定期的に潤滑油を抜き取っては分析を実施し、傾向管理をすることが有効であると考えられる。例えば、毎月測定を実施していて、通常はFe濃度が10ppm前後であることが多いケースにおいて、ある時点から15ppm,20ppm、・・・と上昇し始めたとすれば、さらに詳細な潤滑油分析をして、摩耗粉の大きさや形状についても検査するべきである。このように、定期的に潤滑油分析を実施して傾向管理をするには、現場で安価、安全に実施できる簡易分析法が必要である。
特開平05-340864号公報 特開平07-159392号公報 特開2003-344293号公報 特開2010-107251号公報
本発明は、以上の状況に鑑み、機械設備の稼働現場で、摺動部の摩耗により発生して潤滑油中に混入した金属摩耗粉を、その場で迅速且つ簡易的に分析して、摺動部の摩耗を検知し、摺動部を具備する機械設備の運転管理を行う方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、潤滑油を用いる摺動部を具備する機械設備の稼働現場にて、当該機器に用いられている潤滑油をその場で採取し、当該潤滑油中の金属濃度をその場で分析し、潤滑油中の金属濃度に応じて、当該摺動部の摩耗状況を判断し、潤滑油のより詳細な分析の実施、摺動部に関する他の検査、たとえば振動計測、AE(Acoustic Emission)検査などの実施、継続的な潤滑油分析、潤滑油交換、又は摺動部調整を行う、機械設備の運転管理方法が提供される。
特に、ポンプの稼働現場にて、ポンプの摺動部から潤滑油を採取し、直ちに比色試験紙、比色試薬又は吸光度分析による潤滑油中金属濃度の簡易分析をその場で行い、潤滑油中の濃度、又は正常運転時の潤滑油中濃度からの増加分が、鉄、銅又はすずのいずれかについて設定した閾値を越えた場合に、当該摺動部の摩耗状況を判断して、潤滑油のより詳細な分析の実施、摺動部に関する他の検査、たとえば振動計測、AE(Acoustic Emission)検査などの実施、継続的な潤滑油分析、潤滑油交換、又は摺動部調整を行う、ポンプの運転管理方法が提供される。閾値は運転管理対象となる機械設備ごとに定められるものであるが、例えば、定期的な濃度測定を行い、その標準偏差σの3倍以上濃度が上昇した値に設定することができる。
前記比色試験紙、比色試薬又は吸光度分析による潤滑油中金属濃度の簡易分析は、採取した潤滑油を、その場で、ろ過して、残留する粒子を塩酸に溶解させることにより調製した分析試料を用いることが好ましい。
上記運転管理方法を実行するために、潤滑油採取用のシリンジと、当該シリンジに脱着可能なメンブランフィルタと、鉄、銅及びすず用の各比色試験紙又は比色試薬と、携帯型演算処理装置と、を含み、前記携帯型演算処理装置は、比色試験紙又は比色試薬による潤滑油中金属濃度の簡易分析結果を記録し、潤滑油中の濃度、又は正常運転時の潤滑油中濃度からの増加分が、鉄、銅又はすずのいずれかについて閾値を越えた時に、潤滑油を交換し、摺動部の調整又は交換を実施すべきとの警告を表示するプログラムを内蔵していることを特徴とする、簡易分析キットを用いてもよい。
あるいは、上記運転管理方法を実行するために、潤滑油採取用のシリンジと、当該シリンジに脱着可能なメンブランフィルタと、鉄、銅及びすず用の各呈色試薬と、携帯型吸光度分光分析計と、携帯型演算処理装置と、を含み、前記携帯型演算処理装置は、呈色試薬を用いる比色試験による潤滑油中金属濃度の簡易分析結果を記録し、潤滑油中の濃度、又は正常運転時の潤滑油中濃度からの増加分が、鉄、銅又はすずのいずれかについて閾値を越えた時に、当該摺動部の摩耗状況を判断して、潤滑油のより詳細な分析の実施、摺動部に関する他の検査、例えば振動計測、AE(Acoustic Emission)検査などの実施、継続的な潤滑油分析、潤滑油交換、又は摺動部調整を行うとの警告を表示するプログラムを内蔵していることを特徴とする、簡易分析キットを用いてもよい。
本発明によれば、機械設備の稼働現場で、摺動部の摩耗により発生し潤滑油中に混入した金属摩耗粉を、その場で迅速且つ簡易的に分析し、分析結果に基づいて、摺動部の摩耗を検知し、摩耗が検知された場合には、即時に異常運転対応が可能となる。
また本発明によれば、大規模な測定機器を用いることなく、採取から測定、分析結果を得るまでに時間がかからず、また専門の分析員の人手がかからず、簡易に銅、スズなどの非磁性金属をも分析でき、機械設備の摺動部のどの部分が摩耗しているかを現場で迅速に把握することができるため、摩耗の原因となる摺動部の異常接触を即時に検出して、適切な対処を行うことにより、迅速且つ正確に機械設備の正常運転管理が可能となり、摺動部の寿命を長期化することができる。
本発明に係る潤滑油の簡易分析方法を用いる対象となる機械の一例として、横軸多段ポンプの一例を示す断面図である。 図1におけるスラスト軸受ユニット9Aとラジアル軸受ユニット9Bを備えた軸受装置9の拡大図である。 図2のXX断面の模式図である。 本発明に係る潤滑油の簡易分析方法を用いる対象となる機械の一例として、両吸込横軸単段ポンプの断面図である。 本発明に係る潤滑油の簡易分析方法を用いる対象となる機械の一例として、横軸斜流ポンプの断面図である。 実施例1における採油部位を示す説明図である。 本発明の運転管理方法を実施するために用いることができる簡易分析キットの一例を示す説明図である。
以下、本発明の実施例としていくつかの実施形態について説明するが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲内における実施形態は、本発明に含まれる。
図1は,本発明に係る潤滑油の簡易分析方法を用いる対象となる機械の一例として、横軸多段ポンプの一例を示す断面図である。
図1に示される回転機械としての横軸多段ポンプ100は,複数の羽根車2と,これら羽根車2が固定される回転軸1を有している。回転軸1は水平に延びている。複数の羽根車2は,回転軸1上に直列に配列されていて,ポンプケーシング5内に配置されている。回転軸1の一端は、図示しない電動機などの駆動機に連結されており,この駆動機によって回転軸1および羽根車2が回転されるようになっている。また,回転軸1は,その両端部近傍に設けられた軸受装置9,9に回転自在に支持されている。
羽根車2はポンプケーシング5内に配置されている。回転軸1の回転とともに複数の羽根車2が回転すると,吸込口3から水などの液体が吸込まれ,羽根車2による遠心作用により、液体の圧力が上昇されて液体が吐出口4から吐き出される。
各々の羽根車2の液体入口には,羽根車2により加圧された水が、前の段に逆流しないように、ポンプケーシング5と羽根車2の間にウェアリング6がそれぞれ取り付けられている。
回転軸1は、ポンプケーシング5を貫通して延びている。回転軸1とポンプケーシング5との間の隙間は,メカニカルシールなどの軸封装置8,8によって、ポンプケーシング内部の水がケーシング外部に漏れないようにシールされている。したがって,ポンプの内部の水が軸受装置9,9に浸入することはない。
複数の羽根車2は,隣り合う羽根車2間の圧力差により生じるスラスト力が羽根車2の枚数分重なりあい,スラスト力が発生する。このスラスト力は,横軸多段ポンプ100内に設けられたバランス装置7により相殺されるが,過渡運転時などにはある程度のスラスト力が残留する。この残留スラスト力は,軸受装置9のスラスト軸受ユニット9Aで支持される。
スラスト軸受ユニット9Aに加えて,回転軸1の両側端部近傍には2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bが配置されている。これら2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bと,1つのスラスト軸受ユニット9Aの合計3つの軸受で回転軸1は支持される。スラスト軸受ユニット9Aには玉軸受が用いられ、ラジアル軸受ユニット9B,9Bにはスリーブ型の軸受が用いられている。
スラスト軸受ユニット9A、ラジアル軸受ユニット9B,9Bとも、それらの下部の潤滑油貯槽10に貯められた潤滑油により潤滑される。このようにして回転軸1を安定させた状態で回転させることができる。
尚、潤滑油貯槽10の潤滑油は、本図のように潤滑油貯槽10に付属する冷却ジャケット27により冷却水により冷却される場合がある。
図2は、図1におけるスラスト軸受ユニット9Aとラジアル軸受ユニット9Bを備えた軸受装置9の拡大図である。図2に示されるように、この軸受装置9は、水平に延びる回転軸1の軸方向荷重および半径方向荷重を受けるスラスト軸受ユニット9Aと、回転軸1の半径方向荷重を受けるラジアル軸受ユニット9Bと、を有する。スラスト軸受ユニット9Aには複列のアンギュラ玉軸受が使用され、転道輪及び転動体は炭素とクロムがやや添加された鉄を主体とする高~中炭素クロム鋼が用いられる。ラジアル軸受ユニット9Bは、回転軸1の外周と同軸の円筒形状のすべり軸受が使用され、90%スズ-10%銅、あるいは89%スズ-7%アンチモン-4%銅のホワイトメタルが用いられ、すべり軸受に囲繞される回転軸1はステンレス鋼が用いられている。
スラスト軸受ユニット9Aおよびラジアル軸受ユニット9Bの下方には、潤滑油貯槽10が配置されており、この潤滑油貯槽10に貯留される潤滑油の油面が、符号10Aが付された点線で示されている。なお、潤滑油貯槽10内の油面10Aが一定になるように、潤滑油量は管理されている。潤滑油貯槽10の下方には冷却ジャケット27が設けられており、冷却ジャケット27を流れる冷却液によって潤滑油貯槽10内の潤滑油が冷却される。冷却ジャケット27の代わりにフィンつきの空冷構造を採用してもよい。あるいは、潤滑油貯槽10内に、フィン付冷却液チューブを挿入して潤滑油を直接冷やす構造としてもよい。
スラスト軸受ユニット9Aには、複列のアンギュラ玉軸受の軸方向の両側に隣接して、オイルリング20Aが使用されている。回転軸1には、所定の位置Aで径が縮小して、軸端まで玉軸受内輪とおなじ径となる部分があるが、そこに、内径が玉軸受内輪とおなじ径で、外周にオイルリングが軸方向の一定の位置にとどまるように凹部が施された円環形状のオイルリング受け15を嵌め、続いて複列のアンギュラ玉軸受を嵌め、さらに続いてオイルリング受け15を嵌めたものである。オイルリング受け15の軸方向の長さを規定すれば、複列のアンギュラ玉軸受の軸方向の位置が決められる。
図3は、図2のXX断面の模式図である。オイルリング20Aは、玉軸受をおさえるステータ側の内部部材16の隙間を通して、潤滑油貯槽10に貯留される潤滑油(油面10A)に下部を浸した状態で配置される。オイルリング20Aは、回転軸1の回転につられて回転することで、潤滑油貯槽10に貯留される潤滑油をかき上げる。このときオイルリング20Aは回転軸1と摩擦し摺動が生じる。ここで、オイルリング20Aは、黄銅(銅60~70%、亜鉛40~30%)などの銅合金材料で形成されている。
潤滑油貯槽10からオイルリング20Aに随伴される潤滑油は、スラスト軸受ユニット9Aの、複列のアンギュラ玉軸受の軸方向の両側に隣接した、オイルリング受け15にて、軸側に供給される。オイルリング20Aは、複列のアンギュラ玉軸受の軸方向の両側に隣接しているので、潤滑油は、軸を伝って隣接する複列のアンギュラ玉軸受の両側から供給される。
ラジアル軸受ユニット9Bのすべり軸受にも、軸方向に適当な間隔でオイルリング20Aが備えられ、スラスト軸受ユニット9Aと同じように、回転軸1の回転につられて回転することで、潤滑油貯槽10に貯留される潤滑油はすべり軸受にかき上げられる。
アンギュラ軸受とすべり軸受を経た潤滑油は、ふたたび潤滑油貯槽10に流下して戻される。但し、アンギュラ軸受とすべり軸受を経た潤滑油は、それらの摺動摩耗により生成する摩耗粉を含んでおり、これらの摩耗粉は微量含まれた状態ではあるが、次第に潤滑油貯槽10に蓄積する。
次に、図1乃至図3に示したポンプの他に、適用する他のポンプを紹介する。
図4は,本発明に係る潤滑油の簡易分析方法を用いる対象となる機械の他の一例であり、両吸込横軸単段ポンプの断面図である。図4に示される回転機械としてのポンプ100は,羽根車2と,この羽根車2が固定される回転軸1とを有している。回転軸1は水平に延びている。回転軸1は、主としてステンレス鋼で形成されている。回転軸1の一端は図示しない電動機などの駆動機に連結されており,この駆動機によって回転軸1および羽根車2が回転されるようになっている。また,回転軸1は,その両端部近傍に設けられた軸受装置9,9に回転自在に支持されている。
羽根車2はポンプケーシング5内に配置されている。図4に示すポンプケーシング5は、その内部に渦巻き室5aを有しており,羽根車2は渦巻き室5aの内部に配置されている。回転軸1の回転とともに羽根車2が回転すると,吸込口3から水などの液体が吸い込まれ,羽根車2と渦巻き室5aの作用により液体の圧力が上昇されて,液体が吐出口4から吐き出される。
図示した例における羽根車2は,その両側から液体を吸い込む両吸込構造を有している。羽根車2の液体入口には,羽根車2により加圧された水が、渦巻き室5aから吸込口3に逆流しないように、ウェアリング2A,2Bがそれぞれ取り付けられている。
回転軸1はポンプケーシング5を貫通して延びている。回転軸1とポンプケーシング5との間の隙間は,軸封装置8,8(たとえば、メカニカルシールなど)によって、ポンプケーシング内部の水がケーシング外部に漏れないようにシールされている。
ウェアリング2A,2Bの直径の差異、誤差による圧力差により、ポンプ軸にはスラスト力が発生する。このスラスト力は、軸受装置9のスラスト軸受ユニット9Aで支持されるようになっている。
スラスト軸受ユニット9Aに加えて,回転軸1の両側端部近傍には2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bが配置されている。これら2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bと,1つのスラスト軸受ユニット9Aの合計3つの軸受で回転軸1は支持される。スラスト軸受ユニット9Aには玉軸受が用いられ、ラジアル軸受ユニット9B,9Bにはスリーブ型の軸受が用いられている。
スラスト軸受ユニット9A、ラジアル軸受ユニット9B,9Bとも、それらの下部の潤滑油貯槽10に貯められた潤滑油により潤滑され、これらの軸受ユニットに用いられる金属としては、図1乃至図3で紹介したホワイトメタルや砲金などの銅、錫合金が多く用いられている。また玉軸受、特に転道輪及び転動体の材料としては、炭素とクロムがやや添加された鉄を主体とする高~中炭素クロム鋼が用いられる。
尚、潤滑油貯槽10の潤滑油は、本図のように潤滑油貯槽10に付属する冷却ジャケット27により冷却水により冷却される場合がある。
図5は,本発明に係る潤滑油の簡易分析方法を用いる対象となる機械のさらに他の一例であり、横軸斜流ポンプの断面図である。図5に示される回転機械としてのポンプ100は,羽根車2と,この羽根車2が固定される回転軸1とを有している。回転軸1は水平に延びている。回転軸1としては、主としてステンレス鋼が用いられている。回転軸1の一端はケーシング5内で水中軸受2cにより、もう一端は、ケーシング5の外部にて軸受装置9により、各々回転自在に支持されている。更に回転軸1は、ケーシング5の外部にて図示しない電動機などの駆動機に連結されている。その駆動機によって回転軸1および羽根車2が回転されるようになっている。
なお、ポンプケーシング下部には、休閑期に、停止したポンプ内の水をケーシング外に排出するために用いられるドレインポートと、ポンプケーシング上部には、ポンプ運転開始時に、ポンプ内の大気を真空ポンプで吸込側から水を吸い上げるための機器取付ポートがある。これらは、ポンプが定常運転するときには図示しないバルブ等で閉止される。
図5に示すポンプケーシング5の内部には、中心に水中軸受2cを支持するとともに、ポンプケーシング5とともにガイドベーンを支持する内筒を有している。羽根車2はポンプケーシング5内で、内筒に隣接して駆動機側に配置されている。回転軸1の回転とともに羽根車2が回転すると,水などの液体が吸込口3から羽根車2に供給され,羽根車2によりガイドベーン側に推進力が加えられる。ガイドベーンでは、羽根車2から供給された水などの液体が滞ることのないよう整流され、吐出口4から吐き出される。
このように、内筒は、ポンプの運転中はケーシング5内で水没した状態に置かれる。内筒内に置かれた水中軸受2cと回転軸1の間隔は非常に狭いクリアランスで、水中で互いに摺動する。
回転軸1の駆動機側は、ポンプケーシング5と回転軸1との間の隙間を軸封装置8(たとえば、メカニカルシールなど)によって、ポンプケーシング内部の水がケーシング外部に漏れないようにシールされている。したがって,ポンプの内部の水が軸受装置9に浸入することはない。
水などの液体は,羽根車2によりガイドベーン側に推進力が加えられるので、羽根車2および回転軸1は、その反作用として駆動機の方向にスラスト力がかかる。このスラスト力は軸受装置9のスラスト軸受ユニット9Aで支持されるようになっている。
スラスト軸受ユニット9Aに加えて,軸受装置9には、回転軸1のラジアル方向を受けるラジアル軸受ユニット9Bが配置されている。このラジアル軸受ユニット9B,スラスト軸受ユニット9A、水中軸受2cの合計3つの軸受で回転軸1は支持される。スラスト軸受ユニット9A、ラジアル軸受ユニット9Bには玉軸受やころ軸受が用いられている。
スラスト軸受ユニット9A、ラジアル軸受ユニット9Bとも、それらの下部の潤滑油貯槽10に貯められた潤滑油により潤滑される。これらの軸受ユニットは玉軸受やころ軸受があるので、転道輪及び転動体は炭素とクロムがやや添加された鉄を主体とする高~中炭素クロム鋼が用いられる。
次に、図1乃至図5にて紹介したポンプを例にして、潤滑油を採取して、本発明に係る簡易分析方法により摩耗した金属粉をその場で分析する方法を説明する。
潤滑油貯槽10の潤滑油は、ポンプの停止直後、もしくは、運転中に採油量と同等の給油をしながら、給油口または採油口から直接、または、ある程度採取した潤滑油から、シリンジで規定量(10cc乃至20cc)を採取する。ポンプを停止する場合は、その停止時間は数分程度でよい。
シリンジで有機溶媒(ヘキサン)を吸引して、採取した潤滑油を希釈した後、シリンジの開口部先端にフィルタを装着して、ピストンで潤滑油を押し出すことにより、ろ過して、試験管にろ液を集める。フィルタは径φ13mm、目開き0.45μm~0.8μmの耐酸性メンブランフィルタであることが好ましい。
ろ過したあと、フィルタに摩耗粉が残っている状態で、再度溶剤を吸引してからピストンで押し出し、フィルタに残留している潤滑油の油分をほぼ完全に除去する。さらにその後、空気を吸引してからピストンで押し出し、フィルタを乾燥させる。
摩耗粉が残留しているフィルタを、所定濃度(1Nもしくは2N)の塩酸(1cc程度)に浸して摩耗粉を溶解させて、分析試料を調製する。摩耗粉を溶解させる酸は、機械設備の構成材料から検出が想定される金属イオンに応じて変更してもよい。たとえば、銅の場合には硝酸が最適である。
分析試料(摩耗粉を溶解させた塩酸溶液)に、分析対象の金属イオンに対して選択的に呈色反応により発色する比色試験紙を浸し、塩酸溶液中の金属成分を簡易分析する。比色試験紙は、市販の比色試験紙を用いることができ、鉄、銅、錫、ニッケル、クロム等の機械の摺動部品に通常用いられている金属に応じて、その金属イオンに選択的に反応する比色試験紙を用いる。比色試験紙としては、各金属イオンに特有の発色を示す市販の比色試験紙を用いることができる。なお、発色条件に液中の水素イオン濃度範囲が規定されている場合には、その条件に合わせて、水酸化ナトリウム溶液などの塩基性溶液かリン酸緩衝液などで調整した後、比色試験紙を浸す。
摺動部は、主軸が鉄鋼からなり、軸受材料がスズを含んだホワイトメタルからなり、オイルリングのような潤滑油供給部材でありながら軸と摺動する部材が銅合金からなる。このように、摺動部は部位によって異なる金属が用いられているので、各部位を構成する金属材料に応じて各種比色試験紙を用いて定期的に分析することで、摺動部の摩耗状態の推移を把握することができる。
比色試験紙による簡易分析よりも分析精度を向上させる必要がある場合には、採油現場にて吸光度分析を行うことが好ましい。吸光度分析は、市販の携帯型吸光度分析装置を用いて行うことができる。
呈色試薬としては、たとえば、鉄イオンに対しては、o-フェナントロリン、2,4,6-トリス(2-ピリジル)-1,3,4トリアジン、2-ニトロソ-5-[N-n-プロピル-N-(3-スルホプロピル)アミノ]フェノール、バソフェナントロリンジスルホン酸二ナトリウム塩を好適に用いることができる。o-フェナントロリンは、3価の鉄イオンに反応して赤色を呈色する。2,4,6-トリス(2-ピリジル)-1,3,4トリアジンは、2価の鉄イオンに反応して赤紫色を呈色する。2-ニトロソ-5-[N-n-プロピル-N-(3-スルホプロピル)アミノ]フェノールは、3価の鉄イオンに反応して緑色を呈色する。バソフェナントロリンジスルホン酸二ナトリウム塩は、2価の鉄イオンに反応して赤橙色を呈色する。
銅イオンに対しては、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(バソクプロイン)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを好適に用いることができる。バソクプロインは、銅イオンと反応して橙黄色を呈色する。ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムは、銅イオンと反応して黄褐色を呈色する。
スズイオンに対しては、ヘマトキシリンを好適に用いることができる。ヘマトキシリンは、4価のスズイオンと反応して赤紫色を呈色する。
更に、ニッケルイオンに対しては、ジメチルグリオキシム、クロムイオンに対しては、ジフェニルカルバジドなどの呈色試薬を用いることができる。ジメチルグリオキシムは、ニッケルイオンと反応して赤色に呈色する。ジフェニルカルバジドは6価と3価のクロムイオンと反応して赤紫色に呈色する。
比色試験紙又は吸光度分析によるその場分析による各金属イオンの検出濃度に基づき、摩耗が摺動部のどの部位で生じているかを判断する。摩耗の程度の判断は、金属イオンの検出濃度のみではなく、摺動部を構成する各金属成分の摩耗のし易さを考慮して行う。また、実際の現場に特有の条件を考慮し、通常運転時の金属イオンの検出濃度を基準として、金属イオン濃度の増減で判断してもよい。
摩耗が生じていると判断した場合には、潤滑油の交換、及び必要に応じて摺動部の機械設備の調整を行う。たとえば図1乃至5に示すポンプの場合には、玉軸受ベアリングは炭素鋼、玉軸受保持器は銅合金、すべり軸受はホワイトメタルで構成されていることから、潤滑油中に鉄が高濃度に検出された場合には主軸、転がり軸受のベアリングなどの摩耗、スズが検出された場合にはオイルリング、転がり軸受の保持器の摩耗、銅が高濃度に検出された場合にはすべり軸受の軸受部分の摩耗が生じていると判断することができる。摩耗は、各摺動部材の異常接触により発生すると考えられるため、摺動部を解体して、異物の有無の確認及びずれ(芯ずれ、面ずれ)の検査を行う。ずれが確認された場合には、軸ずれの修正(芯出し、面出し)を行う。
本発明による比色試験紙による簡易分析の場合の摩耗の判断及び対処の一例を表1に示す。「正常」の判断は、すべての金属イオンが表1に示す所定範囲にあることを要件とするが、「要観察」及び「摩耗発生」の判断は、いずれかの金属イオンが表1に示す所定範囲に入る場合に該当するものとする。たとえば、銅は0ppmであるが、スズが12ppmの場合には、摩耗発生と判断する。
Figure 0007104713000001
図7に、本発明の運転管理方法を実施するために用いることができる簡易分析キットの一例を示す。
本例の簡易分析キットは、ケーシング100内に、潤滑油用シリンジ式吐出器101と、潤滑油の希釈液供給用シリンジ式吐出器102と、潤滑油中の金属成分の溶出液供給用シリンジ式吐出器103と、が流路切り換えコック105~107及び配管を介して、メンブランフィルタ(たとえば孔径0.45μm又は0.8μm)109に流体連結状態に接続されている。メンブランフィルタ109の下流には、流路を切り換える流路切り換えコック113、114及び配管を介して、メンブランフィルタで濾過された溶出液の吸光度を測定する吸光度測定容器115、又は廃液溜116が設けられている。吸光度測定容器115には、反応試薬供給用シリンジ式吐出器104からの反応試薬を供給するための切り換えコック108及び配管も接続されている。各シリンジ式吐出器101~104のプランジャの端部101a~104aはケーシング100の外に突出して、手動又は電動で押し下げ可能に設けられている。
潤滑油用シリンジ式吐出器101には、採取した潤滑油10mlをその場で充填する。希釈液供給用シリンジ式吐出器102、溶出液供給用シリンジ式吐出器103及び反応試薬供給用シリンジ式吐出器104には、それぞれ、希釈液(たとえばヘキサンもしくはヘプタン5ml)、溶出液(たとえば2M塩酸又は2M硝酸1ml)及び反応試薬(呈色試薬1ml)が気密充填されており、使用時に、気密状態を開放して、各プランジャ101a~104aを押し下げてシリンジ先端部より各薬液を吐出する。各シリンジ式吐出器の密封状態は、たとえば、プランジャを固定するストッパー、シリンジキャップなどの公知の任意の手段を用いることができ、開放するにはストッパーやキャップを外す、キャップを穿孔する、など公知の手段を用いることができる。吸光度測定容器115には、吸光度測定用窓が設けられており、携帯型吸光光度計を用いて、その場での吸光度測定を可能とする。反応試薬は分析対象物に応じて好適な呈色試薬を用いる。
なお、上記の試薬及び試薬容量は説明のための一例であり、潤滑油の分析量及び分析対象物に応じて、試薬及び試薬容量を適宜変更することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明する。
[実施例1]
図1乃至図3に示した構造を有する稼働中のポンプから潤滑油を採取し、従来の分析方法と本発明の分析方法を行って比較した。図6に示すように、採油部位は、モーター(M)に直結する側の摺動部を「直結側」とし、モーターとは反対側の摺動部を「反直結側」として、下記表2~5において、それぞれ「直」及び「反」と略記する。ポンプ停止直後に、ポンプの給油口から潤滑油を容器に採取し、均一になるよう良く撹拌した。
潤滑油を採取した後、直ちに、シリンジ(テルモシリンジルアーロックタイプ)にて10ccを吸引し、ヘキサンもしくはヘプタンで希釈し、シリンジの吸い込み口に孔径0.45μmの耐酸性メンブランフィルタ(Whatman社製13mm GD/Xシリンジフィルター PTFE)を取り付けて、ピストンで押し出してろ過し、メンブランフィルタを2Nの塩酸1mlを1分間かけてゆっくりと流して、メンブランフィルタに残った0.45μmより大きい摩耗粉を塩酸中に溶かした。
この溶液に、速やかに市販のすず(Sn2+)用の比色試験紙(Marcherry-Nagel社製半定量イオン試験紙QUANTOFIX MN91309スズ)を浸して、呈色反応を確認し、呈色の濃淡に基づいて濃度を決定した。次に、この塩酸液から0.3mlを別の容器に分注し、1Nの水酸化ナトリウム0.3mlを添加し、鉄(Fe2+/Fe3+)用、銅(Cu+Cu2+)用の比色試験紙(Marcherry-Nagel社製半定量イオン試験紙 QUANTOFIX MN91344鉄100、MN91304銅)を浸して、呈色反応を確認し、呈色の濃淡に基づいて濃度を決定した。なお、金属成分が高濃度で判定できない場合は純水で希釈してから試験紙を浸した。
測定した濃度に基づいて、直結側のすべり軸受に摩耗発生と判断した。
すべり軸受の面出し・芯出しの検査を行い、大きなずれがないことを確認した。
次に、軸受を開放して分解して観察したところ、直結側のすべり軸受に多数の摩耗痕があることを確認した。
潤滑油の採取部位及び潤滑油中の金属成分濃度分析結果、及び実際にポンプを解体して摺動部を観察した状況を表2に示す。
Figure 0007104713000002
潤滑油と、直結側のすべり軸受を交換した後、運転を再開した。
試運転時に、軸受温度、振動値を測定したところ、異常は認められなかった。このとき、潤滑油を採油して比色試験紙による簡易分析を行った結果を表3に示す。
Figure 0007104713000003
シール材を除去、すべり軸受と潤滑油を交換して運転を再開した。運転再開後の比色試験紙による簡易分析では金属濃度の上昇は認められなかった。
Figure 0007104713000004
[実施例2]
図4に示した構造を有する稼働中のポンプ2台から潤滑油を採取した以外は、実施例1と同様に比色試験紙による簡易分析を行った。採油前の運転中に測定した温度、振動、騒音は管理値範囲内であり、これらの測定によって異常は認められなかった。
測定した濃度に基づいて、1号機の直結側のすべり軸受、1号機の直結側の玉軸受、及び2号機の反直結側のすべり軸受に、摩耗が発生していると判断した。
摩耗が発生していると判断したすべり軸受及び玉軸受の面出し・芯出しの検査を行ったところ、いずれも管理値を越えた面ずれ・芯ずれが確認された。
比色試験紙による簡易分析の結果及び判断並びに実際の状況を表5に示す。
Figure 0007104713000005
1号機の直結側及び反直結側、及び2号機の反直結側の潤滑油を交換し、面出し及び芯出しを行って、軸のずれを修正した後、運転を再開した。
運転再開後、定期的に比色試験紙による簡易分析を実施したが、1年経過後にも金属成分は検出されなかった。
以上、本発明の運転管理方法によれば、ポンプの潤滑油を少量採取し、その場で採取した潤滑油中の金属粉の中に含まれる金属イオンの濃度を測定し、対象のポンプの摺動部の摩耗状況を判別し、異常発生時には、その場で即座に対処が可能であるため、設備機器の異常運転を防止し、設備機器の寿命を長期化できる。

Claims (2)

  1. 潤滑油を用いる摺動部を具備する機械設備の稼働現場にて、
    当該機器に用いられている潤滑油をその場で採取し、
    当該潤滑油中の金属濃度をその場で分析し、
    潤滑油中の金属濃度に応じて、当該摺動部の摩耗状況を判断し、
    摩耗が発生している場合には摩耗の程度に応じて、当該摺動部の摩耗状況を判断して、潤滑油のより詳細な分析の実施、摺動部に関する他の検査の実施、継続的な潤滑油分析、潤滑油交換、又は摺動部調整を行う、機械設備の運転管理方法であって、
    前記採取した潤滑油を、その場で、ろ過して、残留する粒子を塩酸に溶解させることにより調製した分析試料を用いて、比色試験紙、比色試薬又は吸光度分析による潤滑油中金属濃度の簡易分析を行うことを特徴とする機械設備の運転管理方法
  2. ポンプの稼働現場にて、
    ポンプの摺動部から潤滑油を採取し、
    直ちに比色試験紙、比色試薬又は吸光度分析による潤滑油中金属濃度の簡易分析をその場で行い、
    潤滑油中の濃度、又は正常運転時の潤滑油中濃度からの増加分が、鉄、銅又はすずのいずれかについて設定した閾値を越えた場合に、当該摺動部の摩耗状況を判断して、潤滑油のより詳細な分析の実施、摺動部に関する他の検査の実施、継続的な潤滑油分析、潤滑油交換、又は摺動部調整を行う、ポンプの運転管理方法であって、
    前記比色試験紙、比色試薬又は吸光度分析による潤滑油中金属濃度の簡易分析は、採取した潤滑油を、その場で、ろ過して、残留する粒子を塩酸に溶解させることにより調製した分析試料を用いることを特徴とするポンプの運転管理方法
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