JP3693035B2 - 放射線性組成物、カラーフィルタ、ブラックマトリクスおよび液晶表示素子 - Google Patents
放射線性組成物、カラーフィルタ、ブラックマトリクスおよび液晶表示素子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー表示装置等に用いられるカラーフィルタまたはブラックマトリクスを形成するための感放射線性組成物、それから形成されたカラーフィルタまたはブラックマトリクス、ならびにそのカラーフィルタまたはブラックマトリクスを具備する液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、感放射線性組成物を用いてカラーフィルタまたはブラックマトリクスを製造するに当たっては、たとえば特開平2−144502号公報、特開平3−53201号公報等に開示されているように、基板上、または予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、感放射線性組成物の塗膜を形成し、所望のパターンマスクを介して放射線を照射(以下、「露光」という。)、現像することにより、各色の画素またはマトリクスを得る形成方法が知られている。
しかし、このようにして製造されたカラーフィルタまたはブラックマトリクスには、現像時に、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣や地汚れを生じる場合がある。
このような残渣や地汚れの生成を回避するためには、現像液の吐出圧を上げることが効果的ではあるが、その一方でパターンの欠けや剥がれが発生する弊害が現れるため、現像液の吐出圧を上げても、パターンの欠けや剥がれが生じない材料が求められるようになってきた。
また、近年、液晶表示装置の大型化が求められており、カラーフィルタ、ブラックマトリクスをその上に形成するべき基板も大きくなってきている。そのため、カラーフィルタ、ブラックマトリクスを形成する際の露光工程において、露光を数回に分けて実施する「分割露光」と呼ばれる方法が採用されており、露光工程に要する時間は長くなってきている。そこで、生産性向上の観点から、より短い露光時間によってパターニングできる感放射線性組成物が求められている。
しかし、従来知られている組成物では、短い露光時間、すなわち低露光量にて硬化物を形成すると、現像工程においてパターンの欠けや欠落が生ずる場合があり、上記した目的を満足するものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、優れた現像耐性を有する感放射線性組成物、より具体的には、低露光量でかつ現像液の吐出圧を上げても、パターンに欠けおよび剥がれを生じることがなく、未露光部の基板上および遮光層上に残渣および地汚れが発生するのを防止しうる感放射線性組成物、それから形成されたカラーフィルタおよびブラックマトリクス、およびそのカラーフィルタまたはブラックマトリクスを具備する液晶表示素子を与えることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の前記目的は、(A)着色剤、(B)(1)下記一般式(1)
【化3】
(式中、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、またはハロゲン原子を示す。)
で表わされる単量体と、(2)アクリル酸および/またはメタクリル酸および(3)メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体を含むアルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性モノマーおよび(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする、感放射線性組成物によって達成される。
【0005】
本発明によれば、本発明の前記目的は、第二に、本発明の上記感放射線性組成物から形成されたカラーフィルタによって達成される。
本発明によれば本発明の前記目的は、第三に、本発明の上記感放射線性組成物から形成されたブラックマトリクスによって達成される。
本発明によれば、本発明の前記目的は、第四に、上記カラーフィルタまたはブラックマトリクスを具備する液晶表示素子によって達成される。
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、またはハロゲン原子を示す。)
【0008】
なお、本発明でいう「放射物」とは、可視光、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものである。
以下、本発明の組成物について詳述する。
【0009】
(A)着色剤
本発明における着色剤は、色調が特に限定されるものではなく、得られるカラーフィルタ、ブラックマトリクスの用途に応じて適宜選定され、顔料、染料あるいは天然色素の何れでもよい。
カラーフィルタには高純度で高透過性の発色と耐熱性が求められることから、本発明における着色剤としては、発色性が高く、かつ耐熱分解性の高い着色剤が好ましく、通常、顔料、特に好ましくは有機顔料が用いられる。また、ブラックマトリクスには高遮光性と耐熱性が求められることから、通常、顔料、特に好ましくは有機顔料および/またはカーボンブラックが用いられる。
前記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0010】
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、;
C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
【0011】
C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
【0012】
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン136、C.I.ピグメントグリーン210;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
これらの有機顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記有機顔料は、例えば、硫酸再結晶法、溶剤洗浄法や、これらの組み合わせ等により精製して使用することができる。
【0013】
また、無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
これらの無機顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
本発明における感放射線性組成物が画素を形成するために用いられる場合には、好ましくは、着色剤として1種以上の有機顔料が使用され、またブラックマトリックスを形成するために用いられる場合には、好ましくは、着色剤として2種以上の有機顔料および/またはカーボンブラックが使用される。
ブラックマトリックスの形成に使用することのできるカーボンブラックとしては、例えば、SAF、SAF−HS、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、HAF、HAF−LS、HAF−HS、NAF、FEF、FEF−HS、SRF、SRF−LM、SRF−LS、GPF、ECF、N−339、N−351等のファーネスブラック;FT、MT等のサーマルブラック;アセチレンブラック等を挙げることができる。
これらのカーボンブラックは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
本発明において、前記各顔料は、所望により、その粒子表面をポリマーで改質して使用することができる。顔料の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば、特開平8−259876号公報等に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用のポリマーまたはオリゴマー等を挙げることができる。
【0016】
また、本発明における着色剤は、所望により、分散剤と共に使用することができる。
このような分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。
前記界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレン n−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン n−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類等のほか、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、Disperbyk−101、同103、同107、同110、同111、同115、同130、同160、同161、同162、同163、同164、同165、同166、同170、同180、同182、同2000、同2001(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、ソルスパースS5000、同S12000、同S13240、同S13940、同S17000、同S20000、同S22000、同S24000、同S24000GR、同S26000、同S27000、同S28000(以上、アビシア(株)製)、EFKA46、同47、同48、同745、同4540、同4550、同6750、EFKA LP4008、同4009、同4010、同4015、同4050、同4055、同4560、同4800、EFKA Polymer400、同401、同402、同403、同450、同451、同453(以上、エフカケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の使用量は、着色剤100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは0〜30重量部である。
【0017】
(B)アルカリ可溶性樹脂
本発明に使用される(B)アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表される単量体(以下、「単量体(1)」という。)と他の共重合可能な単量体との共重合体(以下、「共重合体(1)」という。)を含むものである。
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、またはハロゲン原子を示す。)
【0020】
上記単量体(1)の好ましい具体例としては、例えば、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−クロロ−α−メチルスチレン等を挙げることができる。このうち、特にα−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが好ましい。
本発明において、単量体(1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
共重合体(1)は、(1)単量体(1)と、(2)アクリル酸および/またはメタクリル酸と、(3)メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(I)」という。)である。
【0027】
アルカリ可溶性樹脂(I)の具体例としては、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/フェニルメタクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体
【0028】
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/フェニルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体を挙げることができる。
【0029】
これらのアルカリ可溶性樹脂(I)のうち、特に好ましいものとして、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体、
α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート共重合体を挙げることができる。
【0030】
共重合体(1)における単量体(1)の共重合割合は、通常、5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%である。この範囲の共重合割合とすることで、パターン欠けおよび剥がれと残渣および地汚れのバランスに優れたカラーフィルタ用感放射線性組成物とすることができる。
また、共重合体(1)が単量体(1)とカルボキシル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体との共重合体である場合、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、他の不飽和単量体の共重合割合は、通常、15〜90重量%、好ましくは35〜80重量%である。この場合、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合が5重量%未満では、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成された画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
本発明において、共重合体(1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0031】
本発明における共重合体(1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC;溶出溶媒テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは3,000〜300,000、さらに好ましくは5,000〜100,000であり、またゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC;溶出溶媒テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、好ましくは500〜75,000、さらに好ましくは1,000〜25,000である。このような特定のMwあるいはMnを有するアルカリ可溶性樹脂を使用することによって、現像性に優れた感放射線性組成物が得られ、それによりシャープなパターンエッジを有する画素を形成することができるとともに、現像時に未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のMwとMnとの比(Mw/Mn)は、通常、1〜5、好ましくは1〜4である。
【0032】
本発明においては、場合により、前記共重合体(1)と共に、他のアルカリ可溶性樹脂を併用することもできる。
前記他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を含有する樹脂を挙げることができる。
このような他のアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を含有する樹脂が好ましく、さらに好ましくは共重合体(1)について例示した前記カルボキシル基含有不飽和単量体と前記他の不飽和単量体との共重合体であり、特に好ましくは、▲1▼アクリル酸および/またはメタクリル酸を必須成分とするカルボキシル基含有不飽和単量体と、▲2▼スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(II)」という。)である。
【0033】
アルカリ可溶性樹脂(II)の具体例としては、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロール(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体
等を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂(II)における、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。この場合、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合が5重量%未満では、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成された画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
これらのアルカリ可溶性樹脂(II)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記他のアルカリ可溶性樹脂を使用する際の該樹脂の使用量は、アルカリ可溶性樹脂の合計量に対して、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この場合、他のアルカリ可溶性樹脂の使用量が50重量%を超えると、現像工程における現像液の突出圧を上げたときに、形成されたパターンに欠けおよび剥がれが発生しやすくなる場合がある。
【0034】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(II)のMwは、好ましくは3,000〜300,000、さらに好ましくは5,000〜100,000であり、またMnは、好ましくは500〜75,000、さらに好ましくは1,000〜25,000である。このような特定のMwあるいはMnを有するアルカリ可溶性樹脂を使用することによって、現像性に優れた感放射線性組成物が得られ、それによりシャープなパターンエッジを有する画素を形成することができるとともに、現像時に未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。 また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のMwとMnとの比(Mw/Mn)は、通常、1〜5、好ましくは1〜4である。
【0035】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の使用量は、(A)着色剤100重量部に対して、通常、10〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部である。
この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が10重量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ等が発生するおそれがあり、一方1000重量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となる場合がある。
【0036】
(C)多官能性モノマー
本発明に使用される多官能性モノマーは、エチレン性二重結合を2個以上有する分子量3000未満の化合物であり、その具体例とてえは、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリアクリレートまたはポリメタクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴアクリレートまたはオリゴメタクリレート類;
両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジアクリレートまたはジメタクリレート類や、
トリスアクリロイロキシエチルフォスフェート、トリスメタクリロイロキシエチルフォスフェート等
を挙げることができる。
【0037】
これらの多官能性モノマーのうち、3価以上の多価アルコールのポリアクリレートまたはポリメタクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的にはトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を挙げることができ、特にトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、画素強度が高く、画素表面の平滑性に優れ、かつ画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残りを発生し難い点で好ましい。
前記多官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における多官能性モノマーの使用割合は、(B)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。この場合、多官能性モノマーの使用割合が5重量部未満では、画素強度や画素表面の平滑性が低下する傾向があり、一方500重量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残りが発生しやすくなる傾向がある。
【0038】
また本発明においては、前記多官能性モノマーの一部を単官能性モノマーに置き換えることもできる。
このような単官能性モノマーの具体例としては、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルこはく酸、2−メタクリロイロキシエチルこはく酸等を挙げることができ、さらに市販品としてM−5300(商品名、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
これらの単官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
単官能性モノマーを使用する場合、その使用量は、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの合計に対して、通常、90重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
【0039】
(D)光重合開始剤
本発明における光重合開始剤とは、露光により分解または結合の開裂を生じ、ラジカル、カチオン、アニオン等の前記(C)多官能性モノマーの重合を開始することができる活性種を発生する化合物を意味する。
このような光重合開始剤としては、イミダゾール環を有する化合物、ベンゾイン結合を有する化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、トリハロメチル基を有する化合物、その他の光重合開始剤を挙げることができる。
これらのうち、イミダゾール環を有する化合物、アセトフェノン系化合物、トリハロメチル基を有する化合物が好ましく用いられる。
前記イミダゾール環を有する化合物の具体例としては、
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
等を挙げることができる。
これらのビイミダゾール系化合物は、溶剤に対する溶解性に優れ、未溶解物、析出物等の異物を生じることがなく、しかも感度が高く、少ないエネルギー量の露光により硬化反応を十分進行させるとともに、コントラストが高く、未露光部で硬化反応が生じることがないため、露光後の塗膜は、アルカリ現像液に対して不溶性の硬化部分と、アルカリ現像液に対して高い溶解性を有する未硬化部分とに明確に区分され、パターンの欠落、欠損やアンダーカットのない優れたカラーフィルタを形成することができる。
【0040】
また、前記ベンゾイン結合を有する化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート等を挙げることができる。
前記アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、1−(4−モルフォリノフェニル)−2−ベンジル−2−ジメチルアミノブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−アジドアセトフェノン、4−アジドベンザルアセトフェノン等を挙げることができる。
前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0041】
前記α−ジケトン系化合物としては、例えば、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
前記多核キノン系化合物としては、例えば、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン等を挙げることができる。
前記キサントン系化合物としては、例えば、キサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
前記ジアゾ系化合物としては、例えば、4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジフェニルアミン等を挙げることができる。
前記トリハロメチル基を有する化合物としては、例えば、2−(2−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−ブロモ−4−メチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−チオフェニルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
さらに、その他の光重合開始剤として、4−アジドベンズアルデヒド、アジドピレン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、N−フェニルチオアクリドン、トリフェニルピリリウムパークロレート等を挙げることができる。
【0042】
本発明において、光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における光重合開始剤の使用量は、(C)多官能性モノマーと場合により使用される単官能性モノマーとの合計100重量部に対して、通常、0.01〜500重量部、好ましくは1〜300重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。この場合、光重合開始剤の使用量が0.01重量部未満では、露光による硬化が不十分となり、画素パターンに欠落、欠損やアンダーカットを生じるおそれがあり、一方500重量部を超えると、形成された画素が現像時に基板から脱落しやすく、また画素が形成される部分以外の領域で地汚れ、膜残り等を生じやすくなる。
【0043】
さらに、本発明においては、前記光重合開始剤と共に、増感剤、硬化促進剤、高分子光架橋・増感剤等を1種以上併用することもできる。
前記増感剤としては、例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記硬化促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン等の連鎖移動剤を挙げることができる。
これらの硬化促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記高分子光架橋・増感剤は、露光により架橋剤および/または増感剤として作用しうる少なくとも1種の官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、けい皮酸4−アクリロイルフェニルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
これらの高分子光架橋・増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における増感剤、硬化促進剤および高分子光架橋・増感剤の合計使用量は、光重合開始剤100重量部に対して、通常、300重量部以下、好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは10〜100重量部である。
【0044】
添加剤
本発明の感放射線性組成物は、前記(A)着色剤、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性モノマーおよび(D)光重合開始剤を必須成分とするものであるが、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含有することもできる。
このような添加剤としては、例えば、
銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等の分散助剤;
ガラス、アルミナ等の充填剤;
ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ポリ(フロロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;
ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;
2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;
2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;
ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤
等を挙げることができる。
【0045】
さらに、本発明の感放射線性組成物は、有機酸を含有するこもできる。このような有機酸としては、分子量が1000以下である、脂肪族カルボン酸あるいはフェニル基含有カルボン酸が好ましい。
前記脂肪族カルボン酸の具体例としては、
ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等のモノカルボン酸類;
しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルこはく酸、テトラメチルこはく酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸等のジカルボン酸類;
トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等のトリカルボン酸類
を挙げることができる。
また、前記フェニル基含有カルボン酸としては、カルボキシル基が直接フェニル基に結合した芳香族カルボン酸や、カルボキシル基が炭素鎖を介してフェニル基に結合したカルボン酸等を挙げることができ、それらの具体例としては、
安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸類;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類;
トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の3価以上の芳香族ポリカルボン酸類や、
フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロけい皮酸、マンデル酸、フェニルこはく酸、アトロパ酸、けい皮酸、シンナミリデン酸、クマル酸、ウンベル酸
等を挙げることができる。
これらの有機酸のうち、マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、フタル酸等の脂肪族ジカルボン酸類および芳香族ジカルボン酸類が、アルカリ溶解性、後述する溶剤に対する溶解性、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残りの防止等の観点から好ましい。
前記有機酸は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における有機酸の使用量は、感放射線性組成物全体に対して、通常、10重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。この場合、有機酸の使用量が10重量%を超えると、形成された画素の基板に対する密着性が低下する傾向がある。
【0046】
溶剤
本発明の感放射線性組成物は、前記(A)着色剤、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性モノマーおよび(D)光重合開始剤を必須成分とし、必要に応じて前記添加剤成分を含有するものであるが、通常、各成分を適当な溶剤に溶解または分散した液状組成物として調製される。
前記溶剤としては、(A)着色剤、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性モノマーおよび(D)光重合開始剤、ならびに任意的に添加されるその他の添加剤成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
このような溶剤としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソ酪酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド類
等を挙げることができる。
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0047】
さらに、前記溶剤と共に、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を併用することもできる。
これらの高沸点溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
前記溶剤のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましく、また高沸点溶剤としてはγ−ブチロラクトン等が好ましい。
本発明における溶剤の使用量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常、100〜10000重量部、好ましくは500〜5000重量部であり、液状組成物中の固形分濃度としては、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0048】
カラーフィルタの形成方法
次に、本発明の感放射線性組成物を用いて、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
まず、基板の表面上の画素を形成する部分を区画するように遮光層を形成し、この基板上に、例えば赤色の顔料が分散された感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して放射線を露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の非露光部を除去することにより、赤色の画素が所定のパターンで配置された画素アレイを形成する。
その後、緑色または青色の顔料が分散された各感放射線性組成物の液状組成物を用い、前記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光および現像を行って、緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成することにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタを得る。
なお、カラーフィルタを形成する際の順番は上記の形成順に限られるものではない。
【0049】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
感放射線性組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布法を採用することができる。
塗布厚さは、溶媒除去後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5.0μm、特に好ましくは0.2〜3.0μmである。
カラーフィルタを形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の照射エネルギー量(以下、「露光量」という。)は、通常10〜10,000J/m2 であり、好ましくは100〜5,000J/m2である。なお、従来知られているカラーフィルタ形成用感放射線性組成物は、十分な硬度や基板との密着性を有する硬化物を得るためには、通常800J/m2 以上、好ましくは1,000J/m2 以上の露光量が必要であったが、本発明の組成物は、600J/m2以下の露光量でも十分な硬度、基板との密着性を有する硬化物を得ることができ、さらには400J/m2以下、特に200J/m2以下の露光量でも硬度、基板との密着性に優れた硬化物を得ることができる。
【0050】
前記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
前記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができ、現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0051】
ブラックマトリクスの形成方法
次に、本発明の感放射線性組成物を用いて、本発明のブラックマトリクスを形成する方法について説明する。
まず、基板の表面上に例えば2種以上の有機顔料および/またはカーボンブラックが分散された感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して放射線を露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の非露光部を除去することにより、所定のパターンのブラックマトリクスを形成することができる。
ブラックマトリクスを形成する際に使用される基板としては、前述のカラーフィルタの形成について記載したのと同様の基板を使用することができる。感放射線性組成物の液状組成物を基板に塗布する方法としては、前述のカラーフィルタの形成について記載したと同様の塗布方法を採用することができる。
塗布厚さは、溶媒除去後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜3.0μm、特に好ましくは0.2〜2.0mである。
ブラックマトリクスを形成する際に使用される放射線としては、前述のカラーフィルタの形成について記載したのと同様の放射線を使用することができる。
放射線の照射エネルギー量(以下、「露光量」という。)は、通常10〜10,000J/m2 であり、好ましくは200〜5,000/m2である。なお、従来知られているブラックマトリクス形成用感放射線性組成物は、十分な硬度や基板との密着性を有する硬化物を得るためには、通常1,000J/m2 以上、好ましくは1,500J/m2 以上の露光量が必要であったが、本発明の組成物は、800J/m2以下の露光量でも十分な硬度、基板との密着性を有する硬化物を得ることができ、さらには600J/m2以下、特に400J/m2以下の露光量でも硬度、基板との密着性に優れたブラックマトリクスを得ることができる。
前記アルカリ現像液、および現像方法としては、前述のカラーフィルタ形成における現像工程にて記載したと同様の現像液を使用し、同様の方法にて行うことができる。
【0052】
ところで、カラーフィルタやブラックマトリクスを形成する際の現像時には、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣や地汚れを生じるおそれがあり、このような残渣や地汚れの発生を防止する観点から、例えばシャワー現像法等の、現像液をある程度高い圧力で吐出できる現像法が採用されてきている。
このような方法において、現像液の吐出圧は、通常0.2MPa以上に設定されている。
本発明の感放射線性組成物は、カラーフィルタ形成用として使用する場合、600J/m2以下、さらには400J/m2以下、特に200J/m2以下の露光量で露光した場合でも、その硬化物は吐出圧0.2MPa以上の現像耐性を有するものである。
また、本発明の感放射線性組成物は、ブラックマトリクス形成用として使用する場合、800J/m2以下、さらには600J/m2以下、特に400J/m2以下の露光量で露光した場合でも、その硬化物は吐出圧0.2MPa以上の現像耐性を有するものである。
なお、上記でいう「吐出圧0.2MPa以上の現像耐性を有する」とは、現像液を0.2MPa以上の吐出圧で吐出させて現像しても、パターンの欠けおよび剥がれを生じることがないことを意味する。
【0053】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0054】
実施例1
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド224の65/35(重量比)混合物100重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/α−メチルスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合重量比=15/35/15/35、Mw=23000、Mn=10500)60重量部、(C)多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部、(D)光重合開始剤として2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール10重量部と4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン10重量部と2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン20重量部と2−メルカプトベンゾチアゾール5重量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部とシクロヘキサノン200重量部を混合して、カラーフィルタ用感放射線性組成物(R1)を調製した。
この液状組成物を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2 膜が形成されたソーダガラス基板表面上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、70℃で3分間プレベイクを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプ(照度 25mW/cm2)を用い、フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む紫外線を、2000J/m2の露光量でステップタブレットマスク(Optoline社製、Photoresist Step Tablet)を介して露光した。この結果、塗膜は8つの領域に分割され、各領域はそれぞれ100、200、400、600、800、1000、1500及び2000J/m2(露光時間に換算して0.4、0.8、1.6、2.4、3.2、4.0、6.0、および8.0秒)で露光されたこととなる。次いで、現像液として23℃の0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用い、現像液突出圧0.3MPa(ノズル径1.0mm)にてシャワー現像を1分間行い現像したのち、超純水で洗浄し、基板上に90/210μmのライン・アンド・スペースにて赤色のストライプ状カラーフィルタを形成した。
得られた赤色のストライプ状カラーフィルタには、未露光部の基板上および遮光層上に残渣や地汚れは見られなかった。また、すべての露光量で得られた画素パターンにに欠けおよび剥がれは認められなかった。
【0055】
実施例2
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン36を100重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/α−メチルスチレン/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合重量比=25/22/30/23、Mw=13500、Mn=6000)50重量部、(C)多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50重量部、(D)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンを40重量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部とシクロヘキサノン200重量部を混合して、カラーフィルタ用感放射線性組成物(G1)を調製した。
上記組成物G1を用いて、実施例1と同様にして、基板上に緑色のストライプ状カラーフィルタを形成した。
得られた緑色のストライプ状カラーフィルタには、未露光部の基板上および遮光層上に残渣や地汚れは見られなかった。また、100J/m2(露光時間換算0.4秒) の露光量で得られた画素パターンに、じゃっかんの欠けおよび剥がれが認められたものの、200J/m2(露光時間換算0.8秒)以上の露光量で得られた画素パターンに欠けおよび剥がれは認められなかった。
【0056】
実施例3
着色剤としてC.I. ピグメントブルー15を100重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/α−メチルスチレン/N−フェニルマレイミド/フェニルメタクリレート共重合体(共重合重量比=25/22/30/23、Mw=12000、Mn=6500)30重量部、(C)多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート70重量部、(D)光重合開始剤として2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オンを40重量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部とシクロヘキサノン200重量部を混合して、カラーフィルタ用感放射線性組成物(B1)を調製した。
上記組成物B1を用いて実施例1と同様にして、基板上に青色のストライプ状カラーフィルタを形成した。
得られた青色のストライプ状カラーフィルタには、未露光部の基板上および遮光層上に残渣や地汚れは見られなかった。また、すべての露光量で得られた画素パターンにに欠けおよび剥がれは認められなかった。
【0057】
実施例4
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン36を100重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/α−メチルスチレン/p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合重量比=25/12/12/30/21、Mw=9500、Mn=5000)40重量部、(C)多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート60重量部、(D)光重合開始剤として2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール2重量部と4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン6重量部と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン30重量部と2−メルカプトベンゾチアゾール2重量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部とシクロヘキサノン200重量部を混合して、カラーフィルタ用感放射線性組成物(G2)を調製した。
上記組成物G2を用いて実施例1と同様にして、基板上に緑色のストライプ状カラーフィルタを形成した。
得られた緑色のストライプ状カラーフィルタには、未露光部の基板上および遮光層上に残渣や地汚れは見られなかった。また、すべての露光量で得られた画素パターンに欠けおよび剥がれは認められなかった。
【0058】
実施例5
着色剤としてカーボンブラック100重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合重量比=15/24/30/31、Mw=8000、Mn=5000)50重量部、(C)多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50重量部、(D)光重合開始剤として2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール15重量部と4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン5重量部と2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン20重量部と2−メルカプトベンゾチアゾール5重量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部とシクロヘキサノン200重量部を混合して、ブラックマトリクス用感放射線性組成物(BK1)を調製した。
上記組成物BK1を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2 膜が形成されたソーダガラス基板表面上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃で3分間プレベイクを行って、膜厚1.3μmの塗膜を形成した。基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプ(照度 25mW/cm2)を用い、フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む紫外線を、2,000J/m2の露光量でステップタブレットマスク(Optoline社製、Photoresist Step Tablet)を介して露光した。この結果、塗膜は8つの領域に分割され、各領域はそれぞれ100、200、400、600、800、1,000、1,500及び2,000J/m2(露光時間に換算して0.4、0.8、1.6、2.4、3.2、4.0、6.0、および8.0秒)で露光されたこととなる。次いで、現像液として23℃の0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用い、現像液突出圧0.3MPa(ノズル径1.0mm)にてシャワー現像を1分間行い現像したのち、超純水で洗浄し、基板上に黒色のパターンが形成されたブラックマトリクスを作成した。
得られた黒色のブラックマトリクスには、未露光部の基板上および遮光層上に残渣や地汚れは見られなかった。また、200J/m2(露光時間換算0.8秒) の露光量で得られた画素パターンに、じゃっかんの欠けおよび剥がれが認められたものの、400J/m2(露光時間換算1.6秒)以上の露光量で得られた画素パターンに欠けおよび剥がれは認められなかった。
【0059】
比較例1
実施例1における(B)アルカリ可溶性樹脂60重量部に代えて、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合重量比=15/35/15/35、Mw=20000、Mn=9000)60重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、感放射線性組成物の液状組成物を調製して、基板上に赤色のストライプ状カラーフィルタを形成した。
得られた赤色のストライプ状カラーフィルタには、未露光部の基板上および遮光層上に残渣や地汚れは見られず、また、800J/m2(露光時間換算3.2秒)以上の露光量で得られた画素パターンに欠けおよび剥がれは認められなかった。しかし、100、200、400及び600J/m2(露光時間に換算して0.4、0.8、1.6、および2.4秒)の露光量で得られた画素パターンには、いずれも欠けおよび剥がれが認められた。
【0060】
【発明の効果】
本発明の感放射線性組成物は、低露光量でかつ現像液の吐出圧を上げても、パターンに欠けおよび剥がれを生じることがなく、未露光部の基板上および遮光層上に残渣および地汚れが発生するのを防止することができ、それから形成されたカラーフィルタ、およびブラックマトリクス、ならびにそれらを具備する液晶表示素子は信頼性に優れる。したがって、液晶表示素子の製造工程において本発明の感放射線性組成物を用いると、短い露光時間で信頼性の高い製品を得ることができ、分割露光を採用した場合でも、製品の生産性向上に資する。
Claims (7)
- (A)着色剤、(B)(1)下記一般式(1)
で表わされる単量体と、(2)アクリル酸および/またはメタクリル酸および(3)メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体を含むアルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性モノマーおよび(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする、感放射線性組成物。 - カラーフィルタ形成用でありそして露光量600J/m2で露光したときに、突出圧0.2MPa以上の現像耐性を有する請求項1に記載の感放射線性組成物。
- ブラックマトリクス形成用でありそして露光量800J/m2で露光したときに、突出圧0.2MPa以上の現像耐性を有する請求項1に記載の感放射線性組成物。
- 請求項1または2に記載の感放射線性組成物から形成されたカラーフィルタ。
- 請求項1または3に記載の感放射線性組成物から形成されたブラックマトリクス。
- 請求項4に記載のカラーフィルタを具備する液晶表示素子。
- 請求項5に記載のブラックマトリクスを具備する液晶表示素子。
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