JP3692213B2 - スリッパ消毒供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリッパを消毒し、消毒済みのスリッパを供給するスリッパ消毒供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小規模病院や診療所では院内の環境維持のため土足禁止にして、スリッパを着用している例が多い。しかしそこで使用されるスリッパは、来院者が共用で使用する事や、洗浄や殺菌が行われないため、微生物レべルでは相当に汚染されている。また昨今の清潔志向が高まる傾向の中で、他人の使用したスリッパをそのまま使用する事に抵抗を感じる人が増えている。
上記の様な状況の中で、スリッパ消毒殺菌器なるものはすでに存在しているが、そのほとんどは扉付きの下駄箱に紫外線ランプを取り付けたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のスリッパ消毒殺菌器では、紫外線ランプが照射出来ない部分は殺菌できず、特に下駄箱タイプの消毒殺菌器は、取り出し易い箇所のスリッパばかりが使用され、取り出し易い箇所に収納された使用頻度の高いスリッパほど充分な殺菌時間が確保できない。又、来院者がスリッパを取り出す際又は収納する際に、来院者自身が紫外線を浴びてしまう。
本発明は、上記の不具合を解消するスリッパ消毒供給装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
第1発明は、スリッパの表裏両面を保持し横向きのスリッパを摺動可能な複数本のレールを垂直又は略垂直に配置し、前記スリッパの入口を上端に有する表面側レールの下端部は、スリッパの裏面方向へ湾曲する下に凸の半円を形成しており、また、スリッパの前記表面側レールに対向する第1裏面側レールは前記表面側レールの半円部分より上方で途切れており、前記表面側レールの半円部分の上部には第1モータで駆動されるベルトコンベアがベルトを上下に循環させる向きに設置されており、前記ベルトコンベアのベルトには所定の間隔を隔てて突起が設けられており、前記半円部分に続く表面側レールは、前記ベルトコンベアの上昇する側のベルトにスリッパ裏面を向けてベルトに平行に上方へ延び、表面側レールは、ベルトコンベアの上方でベルトコンベアと反対側へ湾曲する上に凸の半円を形成しており、かつ前記上に凸の半円のベルトコンベアと反対側の下端から先はスリッパを自重で落下可能に下方へ延びており、前記上に凸の半円部分からスリッパ裏面を支持する第2裏面側レールが表面側レールと所定の間隔を隔てて対向設置されており、前記表面側レール及び第2裏面側レールの末端付近に第2モータで駆動されスリッパ表面側に係合する羽根車を設置し、ベルトコンベアで上昇するスリッパの表裏両面を照射可能に紫外線灯が設置されており、スリッパが搬送途上で紫外線により消毒され、消毒済みのスリッパが羽根車により1個ずつ排出されることを特徴とするスリッパ消毒供給装置である。
第2発明は、前記入口上方のスリッパの返却部に90度回転可能なスリッパ受を兼ねるヒンジ及びスリッパ排出後元に戻すばねを設け、1足のスリッパを返却部に縦向きに入れると、返却部が90度回動して、スリッパの向きを横向きに変更して前記入口へ落とし、横向きになったスリッパを搬送、消毒及びストックする第1発明のスリッパ消毒供給装置である。
第3発明は、羽根車を通過して落下する横向きの消毒済みスリッパの踵部分が当接する壁を設け、前記壁にスリッパの踵が当接してつま先部分が下方を向き、スリッパが取出口へ移動する途中で横向きから縦向きに変更される第1発明又は第2発明のスリッパ消毒供給装置である。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1はスリッパ消毒供給装置100の一部縦断側面略図を示しており、図2はスリッパ消毒供給装置100の正面略図を示している。図1において、ハウジング1の上部前面には、詳しくは後述するスリッパ受2が設けられている。スリッパ受2の下方には、表面側レール3a〜3d(図2)及び第1裏面側レール4a、4b(図2)がそれぞれ垂直に設けられている。
【0006】
表面側レール3a、3bは、後述するスリッパ5b〜5gの足入れ部25b〜25e(図2)をガイド可能に間隔L1だけ隔てて配置されており、同じく表面側レール3c、3dは、スリッパ6b〜6g(図2では6f、6gは示さず。)の足入れ部26a〜26g(図2では26f、26gは示さず。)をガイド可能に間隔L1だけ隔てて配置されている。
【0007】
図2に示すように第1裏面側レール4aは、表面側レール3a、3bの間隔L1の中央で、表面側レール3a、3bに対して後述するスリッパ5aの底板15a(図1)の厚みW(図1)より若干広い間隔L2(図1)を後方に隔てて配置されており、同様に第1裏面側レール4bは、表面側レール3c、3dの間隔L1の中央で、厚みWより若干広い間隔L2を後方に隔てて配置されている。
【0008】
図1に示すように表面側レール3aは、下方において第1裏面側レール4aの方向(後方)へ湾曲する下に凸の第1半円部30aを形成しており、第1裏面側レール4aは表面側レール3aの第1半円部30aの上方で途切れている。図示していないが、表面側レール3b〜3dも第1半円部30aと同心に第1半円部30b〜30d(図示せず)を形成しており、第1裏面側レール4bは第1裏面側レール4aと同じ高さで途切れている。
【0009】
図1に示すように表面側レール3aは、第1半円部30aの前端に前端直線部90の下端が接続され、また、第1半円部30aの後端(図1で見て右端)は、上方へ垂直に延びて中央直線部91を形成している。図示していないが、表面側レール3b〜3dも表面側レール3aと同様に第1半円部(図示せず)を形成し、図示しない第1半円部の後端から表面側レール3aの中央直線部91と平行に上方へ延びている。
【0010】
表面側レール3a、3bの前端直線部90の上端と第1裏面側レール4aの上端で形成したスリッパ入口99は、スリッパ受2に対向している。図1に示すように、前端直線部90の上端は、上方へいくほど前方(図1で見て左方)へ湾曲させ、スリッパ5aが表面側レール3a、3bと第1裏面側レール4aの間に入り易く構成している。
【0011】
中央直線部91の上端には上に凸の第2半円部30bの前端が接続されている。第2半円部30bの後端は、垂直に設置した後端直線部92の上端と接続されている。
【0012】
後端直線部92の下方にはスリッパを摺動落下させる斜面10に連続する断面が円弧の壁11が設けられている。壁11の前方(図1で見て左方)には図示しないモータで駆動される羽根車8が設置されている。羽根車8は、4つの羽根を有しており、4つの羽根はそれぞれ90度の等間隔で軸8aに固着されている。軸8aは、図示しないモータで90度ずつ時計回りに回転しては停止する。
【0013】
下に凸の第1半円部30aの上方には、ベルト21が前後に配置されたベルトコンベア20が垂直に設けられている。ベルト21の表面には、等間隔に突起21aが設けてある。
【0014】
ベルト21は、表面側レール3aの中央直線部91と対向する側が上昇し、左端直線部90に対向する側が下降するように循環する。中央直線部91側のベルト21と中央直線部91を挟んで紫外線灯9a、9bが設置されている。また、紫外線灯9a付近にはスリッパを検知する赤外線センサ19が設置されている。
【0015】
表面側レール3aの第2半円部30bと、表面側レール3bの第2半円部(図示せず)の中央の上方には、第2裏面側レール4cの半円部40aが第2半円部30bと同心に設けられている。第2裏面側レール4cの半円部40aの後端は、表面側レール3aの後端直線部92と平行な直線部40bの上端と滑らかに連続している。
【0016】
図2に示すように斜面10には、横姿勢で落下してきたスリッパの踵部分が衝突するガイド壁50a、50bが設置されている。ガイド壁50a、50bの中間には仕切51が設けられている。
【0017】
図1に示すように斜面10上には窪み10aが設けられており、窪み10aにはリミットスイッチ18が設置されている。リミットスイッチ18の端子(図示せず)は、スリッパ5zの底板に押圧されるとOFF状態となり、スリッパ5zが取り出されて押圧が解除されるとON状態となる。
【0018】
図1、図2に示すように、スリッパ受2が表面側レール3a〜3d及び第1裏面側レール4a、4bの上方に設置されている。図2に示すようにスリッパ受2は、軸25を中心に左回動するピース2aと、軸26を中心に右回動するピース2bから成る左右対称のL字形を構成している。ピース2a、2bの下部にはねじりばね30が設けられている。
【0019】
図2に示すようにスリッパ受2にはスリッパ5a、6aの滑止め27、28が設けられており、スリッパ受2が回動した際につま先部分が踵部分よりも先に落下しないようになっている。
【0020】
図1に示すようにスリッパ受2にはスリッパ5aの底板15aをガイドする板29が設けられている。図示していないが板29は、スリッパ6aの底板もガイドしており、図1に示すようにスリッパ5a、6aを支持可能に後方へ傾斜している。
【0021】
左足用のスリッパ5a〜5zと右足用のスリッパ6a〜6zは、スリッパ消毒供給装置100内において、左右対称に動作するので、以下においては左足用のスリッパ5a〜5zの動作のみを説明する。
【0022】
図2に示すようにスリッパ5aがスリッパ受2に返却されると、スリッパ5aの自重でスリッパ受2のピース2bが軸26(図2、図3)を中心に図2で見て時計回りに回動し、スリッパ5aは表面側レール3a、3bと第1裏面側レール4aの間のスリッパ入口99に落下する。その際、スリッパ5aのつま先部分は滑止め27に当接し、図2のスリッパ5bで示す足入れ部25aが表面側レール3a、3bの間に入るように横姿勢になって落下する。スリッパ5aがピース2bから落下すると、ピース2bはねじりばね30により図2に示す状態に戻る。
【0023】
落下したスリッパ5aは、図1においてスリッパ5b〜5gで示すように表面側レール3a、3b及び第1裏面側レール4aに沿って落下する。スリッパ5h、5iは表面側レール3a、3bで支持されている。
【0024】
ベルトコンベア20により、ベルト21を矢印Aの方向へ循環させると、スリッパ5iの裏面に突起21aが噛込み、スリッパ5iはベルト21と表面側レール3a、3bに挟まれた状態で上昇する。突起21aは、弾性を有するゴムから成り、スリッパを押圧する際に変形する。
【0025】
図1に示すように、ベルトコンベア20の途中に赤外線センサ19が設けられており、上昇するスリッパ5nは赤外線センサ19に検知され、紫外線灯9a、9bが点灯し紫外線がスリッパ5nに照射される。
【0026】
図示しないタイマにより消毒時間を例えば3分と設定しておき、赤外線センサ19がスリッパ5nを検知してから3分経過するまでベルトコンベアは停止させておく。スリッパ5nの消毒が完了すると、ベルトコンベア20を駆動し、ベルト21を循環させる。赤外線センサ19がスリッパ5lを検知すると再度ベルトコンベア20を停止させ、紫外線がスリッパ5lに照射される。
【0027】
このように各スリッパは消毒され、図1に示すようにベルト21及び中央直線部91に沿って下から順にスリッパ5j〜5qというスリッパの配列を形成する。スリッパ5p、5qは、ベルト21上にはないが、スリッパ5oに押し上げられて上に凸の第2半円部30b上に位置している。
【0028】
スリッパ5p、5qは、更に下方のスリッパ5j〜5oに押し上げられて、第2半円部30bの頂点を過ぎると自重で落下し、図1に示すスリッパ5r〜5xのように後方直線部92に蓄積される。ここでスリッパ5xは羽根車8で支持されている。
【0029】
スリッパ5zが、取出口40から取り出されると、スリッパ5zの底板で押圧されていたリミットスイッチ18がON状態となり、羽根車8が時計回りに90度回動し、スリッパ5yを排出し、スリッパ5yは斜面10上を落下する。
【0030】
スリッパ5yの踵部分は図2に示す壁50aに衝突し、つま先部分が下方を向き、図1、図2においてスリッパ5zで示す位置で停止し、リミットスイッチ18を押圧してOFF状態にする。
【0031】
スリッパをベルトコンベア20で上昇させる際、図4及び図4のV−V断面図である図5に示すような寸法関係(単位mm)にすると円滑にスリッパを搬送することができる。
【0032】
紫外線灯9a、9bは、図1で見て紙面に垂直な方向に伸びる細長い形状のものを使用すると、スリッパ5nの足を入れる部分にも紫外線を照射することができる。また、ベルト21及び表面側レール3a、3bの中央直線部91の部分をメッシュ状にすることにより、スリッパ5nを支持している部分にも紫外線を照射することができる。
【0033】
図1において、上に凸の第2半円部30b上及び後端直線部92上に消毒済みのスリッパが充填され、かつ中央直線部91上に消毒済みのスリッパ5oがあり、かつスリッパ5j〜5nがなく、前端直線部90上にスリッパが全くない状態で新たにスリッパがスリッパ受2に返却されると、返却されたスリッパは、自重でスリッパ5i(図1)で示す位置まで落下し、ベルトコンベア20により中央直線部91に沿って上昇させられる。
【0034】
その際、スリッパ5oはスリッパ5p〜5xに押圧されてその位置を変えることはできないが、ベルト21上に設けられた突起21aは、スリッパ5oの裏面を摺動してすり抜けていくため、ベルトコンベア20は、新たに返却されたスリッパを上昇させるために矢印A方向に循環することができる。
【0035】
これは、スリッパが返却されて、次に別のスリッパが返却されるまでの時間的間隔が相当(消毒時間以上)開いた時に起こり得る。しかし、本実施の形態では、このような事態が発生しても図5に示すように、表面側レール3a、3bとベルト21の間隔を開き、かつ突起21aを弾性を有するゴムで形成したことにより、容易にスリッパ同士の間隔を詰めることができ、無駄な空間を生じさせることなくスリッパを収容することができる。
【0036】
【発明の効果】
第1発明を適用すると、スリッパを横向きの姿勢で搬送及びストックするので、従来のスリッパ消毒装置よりもスリッパ消毒供給装置内に多数のスリッパを収容することができ、かつ装置の省スペース化を図ることができる。
【0037】
第2発明を適用すると、左右のスリッパを揃えて、つま先部分を下にして返却口に入れるだけで自動的にスリッパを横向きにすることができる。従って、手荷物で片手が塞がっていても、片手が空いていれば一動作でスリッパを返却口へ入れることができる。
【0038】
第3発明を適用すると、横向きに排出された消毒済みのスリッパを容易につま先を下方(前方)にして待機させることができ、取出口から取出し易くなる。
【0039】
従来の下駄箱式殺菌器のように、取り出し易い箇所の特定のスリッパのみが頻繁に使用されるということがなく、収納された順に取出口から取り出されるため、各スリッパの使用頻度に差が生じず、十分な殺菌(消毒)時間を確保することができる。
【0040】
スリッパをスリッパ消毒供給装置に入れた順に取り出すことができる構造にする事により、スリッパの先入れ先出しが確実になり、全てのスリッパに対して十分な殺菌時間を確保することが出き、又、装置内部でスリッパを消毒するため、紫外線が外部に漏れず、来院者(使用者)が紫外線を浴びることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スリッパ消毒供給装置の一部縦断側面略図である。
【図2】 スリッパ消毒供給装置の正面略図である。
【図3】 スリッパ消毒供給装置の正面略図である。
【図4】 スリッパ消毒供給装置の部分詳細側面図である。
【図5】 図4のV−V断面図である。
【符号の説明】
2 スリッパ受
3a 表面側レール
4c 第2裏面側レール
5a〜5z スリッパ
6a〜6z スリッパ
8 羽根車
8a 軸
9a、9b 紫外線灯
20 ベルトコンベア
21 ベルト
21a 突起
22 モータ
30 ねじりばね
30a 第1半円部
30b 第2半円部
40b 直線部
50a、50b 壁
Claims (3)
- スリッパの表裏両面を保持し横向きのスリッパを摺動可能な複数本のレールを垂直又は略垂直に配置し、前記スリッパの入口を上端に有する表面側レールの下端部は、スリッパの裏面方向へ湾曲する下に凸の半円を形成しており、また、スリッパの前記表面側レールに対向する第1裏面側レールは前記表面側レールの半円部分より上方で途切れており、
前記表面側レールの半円部分の上部には第1モータで駆動されるベルトコンベアがベルトを上下に循環させる向きに設置されており、前記ベルトコンベアのベルトには所定の間隔を隔てて突起が設けられており、前記半円部分に続く表面側レールは、前記ベルトコンベアの上昇する側のベルトにスリッパ裏面を向けてベルトに平行に上方へ延び、
表面側レールは、ベルトコンベアの上方でベルトコンベアと反対側へ湾曲する上に凸の半円を形成しており、かつ前記上に凸の半円のベルトコンベアと反対側の下端から先はスリッパを自重で落下可能に下方へ延びており、前記上に凸の半円部分からスリッパ裏面を支持する第2裏面側レールが表面側レールと所定の間隔を隔てて対向設置されており、前記表面側レール及び第2裏面側レールの末端付近に第2モータで駆動されスリッパ表面側に係合する羽根車を設置し、ベルトコンベアで上昇するスリッパの表裏両面を照射可能に紫外線灯が設置されており、
スリッパが搬送途上で紫外線により消毒され、消毒済みのスリッパが羽根車により1個ずつ排出されることを特徴とするスリッパ消毒供給装置。 - 前記入口上方のスリッパの返却部に90度回転可能なスリッパ受を兼ねるヒンジ及びスリッパ排出後元に戻すばねを設け、1足のスリッパを返却部に縦向きに入れると、返却部が90度回動して、スリッパの向きを横向きに変更して前記入口へ落とし、横向きになったスリッパを搬送、消毒及びストックする請求項1に記載のスリッパ消毒供給装置。
- 羽根車を通過して落下する横向きの消毒済みスリッパの踵部分が当接する壁を設け、前記壁にスリッパの踵が当接してつま先部分が下方を向き、スリッパが取出口へ移動する途中で横向きから縦向きに変更される請求項1又は2に記載のスリッパ消毒供給装置。
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