JP3692112B2 - 動脈硬化評価装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生体の所定部位の動脈の粘性や弾性に対応する硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
循環器の疾患の予防や治療のために、生体の動脈の硬化度を示す評価値或いは測定値が正確に且つ簡便に得られるようにすることが望まれている。このため、種々の動脈硬化度測定装置や評価装置が提案されている。たとえば、特許文献1に記載されているように、動脈の硬さに比例して増加する脈波伝播速度を検出して標準血圧値における値に標準化し、その標準化された脈波伝播速度に基づいて生体の動脈硬化度を推定する技術が提案されている。これによれば、血圧値の変動による影響を除去するための標準血圧値における値に標準化された脈波伝播速度に基づいて生体の動脈硬化度が評価される。しかしながら、このような脈波伝播速度測定装置(動脈硬化推定装置)は、動脈の断面が狭くなっている部位が存在すると、その影響によって脈波伝播速度が低下するなどして、必ずしも動脈硬化を正確に評価できないという問題があった。
【0003】
これに対し、特許文献2に示すように、複数の感圧素子が配列された押圧面を備えた圧脈波センサを用い、圧脈波センサの押圧面で動脈を押圧する押圧力とその押圧力で押圧されたときに各感圧素子からの脈波信号から得られる血管の変形幅寸法の大きさとの関係に基づいて、動脈硬化度を測定する装置が提案されている。これによれば、押圧力に対して血管の変形幅寸法が小さいほど、動脈硬化度が高いと評価される。このようにすれば、圧脈波センサの押圧面で押圧した部位の動脈の管壁の硬さが評価されるので、動脈狭窄の影響を受けない利点がある。しかしながら、圧脈波センサの押圧面の押圧によって動脈の管壁が容易に変形されることが前提であるため、撓骨によりバックアップされている撓骨動脈などの比較的硬い組織の上に動脈が存在する部位の測定に限定されるという不都合があった。また、動脈壁は弾性だけでなく粘性をも備えており、その粘性が動脈硬化に与える影響も考えられけれども、その粘性に着目して動脈硬化度を評価する技術は存在しなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−220037号公報
【特許文献2】
特開平01−259836号公報
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、所定部位の動脈の硬化度を正確に評価できる動脈硬化度評価装置或いは動脈壁の粘性に基づいて動脈硬化を評価できる動脈硬化度評価装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、生体の所定部位の動脈の硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置であって、(a) 前記生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出する血圧波形検出装置と、(b) 前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を、前記血圧波形検出装置による血圧波形の検出と同時期に検出する動脈形状検出装置と、(c) 前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形を入力信号とし且つ前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との関係を示す伝達函数の定常応答の利得に基づいて、前記所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値を決定する弾性評価値決定手段とを、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、生体の所定部位における動脈内の血圧波形とその生体の所定部位における動脈の連続的形状変化との間の伝達函数の定常応答の利得に基づいて、上記所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値が決定されるので、その所定部位の動脈の弾性を評価する弾性評価値を測定する動脈硬化度評価装置が得られる。また、上記動脈内の血圧波形および動脈の連続的形状変化は、生体の所定部位の動脈から局所的に検出され、その動脈の形状変化の検出のためにバックアップが必要とされないので、動脈硬化度評価値は動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、高い評価精度が得られる。
【0008】
【第1発明の他の態様】
ここで、好適には、(d) 最低値を用いて前記入力信号および出力信号を規準化する信号規準化処理手段と、(e) その信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて前記伝達函数を算出する伝達函数算出手段とを、さらに含み、前記弾性評価値決定手段は、該伝達函数算出手段により算出された伝達函数の定常応答の利得に基づいて、前記所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値を決定するものである。このようにすれば、信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて伝達函数算出手段が前記伝達函数を算出するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0009】
また、好適には、前記信号規準化処理手段は、前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形をp(t) とし、前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化をd(t) とすると、前記入力信号をln[ p(t)/pd ] とし、前記出力信号をd(t)/dPd−1 として規準化するものである。このようにすれば、信号規準化処理手段により規準化された入力信号ln[ p(t)/pd ] および出力信号d(t)/dPd−1 を用いて伝達函数算出手段が前記伝達函数を算出するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0010】
また、好適には、前記弾性評価値決定手段は、前記伝達函数算出手段により算出された伝達函数の定常応答の利得を、前記動脈の管壁のコンプライアンスを示す評価値として決定するものである。このようにすれば、前記所定部位における動脈の管壁のコンプライアンスが容易に評価される。
【0011】
また、好適には、前記弾性評価値決定手段は、前記伝達函数算出手段により算出された伝達函数の定常応答の利得の逆数を、前記動脈の管壁の弾性率を示す評価値として決定するものである。このようにすれば、前記所定部位における動脈の管壁の弾性率に由来する硬さが容易に評価される。
【0012】
また、好適には、前記入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数を求め、該ステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定する粘性評価値決定手段を、さらに含むものである。このようにすれば、粘性評価値決定手段により決定される粘性評価値により、前記所定部位における動脈においてその管壁の粘性に由来する硬さが容易に評価される。
【0013】
また、好適には、前記粘性評価値決定手段は、前記伝達函数を逆フーリエ変換することにより前記ステップ応答函数を算出するものである。このようにすれば、前記入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数が容易に求められる。
【0014】
また、好適には、前記粘性評価値決定手段は、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、前記所定部位における動脈においてその管壁の粘性に由来する硬さが容易に評価される。
【0015】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、生体の所定部位の動脈の硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置であって、(a) 前記生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出する血圧波形検出装置と、(b) 前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を、前記血圧波形検出装置による血圧波形の検出と同時期に検出する動脈形状検出装置と、(c) 前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形を入力信号とし且つ前記動脈形状検出装置により検出された連続的形状変化を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数を求め、該ステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定する粘性評価値決定手段とを、含むことにある。
【0016】
【第2発明の効果】
このようにすれば、生体の所定部位における動脈内の血圧波形とその生体の所定部位における動脈の連続的形状変化との間のステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、その所定部位の動脈壁の粘性に対応する粘性評価値が決定されるので、その所定部位の動脈の粘性を評価できる粘性評価値を測定する動脈硬化度評価装置が得られる。また、上記動脈内の血圧波形および動脈の連続的形状変化は、生体の所定部位の動脈から局所的に検出され、その動脈の形状変化の検出のためにバックアップが必要とされないので、動脈硬化度評価値は動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、高い評価精度が得られる。
【0017】
【第2発明の他の態様】
ここで、好適には、前記血圧波形検出装置は、前記生体の心臓に対する前記所定部位の高さが第1位置であるときと該第1位置とは異なる第2位置であるときとにおいて、該生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出するものであり、前記動脈形状検出装置は、前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を、前記血圧波形検出装置による血圧波形の検出に同期してそれぞれ検出するものであり、前記粘性評価値決定手段は、前記所定部位が前記第1位置および第2位置にあるときにおいて前記血圧波形検出装置によりそれぞれ検出された血圧波形を入力信号とし且つ前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、第1位置および第2位置に一方から他方への位置変更を含む血圧波形とその結果生じる動脈形状変化との間の関係を示すステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、所定部位の動脈壁の粘性に対応する粘性評価値が決定されるので、その所定部位の動脈の粘性を評価できる粘性評価値を正確に測定する動脈硬化度評価装置が得られる。
【0018】
また、好適には、前記粘性評価値決定手段は、前記入力信号と出力信号との間の伝達函数を逆フーリエ変換することにより前記ステップ応答函数を算出するものである。このようにすれば、ステップ応答函数が容易に得られる。
【0019】
また、好適には、前記粘性評価値決定手段は、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて容易に粘性評価値が得られる。
【0020】
また、好適には、(d) 最低値を用いて前記入力信号および出力信号を規準化する信号規準化処理手段と、(e) その信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて前記ステップ応答函数を算出するステップ応答函数算出手段とを、さらに含み、前記粘性評価値決定手段は、該ステップ応答函数算出手段により算出されたステップ応答函数の過渡部分に基づいてステップ応答函数を求め、該ステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いてステップ応答函数算出手段が前記ステップ応答函数を算出するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0021】
また、好適には、前記信号規準化処理手段は、前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形をp(t) とし、前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化をd(t) とすると、前記入力信号をln[ p(t)/pd ] とし、前記出力信号をd(t)/dPd−1 として規準化するものである。このようにすれば、信号規準化処理手段により規準化された入力信号ln[ p(t)/pd ] および出力信号d(t)/dPd−1 を用いて伝達函数算出手段が前記伝達函数を算出するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0022】
また、好適には、前記粘性評価値決定手段は、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差の面積、該過渡部分の時定数、該過渡部分の立上がり時間、該過渡部分の整定時間のいずれかに基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差の面積、該過渡部分の時定数、該過渡部分の立上がり時間、該過渡部分の整定時間のいずれかに基づいて容易に粘性評価値が得られる。
【0023】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、生体の所定部位の動脈の硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置であって、(a) その生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出する血圧波形検出装置と、(b) 前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を検出する動脈形状検出装置と、(c) 前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形の大きさを示す血圧軸と前記動脈形状検出装置により検出された連続的形状変化の大きさを示す形状変化軸との二次元座標において、同時刻における血圧波形の大きさと連続的形状変化の大きさとを示す点が描くリサジュー図形に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定する粘性評価値決定手段とを、含むことにある。
【0024】
【第3発明の効果】
このようにすれば、血圧波形の大きさを示す血圧軸と連続的形状変化の大きさを示す形状変化軸との二次元座標において、同時刻におけるその血圧波形の大きさと連続的形状変化の大きさとを示す点が描くリサジュー図形に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値が決定されるので、その所定部位の動脈の粘性を評価できる粘性評価値を測定する動脈硬化度評価装置が得られる。また、上記動脈内の血圧波形および動脈の連続的形状変化は、生体の所定部位の動脈から局所的に検出され、その動脈の形状変化の検出のためにバックアップが必要とされないので、動脈硬化度評価値は動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、高い評価精度が得られる。
【0025】
【第3発明の他の態様】
ここで、好適には、(d) 前記入力信号および出力信号を規準化する信号規準化処理手段と、(e) その信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて前記リサジュー図形を生成するリサジュー図形生成手段とを含み、前粘性評価値決定手段は、上記リサジュー図形生成手段により生成されたリサジュー図形に基づいて前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いてリサジュー図形生成手段が前記リサジュー図形を生成するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0026】
また、好適には、前記信号規準化処理手段は、前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形をp(t) とし、前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化をd(t) とすると、前記入力信号をln[ p(t)/pd ] とし、前記出力信号をd(t)/dPd−1 として規準化するものである。このようにすれば、信号規準化処理手段により規準化された入力信号ln[ p(t)/pd ] および出力信号d(t)/dPd−1 を用いて伝達函数算出手段が前記伝達函数を算出するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0027】
また、好適には、前記粘性評価値決定手段は、前記リサジュー図形の面積に基づいて前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである。このようにすれば、リサジュー図形の面積に基づいて容易に粘性評価値が得られる。
【0028】
また、好適には、前記血圧波形検出装置は、前記生体の動脈を押圧することにより該動脈内の圧脈波を検出する圧脈波センサを備え、該動脈の管壁の一部が変形をうけるように設定された所定の押圧力で押圧された状態で該圧脈波センサから得られる圧脈波を、前記血圧波形として出力するものである。このようにすれば、動脈の管壁の張力の影響が抑制されるので、動脈内の血圧波形が精度よく得られる。
【0029】
また、好適には、前記動脈形状検出装置は、前記生体の動脈の断面形状を検出するための超音波検出プローブを備え、その動脈の断面の径寸法を前記動脈形状として出力するものである。このようにすれば、動脈の断面の径寸法が容易に得られる。
【0030】
また、好適には、前記超音波検出プローブは、前記圧脈波センサと共通の押圧装置によって前記生体に押圧されるものである。このようにすれば、共通の押圧装置によって超音波検出プローブと圧脈波センサとが同時に押圧されるので、動脈の同じ部位において、同時刻における動脈の血圧波形と形状変化とが容易に得られる。
【0031】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の動脈硬化評価装置の一構成例を示す図であって、たとえば手術中や手術後の患者の容態を監視するために用いられる。図において、10はゴム製袋を布製帯状袋内に有するカフであって、たとえば患者の上腕部12に巻回された状態で装着される。カフ10には、圧力センサ14、切換弁16、および空気ポンプ18が配管20を介してそれぞれ接続されている。切換弁16は、カフ10内への圧力の供給を許容する圧力供給状態、カフ10内を徐々に排圧する徐速排圧状態、およびカフ10内を急速に排圧する急速排圧状態の少なくとも3つの状態に切り換えられるように構成されている。
【0033】
圧力センサ14は、カフ10内の圧力を検出してその圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路22および脈波弁別回路24にそれぞれ供給する。静圧弁別回路22はローパスフィルタを備えており、圧力信号SPに含まれる定常的な圧力を表すカフ圧信号SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器26を介して電子制御装置28へ供給する。脈波弁別回路24はバンドパスフィルタを備えており、圧力信号SPの振動成分である脈波信号SM1 を弁別してその脈波信号SM1 をA/D変換器30を介して電子制御装置28へ供給する。この脈波信号SM1 が表すカフ脈波は、患者の心拍に同期して図示しない上腕動脈から発生してカフ10に伝達される圧力振動波であり、上記脈波弁別回路24はカフ脈波検出手段として機能している。
【0034】
上記電子制御装置28は、CPU29,ROM31,RAM33,および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されており、CPU29は、ROM31に予め記憶されたプログラムに従ってRAM33の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を出力して図示しない駆動回路を介して切換弁16および空気ポンプ18を制御する。キャリブレーションのためのカフ10を用いた血圧測定に際しては、たとえばカフ10内の圧力を所定の目標圧力まで急速昇圧させた後に3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させ、その徐速降圧過程で逐次採取される脈波信号SM1 が表す脈波の変化に基づいてオシロメトリック法により最高血圧値および最低血圧値などの血圧値を決定し、その決定した血圧値を表示器32に表示させる。
【0035】
超音波/圧脈波検出プローブ34は、図2および図3に詳しく示すように、容器状を成すセンサハウジング36を収容するケース37と、このセンサハウジング36を撓骨動脈56の幅方向に移動させるためにそのセンサハウジング36に螺合され且つケース37の駆動部39内に設けられた図示しないモータによって回転駆動されるねじ軸41とを備えている。上記ケース37には装着バンド40が取りつけられており、上記容器状を成すセンサハウジング36の開口端が人体の体表面38に対向する状態で装着バンド40により手首42に着脱可能に取り付けられるようになっている。上記センサハウジング36の内部には、ダイヤフラム44を介して超音波/圧脈波センサ46が相対移動可能かつセンサハウジング36の開口端からの突出し可能に設けられており、これらセンサハウジング36およびダイヤフラム44等によって圧力室48が形成されている。この圧力室48内には、空気ポンプ50から調圧弁52を経て圧力エアが供給されるようになっており、これにより、圧脈波センサ46は圧力室48内の圧力に応じた押圧力PHDP で前記体表面38に押圧される。なお、本実施例では、圧脈波センサ46の押圧力PHDP は圧力室48内の圧力(単位:mmHg)で示される。
【0036】
上記センサハウジング36およびダイヤフラム44は、超音波/圧脈波センサ46を撓骨動脈56に向かって押圧する押圧装置59を構成しており、上記ねじ軸41および図示しないモータは、圧脈波センサ46が押圧される押圧位置をその撓骨動脈56の幅方向に変更する押圧位置変更装置を構成している。
【0037】
上記超音波/圧脈波センサ46は、たとえば図3に示すように、単結晶シリコン等から成る半導体チップの一面に多数の半導体感圧素子46sが配列された圧脈波検出部46aと、圧電セラミックスなどの超音波振動子から構成された超音波センサを含む超音波検出部46bとから成り、共通の押圧面54において上記圧脈波検出部46aの一面と超音波検出部46bの一面とが面一とされている。上記半導体感圧素子46sは、撓骨動脈56の幅方向(径方向)すなわちねじ軸41と平行な方向に0.2mm程度の一定の間隔で配列されて構成されており、手首42の体表面38の撓骨動脈56上に押圧されることにより、撓骨動脈56から発生して体表面38に伝達される圧力振動波すなわち圧脈波を検出し、その圧脈波を表す圧脈波信号SM2 をA/D変換器58を介して電子制御装置28へ供給する。また、上記超音波検出部46bは、撓骨動脈56へ向かって超音波を周期的に放射した後に反射されてくる反射波を検出し、その反射波を表す反射波信号SM3 をA/D変換器58を介して電子制御装置28へ供給する。この超音波の反射波は、撓骨動脈56の管壁の表面のような密度差のある境界面から反射されるので、その反射波の放射波に対する位相(遅れ時間)から撓骨動脈56の断面形状たとえば径寸法を示す情報が得られる。
【0038】
電子制御装置28のCPU29は、ROM31に予め記憶されたプログラムに従ってRAM33の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行し、空気ポンプ50および調圧弁52へ図示しない駆動回路を介して駆動信号を出力して圧力室48内の圧力を調節する。血圧波形の測定或いは連続血圧監視に際しては、圧力室48内の徐速圧力変化過程で逐次得られる圧脈波に基づいて圧脈波センサ46の最適押圧力PHDPOすなわち撓骨動脈56の管壁の一部が平坦となるように変形させられる押圧力を決定し、調圧弁52を圧脈波センサ46の最適押圧力PHDPOを維持するように制御するとともに、カフ10を用いて測定された最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA と、上記最適押圧力PHDPOが維持された状態で圧脈波センサ46にて検出された圧脈波の大きさPM との間の対応関係を求め、この対応関係から、圧脈波センサ46により逐次検出される圧脈波の大きさの単位(mmHg)が付された血圧波形x(t) を逐次出力する。上記対応関係は、たとえば図4に示すものであり、数式(1) により表される。この式(1) において、Aは傾きを示す定数、Bは切片を示す定数である。上記血圧波形x(t) は、超音波/圧脈波センサ46が押圧された撓骨動脈56内の血圧波形を示し、その上ピーク値PMmaxが最高血圧値PSYS を、その下ピーク値PMminが最低血圧値PDIA をそれぞれ示している。図5の上段はその血圧波形x(t) を示している。本実施例では、上記超音波/圧脈波センサ46の圧脈波検出部46a、押圧装置59、A/D変換器58、電子制御装置28などが、撓骨動脈56内の血圧を連続的に検出して血圧波形x(t) を出力する血圧波形検出装置60を構成している。
【0039】
[数1]
x(t) (mmHg)=A・PM +B・・・(1)
【0040】
また、上記電子制御装置28は、超音波検出部46bにより検出された超音波の反射波の放射波に対する位相(遅れ時間)に基づいて撓骨動脈56の管壁の位置或いはその感壁形状を示す超音波断面画像が検出され、その撓骨動脈56の管壁の位置或いは管壁形状からその形状変化たとえば径寸法の大きさD(mm)の変化を示す形状変化波形y(t) を逐次出力する。図5の下段はその形状変化波形x(t) を示している。上記撓骨動脈56の径寸法は脈拍に同期して周期的に変化する血圧波形PM の大きさに基づいて、周期的に変化させられる。本実施例では、上記超音波/圧脈波センサ46の超音波検出部46b、押圧装置59、A/D変換器58、電子制御装置28などが、撓骨動脈56の形状を連続的に検出して形状変化波形y(t) を出力する動脈形状検出装置62を構成している。
【0041】
一般に、弾性および粘性を有する動脈たとえば上記撓骨動脈56においては、その管内圧力である血圧波形x(t) の変化に起因して管壁の形状たとえば径寸法の大きさD(mm)が変化させられ、上記形状変化波形y(t) により示される。このため、本実施例では、その血圧波形x(t) を入力信号とし、形状変化波形y(t) を出力信号としたとき、その入力信号と出力信号との間の関係を、伝達函数およびステップ応答函数として求め、その伝達函数のゲインおよびステップ応答函数の過渡部分を用いて、上記撓骨動脈56の管壁の弾性および粘性が評価される。管壁の弾性率は静的な状態における管壁の硬さに対応し、管壁の粘性はその変形途中における過渡的な硬さに対応している。
【0042】
図6は、上記のように構成された電子制御装置28の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図6において、血圧波形検出装置60から出力された血圧波形(入力信号)x(t) は、血圧波形信号規準化手段64において逐次規準化される。たとえば、この血圧波形信号規準化手段64により、上記血圧波形検出装置60により検出された血圧波形x(t) が、ln[ x(t)/pd ] に変換されることにより規準化される。すなわち、x(t) がその下ピーク値(最低値)である最低血圧値pd で割った(除した)値の対数値xk (t) とされる。また、前記動脈形状検出装置62により検出された撓骨動脈56の連続的形状変化(出力信号)y(t) は、動脈形状信号規準化手段66において逐次規準化される。たとえば、動脈形状信号規準化手段66により、上記動脈形状信号規準化手段66により検出されたy(t) が、y(t)/dPd−1 に変換されることにより規準化される。すなわち、y(t) をその最低値(最小径)dPdで割った(除した)値から1を引いた値yk (t) とされる。
【0043】
伝達函数算出手段70は、上記規準化された血圧波形xk (t) および形状変化yk (t) をそれぞれフーリエ変換することによって時間函数から周波数函数とし、予め設定された式(2) からフーリエ変換後のX(f) およびY(f) に基づいて伝達函数H(f) を逐次算出する。この伝達函数H(f) は、一般には、式(3) に示すように複素数表示で極座標表示される。この式(3) の極座標表示において、|H(f) |は伝達函数H(f) の利得( ゲイン) 、φ(f) は位相である。実際的には、入力信号(血圧波形xk (t) )のパワースペクトラム( 周波数解析スペクトラム) Sxx(f) と、入出力信号(血圧波形xk (t) および形状変化yk (t) )間のクロスパワースペクトラムSxy(f) とが算出され、式(4) からそれら上記Sxx(f) およびSxy(f) に基づいて算出される。
【0044】
H(f) =Y(f) /X(f) ・・・(2)
H(f) =|H(f) | exp(jφ(f) )・・・(3)
H(f) =Sxx(f) /Sxy(f) ・・・(4)
【0045】
弾性評価値決定手段72は、上記伝達函数算出手段70により求められた伝達函数H(f) の定常応答の利得|H(f) |を逐次求め、この利得|H(f) |に基づいて撓骨動脈56の弾性評価値を決定する。たとえば、その利得|H(f) |を撓骨動脈56の管壁のコンプライアンス(柔軟性)に対応する値として決定し、その利得|H(f) |の逆数を撓骨動脈56の管壁の弾性率に対応する値として決定する。この場合、利得|H(f) |が大きい値となるほど、撓骨動脈56の管壁のコンプライアンスが低くなる一方で弾性率が高くなり、その管壁が硬いことを示す評価値となる。
【0046】
ステップ応答函数算出手段74は、前記伝達函数算出手段70により求められた伝達函数H(f) を次式(5) の逆フーリエ変換することによって、上記規準化された血圧波形xk (t) と形状変化yk (t) との間のステップ応答函数S(t) を逐次算出する。図7は、ステップ応答函数S(t) の過渡部分の一例を示している。このステップ応答函数S(t) を求めるときに用いられる伝達函数のH(f) は、好適には、入力信号(血圧波形xk (t) )を急変させたときに逐次求められたものである。この入力信号の急変は、たとえば前記超音波/圧脈波センサ46が装着されている手首の心臓に対する高さ位置が相互に異なる第1高さ位置および第2高さ位置間を変化させることにより行われる。たとえば被測定者がベッド上のであれば、超音波/圧脈波センサ46が装着されている手首をベット上に位置させた心臓と略同じ高さ位置の第1高さ位置と、その手首を情報へ差し上げた心臓よりも高い第2高さ位置との間で移動させることにより行われる。
【0047】
S(t) =F-1(H(f) ) ・・・(5)
【0048】
第1粘性評価値決定手段76は、上記ステップ応答函数算出手段74により求められたステップ応答函数S(t) の過渡部分すなわち図7に示す部分に基づいて、第1粘性評価値を決定する。たとえば、ステップ応答函数S(t) の過渡部分と定常応答値との差の面積A、そのステップ応答函数S(t) の過渡部分の変化状態を示す時定数、そのステップ応答函数S(t) の過渡部分の立上がり時間、そのステップ応答函数S(t) の過渡部分の整定時間のうちの少なくとも1つを算出し、その算出値に基づいて超音波/圧脈波センサ46が装着された所定部位の撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する粘性評価値を決定する。この場合、ステップ応答函数S(t) の過渡部分と定常応答値との差の面積A、その過渡部分の時定数、その過渡部分の所定割合に到達するまでの立上がり時間、その過渡部分が所定の平坦度となるまでの整定時間が大きい値となるほど、撓骨動脈56の管壁の粘性が高くなり、その管壁が変形過渡時において硬いことを示す評価値となる。
【0049】
リサジュー図生成手段78は、たとえば図8に示すように、前記血圧波形検出装置60により検出され且つ血圧波形規準化手段64により規準化された血圧波形xk (t) の大きさを示す血圧軸(横軸)と前記動脈形状検出装置62により検出され且つ動脈形状信号規準化手段66により規準化された連続的形状変化yk (t) の大きさを示す形状変化軸(縦軸)とから成る二次元座標において、上記規準化された血圧波形xk (t) および形状変化yk (t) の同時刻における大きさを示す点が1周期(1拍)で描くリサジュー図形を算出する。
【0050】
第2粘性評価値決定手段80は、上記リサジュー図生成手段78により生成されたリサジュー図形に基づいて、超音波/圧脈波センサ46が装着された所定部位の撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する第2粘性評価値を決定する。たとえば、上記リサジュー図生成手段78により生成されたリサジュー図形の面積Rを算出し、その算出値である面積Rに基づいて超音波/圧脈波センサ46が装着された所定部位の撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する粘性評価値を決定する。この場合、面積Rが大きい値となるほど、撓骨動脈56の管壁の粘性が高くなり、その管壁が変形過渡時において硬いことを示す評価値となる。
【0051】
表示手段82は、上記弾性評価値決定手段72により決定された弾性評価値たとえば前記伝達函数H(f) の定常応答の利得|H(f) |と、上記第1粘性評価値決定手段76により決定された第1粘性評価値たとえばステップ応答函数S(t) の過渡部分と定常応答値との差の面積A、その過渡部分の時定数、その過渡部分の立上がり時間、またはその過渡部分の整定時間と、上記第2粘性評価値決定手段80により決定された第2粘性評価値たとえばリサジュー図形の面積Rとを、光学的表示器、プリンタなどの表示器32に表示させる。
【0052】
以上のような、動脈たとえば上記撓骨動脈56における、管内圧力である血圧波形(入力信号)x(t) の変化とそれに起因して発生する管壁の形状を示す形状変化波形(出力信号)y(t) との間の関係に対して、伝達函数H(f) やステップ応答函数S(t) の適用については、入出力信号間に線型の関係が成立していることが前提となり、次式(6) から得られるコヒーレンスcoh(f)によりその線型の成立性が判断される。式(6) において、Syy (f)は形状変化波形y(t) のパワー スペクトラム( 周波数解析スペクトラム) である。
【0053】
coh(f)=|Sxy(f) |2 /Sxx(f) ・Syy(f) ・・・(6)
【0054】
上記コヒーレンスcoh(f)が零であるときは、その周波数における入出力は無相関であるが、1であるときは、その周波数における入出力は完全に線型にて相関していると考えられる。動脈圧である前記血圧波形(入力信号)x(t) を対数変換した場合、経験的に、その血圧波形変化に対する血管径D(t) の定常応答が線型となることが知られていることから、入力信号として、対数変換後の動脈圧変化されたln[ x(t)/pd ] が好適に用いられる。図9は、周波数関心領域0.1乃至10Hz内において、実際の血圧波形(入力信号)x(t) および形状変化波形(出力信号)y(t) から前記(2) 式に従って算出されたH(f) から求められた、ける利得|H(f) |および位相φ(f) と、(6) 式から求められたコヒーレンス oh(f) とを示している。上記周波数関心領域0.1乃至10Hz内においては、コヒーレンスcoh(f)が0.9以上を示しているため、前述の伝達函数H(f) やステップ応答函数S(t) を用いることを妥当性が確保されている。
【0055】
図10および図11は、上記電子制御装置28の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、図10は動脈圧形状検出制御ルーチンを、図11は動脈硬化評価制御ルーチンをそれぞれ示している。
【0056】
図10のステップSA1(以下、ステップを省略する。)では、前回に対応関係が決定されてからの経過時間が十数分乃至数十分程度に予め設定されたキャリブレーション周期を超えたか否かが判断される。通常はそのSA1の判断が否定されるので、SA2において所定の押圧位置更新条件(APS起動条件)が成立したか否か、たとえば圧脈波センサ46の押圧面54に配列された圧力検出素子のうちの最大振幅を検出するものが配列位置のうちの端部に位置する状態となったか否かが判断される。
【0057】
撓骨動脈56に対する圧脈波センサ46の押圧位置が正常範囲であれば、上記SA2の判断が否定されるので、SA3において、たとえば図4の対応関係を変化させる程に超音波/圧脈波センサ46の押圧条件を変化させる体動が検出されたか否か、或いは血圧波形x(t) から得られた値たとえば上ピーク値(最高血圧)が前回のカフ10を用いて測定された血圧値PSYS に対して大幅に変化したか否かなどに基づいて、血圧監視のための対応関係を更新するための起動条件(HDP起動条件)が成立したか否かが判断される。超音波/圧脈波センサ46の押圧条件に変化がなく、図4の対応関係が変化していないと考えられる場合は上記SA3の判断が否定されるので、SA8以下において血圧波形x(t) および形状変化波形y(t) の測定が継続される。
【0058】
SA8では、超音波/圧脈波センサ46の圧脈波検出部46aにより検出された圧脈波信号が読み込まれ、SA9では、撓骨動脈56内の圧力を示す血圧波形x(t) が出力される。また、SA10では、超音波/圧脈波センサ46の超音波検出部46bにより検出された超音波反射波信号が読み込まれ、SA11では、撓骨動脈56の断面形状たとえば径寸法を示す形状変化波形y(t) が出力される。
【0059】
上記のステップが繰り返し実行されるうち、前回に対応関係が決定されてからの経過時間が予め設定されたキャリブレーション周期を超えると前記SA1の判断が肯定されるので、SA6においてカフ10を用いた血圧測定が実行された後、SA7において対応関係が更新され、その後前記SA8以下が実行される。すなわち、先ず、S6では、切換弁16を圧力供給状態に切り換え且つ空気ポンプ18を作動させてカフ10内の圧力を患者の予想される最高血圧値よりも高い目標圧力(たとえば180mmHg)まで昇圧した後、空気ポンプ18を停止させ且つ切換弁16を徐速排圧状態に切り換えてカフ10内の圧力を2〜3mmHg/sec程度に予め定められた徐速降圧速度で下降させることにより、この徐速降圧過程で逐次得られる脈波信号SM1 が表す脈波の振幅の変化に基づいて、良く知られたオシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムに従って最高血圧値PSYS 、平均血圧値PMEAN、および最低血圧値PDIA が測定されるとともに、脈波間隔に基づいて脈搏数などが決定される。そして、その測定された血圧値および脈搏数などが表示器32に表示されるとともに、切換弁16が急速排圧状態に切り換えられてカフ10内が急速に排圧される。
【0060】
次に、SA7では、圧脈波検出部46aからの圧脈波の大きさと上記SA6において測定されたカフ10による血圧値PSYS 、PDIA との間の対応関係が求められる。すなわち、圧脈波検出部46aからの圧脈波が1拍読み込まれ且つその圧脈波の最高値PMmaxおよび最低値PMminが決定されるとともに、それら圧脈波の最高値PMmaxおよび最低値PMminとSA6にてカフ10により測定された最高血圧値PSYS および最低血圧値PDIA とに基づいて、図4に示す圧脈波の大きさと血圧値との間の対応関係が決定されるのである。
【0061】
前記圧脈波検出部46aの撓骨動脈56に対する押圧位置がずれた場合には、前記SA2の判断が肯定されるので、SA4のAPS制御ルーチンにおいて、最適押圧位置が決定されるとともに圧脈波検出部46aがその最適押圧位置に位置決めされた後、SA5のHDP制御ルーチンにおいて、圧脈波検出部46aの最適押圧力PHDPOが決定された後、圧脈波検出部46aがその最適押圧力PHDPOにて押圧され、その後前記SA6以下が実行される。また、連続的に血圧監視が実行される状態で前記SA3の判断が肯定された場合には、上記SA5のHDP制御ルーチン以下が実行される。
【0062】
図11では、SB1およびSB2では、上記撓骨動脈56内の圧力を示す血圧波形x(t) および撓骨動脈56の断面形状たとえば径寸法を示す形状変化波形y(t) が読み込まれる。続いて、前記血圧波形信号規準化手段64および動脈形状信号規準化手段66に対応するSB3では、たとえば、上記読み込まれた血圧波形x(t) が、ln[ x(t)/pd ] に変換されることにより規準化されるとともに、上記読み込まれた動脈形状変化y(t) が、y(t)/dPd−1 に変換されることにより規準化される。次いで、前記伝達函数算出手段70に対応するSB4では、たとえば上記規準化された血圧波形xk (t) のパワースペクトラム( 周波数解析スペクトラム) Sxx(f) と、規準化された入出力信号(血圧波形xk (t) および形状変化yk (t) )間のクロスパワースペクトラムSxy(f) とがそれぞれ算出され、式(4) からそれら上記Sxx(f) およびSxy(f) に基づいて算出される。次に、前記ステップ応答函数算出手段74に対応するSB5では、上記SB4において求められた伝達函数H(f) が式(5) に示されるように逆フーリエ変換されることによって、上記規準化された血圧波形xk (t) と形状変化yk (t) との間のステップ応答函数S(t) が算出される。また、前記リサジュー図生成手段78に対応するSB6では、たとえば図8に示すように、上記規準化された血圧波形xk (t) の大きさを示す血圧軸(横軸)と上記規準化された連続的形状変化yk (t) の大きさを示す形状変化軸(縦軸)とから成る二次元座標において、上記規準化された血圧波形xk (t) および形状変化yk (t) の同時刻における大きさを示す点が1周期(1拍)で描くリサジュー図形が算出される。
【0063】
続いて、前記弾性評価値決定手段72に対応するSB7では、上記SB4において求められた伝達函数H(f) の定常応答の利得|H(f) |に基づいて撓骨動脈56の弾性評価値が決定される。たとえば、その利得|H(f) |の値が撓骨動脈56の管壁のコンプライアンス(柔軟性)に対応する値として決定され、その利得|H(f) |の逆数が撓骨動脈56の管壁の弾性率に対応する値として決定される。次いで、前記第1粘性評価値決定手段76に対応するSB8では、前記SB5において求められたステップ応答函数S(t) の過渡部分すなわち図7に示す部分に基づいて、超音波/圧脈波センサ46が装着された所定部位の撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する第1粘性評価値が決定される。たとえば、ステップ応答函数S(t) の過渡部分と定常応答値との差の面積A、そのステップ応答函数S(t) の過渡部分の変化状態を示す時定数、そのステップ応答函数S(t) の過渡部分の立上がり時間、そのステップ応答函数S(t) の過渡部分の整定時間のうちの少なくとも1つが、撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する粘性評価値として決定される。次いで、前記第2粘性評価値決定手段80に対応するSB9では、前記SB6において生成されたリサジュー図形に基づいて、超音波/圧脈波センサ46が装着された所定部位の撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する第2粘性評価値が決定される。たとえば、上記リサジュー図形の面積Rが超音波/圧脈波センサ46が装着された所定部位の撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する粘性評価値として決定される。
【0064】
次に、SB10において、動脈硬化を評価するための弾性評価値、第1粘性評価値、第2粘性評価値が求められてその測定が完了したか否かが判断される。このSB10の判断が否定される場合は前記SB1以下が繰り返し実行されるが、肯定される場合は、前記表示手段82に対応するSB11において、上記弾性評価値、第1粘性評価値、第2粘性評価値が表示器32に表示される。
【0065】
上述のように、本実施例によれば、生体の所定部位における動脈たとえば撓骨動脈56内の血圧波形x(t) とその生体の所定部位における動脈の連続的形状変化y(t) との間の伝達函数H(f) の定常応答の利得|H(f) |に基づいて、上記所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値が決定されるので、その所定部位の動脈の弾性を評価する弾性評価値を測定する動脈硬化度評価装置が得られる。また、上記動脈内の血圧波形x(t) および動脈の連続的形状変化は、生体の所定部位の動脈から局所的に検出され、その動脈の形状変化y(t) の検出のために動脈のバックアップが必要とされないので、その動脈硬化度評価値は動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、高い評価精度が得られる。
【0066】
また、本実施例によれば、最低血圧値pd を用いて上記入力信号x(t) を規準化する血圧波形信号規準化手段64、および最低値(最小径)dPdを用いて出力信号y(t) を規準化する動脈形状信号規準化手段66(信号規準化処理手段)と、その信号規準化処理手段により規準化された入力信号xk (t) および出力信号yk (t) を用いて伝達函数H(f) を算出する伝達函数算出手段70とを、さらに含み、弾性評価値決定手段72は、その伝達函数算出手段70により算出された伝達函数H(f) の定常応答の利得|H(f) |に基づいて、所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値を決定するものであることから、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。すなわち、血圧波形信号規準化手段64および動脈形状信号規準化手段66は、血圧波形検出装置60により検出された血圧波形をx(t) とし、動脈形状検出装置62により検出された動脈の連続的形状変化をy(t) とすると、入力信号をln[ x(t)/pd ] とし、前記出力信号をy(t)/dPd−1 として規準化するものであることから、その規準化された入力信号xk (t) (=ln[ x(t)/pd ] )および出力信号yk (t) (=y(t) / dPd−1 )を用いて伝達函数H(f) が算出するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0067】
また、本実施例によれば、生体の所定部位における動脈たとえば撓骨動脈56内の血圧波形x(t) とその撓骨動脈56の連続的形状変化を示す径の形状変化y(t) との間のステップ応答函数S(t) の過渡応答部分に基づいて、第1粘性評価値決定手段76によりその撓骨動脈56の管壁の粘性に対応する粘性評価値が決定されるので、その撓骨動脈56の粘性を評価できる粘性評価値を測定する動脈硬化度評価装置が得られる。また、その撓骨動脈56内の血圧波形x(t) および形状変化y(t) は、生体の所定部位の動脈の一部である撓骨動脈56から局所的に検出され、その形状変化y(t) の検出のために動脈のバックアップが必要とされないので、動脈硬化度評価値は動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、高い評価精度が得られる。
【0068】
また、本実施例によれば、血圧波形検出装置60は、生体の心臓に対する撓骨動脈56の高さが第1位置であるときとその第1位置とは異なる第2位置であるときとにおいて、その撓骨動脈56内の血圧波形x(t) を検出するものであり、動脈形状検出装置62は、その撓骨動脈56の連続的形状変化y(t) を、その血圧波形x(t) の検出に同期してそれぞれ検出するものであり、第1粘性評価値決定手段76は、撓骨動脈56が前記第1位置および第2位置にあるときにおいて血圧波形検出装置60によりそれぞれ検出された血圧波形x(t) を入力信号とし且つ動脈形状検出装置62により検出された撓骨動脈56の連続的形状変化y(t) を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数S(t) の過渡応答部分に基づいて、撓骨動脈56の粘性に対応する粘性評価値を決定するものであることから、第1位置および第2位置の一方から他方への位置変更を含む血圧波形x(t) とその結果生じる動脈形状変化y(t) との間の関係を示すステップ応答函数S(t) の過渡応答部分に基づいて、撓骨動脈56の動脈壁の粘性に対応する粘性評価値が決定されるので、その部位の動脈の粘性を評価できる粘性評価値を正確に測定する動脈硬化度評価装置が得られる。
【0069】
また、本実施例によれば、上記入力信号x(t) と出力信号y(t) との間の伝達函数|H(f) |を逆フーリエ変換することにより上記ステップ応答函数S(t) を算出するステップ応答函数算出手段74が備えられるので、そのステップ応答函数S(t) が容易に得られる。また、最低血圧値pd を用いて上記入力信号x(t) を規準化する血圧波形信号規準化手段64、および最低値(最小径)dPdを用いて出力信号y(t) を規準化する動脈形状信号規準化手段66(信号規準化処理手段)が備えられ、上記ステップ応答函数算出手段74は、規準化された入力信号xk (t) と出力信号yk (t) との間のステップ応答函数S(t) を求めるものであるので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0070】
また、本実施例によれば、第1粘性評価値決定手段76は、ステップ応答函数S(t) の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて、所定部位の動脈たとえば撓骨動脈56の粘性に対応する粘性評価値を決定するものであることから、ステップ応答函数S(t) の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて容易に粘性評価値が得られる。
【0071】
また、本実施例によれば、第1粘性評価値決定手段76は、ステップ応答函数S(t) の過渡応答部分における定常応答値との差の面積A、その過渡部分の時定数、その過渡部分の所定割合に到達するまでの立上がり時間、その過渡部分の所定の平坦領域までに到達する整定時間のいずれかに基づいて、前記所定部位の動脈たとえば撓骨動脈56の粘性に対応する粘性評価値を決定するものであるので、容易に粘性評価値が得られる。
【0072】
また、本実施例によれば、たとえば図8に示す、血圧波形x(t) の大きさを示す血圧軸と連続的形状変化y(t) の大きさを示す形状変化軸との二次元座標において、同時刻におけるその血圧波形x(t) の大きさと連続的形状変化y(t) の大きさとを示す点が周期的に描くリサジュー図形に基づいて、前記所定部位の動脈たとえば撓骨動脈56の粘性に対応する粘性評価値が決定されるので、その撓骨動脈56の粘性を評価できる粘性評価値を測定する動脈硬化度評価装置が得られる。また、上記動脈内の血圧波形x(t) および動脈の連続的形状変化y(t) は、撓骨動脈56から局所的に検出され、その動脈の形状変化の検出のために動脈のバックアップが必要とされないので、動脈硬化度評価値は動脈狭窄や測定部位の影響を受け難く、高い評価精度が得られる。
【0073】
また、本実施例によれば、最低血圧値pd を用いて入力信号x(t) を規準化する血圧波形信号規準化手段64、および最低値(最小径)dPdを用いて出力信号y(t) を規準化する動脈形状信号規準化手段66(信号規準化処理手段)と、それにより規準化された入力信号xk (t) および出力信号yk (t) を用いてリサジュー図形を生成するリサジュー図形生成手段78とが備えられ、第2粘性評価値決定手段80は、そのリサジュー図形生成手段78により生成されたリサジュー図形に基づいて所定部位の動脈たとえば撓骨動脈56の粘性に対応する粘性評価値を決定するものであることから、規準化された入力信号xk (t) および出力信号yk (t) を用いてリサジュー図形生成手段78がリサジュー図形を生成するので、個人間において比較可能な、汎用性のある評価が可能となる。
【0074】
また、本実施例によれば、第2粘性評価値決定手段80は、リサジュー図形の面積Aに基づいて所定部位の動脈たとえば撓骨動脈56の粘性に対応する粘性評価値を決定するものであることから、容易に粘性評価値が得られる。
【0075】
また、本実施例によれば、血圧波形検出装置60は、生体の動脈たとえば撓骨動脈56を押圧することによりその動脈内の圧脈波を検出するための圧脈波検出部46aを有する超音波/圧脈波センサ(圧脈波検出プローブ)46を備え、その動脈の管壁の一部が変形をうけるように設定された所定の押圧力で押圧された状態でその圧脈波検出部46aから得られる圧脈波を、血圧波形x(t) として出力するものであることから、動脈の管壁の張力の影響が抑制されて、その動脈内の血圧波形x(t) が精度よく得られる。
【0076】
また、本実施例によれば、動脈形状検出装置62は、生体の動脈たとえば撓骨動脈56の断面形状を検出するための超音波検出部46bを有する超音波/圧脈波センサ(超音波検出プローブ)46を備え、その動脈の断面の径寸法を動脈形状として出力するものであるので、動脈の断面形状が容易に得られる。
【0077】
また、本実施例によれば、上記超音波検出部46bは、圧脈波検出部46aと共通の押圧装置59によって生体の動脈に向かって同時に押圧されるものであることから、動脈の同じ部位において、同時刻における動脈の血圧波形x(t) と動脈形状変化y(t) とが容易に得られる。
【0078】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0079】
たとえば、前述の実施例では、超音波/圧脈波センサ46が主として撓骨動脈56に押圧される場合について説明されていたが、他の部位の動脈、たとえば頸動脈、上腕動脈、大腿動脈、足背動脈など、体表面から触れることができる動脈に対して適用される。
【0080】
また、前述の実施例では、動脈内の圧脈波を検出するための圧脈波検出部46aとその動脈の断面形状を検出するための超音波検出部46bとを有する超音波/圧脈波センサ46が用いられていたが、圧脈波検出部46aと超音波検出部46bとが分離され、押圧装置やハウジングが独立に構成された圧脈波検出プローブと超音波検出プローブとが用いられてもよい。この場合、圧脈波検出プローブが右手の撓骨動脈56に装着され、音波検出プローブが左手の撓骨動脈56に装着された状態で、別の部位において、同時に血圧波形x(t) と動脈形状変化y(t) とがそれぞれ検出される。このように、超音波検出プローブが圧脈波検出プローブから独立させられる場合には、動脈形状の変化を検出するための最適な押圧力に設定され、歪みのない状態で動脈形状の変化を検出することができる。
【0081】
また、前述の実施例において、最低血圧値Pd を急変させて血圧波形x(t) を検出するための体位変換は、手の上下だけでなく、超音波/圧脈波センサ46の装着部位に応じて、種々の体位変換が考えられる。
【0082】
また、前述の実施例の動脈形状検出装置62は、撓骨動脈56の径寸法Dを検出するものであったが、撓骨動脈56の断面積などの他の形状を検出するものであってもよい。
【0083】
また、前述の実施例の血圧波形信号規準化手段64および動脈形状信号規準化手段66は、血圧波形x(t) の最低値および動脈形状変化y(t) の最低値を用いるものであったが、平均値や最大値を用いるものなど、他の規準化方法を用いるものであってもよい。
【0084】
その他、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である動脈硬化評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例の超音波/脈波検出プローブを一部を切り欠いて説明する拡大図である。
【図3】図1の実施例の超音波/脈波検出プローブに含まれる超音波/圧脈波センサの押圧面を説明する図である。
【図4】図1の超音波/脈波検出プローブにより検出される圧脈波から血圧波形に変換するための関係を例示する図である。
【図5】図1の実施例の超音波/脈波検出プローブに含まれる超音波/圧脈波センサによって同時に検出された血圧波形信号および動脈形状波形信号をそれぞれ示す図である。
【図6】図1の実施例の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図7】図6のステップ応答函数算出手段によって求められたステップ応答函数の過渡部分を相対的応答(変化)量にて示す図である。
【図8】図6のリサジュー図生成手段によって生成されたリサジュー図を示す図である。
【図9】図5に示す血圧波形信号および動脈形状波形信号の間の線型性を確認するための説明図であって、上段はその血圧波形信号と動脈形状波形信号との間の伝達函数の利得を、中断はその伝達函数の位相を、下段は上記血圧波形信号と動脈形状波形信号との間のコヒーレンスを、共通の周波数軸上で示している。
【図10】図1の実施例の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、動脈圧形状検出ルーチンを示している。
【図11】図1の実施例の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、動脈硬化評価制御ルーチンを示している。
【符合の説明】
34:超音波/圧脈波検出プローブ
46:超音波/圧脈波センサ
56:撓骨動脈(動脈)
59:押圧装置
60:血圧波形検出装置
62:動脈形状検出装置
64:血圧波形信号規準化手段(信号規準化手段)
62:動脈形状信号規準化手段(信号規準化手段)
70:伝達函数算出手段
72:弾性評価値決定手段
74:ステップ応答函数算出手段
76:第1粘性評価値決定手段
78:リサジュー図生成手段
80:第2粘性評価値決定手段

Claims (22)

  1. 生体の所定部位の動脈の硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置であって、
    前記生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出する血圧波形検出装置と、
    前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を、前記血圧波形検出装置による血圧波形の検出と同時期に検出する動脈形状検出装置と、
    前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形を入力信号とし且つ前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との関係を示す伝達函数の定常応答の利得に基づいて、前記所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値を決定する弾性評価値決定手段と
    を、含むことを特徴とする動脈硬化評価装置。
  2. 最低値を用いて前記入力信号および出力信号を規準化する信号規準化処理手段と、
    該信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて前記伝達函数を算出する伝達函数算出手段とを、さらに含み、
    前記弾性評価値決定手段は、該伝達函数算出手段により算出された伝達函数の定常応答の利得に基づいて、前記所定部位の動脈の弾性に対応する弾性評価値を決定するものである請求項1の動脈硬化評価装置。
  3. 前記信号規準化処理手段は、前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形をp(t) とし、前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化をd(t) とすると、前記入力信号をln[ p(t)/pd ] とし、前記出力信号をd(t)/dPd−1 として規準化するものである請求項2の動脈硬化評価装置。
  4. 前記弾性評価値決定手段は、該伝達函数算出手段により算出された伝達函数の定常応答の利得を、前記動脈の管壁のコンプライアンスを示す評価値として決定するものである請求項1乃至3のいずれかの動脈硬化評価装置。
  5. 前記弾性評価値決定手段は、該伝達函数算出手段により算出された伝達函数の定常応答の利得の逆数を、前記動脈の管壁の弾性率を示す評価値として決定するものである請求項1乃至3のいずれかの動脈硬化評価装置。
  6. 前記入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数を求め、該ステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定する粘性評価値決定手段を、さらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの動脈硬化評価装置。
  7. 前記粘性評価値決定手段は、前記伝達函数を逆フーリエ変換することにより前記ステップ応答函数を算出するものである請求項6の動脈硬化評価装置。
  8. 前記粘性評価値決定手段は、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項6または7の動脈硬化評価装置。
  9. 生体の所定部位の動脈の硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置であって、
    前記生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出する血圧波形検出装置と、
    前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を、前記血圧波形検出装置による血圧波形の検出と同時期に検出する動脈形状検出装置と、
    前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形を入力信号とし且つ前記動脈形状検出装置により検出された連続的形状変化を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との間の関係を示すステップ応答函数を求め、該ステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定する粘性評価値決定手段と
    を、含むことを特徴とする動脈硬化評価装置。
  10. 前記血圧波形検出装置は、前記生体の心臓に対する前記所定部位の高さが第1位置であるときと該第1位置とは異なる第2位置であるときとにおいて、該生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出するものであり、
    前記動脈形状検出装置は、前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を、前記血圧波形検出装置による血圧波形の検出に同期してそれぞれ検出するものであり、
    前記粘性評価値決定手段は、前記所定部位が前記第1位置および第2位置にあるときにおいて前記血圧波形検出装置によりそれぞれ検出された血圧波形を入力信号とし且つ前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化を出力信号としたとき、それら入力信号と出力信号との関係を示すステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項9の動脈硬化評価装置。
  11. 前記粘性評価値決定手段は、前記入力信号と出力信号との間の伝達函数を逆フーリエ変換することにより前記ステップ応答函数を算出するものである請求項10の動脈硬化評価装置。
  12. 前記粘性評価値決定手段は、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項9乃至11の動脈硬化評価装置。
  13. 最低値を用いて前記入力信号および出力信号を規準化する信号規準化処理手段と、
    該信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて前記ステップ応答函数を算出するステップ応答函数算出手段とを、さらに含み、
    前記粘性評価値決定手段は、該ステップ応答函数算出手段により算出されたステップ応答函数の過渡応答部分に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項9の動脈硬化評価装置。
  14. 前記信号規準化処理手段は、前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形をp(t) とし、前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化をd(t) とすると、前記入力信号をln[ p(t)/pd ] とし、前記出力信号をd(t)/dPd−1 として規準化するものである請求項13の動脈硬化評価装置。
  15. 前記粘性評価値決定手段は、ステップ応答函数の過渡応答部分における定常応答値との差の面積、該過渡部分の時定数、該過渡部分の立上がり時間、該過渡部分の整定時間のいずれかに基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項9乃至14のいずれかの動脈硬化評価装置。
  16. 生体の所定部位の動脈の硬化状態を評価するための動脈硬化評価装置であって、
    該生体の所定部位における動脈内の血圧波形を検出する血圧波形検出装置と、
    前記生体の所定部位における動脈の連続的形状変化を検出する動脈形状検出装置と、
    前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形の大きさを示す血圧軸と前記動脈形状検出装置により検出された連続的形状変化の大きさを示す形状変化軸との二次元座標において、同時刻における血圧波形の大きさと連続的形状変化の大きさとを示す点が描くリサジュー図形に基づいて、前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定する粘性評価値決定手段と
    を、含むことを特徴とする動脈硬化評価装置。
  17. 前記入力信号および出力信号を規準化する信号規準化処理手段と、
    該信号規準化処理手段により規準化された入力信号および出力信号を用いて前記リサジュー図形を生成するリサジュー図形生成手段とを含み、
    前粘性評価値決定手段は、該リサジュー図形生成手段により生成されたリサジュー図形に基づいて前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項16の動脈硬化評価装置。
  18. 前記信号規準化処理手段は、前記血圧波形検出装置により検出された血圧波形をp(t) とし、前記動脈形状検出装置により検出された前記動脈の連続的形状変化をd(t) とすると、前記入力信号をln[ p(t)/pd ] とし、前記出力信号をd(t)/dPd−1 として規準化するものである請求項17の動脈硬化評価装置。
  19. 前記粘性評価値決定手段は、前記リサジュー図形の面積に基づいて前記所定部位の動脈の粘性に対応する粘性評価値を決定するものである請求項16乃至18の動脈硬化評価装置。
  20. 前記血圧波形検出装置は、前記生体の動脈を押圧することにより該動脈内の圧力脈波を検出する圧脈波センサを備え、該動脈の管壁の一部が変形をうけるように設定された所定の押圧力で押圧された状態で該圧脈波センサから得られる圧脈波を、前記血圧波形として出力するものである請求項1乃至19のいずれかの動脈硬化評価装置。
  21. 前記動脈形状検出装置は、前記生体の動脈の断面形状を検出するための超音波検出プローブを備え、該動脈の断面の径寸法を前記動脈形状として出力するものである請求項1乃至20のいずれかの動脈硬化評価装置。
  22. 前記超音波センサは、前記圧脈波センサと共通の押圧装置によって前記生体に押圧されるものである請求項1乃至21のいずれかの動脈硬化評価装置。
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