JP3691054B2 - 癌の治療におけるカロチノイド類の処方及び用法 - Google Patents

癌の治療におけるカロチノイド類の処方及び用法 Download PDF

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Description

この出願は1990年9月25日付で出願された米国出願第588,143号の一部継続であり、後者は1988年2月4日付で出願された米国出願第152,183号の分割であって、現在放棄されている。2つの上記出願は参考のため本明細書に組み込まれる。
本発明はリポソーム又は他の脂質キャリア粒子中に封入されたカロチノイド類の治療組成物に関する。
レチノイド類は、その分子群にはレチノール(ビタミンA)の天然及び合成双方のアナログを含むが、細胞分化及び細胞増殖双方のコントロールにとり強力な作用物質であることが50年以上にわたり知られていた(Wolbach et al.,J.Exp.med.,42:753-777.1925)。いくつかの研究では、レチノイド類が実験動物においてインビボで発癌プロセスを抑制できることを示した(考察のため、例えばBollag,Cancer Chemother.Pharmacol.,3:207-215,1979及びSporn et al.,In Zedeck et al.(eds.),Inhibition of Tumor induction and development(腫瘍誘導及び発生の阻害),pp.71-100,New York:Plenum Publishing Corp.,1981参照)。これらの結果はヒトで癌予防にレチノイド類を用いる現試行の基礎である。更に、レチノイド類が悪性表現型の発生をインビトロで抑制できることを示唆する証拠もあり(考察のため、例えばBertram et al.,In:M.S.Arnott et al.(eds.),Molecular interactions of nutrition and cancer(栄養及び癌の分子相互作用),pp.315-335.New York,Raven Press,1982;Lotan et al.,The modulation and mediation of cancer by vitamins(ビタミンによる癌の調節及び媒介),pp.211-223.Basel:S.Karger AG,1983参照)、このため癌予防におけるレチノイド類の使用可能性について示唆している。しかも、最近になり、レチノイド類はある十分に形質転換された侵襲性新生物細胞で効果を発揮できて、ある場合には増殖を抑制し(Lotan,Biochim.Biophys.Acta,605:33-91,1980)、他の場合にはこれら細胞の終期分化を起こし、より良性の非新生物表現型にすることが示された(例えば、Brietman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77:2936-2940,1980参照)。
レチノイド類は嚢腫性ざそうの治療に有効であることも示された(例えば、Peck et al.,New Engl.J.Med.,300:329-333,1979参照)。嚢腫性ざそうに加えて、レチノイド療法はグラム陰性毛嚢炎、激症性ざそう、集蔟性ざそう、汗腺嚢瘍、頭皮の解離性蜂巣炎及びしゅさ性ざそうに有効であることが示された(例えば、Plewig et al.,J.Am.Acad.Dermatol.,6:766-785,1982参照)。
しかしながら、治療用量レベルにおける天然形のビタミンAの高毒性副作用(ビタミンA過剰症)のせいで、レチノイド類の臨床使用は制限されている(Kamm et al.,In:The Retinoids.Sporn et al.,(eds.),Academic Press,N.Y.,pp.228-326,1984;Lippman et al.,Cancer Treatment Reports,71:493-515,1987)。遊離形のとき、レチノイド類は周辺正常組織に接近でき、これが肝臓、中枢神経系及び骨格組織に対するそれらの深い毒性の根拠になるかもしれない。
したがって、レチノイド投与に伴う毒性を減少させる1つの可能な方法は薬物送達系の使用である。リポソーム方式はインビボにおいて薬物分布の態様をコントロールする上で有用なものである。これは本質的に有益な効果が起こるターゲット(例えば、腫瘍)部位で高濃度及び/又は長期薬物作用を達成し、一方有害な副作用が起こる他の部位で低濃度及び/又は短期間を維持する(Juliano et al.,In:Drug Delivery Systems,Julianoed.,Oxford Press,N.Y.,pp.189-230,1980)。薬物のリポソーム封入は制御的薬物送達の全問題に影響を与えると予想されるが、その理由は封入が薬物の薬物動態学、分布及び代謝を根本的に変えるからである。
治療目的でレチノイドのリポソーム処方を用いる上で更に困難がある。例えば、プレリポソーム粉末の形態で組成物を貯蔵することがよく望まれるが、多くの従来の処方はこのような使用に満足できず、その理由はそれらが不適当な量のレチノイドを含有しているか、又はそれらが水溶液で再調製されたときにそれらが望ましくないリポソームを生じるからである。
静脈内投与される組成物の場合、典型的には組成物は単一容器で少くとも約100mgの活性成分を与えられねばならない;それがもっと少量の活性成分を含有しているならば、実際上不可能なほど多数のバイアルが一人の患者に投薬する上で要求される。
典型的には120ccの容量を有するバイアルが市販凍結乾燥機に収容できる最大であり、50ccがこのようなバイアルに充填できる液体の最大量である。1g以上の脂質が50ccの液体容量中に含有されているならば、再調製後に得られたリポソームは非経口投与上許容されないサイズ分布を有する。これは凍結乾燥時における脂質の充填が溶液中における脂質の濃度により影響されるからである。このため、溶液中における脂質の濃度は制限されねばならない。しかしながら、これが以前に知られているリポソームレチノイド処方で行われるとき、レチノイドは結晶化して、再調製後じきにリポソームから分離しがちである。
脂質の濃度を制限して十分量のレチノイドを供給するためには、約1対10以上のレチノイド対脂質モル比にすることが必要である。以前に知られている処方はリポソーム中でこのような高充填量のレチノイドを有していなかったか、又は有することができないと考えられる。したがって、先行技術の問題を最少にするか又は解消する改善された組成物及び方法に関する必要性が存在している。
本発明はカロチノイド類の治療上有用な低毒性組成物に関する。組成物はカロチノイド、脂質キャリア粒子及び挿入プロモーター剤を含む。“カロチノイド”はレチノイド類、プロレチノイド類、カロチン類、キサントフィル類及びそれらのアナログを含めて本発明では用いられる。好ましい例は全トランスのレチノイン酸である。カロチノイドは脂質キャリア粒子中で脂質と共に実質上均一に分布されている。更に具体的には、カロチノイドは、水相ではなく、脂質キャリア粒子の疎水性部分全体に挿入位置で実質上均一に分布されている。“実質上均一に分布された”とは、脂質キャリア粒子の少くとも50%がカロチノイド:脂質約5:85〜約15:70のモル比でカロチノイドを含有していることを意味する。好ましくは、全脂質キャリア粒子の少くとも75%はこのような比率の活性成分を含有する。
組成物は水性環境中で安定である。この関係において、“水性環境中で安定”とは、組成物が(1)少くとも24時間にわたりいかなる治療上重要な分解も示さず、(2)その同期間にわたりリポソームの融合を実質的程度で示さず、(3)リポソームの水相中への薬物の実質的移動がなく及び結晶形への実質的状態変化がないことを含めてその同期間にわたりカロチノイドの実質的再分布を示さないことを意味する。
脂質キャリア粒子中におけるカロチノイド対脂質のモル比は約1:10以上であり、最も好ましくは少くとも約15:85である。挿入プロモーター剤は好ましくは組成物の少くとも約15重量%であり、適切には例えばトリグリセリドである。
“脂質キャリア粒子”は、極性頭部と非極性尾部を有する1以上の脂質から形成される二層構造を有したリポソームと、脂質のミセル、非晶質粒子及び他の脂質エマルジョン状態存在物を含めて本発明では用いられる。粒子がリポソームである場合、適切な形態には多重膜リポソームを含む。
本発明はカロチノイド、脂質キャリア粒子、挿入プロモーター剤及び薬学上許容されるキャリアを含んだカロチノイドの医薬単位投薬製剤にも関する。前記のように、カロチノイドは脂質キャリア粒子中で脂質と共に実質上均一に分布され、組成物は水性環境中で安定である。
もう1つの面において、本発明は、治療上有効量のカロチノイド組成物が生体に投与される、癌細胞の増殖を阻害する方法に関する。カロチノイド組成物は前記されたとおりでもよい。組成物はカロチノイド:脂質約5:85〜約15:70に維持されたモル比で被治療体に投与されることが好ましい。この関係において“維持された”とは、前記の薬物対脂質比が少くとも24時間続くことを意味する。
本発明は、遊離薬物と比較して、組成物の望ましくない毒性を実質上減少させながら、カロチノイドの治療利益を提供する。例えば、リポソーム中におけるレチノイン酸の封入で、遊離薬物と比較して、毒性が少くとも15倍減少している。
更に、挿入プロモーター剤の存在は活性成分対脂質の比率を以前に知られていた以上に増加させ、このため凍結乾燥をで粉末にしてから患者に非経口投与しうる溶液に再調製するという実用上の意味でこのような処方を有用にしている。いかなる特定の理論にも拘束されないならば、挿入プロモーター剤は、例えばリポソーム中に取り込まれるカロチノイドの量を制限している立体障害を克服すると考えられる。
例えばリポソーム内へのカロチノイド類の封入はそれらを細胞内部位に直接送達し、こうして細胞表面レセプターに関する必要性を回避している。これは、例えば血清レチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターを欠くが、レチノイン酸に関する細胞内レセプターを有する腫瘍の治療にとり、特に重要であろう。
本発明の組成物は、薬物分布の均一性に関して、従来のリポソームレチノイド処方よりも実質上改善されている。従来の組成物は本質的に薬物を含有していないリポソームを実質的パーセンテージでしばしば有していた。本発明において、組成物中で全リポソームの少くとも50%、好ましくは少くとも75%は前記範囲内で薬物を含有している。
図1は血清の存在(●)及び不存在(○)下におけるリポソームレチノイン酸(L−RA)安定性の時間プロフィールについて示している。
図2はRA(●)及びL−RA(▲)存在下で時間の関数としてヒト赤血球(RBC)溶解について示している。
図3はレチノイン酸(RA)濃度(●)及びL−RA濃度(▲)の関数としてRBC溶解について示している。
図4はRA濃度(●)、L−RA濃度(○)又は空リポソーム濃度(△)の関数としてTHP−1細胞増殖の阻害について示している。
図5はRA又はL−RA存在下で治療の関数としてヒト単球THP−1細胞におけるトランスグルタミナーゼ(TGアーゼ)の誘導について示している。
図6はRA濃度(●)、L−RA濃度(○)及び空リポソーム濃度(△)の関数としてヒト組織球U−937細胞増殖の阻害について示している。
図7は培養ヒト末梢血単球(HPBM)における組織TGアーゼ活性の蓄積の時間経緯について示している。HPBMは遠心水簸で小さい(○)及び大きい(●)部分集団に分別され、それらは物質及び方法のところで記載されたように35mmウェル組織培養プレートで培養された。指定された時点で細胞が洗浄され、音波処理され、TGアーゼ活性に関して調べられた。値は2つの皿で6回の測定の平均である。
図8はHPBM部分集団において組織TGアーゼ活性の誘導に関する組換えインターフェロン−ガンマ(rIFN−γ)の用量依存性効果について示している。小(○)及び大(●)単球は血清含有培地単独で又はrIFN−γの濃度を増加させて含有した培地で培養した。72時間後、細胞が回収され、細胞溶解物が組織TGアーゼ活性について調べられた。示された結果は個別ドナーで3回の測定の平均±SDを表している。
図9は培養HPBMにおいて組織TGアーゼ活性の誘導に関するレチノール(ROH)及びRAの効果について示している。細胞は様々な時間にわたり5%ヒトAB血清の存在下でかつ500nMROH(▲)又はRA(●)の不存在又は存在下で培養された。各時点の最後において、細胞が回収され、酵素活性に関して調べられた。示された値は2つの独立した実験で6回の測定の平均±SDである。補足図、72時間培養後にHPBMでROH(▲)及びRA(●)による組織TGアーゼ誘導に関する用量依存性曲線。
図10はHPBMにおいて組織TGアーゼの誘導に関する遊離及びリポソーム封入RAの効果について示している。A:細胞は指示された時間にわたり血清含有培地単独(△)、500nMリポソームRA(●)、500nM遊離RA含有培地(▲)又は“空リポソーム”(○)の存在下において組織培養皿で培養された。リポソームRA及び“空リポソーム”双方は脂質200μg/mlを含有していた。各時点の最後において、培養物が洗浄され、細胞溶解物はTGアーゼ活性に関して調べられた。示された値は2つの独立した実験で6回の測定の平均±SDである。B:単離されたばかりのHPBM(列1)と血清含有培地単独(列2)、500nM遊離RA含有培地(列3)、500nMリポソームRA(列4)又は“空リポソーム”(列5)の存在下において72時間培養されたHPBMにおける組織TGアーゼレベルのウェスタンブロット分析。25μgのタンパク質を含有した細胞溶解物が物質及び方法のところで記載されたようにウェスタンブロット分析に付された。
図11はHPBMにおいて組織TGアーゼの誘導に関する遊離及びリポソーム封入ROHの効果について示している。A:HPBM単層が72時間にわたり血清含有培地単独(△)又は1μMの遊離(○)もしくはリポソーム−ROH(▲)を含有した培地で培養された。次いで、培養物が洗浄され、細胞溶解物が物質及び方法のところで記載されたように酵素活性に関して調べられた。B:物質及び方法のところで記載されたように、単離されたばかりのHPBM(列1)と血清含有培地単独(列2)、1μMの遊離ROH(列3)もしくはリポソーム封入ROH(列4)を含有した培地の存在下において72時間培養されたHPBMにおける組織TGアーゼレベルのウェスタンブロット分析。25μgの細胞タンパク質が各列におかれた。
本発明による封入に適した治療カロチノイド類には様々なレチノイド類を含んでいる。トランス−レチノイン酸及び全トランス−レチノールが好ましい。適切と考えられる他のレチノイド類には:レチノイン酸メチルエステル、レチノイン酸エチルエステル、レチノイン酸のフェニルアナログ、エトレチネート、レチノール、酢酸レチニル、レチンアルデヒド、全トランス−レチノイン酸及び13−シス−レチノイン酸がある。
リポソームのような脂質キャリア粒子は、この分野でよく知られる方法により形成できる。適切なリン脂質化合物としてはホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、糖脂質、ガングリオシド、セレブロシド、ホスファチド、ステロール等がある。更に具体的には、使用できるリン脂質としては、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、ジラウリロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン及びジステアロイルスフィンゴミエリンがある。
ホスファチジルグリセロール、更に具体的にはジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)は本発明で使用上好ましくない。本発明のカロチノイド組成物において、DMPGの存在は異常サイズの非晶質構造の出現と関係しており、これは組成物を静脈内投与にもっと適さなくすると考えられる。DMPGが除かれると、非晶質構造は観察されない。DMPGの存在により明らかに引き起こされる望ましくない効果は、DMPGが負電荷を有して、カロチノイドのカルボキシレートと相互作用するという事実に起因しているのであろう。
加えて、ステロイド及びコレステロールのような他の脂質は、得られるリポソームにある望ましい及び既知の性質を付与するためにリン脂質成分と混和してもよい。更に、ヒドロキシル基、分岐炭素鎖、環式誘導体、芳香族誘導体、エーテル、アミド、多不飽和誘導体、ハロゲン化誘導体のような変化させた脂肪族部分又は炭化水素、グリコール、ホスフェート、ホスホネート、四級アミン、サルフェート、スルホネート、カルボキシ、アミン、スルフヒドリル、イミダゾール基及びこのような基の組合せを含む変化させた親水性部分を有した合成リン脂質は置換しても、あるいはリン脂質及び当業者に知られるその他と混和してもよい。
適切な挿入プロモーター剤は、顕微鏡分析、浮遊密度に基づく分離技術又は当業者に周知の他の技術から観察できるように、それらが水溶液で再調製された後にリポソームから実質上結晶化せずに、本発明にとり望ましいカロチノイド対脂質の高モル比を与える。トリグリセリドが好ましい挿入プロモーター剤であって、1つの具体例としては大豆油がある。他の適切な剤にはコレステロールのようなステロール、脂肪アルコール、脂肪酸、ポリソルベート、プロピレングリコール、モノ及びジグリセリドのようないくつかの部分にエステル化された脂肪酸とポリビニルアルコールのようなポリマーがある。
凍結乾燥前に、カロチノイド、脂質及び挿入プロモーター剤はt−ブタノールのような有機溶媒に溶解させることができる。プレリポソーム粉末を形成するための凍結乾燥は当業者に知られる市販装置を用いて行える。凍結乾燥後、その粉末は、攪拌及び場合により加熱の適用下で、無菌水、塩水溶液又はデキストロース溶液のような薬学上許容されるキャリアを加えることにより、例えばリポソームとして再調製することができる。
45mlのt−ブタノールに溶解させることができる好ましい処方は下記のとおりである:
Figure 0003691054
本発明の組成物は、例えば静脈内、動脈内、筋肉内、リンパ内、腹腔内、皮下、胸膜腔内又は髄腔内注射により、非経口的に患者に投与されることが好ましい。投与は局所適用又は経口投与によってもよい。好ましい投与量は40〜200mg/m2である。投薬は好ましくは腫瘍退化又は消失が達成されるまで時間スケジュールどおりに反復されるが、手術、放射線のような他の形態の腫瘍療法又は他の剤での化学療法と一緒であってもよい。
本発明は下記具体例:白血病及びリンパ腫のような血液悪性疾患、乳房、肺及び結腸のような癌とカポジ肉腫のような肉腫を含めた癌の治療に有用である。
例1
リポソーム−全トランス−レチノイン酸(L−RA)の製造
全トランス−レチノイン酸及びリン脂質を含有した凍結乾燥粉末の調製は下記のように行った。t−ブタノール中レチノイン酸(1〜5mg/ml)の溶液を7:3モル比でジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)及びジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)を含有した乾燥脂質フィルムに加えた。リン脂質を全トランス−レチノイン酸を含有したt−ブタノールに溶解し、溶液を一夜凍結乾燥させた。ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)及び全トランス−レチノイン酸を含有した粉末を得た。用いられた脂質:薬物比は10:1〜15:1であった。
凍結乾燥粉末からリポソームレチノイン酸の再調製は下記のように行った。凍結乾燥粉末は、全トランス−レチノイン酸を含有した多重膜リポソームを形成するために、室温で正常塩水とミックスした。この再調製法では、凝集物又は凝塊がない調製物を得るため、1分間マイルドなハンド振盪を要した。光学顕微鏡によると、再調製にされた調製物は狭いサイズ範囲の多重膜リポソームを含有していた。凝集物又は薬物塊は3回の異なる実験におけるリポソーム調製物で全く確認されなかった。
リポソーム全トランス−レチノイン酸調製物の封入効率及びサイズ分布は下記のように調べた。リポソーム全トランス−レチノイン酸調製物を30,000×gで45分間遠心した。レチノイン酸及び脂質を含有した黄色がかったペレットを得た。光学顕微鏡によると、そのペレットは結晶又は薬物凝集物がないリポソームから構成されていた。封入効率は、UVスペクトル測定で上澄中における遊離レチノイン酸の量を測定することにより、90%以上であると計算された。リポソームをコールター(Coulter)カウンター及びチャネライザー(Channelizer)でサイズ分けした。サイズ分布は下記のとおり:2マイクロメーター(μm)以下のリポソーム27%、2〜3μm 65%、5μm 14%、5μm以上1%であった。レチノイド類の封入に用いられた方法は単純で再現可能であり、大規模生産、例えば臨床試験に用いることができた。
更に、異なる脂質、脂質の比率及びH−全トランス−レチノイン酸の使用を除いて、同一の操作により実験を行った。利用された別の脂質はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ステアリルアミン(SA)及びコレステロールであった。リポソームの沈降後、残留Hを調べ、封入効率を計算した。表1は様々なL−RA調製物に関してこの方法で調べられた封入効率について示している。
Figure 0003691054
試験された脂質組成の中では、比率7:3〜9:1のDMPC:DMPGが優れた封入効率を示した。リポソーム全トランス−レチノール(L−ROH)をDMPC:DMPG7:3でL−RAに関して前記された方法により製造した。
例2
リポソームレチノイン酸の安定性
リポソームH−レチノイン酸(L−H−RA)を例1で記載されたようにDMPC:DMPG7:3で製造した。L−H−RAのサンプルをリン酸緩衝液(PBS)又は20%(容量による)牛胎児血清(FCS)含有PBSいずれかと共にインキュベートした。約37℃で様々なインキュベート時間後に、一部を取出し、リポソームを沈降させるために遠心した。上澄溶液中のトリチウムを測定して、H−RA放出率を調べた。図1は2日間にわたるH−RAの放出率について示している。L−H−RAは、20%FCSの存在下であっても、実験期間中約80%以上安定であった。
H−全トランス−レチノールがL−ROHを標識するために用いられて、PBS中における安定率が測定されたときには、H−ROHの約5%が37℃で24時間のインキュベート後に放出されただけであった。
例3
レチノイン酸又はリポソームレチノイン酸によるヒト赤血球(RBC)のインビトロ溶解
ヒト赤血球(RBC)の溶解は、以前に記載されたように(Mehta et al.,Biochem.Biophys,Acta.,Vol.770,pp.230-234(1984))、550ナノメーター(nm)における光学密度の増加の観察により上澄中でヘモグロビンの放出量を測定することにより定量した。ジメチルホルムアミド(DMFA)に溶解された遊離RAをRBCに加えた。適切な溶媒コントロール、空のリポソーム及び空のリポソーム+遊離薬物に関する結果にも留意した。水による同数のヒトRBCの低張性溶解によるヘモグロビン放出量を100%陽性コントロールとし、一方PBSで処理された細胞を陰性コントロールとした。
様々な脂質を含んだL−RAの調製物を37℃で4時間にわたりPBS中RBCと共にRA20マイクログラム(μg)/mlの濃度でインキュベートした。RBC溶解率に基づくL−RA調製物の毒性は表2で示されている。
Figure 0003691054
表2のデータからわかるように、DMPC:コレステロール、DPPC、DCPC:DMPG(7:3)及びDMPC:DMPG(9:1)のL−RAはこれらの条件下で低いRBC毒性を示した。後者2つのL−RA組成が優れた封入効率を示したことに注目することは興味深い(表1)。
RBCに対する遊離RA及びL−RA(DMPC:DMPG−7:3)の経時的な毒性に関する別の実験を行った。ヒト赤血球を遊離RA10μg/ml又はL−RA120μg/mlと共にPBS中37℃でインキュベートし、RBC溶解を5時間にわたりモニターした。図2はRBC溶解の時間経緯について示している。約1〜約3時間で、遊離RAは大部分の赤血球を大量に溶解させた。同様の操作を120μg/mlのRA濃度でL−RA〔DMPC:DMPG(7:3)〕で行ったとき、ほとんどRBC溶解は起きなかった(例えば、6時間後に10%以下)。
様々な濃度で遊離RA及びL−RA〔DMPC:DMPG(7:3)〕の2時間にわたるRBC溶解の効果に関する試験も行った。図3はこの試験の結果を示している。遊離RAはRA約5〜約30μg/mlで直線的にRBC溶解増加を示した。リポソームRAはRA160μg/mlの濃度で約5%のRBC溶解を起こしただけであった。
例4
遊離及びリポソームレチノイン酸の急性毒性
遊離及びリポソーム全トランスレチノイン酸の急性毒性をCD1マウスで試験した。遊離全トランスレチノイン酸は3〜5mg/mlの濃度で10%DMSO及び2%ツィーン 80含有正常塩水中のエマルジョンとして調製した。リポソーム全トランスレチノイン酸は15:1の脂質:薬物比を用いて調製した。リポソーム調製物中における全トランスレチノイン酸の最終濃度は3mg/mlであった。同脂質組成(DMPC:DMPG7:3)の空のリポソームも80mg/kg、100mg/kg及び120mg/kgのリポソーム全トランスレチノイン酸に相当する用量で試験した。10%DMSO及び2%ツィーン80を含有した正常塩水も50mg/kgの遊離全トランスレチノイン酸に相当する用量でコントロールとして試験した。試験されたすべての薬物は1回のボーラスで尾部血管から静脈内注射した。遊離及びリポソーム全トランスレチノイン酸の注射容量は各投与分とも同一であった。
表3はこれらの急性毒性実験から得られたデータについて示している。
Figure 0003691054
遊離全トランスレチノイン酸の最大無毒性用量は10mg/kgであった。それより高い用量では注射直後に発作を起こした。遊離全トランスレチノイン酸の急性LD50(注射後72時間以内に起きる死)は32mg/kgであった。死亡の原因はすべての動物で1〜2分間の発作後における心肺停止であった。発作又は死亡は120mg/kgの用量でリポソーム全トランスレチノイン酸により処理された動物で観察されなかった(最大無毒性用量及びLD50は120mg/kgより大きい)。それより高い用量は試験されなかった。発作は空のリポソーム又は10%DMSO及び2%ツィーン80含有の正常塩水で処理された動物で観察されなかった。
例5
腫瘍細胞増殖のインビトロ阻害
リポソーム全トランスレチノイン酸(L−RA)は例1で記載されたように製造した。
ヒト単球細胞系THP−1の細胞を、1マイクロモル(μM)の最終RA濃度でL−RAの存在下又は不存在下において、真核細胞培地のサンプル中に接種した。37℃で24時間後、H−チミジンを各培養物に加え、細胞ポリヌクレオチド中へのその取込み量を測定した。表4は異なる脂質組成のL−RAにより誘導されるH−チミジン取込み量の減少で反映される腫瘍増殖阻害率について示している。
Figure 0003691054
表4から、L−RA(DMPC:DMPG−7:3)は前記のように優れた封入効率を示し、低RBC毒性を示し(表1及び2)、腫瘍細胞増殖も効果的に阻害したことに留意するべきである。
ヒト単球細胞系THP−1及びヒト組織球細胞系U−937の細胞を、96ウェル微量滴定プレートのウェルに含有された真核細胞培地の一部に、約20,000細胞/細胞で接種した。様々なウェル中の培地は異なる量の遊離RA又はL−RA(DMPC:DMPG7:3)を含有していた。細胞を37℃で72時間インキュベートし、細胞増殖を調べ、いかなる形のレチノイン酸もないコントロールの場合と比較した。図4は遊離RA又はL−RA(DMPC:DMPG7:3)の濃度を増加させることによるTHP−1細胞増殖の阻害率について示している。RA 1μg/ml以下の濃度で、双方の調製物は90%以上まで細胞増殖を阻害した。
ヒト単球白血病THP−1細胞は、RA0.3μg/mlの濃度で遊離RA又はL−RAいずれかと72時間のインキュベート後に、それらの全体的な卵形を失い、細胞分化にしばしば伴うよりもっと平坦で広がった形態学的外観を有することが観察された。全体的な卵形は、細胞がいかなる遊離又はリポソームレチノイン酸も不存在下で培養されたときに留められていた。
もう1つの実験においてRA又はL−RA0.3〜0.6μg/mlと共に24時間インキュベート後に、THP−1細胞は単球細胞分化に関するマーカーである組織トランスグルタミナーゼ酵素活性のレベルを増加させた。図5で示されたように、THP−1細胞は4×10細胞/mlのとき、相当レチノイン酸濃度の遊離RAと比較すると、L−RAと共にインキュベートした場合約50%大きなトランスグルタミナーゼ酵素活性を示した。
ヒト組織球細胞系U−937の細胞を前実験のTHP−1細胞と同一の条件下で分配及び培養した。図6は遊離全トランスレチノイン酸(RA)、リポソーム(DMPC:DMPG7:3)、全トランスレチノイン酸(L−RA)及び空のリポソーム(レチノイン酸はない)の濃度を増加させた細胞増殖に関する効果について示している。U−937細胞は約10μg/mlのレチノイン酸濃度でL−RAによりほぼ完全に増殖阻害され、一方この量の遊離RAは50%以下で増殖を阻害したにすぎないことに注目するべきである。
例6
リポソーム全トランスレチノイン酸のインビボ抗腫瘍活性
リポソーム全トランスレチノイン酸(DMPC:DMPG7:3)の抗腫瘍活性をM5076細網肉腫の肝臓転移に対してインビボで試験した。C57BL/6マウスを0日目に20,000のM5076細胞で接種した。リポソーム全トランスレチノイン酸60mg/kgでの静脈内処理を4日目に行った。コントロール動物(無処理)の平均生存日は21.8±1.6日であった。処理動物の平均生存日は27.0±1.6日であった。したがって、リポソーム全トランスレチノイン酸は、インビトロ試験で遊離レチノイン酸に耐性であった細胞系(M5076)に対して、最大無毒性用量より十分低い用量で抗腫瘍活性を有することが示された。インビトロにおいてRA(1mM)で72時間処理されたTHP−1細胞は雄性マウスに皮下注射されたとき腫瘍に発育できなかったが、未処理細胞はこのようなマウスで大きな塊の腫瘍を形成した。
例7
レチノイド類の細胞内送達によるヒト末梢血単球中で組織トランスグルタミナーゼの誘導
循環血単球は、腫瘍拒絶(2)、遅延過敏症(25)、慢性炎症(6)の部位と治癒プロセス(11)の一部として損傷組織の部位で蓄積するマクロファージの前駆体である(セクションDの参考文献引用参照)。これらの部位において、末梢血単球は成熟又は分化プロセスに関連する新たな機能的及び生化学特徴を獲得する。分化に関与するメカニズムを明確に理解するためには、細胞外環境を操作して、様々な細胞機能及び生化学活性を正確に評価することが必要である。
ビタミンA及びそのアナログ(レチノイド類)は単球細胞の分化に大きな効果を発揮することが示された。正常(19)及び白血病(7,17,28)双方の単球細胞はレチノイド類に応答して分化するが、これはレチノイド類がこれら細胞の分化を調節する上で役割を果たすことを示唆しているのであろう。最近の報告によると、タンパク質の共有結合架橋を触媒する酵素であるトランスグルタミナーゼ(TGアーゼ)の細胞活性がレチノイドの作用に直接関係しているらしい(4,15,21,23,35,39,39)。最近、本発明者らは、マクロファージ様細胞へのヒト末梢血単球(HPBM)のインビトロ成熟が特定の細胞内TGアーゼ、組織TGアーゼの誘導及び蓄積に関連していることを発見した(19,22)。HPBMで殺腫瘍性質を促進するガンマ(γ)−インターフェロンも組織TGアーゼの発現を増加させた(19)。同様に、モルモット及びマウスマクロファージのインビボ活性化は組織TGアーゼ活性の著しい増加と関連していた(10,24,34)。ホルボールエステル及びレチノイン酸により誘導されるヒト単球白血病細胞(THP−1)の終期分化は組織TGアーゼの誘導及び蓄積に関連していたが(17)、これは組織TGアーゼの誘導が単球細胞分化のマーカーであることを示唆した。本発明はHPBMの分化及び成熟におけるレチノイド類の役割について更に明確にし、組織TGアーゼの発現に関するHPBMによるレチノイド類のインターナリゼーション(internalization)を阻害又は促進する培養条件の研究にも係わっている。本発明の研究では、2つの部分集団に分けられたHPBMがインビトロ培養又は組換えインターフェロンガンマ(rIFN−γ)との接触のいずれかで誘導された組織TGアーゼ活性を発現するそれらの能力に有意差を示さず、培養HPBMにおける組織TGアーゼの発現が細胞内部位へのレチノイド類の直接送達により誘導されることを照明している。
A.物質及び方法
1.物質
L−グルタミン及びヒトAB血清で補充されたRPMI−1640培地はギブコ・ラボラトリーズ(Gibco Laboratoies)(グランド・アイランド,NY)製であった;大腸菌由来ヒト組換えγ−インターフェロン(rIFN−γ)はゲネンテック社(Genentech Inc.)(サウス・サンフランシスコ,CA)から親切にも供与された;全トランス−レチノール(ROH)及び全トランス−レチノール(ROH)及び全トランス−レチノイン酸(RA)はシグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Co.)(セントルイス,MO)から購入した。クロマトグラフィーで純粋な脂質、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)及びジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)はアバンチ・ポラー・リピッズ(Avanti Polar Lipids)(バーミンガム,AL)製;トリチウム化プトレシン(sp.act.28.8Ci/mmol)はニュー・イングランド・ヌクレア(New1 England Nuclear)(ボストン,MA)製;トリチウム化ROH(sp.act.15mCi/mmol)はアマーシャム(Amersham)(アーリントン・ハイツ,IL)製であった。脂質、培地及び血清はリムルス属変形細胞溶解物アッセイ〔MAバイオプロダクツ(MA Bioproducts),ウォーカーズビル,MD〕で内毒素に関してスクリーニングし、それらは内毒素汚染が0.25ng/ml以下であるときのみ用いた。
2.HPBM単離、精製及び培養
HPBMの純粋な集団は、ルーチンの血小板フェレーシスをうけた正常ドナーから得られた単核白血球に富むフラクションの向流遠心水簸により得た(12)。HPBMをコールターZBIカウンター及びC−1000チャネライザー〔コールター・エレクトロニクス(Coulter Electronics),ハイアレア,FL〕でサイズに従い2つの部分集団に分けた。小さな単球の中間容量は255mm3であり、大きな単球の場合は280mm3であった。小さな単球は95±3%非特異的エステラーゼ陽性であり、大きな単球は98±2%陽性であった。これら部分集団の単離及び特徴付けに関する詳細な操作は他で公表されている(36,37)。小さな、大きな又は混合された(等量の小さな及び大きなHPBMをミックスすることで得られた)HPBM部分集団を培地(L−グルタミン、20mMHEPES緩衝液、20μg/mlゲンタマイシン及び5%ヒトAB血清で補充されたRPMI−1640)で一度洗浄し、同培地に0.5百万/ml密度まで再懸濁した。細胞を35mmウェルプレート中に4mlサンプルで分配し、適切な条件下で培養した。
3.酵素アッセイ
細胞抽出物中における組織TGアーゼ活性をジメチルカゼイン中への〔H〕プトレシンのCa2+依存性取込みとして測定した。簡単に言えば、培養HPBMをトリス緩衝液(20mMトリスHCl、0.15M NaCl、pH7.6)で3回洗浄し、1mMEDTA及び15mMβ−メルカプトエタノールを含有した再少量の同緩衝液で皿からかきとった。細胞を音波処理で溶解させ、溶解物中におけるTGアーゼ活性を以前に記載されたように調べた(13,20)。細胞溶解物中におけるタンパク質含有量は標準として牛γ−グロブリンを用いてローリー(Lowry)の方法(14)により調べた。酵素活性はジメチルカゼイン/hr/mg細胞タンパク質中に取り込まれたプトレシンのナノモルとして表示した。
4.組織TGアーゼの免疫化学検出
細胞抽出物で組織TGアーゼを検出するために、細胞溶解物を1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.75M β−メルカプトエタノール、2.5%スクロース及び0.001%ブロモフェノールブルーを含有した20mMトリスHCl(pH6.8)に溶解させた。溶解された抽出物を6.5%不連続ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動により分別し、ニトロセルロースペーパー上にエレクトロブロットした。そのペーパーを5%牛血清アルブミンで中和し、ヨウ素化抗組織TGアーゼ抗体で処理した;この抗体の産生、特徴及び性質は他で記載されている(24)。未結合抗体を200mMNaCl、5mMEDTA、0.5%トリトンX−100、0.1%SDS及び0.25%ゼラチンを含有したトリスHCl緩衝液(50mM、pH7.5)でペーパーを洗浄することにより除去し、ペーパーを乾燥し、以前に記載された(20,24)のようにオートラジオグラフィーに付した。
5.リポソームの製造
7:3のモル比でDMPC及びDMPGを含有した多重膜小胞(リポソーム)は記載されたように製造した(16,18)。全トランスROH又はRAを真空乾燥前に必要量の薬物(エタノールに前溶解されている)を脂質含有有機溶媒に加えることで封入した。乾燥された脂質−薬物フィルムを無菌塩水溶液に攪拌により分散させた。1:10薬物:脂質比以内のレチノイド類であればリポソーム内に完全に封入することができ、高度に安定であった。リポソーム調製物の安定性及び封入効率は放射性同位元素標識レチノールを用いて試験し、取込まれた放射能の5±2%が37℃で24時間のインキュベート後に上澄に漏出しただけであることを示した。
6.〔H〕ROHに関する結合アッセイ
単離したばかりのHPBMを血清含有培地単独又は培地+50単位(U)/mlrIFN−γ中で様々な時間にわたり培養した。示された時間の最後に、HPBM単層を氷冷培地で2回洗浄し、5%脱脂質化ヒトAB血清(血清脱脂質化は以前に記載されたように有機溶媒抽出により行った(33))で補充されたRPMI培地中に5.0μCi/ml〔11,12(n)H〕ビタミンA(遊離ROH)を含有した前冷却反応混合液0.5mlに再懸濁した。結合アッセイは氷浴中で1時間行った。1時間のインキュベート後、単球単層を氷冷培地で6回洗浄し、細胞をトリトンX−100 200μlに溶解した。細胞溶解物の一部50μlを三重に細胞関連放射能についてカウントした。回収前に1時間インキュベートの最後の方で反応混合液を加えることにより得られたバックグラウンドカウントは実験値から差し引いた。
B.結果
1.HPBMのインビトロ培養時における組織TGアーゼ誘導
10日間以内で血清含有培地の存在下におけるHPBMの培養は小さな及び大きな双方のHPBMで組織TGアーゼ活性の顕著な誘導と関連しており(図7)、酵素活性の増加は約4日間の培養後に更に急速であった。培養10日後、小さな単球は酵素活性について(0.44から41.1nmol/hr/mgに)93倍の増加を示し、一方大きなHPBMは酵素活性について(0.36から37.4nmol/hr/mgに)約103倍の増加を蓄積した。一緒にミックスされて同様の条件下で培養された小さな及び大きなHPBMは、個々のHPBMフラクションの場合と比較して、組織TGアーゼ活性の蓄積の速度及び量に有意差を示さなかった(データ示さず)。酵素活性の誘導は培養された単球の形態上における変化と関連していた。単離されたばかりのHPBMは丸くみえたが、培養6〜8日後に大きな及び小さな双方のHPBMはプラスチック表面に堅固に付着するようになり、もっと広がり平坦化して、成熟マクロファージに典型的な外環を有していた。10日までに、細胞は酵素活性の最高レベルに蓄積し、このレベルは次いでプラトーに達するか、あるいは下降し始めた。
2.組織TGアーゼ発現に関するrIFN−γの効果
HPBM中組織TGアーゼ活性の誘導に関するrIFN−γへの連続接触の効果は図8で示されている。小さな及び大きな単球は濃度を増加させながらrIFN−γの存在下で72時間にわたり血清含有培地で培養した。HPBM集団の酵素活性は、培地単独の存在下で培養された細胞の場合と比較して、rIFN−γとのそれらの連続接触後に有意に増加した。しかしながら、rIFN−γ用量サイズは2つのHPBM集団間で酵素活性に有意差を生じなかった。以前に記載されたように(19)、100U/ml用量のrIFN−γがTGアーゼ活性を増加させる上で最適のようであった;それ以上のrIFN−γ濃度はそれほど有効でなかった。組織TGアーゼ活性に関するrIFN−γの誘導効果は5U/mlで明白であり、rIFN−γ(100U/ml)によるHPBM培養物の前処理、しかる後洗浄、次いで培地単独での培養は組織TGアーゼの発現を高めなかった。組織TGアーゼのrIFN−γ誘導増加はHPBMの形態的変化と関連しており、rIFN−γ処理細胞は培養3日後に未処理コントロール細胞よりも広がって平坦化した。
3.組織TGアーゼ誘導に関するレチノイド類の効果
2つのHPBM集団は誘導された組織TGアーゼレベルに関して不均一性を示さなかったため、我々のその後の研究は部分集団に分離せず全HPBMフラクションで行った。500nMRAの存在下で24時間培養されたHPBMは、培地単独で培養されたコントロール細胞の場合よりも少くとも3倍高い酵素活性を蓄積した(図9)。RAとの連続接触は酵素活性に関して急速で直線的な増加を引き起こし、一方コントロール細胞では組織TGアーゼ活性のレベルに関する有意の変化が2日以内の培養で観察されなかった。3日目までに、コントロール細胞は単離されたばかりのHPBMの場合(0.6nmol/hr/mg)よりも約6倍高い酵素活性(3.4nmol/hr/mg)を蓄積したが、それらはRA処理細胞(9.8nmol/hr/mg)よりもかなり低い酵素活性を有していた。組織TGアーゼのレチノイン酸誘導発現は用量依存性であった(図9補足)。RAの生理学的アナログROHは1μMの用量であってもHPBMで組織TGアーゼの発現を誘導しなかった。このため、3日以内にわたりROHの存在下で培養されたHPBMは、培地単独で培養されたコントロール細胞の場合と比較して、組織TGアーゼ活性の蓄積に関し有意差を示さなかった(図9)。
4.組織TGアーゼ誘導に関するリポソーム封入レチノイド類の効果
リポソーム封入RAは、等モル濃度の遊離RAの場合よりも、組織TGアーゼ発現を誘導する上で有効であった。24時間の培養後、500nMの等モル濃度で遊離又はリポソームRAにより誘導されたHPBMにおける組織TGアーゼ活性の量は有意には異ならなかった(各々3.4及び3.7nmol/hr/mg);しかしながら、48及び72時間後、リポソームRA処理細胞は遊離RA処理細胞の場合よりも少くとも50%多く酵素活性を蓄積した(図10)。リポソーム封入RAによる酵素活性の増加が脂質ではなくRAに特有の効果であることは、“空のリポソーム”の存在下で等量の脂質を含有したHPBMの培養物がインキュベート時間中に酵素活性を誘導しなかったという事実により証明された。以前に報告された“空のリポソーム”(20)は72時間の培養後に組織TGアーゼの血清誘導発現を阻害した(図10A)。酵素活性に関する遊離又はリポソームRA誘導増加は、組織TGアーゼに対するヨウ素化抗体を用いた細胞溶解物のウェスタンブロット分析により示されるように、酵素ペプチド量の増加により引き起こされた(図10B)。酵素活性の増加は酵素ペプチドの増加に比例しており、先在酵素の活性化により起きたわけではなかった。
レチノールは、その遊離形のときHPBMで組織TGアーゼの発現を高めることができないが、リポソーム形態で与えられたとき活性になった。リポソーム封入ROHは培養時間経過に従い組織TGアーゼ活性の急速で直線的な増加を起こした(図11A)。72時間の培養後、リポソーム−ROHは、同様の条件下で遊離ROHに接触されたコントロール細胞の場合(0.8nmol/hr/mg)と比較して、9倍の酵素活性増加(7.1nmol/hr/mg)を起こした。組織TGアーゼのリポソームROH誘導発現は、ウェスタンブロット分析により証明されるように、酵素ペプチドの蓄積増加に起因していた(図11B)。
5.組織TGアーゼ誘導はレチノイド類のHPBM取込みと関連している
HPBMによるトリチウム化ROHの結合に関するインビトロ成熟及びrIFN−γ処理の効果を試験した。4日間のコントロール培養(中間用量)後、HPBMによるトリチウム化ROH結合は単離されたばかりの細胞によるこの結合と比較して50%増加した。9日後、コントロール培養結合値は350%まで増加した。ROH結合の増加は組織TGアーゼ活性の並行した増加と関連していた(表5)。
Figure 0003691054
rIFN−γへのHPBMの接触はROH結合及び酵素活性の発現を増加させた。rIFN−γ処理細胞は、同期間にわたり血清含有培地単独の存在下でインキュベートされたコントロール細胞の場合よりも3倍高い〔H〕ROH結合を示した。反応混合液中における脱脂質化血清の存在は必須であった;全カウントの10%だけが脱脂質化血清が反応混合液から省かれたときに細胞関連であった。
C.結論
この例で報告された結果は、HPBMがそれらのサイズ及び密度に基づき2つの集団に分けられたとき、成熟マクロファージに分化する可能性を同等に有することを示唆した。マクロファージへのHPBMのインビトロ成熟は、おそらく血清レチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターの獲得の結果として、レチノールの結合及び取込み増加と関連していた。72時間にわたるrIFN−γへのHPBMの接触は〔H〕ROHの結合増加を導いたが、これはインビトロで9日目培養されたコントロールHPBMの結合活性に匹敵した。インビトロ培養又はrIFN−γへの接触により誘導されるHPBM成熟は類似した形態的及び酵素的変化を伴った。血清レチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターの必要性はROHの直接細胞内送達で回避することができた。
最近、いくつかのレポートでは単球細胞分化と組織TGアーゼの誘導との関連性について示唆した(10,17,19,21-24,34)。非常に低いレベルの組織TGアーゼを有する単離されたばかりのHPBMは、それらのインビトロ成熟後に大量にこの酵素を蓄積する(19,22)。2つの部分集団のHPBMがマクロファージへのインビトロ分化時に組織TGアーゼ活性を誘導及び蓄積するそれらの能力に関して有意差を示さなかったように、双方のフラクションは酵素発現増加に関するrIFN−γの効果に対して等しく応答した(図8)。同様の基準で分けられたHPBM部分集団の機能的不均一性は既に報告されている。このため、小さな及び大きな集団に分けられたHPBMの部分集団は異なる量の反応性酸素種(37)、プロスタグランジン(1,30)、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(27)及び殺腫瘍細胞性(26)を生じることが報告された。HPBM部分集団間におけるこの機能的不均一性は成熟又はクローンいずれかの差異に関与していた。しかしながら、本明細書で示されたデータは、単球細胞分化のマーカーである組織TGアーゼの誘導に関してHPBM部分集団間で不均一性を示さず、成熟マクロファージへの分化に関して等しい可能性を示す。双方のHPBM部分集団で組織TGアーゼ発現を高めるrIFN−γの能力は、この内因性サイトカインが単球細胞で成熟、分化及び分化された機能の発現に重要な役割を果たすことを示唆している。
培養HPBM及びマクロファージで組織TGアーゼの誘導及び蓄積に関与する血清中の因子は内因性レチノイド類及び血清レチノール結合タンパク質であることが示された(21)。血清からレチノール結合タンパク質の脱脂質化又は枯渇化によりレチノイド類を抽出すると、その酵素誘導能力を完全に失った(19,21)。血清レチノール結合タンパク質は特定のターゲット組織へのレチノールの血管内輸送及び送達に関与していると考えられる(8,9,29,31)。ターゲット細胞の表面上に存在する血清レチノール結合タンパク質に関するレセプターは送達プロセスの特異性に関与している(9,31)。細胞表面レセプターへのROH−レチノール結合タンパク質複合体の結合は、細胞の内部へのROHの送達を明らかに促進する(9,31)。他方、過生理学的用量(10nM以上)で、RAはレチノール結合タンパク質に関する表面レセプターの関与なしに単純な拡散で直接細胞に入ることができる(21)。これは、単離したばかりのHPBMが血清レチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターをたぶん欠いており、そのため内因性又は外来レチノイド類をインターナリゼーションできないことを示唆した。実際に、レセプター媒介送達が無関係になる用量(例えば、10nM以上)でHPBM培養物への外来RAの添加は、組織TGアーゼ活性の著しい誘導を起こした(図9)。RAの酵素誘導能力はリポソーム内にRAを封入することで更に増加され、食作用でそのインターナリゼーションを行う(図10)。
遊離形のとき単離されたばかりのHPBMで組織TGアーゼの発現を誘導しないROHの効果は特に興味深かった。しかしながら、ROHがリポソーム内に封入されると、血清レチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターの必要性は回避された。このため、リポソームROHはHPBMで有意レベルの組織TGアーゼ活性を誘導した(図11)。これは毒性作用なしで又は最少でレチノール又はその不活性アナログを単球細胞に向ける有効なアプローチについて示唆した。血清レチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターを欠いたHPBMは、投与されたROHを他の細胞タイプで非特異的にインターナリゼーションしやすくしているためである。更に本研究では、ROH−レチノール結合タンパク質複合体と細胞表面レセプターとの相互作用がレチノールの細胞内送達に関してのみ要求され、他のホルモン(3)のケースとは異なり、リガンド−レセプター相互作用が最終局面の発現に第二メッセンジャーを必要としないことを示唆した。遊離RA又はリポソーム封入RAもしくはROHにより誘導されたTGアーゼ酵素活性の増加は、組織TGアーゼに対するヨウ素化抗体を用いた細胞溶解物の免疫ブロットにより示されるように、先在酵素の活性化によるよりもむしろ酵素タンパク質の蓄積の結果であった(図10、11)。
トリチウム化ROH結合に関する予備データ(表5)は、成熟マクロファージへのHPBMのインビトロ分化がレチノール結合タンパク質に関する細胞表面レセプターの獲得と関連しており、rIFN−γでの処理がこれらレセプターの発現を増加させるという概念を更に支持した。HPBMがこれらのレセプターを獲得すると、それらは内因性レチノイド類をインターナリゼーション化して、組織TGアーゼの発現を誘導できる。実際に、レチノイド類は骨髄球細胞で組織TGアーゼに関する遺伝子を誘発することが特に示された(23)。
レチノイド欠乏動物におけるマクロファージ機能の障害は、感染率を増加して殺腫瘍細胞性を減少させることが十分に証明されている(5)。モルモット末梢マクロファージの培養で、RAは殺腫瘍性酵素アルギナーゼに関する細胞内レベルを増加させることが報告された(32)。レチノイド類がHPBMの分化プロセスで重要な役割を果たすという本発見は、レチノイド類が単球/マクロファージ機能の重要なレギュレーターであるという考えを支持している。
Figure 0003691054
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以上の記載は本発明の具体的態様について説明するためである。それはすべての可能な態様の網羅的リストであるわけではない。当業者であれば、開示された具体的な態様に変更が加えられ、しかもこれが本発明の範囲内に留まることを認識するであろう。

Claims (11)

  1. 77重量%のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、14重量%の大豆油及び9重量%の全トランス−レチノイン酸(トレチノイン)を含んでなるリポソームレチノイド組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物及び薬学上許容されるキャリアを含んでなる、レチノイド組成物の医薬単位投薬製剤。
  3. ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)対製剤の全液体容量の比率が1g:50cc以下である全液体容量を有する、請求項2に記載の製剤。
  4. 製剤が少くとも100mgのレチノイドを含有している、請求項2に記載の製剤。
  5. 製剤が50cc以下の全液体容量を有する、請求項2に記載の製剤。
  6. 77重量%のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、14重量%の大豆油及び9重量%の全トランス−レチノイン酸(トレチノイン)を含んでなる、薬剤としての使用のためのリポソームレチノイド組成物。
  7. ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)対レチノイド組成物の全液体容量の比率が1g:50cc以下である全液体容量を有する、請求項6に記載の組成物。
  8. レチノイド組成物が少くとも100mgの全トランス−レチノイン酸(トレチノイン)を含有している、請求項6に記載の組成物。
  9. レチノイド組成物の全液体容量が50cc以下である全液体容量を有する、請求項6に記載の組成物。
  10. 癌細胞増殖阻害用薬剤の製造のために、77重量%のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、14重量%の大豆油及び9重量%の全トランス−レチノイン酸(トレチノイン)を含んでなるリポソームレチノイド組成物を使用する方法。
  11. 癌治療用薬剤の製造のために、77重量%のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、14重量%の大豆油及び9重量%の全トランス−レチノイン酸(トレチノイン)を含んでなるリポソームレチノイド組成物を使用する方法。
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