JP3690742B2 - 水道水の供給方法及び供給設備 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、水道水の供給方法及び供給設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水は人の日常生活に欠くべからざるものである。そのため、地震等の災害によって水道管が破損した場合に、生活用の水を供給するために、学校、公園などの公共用地に貯水槽を設け、ここに水道水を蓄えておき、災害の発生した場合には、この水を生活用水として供給するという計画がなされている。
【0003】
水道水は、これを貯水槽内に蓄えたまま放置したのでは、腐敗し汚染されて生活用水として使用できなくなる。従って、貯水槽に蓄えられた水は常時循環されなければならない。そのために、貯水槽はその傍らを通っている水道管に接続されて、貯水槽内の水が常に循環するようにされている。すなわち、貯水槽は、流入管と流出管とによって水道本管に接続され、水道本管内を通る水道水が常に流入管から貯水槽内へ流れ込むと同時に、流出管から流れ出るようにして、貯水槽内の水を絶えず更新している。
【0004】
地震の発生時には、水道本管が破損し、このために水道本管内に汚水が流れ込み、貯水槽内に蓄えられた水がこの汚水によって汚染されるおそれがある。そこで、このような場合に備えて、水道本管と貯水槽との間を接続している流入管と流出管とを閉じて、水道本管を流れる水が貯水槽内へ流れ込まないようにする必要がある。このための試みも知られている。
【0005】
その試みの1つは、水道本管、流入管及び流出管のそれぞれに二方口弁を付設することを要旨とするものである。その試みは、これを詳しく云えば、図1に模型的に示したように、水道本管1と貯水槽2との間を接続している流入管3と流出管4とに、それぞれ二方口弁を付設して、これらの弁を緊急遮断弁P及びQとし、流入管3と流出管4との間にある水道本管部分に二方口弁を付設してこれを緊急開放弁Rとする、と云うものである。この試みでは、地震が起きた場合に、緊急遮断弁PとQとが閉じるとともに、緊急開放弁Rが開いて、水道本管1から水道水が貯水槽2内へ流れ込まないようにしている。このような試みは、例えば実公昭62−11814号公報に記載されている。
【0006】
また、緊急時に水道水が貯水槽へ流れ込まないようにする他の試みは、流入管と流出管とに跨って四方口弁を付設することを要旨とするものである。この試みは、詳しく云えば、図2に模型的に示したような配管構成を採るものであって、水道本管1と11との間を切断して、そこに流入管と流出管とを付設し、流入管と流出管とに跨って四方口弁Sを付設したものである。
【0007】
図2に示した配管構成では、正常時には水道水が水道本管1から流入管3を通り、四方口弁Sの入口Aから入って出口Dから出て、流入管3’を経由して貯水槽2へ入り、貯水槽2内の水は流出管4’を通り、四方口弁Sの入口Cから入って出口Bから出て、流出管4を通って水道本管11へ流れ込むこととされる。こうして貯水槽2内の水は更新される。
【0008】
図2に示した配管構成では、緊急時に四方口弁Sが作動して出口Dと入口Cとが閉じられる。その結果、水道本管1からの水道水は流入管3を経て四方口弁Sへ流入するが、流入した水は四方口弁Sの出口Bから流出管4を通って水道本管11へ流出することとなる。こうして、水道水は貯水槽2へは流れ込まなくなる。このような提案は、例えば特許第2607527号公報に記載されている。
【0009】
図1及び図2に示される配管構成によれば、そこに付設されている緊急作動弁が説明どおりに作動すれば、貯水槽の水が更新され、地震等の災害が発生した緊急時には生活用水が確保されることとなる。ところが、これまでの提案では、これらの配管構成において緊急作動弁を作動させる機構に問題があった。
【0010】
例えば、実公昭62−11814号公報では、図1における緊急遮断弁P又はQを作動させるのに水道水の圧力差を利用することとしているが、水道水の圧力差を利用するものは構造が複雑なために故障が多く、緊急時に確実に作動することが保障されない。なぜならば、緊急作動弁Pを作動させるためには、図3に示したようなパイロット弁9、9’とスプリングを内臓した主弁10とからなる操作装置を使用する必要があって構造が複雑だからであり、とくに主弁10ではスプリングが常に水中に浸漬されているため、腐蝕されて緊急時に作動しなくなるからであり、さらには、水道水の圧力差を利用しているために、水道水が流れなくなると作動できなくなるからである。
【0011】
また、四方口弁を使用することとしている特許第2607527号公報では、水圧の異常信号を電磁ソレノイドが検知してロック装置を解除し、これによってアームが回動可能となって、アームウエイトにより回動されて四方口弁の弁軸を回動させる、と説明されている。しかし、電磁ソレノイドを利用するには電気が必要とされるので、地震時には停電が伴なうことを考慮すると、この方法は、矢張り緊急時には作動しなくなる、という問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明者は、上述のような事情に鑑み、緊急時に、緊急作動弁、すなわち上述のような二方口弁又は四方口弁を自動的に確実に作動させるためには、別の機構を案出する必要を感じた。この発明は、このような必要に応じて生れたものである。
【0013】
【課題解決のための手段】
この発明者は、上述の課題を解決するための手段として、ボンベに蓄えられた気体の圧力を原動力として利用するのが適していることを見出した。すなわち、例えば加圧空気又は窒素等を蓄えたボンベを用意し、通常はボンベの加圧気体が常に緊急作動弁に働いて水道水を正常時の流れに維持しており、水道本管を流れる水道水の圧力が或る設定値より低下したとき、ボンベの加圧気体が緊急作動弁を開閉させて水道水を緊急時の流れに変えるようにするのが適していることを見出した。また、ボンベの加圧気体を正常時と緊急時とを通じて常に緊急作動弁に作用させても、緊急作動弁を開閉させない限り、ボンベの加圧気体はさほど消失するものでないことを確かめた。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0014】
この発明は、上述のような不慮の場合に備えた、加圧気体による水道水の供給方法と、その設備とを提供するものである。すなわち、この発明は一面では水道水の供給方法を提供し、他面では水道水の供給設備を提供するものである。
【0015】
この発明に係る水道水の供給方法は、水道水を供給する水道本管の傍らに貯水槽を設け、水道本管と貯水槽との間を流入管と流出管とで接続し、水道本管、流入管及び流出管の何れかに緊急作動弁を付設し、正常時には水道本管内を流れる水道水を貯水槽を通って流し、緊急時には水道水を貯水槽に通さないで流すようにした水道水の供給方法において、上記緊急作動弁の近くに加圧気体を蓄えたボンベを設置し、緊急作動弁にはアクチュエータを付設し、水道本管を流れる水道水の圧力が設定値以上である間は、ボンベからの加圧気体をアクチュエータの一側に入れて緊急作動弁に上記正常時の水道水の流れを維持させ、水道本管を流れる水道水の圧力が設定値より低下した時、ボンベからの加圧気体をアクチュエータの他側に入れて、緊急作動弁を作動させ、上記緊急時の水道水の流れに変更することを特徴とするものである。
【0016】
また、この発明が提供する水道水の供給設備は、水道水を供給する水道本管の傍らに貯水槽を設け、水道本管と貯水槽との間を流入管と流出管とで接続し、水道本管、流入管及び流出管の何れかに緊急作動弁を付設し、正常時には水道本管内を流れる水道水を貯水槽を通って流し、緊急時には水道水を貯水槽に通さないで流すようにした水道水の供給設備において、上記緊急作動弁の近くに加圧気体を蓄えたボンベを設置し、緊急作動弁にアクチュエータを付設し、ボンベとアクチュエータとの間に加圧気体を送るための通気管を付設し、通気管は制御弁を通り分岐してアクチュエータの少なくとも2個所に接続され、制御弁は水道本管内を流れる水道水の圧力の変化に伴ない、通路を変更できて通気管を開き又は閉じることができるようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
水道水の圧力によって通気管の選択をする制御弁は、水道水の圧力感知部と気体の通路変更部とを備えていることが好ましい。圧力感知部は水道水の圧力によって形状を変化するもの、例えば膨らむというようなダイヤフラムを含み、通路変更部はダイヤフラムに付設された軸の移動によって、流体通路を変更するものであることが好ましい。
【0018】
また、この通路変更部は一方で通気管に加圧気体を送り、他方で他の通気管内に溜められていた加圧気体を大気中に放出するものであることが好ましい。この点では、通路変更部は一種の四方口弁であるとも云える構造のものであることが好ましい。
【0019】
この発明を実施の一例について、図面に基づき説明すると次のとおりである。図4と図5とは、緊急作動弁として二方口弁を用いた場合のこの発明の水道水供給設備を模型的に示したものであって、そのうち、図4は正常時の状態を示し、図5は緊急時の状態を示している。また、図6と図7とは、緊急作動弁として四方口弁を用いた場合のこの発明の水道水供給設備を模型的に示したものであって、そのうち図6は正常時の状態を示し、図7は緊急時の状態を示している。また、図8と図9とは、緊急作動弁として三方口弁を用いた場合のこの発明の水道水供給設備を模型的に示したものであって、そのうち、図8は正常時の状態を示し、図9は緊急時の状態を示している。図10は、この発明で用いることのできる三方口弁の断面図である。
【0020】
図4に示したこの発明に係る設備は、次のように構成されている。水道本管1は途中で切断されて、流入管3により貯水槽2に接続され、貯水槽2は流出管4により水道本管11に接続されている。こうして、水道本管1からの水道水は、流入管3を経て貯水槽2へ入り、流出管4を経て水道本管11へ流れる。これが正常時の水道水の流れである。
【0021】
緊急時の流れにするために、図4及び図5では流入管3側に緊急遮断弁Pが付設され、流出管4側に緊急遮断弁Qが付設される。緊急遮断弁PとQとは何れも二方口弁であって、緊急作動弁の一種である。
【0022】
緊急遮断弁PとQとが作動して水道水の流れを閉じた時、水道水を水道本管1から11へ流すために、水道本管1と同じ径のバイパス管20が水道本管1と11との間に付設されている。バイパス管20には、二方口弁からなり、緊急作動弁の一種である緊急開放弁Rが付設されている。こうして作られた水道水の供給設備は、図1に模型的に示した設備と同じである。なお、ここで用いることのできる二方口弁は、例えば実公平6−30913号の図2に示したような構造のものである。
【0023】
図4に示した設備では、緊急作動弁P、Q、Rの近くに加圧気体を蓄えたボンベXが設置されている。加圧気体としては不活性ガスを用いることが好ましいが、また空気、窒素のような無害なガスを用いることが好ましい。また、二酸化炭素であってもよい。ボンベXは、通気管60により制御弁Yに接続されている。
【0024】
制御弁Yは、水道水の圧力感知部71と気体の通路変更部72とを備えている。圧力感知部71はダイヤフラム73を含み、ダイヤフラム73は水道本管1と11との間に付設された細管70から導入される水道水に接している。従って、水道水の水圧が高い間はダイヤフラム73は膨らんでいる。ところが、この水圧が低下すると、ダイヤフラム73は縮み、ダイヤフラム73が縮むと、ダイヤフラム73に付設された軸が移動して通路変更部72における通路が変更される。
【0025】
このため、水道水の圧力が或る設定値以上である間は、例えば通路変更部72が右半部に模型的に示したような状態となって、通気管60と第1通気管40とが連通することとなる。ところが、水道水の圧力が設定値より低下すると、通路変更部72は左半部に模型的に示したような状態となって、図5に示したように、通気管60は、第1通気管40と遮断され、第2通気管50と連通することとなる。
【0026】
図4に示した設備では、緊急遮断弁P、Qと緊急開放弁Rとにそれぞれピストン式のアクチュエータ31、32、33が付設されている。これらのアクチュエータでは、それぞれピストンの一側が通気管41、42、43に接続しているが、これらの通気管41、42、43はその先がさらに同じ1つの第1通気管40に接続されている。従って、第1通気管40に導入された加圧気体は、アクチュエータ31、32、33を一斉に同じように作動させる。
【0027】
また、アクチュエータ31、32、33は、それぞれのピストンの他側が通気管51、52、53に接続され、これらの通気管はさらに同じ1つの第2通気管50に接続されている。第2通気管50は制御弁Yに接続されている。従って、第2通気管50に加圧気体が導入されると、アクチュエータ31、32、33は一斉に同じように前とは反対方向に作動する。
【0028】
図4は、この発明に係る給水設備の正常時の状態を示している。すなわち、水道本管を流れる水道水の圧力が設定値以上となっている場合の状態を示している。このとき、制御弁Yは通路変更部72が右半部に示したような状態となって、通気管60が第1通気管40と連通しているが、第2通気管50との間では遮断されている。このとき、第2通気管50は通路変更部72から大気に通じて、第2通気管50内の気体を大気中に放出できる状態になっている。従って、図4では、ボンベから送られてくる加圧気体は、第1通気管40から通気管41、42、43に分かれてそれぞれアクチュエータ31、32、33に入り、ピストンを矢印7方向、すなわち通気管41、42、43から遠ざける方向に押している。そのため、緊急遮断弁PとQとは開いた状態に維持され、緊急開放弁Rは閉じた状態に維持されている。
【0029】
図5は、図4に示したこの発明に係る給水設備の緊急時の状態を示している。すなわち、水道本管を流れる水道水の圧力が設定値より低下した場合の状態を示している。このとき、制御弁Yは、圧力感知部71のダイヤフラム73が縮み、ダイヤフラム73に付設された軸が移動するので、通路変更部72は左半部に模型的に示したような状態となる。
【0030】
図5に示したように、制御弁Yの通路変更部72が左半部に示した状態になると、通気管60が第2通気管50と連通し、第1通気管40は大気に通じることとなる。従って、ボンベXからの加圧気体は、通気管60から第2通気管50を通り、次いで通気管51、52、53を経由してそれぞれアクチュエータ31、32、33へ導入される。このため、各アクチュエータ31、32、33内のピストンは、通気管51、52、53から遠ざかる方向へ押される。こうして、緊急遮断弁PとQとは遮断され、緊急開放弁Rは開放される。
【0031】
その結果、水道本管1を流れる水道水は、貯水槽2を通らないで代わりにバイパス管20を通って、水道本管11へと流れる。これが緊急時の水道水の流れである。
【0032】
次に緊急作動弁として四方口弁を用いた場合について、図6と図7とを参照して説明する。図6と図7とに示した設備は、水道本管1、11と、貯水槽2とが流入管3と流出管4とによって接続されており、流入管3と流出管4とに跨って四方口弁Sが付設されている。この状態は図2に示した状態と同じである。なお、四方口弁としては特開平11−304021号公報の図3に示されたようなものを使用することができる。
【0033】
図6と図7に示した設備では、図4及び図5に示した設備と同様に、ボンベXからの加圧気体が通気管60を経由して制御弁Yへ入ることとされている。制御弁Yは、図4及び図5について説明したのと同じものであって、圧力感知部71と通路変更部72とを備えている。制御弁Yは、正常時には図6に示したように、通路変更部72が右半部に示したような連通状態となり、緊急時には図7に示したように、通路変更部72が左半部に示されたような連通状態となる。このため加圧気体はつぎに述べるように流れる。
【0034】
正常時には、図6に示したようにボンベXからの加圧気体が、通気管60を経由して制御弁Yへ入り、第1通気管40を経由してアクチュエータ31の一側へ入るので、アクチュエータ31のピストンは図6に示すような状態になっている。アクチュエータ31がこの状態のとき、四方口弁Sは水道本管1からの水道水を流入管3へ流し、流出管4の水を水道本管11へ流すようにしている。従って、水道本管1からの水道水は、貯水槽2を経由して水道本管11へ流れ、正常時の状態となっている。
【0035】
水道水の圧力が設定値より低下し、従って制御弁Yの圧力感知部71へ入る水圧が低下すると、制御弁Yの通路変更部72が左半部に示した連通状態に移り、図6の状態から図7の状態に変わる。図7では、ボンベXからの加圧気体が、通気管60を経て制御弁Yへ入り、ここで第2通気管50を通ることとされて、アクチュエータ31へ導入される。従ってアクチュエータ31のピストンは図7に示すように第2通気管50から遠ざかる方向に押される。
【0036】
アクチュエータ31のピストンが第2通気管50から遠ざかる方向に押されると、四方口弁Sは水道本管同士を連通させて、流入管3と流出管4へ水道水を流さなくなる。従って、水道本管1からの水道水は貯水槽2を通らないで、水道本管1から四方口弁Sを経由して11へと流れる。こうして緊急時の流れが実現される。
【0037】
水道本管を流れる水道水を貯水槽へ流すに際し、三方口弁を用いることは知られていない。しかし、この発明は、二方口弁や四方口弁と同様に三方口弁をも用いて実施することができるので、以下に三方口弁を用いたこの発明の実施態様を図8と図9とを参照して説明する。
【0038】
図8と図9とに示した設備は、水道本管1、11と貯水槽2とが、流入管3と流出管4とによって接続されており、それらの接続部には三方口弁TとUとが付設されている。この場合の三方口弁としては、図10に示したような構造のものを用いることができる。このような構造の三方口弁そのものは公知であって、例えば特許第2984543号公報に図1などとして掲載されている。
【0039】
図8と図9とに示した設備では、図4ないし図7に示した設備と同様に、ボンベXからの加圧気体が、通気管60を経由して制御弁Yへ導入される。制御弁Yは、図4ないし図7について説明したのと同じものであって、正常時には図8に示したように、通路変更部72が右半部に示したような連通状態となって、通気管60を流れてきた気体を第1通気管40に流すが、緊急時には通気管60を流れてきた気体を第2通気管50に流す。
【0040】
このため、正常時にはアクチュエータ31と32中のピストンが何れも図8に示したように、第1通気管40の入口から遠ざかる方向に押されている。このとき、三方口弁Tは水道本管1の水を流入管3へ流し、三方口弁Uは流出管4の水を水道本管11へ流すようにしている。このため、正常時の水道水は、貯水槽2を通って流れる状態が維持される。
【0041】
他方、緊急時には、アクチュエータ31と32中のピストンが、何れも図9に示したように、第2通気管50から遠ざかる方向へ押されている。このとき、三方口弁TもUもともに、弁体が回動し、バイパス管20により水道本管同士を連通させ、水道本管と流入管3又は流出管4との間を遮断する。従って、水道本管を流れる水道水は貯水槽2へ入らないこととなる。
【0042】
【発明の効果】
この発明に係る水道水の供給方法及び供給設備によれば、緊急作動弁を作動させるのに、水道水の水圧の低下を感知してこれを動機とし、原動力としてボンベに蓄えられた加圧気体を使用するので、停電などの事故があっても、緊急作動弁を容易且つ確実に作動させることができる。しかも、加圧気体はボンベに蓄えられているので、アクチュエータから気体の漏洩がない限り、加圧気体の消失は少なく、とくに頻繁に作動させるものではないから、加圧気体の消失は殆どない。従って、ボンベに蓄えられた加圧気体は永く使用することができ、保守点検の手間を省くことができる。
【0043】
とくに加圧気体として空気又は窒素等を用いるときは、これが放出されても危険がなく、また環境を汚さないので、好適である。
【0044】
また、この発明に係る装置では、緊急作動弁を作動させるために、ボンベからの加圧気体を緊急作動弁に付設したアクチュエータへ送るために通気管を付設し、その通気管は制御弁を備え、それから分岐した通気管をアクチュエータの少なくとも2個所に接続することとしたので、正常時と緊急時とに分けて別々の分岐した通気管を使用して緊急作動弁を作動させることができ、従って正常時の状態も緊急時の状態も何れも加圧気体によって確実に維持することができ、また正常状態から緊急状態への移り変わりも、容易且つ確実となる。また、制御弁は水道本管内を流れる水道水の圧力の変化に伴ない、通路を変更できて通気管を開き又は閉じることができるものとしたので、水道水の低下に伴なって自動的に加圧気体を送る通気管を変えて正常状態から緊急状態へ移ることができる。
【0045】
また、この設備では緊急作動弁にスプリングを使用する必要がないから、設備が錆びたり腐蝕したりするおそれがなく、従って永く使用することができる。この発明はこのような色々な利益を与えるものである。
【0046】
また、緊急作動弁として二方口弁を使用するときは、水道水の供給設備としては全体で二方口弁を3個付設する必要がある。他方、緊急作動弁として四方口弁を使用するときは、供給設備全体で四方口弁をただ1個付設すれば足りる。また、緊急作動弁として三方口弁を使用するときは、供給設備全体で2個の三方口弁を使用しなければならない。緊急作動弁の必要個数だけから見れば、四方口弁の使用が有利なように見えるが、四方口弁は構造が複雑で高価であり、三方口弁はこれに次いで複雑であり、他方、二方口弁は構造が簡単で価格も安いから、何れが有利かは時と場所とによって異なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の水道水供給設備を模型的に示したものである。
【図2】従来の別の水道水供給設備を模型的に示したものである。
【図3】従来の水道水供給設備において用いられる緊急作動弁の操作機構を示した通水時の状態図である。
【図4】この発明に係る水道水供給設備の正常時の状態を示した模型図である。
【図5】図4に示した水道水供給設備の緊急時の状態を示した模型図である。
【図6】この発明に係る他の水道水供給設備の正常時の状態を示した模型図である。
【図7】図6に示した水道水供給設備の緊急時の状態を示した模型図である。
【図8】この発明に係るさらに別の水道水の供給設備の正常時の状態を示した模型図である。
【図9】図8に示した水道水供給設備の緊急時の状態を示した模型図である。
【図10】この発明で用いることのできる三方口弁の断面図である。
【符号の説明】
1、11 水道本管
2 貯水槽
3、3’ 流入管
4、4’ 流出管
7 矢印
9、9’ パイロット弁
10 主弁
20 バイパス管
31、32、33 アクチュエータ
40 第1通気管
41、42、43 通気管
50 第2通気管
51、52、53、60 通気管
70 細管
71 圧力感知部
72 通路変更部
73 ダイヤフラム
P、Q 緊急遮断弁
R 緊急開放弁
S 四方口弁
T、U 三方口弁
X ボンベ
Y 制御弁
Claims (3)
- 水道水を供給する水道本管の傍らに貯水槽を設け、水道本管と貯水槽との間を流入管と流出管とで接続し、水道本管、流入管及び流出管には何れもそれぞれ緊急作動弁を付設し、正常時には水道本管内を流れる水道水を貯水槽を通って流し、緊急時には水道水を貯水槽に通さないで流すようにした水道水の供給方法において、上記緊急作動弁の近くにボンベと制御弁とを設置して制御弁にボンベからの加圧気体を導入し、各緊急作動弁にはピストン式のアクチュエータを付設し、制御弁には水道水の圧力により加圧気体の通路を変更させる通路変更部を設けておき、水道本管を流れる水道水の圧力が設定値以上である間は制御弁の通路変更部がボンベからの加圧気体を各ピストンの一側に導入して、緊急作動弁に上記正常時の水道水の流れを維持させ、水道本管を流れる水道水の圧力が設定値より低下した時、制御弁の通路変更部がボンベからの加圧気体を各ピストンの他側に導入して緊急作動弁を作動させ、上記緊急時の水道水の流れに変更することを特徴とする、水道水の供給方法。
- 水道水を供給する水道本管の傍らに貯水槽を設け、水道本管と貯水槽との間を流入管と流出管とで接続し、水道本管、流入管及び流出管には何れもそれぞれ緊急作動弁を付設し、正常時には水道本管内を流れる水道水を貯水槽を通って流し、緊急時には水道水を貯水槽に通さないで流すようにした水道水の供給設備において、緊急作動弁の近くにボンベと制御弁とを設置してボンベと制御弁とを通気管で連通し、緊急作動弁には何れもピストン式のアクチュエータを付設し、制御弁に2本の通気管を接続して各通気管を各アクチュエータのピストンの両側に接続し、水道水の圧力が正常な間は制御弁が2本の通気管の一方から加圧気体をピストンの一側に送り、これによって緊急作動弁が貯水槽を経由して水道水を流し続け、水道水の圧力が異常に低下した時、制御弁が2本の通気管の他方から加圧気体をピストンの他側へ送り、これによって緊急作動弁が貯水槽を経由しない水道水の流れに変わることを特徴とする、水道水の供給設備。
- 制御弁が水道水の圧力感知部と加圧気体の通路変更部とからなり、圧力感知部がダイヤフラムを含んでいて水圧によって変形し、これによって通路変更部が、2本の通気管のうちの一方から他方へと加圧気体の流れを変えることを特徴とする、請求項2に記載の水道水の供給設備。
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