JP3689993B2 - 車両位置及び方向角検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両が走行する道路に配列配置されたマーカを利用して、道路上における車両のマーカの配列に対する位置及びその前後方向がマーカの配列方向に対して成す方向角を検出する車両位置及び方向角検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両を安全かつ快適で効率の良い輸送手段として活用すべく、情報通信及び情報処理の分野における先端技術等を含む広範に亙る技術を用い、車両とその車両が走行する道路とを実質的に一体化させて総合的に制御する高度道路交通システムであるITS(Intelligent Transport System) が提唱されている。そして、このようなITSの実現に向けての試みの一環として、主として高速道路を走行する車両に充分な安全性が確保されたもとでの自動運転状態をとらせることを目的とする自動運転高速道路システム (Autmated Highway System : AHS) が検討されている。
【0003】
自動運転高速道路システムにあっては、例えば、車両が走行する道路に路面マーカが配列配置されるとともに、路面マーカが配列配置された道路を走行する車両に、配列配置された路面マーカを車両の走行に伴って検出する、車両に固定された路面マーカセンサを含み、路面マーカセンサから得られる検出出力に基づいて、道路上における路面マーカの配列に対する車両の位置を検出する装置が備えられる。路面マーカの夫々は、例えば、磁界を形成する磁気ネイルと呼ばれる磁気マーカとされて、路面に形成される走行車線の幅方向における中央部に、当該走行車線に沿って配列される。また、車両に固定される路面マーカセンサは、例えば、磁気センサとされ、車両の走行に伴って各磁気マーカにより形成される磁界に応答し、それにより得られる磁気マーカについての検出出力を、各磁気マーカから路面マーカセンサまでの車両の幅方向における距離に応じて変化するものとして送出する。
【0004】
車両に備えられる路面マーカセンサを含む装置については、車両が路面に形成された走行車線上を走行するとき、検出された路面マーカの配列に対する車両の位置が、車両が路面マーカの配列から所定の距離以上離隔していることをあらわしていて、車両が走行車線から逸脱する事態が予測されるようなときには、警告動作を行って、例えば、車両の運転者にその旨を認識させる機能を具えたものとされることが考えられている。警告動作は、例えば、警報が発せられることによりなされる。
【0005】
このような車両に備えられる路面マーカセンサを含む装置による、例えば、警報が発せられることになる警告動作は、路面マーカの配列に対する車両の位置にのみ応じて行われるのではなく、路面マーカの配列に対する車両の位置と、路面マーカの配列方向に対して車両の前後方向が成す方向角(車両のヨー角)と、に応じて行われることが望まれる。即ち、車両に備えられる路面マーカセンサを含む装置により、路面マーカの配列に対する車両の位置のみならず、車両のヨー角も検出されることが望まれているのである。
【0006】
具体的には、車両に備えられる路面マーカセンサを含む装置による警告動作が、より効果的かつより的確に行われるようにされるべく、路面マーカの配列に対する車両の位置が、車両が路面マーカの配列から所定の距離以上離隔していることをあらわしている場合、そのときの車両のヨー角に応じて、警告動作が行われるべきか否かの判定,さらには、警告動作が行われるべき場合にあっては、警告動作が開始されるべきタイミングあるいは警告動作が終了されるべきタイミングの設定が行われることが望まれることになる。
【0007】
例えば、走行車線上を走行する車両が、そのヨー角が比較的大であって、その前端部が走行車線の外側を向いているような状態にある場合には、斯かる状態にない場合に比して、より早いタイミングをもって警告動作が開始するようにされることが、車両が走行車線から逸脱する事態の防止における確実性の向上に寄与することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の如くの車両に備えられる路面マーカセンサを含む装置であって従来提案されているものにおいては、路面マーカセンサから得られる検出出力に基づいて、路面マーカの配列に対する車両の位置を検出することはできるが、車両のヨー角を検出することはできない。従って、車両が路面に形成された走行車線上を走行するとき、検出された路面マーカの配列に対する車両の位置が、車両が路面マーカの配列から所定の距離以上離隔していることをあらわしていて、車両が走行車線から逸脱する事態が予測されるようなとき行われる警告動作が、路面マーカの配列に対する車両の位置にのみ応じて行われることになり、望ましい警告動作は得られないことになる。
【0009】
それゆえ、車両のヨー角を検出できるように、前方路面状況等を撮像する撮像手段及び撮像手段から得られる撮像出力を処理する画像処理手段を車両に設けること、あるいは、車両のヨー角の変化を検出するヨーレートセンサ及びヨーレートセンサから得られる検出出力に応じて車両のヨー角を求めるヨーレート処理手段を車両に設けること等が考えられる。
【0010】
しかしながら、車両に撮像手段及び画像処理手段が設けられて車両のヨー角の検出がなされる場合には、車両のヨー角が適正に検出されることになる車両に対する走行環境が、諸条件により限られた狭い範囲のものとなってしまうという問題があり、また、車両のヨー角の検出に要されるコストが嵩むことになってしまう。また、車両にヨーレートセンサ及びヨーレート処理手段が設けられて車両のヨー角の検出がなされる場合には、ヨーレートセンサとして極めて高価な高精度のものを用いない限り、ヨーレートセンサに生じる検出誤差が車両の走行時間に伴って累積していき、それゆえ、車両の走行が比較的長時間に及ぶときには、検出される車両のヨー角が、精度に欠ける度合いが次第に大となって、実用に供することができないものとなってしまうという不都合がある。
【0011】
斯かる点に鑑み、本発明は、車両が走行する道路に配列配置されたマーカを検出し、それにより得られる検出出力に基づいて、マーカの配列に対する車両の位置の検出を行うにあたり、車両のヨー角をも、撮像手段及び画像処理手段あるいはヨーレートセンサ及びヨーレート処理手段に依ることなく、車両が種々の走行環境にあるもとで、コストの高騰を招くことなく、しかも、車両の走行が比較的長時間に及ぶときにあっても精度良く検出することができ、さらに、車両が走行車線から逸脱する事態が予測されるとき行われる警告動作が、車両が走行車線から逸脱する虞がなくなったにもかかわらず継続される事態を回避することができる、車両位置及び方向角検出装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両位置及び方向角検出装置は、車両に備えられ、車両が走行する道路に配列配置されたマーカを車両の走行に伴って検出するマーカ検出手段と、マーカ検出手段から得られる検出出力に基づいてマーカの配列に対する車両の位置を推定検出し、推定検出された車両の位置をあらわす車両位置データを得る車両位置推定手段と、車両位置推定手段から得られる車両位置データを保存して、車両についての位置履歴データを得る車両位置履歴データ形成手段と、車両位置履歴データ形成手段から得られる位置履歴データを用いて、道路上における車両の移動軌跡を推定し、推定された車両の移動軌跡をあらわす車両軌跡データを得る車両軌跡推定手段と、車両軌跡推定手段から得られる車両軌跡データに基づいて、車両のヨー角を推定検出し、推定検出されたヨー角をあらわす車両方向角データを得る車両方向角推定手段と、車両位置データがあらわす車両の位置に基づいて車両の横変位を求める手段,車両の走行速度を検出する手段及び車両における操舵角を検出する手段を包含した警告手段とを備えて構成され、警告手段において、車両の逸脱ヨー角と走行速度とに応じて、警報基準とされる車両の横変位の値が設定され、車両の横変位が警報基準未満である状態から警報基準に達した状態となると、直ちに警報が発せられ、その後、操舵角が所定の値に達すると、車両の横変位が警報基準以上であっても警報が停止され、一方、操舵角が検出されない場合には、車両の横変位が警報基準未満の状態に戻されるまで警報が継続されることを特徴とするものとされる。ここで、車両のヨー角とは、マーカの配列方向に対して車両の前後方向が成す方向角であり、車両の横変位とは、マーカの配列から車両までの距離であり、車両の逸脱ヨー角とは、車両のその前端部を走行車線の外側に向けるもとでのヨー角である。
【0013】
上述の如くの構成とされる本発明に係る車両位置及び方向角検出装置にあっては、車両位置推定手段により、車両が走行する道路に配列配置されたマーカについての検出出力に基づいて、マーカの配列に対する車両の位置が推定検出される。また、それとともに、車両位置履歴データ形成手段により車両位置推定手段から得られる車両位置データに基づいて位置履歴データが形成され、車両軌跡推定手段により、車両位置履歴データ形成手段から得られる位置履歴データが用いられて道路上における車両の移動軌跡が推定されて、推定された車両の移動軌跡をあらわす車両軌跡データが得られ、車両方向角推定手段により、車両軌跡推定手段から得られる車両軌跡データに基づいて、車両のヨー角が推定検出される。そして、警告手段において、車両の逸脱ヨー角と走行速度とに応じて、警報基準とされる車両の横変位の値が設定され、車両の横変位が警報基準未満である状態から警報基準に達した状態となると、直ちに警報が発せられ、その後、操舵角が所定の値に達すると、車両の横変位が警報基準以上であっても警報が停止される。
【0014】
従って、本発明に係る車両位置及び方向角検出装置によれば、車両が走行する道路に配列配置されたマーカについての検出出力に基づいて、マーカの配列に対する車両の位置についての推定による検出と車両のヨー角についての推定による検出とが、撮像手段及び画像処理手段あるいはヨーレートセンサ及びヨーレート処理手段に依ることなく、それゆえ、車両が種々の走行環境にあるもとで、コストの高騰を招くことなく、しかも、車両の走行が比較的長時間に及ぶときにあっても精度良く行われることになる。さらに、車両が走行車線から逸脱する事態が予測されるとき行われる警告動作が、車両が走行車線から逸脱する虞がなくなったにもかかわらず継続される事態が回避される。
【0015】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の一例が適用された車両と、その車両が走行する道路とを示す。図2に示される道路には走行車線3が形成されていて、その走行車線3上を車両1が走行しており、車両1には本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の一例が適用されている。
【0016】
走行車線3は、その両側部に設けられた断続白線3R及び3Lによって他の部分から区画されており、道路全体の状況に応じた直線部分,湾曲部分,屈曲部分等を有して伸びている。走行車線3における幅方向の中央部、即ち、断続白線3Rと断続白線3Lとの間における中央部には、多数の路面マーカ5が所定の相互間隔を置いて配列配置されており、多数の路面マーカ5は配列5Aを形成している。
【0017】
配列配置された路面マーカ5の夫々は、例えば、磁界を形成する“磁気ネイル”と呼ばれる磁気マーカとされる。磁気マーカとされた各路面マーカ5が形成する磁界は、略一定の強度を有するものとされる。
【0018】
車両1にあっては、例えば、その前方部分における幅方向(左右方向)の中央部に、走行車線3に配列配置された路面マーカ5の夫々を車両1の走行に伴って検出する路面マーカセンサ6が、車両1に固定されたマーカ検出手段を形成すべく取り付けられている。路面マーカセンサ6は、例えば、磁気マーカとされた各路面マーカ5が形成する磁界に応答して、それにより得られる路面マーカ5についての検出出力を、各路面マーカ5から路面マーカセンサ6までの車両1の幅方向における距離に応じて変化するものとして送出する。
【0019】
路面マーカセンサ6から得られる路面マーカ5についての検出出力は、例えば、電圧信号として得られ、図3(横軸:時間)においてVn ,Vn+1 , Vn+2 , ・・・・・,−Vn+6 ,−Vn+7 として示される如くに、路面マーカ5の配列に対応する基準レベル“0”に対して、正の電圧値をとるもの(Vn 〜Vn+4 ),基準レベル“0”をとるもの(Vn+5 )及び負の電圧値をとるもの(−Vn+6 ,−Vn+7 )として、路面マーカ5の夫々に対応して得られる。このような路面マーカセンサ6から得られる路面マーカ5についての検出出力のうち、正の電圧値をとるもの(Vn 〜Vn+4 )は、路面マーカセンサ6が路面マーカ5に対して断続白線3R側(右側)にずれた位置にあるとき得られ、基準レベル“0”をとるもの(Vn+5 )は、路面マーカセンサ6が路面マーカ5の真上の位置にあるとき得られ、負の電圧値をとるもの(−Vn+6 ,−Vn+7 )は、路面マーカセンサ6が路面マーカ5に対して断続白線3L側(左側)にずれた位置にあるとき得られる。そして、検出出力Vn 〜Vn+4 の夫々がとる正の電圧値が、路面マーカ5から路面マーカセンサ6までの車両1の幅方向における断続白線3R側への距離に対応しており、また、検出出力−Vn+6 ,−Vn+7 の夫々がとる負の電圧値が、路面マーカ5から路面マーカセンサ6までの車両1の幅方向における断続白線3L側への距離に対応している。
【0020】
図1は、図2に示される車両1に適用された本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の一例を示す。この図1に示される例は、車両1の前方部分における幅方向(左右方向)の中央部に取り付けられた路面マーカセンサ6を含んでおり、路面マーカセンサ6からは、図3に示される検出出力Vn 〜Vn+4 ,Vn+5 ,−Vn+6 及び−Vn+7 の如くのものとされる、路面マーカ5から路面マーカセンサ6までの車両1の幅方向における距離に対応する電圧信号とされた検出出力SMが送出される。
【0021】
また、図1に示される例おいては、車両1に設けられて、車両1の走行速度等を検出する車両状態検出部7が備えられており、車両状態検出部7から、検出された車両1の走行速度に対応する電圧信号とされた検出出力SV及び他の検出出力(図示省略)が送出される。さらに、図1に示される例おいては、走行車線3が形成された道路の曲率をあらわす道路曲率データDRC及び道路の構造に関する他のデータ(図示省略)を送出する道路構造データ送出部8、及び、走行車線3に配列配置された路面マーカ5の相互間隔をあらわすマーカ間隔データDSM及びマーカの配置に関する他のデータ(図示省略)を送出するマーカ配置データ送出部9が備えられている。
【0022】
道路構造データ送出部8及びマーカ配置データ送出部9の夫々は、例えば、光学ディスク等がデータ格納媒体として用いられて構成されたデータベース装置,道路に設置されたデータ送受信手段と車両との間において行われるデータ通信である路車間通信を通じてデータを取り込むとともに、取り込まれたデータを送出するデータ送受信装置等とされる。
【0023】
路面マーカセンサ6から得られる検出出力SM,道路構造データ送出部8から送出される道路曲率データDRC及びマーカ配置データ送出部9から送出されるマーカ間隔データDSMは、車両位置推定部10に供給される。車両位置推定部10は、検出出力SMに基づいて、路面マーカセンサ6が固定された車両1についての路面マーカ5の配列5Aに対する位置を推定検出し、推定検出された車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置をあらわす車両位置データDPVを得る動作を、推定検出された車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置が、道路曲率データDRC及びマーカ間隔データDSMによる補正が加えられたものとされる状態のもとで行う。それにより、車両位置推定部10から得られる車両位置データDPVは、検出出力SMに基づいて推定検出されるとともに道路曲率データDRC及びマーカ間隔データDSMによる補正が加えられて得られる、車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置をあらわし、斯かる車両1の位置は、図4において、直線としてあらわされる走行車線3における路面マーカ5の配列5Aに対してPV(白丸)として示される如くのものとなる。
【0024】
そして、車両位置推定部10から得られる車両位置データDPVは、車両位置データメモリ11に供給されて格納される。それにより、車両位置データメモリ11においては、車両位置推定部10からの車両位置データDPVが順次格納されて保存されていき、走行車線3上を走行する車両1についての位置履歴データDPHが形成される。従って、車両位置データメモリ11は、車両位置推定部10から得られる車両位置データDPVを保存して車両1についての位置履歴データDPHを得る車両位置履歴データ形成手段を形成していることになる。
【0025】
車両位置データメモリ11から得られる位置履歴データDPHは、車両軌跡推定部12に供給される。車両軌跡推定部12には、車両状態検出部7から送出される検出出力SVも供給される。そして、車両軌跡推定部12は、車両位置データメモリ11からの位置履歴データDPHを用いて、道路に形成された走行車線3上における車両1の移動軌跡を推定する。
【0026】
車両軌跡推定部12による位置履歴データDPHを用いての車両1の移動軌跡の推定が行われるにあたっては、車両軌跡推定部12は、例えば、車両状態検出部7から送出される、車両1の走行速度に対応する電圧信号とされた検出出力SVを参照したもとで車両1の移動軌跡に関する補完曲線を設定して、その補完曲線と位置履歴データDPHとをマッチングさせることにより当該補完曲線のパラメータを決定し、パラメータが決定されて得られる補完曲線をもって車両1の移動軌跡を推定する処理を行う。その際において、車両1の移動軌跡に関する補完曲線の設定は、例えば、多項式曲線をもって行われ、また、補完曲線と位置履歴データDPHとのマッチングは、最小自乗法による手法,補完曲線と位置履歴データDPHとの間の幾何学的距離を最小とする手法等がとられて行われる。
【0027】
このようにして推定される車両1の移動軌跡は、図5において、直線としてあらわされる走行車線3における路面マーカ5の配列5Aに対してTRA(破線)として示される如くのものとされる。
【0028】
また、車両軌跡推定部12による位置履歴データDPHを用いての車両1の移動軌跡の推定が行われるにあたって、車両軌跡推定部12が上述の処理に代えて行う他の処理は、例えば、車両状態検出部7から送出される、車両1の走行速度に対応する電圧信号とされた検出出力SVを参照したもとで、車両1についての車両運動モデルから車両移動軌跡曲線を算出して、その車両移動軌跡曲線と位置履歴データDPHとをマッチングさせることにより当該車両移動軌跡曲線のパラメータを決定し、パラメータが決定されて得られる車両移動軌跡曲線をもって車両1の移動軌跡を推定するものとされる。
【0029】
このようにして推定される走行車線3上の車両1の移動軌跡は、図6において、直線としてあらわされる走行車線3における路面マーカ5の配列5Aに対してTRB(破線)として示される如くのものとされる。
【0030】
さらに、車両軌跡推定部12は、上述の如くにして推定された走行車線3上の車両1の移動軌跡をあらわす車両軌跡データDTRを形成して、その車両軌跡データDTRをヨー角推定部13に供給する。
【0031】
ヨー角推定部13は、車両軌跡推定部12からの車両軌跡データDTRに基づき、車両軌跡データDTRによりあらわされる走行車線3上の車両1の移動軌跡が、走行車線3における路面マーカ5の配列5Aに対してなす角度を求めることにより、車両1のヨー角を推定検出する。斯かる車両1のヨー角についての推定検出は、例えば、図5において、直線としてあらわされる走行車線3における路面マーカ5の配列5Aに対して破線TRAとしてあらわされる車両1の移動軌跡が用いられ、例えば、図5においてθとしてあわらされる如くの、路面マーカ5の配列5Aに対して車両1の移動軌跡である破線TRAがなす角度が求められて行われる。
【0032】
そして、ヨー角推定部13は、推定検出された車両1のヨー角をあらわす車両方向角データDYWを形成して、その車両方向角データDYWを出力端子14に導出する。従って、ヨー角推定部13は、車両軌跡推定部12からの車両軌跡データDTRに基づいて、車両1のヨー角を推定検出し、推定検出された車両1のヨー角をあらわす車両方向角データDYWを得る車両方向角推定手段を形成していることになる。
【0033】
また、車両位置推定部10から得られる車両位置データDPVが、出力端子15に導出される。このようにして、出力端子14及び15に夫々得られる、車両1のヨー角をあらわす車両方向角データDYW、及び、車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置をあらわす車両位置データDPVは、警告部16に供給される。
【0034】
それにより、警告部16は、車両位置データDPVがあらわす車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置と車両方向角データDYWがあらわす車両1のヨー角とに応じて、例えば、車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置が、車両1が路面マーカ5の配列5Aから所定の距離以上離隔していることをあらわしており、さらに、車両1のヨー角が比較的大であって、車両1の前端部が走行車線3の外側を向いている状態にあり、車両1が走行車線3から逸脱する事態が予測されるとき、警告動作を行う。従って、警告部16は、例えば、路面マーカセンサ6による路面マーカ5の検出が所定の期間に亙って行われないとき、警告を出す。また、車両位置データDPVがあらわす車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置と車両方向角データDYWがあらわす車両1のヨー角とに応じて、車両1が走行車線3から逸脱する虞がなくなったとき、警告動作を停止する。
【0035】
図7は、図1に示される警告部16の具体構成例を示す。図7に示される具体構成例にあっては、警報信号送出部20と警報発生部21とが備えられている。警報信号送出部20には、図1に示される出力端子14及び15に夫々得られる、車両1のヨー角をあらわす車両方向角データDYW、及び、車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置をあらわす車両位置データDPVが供給され、さらに、車両1に設けられて、車両1の走行速度を検出し、検出された車両1の走行速度をあらわす検出出力SVを送出する車速検出部22からの検出出力SVも供給される。
【0036】
警報信号送出部20は、車両位置データDPVがあらわす車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置,車両方向角データDYWがあらわす車両1のヨー角、及び、検出出力SVがあらわす車両1の走行速度に応じて、車両1が走行車線3から逸脱する車線逸脱を生じる虞がある状態となったとき、警報信号SAMを警報発生部21に送出する。警報発生部21は、警報信号SAMに応じた警報を発し、それによって車両1の運転者に車両1の車線逸脱を回避するための操舵操作を促す。
【0037】
斯かる際、警報信号送出部20にあっては、車両位置データDPVがあらわす車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置に基づいて、路面マーカ5の配列5Aから車両1までの距離が、車両1の横変位として求められる。また、警報信号送出部20においては、図8(横軸:時間、縦軸:横変位)において実線により示される如く、横変位の所定の値が警報基準として設定され、例えば、図8において破線により示される如くのものとされる車両1の横変位が、警報基準未満か警報基準以上かが判定される。
【0038】
警報基準とされる横変位の値の設定は、警報発生部21から警報が発せられるとき、その警報を認識した運転者が、一般に、車両1のヨー角に比例した大きさの横加速度を発生させて車両1の車線逸脱を回避するという運転者の回避特性が考慮されて成される。例えば、警報基準とされる横変位をYw,走行車線の幅及び車両1の幅に応じて定められる定数をY0,運転者の反応時間をTd,車両1の走行速度をVv,車両1のその前端部を走行車線の外側に向けるもとでのヨー角(逸脱ヨー角)をψ0,車両1に逸脱ヨー角ψ0が生じているもとで車両1の車線逸脱を回避すべく発生せしめられる横加速度をGとして、
Tw=Y0−(Td+Vv/2G)・Vv・ψ0
とあらわされる関係に従って、警報基準とされる横変位の値が設定される。即ち、車両1についての警報基準とされる横変位の値の設定が、車両方向角データDYWがあらわす車両1のヨー角のうちの逸脱ヨー角と検出出力SVがあらわす車両1の走行速度とに応じて設定されることになる。
【0039】
定数Y0は、例えば、走行車線の幅が3.1mであって車両1の幅が1.7mであるとき0.7とされ、また、運転者の反応時間Tdは、実験的に定められた値が用いられて0.41秒とされ、さらに、横加速度Gも、実験的に定められた値が用いられて1.0m/S2 /deg とされる。このようなもとで、車両1についての逸脱ヨー角(ψ0)と警報基準(Tw)との関係は、例えば、図9(横軸:逸脱ヨー角,縦軸:警報基準)において実線により示される如くのものとされる。
【0040】
そして、車両1の横変位が、上述の如くにして設定される警報基準未満である場合には、警報信号送出部20からの警報信号SAMの送出は行われない。一方、車両1の横変位が、上述の如くにして設定される警報基準以上である場合には、警報信号送出部20から警報信号SAMが送出される。このようにされることにより、警報発生部21からの警報の発生が早すぎる事態、及び、車両1の運転者による車線逸脱を回避するための操舵操作の遅れが生じる事態が防止される。
【0041】
また、警報発生部21には、車両1に設けられて、車両1における操舵角を検出し、検出された車両1における操舵角をあらわす検出出力SSを送出する操舵角検出部23からの検出出力SSも供給される。そして、警報発生部21は、警報信号送出部20から送出された警報信号SAMが供給されており、操舵角検出部23からの検出出力SSがあらわす操舵角が所定の値未満であるとき、警報を発し、警報信号送出部20からの警報信号SAMが供給されないとき、及び、警報信号送出部20からの警報信号SAMが供給されているが、操舵角検出部23からの検出出力SSがあらわす操舵角が所定の値以上であるときには、警報を発しない。
【0042】
警報発生部21がこのように動作することにより、車両1が走行車線3から逸脱する虞がある状態となったとき、警報発生部21から警報が発せられ、それに応答して、車両1の運転者が、車両1が走行車線3から逸脱してしまう事態を回避すべく操舵を行い、車両1における操舵角が所定の値以上とされると、それに応じて警報発生部21からの警報が止められることになる。従って、警報発生部21から警報が発せられた後、車両1の運転者が、車両1が走行車線3から逸脱してしまう事態を回避すべく操舵を行い、それにより車両1が走行車線3から逸脱する虞がなくなったにもかかわらず、車両1の横変位が警報基準未満となるまで、警報発生部21からの警報が継続され、その結果、車両1の運転者が警報に対して煩わしさを覚えることになるという事態が回避される。
【0043】
このようなもとで、車両1の横変位が、車両1の逸脱ヨー角と走行速度とに応じて、図8に示される破線の如くに変化するもとにおいて、図8における時点t1において、車両1の横変位が警報基準未満である状態から警報基準に達した状態となると、直ちに警報発生部21から警報が発せられる。その後、車両1の運転者が、車両1が走行車線3から逸脱してしまう事態を回避すべく操舵を行い、時点t2において、車両1における操舵角が所定の値に達すると、車両1の横変位が警報基準以上であっても、警報発生部21からの警報が停止される。そして、その後、車両1の運転者による操舵によって車両1の横変位が低減していき、時点t3において、車両1の横変位が警報基準未満の状態に戻される。このとき、警報発生部21から警報が発せられる警報期間は、時点t1から時点t2までの期間とされる。
【0044】
なお、警報発生部21に操舵角検出部23からの検出出力SSが供給されず、警報発生部21おける操舵角検出部23からの検出出力SSに基づく制御が行われない場合には、図8における時点t1において、車両1の横変位が警報基準未満である状態から警報基準に達した状態となることにより開始される警報発生部21からの警報は、その後、車両1の運転者による操舵によって車両1の横変位が低減していって、時点t3において、車両1の横変位が警報基準未満の状態に戻されるまで継続することになり、その際における警報発生部21から警報が発せられる警報期間は、時点t1から時点t3までの期間とされることになる。
【0045】
図10は、本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の他の例を示す。この例も、図1に示される例に代えて、図2に示される車両1に適用することができる。
【0046】
図10に示される例は、図1に示される例と同様に構成された部分を多々含んでいる。それゆえ、図10においては、図1に示される各部さらには各信号及びデータに対応する部分さらには信号及びデータが、図1と共通の符号が付されて示されており、それらについての重複説明は省略される。
【0047】
図10に示される例にあっては、路面マーカセンサ6に加えて、ヨーレートセンサ30が備えられている。このヨーレートセンサ30は、例えば、比較的安価に得られる振動ジャイロスコープとされ、車両1のヨー角の変化であるヨーレートを検出し、検出されたヨーレートをあらわす検出出力SYRを送出する。従って、ヨーレートセンサ30は、車両1のヨー角の変化、即ち、路面マーカ5の配列方向5Aに対して車両1の前後方向が成す方向角の変化を検出する方向角変化検出手段を形成していることになる。
【0048】
ヨーレートセンサ30から送出される検出出力SYRは、ヨー角推定部31に供給される。ヨー角推定部31は、ヨーレートセンサ30からの検出出力SYRがあらわすヨーレートに基づいて、車両1のヨー角を推定検出し、推定検出された車両1のヨー角をあらわす車両方向角データDYW’を形成して、その車両方向角データDYW’を出力端子32に導出する。斯かるヨー角推定部31は、方向角変化検出手段を形成するヨーレートセンサ30から得られる検出出力SYRに基づいて車両1のヨー角を推定検出し、推定検出されたヨー角をあらわす車両方向角データDYW’を得る補助車両方向角推定手段を形成している。
【0049】
また、ヨー角推定部31から得られる車両方向角データDYW’は、車両位置推定部33に供給される。車両位置推定部33には、車両状態検出部7から送出される、車両1の走行速度に対応する電圧信号とされた検出出力SVも供給される。そして、車両位置推定部33は、ヨー角推定部31から得られる車両方向角データDYW’があらわす車両1のヨー角と車両状態検出部7から送出される検出出力SVがあらわす車両1の走行速度とに基づいて、車両1についての路面マーカ5の配列5Aに対する位置を推定検出し、推定検出された車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置をあらわす車両位置データDPV’を得て、その車両位置データDPV’を出力端子34に導出する。斯かる車両位置推定部33は、補助車両方向角推定手段を形成するヨー角推定部31から得られる車両方向角データDYW’と車両状態検出部7から得られる検出出力SVとに基づいて、マーカ5の配列5Aに対する車両1の位置を推定検出し、推定検出された車両1の位置をあらわす車両位置データDPV’を得る補助車両位置推定手段を形成している。
【0050】
そして、図10に示される例にあっては、出力端子14に導出される車両方向角データDYWと出力端子32に導出される車両方向角データDYW’とを選択的に警告部16に供給するスイッチ35、及び、出力端子15に導出される車両位置データDPVと出力端子34に導出される車両位置データDPV’とを選択的に警告部16に供給するスイッチ36が設けられている。これらのスイッチ35とスイッチ36とは、互いに連動するものとされている。なお、スイッチ35及びスイッチ36を用いることなく、車両方向角データDYWと車両方向角データDYW’との選択、及び、車両位置データDPVと車両位置データDPV’との選択を、データ処理により行うこともできる。
【0051】
さらに、図10に示される例においては、出力端子14に導出される車両方向角データDYWが、信頼性判定部37に供給される。信頼性判定部37においては、車両方向角データDYWについての信頼性が判定されて、その信頼性に応じて判定出力SLNと判定出力SLGとが形成される。判定出力SLNはスイッチ35及び36に供給され、判定出力SLGは補正信号形成部38に供給される。
【0052】
信頼性判定部37からスイッチ35及び36に供給される判定出力SLNは、車両方向角データDYWが、その信頼性が高く、実用に適したものである場合に、高レベルをとり、また、車両方向角データDYWが、その信頼性が低く、実用に適していないものである場合に、低レベルをとる。そして、判定出力SLNが高レベルをとるとき、スイッチ35が出力端子14に導出される車両方向角データDYWを警告部16に供給する状態をとるとともに、スイッチ36が出力端子15に導出される車両位置データDPVを警告部16に供給する状態をとる。一方、判定出力SLNが低レベルをとるときには、スイッチ35が出力端子32に導出される車両方向角データDYW’を警告部16に供給する状態をとるとともに、スイッチ36が出力端子34に導出される車両位置データDPV’を警告部16に供給する状態をとる。
【0053】
信頼性判定部37から補正信号形成部38に供給される判定出力SLGは、車両方向角データDYWが、その信頼性が高く、実用に適したものであるとき、車両方向角データDYWの信頼性に応じて変化するものとされ、また、車両方向角データDYWが、その信頼性が低く、実用に適していないものであるときには、形成されない。
【0054】
補正信号形成部38は、信頼性判定部37に供給される車両方向角データDYWが、その信頼性が高く、実用に適したものであるとき、信頼性判定部37から供給される判定出力SLGに応じた補正信号SIMを形成して、それをヨー角推定部31に供給する。ヨー角推定部31においては、補正信号形成部38から補正信号SIMが供給されるときには、補正信号SIMによる補正制御が行われて、補正信号SIMに応じた補正がなされるもとで推定検出されたヨー角をあらわす車両方向角データDYW’が得られる状態がとられ、また、補正信号形成部38から補正信号SIMが供給されないときには、補正信号形成部38から補正信号SIMが供給されるとき、補正信号SIMに応じた補正がなされるもとで推定検出されたヨー角のうちの最後のものを初期値として推定検出されるヨー角をあらわす車両方向角データDYW’が得られる状態とされる。
【0055】
このような、ヨー角推定部31における補正信号SIMによる補正制御は、例えば、ヨー角推定部31においてヨーレートセンサ30からの検出出力SYRに基づいて車両1のヨー角が推定検出されるにあたり、誤差が累積されないようにするものとされる。斯かる補正制御が行われるもとにあっては、補正信号形成部38から補正信号SIMが供給されないとき、ヨー角推定部31におけるヨーレートセンサ30からの検出出力SYRに基づく車両1のヨー角の推定検出が、累積誤差が無い状態で開始されることになる。その結果、ヨー角推定部31に補正信号形成部38からの補正信号SIMが供給されないとき、ヨー角推定部31から、著しく改善された精度をもって推定検出された車両1のヨー角をあらわすものとされる車両方向角データDYW’が得られることになる。
【0056】
また、ヨー角推定部31における補正信号SIMによる補正制御の他のものは、ヨー角推定部31においてヨーレートセンサ30からの検出出力SYRに基づいて車両1のヨー角が推定検出されるにあたり、ヨーレートセンサ30からの検出出力SYRにおけるオフセット誤差が排除されることになるオフセット補正値が設定されるようになすものとされる。このような補正制御が行われるもとにあっては、補正信号形成部38から補正信号SIMが供給されないときにあっても、ヨー角推定部31におけるヨーレートセンサ30からの検出出力SYRに基づく車両1のヨー角の推定検出が、ヨー角推定部31に設定されたオフセット補正値により、ヨーレートセンサ30からの検出出力SYRにおけるオフセット誤差が排除されるもとで行われることになる。
【0057】
ヨーレートセンサ30からの検出出力SYRにおけるオフセットとは、ヨーレートセンサ30により検出される車両1のヨーレートが“0”であるとき得られるヨーレートセンサ30の出力である。ヨーレートセンサ30により検出される車両1のヨーレートをΩ,ヨーレートセンサ30の出力をVin,ヨーレートセンサ30の感度係数をK,ヨーレートセンサ30からの検出出力SYRにおけるオフセットをVO とすると、
Ω =(Vin−VO )/K
という関係が成立する。
【0058】
車両1のヨー角をθaとすると、車両1のヨー角θaは、車両1のヨーレートΩを積分することにより求められるので、θ0 をヨー角の初期値とし、Δt をサンプリング周波数として、
θa=θ0 +∫Ωdt ≒θ0 +ΣΩΔt =θ0 +Δt Σ(Vin−VO )/K
とあらわせる。
【0059】
従って、オフセットVO にオフセット誤差ΔVO が加わっている場合における車両1のヨーレートをΩ’,車両1のヨー角をθa’とすると、
Ω’=〔Vin−(VO +ΔVO )〕/K
θa’≒θ0 +Δt Σ(Vin−VO )/K−Δt ΣΔVO /K
とあらわせ、従って、オフセット誤差ΔVO による車両1のヨー角θaについての誤差Δθaは、
Δθa=θa’−θa≒−Δt ΣΔVO /K
とあらわせる。
【0060】
この最後の式の関係から、時間の経過とともにヨーレートセンサ30からの検出出力SYRにおけるオフセット誤差VO が累積され、車両1のヨー角θaについての誤差Δθaが増大していくことが分かる。
【0061】
従って、上述の如くに、補正信号形成部38から補正信号SIMが供給されないとき、ヨー角推定部31におけるヨーレートセンサ30からの検出出力SYRに基づく車両1のヨー角の推定検出が、累積誤差が無い状態で開始されることになるもとにあっては、ヨー角推定部31に補正信号形成部38からの補正信号SIMが供給されないとき、ヨー角推定部31から、著しく改善された精度をもって推定検出された車両1のヨー角をあらわすものとされる車両方向角データDYW’が得られることになる。
【0062】
信頼性判定部37に供給されるヨー角推定部13からの車両方向角データDYWの信頼性は、路面マーカセンサ6による路面マーカ5についての検出状況、従って、路面マーカセンサ6からの検出出力SMの状況に応じたものとなる。即ち、路面マーカセンサ6からの検出出力SMが適正に得られるもとにおいては、信頼性判定部37に供給されるヨー角推定部13からの車両方向角データDYWは、その信頼性が高く、実用に適したものとなり、また、路面マーカセンサ6が路面マーカ5の配列5Aから著しく離隔してしまい、路面マーカセンサ6からの検出出力SMが適正に得られないもとにおいては、信頼性判定部37に供給されるヨー角推定部13からの車両方向角データDYWは、その信頼性が低く、実用に適さないものとなる。
【0063】
従って、図10に示される例においては、路面マーカセンサ6からの検出出力SMが適正に得られるもとにおいては、出力端子14に導出されるヨー角推定部13からの車両方向角データDYW、及び、出力端子15に導出される車両位置推定部10からの車両位置データDPVが、夫々、スイッチ35及びスイッチ36を通じて警告部16に供給され、それとともに、ヨー角推定部31において、信頼性判定部37において判定されたヨー角推定部13からの車両方向角データDYWの信頼性に応じたものとして補正信号形成部38から得られる補正信号SIMによる補正制御が行われる。また、路面マーカセンサ6からの検出出力SMが適正に得られないもとにおいては、出力端子14に導出されるヨー角推定部13からの車両方向角データDYW、及び、出力端子15に導出される車両位置推定部10からの車両位置データDPVに代えて、出力端子32に導出されるヨー角推定部31からの車両方向角データDYW’、及び、出力端子34に導出される車両位置推定部33からの車両位置データDPV’が、夫々、スイッチ35及びスイッチ36を通じて警告部16に供給される。
【0064】
その結果、路面マーカセンサ6からの検出出力SMが適正に得られる場合、及び、路面マーカセンサ6からの検出出力SMが適正に得られない場合のいずれにおいても、精度良く得られる車両1の路面マーカ5の配列5Aに対する位置をあらわすデータ(車両位置データDPVもしくは車両位置データDPV’)及び車両1のヨー角をあらわすデータ(車両方向角データDYWもしくは車両方向角データDYW’)が、警告部16に供給されることになる。
【0065】
警告部16は、図1に示される警告部16と同様に、例えば、図7に示される如くの具体構成を有するものとされる。
【0066】
なお、上述の例においては、路面マーカ5に対して右側にずれた位置にあるとき正の電圧値をとり、路面マーカ5の真上の位置にあるとき基準レベル“0”をとり、路面マーカ5に対して左側にずれた位置にあるとき負の電圧値をとる検出出力を生じる1個の路面マーカセンサ6が設けられているが、このような路面マーカセンサ6に代えて、路面マーカ5に対応して、例えば、正の検出出力を生じる路面マーカセンサを2個用い、それらを車両の左右に設けるようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな如く、本発明に係る車両位置及び方向角検出装置においては、車両が走行する道路に配列配置されたマーカについての検出出力に基づいて、マーカの配列に対する車両の位置が推定検出される。また、それとともに、推定検出された車両の位置をあらわす車両位置データが形成され、その車両位置データに基づいて形成される位置履歴データが用いられて、道路上における車両の移動軌跡が推定され、推定された車両の移動軌跡をあらわす車両軌跡データが形成される。そして、その車両軌跡データに基づいて、車両のヨー角が推定検出される。さらに、警告手段において、車両の逸脱ヨー角と走行速度とに応じて、警報基準とされる車両の横変位の値が設定され、車両の横変位が警報基準未満である状態から警報基準に達した状態となると、直ちに警報が発せられ、その後、操舵角が所定の値に達すると、車両の横変位が警報基準以上であっても警報が停止される。
【0068】
従って、本発明に係る車両位置及び方向角検出装置によれば、車両が走行する道路に配列配置されたマーカについての検出出力に基づいて、マーカの配列に対する車両の位置についての推定による検出と車両のヨー角についての推定による検出とを、撮像手段及び画像処理手段あるいはヨーレートセンサ及びヨーレート処理手段に依ることなく、それゆえ、車両が種々の走行環境にあるもとにおいて、コストの高騰を招くことなく、しかも、車両の走行が比較的長時間に及ぶときにあっても精度良く行われることになる。さらに、車両が走行車線から逸脱する事態が予測されるとき行われる警告動作が、車両が走行車線から逸脱する虞がなくなったにもかかわらず継続される事態が回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の一例が適用される車両とその車両が走行する道路とを示す斜視図である。
【図3】図1に示される例における路面マーカセンサの動作説明に供されるタイムチャートである。
【図4】図1に示される例における車両位置推定部の動作説明に供される概念図である。
【図5】図1に示される例における車両軌跡推定部及びヨー角推定部の動作説明に供される概念図である。
【図6】図1に示される例における車両軌跡推定部の動作説明に供される概念図である。
【図7】図1に示される例における警告部の具体構成例を示すブロック構成図である。
【図8】図7に示される警報信号送出部の具体構成例の動作説明に供されるタイムチャートである。
【図9】図7に示される警告信号送出部の具体構成例の動作説明に供される特性図である。
【図10】本発明に係る車両位置及び方向角検出装置の他の例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1 車両
3 走行車線
5 路面マーカ
5A 路面マーカの配列
6 路面マーカセンサ
7 車両状態検出部
8 道路構造データ送出部
9 マーカ配置データ送出部
10,33 車両位置推定部
11 車両位置データメモリ
12 車両軌跡推定部
13,31 ヨー角推定部
14,15,32,34 出力端子
16 警告部
20 警報信号送出部
21 警報発生部
22 車速検出部
23 操舵角検出部
30 ヨーレートセンサ
37 信頼性判定部
38 補正信号形成部
Claims (9)
- 車両に備えられ、該車両が走行する道路に配列配置されたマーカを上記車両の走行に伴って検出するマーカ検出手段と、
該マーカ検出手段から得られる検出出力に基づいて上記マーカの配列に対する上記車両の位置を推定検出し、推定検出された車両の位置をあらわす車両位置データを得る車両位置推定手段と、
上記車両位置データを保存して上記車両についての位置履歴データを得る車両位置履歴データ形成手段と、
上記位置履歴データを用いて、上記道路上における上記車両の移動軌跡を推定し、推定された車両の移動軌跡をあらわす車両軌跡データを得る車両軌跡推定手段と、
上記車両軌跡データに基づいて、上記マーカの配列方向に対して上記車両の前後方向が成す方向角を推定検出し、推定検出された方向角をあらわす車両方向角データを得る車両方向角推定手段と、
上記車両位置データがあらわす車両の位置に基づいて上記マーカの配列から上記車両までの距離を上記車両の横変位として求める手段,上記車両の走行速度を検出する手段及び上記車両における操舵角を検出する手段を包含した警告手段と、
を備え、
上記警告手段において、上記車両がその前端部を走行車線の外側に向けるもとでの上記方向角と上記車両の走行速度とに応じて、警報基準とされる上記車両の横変位の値が設定され、上記車両の横変位が上記警報基準未満である状態から上記警報基準に達した状態となると、直ちに警報が発せられ、その後、上記操舵角が所定の値に達すると、上記車両の横変位が上記警報基準以上であっても上記警報が停止され、一方、上記操舵角が検出されない場合には、上記車両の横変位が上記警報基準未満の状態に戻されるまで上記警報が継続されることを特徴とする車両位置及び方向角検出装置。 - 上記道路に配列配置されたマーカの各々が磁気マーカとされ、上記マーカ検出手段が、上記磁気マーカにより形成される磁界に応答して検出出力を得ることを特徴とする請求項1記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記車両が走行する道路の曲率をあらわす道路曲率データを送出する道路構造データ送出手段と上記道路に配列配置されたマーカの相互間隔をあらわすマーカ間隔データを送出するマーカ配置データ送出手段とを備え、上記道路曲率データ及びマーカ間隔データが上記車両位置推定手段による上記マーカに対する上記車両の位置の推定検出に用いられることを特徴とする請求項1記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記車両の走行速度に対応した検出出力を送出する車両状態検出手段を備え、上記車両の走行速度に対応した検出出力が上記軌跡推定手段による上記車両の移動軌跡の推定に用いられることを特徴とする請求項1記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記車両軌跡推定手段が、上記車両の移動軌跡に関する補完曲線を設定し、該補完曲線と上記車両位置履歴データ形成手段から得られる位置履歴データとをマッチングさせて上記補完曲線のパラメータを決定し、該パラメータが決定されて得られる補完曲線をもって上記車両の移動軌跡を推定することを特徴とする請求項1記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記車両軌跡推定手段が、車両運動モデルから車両移動軌跡曲線を算出し、該車両移動軌跡曲線と上記車両位置履歴データ形成手段から得られる位置履歴データとをマッチングさせて上記車両移動軌跡曲線のパラメータを決定し、該パラメータが決定されて得られる車両移動軌跡曲線をもって上記車両の移動軌跡を推定することを特徴とする請求項1記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記マーカの配列方向に対して上記車両の前後方向が成す方向角の変化を検出する方向角変化検出手段と、該方向角変化検出手段から得られる検出出力に基づいて上記車両の方向角を推定検出し、推定検出された方向角をあらわす車両方向角データを得る補助車両方向角推定手段と、上記車両の走行速度に対応した検出出力を送出する車両状態検出手段と、上記補助車両方向角推定手段から得られる車両方向角データと上記車両 状態検出手段から得られる検出出力とに基づいて上記マーカの配列に対する上記車両の位置を推定検出し、推定検出された車両の位置をあらわす車両位置データを得る補助車両位置推定手段とを備え、上記マーカ検出手段からの検出出力が適正に得られない状況のもとでは、上記補助車両位置推定手段から得られる車両位置データと上記補助車両方向角推定手段から得られる車両方向角データとを用いることを特徴とする請求項1記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記マーカ検出手段からの検出出力が適正に得られるもとにおいて、上記補助車両方向角推定手段に対する上記車両方向角推定手段から得られる車両方向角データに応じた補正制御を行い、上記補助車両方向角推定手段から補正された車両方向角データが得られるようになすことを特徴とする請求項7記載の車両位置及び方向角検出装置。
- 上記車両方向角推定手段から得られる車両方向角データの信頼性を判別する信頼性判定手段と、該信頼性判定手段から得られる判定出力に応じた補正信号を得る補正信号形成部とを備え、該補正信号形成部から得られる補正信号によって上記補助車両方向角推定手段に対する補正制御を行うことを特徴とする請求項8記載の車両位置及び方向角検出装置。
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