JP3688037B2 - ディスプレイ容器として利用可能なカートン - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳まれたカートンを組み立てて立体状にしたとき、カートン内部に仕切壁が自動的に組み上げられ、収納される複数本の商品がその仕切壁で垂直に支持されるようにした、ディスプレイ容器として利用可能なカートンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、ジッパーを除去してカートンの前面上部を切り離すことにより、包装された複数本の商品を展示できるようにしたカートンが使用されてきている。そして、カートン内部に仕切壁又は中枠を備えたものがある。例えば実公昭５６−３８９９２号に開示されたものは、前壁と、後壁と、左右の側壁と、底壁と、上壁とからなる直方体状カートンであって、前壁と左右の側壁とに形成された破断部又は引裂線にてカートンの前壁上部を切り取り可能に形成するとともに、後壁の上端に連接されかつ内方へ折り込むようにしたフラップにより段部、すなわち中枠、を一体的に形成するようにしている。また、他の従来例によれば、引裂線にてカートンの前壁上部を切り取った後、カートン内部に別体の仕切壁を嵌め込む構造のものも知られている。
【０００３】
しかしながら、前者のようなカートンは、カートン内部が商品で満杯の状態であれば、商品を段部に載置することにより展示効果をよくすることができるものの、縦長の倒れやすい商品を複数個並べて包装して展示した場合には、内部に収納されている製品の本数が少なくなってくると、残った商品が倒れてしまい展示効果が悪くなるという欠点がある。またその上、ブランク形状が、後壁の上縁に折り込み段部を形成するためのフラップが連接された形状であるために、製造時におけるブランクの取り都合が悪く用紙のロスが多くなって製造コストがアップするという欠点がある。
【０００４】
一方、後者のものでは、別体の仕切壁を嵌め込む必要があるために、カートンの組立てに手間がかかり包装能率が落ちるとともに、カートン製作時常にカートン本体と仕切壁とを対にしておく必要があるため、それらの輸送中や保管中の管理が繁雑になるという欠点があった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の解決すべき技術的課題は、組立が簡単であり、包装の作業性が優れるとともに、カートンの前面上部を切り取って商品を展示した際に、カートン内に並べられた商品本数が少なくなっても倒れることのない展示効果の優れた、ディスプレイ容器として利用可能なカートンを提供するにある。
【０００６】
【課題を解決するための・手段・作用・効果】
上記課題を達成するための本発明に係るカートンは、１つの前壁と、１つの後壁と、左右の側壁と、上壁構成フラップと、底壁構成フラップとを有するブランクを組み立ててなる。カートンを構成するブランクは、その何れかの構成壁に連接する、平面視十字状の仕切壁手段を含む。該仕切壁手段は、カートン略中央沿いに左右に横断してカートンを前後に仕切る横仕切壁と、カートンを前後に縦断してカートンを左右に仕切る縦仕切壁とを含む。前壁は略中央を左右方向に横断するジッパーを有する。左右の側壁、又は、左右の側壁と後壁は、それぞれ、左右のジッパーの外端と連絡してカートンの上部をその下部から切り離すようにした破断部を有する。
【０００７】
上記構成によれば、仕切壁手段をカートンに一体的に設けているので、カートンを起こして組み立てると、これと同時にカートン内部に十字状の仕切が構成されるので、そのまま仕切内に商品を収納して包装することが可能であり、商品の包装作業に手間がかからず能率よく実施することができる。また、カートンの上部を切り取って商品を展示して販売する際、包装されている商品本数が少なくなっても仕切に支えられるので倒れることがなく優れた展示効果が得られる。
【０００８】
上記構成において、少なくとも何れか一方の上記側壁の上記破断部は、横方向に延在するジッパーとして構成してもよい。こうすれば、商品が横向け、即ち側壁が前面に来るように陳列された場合であっても、商品がよく見える。
【０００９】
１つの好ましい実施態様によれば、このカートンに使用されるブランクは、その左右端の何れかに位置する１つの壁、好ましくは上記後壁、の端部に横方向に連接する仕切壁を含んでいる。該仕切壁は、カートンの下部を略中央沿いに左右に横断しかつその両端部が左右の側壁の内面に接着されてカートンを前後に仕切る横仕切部と、該横仕切部の上部に連接しかつ略直角に後方に折曲られるとともにその端部が後壁の内面に接着されてカートンの後ろ半分を左右に仕切る縦仕切部とを含んでいる。前壁は、その略中央部にＵ字状の切り込みをすることにより形成される縦仕切片と、該切り込みから左右方向に前壁の両側まで延在するジッパーとを有する。縦仕切片は後方に折曲られてその端部が縦仕切部に接着されてカートンの前半分を左右に仕切る。左右の側壁、又は、左右の側壁と後壁は、それぞれ、左右のジッパーの外端と連絡してカートンの上部をその下部から切り離すようにした破断部を有する。
【００１０】
好ましくは、上記前壁に形成したＵ字状切り込みは、その切り込み両端が縦方向の１つの折罫の上下端部から斜め上方に延在する一対の斜め切り込み線と、該斜め切り込み線の各上端を結ぶ縦切り込み線とから構成されて、上記縦仕切片が斜め上方に向かって延在するように、形成され、前壁に形成した上記左右のジッパーの各内端縁が各斜め切り込み線に一致している。
【００１１】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の第１実施形態を図１〜図５に従って説明する。このカートンは、図１および図２に示すように、前壁１と後壁２と左右の側壁３，４と上壁と底壁とからなる直方体状のものである。前壁１の略中央部には、右肩上がり斜めのＵ字状切込９および上下方向の折罫８ａにより切込縦仕切片８を形成している。このＵ字状切込９は、互いに平行な一対の斜め切込線９ａ，９ｂと、折罫８ａと平行な切込線９ｃとで構成している。この仕切片８をカートンの内側に押し込むと、１つの平行四辺形の開口が形成される。Ｕ字状切込９により形成される開口からは、前壁１の左右両側端に向かって延びる水平方向のジッパー１０およびジッパー１１が形成されている。すなわち、各ジッパー１０，１１の内端は斜め切込線９ａ，９ｂに一致している。各側壁３，４には、各ジッパー１０，１１の各外端から各側壁の上部後方の角部まで斜めに延在する左右の切取線１２，１３を形成している。また、後壁２と上壁フラップ間には、各切取線１２，１３の上端間を結ぶミシン目１４を形成している。これらのジッパー１０，１１、切取線１２，１３およびミシン目１４により破断部又は切取手段が一連に構成され、カートンの前面上部が図４，５に示すように斜めに切り取れるようにしている。カートンの内部の下方には、横仕切壁６と縦仕切壁７と切込縦仕切片８とで構成される平面形状十字状の仕切壁手段がカートン本体と一体的に形成されている。
【００１２】
第１実施形態のカートンを製作するためのブランクの全体を図２に示している。図に示すように、側壁３と前壁１と側壁４と後壁２と横仕切壁６と横仕切壁糊代６ａとがそれぞれ折罫Ｓを介して連接し、側壁３と前壁１と側壁４と後壁２の上下両端にはそれぞれ上壁と底壁を形成するためのフラップが各折罫Ｓを介して連接している。横仕切壁６は、後壁２の側縁に接続する内側壁６ｃと、該内側壁に連接する横仕切壁本体６ｂと、該横仕切壁本体に連接する横仕切壁糊代６ａとで構成している。そして、横仕切壁本体６ｂの中央上方には、上に突出するように上下方向の折罫Ｓを介して縦仕切壁７が形成されている。縦仕切壁７は、縦仕切壁糊代７ａを備えている。
【００１３】
ブランク形状を上記形状とすることにより、ブランクの貼り作業は、上下方向の各折罫Ｓにて折り曲げて貼るだけであるので、貼り工程が単純化でき、そのため高速の貼り加工が可能となる。さらに、１枚の素材用紙に多数のブランク形成し、その状態で印刷するとともに打抜き加工を行って製造するに際して、用紙のロスが少なくなるので低価格化が可能である。尚、図中斜線部は各フラップの貼着位置を示している。
【００１４】
ブランクの貼り工程を図３に示している。まず、ブランクを後壁２と内側壁６ｃの間の折罫Ｓにて折り曲げて、横仕切壁糊代６ａおよび縦仕切壁糊代７ａにてそれぞれ対向する側壁４および後壁２に、斜線で示した貼着位置ａ，ｂにて接着して、図３（ａ）に示す状態とする。次いで、前壁１と側壁４の間の折罫Ｓにて折り曲げて、側壁３の外側端縁部および切込縦仕切片８の端縁部にてそれぞれ対向する内側壁６ｃおよび縦仕切壁７に、斜線で示した貼着位置ｃ，ｄにて接着することにより貼り工程が完了する。図４(ｂ)はこの完了状態を示している。貼り上がったカートンの状態は折り畳まれた状態である。折り畳まれた状態の紙カートンの内部の下方には、横仕切壁６と縦仕切壁７と切込縦仕切片８とで構成される仕切壁がカートンと一体的に形成されているので、カートンを起こして組み立てると、図４（ａ），（ｂ）に示すように、平面形状が十字状の仕切壁が形成される。
【００１５】
第１実施形態のカートンの仕切壁の構造は、横仕切壁本体６ｂが横仕切壁糊代６ａにて対向する側壁３に接着されて、前壁１と平行にカートンの内部略中央を横に仕切る仕切壁が形成されるとともに、横仕切壁本体６ｂの中央上方の突出部に形成された縦仕切壁７が上下方向の折罫Ｓを介して後壁２の方に折り曲げられて縦仕切壁糊代７ａにて対向する後壁２に接着されるとともに、前壁１の中央部に斜めのＵ字状切込９により形成された切込縦仕切片８が上下方向の折罫Ｓにて斜め上方に折り曲げられて、切込縦仕切片８の端縁部にて縦仕切壁７に接着されて縦に仕切る仕切壁が形成されるものである。横方向の仕切壁は中央部が上に突出した形状であり、縦方向の仕切壁は前壁１の中央部の下方から後壁２に向かって斜め上方に形成され、仕切壁全体の平面形状は、図４（ｂ）に示すように、十字状である。
【００１６】
第１実施形態のカートンに製品を包装するには、カートンを起こして、平面形状が十字状の仕切壁を形成してから、前壁１と後壁２と左右の側壁３，４の下端縁に連接されている各底壁フラップを折り込むとともに、各フラップを互いに接着して底壁を形成した後、形成された平面形状十字状の仕切壁に複数本の、図示のでは１０本の、商品を収納してから、前壁１と後壁２と左右の側壁３，４の上端縁に連接されている各上壁フラップを折り込んで互いに接着して上壁を形成することにより、商品包装が完了する。
【００１７】
上記のようにして商品を収納して包装したカートンを店頭にて展示する際には、前壁１にＵ字状縦仕切片８を内部に押し込むことにより形成された開口部から各ジッパー１０，１１の各内端部を左右に引っ張って切り取り、切り取られて開口した部分の前壁１の上部を掴んで上に持ち上げることにより、側壁３，４にそれぞれ形成されている切取線１２，１３にて側壁３，４の上部を斜め後方に引き裂き、次いで後壁２の上端縁に形成されているミシン目１４にて引き裂き、カートンの前面上半部が切り取る。そうすれば、図５に示す展示状態となる。この状態で展示して商品を販売する際、カートン内に収納されている商品が売れてその数が減少してきても、商品が仕切壁により支えられるので、商品が縦長で倒れ易い場合であっても、立った状態を保つことができ、展示効果がきわめて良好である。
【００１８】
本発明の第２実施形態を図６および図７に示している。このカートンは、第１実施形態のカートンと基本的に同一であるが、次の点で異なっている。前壁１の中央部に形成したＵ字状切込９は左肩上がりに形成している。また、前壁１に形成されたジッパー１１の外端部が延長され、一方の側壁４の水平方向の全幅にわたって形成されている。すなわち、ジッパー１０の外端部から側壁３の上部後方角に達する一方の側壁３に形成された切取線１２と、ジッパー１１の外端部から水平方向に延びる他方の側壁４に形成されたジッパー１１ａと、ジッパー１１ａの外端部から斜め上方に延びる後壁２に形成された切取線１３ａとからなる破断部又は切取手段が形成されて、カートンの前壁の上部および一方の側壁の上部と上壁を切り取れるように構成している。
【００１９】
第２実施形態のカートンを製作するためのブランクの貼り工程および組み立てた状態の仕切壁の構成は第１実施形態の場合と実質的に同様である。商品の包装工程も第１実施形態の場合と同様に実施される。
【００２０】
商品を収納して包装した第２実施形態のカートンを店頭にて展示する際には、第１実施形態と同様に、Ｕ字状切込９により形成された開口部からジッパー１０とジッパー１１およびジッパー１１ａを左右に引っ張ることにより、前壁１と側壁４が切り裂き、この切り裂き部を掴んで前壁１と側壁４の上部を上に引っ張って、切取線１２により側壁３を斜めに切り裂くとともに、切取線１３ａにより後壁２を部分的に斜めに切り裂き、最後にミシン目１４ａにて切り裂いて、図８に示すように、前壁１および側壁４の上部分と上壁を切り取った状態とする。第１実施形態のもカートンが、前壁をを前面にして展示する場合に適しているが、これに対して、第２実施形態のカートンは、さらに、側壁４を前面にして展示する場合にも適している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１実施形態に係るカートンの斜視図である。
【図２】 上記カートンを製作するためのブランクの展開平面図である。図では、ブランクの内面側が表われている。
【図３】 上記ブランクの貼り工程を説明する図で、（ａ）は中間状態の平面図、（ｂ）は完成状態の平面図である。
【図４】 上記カートンの上部を切り離して内部の仕切壁を示すもので、（ａ）は、カートン内に商品の入っていない状態を示す斜視図、（ｂ）は、商品を入れた状態を示す平面図である。
【図５】 上記カートンの上部を切りとって商品を展示している状態を示す斜視図である。
【図６】 本発明の第２実施形態のカートンの斜視図である。
【図７】 第２実施形態のカートンを製作するためのブランクの平面図である。
【図８】 図８は、第２実施形態のカートンの前壁および側壁の上部を切り取って商品を展示している状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
１ 前壁
２ 後壁
３，４ 側壁
６ 横仕切壁
６ａ 横仕切壁糊代
６ｂ 横仕切壁本体
６ｃ 内側壁
７ 縦仕切壁
７ａ 縦仕切壁糊代
８ 切込縦仕切片
８ａ 折罫
９ Ｕ字状切込
９ａ，９ｂ 斜め切込線
９ｃ 切込線
１０，１１，１１ａ ジッパー
１２，１３，１３ａ 切取線
１４，１４ａ ミシン目
Ｓ 折罫
ａ，ｂ，ｃ，ｄ 貼着位置

Claims (3)

1. １つの前壁と、１つの後壁と、左右の側壁と、上壁構成フラップと、底壁構成フラップとを有するブランクを組み立ててなる、ディスプレイ容器として使用可能なカートンにして、
   さらに、ブランクの左右端の何れかに位置する１つの壁の端部に横方向に連接する仕切壁を含み、該仕切壁は、カートンの下部を略中央沿いに左右に横断しかつその両端部が左右の側壁の内面に接着されてカートンを前後に仕切る横仕切部と、該横仕切部の上部に連接しかつ略直角に後方に折曲られるとともにその端部が後壁の内面に接着されてカートンの後ろ半分を左右に仕切る縦仕切部とを含み、
   前壁は、その略中央部にＵ字状の切り込みをすることにより形成される縦仕切片と、該切り込みから左右方向に前壁の両側まで延在するジッパーとを有し、縦仕切片は後方に折曲られてその端部が縦仕切部に接着されてカートンの前半分を左右に仕切り、
   左右の側壁、又は、左右の側壁と後壁は、それぞれ、左右のジッパーの外端と連絡してカートンの上部をその下部から切り離すようにした破断部を有するカートン。
2. 上記前壁に形成したＵ字状切り込みは、その切り込み両端が縦方向の１つの折罫の上下端部から斜め上方に延在する一対の斜め切り込み線と、該斜め切り込み線の各上端を結ぶ縦切り込み線とから構成されて、上記縦仕切片が斜め上方に向かって延在するように、形成され、前壁に形成した上記左右のジッパーの各内端縁が各斜め切り込み線に一致していることを特徴とする請求項１記載のカートン。
3. 上記仕切壁が連接する壁は後壁であることを特徴とする請求項１記載のカートン。

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