JP3687544B2 - 車両用電動機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用車、トラック等に搭載される車両用電動機に関し、特にレゾルバを備えた電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用電動機として、レゾルバを備えた電動機がある(特開平9−65617号公報)。
【0003】
特開平9−65617号公報によると、回転子と、この回転子の両端を一対のベアリングで支承するフレームと、回転子と径方向に対向してフレーム内に配置された固定子を有する電動機において、レゾルバがフレーム内のベアリング近傍に配置されている。このレゾルバには、レゾルバ、特にレゾルバのステータコイルのみを部分的に覆うように、磁気遮蔽部材が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来構成では、回転子と固定子からの漏れ磁束の影響を低減するように十分配慮がなされていない。また、レゾルバがフレーム内部に設けられているため、上記漏れ磁束の影響によりレゾルバの検出精度が低下するとともに、組付け時に磁極合せが難しく精度の高い位置検出ができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、レゾルバによる電動機の回転位置の検出精度を向上させつつ、組付け容易な車両用電動機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、回転子と、回転子に対向配置された固定子鉄心および固定子鉄心に装備された固定子巻線を備える固定子と、回転子と固定子を支持するフレームと、回転子および固定子に電気的に接続される配線端部と、回転子に連動するレゾルバ回転子およびレゾルバ回転子に対向配置されたレゾルバ固定子を有するレゾルバとを備えた車両用電動機において、
レゾルバをフレームの軸方向端部に設け、回転子および固定子から所定の間隔をおいて配置するように形成され、
かつ、回転子および固定子とレゾルバとの間に配線端部が配置され、配線端部は、フレームに設けられた係止部材により固定されている。
【0007】
これにより、レゾルバは、フレームの軸端部に設けられるので、フレームに支持、つまり収容される回転子および固定子からレゾルバへの漏れ磁束の影響が減じられ許容できる間隔に配置することが可能である。
特にその間隔を広くするために、回転子および固定子つまり電動機の本体部に電気的に接続される配線端部が、回転子および固定子とレゾルバとの間に配置されるので、レゾルバと回転子および固定子との間には、配線端部が配置される程度の離間距離が確保できる。したがって、レゾルバへの漏れ磁束の影響が低減できるので、レゾルバの検出精度の向上が可能である。
さらに、上記配線端部が、フレームに設けられる係止部材によって固定されるように構成されているので、電動機本体部とレゾルバとを組付ける際に、レゾルバを電動機本体部へ取付け易くすることができる。
【0010】
本発明の請求項2によれば、係止部材は、フレームの軸方向端部に配置するように形成し、
配線端部が、レゾルバに平行配置されて径方向に延びている。
【0011】
このため、回転子、および固定子を含む電動機の本体部分と、レゾルバを含む電動機の回転位置を検出する検出部分とを、それぞれ別体に組付けて、組付け最終段階にて一体的に組付け可能である。したがって、レゾルバを電動機の本体部分に磁極合せしながら組付ける等の組付容易化が可能である。
【0012】
上記レゾルバは、請求項3に記載のように、フレームの軸方向端部に回転自在に遊嵌されており、軸方向端部とは螺合部材によって固定されていることが好ましい。
【0013】
これにより、レゾルバを電動機に組付ける際、磁極合せが容易にできる。
【0014】
本発明の請求項4によると、レゾルバは、回転子の外径より大きい。
【0015】
これにより、レゾルバの回転子の大径化が可能であるので、レゾルバが電動機の回転位置を検出する分解能が向上できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用電動機を、車両用交流発電機に具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は本実施形態の車両用電動機の全体構造を表す縦断面図である。また、図2は、図1中の電動機の本体部とレゾルバの配置関係を説明するため、矢印方向Rからみた車両電動機の内部構成を表す横断面図である。
【0018】
図1に示すように、車両用電動機1は、電動機の本体部(以下、電動機本体部と呼ぶ)1Dと、電動機の回転位置を検出する検出部(以下、レゾルバと呼ぶ)1Sとからなり、レゾルバ1Sにより、電力損失の少ない効率のよい送電ができる発電機を提供する。
【0019】
電動機本体部1Dは、図1、2に示すように、固定子2、回転子3、フレーム4を含んで構成されている。
【0020】
固定子2は、固定子鉄心32と、固定子巻線を構成する複数の導体セグメント33と、絶縁層としてのシート状のインシュレータ34とを備えている。固定子鉄心32は、薄い鋼板シートを重ね合せて円筒状に形成されており、その内周面には多数のスロット35が形成されている。また、この固定子鉄心32から露出している導体セグメント33によって固定子巻線のコイルエンド31が形成されている。
【0021】
回転子3は、プーリ20が固定されたシャフト6と、このシャフト6に固定されたランデル型の鉄心7と、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線8とを有する。界磁巻線8は、鉄心7を構成する一対のポールコア7a、7bによって両側から挟み込まれている。
【0022】
フレーム4は、固定子2および回転子3を収容しており、回転子3がシャフト6とともに回転可能な状態で支持されていると共に、回転子3の鉄心7の外周側に所定の隙間を介して固定子2が固定されている。なお、フレーム4には、シャフト6の両端を回転自在にするベアリング4f、4rを設けることが望ましい。
【0023】
さらに詳しくは、フレーム4は、図1に示すように、フロントフレーム4aとリアフレーム4bとを含んで構成されている。このフロントフレーム4aは、プーリ20が固定されているシャフト端部6aを回転自在に支承し、リアフレーム4bは、後述のレゾルバを搭載し、シャフト端部6bを回転自在に支承している。
【0024】
レゾルバ1Sは、レゾルバ固定子102と、レゾルバ回転子103とを含んで構成されている。
【0025】
レゾルバ回転子103は、回転子3が固定されるシャフト端部6aに、図1に示すキー105等の係止部材を介して固定されている。また、レゾルバ固定子102は、レゾルバ固定子鉄心とレゾルバコイルからなり、レゾルバ回転子103の外周側に所定の隙間を介して、後述する螺合部材によってフレーム端部4brに固定されている。
【0026】
なお、フレーム4、特にリアフレーム4rと、レゾルバ1Sとの配置関係の詳細については、後述する。
【0027】
上述した構造を有する車両用電動機1は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に回転する。この状態で回転子3の界磁コイル8に外部から励磁電圧を印加することにより、鉄心7のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線に3相交流電圧を発生させることができる。また、レゾルバ1Sを介して電動機1の回転位置を検出することにより、電力損失の少ない給電を行なう。
【0028】
次に、本発明の車両用電動機の特徴である電動機本体部1Dからの漏れ磁束の影響を低減しつつ、レゾルバ自身の検出分解能の向上を含む電動機本体部1Dの回転位置の精度向上が可能な構成について、以下説明する。
【0029】
フレーム4は、前述したフロントフレーム4aとリアフレーム4bからなり、電動機本体部1Dの回転子3、固定子2を収容している。このフロントフレーム4aは、図1に示すように、リアフレーム4bの内周壁4bhより小径のガイド部4agが設けられており、このガイド部4agがフロントフレーム4aの内周壁4bhに挿嵌されることで、回転子3に設けられるシャフト6の両端部6a、6bを回転自在に支承することができる。
【0030】
また、図1に示すリアフレーム4bの端部には、電動機本体1Dにレゾルバ1Sが搭載されるよう、収容壁(以下、フレーム端部とも呼ぶ)4brが設けられている。この収容壁4brは、ボルト等の螺合部材を介してカバー107が固定されており、レゾルバ1Sを収容している。
【0031】
ここで、レゾルバ1Sは、電動機本体部1Dに対して、以下の配置関係を有する。レゾルバ回転子103を固定するシャフト端部6bは、図1に示すように、レゾルバ1Sの直前に、電動機本体部1Dの固定子2、回転子3に電気的に接続される配線端部9が配置できるように、電動機本体部1Dから軸方向に所定長だけ突出している。
【0032】
これにより、レゾルバ1Sは、電動機本体部1Dの端部、最後部に搭載され、固定子2および回転子3から所定の間隔を置いて配置することができる。
【0033】
このため、レゾルバ1Sは、電動機本体部1Dの最後部、すなわちフレーム端部4brに設けられるので、固定子2および回転子3からの漏れ磁束の影響が減じられ、レゾルバ1Sの許容検出精度を確保することができる。
【0034】
しかも、電動機本体部1Dを構成する配線端部9がレゾルバ1Sより軸方向手前、つまり電動機本体部1D側に配置されるようにするので、レゾルバ1Sと固定子2および回転子3との離間距離を広げることができ、従って、この漏れ磁束の影響を低減させて、レゾルバの検出精度を向上させる離間間隔に設定することができる。
【0035】
また、図1に示すように、この配線端部9は、レゾルバ1Sに平行に配置されて径方向外側へ延びるので、電動機本体部1Dとレゾルバ1Sとを、それぞれ別体に組付けて、組付け最終段階にて一体的に組付ける等の組付け容易化を図ることが可能である。なお、図1に示すように、配線端部9がフレーム4に設けられるゴム材等の係止部材9kにより固定される構成とすると、電動機本体部1Dとレゾルバ1Sとを組付ける際に、配線端部9が確実に固定されるので、レゾルバ1Sを電動機本体部1Dへ取付け易い。
【0036】
このレゾルバ1Sは、前述のように、電動機本体部1Dの最後部、すなわちフレーム端部4brに設けられるので、図1に示すように、レゾルバ1Sのレゾルバ回転子103の外径を回転子3の外径よりも大きく形成することが可能である。これにより、レゾルバ回転子103の大径化が可能であるので、レゾルバ1Sが電動機本体部1D、特に回転子の回転位置を検出する分解能が向上できる。
【0037】
また、レゾルバ1Sとこのレゾルバ1Sを搭載する電動機本体部1Dには、以下の磁極合せを容易にする配置、および構成を有する。
【0038】
すなわち、レゾルバ固定子102は、収容壁であるフレーム端部4brに設けられた複数の係止部(図2では、3個の係止部)4br1、4br2、4br3に遊嵌されており、この係止部4br1、4br2、4br3とはボルト等の螺合部材106によって固定されている。
【0039】
これにより、レゾルバ1Sを電動機本体部1Dに組付けて車両用電動機1をなす際、レゾルバ1Sを容易に回転させて固定できるので、ソレルバ1Sと電動機本体部1Dの磁極合せが容易にできる。
【0040】
なお、レゾルバ1Sをフレーム端部4brに遊嵌させるだけであれば、上記係止部をフレーム端部4brに設けた環状の段付部(以下、環状段付部と呼ぶ)とすれば足りるが、本実施形態で説明するように複数、例えば3個の係止部4br1、4br2、4br3(図2参照)とすれば、螺合部材106によって固定されるレゾルバ1Sの部分以外の環状段付部を肉盗みできるので、車両用電動機1の軽量化が可能であるので、望ましい。
【0041】
(変形例)
変形例として、配線端部9がレゾルバ1Sより軸方向手前に配置されるようにする構成を、フレーム端部4brとカバー107で形成する収容部Sのうち、レゾルバ1Sと電動機本体部1Dに囲まれるレゾルバ空間SRを、所定の軸方向厚さWを有する空間としてもよい。
【0042】
これにより、上述の実施形態で説明した効果が得られるとともに、図3に示すように、配線端部9の配置の設計自由度を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態の説明では、車両用電動機を交流発電機として説明したが、直流発電機でもよく、また、電動機能と発電機能を好適に両立可能なインバータ等の電動モータに適用してもい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両用電動機の全体構造を表す縦断面図である。
【図2】図1中の電動機の本体部とレゾルバ部の配置関係を説明するため、矢印方向Rからみた車両用電動機の内部構成を表す横断面図である。
【図3】変形例の車両用電動機において、配線端部周りの内部構成を表す横断面図である。
【符号の説明】
1 車両用電動機
1D 電動機本体部
1S レゾルバ
2 固定子
3 回転子
4 フレーム
4a、4b フロントフレーム、リアフレーム
4ag ガイド部
4bh 内周壁
4br フレーム端部(収容壁)
4br1、4br2、4br3 係止部
4f、4r ベアリング
6 シャフト
6a、6b シャフト端部
7 鉄心
8 界磁巻線
9 配線端部
9k 配線端部9を固定する係止部
20 プーリ
31 固定子巻線
32 固定子鉄心
33 導体セグメント
34 インシュレータ
35 スロット
102 レゾルバ固定子
103 レゾルバ回転子
105 キー(係止部材)
106 螺合部材
107 カバー
S、SR 収容部、レゾルバ空間
W レゾルバ空間の軸方向厚さ

Claims (4)

  1. 回転子と、該回転子に対向配置された固定子鉄心および該固定子鉄心に装備された固定子巻線を備える固定子と、前記回転子と前記固定子を支持するフレームと、前記回転子および前記固定子に電気的に接続される配線端部と、前記回転子に連動するレゾルバ回転子および該レゾルバ回転子に対向配置されたレゾルバ固定子を有するレゾルバとを備えた車両用電動機において、
    前記レゾルバを前記フレームの軸方向端部に設け、前記回転子および前記固定子から所定の間隔をおいて配置するように形成され、
    かつ、前記回転子および前記固定子と前記レゾルバとの間に前記配線端部が配置され、前記配線端部は、前記フレームに設けられた係止部材により固定されていることを特徴とする車両用電動機。
  2. 前記係止部材は、前記フレームの前記軸方向端部に配置するように形成し、
    前記配線端部が、前記レゾルバに平行配置されて径方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動機。
  3. 前記レゾルバは、前記フレームの前記軸方向端部に回転自在に遊嵌されており、前記軸方向端部とは螺合部材によって固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用電動機。
  4. 前記レゾルバは、前記回転子の外径より大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用電動機。
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