JP3687104B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ファクシミリ、光プリンタ等の分野で利用される密着型光学装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
密着型光学装置は、現在ファクシミリ,光プリンタ用の光学装置として使用されている。このような装置は、例えば、その内部に屈折率分布が形成された円柱状のロッドレンズを1対1の正立実像を結ぶようにその長さを調整し、これを基板と基板の間に一列または複数列に配列したレンズアレイであり、個々のレンズの正立実像が互いに合致するように構成されている。
【0003】
例えば、ファクシミリの応用例を中心に示すと、レンズアレイに近接されて配置された原稿上に描かれたパターンの正立実像が、1対1の倍率でレンズアレイの反対面側に形成される。
【0004】
このレンズアレイを、ファクシミリ用センサに適用した例を図5に例示する。ロッドレンズ21は屈折率分布を持ったレンズであり、この複数個のレンズが2枚の基板12に挟まれ、紙面に対し垂直方向に一列に並べられている。レンズの片側には原稿61が配置され、その反対側に原稿の結像光を受光するセンサIC31が配列されている。このセンサICが、配列されている基板14とレンズアレイとは、ハウジング81にて互いに固定されている。
【0005】
この場合、原稿面とセンサまでの距離は、約20mmから60mmであり、幅200〜300mmの原稿を、短い距離で結像することが可能になるという優れた特長を持っている。このようなレンズアレイとしては、例えば日本板硝子(株)より、セルフォックレンズアレイ(登録商標)(以下SLA(登録商標)と略称する)という名称にて販売されている。
【0006】
原稿に対する照明は本図では特に示していないが、別の照明装置によって原稿の読み取る部分を照明している。
【0007】
一方、光プリンタに応用する場合、センサICの部分がLEDアレイになり、原稿に相当する位置に感光ドラムが配置される。そして、LEDアレイから出射された画像パターンが、感光ドラム上に書き込まれることになる。
【0008】
以上のように、このSLAは、200〜300mmという幅広い面積の実像を20〜60mmの距離で得ることができるため、ファクシミリおよび光プリンタ装置の小型化に大きく寄与するという特徴を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の例では、受光素子アレイまたは発光素子アレイであるセンサICまたはLEDアレイと、これらを接続する電気配線が設けられた基板14と、SLAとが別々に設けられ、ハウジング81で位置決めされ、組み立てられていた。
【0010】
したがって、装置としての体積が大きくなるという問題点と、SLAとセンサICまたはLEDアレイとの光軸および焦点位置を微調整しながら組み立てなければならず、組立コスト,調整コストがかかるという問題点も持っていた。
【0011】
【課題を解決するための手段
発明では、正立実像が形成される略円柱状でその側面に遮光層を有するロッドレンズを複数本配列したレンズアレイ、受光素子アレイまたは発光素子アレイとこれら素子を駆動するIC、前記レンズアレイの光軸上にあって、前記レンズアレイを進行してきた光線が、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイに入射するように、その光線を反射する反射面を有し、前記レンズアレイによって形成される正立実像群が、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイ面上に結像されるように、前記レンズアレイと前記受光素子アレイまたは発光素子アレイが配置されている光学装置を対象とする。上記課題を解決するため本発明においては、前記レンズアレイは透光性基板上に配列され、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイは前記透光性基板の前記レンズアレイが配列された面とは反対側の面に配置されており、前記レンズアレイはその光軸に垂直な方向に前記透光性基板に到達する溝を有し、前記反射面は前記溝の中に配置され、レンズアレイを進行してきた光線を前記透光性基板の方向に折り曲げるようにレンズアレイの光軸に対して斜めの面を有する光学装置を作製する。
【0012】
【作用】
上述したように、本発明の光学装置では、従来例に示したようなハウジングが不要となる。また、レンズアレイの基板と、受光素子アレイまたは発光素子アレイの基板とが兼用できるようになる。
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の一実施例の構成概略図である。
その中心から外周部へ行くにしたがって、屈折率が小さくなるような屈折率分布を持ち、正立実像を結ぶようにその長さを調整された円筒形レンズ21が多数本、透光性基板11と非透光性基板12に挟まれて互いに平行に並べられており、それらの隙間は遮光の機能を兼ねた充填剤25が充填されて、屈折率分布レンズアレイを形成している。この非透光性基板12は、必要に応じて用いることができ、また非透光性でなくてもかまわない。なお、円筒形レンズ21には、予めその側面に遮光層となるコーティングが施されている。また、透光性基板11の片面には、遮光層となるコーティングが施されていてもよい。
【0014】
そして基板12側から、基板12および前記レンズアレイを切断し、さらに基板11に到達する溝が形成され、その中に反射面22を有するプリズム23が配置されている。この反射面は、例えばアルミニウムなど反射率の高い金属膜を形成することで得られる。
【0015】
具体的には、このプリズムはアクリル樹脂製の柱体であり、少なくとも前記溝の底面と1側面とに接する面と、前記レンズアレイの光軸に対して斜めの角度を持つ面とを有し、その斜めの角度を持つ面にアルミニウムを蒸着し反射面としている。なおこの角度は、後述のようにレンズアレイからの光線がセンサIC31に入射するように選ばれている。
【0016】
原稿61に描かれた画像からの光線は、光軸71にそって進行する。まず、屈折率分布レンズ21を通り、続いてプリズム23を通り、反射面22でその進行方向をほぼ直角に曲げられ、透光性基板11を通ってこの基板11に設けられたセンサIC31に入射する。このセンサICは、例えばCCD素子などである。
【0017】
プリズムはその屈折率が約1.5の樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)を用いた場合、透光性基板も同じくその屈折率が約1.5のガラス基板を用いるとよい。
【0018】
ここで、屈折率分布レンズ21の長さは、原稿の画像の実像がセンサICの入射面と一致するよう形成する。レンズ21は、日本板硝子社製の製品名:SLA−20に用いる屈折率分布レンズと同じレンズ(レンズ径:1mm,光軸上屈折率 n0 :1.63,屈折率分布定数 √A:0.44(mm-1))を用いて製作している。
【0019】
具体的寸法は、レンズの長さが8mm、レンズから原稿までの距離が約3mm、そしてレンズのもう一方の面から、プリズムを通ってセンサICまでの距離が約4.5mmである。プリズム側の距離が原稿側に較べて長くなっているのは、プリズム材料、透光性基板を形成する材料として、その屈折率が約1.5のものを使用したためで、3×1.5=4.5mmとなるためである。
【0020】
さらに、プリズム23は紫外線硬化型の接着材24を用いて接着し、接着剤の屈折率も1.5のものを選んで使用している(具体的には、協立化学社製のX8721)。このようにプリズム材料、基板材料、接着材の屈折率を合わせることで、それぞれの界面における光の反射がなくなり、またそれぞれの面が多少粗になっていても、光の散乱が無くなるという利点も持っている。レンズ間の黒色充填材は、黒色顔料を含有するシリコーン樹脂を使用している。これは黒色顔料により、レンズ間の遮光を行うためである。
【0021】
図2は、図1に示した構造の裏側を示した図である。透光性基板11上に配線41が形成され、その上に受光素子であるセンサIC31が設けられている。
【0022】
図3は、図1,2に示した構造の断面光路図を示したものである。
配線41上にセンサIC31が、半田バンプにより固定されている。この半田バンプは、半導体ICの実装法として通常行われているものであり、センサIC上の電極部分の半田を乗せ、これを配線41に押し付けて温度を上げて、半田を溶かし、融着させるものである。
【0023】
つぎに、図4に本発明による一実施例の製造工程を示す。これは、多数の光学装置を一度に製造する場合である。
【0024】
まず、配線41を形成した透光性基板11と非透光性基板12(例えば、それぞれの大きさは、300mm角で、板厚は1mm厚)で、屈折率分布をもつロッドレンズ21の多数本を挟み込む(図4a)。ロッドレンズ21は、互いに平行に接触するように配列されている。この場合、厚さは4mm程度となり、大きさはほぼ30mm角程度となる。さらにレンズ間や基板との隙間に、黒色シリコーン樹脂を充填し、これを接着する。なお、非透光性基板12は必要に応じて用いることができる。
【0025】
その後、ダイヤモンドブレードによる研削加工で角型の溝13を設ける(図4b)。この溝13は、非透光性基板12側から、この基板とロッドレンズを切断しさらに透光性基板11に達するように形成する。具体的には、この場合深さが2.5mm程度で幅は3mm程度とする。この溝の平坦度をよくするためには、まず粗い番手(例えば150番)のブレードで溝を掘ったあとに、細かい番手(例えば400番)のブレードで再度溝表面を研削し、平坦度を上げるという手法を用いることができる。
【0026】
続いて、この溝13にプリズム23を埋め込む(図4c)。このプリズムはアクリル樹脂製の柱体であり、前記溝の底面と1側面とに接する面と、前記レンズアレイの光軸に対して斜めの角度を持つ面とを有し、その斜めの角度を持つ面にアルミニウムを蒸着し反射面としている。このプリズムの接着には、紫外線硬化樹脂24を用いている。
【0027】
引き続き、センサIC31をこの構造上に接着する(図4d)。センサIC上に半田バンプ42を形成し、これをアライメントして配線41上に接着している。最後に、ダイシングソ−によって、それぞれの光学装置に切断分離する(図4e)。
【0028】
以上の実施例では、センサICを登載する場合について説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、センサICの代わりに、発光素子であるLEDアレイやLDアレイであってもよく、また同時にこれらを駆動するためのICが、隣接して併置される場合であってもよい。また、反射面としては、プリズムに金属膜を形成した場合について説明したが、これはミラーであってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明による光学装置では、従来例に示したようなハウジングは不要となる。したがって、装置全体の大きさをコンパクトにまとめることができる。
【0030】
また、レンズアレイの基板と、センサICまたはLED基板とが兼用できるため、上述したハウジングが不要な点とあいまって、さらに光学装置の低価格化が図れる。また、センサICおよびLEDアレイは基板上への2次元実装であり、既に開発された表面実装技術を活用し、安価に実装することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す構造概略図。
【図2】図1の裏面側を示す構造概略図。
【図3】図1の断面光路図。
【図4】本発明の製造工程を示す図。
【図5】従来の密着型イメージセンサの構造図
【符号の説明】
11 透光性基板
12 (非透光性)基板
13 溝
14 配線を有する基板
21 円柱状屈折率分布レンズ
22 反射面
23 プリズム
24 紫外線硬化樹脂
25 黒色充填剤
31 センサIC(またはLEDアレイ)
41 配線
42 半田ダンプ
51 光源
61 原稿
71 光軸
81 ハウジング

Claims (3)

  1. 正立実像が形成される略円柱状でその側面に遮光層を有するロッドレンズを複数本配列したレンズアレイ、受光素子アレイまたは発光素子アレイとこれら素子を駆動するIC、前記レンズアレイの光軸上にあって、前記レンズアレイを進行してきた光線が、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイに入射するように、その光線を反射する反射面を有し、前記レンズアレイによって形成される正立実像群が、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイ面上に結像されるように、前記レンズアレイと前記受光素子アレイまたは発光素子アレイが配置されている画像読み取りまたは画像書き込みのための光学装置において、
    前記レンズアレイは透光性基板上に配列され、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイは前記透光性基板の前記レンズアレイが配列された面とは反対側の面に配置されており、前記レンズアレイはその光軸に垂直な方向に前記透光性基板に到達する溝を有し、前記反射面は前記溝の中に配置され、レンズアレイを進行してきた光線を前記透光性基板の方向に折り曲げるようにレンズアレイの光軸に対して斜めの面を有することを特徴とする光学装置。
  2. 請求項1に記載される光学装置において、前記反射面はレンズアレイの光軸に対して斜めの面を有する透光性材料からなるプリズムの当該面である光学装置。
  3. 請求項1に記載される光学装置において、前記受光素子アレイまたは発光素子アレイ上に形成された電極と、前記透光性基板上の配線の形成面とが対向し、かつ互いに電気的接触が取られている光学装置。
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