JP3686793B2 - バックライトユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はワープロやパソコンなどのOA機器に用いられる液晶表示装置のバックライトユニットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種バックライトユニットは、例えば図9に示すように構成されている。このバックライトユニット1は、ポリカ−ボネイト樹脂などよりなる導光板11の端面11a側に直管形の冷陰極蛍光ランプ2を、端面11aに対向し、かつ平行となるように配置すると共に、導光板11の光導出面側(表面側)11bに拡散板などを介して液晶表示パネル12を配置し、冷陰極蛍光ランプ2の背面側(非導光板側)に反射板13を配置して構成されている。
【0003】
このバックライトユニット1における冷陰極蛍光ランプ2は、例えば図10に示すように構成されている。この冷陰極蛍光ランプ2は、直管形のガラスバルブ3の内面に複数の蛍光体を混合してなる発光層4を形成すると共に、ガラスバルブ3の両端部に電極5,5を配置し、かつガラスバルブ3の内部空間にアルゴンなどの希ガスと水銀を封入して構成されている。尚、電極5,5にはリード線6,6が接続されており、ガラスバルブ3の端部から外部に導出されている。
【0004】
このバックライトユニット1において、冷陰極蛍光ランプ2の電極5,5に高周波電圧を印加すると、冷陰極蛍光ランプ2は点灯し、発光層4から放出された光は直接的或いは反射板13で反射されて導光板11に、端面11aから導入される。導光板11に入射された光は図示しない拡散板に導入され、それの拡散機能により全体的に輝度分布が均斉化される。このように均斉化された光によって液晶表示パネル12が照明される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のバックライトユニット1の冷陰極蛍光ランプ2は、点灯状態において、水銀の励起によって各種波長の紫外線を発生し、その一部がガラスバルブ3を透過して外部に放射される。特に、紫外線のうち、波長が275nm程度以下の紫外線は、その大部分がガラスバルブ3に吸収されてしまうために、ガラスバルブ外に放射されることはないものの、波長が275〜380nmの紫外線は、その一部がガラスバルブ3を透過して外部に放射される。
【0006】
具体的には、この冷陰極蛍光ランプ2の分光エネルギ−分布図は、図11に示す。同図から明らかなように、ガラスバルブ3から外部に放射される紫外線は、主として313nmの紫外線UVaと365nmの紫外線UVbである。
【0007】
しかしながら、例えば図9に示すバックライトユニット1のように、冷陰極蛍光ランプ2の近傍に導光板11のように樹脂成形品などが設置されている場合には、導光板11などがガラスバルブ3から透過した紫外線に曝され、ついには紫外線劣化によって変色したり、或いは反射板13などを取り付ける樹脂成形品の機械的な強度が低下したりすることがある。このために、液晶表示装置の表示品位が損なわれるのみならず、バックライトユニット1における反射板13の取り付け性をも損なわれるという問題を有している。
【0008】
その上、この冷陰極蛍光ランプ2は点灯時に、それのガラスバルブ3の細径化(例えば外径が6mm程度ないしそれ以下)によって管壁温度が上昇し、上述の紫外線と熱との相乗作用により、導光板11の変色,樹脂成形品などの劣化が促進され、バックライトユニット1としての品位,信頼性が早期に損なわれるという問題もある。
【0009】
それ故に、本発明の目的は、簡単な構成によって冷陰極蛍光ランプからの紫外線放射を抑制して導光板,樹脂成形品などの変色,劣化などを軽減できるバックライトユニットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、上述の目的を達成するために、導光板の端面側に冷陰極蛍光ランプを、光が放出される表面側に液晶表示パネルをそれぞれ配置したバックライトユニットにおいて、前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の発明は、液晶表示パネルの背面側に単数又は複数の冷陰極蛍光ランプをほぼ平行に配置したバックライトユニットにおいて、前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の第3の発明は、導光板の端面側に冷陰極蛍光ランプを、光が放出される表面側に液晶表示パネルをそれぞれ配置したバックライトユニットにおいて、前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成し、前記導光板の表面側と前記液晶表示パネルとの間に平板状の拡散板を配置したことを特徴とし、本発明の第4の発明は、液晶表示パネルの背面側に単数又は複数の冷陰極蛍光ランプをほぼ平行に配置したバックライトユニットにおいて、前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成し、前記冷陰極蛍光ランプと前記液晶表示パネルの間に平板状の拡散板を配置したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかるバックライトユニットの各種の実施形態を図1〜図4を参照して順に説明する。尚、図9〜図10に示す従来例と同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0014】
図1に示すバックライトユニット21の基本的な構成は図9に示すバックライトユニット1と同様である。異なる点は、冷陰極蛍光ランプ22の構成である。この冷陰極蛍光ランプ22は、例えば図5に示すように、ガラスバルブ3の内面に酸化セリウムを主体とする紫外線吸収層7を形成し、この紫外線吸収層7の内面側(放電路側)に発光層4を形成したことである。
【0015】
この紫外線吸収層7は、酸化セリウムだけで形成したり、酸化セリウムと酸化チタンとによって形成したり、酸化セリウムと酸化亜鉛とによって形成したり、さらには酸化セリウムと酸化チタンと酸化亜鉛とによって形成したりされる。特に、紫外線吸収層7を酸化セリウムと酸化チタン及び/又は酸化亜鉛とによって形成する場合、紫外線吸収層7に占める酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定することが望ましい。
【0016】
図1に示すバックライトユニット21において、冷陰極蛍光ランプ22を点灯状態にすると、発光層4からの光(可視光)は透光性の紫外線吸収層7を透過してガラスバルブ3から外部に放射されるが、放電に起因して発生する主として313,365nm近辺の紫外線は、それのかなりの部分が紫外線吸収層7を通過する間に吸収されてしまい、ガラスバルブ外への放射が抑制される。
【0017】
このように冷陰極蛍光ランプ22からの紫外線放射が抑制(低減)されることによって、仮にガラスバルブ3の外径が細径化されて管壁温度が上昇したとしても、導光板11の変色を軽減できるのみならず、樹脂成形品などの劣化も低減でき、バックライトユニット21としての品位,信頼性を改善できる。
【0018】
この冷陰極蛍光ランプ22において、紫外線吸収層7の構成部材別による性能について図6〜図8に示す分光エネルギ−分布図を参照して説明する。図6は紫外線吸収層7を酸化セリウムのみで形成した場合の分光エネルギ−分布図である。同図から明らかなように、図11で問題となっていた波長が313nm近辺の紫外線UVaと波長が365nm近辺の紫外線UVbが大幅に減少しており、実測値では図11の波長313nm近辺の紫外線UVaが図6では約70%がカットされ、図11の365nm近辺の紫外線UVbが図6では約40%がカットされている。従って、バックライトユニット21における導光板11の変色を有効に抑制できるのみならず、他の樹脂成形品などの劣化も大幅に遅らせることができる。尚、紫外線吸収層7は酸化セリウム単独の他に、酸化セリウムと酸化チタン及び/又は酸化亜鉛とによって形成することによって、紫外線の吸収効果を高めることができる。
【0019】
図7は紫外線吸収層を酸化チタンだけで形成した参考品となる冷陰極蛍光ランプの分光エネルギー分布図である。同図から明らかなように、313nmの紫外線がほぼ100%カットされ、365nmの紫外線も大幅に減少(約60%程度カット)されていることが分かる。又、図8は紫外線吸収層を酸化亜鉛だけで形成した参考品となる冷陰極蛍光ランプの分光エネルギー分布図であって、図7とほぼ同じような紫外線吸収特性を呈していることが分かる。
【0020】
上述の図6〜図8及び図11の分光エネルギー分布図において、波長が300〜350nmの紫外線領域と波長が350〜380nm紫外線領域とにおける積分値を表1に示す。
【0021】
【表1】
表1から明らかなように、図11に示す冷陰極蛍光ランプからの紫外線放射が最も多く、この紫外線は、紫外線吸収層を酸化セリウムにて構成した冷陰極蛍光ランプでは図6に示すようにほぼ75%カットされており、紫外線吸収層を酸化チタンにて構成した冷陰極蛍光ランプでは図7に示すようにほぼ50%カットされており、紫外線吸収層を酸化亜鉛にて構成した冷陰極蛍光ランプでは図8に示すようにほぼ82%カットされていることが分かる。
【0022】
又、紫外線吸収層を酸化チタン,酸化亜鉛のみにて構成した参考の冷陰極蛍光ランプによる図7,図8において実線で示す分光エネルギ−分布特性は、紫外線吸収層を酸化セリウムにて構成した冷陰極蛍光ランプによる図6に示す分光エネルギ−分布特性に比較すると、可視領域の分光エネルギ−が部分的に減少していることが分かる。尚、図7,図8において一点鎖線で示す分光エネルギ−分布特性は図6に示す分光エネルギ−分布特性に相当し、一点鎖線部分の可視光が減少している。これは、酸化セリウムでは紫外線を吸収するものの、可視光の吸収が少ないことを示している。その反面、酸化チタンと酸化亜鉛では紫外線に対して優れた吸収性を呈するものの、可視光も吸収し、光量の減少を伴うという問題を有している。その上、点灯の継続によって酸化チタン,酸化亜鉛が紫外線の照射によって変色し易いという問題を有している。
【0023】
従って、紫外線吸収層の紫外線吸収性を高めるために、紫外線吸収層を酸化セリウムと酸化チタン及び/又は酸化亜鉛とによって構成する場合には、酸化チタン,酸化亜鉛による可視光の減少,紫外線照射による変色とのバランスを考慮して紫外線吸収層に占める酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を決定することが推奨される。
【0024】
図5に示す冷陰極蛍光ランプ22の紫外線吸収層7を酸化セリウムと酸化チタン及び/又は酸化亜鉛とによって構成する場合、紫外線吸収層7に占める酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合は0.1〜5.0重量%の範囲に設定することが望ましい。これによって、紫外線の吸収性を高めつつ、可視光の不所望な減少を軽減できる。しかしながら、その混合割合が0.1重量%未満になると、紫外線の吸収特性が表1からも明らかなように低下するし、逆に、5.0重量%を超えると、可視光の減少,紫外線照射による変色が顕著となり好ましくない。
【0025】
図2は本発明にかかるバックライトユニットの他の実施形態を示すものである。このバックライトユニット21aは図1に示すバックライトユニット21の導光板11と液晶表示パネル12との間に拡散板14を介在させたものである。この実施例によれば、拡散板14の介在によって導光板11の表面11bから入射される光が拡散され、輝度分布の均斉化が図られることによって、液晶表示パネル12の表示品位を高めることが可能になる。又、拡散板14に樹脂部材などを使用した場合、冷陰極蛍光ランプ22からの紫外線放射が抑制されているために、拡散板14の変色も抑制され、バックライトユニット21aとしての品位を長期間に亘って良好に維持できる。
【0026】
図3は本発明にかかるバックライトユニットの他の実施形態を示すものである。このバックライトユニット21bは直下型のバックライトユニットであって、互いに平行に配置された複数本の冷陰極蛍光ランプ22の真上に液晶表示パネル12をほぼ平行に配置すると共に、冷陰極蛍光ランプ22の真下に反射板13を配置して構成されている。特に、反射板13は、液晶表示パネル12の輝度分布が均斉化されるように、部分的にパラボラ状などに曲成されている。この実施例によれば、冷陰極蛍光ランプ22からの紫外線放射が抑制されているために、反射板などの取り付けなどに用いられる樹脂成形品などの劣化を抑制できる。
【0027】
図4は本発明にかかるバックライトユニットの他の実施形態を示すものである。このバックライトユニット21cは図3に示すバックライトユニット21bの冷陰極蛍光ランプ22と液晶表示パネル12との間に拡散板14を介在させたものである。この実施例によれば、拡散板14の拡散作用によって液晶表示パネル12における輝度分布が均斉化される。これによって、液晶表示パネル12の表示品位を高めることが可能になる。又、拡散板14に樹脂部材などを使用した場合、冷陰極蛍光ランプ22からの紫外線放射が抑制されているために、拡散板14の変色も抑制され、バックライトユニット21cとしての品位を長期間に亘って良好に維持できる。
【0028】
尚、本発明は何ら上記実施例にのみ制約されることなく、例えば図1〜図2に示すエッジライト型のバックライトユニットの場合、冷陰極蛍光ランプは導光板の2つ以上の端面に配置することもできるし、冷陰極蛍光ランプの形態も直管形の他、L形などに構成することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、冷陰極蛍光ランプのガラスバルブ内面には酸化セリウムを主体とする透光性の紫外線吸収層が形成されているために、ガラスバルブ外への紫外線放射を効果的に抑制できる。従って、冷陰極蛍光ランプの近傍に配置される導光板,拡散板,反射板の取り付けに利用される樹脂成形品などの紫外線劣化を抑制でき、高品位のバックライトユニットの実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバックライトユニットの第1の実施形態を示す断面図。
【図2】本発明にかかるバックライトユニットの第2の実施形態を示す断面図。
【図3】本発明にかかるバックライトユニットの第3の実施形態を示す断面図。
【図4】本発明にかかるバックライトユニットの第4の実施形態を示す断面図。
【図5】図1〜図4に示す冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図6】図5に示す冷陰極蛍光ランプの分光エネルギー分布図。
【図7】紫外線吸収層に酸化チタンを用いた参考用の冷陰極蛍光ランプの分光エネルギー分布図。
【図8】紫外線吸収層に酸化亜鉛を用いた参考用の冷陰極蛍光ランプの分光エネルギー分布図。
【図9】従来のバックライトユニットの断面図。
【図10】図9に示す冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図11】図10に示す冷陰極蛍光ランプの分光エネルギー分布図。
【符号の説明】
11 導光板
12 液晶表示パネル
14 拡散板
21 バックライトユニット
21a バックライトユニット
21b バックライトユニット
21c バックライトユニット
22 冷陰極蛍光ランプ
3 ガラスバルブ
4 発光層
7 紫外線吸収層
Claims (4)
- 導光板の端面側に冷陰極蛍光ランプを、光が放出される表面側に液晶表示パネルをそれぞれ配置したバックライトユニットにおいて、
前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成したことを特徴とするバックライトユニット。 - 液晶表示パネルの背面側に単数又は複数の冷陰極蛍光ランプをほぼ平行に配置したバックライトユニットにおいて、
前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成したことを特徴とするバックライトユニット。 - 導光板の端面側に冷陰極蛍光ランプを、光が放出される表面側に液晶表示パネルをそれぞれ配置したバックライトユニットにおいて、
前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成し、前記導光板の表面側と前記液晶表示パネルとの間に平板状の拡散板を配置したことを特徴とするバックライトユニット。 - 液晶表示パネルの背面側に単数又は複数の冷陰極蛍光ランプをほぼ平行に配置したバックライトユニットにおいて、
前記冷陰極蛍光ランプを、ガラスバルブの内面に、酸化セリウムを主体とし、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛の混合割合を0.1〜5.0重量%の範囲に設定して形成された透光性の紫外線吸収層と発光層とを積層して形成して構成し、前記冷陰極蛍光ランプと前記液晶表示パネルの間に平板状の拡散板を配置したことを特徴とするバックライトユニット。
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