JP3686491B2 - 石油系燃焼灰の湿式処理方法 - Google Patents

石油系燃焼灰の湿式処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油系燃焼灰の湿式処理方法に関するものであり、詳しくは、硫酸アンモニウムとマグネシウムを含有する石油系燃焼灰の湿式処理プロセスにおける石膏と遊離アンモニアを含むスラリーから遊離アンモニアを回収する際、回収装置内に水酸化マグネシウムの沈積による目詰まりが生じない石油系燃焼灰の湿式処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油系燃料(例えば、重油、オリマルジョン等)を使用した各種の燃焼炉(燃焼装置)、例えば、火力発電所などのボイラー、ゴミ焼却炉などにおいては、その煙道の後流側に配置された電気集塵機により燃焼灰が捕集されて回収される。
【0003】
そして、例えば、高硫黄分重油焚ボイラーの場合、燃焼ガス中に発生する硫酸ガス(SO3)による腐食を防止するために当該燃焼ガス中にアンモニアが添加される。従って、この場合は、電気集塵機にて捕集される燃焼灰は、未燃カーボンと重金属(Ni、V、Mg等)主体の灰分の他に硫酸アンモニウムを含む。例えば、高硫黄分重油焚ボイラーから回収された燃焼灰の組成分析の一例は表1の通りである。
【0004】
【表1】
────────────────────────────────────
成 分 C NH4 SO4 V Ni Fe Mg SiO2
────────────────────────────────────
重量% 10-80 0.5-20 20-60 1-5 0.3-2 0.3-2 0.1-8 0.1
────────────────────────────────────
【0005】
上記の燃焼灰の湿式処理方法としては、バナジウム等の有価成分を回収すると共にクローズドシステム化によって公害防止対策を講じた湿式プロセスと呼ばれる技術が数多く提案されている。具体的には、例えば、本出願人によって既に提案された特開昭60−19086号、同60−46930号、特公平4−61709号、特公平5−13718号の各公報の記載の湿式プロセスが挙げられる。
【0006】
例えば、上記の特公平5−13718号公報には、(1)燃焼灰と水とを混合し、必要に応じて硫酸を添加しpHを3以下に調整してスラリー状態とする第1工程、(2)固形分(未燃カーボン)を分離する第2工程、(3)液部を70℃以上に加温し、pHを7〜9に調整しつつアンモニアと酸化剤を供給し、金属を酸化する第3工程、(4)析出物(鉄スラッジ)を分離する第4工程、(5)液部を40℃以下に冷却し、バナジウム化合物(メタバナジン酸アンモニウム)を析出させる第5工程、(6)析出したバナジウム化合物を分離する第6工程、(7)液部に水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを添加し、石膏および金属(ニッケル及びマグネシウム)水酸化物を析出させ、アンモニアを遊離させる第7工程を包含する石油系燃焼灰の湿式処理方法が記載されている。
【0007】
前記の各湿式プロセスは、それぞれに特徴を有するが、何れも、硫酸アンモニウムを溶解し且つニッケルイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する水溶液の調製工程を含み、当該水溶液中の硫酸アンモニウムの複分解後、複分解によって生成した遊離アンモニウムを回収し、難溶性硫酸塩(具体的に石膏)及びニッケル及び/又はマグネシウムの水酸化物を含有するスラリーからこれらの固形分の分離を行うものである。
【0008】
上記の遊離アンモニアを回収する方法としては、スラリー中の石膏などを沈降させ、上澄液を分離塔に導き蒸留などにより遊離アンモニアを分離する方法、スラリーを曝気槽に供給して水蒸気により曝気する方法、スラリーを空気向流式曝気塔に供給し空気により曝気する方法などが記載されている。
【0009】
しかしながら、上記の様な方法によりスラリーを曝気塔に供給してアンモニアを分離して回収する場合、含有される水酸化マグネシウムが塔内に徐々に沈積する。特に、回収装置として向流接触充填塔を使用する場合には、回収効率は優れているが、水酸化マグネシウムの沈積による影響が大きく、時にはスラリーの通路を閉塞するという問題を生ずるため、長期間連続して分離操作を継続することが出来ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、硫酸アンモニウムとマグネシウムを含有する石油系燃焼灰の湿式処理プロセスにおける石膏と遊離アンモニアを含むスラリーから遊離アンモニアを回収する際、回収装置内に水酸化マグネシウムの沈積による目詰まりが生じない石油系燃焼灰の湿式処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、石油系燃料を使用するボイラー等の排ガス煙道中に設けられた集塵機により捕集され且つ少なくとも硫酸アンモニウムとマグネシウムを含有する燃焼灰の湿式処理方法であって、少なくとも、燃焼灰と水とを混合し硫酸アンモニウム及びマグネシウムイオンを含有するスラリー調製工程と、硫酸アンモニウムの複分解工程と、当該工程で生成した石膏と遊離アンモニアとを含むスラリーから遊離アンモニアを回収する工程と、石膏分離工程とを順次に包含する湿式プロセスにおいて、前記スラリー調製工程の後であってアンモニア回収工程の前に、アンモニア回収工程に供される石膏スラリー中に水酸化マグネシウムが含有されない様に、二酸化炭素または二酸化炭素含有ガスによってマグネシウムを炭酸マグネシウムに変換して分離することを特徴とする石油系燃焼灰の湿式処理方法に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において処理対象となる石油系燃焼灰は、石油系燃料を使用するボイラー等の排ガス煙道中の末端に設けられた集塵機器により捕集され且つ少なくとも硫酸アンモニウムとマグネシウムを含有する燃焼灰である。斯かる燃焼灰は、前述の様に、燃焼ガス中にアンモニアを添加して運転される各種の燃焼炉(燃焼装置)の電気集塵機にて捕集して得られる。
【0013】
湿式プロセスとは、前記の様に、通常、燃焼灰と水とを混合した後に溶解、固液分離し、および、分離水溶液から各種の有価金属、アンモニア、石膏などを回収するプロセスであるが、本発明における湿式プロセスは、少なくとも、硫酸アンモニウムを溶解し且つマグネシウムイオンを含有するスラリー調製工程と、硫酸アンモニウムの複分解工程と、複分解によって生成した石膏スラリーから含有される遊離アンモニアを回収する工程と、石膏分離工程とを含む湿式プロセスである限り如何なる湿式プロセスであってもよく、上記の湿式プロセスに限定されない。
【0014】
本発明の硫酸アンモニウムを溶解し且つマグネシウムイオンを含有するスラリーの調製工程におけるスラリーの調製方法としては、特に限定されないが、例えば、石油系燃料の燃焼灰と水を混合し、これに硫酸を添加してpHを1.5〜3にし、加熱して温度を40〜70℃にすることによりマグネシウムをマグネシウムイオンに変換し、アンモニアを硫酸アンモニウムとして溶解する方法が挙げられる。
【0015】
上記のスラリーは、通常、先ず、その中に含有される燃焼灰(未燃カーボン)が瀘別され、次いで、その瀘液にアンモニア等を添加してpHを7〜9に調整した後、アンモニアと酸化剤を吹込んで含有されるバナジウムイオンが可溶性のバナジン酸アンモニウムに変換され、副生する鉄スラッジ等の固形分を分離した後、残液を晶析することによりバナジン酸アンモニウムが分離回収される。斯かる処理を行う場合は、残液は水溶液となる。しかし、本発明においては、上記の各工程を必ずしも経る必要はなく、経ない場合にも適用することが出来る。
【0016】
本発明における硫酸アンモニウムを複分解する工程において使用する強塩基としては、難溶性硫酸塩を生成し得る限り、特に制限されないが、通常、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを使用する。この場合、得られる難溶性硫酸塩は石膏であり、以下、難溶性硫酸塩を石膏で代表する。複分解に使用される水酸化カルシウム又は酸化カルシウムの量は、通常、化学量論ないしは若干過剰とする。
【0017】
上記の複分解により、前記水溶液中またはスラリー中には遊離アンモニア及び石膏が生成され、遊離アンモニアを含有する石膏スラリーとなる。その石膏スラリーのpHは遊離アンモニアと未反応水酸化カルシウム等により、通常9以上となるが、多くの場合は10〜11となる。また、上記の石膏スラリー中の石膏固形分濃度は、特に制限されないが、次工程のアンモニア回収時の回収装置内部表面への石膏沈積を抑制する観点から7重量%以上であるのが好ましい。
【0018】
複分解によって生成した上記のスラリーからアンモニアを回収する工程においてアンモニアを回収する方法としては、特に限定されないが、例えば、スラリー中の石膏などを沈降させて得られる上澄液を分離塔に導き蒸留などにより遊離アンモニアを分離する方法、スラリーを曝気槽に供給して下部から水蒸気を供給して曝気する方法、スラリーを塗り壁式分離塔または向流式曝気塔に供給し空気により曝気する方法などが挙げられる。その中でも、向流接触式のストリッピング塔を使用する方法が好ましく、さらに、内部に充填材を収容する向流接触充填塔が接触面積が広く、エネルギー又は含有成分の交換が優れているためより好ましい。
【0019】
上記の向流接触式ストリッピング塔または向流接触充填塔を使用する際、向流気体として加熱水蒸気を使用するのが更に好ましい。加熱水蒸気を使用することによりスラリー表面を乾燥させないため石膏粒子の固化が起りにくく、さらに、分離されたアンモニアが水蒸気の水分に溶解し、冷却したときには体積が小さいドレン状となる。その結果、回収したアンモニアの保管または他の工程・装置へ輸送する際、輸送配管の径を小さくすることが出来るため効率的である。
【0020】
本発明における石膏分離工程における分離装置としては、特に限定されないが、通常、遠心沈降型固液分離機または濾過型固液分離機が使用される。
【0021】
上記の遠心沈降型固液分離機としては、通常デカンターが使用され、特に水平型連続式デカンターが好適に使用される。水平型連続式デカンターは、円筒型と円錐型の何れであってもよい。また、濾過型固液分離としては、通常フィルタープレス(圧濾器)が好適に使用され、板枠型圧濾器(フラッシュプレートプレス)又は凹板型圧濾器の何れであってもよい。
【0022】
本発明においては、アンモニア回収工程における回収装置に水酸化マグネシウムが沈積するのを防ぐため、前記湿式プロセスの中で、二酸化炭素または二酸化炭素含有ガスによってマグネシウムを炭酸マグネシウムに変換する。上記の変換により、マグネシウムを難溶性化合物に変換して析出させる。斯かる変換処理は、前記の石油燃焼灰と水とからスラリーを調製する工程の後であって且つアンモニア回収工程の前に行なわれるが、硫酸アンモニウムの複分解工程の直前の段階で行うのが好ましい。
【0023】
上記の変換の方法としては、特に限定されないが、例えば、水溶液またはスラリーをアルカリ性に調整してマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムに変換した後、当該水溶液に二酸化炭素を反応させる方法が挙げられる。この場合、アルカリ性のpHとしては、炭酸マグネシウムが粒子として沈降する範囲であればよいが、通常8.5〜11、好ましくは9〜10である。
【0024】
上記の反応に使用される二酸化炭素としては、特に限定されないが、例えば、純粋の二酸化炭素または二酸化炭素含有ガスが使用できる。斯かる二酸化炭素含有ガスとしては、前記の様な石油系燃料を使用するボイラー等の煙道ガスから燃焼灰を除去した排ガスを例示することが出来る。
【0025】
また、上記の二酸化炭素を反応させる方法としては、特に限定されないが、例えば、上記の様にpHを調製したマグネシウムイオン含有水溶液中またはスラリー中に二酸化炭素または二酸化炭素含有ガスを吹込みバブリングする方法、向流接触方式の反応塔を使用して前記マグネシウムイオン含有水溶液またはスラリーに二酸化炭素または二酸化炭素含有ガスを向流接触させる方法、および、向流接触方式の反応塔として向流接触充填塔を使用する方法が挙げられるが、中でも、二酸化炭素含有ガスを使用する場合は、有効成分が少ないため、反応効率の観点から向流接触充填塔を使用する方法が好ましい。
【0026】
水溶液中またはスラリー中の水酸化マグネシウムは、上記の二酸化炭素との反応により、溶解度が低い炭酸マグネシウムに変換されて針状結晶粒子を形成する。ただし、水溶液が40〜100℃に加熱されている場合は、塩基性炭酸マグネシウムに変換されて微細板状を形成する。以下、炭酸マグネシウム又は塩基性炭酸マグネシウムを単に炭酸マグネシウムと言う。
【0027】
また、二酸化炭素との反応により変換された炭酸マグネシウムの粒子を分離する工程段階は、上記の炭酸マグネシウムの粒子が後述のアンモニア回収工程において使用される向流接触充填塔などの回収装置においても沈積する虞が無いため、特に限定されない。すなわち、炭酸マグネシウム粒子は、アンモニア回収工程前において必ずしも除去されている必要はなく、粒子の生成後であれば何れの段階でもよい。例えば、水溶液の調製工程の直後であってもよいし、アンモニア回収の前でもよく、または、後でもよい。
【0028】
前記の炭酸マグネシウムへの変換および分離の時期において、変換が石油燃焼灰と水とからスラリーを調製する工程の直後に行なわれる場合は、当該スラリーが酸性であるため、前記の様にスラリーにアルカリを加えてアルカリ性とした後、生成する水酸化マグネシウムに二酸化炭素を反応させて炭酸マグネシウムに変換する。この際、スラリーには元々不溶解成分としての燃焼灰(未燃カーボン)の他、通常、種々の有価金属イオンを含有しているため、前記有価金属の化合物も共に析出する。この際、湿式プロセスとして未燃カーボン等の燃焼灰の瀘別を含む場合は、炭酸マグネシウムは、燃焼灰と共に混合して分離され、有価金属化合物の析出粒子も混入する。
【0029】
また、湿式プロセスとして、前記の特公平5−13718号公報に記載された様に、固形分(未燃カーボン)を分離する工程、液部を70℃以上に加温し、pHを7〜9に調整しつつアンモニアと酸化剤を供給し、金属を酸化する工程、析出物(鉄スラッジ)を分離する工程、液部を40℃以下に冷却し、バナジウム化合物(メタバナジン酸アンモニウム)を析出分離させる工程を含む場合は、当該最終工程の後では析出分離の残液は水溶液であるため、その分離残液に二酸化炭素を反応させることにより炭酸マグネシウム粒子のみを析出することが出来、引き続き分離することにより、炭酸マグネシウム粒子を単独で固形分離することが出来る。
【0030】
上記の炭酸マグネシウム粒子のみが析出した場合において、炭酸マグネシウムは、後の工程であるアンモニア回収工程において回収装置に沈積する虞がないため、上記の様に析出後引き続いて分離する必要は無く、複分解工程およびアンモニア回収工程の後に行なわれる石膏分離工程において行ってもよい。その場合、炭酸マグネシウム粒子は、石膏と共に分離される。
【0031】
上記の炭酸マグネシウム粒子を単独で固形分離する方法としては、特に限定されず、公知の方法が適用でき、例えば、遠心沈降型固液分離機または濾過型固液分離機が使用される。遠心沈降型固液分離機としては、通常デカンターが使用され、特に水平型連続式デカンターが好適に使用される。また、濾過型固液分離機としては、通常、真空濾過器、フィルタープレス(圧濾器)が好適に使用され、フィルタープレスとしては、板枠型圧濾器(フラッシュプレートプレス)又は凹板型圧濾器の何れであってもよい。
【0032】
以上の様に、本発明においては、上記のアンモニア回収工程に供される石膏スラリー中には沈積し易い水酸化マグネシウムが含有されていないため、向流接触充填塔などの内部空間が狭い回収装置を使用した場合であっても、充填材の表面など回収装置の内面に水酸化マグネシウムが沈積することがない。その結果、回収装置の内部は、閉塞することがなく、長期間連続運転を続けることが出来る。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を、実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
C重油を燃焼しているボイラーの煙道にアンモニアを吹込んで硫酸ガスが中和されて煙道末端に配置された電気集塵機により捕集された硫酸アンモニウム含有する燃焼灰を水と混合して燃焼灰スラリーを調製した。前記燃焼灰スラリーから、前述の特公平5−13718号公報に記載のプロセスに準じて、順次、カーボン、鉄スラッジ、メタバナジン酸アンモニウムを回収して硫酸アンモニウム及びマグネシウムイオンを含有する水溶液を得た。
【0035】
上記の水溶液を析出槽に収容し、液温を35℃にし、アンモニア水を添加してpHを9.5に調整した。前記の水溶液を向流接触方式の反応塔の上部から供給して流下させ、一方、原料に使用した燃焼灰を捕集した集塵機を通過して排出された燃焼排ガスを配管を経由して上記の向流接触充填塔の下部から吹込んだ。この結果、水溶液中の水酸化マグネシウムは、燃焼排ガス中の二酸化炭素と反応し、炭酸マグネシウムおよび塩基性炭酸マグネシウムの混合体に変換されて析出し、水溶液は白濁した。
【0036】
上記の析出槽中の水溶液に水酸化カルシウムを添加して硫酸アンモニウムの複分解を行い、石膏、遊離アンモニア及び炭酸マグネシウムを含有するスラリーを得た。スラリー中の石膏濃度は15重量%、炭酸マグネシウムの濃度は3重量%、スラリーのpHは10.5であった。
【0037】
上記のスラリーを80℃に加温した後、10,000Kg/時の速度でサドル型充填材を充填した気液向流接触充填塔に供給して流下させ、下部から160℃の水蒸気を1900Kg/時の速度で吹込み、水蒸気混合アンモニアを分離して回収し、得られたスラリーから水平型連続式デカンターを使用して炭酸マグネシウム粒子を含有する石膏を回収した。この様なアンモニア回収処理を330日間連続して行ない、運転を終了した。
【0038】
上記のアンモニア回収処理の間、充填室の閉塞は全く起こらなかった。運転終了後、内部の充填材を取り出し、その表面を観察したところ、充填材表面へのマグネシウム化合物の沈積は殆ど確認できなかった。
【0039】
比較例1
実施例1において、燃焼灰スラリーから、前述の特公平5−13718号公報に記載のプロセスに準じて、順次、カーボン、鉄スラッジ、メタバナジン酸アンモニウムを回収して硫酸アンモニウム及びマグネシウムイオンを含有する水溶液を得た後、向流接触充填塔による燃焼排ガス吹込処理をしなかった以外は、実施例1と全く同様にして、石膏、遊離アンモニア及び水酸化マグネシウムを含有するスラリーを得た。
【0040】
上記のスラリーを実施例1の場合と同様にして水蒸気向流接触充填塔に供給し、水蒸気混合アンモニアを回収し、得られたスラリーから水平型連続式デカンターを使用して炭酸マグネシウム粒子を含有する石膏を回収し、運転を終了した。
【0041】
この様なアンモニア回収処理を連続して行なったところ、充填室が閉塞を起こし、回収処理を開始してから60日後にスラリーが溢れ出る様になったため、運転を終了した。運転終了後、内部の充填材を取り出し、その表面を観察したところ、充填材表面には、マグネシウム化合物が多量に沈積していた。
【0042】
【発明の効果】
以上、説明した本発明によれば、硫酸アンモニウムとマグネシウムを含有する石油系燃焼灰の湿式処理プロセスにおける石膏と遊離アンモニアを含むスラリーから遊離アンモニアを回収する際、回収装置内に水酸化マグネシウムの沈積による目詰まりが生じないため、長期間連続してアンモニアを回収することが出来、本発明の工業的価値は大きい。

Claims (9)

  1. 石油系燃料を使用するボイラー等の排ガス煙道中に設けられた集塵機により捕集され且つ少なくとも硫酸アンモニウムとマグネシウムを含有する燃焼灰の湿式処理方法であって、少なくとも、燃焼灰と水とを混合し硫酸アンモニウム及びマグネシウムイオンを含有するスラリー調製工程と、硫酸アンモニウムの複分解工程と、当該工程で生成した石膏と遊離アンモニアとを含むスラリーから遊離アンモニアを回収する工程と、石膏分離工程とを順次に包含する湿式プロセスにおいて、前記スラリー調製工程の後であってアンモニア回収工程の前に、アンモニア回収工程に供される石膏スラリー中に水酸化マグネシウムが含有されない様に、二酸化炭素または二酸化炭素含有ガスによってマグネシウムを炭酸マグネシウムに変換して分離することを特徴とする石油系燃焼灰の湿式処理方法。
  2. 硫酸アンモニウムの複分解工程の前にマグネシウムを炭酸マグネシウムに変換する請求項1に記載の処理方法。
  3. 二酸化炭素含有ガスとして煙道ガスを使用する請求項1に記載の処理方法。
  4. 向流接触方式の反応塔を使用してマグネシウムの炭酸マグネシウムへの変換を行う請求項1に記載の処理方法。
  5. 燃焼灰と共に炭酸マグネシウムを固形分離する工程を包含する請求項1に記載の処理方法。
  6. 炭酸マグネシウムを単独で固形分離する工程を包含する請求項1に記載の処理方法。
  7. 石膏分離工程において石膏と共に炭酸マグネシウムを分離する請求項1に記載の処理方法。
  8. 向流接触方式のストリッピング塔を使用してアンモニアの回収を行う請求項1に記載の処理方法。
  9. ストリッピング塔において加熱水蒸気を使用する請求項8に記載の処理方法。
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