JP3686024B2 - ガラス栓の洗浄用具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メスフラスコ等のガラス製容器のガラス栓を洗浄するための洗浄用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
メスフラスコは、分析等に用いられる関係から、丁寧で入念な洗浄を要する場合が多く、特にそのガラス栓は、最終的に手で洗浄するのが通常である。すなわち、数個のガラス栓を片方の手に持って洗剤や水を用いて洗浄を行い、洗浄後のガラス栓は洗浄した籠などに入れてまとめて乾燥していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば数十個のガラス栓を洗浄する場合、上記のような方法では作業が繁雑となり、乾燥する際にもガラス栓が散乱して取り扱いにくい。また、籠内でガラス栓とガラス栓とがぶつかり合ってガラス栓の破損が生じる場合もある。ここでメスフラスコは、その製造に際して容器状のフラスコ本体とガラス栓とを摺り合わせて仕上げを行うので、上記のような状況でガラス栓のみが破損しても、フラスコ全体が使えなくなって極めて無駄が多い。
【0004】
なお、ガラス栓を超音波洗浄をすることもあるが、複数のガラス栓をまとめて洗浄するとガラス栓が相互に超音波振動して破損が生じたり、洗浄が不十分になりやすい。
【0005】
そこで、本発明は、多数のガラス栓を簡易に洗浄することができ、かつ、洗浄に際してガラス栓に破損が生じにくいガラス栓の洗浄用具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るガラス栓の洗浄用具は、ガラス栓のネック部の幅と略等しい間隔で延びる一対の棒状の挟持部材と、前記挟持部材の一端から、前記ガラス栓のネック部から頂部までの距離と略等しい間隔で前記挟持部に対向して延びる棒状の係止部材と、前記挟持部材から延びる柄部材とを備える。
【0007】
上記洗浄用具では、一対の棒状の挟持部材がガラス栓のネック部の幅と略等しい間隔で延びるので、これらの挟持部材間に多数のガラス栓のネック部を挟持して並べることができる。また、棒状の係止部材がガラス栓のネック部から頂部までの距離と略等しい間隔で挟持部材に対向して延びるので、一対の挟持部材に挟持された多数のガラス栓が頂部側に抜け出すことを防止することができ、これらガラス栓の保持を確実なものとすることができる。これにより、多数のガラス栓のすり合わせ部分が互いに接触することを防止しつつ、これらガラス栓を一括して簡易に洗浄・乾燥することができる。さらに、挟持部材から延びる柄部材を利用すれば、挟持部材等に保持された多数のガラス栓を例えば超音波洗浄器の洗浄溶液中に簡易に浸漬して支持することができ、多数のガラス栓の簡易な洗浄が可能になる。
【0008】
また、上記洗浄用具の具体的な態様では、前記挟持部材、前記係止部材、及び前記柄部材が、可撓性を有する線材(管材を含む)を折り曲げることによって形成され、前記挟持部材が、中央でU字状に折り曲げられて全体として直線的に延び、前記係止部材が、前記挟持部材の一端からU字状に折り曲げられて直線的に延び、前記柄部材が、前記挟持部材の他端から直線的に延びる。この場合、単一の線材を加工するだけで形成した簡単で軽量な構造の洗浄用具を提供することができる。このような洗浄用具では、線材の撓みを利用してガラス栓の装着を許容したり、装着されたガラス栓を簡易にロックすることができる。
【0009】
また、上記洗浄用具の具体的な態様では、前記挟持部材から延びる前記柄部材の先端に操作用のハンドルをさらに備える。この場合、ハンドルによって洗浄用具の取り扱いがより簡単になり、洗浄の作業性が高まる。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る洗浄用具の第1実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の洗浄用具の形状を説明するためのもので、図1(a)は洗浄用具の側面図であり、図1(b)はその正面図である。この洗浄用具10は、外径3mmで厚さ0.5mmのSUS製の管材の端部を封止するとともにクリップ状に折り曲げて作製したものであり、ほぼ平行に延びる一対の棒状部分からなる挟持部11と、挟持部11の一端からこの挟持部11とほぼ平行に延びる棒状部分からなる係止部12と、挟持部11の他端から延びる棒状の柄部材13と、柄部材13の先端に形成された環状のハンドル14とを備える。
【0012】
挟持部11は、中央でU字状に折り曲げられて直線的に延びる一対の挟持部材である2つの管部分11a、11bからなり、全体として10cm程度の長さを有する。一方の管部分11aと他方の管部分11bとは、正確には、互いに平行に近い捻れの関係を有して延びる。よって、両管部分11a、11bは、中央側で距離が短く両端側で距離が長い関係となっており、全体に亘って約1cm程度の間隔を有している。なお、両管部分11a、11bの間隔は、洗浄の対象となるメスフラスコのガラス栓のネック部の幅よりわずかに大きいものの、このネック部の幅とほぼ等しく設定されている。
【0013】
係止部12は、挟持部11を構成する一方の管部分11aの一端からU字状に折り曲げられて挟持部11に対向して延びる。係止部12は、挟持部11を構成する各管部分11a、11bのそれぞれに対し、正確には、互いに平行に近い捻れの関係を有して延びる。よって、係止部12と各管部分11a、11bとは、中央側で距離が短く両端側で距離が長い関係となっており、全体に亘って1cm程度の間隔を有している。なお、挟持部11と係止部12の間隔は、メスフラスコのガラス栓のネック部から頂部までの距離とほぼ等しくなっている。
【0014】
柄部材13は、挟持部11を構成する一方の管部分11bの一端からこの管部分11bの延長方向にそのまま延びる。柄部材13の長さは、この場合挟持部11の長さとほぼ等しくしている。
【0015】
ハンドル14は、柄部材13と同寸法であるが別の管材で形成され、柄部材13の端部に溶接によって接続されている。このハンドル14は、直径5cm程度の環となっているので、作業者が洗浄用具10を保持したり操作する際に役立つ。また、ハンドル14の孔は、フック等に引っ掛けるためのものでもあり、ガラス栓の洗浄や乾燥に際して多数の洗浄用具10を適当な間隔で吊り下げることができるようになっている。
【0016】
図2は、メスフラスコのガラス栓の形状を説明する図である。ガラス栓20は、メスフラスコ本体の開口に挿入される本体部21と、ガラス栓20を取り扱うための頭部22と、本体部21及び頭部22の間に形成されるネック部23とを備える。円錐台状の本体部21の周囲には、メスフラスコ本体の開口と密栓可能にするための摺合せが形成されている。くびれたネック部23の幅Wは、既述のように図1に示す挟持部11を構成する両管部分11a、11bの間隔とほぼ等しくなっている。また、大径の頭部22の厚さ、すなわちネック部23から頭部22の頂部までの距離Hは、挟持部11と係止部12との間隔にほぼ等しくなっている。
【0017】
図3は、図1の洗浄用具10へのガラス栓20の装着方法を説明する図である。まず、図3(a)に示すように、柄部材13側から挟持部11の根本側に向けてのガラス栓20の挿入を開始する。この際、柄部材13にガラス栓20のネック部23を下から押し付けて、ガラス栓20を滑らせるようにして移動させる。さらに、管部分11bと係止部12との間にガラス栓20のネック部23が挟まれるようにガラス栓20を移動させることで、両管部分11a、11bは、ガラス栓20によって先端側でこじ開けられるようにわずかに離間する(図3(b)参照)。次に、図3(c)に示すように、ガラス栓20を挟持部11の先端側、すなわちU字屈曲部11cに向けて滑らかに移動させる。この際、柄部材13側から見てガラス栓20を頭部22を中心として反時計方向に120゜程度回転させることにより、両管部分11a、11bの間にガラス栓20のネック部23が挟まって保持される。これにより、両管部分11a、11bの先端における間隔がもとに戻り、挟持部11によるガラス栓20のロックが完了する。さらにこの回転の結果、係止部12がガラス栓20の頭部22を挟持部11側に付勢することになるので、ガラス栓20が頭部22側に移動して抜け出すことを確実に防止できる。以上の様な動作を繰返すことにより、洗浄用具10に多数のガラス栓20を徐々に取り付けることができる。なお、以上のような取付作業は、洗浄用具10を左手に持ち、ガラス栓20を右手に持って洗浄用具10に取り付けることを想定しているが、洗浄用具10を上下逆様にして右手に持ち、ガラス栓20を左手に持って洗浄用具10に取り付けることも可能である。
【0018】
以上の説明とは逆に、洗浄用具10からガラス栓20を取り外す場合、図3(a)〜図3(c)で説明したと逆の手順の操作を行う。すなわち、ガラス栓20を挟持部11の根本側まで移動させ、柄部材13側から見てガラス栓20を時計方向に適宜回転させることにより、挟持部11からガラス栓20を簡易に抜き取ることができる。
【0019】
図4は、洗浄用具10に多数のガラス栓20を取り付けた状態を説明する図である。図からも明らかなように、洗浄用具10には、順次6個のガラス栓20が取り付けられている。この場合、各ガラス栓20のネック部23は、挟持部11に挟持されて一列に並べられており、各ガラス栓20の頭部22は、係止部12によって挟持部11側に付勢されている。つまり、ガラス栓20は、洗浄用具10に確実に保持された状態となっており、洗浄用具10を多少上下に振っても洗浄用具10から脱落することはない。
【0020】
図4の洗浄用具10は、例えば超音波洗浄器の洗浄液や純水を収容した洗浄槽にガラス栓20とともに浸漬されるので、洗浄槽中で6個のガラス栓20の洗浄が実行される。この際、各ガラス栓20の本体部21同士が接触しないので、摺合せ面を有する各本体部21には洗浄に際して破損が生じない。また、上記のような超音波洗浄に際してハンドル14を利用して多数の洗浄用具10を洗浄槽内に吊せば、同時により多数のガラス栓20を洗浄することができる。
【0021】
図4の洗浄用具10は、洗浄完了後、乾燥機にガラス栓20とともに収納され、6個のガラス栓20の乾燥が実行される。この際、各ガラス栓20の本体部21同士が接触しないので、各本体部21には乾燥に際して破損が生じない。また、上記のような乾燥に際してハンドル14を利用して多数の洗浄用具10を乾燥機内に吊せば、同時により多数のガラス栓20を乾燥させることができる。
【0022】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る洗浄用具の第2実施形態について説明する。第2実施形態の洗浄用具は、第1実施形態を変形したものであり、同一部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0023】
図5(a)は第2実施形態に係る洗浄用具の側面図であり、図5(b)は洗浄用具の正面図である。この洗浄用具110も、ほぼ平行に延びる一対の管部分111a、111bからなる挟持部111と、この管部分111aの先端で折り曲げられてこの管部分111aとほぼ平行に延びる係止部112と、管部分111bの先端からそのまま延びる柄部材13と、柄部材13の先端に形成された環状のハンドル14とを備える。第2実施形態に係る洗浄用具110は、作製に際して第1実施形態の洗浄用具10とは異なる方向に管材を折り曲げることによって得られる。なお、挟持部111や係止部112の機能は、第1実施形態の洗浄用具10を構成する挟持部11や係止部12の機能と同様である。
【0024】
図6は、図5の洗浄用具110へのガラス栓20の取付方法を説明する図である。まず、図6(a)に示すように、柄部材13側から挟持部111の根本側にガラス栓20を移動させる。この際、柄部材13の上側にガラス栓20のネック部23を押しつけて滑らせながら移動させる。次に、図6(b)に示すように、管部分111bと係止部112との間にガラス栓20のネック部23が挟まるようにガラス栓20を移動させて、両管部分111a、111bをわずかに離間させる。次に、図6(c)に示すように、ガラス栓20を挟持部111の先端側、すなわちU字屈曲部111cに移動させる。この際、柄部材13側から見てガラス栓20を時計方向に120゜程度回転させることにより、両管部分111a、111bの間にガラス栓20のネック部23が挟まって保持される。この結果、両管部分111a、111bの先端における間隔がもとに戻る。さらにこの際、係止部112によってガラス栓20の頭部22を挟持部111側に付勢することになるので、ガラス栓20が頭部22側に移動して抜け出すことを確実に防止できる。以上の様な動作を繰返すことにより、洗浄用具110に多数のガラス栓20を取り付けることができる。以上のような取付動作は、洗浄用具110を左手に持ち、ガラス栓20を右手に持って洗浄用具110に取り付ける作業に適すると言える。
【0025】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ガラス栓20は、メスフラスコのものに限らず、広口ビンを含む各種試験容器等のガラス栓とすることができる。この場合、ガラス栓の寸法に合わせて挟持部11、111や係止部12、112の寸法を調整することは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の洗浄用具によれば、一対の棒状の挟持部材間に多数のガラス栓のネック部を挟持して並べることができる。また、棒状の係止部材によって一対の挟持部材に挟持された多数のガラス栓が頂部側に抜け出すことを防止することができ、これらガラス栓の保持を確実なものとすることができる。これにより、多数のガラス栓のすり合わせ部分が互いに接触することを防止しつつ、これらガラス栓を一括して簡易に洗浄・乾燥することができる。さらに、前記挟持部材から延びる柄部材を利用すれば、挟持部材等に保持された多数のガラス栓を例えば超音波洗浄器の洗浄溶液中に簡易に浸漬して支持することができ、多数のガラス栓の簡易な洗浄が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、第1実施形態に係る洗浄用具の側面図であり、(b)は、洗浄用具の正面図である。
【図2】メスフラスコのガラス栓の形状を説明する斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の洗浄用具へのガラス栓の装着方法を説明する図である。
【図4】洗浄用具に多数のガラス栓を取り付けた状態を説明する図である。
【図5】(a)は、第2実施形態に係る洗浄用具の側面図であり、(b)は、洗浄用具の正面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図5の洗浄用具へのガラス栓の装着方法を説明する図である。
【符号の説明】
10 洗浄用具
11 挟持部
11a,11b 管部分
12 係止部
13 柄部材
14 ハンドル
20 ガラス栓
21 本体部
22 取手
23 ネック部
110 洗浄用具
111 挟持部

Claims (3)

  1. ガラス栓のネック部の幅と略等しい間隔で延びる一対の棒状の挟持部材と、
    前記挟持部材の一端から、前記ガラス栓のネック部から頂部までの距離と略等しい間隔で前記挟持部材に対向して延びる棒状の係止部材と、
    前記挟持部材から延びる柄部材と
    を備えるガラス栓の洗浄用具。
  2. 前記挟持部材、前記係止部材、及び前記柄部材は、可撓性を有する線材を折り曲げることによって形成され、前記挟持部材は、中央でU字状に折り曲げられて全体として直線的に延び、前記係止部材は、前記挟持部材の一端からU字状に折り曲げられて直線的に延び、前記柄部材は、前記挟持部材の他端から直線的に延びることを特徴とする請求項1記載のガラス栓の洗浄用具。
  3. 前記挟持部材から延びる前記柄部材の先端に、操作用のハンドルをさらに備えることを特徴とする請求項2記載のガラス栓の洗浄用具。
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