JP3685765B2 - ドラム缶蓋自動開閉装置、ドラム缶内容物処理システムおよび方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天部に蓋を有しているオープンドラム缶を用いる分野で、蓋の開閉を自動で行なうドラム缶蓋自動開閉装置に関する。また、蓋付きドラム缶を開けた後、ドラム缶への充填処理や内容物の払い出し処理等の内容物処理を行い、再度蓋を閉めるドラム缶内容物処理システムおよびドラム缶内容物処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドラム缶は広く産業界において使われている。ドラム缶には天部の蓋が胴体と例えば溶接などにより密に固定され閉じられた形式のもの(クローズドドラム)と、蓋が取り付け取り外し可能になっていて、取り外した場合には開放形式となるもの(オープンドラム)がある。
【0003】
クローズドドラムは蓋自身の開閉操作を行なうことはないが、液の出し入れのための栓を開け閉めして、液の入れ替えを行なう。
【0004】
一方、オープンドラムは栓の代わりに蓋自体を取り外して、内部へ製品を入れこんだり、または、内部の製品を払い出したりする。特殊な用途として、天部の蓋に液出し入れのために、栓が1ないし2個設けられているものがある。
【0005】
オープンドラムとクローズドドラムの使い分けは、種々の要因で決定される。液体で粘度の低いさらさらしたものは、多くはクローズドドラムが用いられることが多く、さらに、毒性や危険物を扱うような場合には、クローズドドラムが用いられる。
【0006】
一方、栓を用いると出し入れに時間がかかるような粘性が大きい液体もの、粉もの、ペレット状のものについては、オープンドラムが用いられることが多い。また、ドラム缶を再利用して使う場合には、その内部を完全に洗浄する必要があり、この洗浄作業を容易に行なうためにオープンドラムが用いられる。
【0007】
さらに、製品性状によっては、プラスチックなどで出来た内袋をドラム缶の内側に用いて、該内袋に製品を移し保管するが、このような場合には、オープンドラムが用いられる。また、内容物の形状が定形ではなく、不定形のものや大小のものが混在するような場合や、液体ではない固形物など(例えば、産業廃棄物など)の場合には、オープンドラムが用いられる。
【0008】
オープンドラムの用途はこのように多岐に渡っている。以下、この種のオープンドラムの一般的な蓋の取り付け構造について図10を用いて説明する。
【0009】
ドラム缶70の開口部縁(起立したドラム缶の上部、折り曲げられた縁)に蓋78の周縁部をかぶせ、同部分を締めつけバンド76で巻き回して挟み込んで締め付ける。このバンドはリング状で、断面はくの字状、U字状、またはV字状になっている。リングには切れ目があり、その両端部にはS字環部77が溶接などで取りつけられている。このS字環部にボルト72を差し込み、反対側でボルトにナット74をセットし、このナットを締め込んでいくことで、バンドを締め上げる。これにより、締めつけバンドは円に近づき(両端部の間隔が狭まる)、くの字形状等の断面は円の中心側へと移動して、くの字状等の形状により、蓋周縁部と容器上部縁のお互いを引き寄せ接近せしめる。蓋周縁部内側には、シール部材79が設けられているので、この引き寄せ接近により、蓋と容器の間のシールを実現している。蓋の取り外しにおいては、逆の動作が行なわれている。
【0010】
蓋を締め付ける際に、蓋に取り付いているシール部材79に適切な締め付け力を均一に与えるためには、従来はプラスチックハンマーなどで蓋78の内側周辺部を叩く必要があり、騒音などが生じ、作業環境的な問題を抱えていた。
【0011】
これらの蓋の取りつけ取り外し作業においては、多くは人手にて作業が行なわれているのが現状である。
【0012】
昨今の人手不足から、この種の作業を自動化しようとする試みがなされている。このため、従来より、オープンドラム缶の蓋開閉装置については各種の先行技術が提案されている。典型的な先行技術として、1)実用新案登録2574449号公報、2)特公平7−35192号公報、3)特開平5−178396号公報に記載される例が知られている。
【0013】
上記1)にはバンド締めドラム缶蓋の自動開閉装置に関する技術が記載される。この技術では、ボルト、ナットを取り除いた後、バンド押し拡げ手段によってバンドを押し拡げ、次いで周囲に配置したバンド掴み爪にて保持し、バンド掴み爪を放射状に移動させて、バンドを十分に拡げ、続いてドラム缶蓋をドラム缶蓋吸着手段に吸着させて、これを昇降装置により上昇させることで、ドラム缶と蓋を分離する。ドラム缶に蓋を装着する場合には、バンド押し拡げ動作を解除してバンド押し拡げ手段を取り除き、上記と逆の順序で動作させるとされている。
【0014】
2)には、ドラム缶の蓋を切断することなく自動的に開封するドラム缶蓋自動開封機に関する技術が記載される。この技術では、蓋を胴部から強制的に引き離すために、ドラム缶の蓋の耳部少し下方から食い込んでいく爪を用いるもので、同爪は作動時には環状に連続して外周を囲むように配置されおり、かつ蓋板天面を押圧盤で押し付けている状態で、これらの爪が上昇させられるようになっているので、蓋の耳部は全周にわたってこじ上げられ、強制的に外される。
【0015】
3)には、ドラム缶の蓋を切断することなく自動的に開封するドラム缶蓋自動開封機に関する技術が記載される。この技術では、ドラム缶の胴体を挟み込み、蓋板を吸着装置で吸着し、その吸着状態のままで天蓋を引き上げるようにしながら、エアーハンマでドラム缶の胴体上部および下部を連続的に叩いて衝撃を与えて、天蓋の引き上げ力と連続叩きによる衝撃で、蓋を胴部から強制的に引き離すものである。
【0016】
しかしながら、これらの先行技術は以下のような点で、問題を有している。
【0017】
1)については、バンドを押し広げる前に、ボルトおよびナットを取り除いておく必要がある。一般にボルトナットを取り除くと、バンドの復元性により、バンドのS字環部位が変形する。このために、バンド押し拡げ装置をS字環部位に挿入して動作しようとしても、位置決めが上手く行えず、確実性に欠ける問題がある。
【0018】
また、蓋を開けた後は、押し拡げバンド掴み爪でバンドを保持し、かつ蓋吸着装置で蓋を保持したままとしておき、開封されたドラム缶に中味を充填等した後、蓋を閉める際には、蓋およびバンドを保持したその装置内へ、ドラム缶を再度搬入する必要がある。
【0019】
2)については、蓋をこじ開けるための技術であって、再度蓋を閉めることが考慮されておらず、自動的に蓋の開閉を行う用途に適した技術ではない。また、蓋を開ける前に、バンドを事前に十分に弛めておく必要がある。確実に爪が蓋耳部の下部に食い込むためには、バンドが均等に開いている必要があり、このためにはバンドの押し広げ装置が必要となる。また、再生缶のように、ドラム缶側の寸法公差が大きくなると、蓋耳部下部とドラム缶上部縁との隙間が均一ではなくなり、爪のかかりが不均一になる可能性がある。
【0020】
3)についても、蓋を開けるための技術であって、再度蓋を閉めることが考慮されておらず、自動的に蓋の開閉を行う用途に適した技術ではない。また、バンドを用いて蓋をドラム缶に取り付けているタイプのものについて、蓋を開ける前にバンドを事前に十分に弛めておく必要がある。さらに、連続的に、衝撃的なエアーハンマーによっているので、作業現場での騒音が問題となる。多数のドラム缶を連続的に処理するような状況では、作業者に与える負担が大きくなる。
【0021】
上記例を含め、従来技術では次のような課題があった。
【0022】
a)上記1)のように、従来のドラム缶蓋自動開閉装置においては、蓋を取り外した後、蓋は自動開閉装置に保持されたままとされ、ドラム缶は例えば内容物を充填する場所などに移動されて、充填後に缶が戻ってきた段階で、今まで保持されていた蓋が当該自動開閉装置において再度取りつけられる。このため、例えばドラム缶内部に製品を充填するような場合に用いようとすると、充填側で待ち時間が生じてしまい、全体の生産時間に影響を及ぼす。また、生産設備全体のコストに影響を及ぼす。
【0023】
すなわち、このような状況では、充填装置側は連続的に充填作業を進めたいのであるが、ドラム缶が蓋開閉装置と充填装置の間で出入りし、開閉装置において、蓋の取り外し、取り付けバンドの締め込み作業が行なわれるために、充填設備はこの間待機の状態になってしまう。このために、充填設備が十分に使われないだけではなく、充填のしかかり時間が増えることとなる。これにより、全体として生産時間が余計にかかってしまい、生産時間の短縮は望めない。
【0024】
このため、次から次へと製品を充填する必要があるような場合(通常はこのような場合が多い)には、蓋開閉装置から充填装置に次から次へとドラムを送り込んで生産時間を短縮する必要がある。このことを実現するためには、開閉装置を複数台設置して、連動してドラム缶を充填装置へ次から次へと送り込むことが必要とされ、このための開閉装置から充填装置までの搬送ラインの切り替えシステムが大掛かりとなり、複数台の開閉装置のコスト、必要設置エリアが多くなるだけではなく、缶の出入りのための切替え搬送ラインが大きくなるなど、生産システム全体への波及効果が大きい。
【0025】
一方、この蓋保持の時間の間(ドラム缶に充填等を行っている間)は、開閉装置自体がアイドリング状態となるだけではなく、次の順番のドラム缶は待機状態となる。よって、工程に無駄時間が発生してしまう。
【0026】
b)ドラム缶が新しく製造された缶(新缶)に限定されることが多く、通常多く出まわっている再生ドラム缶には適さない。再生ドラム缶は、新缶に比して、コストも安いので、例えば企業間で通い箱のようにして使われることが多い。
【0027】
新缶は寸法の精度が高く、自動化には適するが、再生ドラム缶は何回か流通されているために、凹みなどがあり、また再生工程における熱加工などにより、寸法精度が新缶ほどには高くなく、また、寸法のバラツキが大きくでやすい。例えば再生ドラム缶胴部の図面上の寸法公差は±3mmとされることが多いが、実際の再生ドラム缶においては寸法のバラツキが±20mm程度に達することもある。このために、自動化する場合にはこのバラツキを吸収する必要があり、自動化する上での課題となっていた。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、蓋付きドラム缶への充填処理や内容物の払い出し処理等の内容物処理のために要する全体の時間を短縮することを可能とするドラム缶内容物処理システムおよび方法を提供することであり、このために好適に用いることのできるドラム缶蓋自動開閉装置を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、新造ドラム缶のみならず再生ドラム缶であっても使用可能なドラム缶蓋自動開閉装置を提供することであり、このドラム缶蓋自動開閉装置を用い、胴部寸法のバラツキが±20mm程度の再生ドラム缶も使用できるドラム缶内容物処理システム及び方法を提供することである。
【0030】
ドラム缶から蓋を取り外し、再度取りつける場合には、取り外した容器に取り外された蓋を取りつけることが行なわれている。つまり、ドラム缶と蓋の間では一対一の関係性を保持している。一対一の関係性を無視して、アトランダムに蓋を取りつけることも可能であるが、取りつけの際に再度閉まりにくい、シールしにくいなどの不確定要因が増すことになり、通常は1対1の関係性を保持するようにするのが、技術的に望ましい。さらに、ドラム缶から内容物の一部を取り出して再度蓋を取り付けるような場合、蓋とドラム缶との間で一対一の関係がないと、中身へのコンタミネーションなどが生じる可能性が高くなる。
【0031】
本発明は、ドラム缶と蓋との間の1対1の関係性を保持しながら、上記目的を達成しようとするものである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ドラム缶の開口部縁と蓋の周縁部とを挟み込むように巻き回されてなる締め付けバンドの両端部が互いにボルトナットによって締め付けられることにより蓋がドラム缶に固定されたバンド締めドラム缶の蓋を自動的に開閉するドラム缶蓋自動開閉装置であって、a)締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛めた状態で蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離する蓋開動作;蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;および、該保持を解除する蓋保持解除動作を自動的に行う蓋開用ハンドユニットと、該蓋開用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋開用ハンドユニット移動手段とを有する蓋開装置、ならびにb)蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;該保持を解除する蓋保持解除動作;および、蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶に取り付け、該ボルトナットを締め付けて蓋をドラム缶に固定する蓋閉動作を自動的に行う蓋閉用ハンドユニットと、該蓋閉用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋閉用ハンドユニット移動手段とを有する蓋閉装置を備えるドラム缶蓋自動開閉装置を有し、かつ、
蓋と締め付けバンドが分離されたドラム缶を搬送するドラム缶搬送手段;
該ドラム缶搬送手段の途中に設けられた、ドラム缶の内容物を処理する内容物処理手段;
蓋と締め付けバンドとを一体的に搬送する蓋搬送手段;
該ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋開装置が、ドラム缶から一体的に分離された蓋と締め付けバンドとを該蓋搬送手段に移載可能な位置に配された蓋開ステーション;ならびに、
該ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋閉装置が、該蓋搬送手段で一体的に搬送された蓋と締め付けバンドとを、該ドラム缶搬送手段で搬送されたドラム缶に移載可能な位置に配された蓋閉ステーション
を有することを特徴とするドラム缶内容物処理システムである。
【0033】
このドラム缶内容物処理システムにおいて、該蓋開用ハンドユニットが、
該ボルトナットを弛めおよび締め付けるナットランナー;
該締め付けバンドの両端部の間隔を拡げる開閉爪;
該締め付けバンドの一部に引っ掛かり、蓋および締め付けバンドを昇降させるバンド昇降用フック;
該締め付けバンドおよび蓋を、該バンド昇降用フックに押し付けるバンド押し付け用板;ならびに、
弛められた該締め付けバンドに当接し、締め付けバンドの変形の偏りを抑止する変形拘束板を有し、
該蓋閉用ハンドユニットが、
該ナットランナー;該開閉爪;該バンド昇降用フック;該バンド押し付け用板;該変形拘束板;および、該蓋を閉めるために蓋をドラム缶に押し付ける蓋押し付け手段
を有する形態とすることができる。
【0034】
このドラム缶内容物処理システムにおいて、前記蓋搬送手段が、前記蓋と締め付けバンドとを一体的に載置するためのパレットを備えることができる。
【0035】
本発明はまた、ドラム缶の開口部縁と蓋の周縁部とを挟み込むように巻き回されてなる締め付けバンドの両端部が互いにボルトナットによって締め付けられることにより蓋がドラム缶に固定されたバンド締めドラム缶の蓋を自動的に開閉するドラム缶蓋自動開閉方法において、
ドラム缶の開口部縁と蓋の周縁部とを挟み込むように巻き回されてなる締め付けバンドの両端部が互いにボルトナットによって締め付けられることにより蓋がドラム缶に固定されたバンド締めドラム缶の蓋を自動的に開閉するドラム缶蓋自動開閉装置であって、a)締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛めた状態で蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離する蓋開動作;蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;および、該保持を解除する蓋保持解除動作を自動的に行う蓋開用ハンドユニットと、該蓋開用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋開用ハンドユニット移動手段とを有する蓋開装置、ならびにb)蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;該保持を解除する蓋保持解除動作;および、蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶に取り付け、該ボルトナットを締め付けて蓋をドラム缶に固定する蓋閉動作を自動的に行う蓋閉用ハンドユニットと、該蓋閉用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋閉用ハンドユニット移動手段とを有する蓋閉装置を備えるドラム缶蓋自動開閉装置を用い、
蓋を開けるための蓋開ステーションにおいて、前記蓋開用ハンドユニットにより、蓋が固定されたドラム缶の締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛め、該蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離し、該蓋と締め付けバンドとを一体的に保持し、前記蓋開用ハンドユニット移動手段により、該蓋開用ハンドユニットを、蓋と締め付けバンドとを一体的に搬送する蓋搬送手段の上に移動させ、該蓋開用ハンドユニットの保持を解除して蓋と締め付けバンドとを一体的に蓋搬送手段に載せ、
該蓋搬送手段により、蓋と締め付けバンドとを一体的に、蓋を閉めるための蓋閉ステーションに搬送し、
蓋と締め付けバンドとが分離された該ドラム缶について内容物処理を行い、次いで該蓋閉ステーションに搬送し、
該蓋閉ステーションにおいて、前記蓋閉用ハンドユニットにより、該一体的に搬送された蓋と締め付けバントとを保持し、前記蓋閉用ハンドユニット移動手段により、該蓋閉用ハンドユニットを、該設置されたドラム缶の上に移動させ、該蓋閉ハンドユニットの保持を解除して蓋と締め付けバンドとを一体的に該ドラム缶に載せ、該蓋閉用ハンドユニットによって該締め付けバンドのボルトナットを締め付けることによりドラム缶に蓋を固定する
ことを特徴とするドラム缶内容物処理方法である。
【0036】
このドラム缶内容物処理方法において、該蓋開用ハンドユニットが、
該ボルトナットを弛めおよび締め付けるナットランナー;
該締め付けバンドの両端部の間隔を拡げる開閉爪;
該締め付けバンドの一部に引っ掛かり、蓋および締め付けバンドを昇降させるバンド昇降用フック;
該締め付けバンドおよび蓋を、該バンド昇降用フックに押し付けるバンド押し付け用板;ならびに、
弛められた該締め付けバンドに当接し、締め付けバンドの変形の偏りを抑止する変形拘束板
を有し、
該蓋閉用ハンドユニットが、
該ナットランナー;該開閉爪;該バンド昇降用フック;該バンド押し付け用板;該変形拘束板;および、該蓋を閉めるために蓋をドラム缶に押し付ける蓋押し付け手段
を有する形態とすることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一形態につき、図を用いて詳細に説明する。
【0038】
〔ドラム缶蓋自動開閉装置〕
本発明のドラム缶蓋自動開閉装置は蓋開装置と蓋閉装置との二つの装置を備え、これらを組み合わせて蓋の開閉を自動的に行う。組み合わせの形態として、次のドラム缶内容物処理システムを挙げることができ、このシステムの説明の中で、ドラム缶蓋自動開閉装置についてもあわせて説明する。
【0039】
〔ドラム缶内容物処理システム概要〕
図1は、本発明のドラム缶内容物処理システムの一形態につき、全体のシステムの流れを表す図である。この搬送レイアウト、装置レイアウトは一例であり、設置場所の制約などに鑑み、適宜変更することができる。
【0040】
本システムは、ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋開装置が配置された、ドラム缶の蓋を開けるための固定式の蓋開ステーション10、ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋閉装置が配置された、ドラム缶の蓋を閉めるための固定式の蓋閉ステーション30、蓋および締め付けバンドを載置するためのパレット80、パレットを蓋開ステーションと蓋閉ステーションとの間で搬送するための蓋搬送手段(コンベアーライン62)、蓋と締め付けバンドが分離されたドラム缶を蓋開ステーションから蓋閉ステーションへと搬送するドラム缶搬送手段(コンベアーライン60)を有する。また、内容物処理として充填を行うために、蓋開ステーション10と蓋閉ステーション30との間に、内容物処理手段の一例として、充填ステーション20が設けられ、充填ステーションには充填手段が設けられる。内容物処理は、ドラム缶内に内容物を収容すること、およびドラム缶内に収容されている内容物を取り出すことの両方が含まれる。内容物処理手段はこのような内容物処理を行うために、公知技術により適宜設計できる。さらに、蓋開ステーションの手前に、蓋開ステーションに設置されるドラム缶の位置決めを行う位置決めステーション40を設けることもできる。
【0041】
このシステムに投入されるドラム缶70は公知技術のコンベアーライン68にて搬送されてくる。
【0042】
まず、ドラム缶は、ドラム缶の向きを決めるためのドラム缶位置決めステーション40に送られる。次いで、蓋及び締め付けバンドをドラム缶から取り去るための蓋開ステーション10に搬送される。
【0043】
ここで、ドラム缶から一体的に分離された蓋78および締め付けバンドは、ドラムを搬送するためのコンベアーラインとは別のコンベアーライン62で閉ステーション30に運ばれる。蓋および締め付けバンドは、搬送用のパレット80に載置されて運ばれる。蓋およびバンドを取り除かれたドラム缶は、コンベアーライン60にて充填装置20に送られる。
【0044】
蓋と締め付けバンドに関し、一体的とは、締め付けバンドが蓋の周縁部に巻き回されている状態であることを意味する。
【0045】
充填装置20では、図示しない計量装置と連動して充填作業が行なわれる。所定量の充填が終了してからは、ドラム缶は充填ステーションを離れて、蓋閉ステーション30へ送られる。充填物の性状によって、必要に応じ、充填の前に内袋がドラム缶に挿入される。
【0046】
蓋を被せて閉める前に、必要に応じて、充填された製品にゴミなどが入らないようにするために、保護シートを被せる事が行なわれることがある。ドラム缶は所望により、シート被せ手段(図示していない)に送られて、シートの被せが行なわれる。これが終了した後に、ドラム缶は蓋閉ステーション30へ送られる。
【0047】
そこでは、蓋開ステーションから連動して送られてきている蓋および締め付けバンドが再度ドラム缶に取り付けられて、締め付けが行なわれる。
【0048】
この後、蓋が閉じられたドラム缶は、バンドに取り付いているS字環の遊離を検出するためのS字環遊離検出ステーション(図示せず)を経由して、コンベアーライン69により、システム外の別の工程、例えば、ラベリングセクションへ送られる。
【0049】
シート被せ手段、S字環遊離検出ステーションなどは充填される内容物や保護対策の要否などにより、必要に応じて設置されるものである。また、充填ではなくドラム缶から内容物をとりだす場合には、その作業に必要な設備が適宜設置される。コンベアーラインは、ドラム缶自動搬送に用いられる公知のローラコンベアーでよく、また、別の形態の物でもよい。
【0050】
〔蓋開ステーション〕
蓋開ステーション10は、ドラム缶蓋に取付いた締め付けバンドを緩め、蓋と締め付けバンドとをドラム缶から引き離すことを行なうステーションである。
【0051】
蓋開ステーションの正面図を図2に、平面図および側面図を図3に示す。蓋開ステーションには、ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋開装置が配されるが、蓋開装置はドラム缶から蓋を分離し、蓋搬送手段に移載可能な位置に配される。
【0052】
〔蓋開装置〕
蓋開装置は、蓋開用ハンドユニット100と、蓋開用ハンドユニット移動手段を備え、ドラム缶に取り付いた締め付けバンドおよび蓋をドラム缶から取りさり、蓋搬送手段(ここでは搬送用パレット80)に移しかえる一種のロボットシステムである。これらは一つのフレーム101内に収容されている。
【0053】
蓋開用ハンドユニットは、締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛めた状態で蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離する蓋開動作;蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;および、該保持を解除する蓋保持解除動作を自動的に行うものである。
【0054】
蓋開用ハンドユニット移動手段は、蓋開用ハンドユニットを自動的に移動させるものであり、ここではハンドユニットスライド機構部200およびハンドユニット昇降機構部300を有する。ハンドユニットスライド機構部200は、ハンドユニット100を、送られてきたドラム缶の上とコンベアーライン62の上との間で水平方向に移動させるものである。ハンドユニット昇降機構部300は、ハンドユニット100をドラム缶の上やコンベアーライン62の上で昇降させるためのものである。
【0055】
〔蓋開用ハンドユニット〕
図4および5に示すように、次に述べる蓋開用ハンドユニットの各要素は、一つのフレーム構造である躯体190に収納される。
【0056】
なお、ハンドユニット100は、以下の各要素の各動作を行なうための空気シリンダー類や空気モータ類などが必要に応じて設けられており、一つのロボットユニットとなっている。
【0057】
(1)ナットランナー110:(図5参照)
ナットランナーは、空気モータ、電動モータなどにより回転トルクを発生することができ、ナットを緩めたり、締め込んだりするための手段である。図5に示すように、ドラム缶に蓋を締結させているボルト72およびナット74があるが、このナットに食らいついてナット74を回転させることにより、バンド76を弛めて蓋78を取り外したり、バンドを締め上げて蓋をドラム缶に密着させる作業を行なわせしめるためのナットランナー110が取り付けられている。ナットランナーの先端に、ナットの形状に合わせたジグを取付けることにより、いろいろな大きさのナットに対応することができる。
【0058】
ドラム缶に蓋を取り付けているバンド76は、一部に切り欠き部があり、バンドの両端にはボルト72を通すためのS字環77が取り付けられている。六角頭付きボルト72は、この2つのS字環77に通され、片側でナット74がセットされる。ナットランナーによってこのナットを回すことにより、二つのS字環の間の距離を狭めることでバンド76を締め上げたり、二つのS字環の間の距離が拡がることを可能とすることでバンドを緩い状態にすることを可能とする。図示しないが、六角頭付きボルトは、共回りを防ぐための爪部を有し、S字環の一部に引っかかることができる。
【0059】
この動作を自動で行なうためには、ナット74にナットランナー110が自動的に喰い付く必要がある。ところが、再生のドラム缶であれ、新造のドラム缶であれ、ドラム缶製造工場での蓋締め動作においては、このナット締めが人手で行われており、ナットの取り付け最終位置は必ずしも一定ではない。従って、ドラム缶製造工場から内容物処理手段のある工場までドラム缶が送られてくる場合など、このナット位置の不確定な状況にナットランナーが対応できるようにすることが好ましい。このため、蓋開装置でナットランナーがナットに食らいつくときには、フレキシブルにナットランナー側が対処することが好ましい。このために、ナットランナーにはフレキシブルジョイントを用いたり、ナットランナー部分が遊動したりすることが出来るようにしておくことが好ましい。また、ナットランナーの先端にはテーパー状のガイドコーンを取り付けることも好ましい。
【0060】
(2)開閉爪120:(図5参照)
上記のナットランナー110で、ナット74を緩めたとしても、必ずしも二つのS字環77の間隔が追随して拡がって行くわけではない。間隔はそのままになっている場合もあるので、このような場合に対応するために、強制的に間隔を広げていく。このために、図5に示すように、開閉爪120が設けられており、これは、図示しないが左右対称にそれぞれ動き、互いに開いたり閉じたりする二つの爪を有する。図4に示すように、開閉爪は概横U状になっている。
【0061】
この開閉爪をS字環間77の隙間部分に差込み、さらに、ナットが緩んだ後に、左右に開閉爪を均等に開くための駆動装置122(例えば、モータ)が付属させられている。開閉爪120の移動量などを確認するために、適宜センサーが取り付けられる。
【0062】
なお、開閉爪が概横U字状であるため、S字環にボルトが通った状態でも、開閉爪は二つのS字環の間の隙間に差し込むことができる。また、この爪はS字環の間の隙間に差し込むために、その厚みは出来るだけ薄い方が好ましいが、適当な強度がないと開閉動作の際に変形してしまうので、これらを勘案して適宜設計される。
【0063】
爪を均等に開くための駆動装置としては、代表的にはモータであるが、使われる環境(例えば、防爆構造を要するな作業環境)によっては、空気モータなどが好適である。
【0064】
(3)バンド昇降用フック130:(図4参照)
バンドを緩めた後に、蓋を持ち上げるために、バンドの一部を掴んで上に持ち上げる必要がある。図4に示すように、このためのフック130がナットランナー110の対面側に設けられている。
【0065】
このフックは、バンドに引っかかる形状であれば良く、例えば断面が略コ字状または横U字状とするのが好ましい。該フックはバンドに引っかかるための円弧運動と持ち上げるための直線運動を行なうために、リンク機構に接続されている。この駆動においては、例えば空気シリンダー132’および132”が用いられる。
【0066】
(4)バンド押し付け用板140:(図4参照)
ナットを緩めた後に、バンドおよび蓋全体をバンド昇降用フック130側に押し付けると、蓋がドラム缶から容易に離れる。このためにバンド押し付け板140が設けられる。押し付け板の駆動源としては、例えば空気シリンダー142が用いられる。
【0067】
(5)バンド均等開のための変形拘束板160:(図3および図5参照)
バンド76を開閉爪120で強制的に開いていくときに、S字環77側から見て左右均等に開くのが望ましい。均等に開かずに、片側に寄って開いてしまうと、バンドの縁とドラム缶開口部縁との隙間が狭くなる部位が生じ、蓋を持ち上げるときに干渉してしまう傾向があるという点で不利であるためである。これを防止するために、ハンドユニット100にはS字環側から見て左右両側に変形拘束板160が設けられることが好ましい。一方で片寄ってバンドが開となったとしても、この方が先に拘束板にあたり、これ以降はもう一方の側が開いていくことを可能ならしめる。ここでは変形拘束板として矩形状の板を用いているが、上記機能を有するものであれば、他の形状でも良い。
【0068】
変形拘束板はエアシリンダーなどの駆動手段により前進後退可能とすることが好ましい。蓋および締め付けバンドを容易に挟むことができるからである。
【0069】
〔ハンドユニットスライド機構部〕
蓋開ステーションのハンドユニットスライド機構部は、蓋開用ハンドユニット100をドラム缶の上と、コンベアーライン62の上との間で横移動させるための機構部である。ハンドユニットスライド機構部200には、次のものが含まれる。
【0070】
図3に示すように、蓋開ステーション10全体は、一つのフレーム101に納められているが、そのフレーム上部に、スライド移動を容易にするための直線ガイド機構部170、空気シリンダーなどのスライド移動駆動装置部180、ストッパー185などが設けられている。空気ケーブル、電気ケーブルなどは、ケーブルベア−に適宜収納されている。
【0071】
〔ハンドユニット昇降機構部〕
ハンドユニット昇降機構部300は、ハンドユニット100をドラム缶の上で昇降させたり、パレット搬送用コンベアー62の上で昇降させたりするためのものである。ハンドユニット昇降機構部300には、次のものが含まれている(図3および図4を参照)。
【0072】
昇降させるための手段としては、代表的には空気シリンダー310である。空気シリンダーのみであると、ハンドユニットをドラム缶直上に降ろしてくるときに衝撃的にあたるので、クッション機能を持たせたりすることが望ましい。このためには、バネ330を設けたり、逆方向に作動する空気シリンダー320を設けたり、もしくは併用することができる。
【0073】
〔その他の蓋開ステーションの要素〕
蓋開ステーション10でドラム缶に取り付けられていた蓋およびバンドを取り去るための作業をスムーズにおこなうためには、ハンドユニット100とドラム缶の間で芯出しが行われていることが肝要で、ドラム缶は自動的に位置決め固定しておくことが好ましい。
【0074】
このために例えば次のようにすることができる。ドラム缶はコンベアーラインで送られてくるが、蓋開ステーションでの所定の場所に位置するようにストッパーピンがコンベアーラインから出入りして停止する。次に、両側の押さえ金具66(図2)にて位置決めされる。この両側の押さえ金具は、凹み形状のものであり、中央部分はガイドテーパーを持っている。このために、これらの金具でドラム缶の底部を両側から挟み込むことで底部を基準とする芯が決められる。
【0075】
さらに、蓋を完全に取り去るときには、締め付けバンドは弛んでいるとはいえ、ドラム缶の開口部の縁をこすりながら持ち上がる事となる。このためにドラム缶自体も持ちあがろうとするが、これを確実に防止するためには、ドラム缶が持ちあがらないようにする手段を設けることが好ましい。これは特にドラム缶が空である場合に有効である。ドラム缶が内容物を収容して重くなっている場合は、特に持ち上がり防止の手段がなくても、その自重によってドラム缶が持ち上がらずにすむ場合もある。よって、持ち上がり防止の手段は、必要に応じ蓋開ステーション、蓋閉ステーションに設置すればよい。
【0076】
このために、図2に示す蓋開ステーションでは、ドラム缶の上部および下部に出入り自由の押え金具66が取り付けられている。その先端には傷をつけないようにするためや、蓋回転を許容させるために、ローラを介在させる場合もある。これらの出入りは直進シリンダーにて動作させることができる。出入り量、作動させるタイミングは適宜決められる。押さえ金具は、同様の機能を実現できるものであれば公知の技術を用いることができる。なお、ここに示した押さえ金具66は、前記位置決めの手段と、ドラム缶の持ち上がりを防止する手段を兼ねている。
【0077】
〔蓋閉ステーション〕
蓋閉ステーション30は、ドラム缶に蓋を取り付けるためのステーションである。蓋搬送手段によって運ばれてきた蓋と締め付けバンドを持ち上げ、例えば充填済みのドラム缶の上にセットし、バンドを締め付け、蓋とドラム缶を締結状態とすることが行なわれる。
【0078】
蓋閉ステ−ションでは、蓋開ステーションとほぼ逆の動作をすることになるので、蓋閉ステーションの基本構成、基本動作およびハンドユニットの構造などは略同じである。
【0079】
蓋閉ステーションには、ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋閉装置が配される。その位置は、蓋搬送手段で一体的に搬送された蓋と締め付けバンドとを、ドラム缶搬送手段で搬送されたドラム缶に移載可能な位置である。
【0080】
蓋閉ステーションにおいては、蓋を取り付けバンドを締める作業を行なう時に、蓋板全体をドラム缶側に押し付けて、蓋の縁に設けたシール部材を変形させて、バンドを確実に締めるようにするために、ハンドユニットに蓋押し付け手段が付加されており、また蓋閉ステーションにこの蓋押し付け手段を駆動する手段が付加されている。
【0081】
蓋板の外周には、ドラム缶との間でシールするためのシール部材79(図10参照)が設けられている。このシール部材は、弾力性のあるもので製造される。このため、蓋をドラムにはめ込み、バンドをドラム缶上部縁に添わせてセットしたとしてもそれだけでは、必ずしも密閉状態を確保することはできない。このために、蓋板を鉛直方向の力で押し付けて、シール部材を一旦変形させておき、この間にバンドに取り付いたボルトナットを締め上げ、蓋を最終的な位置にもたらす方法を取ることができる。この鉛直方向の力は、一般的に用いられているシール部材の場合、実験によれば、800kgf(7840N)以上が好ましく、好ましくは1000kgf(9800N)以上がより好ましい。
【0082】
このために、蓋を取り付けてバンドを締め付ける前に、鉛直方向の力を蓋円周方向に均一に付加して、シール部材を変形させて、バンド締め付けを容易にすることを自動的に行うことが好ましい。
【0083】
従って、蓋閉ステーションのハンドユニットでは、蓋開ステーションでのハンドユニットの構造に加えて、この鉛直方向の力を蓋円周方向に均一に作用させるための蓋押し付け手段、例えば円環状の押し付け板150が取り付けられている(図7および図8を参照)。図8は、蓋閉ステーションにおけるハンドユニットの躯体と円環状押し付け板の関係を平面的に説明するたのめの図である。
【0084】
ハンドユニット内に設けられる円環状押し付け板150は、昇降可能となるように、スライドガイド152を介して躯体190に取り付けられる。必要がない時には、上部位置になるように不図示のバネで上方向に付勢されている。押付け力そのものは、蓋閉ステーションのフレーム101に別途に設けられた押付けシリンダー123(図6を参照)等の駆動手段により発生させられる。この押付力発生用シリンダーは、強度などの点から、ハンドユニット内に設けるより、蓋閉ステーションのフレーム101に設けた方がよい。押し付けシリンダ−は、代表的には空気シンリンダー123である。同シリンダーのストロークする先に円環状押し付け板側の当て板154(図7参照)が位置するようにしておき、押し付けシリンダーがこの当て板を押すことにより、円環状押し付け板がドラム缶の蓋を押し付けるようにすることができる。
【0085】
従来、シール部材に適切な締め付け力を均等に与えるために、締め付けバンドを締め上げながらハンマーなどで蓋の上部の周辺部を叩く必要があった。これは、バンドと蓋周縁部/ドラム缶開口部縁との滑り具合が周方向で異なり、バンドが部分的には十分に食い込まずに、シール部材のつぶれ(すなわちシール力)が場所によって違っていたためである。このために、騒音の発生とういう問題も生じていた。本発明では、蓋押し付け手段によりシール部材を一旦均一につぶしてから、締め付けバンドを締め上げることができ、また、バンドを締め上げている間にも押し付け手段で押し付けたままにできるので、周方向にわたって均一なバンド食い込みを実現できるため、ハンマーなどで蓋を叩かずにすむ。
【0086】
また、蓋閉ステーションのフレーム101は、上記押し付け作業が行なわれるために十分な剛性を持つよう設計する。
【0087】
蓋閉ステーションにおいて、上記以外の点は、蓋開ステーションと同じとすることができる。例えば、蓋閉ステーションにおけるハンドユニットスライド機構部、ハンドユニット昇降機構部は、蓋開ステーションと同じとすることができる。
【0088】
〔蓋搬送用のパレット〕
蓋開ステーションで一体的に取り外された蓋板および締め付けバンドは、蓋開用ハンドユニットに一体的に保持されたまま、蓋開ステーションのフレーム101内を横移動して、コンベアーライン(蓋搬送手段)の真上に移動する。
【0089】
そこで、ハンドユニット昇降機構部により、ハンドユニットはコンベアーライン側に降りて、蓋板およびバンドを搬送するためのパレット上にセットする。このセットする動作においては、いままで掴んでいたフック130(図4)を開放することで、蓋およびバンドをパレット上の所定の位置に置く。
【0090】
パレットは、例えば図9に示すように、次のものから構成することができる。
【0091】
・コンベアー搬送ベース82:パレット全体がコンベア−上を搬送できるようにするための、コンベアーに接触する平面状台板である。アルミなどの材質で、製作され、位置決めなどを考慮して、正方形などの形状とすることが好ましい。
【0092】
・蓋板ホルダー84:コンベアー搬送ベースの上に、蓋板および締め付けバンドの外形寸法に応じて円周上に均等に、例えば、4等分の位置毎に、蓋板を受けるホルダーを設ける。このホルダーの材質は、例えばプラスティックなどで製作される。ホルダーの上部は、締め付けバンド及び蓋板が上部から降りてセットされる動作の際のガイド機構となりえるように、テーパー81部分が設けられていることが好ましい。
【0093】
・S字環間隔保持用爪およびその駆動機構:蓋78およびバンド76をパレット80に設置した後に、搬送中にS字環77の間隔が元に戻らないようにするために、S字環の間隔を保持しておくことが好ましい。このために、パレット上にはS字環間隔保持用爪87およびその駆動機構が設けられている。駆動機構は回転軸86、回転を直進に変換するネジ機構部88、軸受け85などで構成できる。これらが配置される位置は、パレット内で適宜設計される。
【0094】
この駆動機構を動作させるために、パレット上にこの爪駆動を行なうためのアクチュエータを別個に専属的に設けるか、ステーション側にアクチュエータを設け何らかの動力伝達部分を介して、動力を伝える方法などが採用できる。コスト的には、ステーション側に駆動機構および動力伝達部分を設けるのがよい。
【0095】
コンベアーラインのステーション側にアクチュエータ(図示しない)、アクチュエータ前進後退機構(図示しない)を設けるような場合、アクチュエータ軸の先端部にはカップリング(メス)を設けておき、図9に示すように、パレット側の回転軸86の先端に動力伝達のためのカップリングオス83を設けることができる。このような構成にすることにより、コンベアーラインのステーション側に設けたアクチュエータおよびカップリングメスを前進後退させて、カップリングオスと結合させた後に、アクチュエータを回転させて、爪開閉駆動軸を回転させることができる。
【0096】
このパレット80には蓋78およびバンド76がセットされるが、ハンドユニットの昇降の際に、ハンドユニットとの間で相対位置を適正に維持しておくことも自動化のために好ましい。このために、蓋搬送用のコンベアーラインが蓋開または蓋閉ステーションに入り込んだ位置では、パレットの位置決めを適宜行うことができる。具体的にはガイドピンなどによることができる。
【0097】
〔蓋搬送手段〕
蓋開ステーション10で取り外された蓋およびバンドは、パレット80にセットされた後に、コンベアーライン62を経由して、蓋閉ステーション30に送られる(図1)。蓋閉ステーションでは、パレット上に蓋閉用ハンドユニットが降りてきて、蓋およびバンドを掴みなおして、内容物処理を終えたドラム缶上部に蓋などをセットして、蓋閉動作に移ることとなる。
【0098】
蓋およびバンドをドラム缶にセットし直すと、パレットには何も搭載していない状態となる。この空のパレットを再度開ステーション側へ戻し繰り返し利用することが望ましい。もちろん、パレットを蓋開ステーションに戻さないで、一方向のみの流れとすることは可能であるが、パレットの数を多量に用意する必要があること、パレットの廃棄などの処理が必要となり、コスト的にも無駄が生じることとなるという点で不利である。よって、パレットを再利用できる形態として、蓋閉ステーションにて空になった後に、蓋開ステーションに搬送して循環させて用いるのが、経済的な視点からも好ましい。
【0099】
このような目的のために、蓋開および蓋閉ステ−ションをむすぶコンベアーライン62は、往きと戻りの2つのラインが循環的に構成される。
【0100】
このようなコンベアーラインの構成としては、平面的に別々のラインとして構成されても良く、あるいは設置場所の制約からして、上下の2段のコンベアーライン形式として構成されても良い。図2および図6は上下2段の構造とする場合の図である。上下の一方を、蓋開ステーションから蓋閉ステーションへの搬送用62′とし、他の一方を蓋閉ステーションから蓋開ステーションへの搬送用62″とすることができる。
【0101】
設置場所の制約などで、蓋搬送方向を変える必要がある場合には、方向変換部65(図1)を適宜設備する。
【0102】
また、上下構造とする場合には、下のコンベアーラインを経由して戻ってきたパレットを再度コンベアーラインの所定の位置にセットするためのリフター64などを適宜設備する。
【0103】
なお、有機溶剤を扱うような環境においては、コンベアーラインに用いる材料として、例えばべルトなどには、静電スパークの発生を防ぐために帯電防止材から構成されるのが好ましい。
【0104】
〔位置決めステーション〕
蓋開ステーション10、蓋閉ステーション30、搬送コンベアーライン62の他に、蓋開ステーションにドラム缶が70供給される前に、締め付けバンドにとり付いているボルトナットの位置を検出するためのドラム缶位置決めステーション40を設けることが、自動化のために好ましい(図1参照)。これは、ナットランナーが食らいつくためのボルトおよびナットの位置を予め自動的に決めておけば、その後の蓋開動作が自動的にスムーズに行えるからである。
【0105】
蓋開および蓋閉ステーションにおいて、ドラム缶、パレットおよびハンドユニットはガイド機構、ストッパーピンなど公知の技術により、自動的に位置決めできる。また蓋および締め付けバンドはパレット上で、テーパー等のガイド機構により自動的に位置決めできる。したがって、蓋開ステーションにおいてボルトナットの位置が定まっていれば、その後のドラム缶、パレット、ハンドユニット、蓋および締め付けバンドの位置決めは自動的にスムーズに行うことができる。位置決めステーションは、このためのものである。
【0106】
この方法の一つとしては、ドラム缶を回転させ、ボルトナットを停止板にぶつけて停止させて、位置を検出する方式がある。このために、例えば、ドラム缶を回転させる設備、停止板を出し入れするための駆動装置などを設けることができる。ボルトナットの位置を特定するには、この他にも、公知の自動化設備で用いられている方法、構成によることができる。
【0107】
<ドラム缶搬送手段>
ドラム缶搬送手段は、蓋開ステーションから蓋閉ステーションにドラム缶を搬送する手段であり、コンベアーライン60など、機械加工組みたて工場などの自動化に広く用いられている汎用のタイプのものでよく、公知の技術を適宜採用することができる。
【0108】
<内容物処理手段>
ドラム缶搬送手段の途中に、蓋が開けられたドラム缶に対して内容物処理を行う内容物処理手段が設けられる。内容物処理手段は、目的に応じて公知技術を利用して適宜設計すれば良いが、自動化された手段を用いることが好ましい。内容物処理システム全体を自動化できるからである。
【0109】
〔ドラム缶蓋自動開閉装置の動作〕
以下、ドラム缶蓋自動開閉装置の動作について詳述する。
【0110】
<蓋開装置の動作>
蓋開動作においては、蓋を取り付けているバンドを緩めるという動作と、蓋と締め付けバンドを一体的にドラム缶から引き離すという動作がある。上記のフレーム101に設けられた構成部品を用いた場合につき、これらの動作を説明する。
【0111】
まず、ハンドユニットスライド機構部200および昇降機構部300を用いて、ハンドユニット100をドラム缶上へセッティングする。次いで、ハンドユニット100に内蔵された前記ナットランナーなどの構成部品を用いてバンドが緩められる。この場合ナットはボルト弛み端まで弛めるのみとし、ボルトから外す事はしない。このようにしてボルトナットを取り外すことなく弛めておくことにより、ボルト付きバンドと蓋を一体ものとして、ドラム缶から取り外したり、また、次に取り付けたりすることを可能とし、自動化を容易にするためである。次に、S字環部分の間隔を強制的に押し広げるために、左右に移動する開閉爪120を引き続いて環の隙間に差し込んで移動させて、広げる。
【0112】
なお、締め付けバンドは弛められ、またドラム缶との密着が解放されるにつれて変形するが、締め付けバンドは所定の位置に設けられた変形拘束板に当接し、S字環からフックに向かって左右均等になるように変形する。
【0113】
バンドが十分に緩んだ後、蓋を持ち上げる必要があるが、二つのS字環部分の間隔が拡がっただけでは、蓋を持ち上げることができるとは限らない。蓋とドラム缶上部縁との隙間が十分でないことがあるからである。持ち上げを容易にするためにはこの隙間を作り出すことが好ましい。
【0114】
そのために先ず、蓋をS字環とは反対側の方向へ押して、蓋を持ち上げるときの隙間を取りやすくするようにすることが好ましい。このために、図4に示すようなプッシャーの役割をするバンド押し付け板140を用いる。この板は例えば空気シリンダー142などの駆動手段で駆動される。
【0115】
さらに、S字環77とは反対側の位置で、蓋の一部を引っ掛けて持ち上げるためのバンド昇降用フック130が設けられている。これは例えば、空気シリンダー132’、132”などの駆動手段で駆動される。先のバンド押し付け板140で位置が横(図4中、右方向)にずれた蓋の一端を、空気シリンダーの先端に取り付いているフック130で引っ掛けた後に、このフックを水平方向に移動させながら上昇させ、蓋を持ち上げる。
【0116】
これにより、十分に弛んだバンドと蓋を同時に持ち上げて、ドラム缶上部の巻端をかわして、蓋開動作を実現するとともに、蓋および締め付けバンドを一体的に保持する蓋保持動作も実現される。
【0117】
次に、蓋および締め付けバンドを保持した蓋開用ハンドユニットを、ハンドユニット昇降機構部300により上方に移動させ、ハンドユニットスライド機構部200により、蓋搬送手段であるコンベアーライン62の端部に待機しているパレット80上にセットし、ここで上記保持を解除する蓋保持解除動作を行い、蓋と締め付けバンドとをパレットに移載する。
【0118】
この後、蓋が分離されたドラム缶はドラム缶搬送手段により内容物処理を経て蓋閉ステーションに自動的に送られ、一方、蓋と締め付けバンドはパレットに一体的に保持された状態で蓋閉ステーションに自動的に送られる。両者とも、途上、適宜方向転換などがなされる。また、ドラム缶の上部には、必要に応じて、成形シートなどが被せられて、内部の物質を保護することが行なわれる場合もある。シートの要否は物質の性状に応じて適宜選択される。
【0119】
<蓋閉装置の動作>
蓋閉ステーションでは、概ね蓋開ステーションと逆の動作が行なわれる。
【0120】
蓋開ステーションにおいて、蓋と締め付けバンドとは一体的にパレットに移しかえられるが、その際にパレット上のS字環間隔保持用爪87でS字環間隔が拡げられた状態が保持され、その状態でパレットが閉ステーションに移送されてくる。
【0121】
図6に示すように、搬送コンベアーライン62の一方の端が蓋閉ステーション30内にあるので、送られてきたパレット上にある蓋および締め付けバンドを、蓋閉ステ−ション側のハンドユニットがつかみなおす。
【0122】
つまり蓋閉用ハンドユニットが蓋閉用ハンドユニット移動手段により、パレット上に一体的に載せられている蓋および締め付けバンドの上に降りてくる。そして、ハンドユニットの開閉爪120のU字溝部が、S字環77の間にのぞいているボルト72に差し込まれる。この段階では開閉爪120は閉じた状態であり、パレットのS字環間隔保持用爪87は図9に示すように鉛直方向上向きに取り付けられているため、開閉爪120はS字環間隔保持用爪87に対して直角に入り込み、開閉爪120とS字環間隔保持用爪87は干渉することなく、ボルト72に同時に接することができる。同時にバンド昇降用フック130が締め付けバンドと蓋に掛けられる。そしてバンド昇降用フックが持ち上げられ、同時にバンド押付け用板140が動作され、バンド昇降用フック側へ締め付けバンドを押し付けて、締め付けバンドがドラム缶の開口縁にかかりやすくする。これにより蓋は少し斜めの状態となる。
【0123】
この後、蓋閉用ハンドユニット移動手段により、ハンドユニットが上昇し、蓋および締め付けバンドがパレットから取り外される。その後、開閉爪は開状態まで開けられる。これは締め付けバンドの戻りを防止するためである。
【0124】
そして、ハンドユニットがさらに上昇し、蓋閉ステーション内を横に移動し、下降して、内容物処理を終えてドラム缶搬送手段で送られ、位置決めされたドラム缶の上に移動される。蓋は少し斜めにされたままの状態を維持しながら、降りてきて、まずS字環側からドラムにセットされる。ついでバンド昇降用フックを下げて蓋を完全に降ろしきる。次いで、変形拘束板160がエアシリンダーにより前進され、バンドを拘束押し付けすることでフック側への変形を容易にする。
【0125】
この段階で、このまま締め付けバンドを締めても蓋とドラム缶を密着させることが出来るとは限らない。蓋の周囲には、ドラム缶との間でのシール機能を果たすためのシール部材が外周部に設けられているが、これを一旦つぶせば、蓋をドラム缶に密着させて閉めることができる。このために、前述の蓋押し付け手段を用いて、取り付けられた蓋を上部から下方向に押し付けてシール部材をつぶしつつ、締め付けバンドを締め上げることが好ましい。すなわち、押付けシリンダー123を作動させ、円環状押し付け板150で蓋を押し付ける。これで十分な押し付け力が得られるので、シール部材が変形して蓋がドラム缶に押し付けられることにより、締め付けバンドと蓋の間で隙間ができることになる。
【0126】
これらの後に、駆動手段によりナットランナー110が移動し、S字環にセットされているボルトナットのナット部に食らいつく。ナットランナーは柔軟に変位できるようになっているので、ボルトが傾いていても食らいつくことができる。
【0127】
そして、所定のトルク設定値に設定したナットランナーでナットを締めて、締め付けバンドを寄せて締め上げる。この際、ボルトの供回りを防止するために、ボルト頭についている爪がS字環にあたる。所定のトルク値に達するとナットランナーは停止し、駆動手段によりナットから抜き去られる。
【0128】
そして、蓋と締め付けバンドの保持が解除され、蓋および締め付けバンドがドラム缶にセットされてハンドユニットからは分離される。
【0129】
ナット位置のバラツキに対応して、ナットランナー110が再度ナットに食らいつくために、前述のフレキシブルジョイントや遊動方式、ガイドコーンなどが効果的なのは前記と同様である。
【0130】
ナットランナーの設定トルクは適宜決定されるが、緩みが起こらないように十分な値に設定する。かといって、過剰なトルクは、締め過ぎをおこし、ボルトの変形や極端にはボルトの破断をもたらすので、実験などで確認することが好ましい。充填されたドラム缶は、多くはトラックなどで輸送されるので、輸送時点でのナットの緩みを勘案して余裕を持たせてトルクを設定するのがよい。
【0131】
〔ドラム缶内容物処理システムの動作〕
次に、このような機能と構成を持つ開ステーション10、閉ステーション30、搬送システム62、蓋78およびバンド76を保持して搬送するためのパレット80を用い、蓋を自動で開閉する生産システムについて、その運用を順番に説明する。
【0132】
1)蓋付きドラム缶は待機場所から、コンベアーライン68などに積載されて、搬入されてくる。
【0133】
2)蓋付きドラム缶は位置決めステーション40で、一回転させられ、この間にストッパーが固定ステーション側から突き出て、ボルト72と突き当たり停止させられる。これで、ボルトおよびナット74の位置が特定されることとなる。
【0134】
3)次いで、蓋付きドラム缶は蓋開ステーションへコンベアーライン68で送られる。この時に、ボルト及びナットの位置がずれる(回転する)こともあり得る。このような場合に備えて、開ステーションでは再度、ボルト押し機構を設けて、位置出しを行なうのが好ましい。
【0135】
4)蓋開ステ−ション10では、フレーム内で既に到着して待機している蓋開用ハンドユニットがハンドユニット昇降機構部により、ドラム缶70の上部にセットされる。
【0136】
5)次いで、開閉爪120がS字環77の間のスペースに差し込まれる。さらに、ナットランナー110がナットに食らいつく。
【0137】
6)開閉爪を押しこむ際には、そのままではドラム缶は横に移動してしまうことがある。これを確実に防ぐために、押え金具66を設置してドラム缶の横移動を押さえ、ドラム缶の位置を保持し、固定しておく。
【0138】
7)ナットランナーを用いてナットを緩める。
【0139】
8)開閉爪を左右に広げて、バンド76を広げる。このとき、変形拘束板を駆動手段により前進させて締め付けバンドに当てる。開閉用の爪を広げ過ぎて、ナットを落としてしまうことのないように、センサーなどを用いて、動作の終点を設定することが好ましい。
【0140】
9)締め付けバンドを十分に広げた後に、バンド押し付け板140にて蓋自体をS字環とは反対方向に押す。このことにより、蓋を容易に開けることができるようになる。
【0141】
10)次いで、バンド昇降用フック130を作動させて、フックを蓋に引っ掛けると同時に、空気シリンダーでフックを上昇させて蓋の一端側を持ち上げる。
【0142】
11)バンドが十分にかつ均等に広がっていること、バンド昇降用フック側で十分に持ち上げることで、バンドとドラム缶上部巻き端との間で隙間が生じて、スムーズに蓋があけられ、蓋および締め付けバンドが一体的にドラム缶から分離されることとなる。
【0143】
12)次いで、蓋およびバンドを一体的に保持したハンドユニットは、ハンドユニット昇降機構部により上昇し、ハンドユニットスライド機構部によりフレーム内を横移動して、搬送コンベアーライン62の一端側に位置する。
【0144】
13)ハンドユニット昇降機構部より、ハンドユニットを下に降ろして、パレット80上の蓋板ホルダー84に蓋をセットして、バンド昇降用フック130などを解放する。これで、蓋はパレットに搭載される。
【0145】
14)搬送コンベアーラインの脇に設けられているアクチュエータ(図示しない)が前進して、パレット上にある爪開閉駆動用の回転軸86の先端にオスメスの関係ではまり込む。
【0146】
15)その後、アクチュエータ回転させられて、S字環間隔保持用爪87を開き位置まで移動させた後に、アクチュエータを停止する。タイマー等で設定するなどの方法がとられる。ついでアクチュエータは後退させられる。
【0147】
16)次いで、パレットはコンベアーライン62を通して、蓋閉ステーション30に送られる。設置場所の関係などで方向転換などが必要に応じてなされる。
【0148】
17)蓋閉ステ−ションに送られたパレットは、位置決めされる。
【0149】
18)待機状態にあった蓋閉ステーションのハンドユニットが下りてきて、パレット上にかぶる。
【0150】
19)次いで、ハンドユニット内のバンド昇降用フック130などが前進動作をして、蓋78およびバンド76を保持する。
【0151】
20)保持した状態で、ハンドユニットはハンドユニット昇降機構部により、上部へ上がり、このとき蓋およびバンドはパレットから離れ、ついでハンドユニットスライド機構部により、充填等の内容物処理済みのドラム缶70の上に位置される。
【0152】
21)ドラム缶の上に位置したハンドユニットは、ハンドユニット昇降機構部により下がり、ドラム缶の上にかぶさることとなる。
【0153】
22)次いで、蓋外周部に設けられているシール部材を変形させるために、蓋押し付け手段により、蓋が鉛直方向に十分な押し付け力で押し付けされる。ナットランナー110により、ナット74が締めこまれる。ナットランナーは締め付けトルクが適宜設定管理されている。
【0154】
23)蓋閉ステーション30にて、蓋およびバンドが無くなり空になったパレット80はコンベアー62″に乗り、蓋開ステーション10側へ搬送される。
【0155】
なお、本発明においては、システムに投入された順に蓋がドラム缶から外され、ドラム缶と蓋はそれぞれ外された順に並び、その順に蓋がドラム缶に取り付けられる。従って、蓋とドラム缶の一対一の相関が自然に保たれる。内容物処理工程などでドラム缶の順序が狂う可能性がある場合には、蓋およびドラム缶にID(認識)タグを付与しておき、蓋開ステーションでそれを読み込んでおき、閉ステーションでそれらを照合確認し、一対一の相関を保つこともできる。
【0156】
〔自動化〕
本発明のドラム缶蓋自動開閉装置は、コンピュータ等の制御手段を利用して自動化することができる。また本発明のドラム缶内容物処理システムも、少なくとも内容物処理手段以外はコンピュータ等の制御手段を利用して自動化することができる。内容物処理の形態にもよるが、内容物処理手段が同様に自動化することができれば、システム全体を自動化することが可能となり、本発明によって全自動のドラム缶内容物処理方法が提供される。
【0157】
【実施例】
図1〜9に示した装置により、開口径570mmのバンド締めドラム缶の新缶(開口径のバラツキ±3mm)10個および再生缶(開口径のバラツキ±20mm)10個の合計20個のドラム缶を用い、上記ドラム缶内容物処理方法に示した1)〜23)の手順に従い、粘性の高い液体の充填処理を行った。
【0158】
蓋をした状態の新缶と再生缶をランダムにドラム缶内容物処理システムに導入し、ドラム缶の蓋を取り外し、粘性の高い液体を充填後、ドラム缶の蓋を閉める作業を行なった結果、いずれの場合においても、供給された蓋付きドラム缶の蓋開、充填、蓋閉の一連の動作をスムーズに行うことができた。つまり、充填と蓋開閉とのタイミングを合わせ、一方が他方に待たされることなく、蓋とドラム缶の一対一の対応を保ちつつ、一連の動作を行うことができた。
また蓋を閉めた状態を目視で確認したところ、それぞれのドラム缶に最初についていた蓋が取りつけられていることが確認された。また、ドラム缶の締め付けバンドを締め付けているボルトナットの締め付けトルクを確認したところ設定した締め付けトルクであり、蓋がドラム缶に十分に固定されていることが確認され、本発明の有効性が確認された。
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、ドラム缶の蓋開閉を伴う充填等の内容物処理において、ドラム缶と蓋との間の1対1の関係性を保持しながら、蓋開閉動作と内容物処理動作の待ち時間を抑え、全体の処理時間を短縮することを可能とするドラム缶内容物処理システムおよび方法が提供される。また、このような内容物処理に好適に用いることができるドラム缶蓋開閉装置が提供される。さらに、再生缶等の寸法のバラツキが大きいドラム缶であっても自動的に蓋の開閉を行うことのできるドラム缶蓋自動開閉装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドラム缶内容物処理システムの一形態につき、その概要を示す図である。
【図2】本発明における蓋開ステーションの一形態を表す全体正面図である。
【図3】本発明における蓋開ステーションの一形態の平面図および側面図である。
【図4】本発明における蓋開ステーションの一形態につき、ハンドユニットおよび昇降機構部などを表す側面図である。
【図5】本発明における蓋開ステーションの一形態につき、ハンドユニットを表す概略平面図である。
【図6】本発明における蓋閉ステーションの一形態を表す全体正面図である。
【図7】本発明における蓋閉ステーションの一形態につき、ハンドユニットおよび昇降機構部などを表す側面図である。
【図8】本発明における蓋閉ステーションの一形態につき、ハンドユニットの躯体と円環状押し付け板部を示す概略平面図である。
【図9】本発明における搬送のためのパレットを説明する図である。
【図10】蓋およびバンドのドラム缶への取り付け状態の例を表す図である。
【符号の説明】
10 蓋開ステーション
20 充填ステーション
30 蓋閉ステーション
40 位置決めステーション
60 コンベアーライン(ドラム缶搬送手段)
62 コンベアーライン(蓋搬送手段)
64 リフター
65 方向変換部
66 押え金具
70 ドラム缶
72 ボルト
74 ナット
76 締め付けバンド
77 S字環
78 蓋
79 シール部材
80 パレット
81 テーパー部分
82 コンベアー搬送ベース
83 カップリングオス
84 蓋板ホルダー
85 軸受け
86 回転軸
87 S字環間隔保持用爪
88 ネジ機構部
100 ハンドユニット
101 フレーム
110 ナットランナー
120 開閉爪
122 駆動装置
123 押付けシリンダー(空気シリンダー)
130 バンド昇降用フック
132′ 空気シリンダー
132″ 空気シリンダー
140 バンド押付け用板
142 空気シリンダー
150 円環状押し付け板
152 スライドガイド
154 当て板
160 変形拘束板
170 直線ガイド機構部
180 スライド移動駆動装置部
185 ストッパー
190 躯体
200 ハンドユニットスライド機構部
300 ハンドユニッド昇降機構部
310 空気シリンダー
320 空気シリンダー
330 バネ
Claims (5)
- ドラム缶の開口部縁と蓋の周縁部とを挟み込むように巻き回されてなる締め付けバンドの両端部が互いにボルトナットによって締め付けられることにより蓋がドラム缶に固定されたバンド締めドラム缶の蓋を自動的に開閉するドラム缶蓋自動開閉装置であって、a)締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛めた状態で蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離する蓋開動作;蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;および、該保持を解除する蓋保持解除動作を自動的に行う蓋開用ハンドユニットと、該蓋開用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋開用ハンドユニット移動手段とを有する蓋開装置、ならびにb)蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;該保持を解除する蓋保持解除動作;および、蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶に取り付け、該ボルトナットを締め付けて蓋をドラム缶に固定する蓋閉動作を自動的に行う蓋閉用ハンドユニットと、該蓋閉用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋閉用ハンドユニット移動手段とを有する蓋閉装置を備えるドラム缶蓋自動開閉装置を有し、かつ、
蓋と締め付けバンドが分離されたドラム缶を搬送するドラム缶搬送手段;
該ドラム缶搬送手段の途中に設けられた、ドラム缶の内容物を処理する内容物処理手段;
蓋と締め付けバンドとを一体的に搬送する蓋搬送手段;
該ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋開装置が、ドラム缶から一体的に分離された蓋と締め付けバンドとを該蓋搬送手段に移載可能な位置に配された蓋開ステーション;ならびに、
該ドラム缶蓋自動開閉装置の蓋閉装置が、該蓋搬送手段で一体的に搬送された蓋と締め付けバンドとを、該ドラム缶搬送手段で搬送されたドラム缶に移載可能な位置に配された蓋閉ステーション
を有することを特徴とするドラム缶内容物処理システム。 - 該蓋開用ハンドユニットが、
該ボルトナットを弛めおよび締め付けるナットランナー;
該締め付けバンドの両端部の間隔を拡げる開閉爪;
該締め付けバンドの一部に引っ掛かり、蓋および締め付けバンドを昇降させるバンド昇降用フック;
該締め付けバンドおよび蓋を、該バンド昇降用フックに押し付けるバンド押し付け用板;ならびに、
弛められた該締め付けバンドに当接し、締め付けバンドの変形の偏りを抑止する変形拘束板を有し、
該蓋閉用ハンドユニットが、
該ナットランナー;該開閉爪;該バンド昇降用フック;該バンド押し付け用板;該変形拘束板;および、該蓋を閉めるために蓋をドラム缶に押し付ける蓋押し付け手段
を有する請求項1記載のドラム缶内容物処理システム。 - 前記蓋搬送手段が、前記蓋と締め付けバンドとを一体的に載置するためのパレットを備える請求項1または2記載のドラム缶内容物処理システム。
- ドラム缶の開口部縁と蓋の周縁部とを挟み込むように巻き回されてなる締め付けバンドの両端部が互いにボルトナットによって締め付けられることにより蓋がドラム缶に固定されたバンド締めドラム缶の蓋を自動的に開閉するドラム缶蓋自動開閉方法において、
ドラム缶の開口部縁と蓋の周縁部とを挟み込むように巻き回されてなる締め付けバンドの両端部が互いにボルトナットによって締め付けられることにより蓋がドラム缶に固定されたバンド締めドラム缶の蓋を自動的に開閉するドラム缶蓋自動開閉装置であって、a)締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛めた状態で蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離する蓋開動作;蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;および、該保持を解除する蓋保持解除動作を自動的に行う蓋開用ハンドユニットと、該蓋開用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋開用ハンドユニット移動 手段とを有する蓋開装置、ならびにb)蓋と締め付けバンドとを一体的に保持する蓋保持動作;該保持を解除する蓋保持解除動作;および、蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶に取り付け、該ボルトナットを締め付けて蓋をドラム缶に固定する蓋閉動作を自動的に行う蓋閉用ハンドユニットと、該蓋閉用ハンドユニットを自動的に移動させる蓋閉用ハンドユニット移動手段とを有する蓋閉装置を備えるドラム缶蓋自動開閉装置を用い、
蓋を開けるための蓋開ステーションにおいて、前記蓋開用ハンドユニットにより、蓋が固定されたドラム缶の締め付けバンドのボルトナットを取り外すことなく弛め、該蓋を開けて該蓋と締め付けバンドとを一体的にドラム缶から分離し、該蓋と締め付けバンドとを一体的に保持し、前記蓋開用ハンドユニット移動手段により、該蓋開用ハンドユニットを、蓋と締め付けバンドとを一体的に搬送する蓋搬送手段の上に移動させ、該蓋開用ハンドユニットの保持を解除して蓋と締め付けバンドとを一体的に蓋搬送手段に載せ、
該蓋搬送手段により、蓋と締め付けバンドとを一体的に、蓋を閉めるための蓋閉ステーションに搬送し、
蓋と締め付けバンドとが分離された該ドラム缶について内容物処理を行い、次いで該蓋閉ステーションに搬送し、
該蓋閉ステーションにおいて、前記蓋閉用ハンドユニットにより、該一体的に搬送された蓋と締め付けバントとを保持し、前記蓋閉用ハンドユニット移動手段により、該蓋閉用ハンドユニットを、該設置されたドラム缶の上に移動させ、該蓋閉ハンドユニットの保持を解除して蓋と締め付けバンドとを一体的に該ドラム缶に載せ、該蓋閉用ハンドユニットによって該締め付けバンドのボルトナットを締め付けることによりドラム缶に蓋を固定する
ことを特徴とするドラム缶内容物処理方法。 - 該蓋開用ハンドユニットが、
該ボルトナットを弛めおよび締め付けるナットランナー;
該締め付けバンドの両端部の間隔を拡げる開閉爪;
該締め付けバンドの一部に引っ掛かり、蓋および締め付けバンドを昇降させるバンド昇降用フック;
該締め付けバンドおよび蓋を、該バンド昇降用フックに押し付けるバンド押し付け用板;ならびに、
弛められた該締め付けバンドに当接し、締め付けバンドの変形の偏りを抑止する変形拘束板を有し、
該蓋閉用ハンドユニットが、
該ナットランナー;該開閉爪;該バンド昇降用フック;該バンド押し付け用板;該変形拘束板;および、該蓋を閉めるために蓋をドラム缶に押し付ける蓋押し付け手段
を有する請求項4記載のドラム缶内容物処理方法。
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