JP3684961B2 - 防音パネル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音パネル装置に係わり、更に詳しくは表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から騒音の発生原因は種々存在し、防音の必要性が至るところで生じてきている。例えば、室内の一角にモーター等の動力源を有する設備を設置した場合、その空間を床面から天井にわたって間仕切パネルで囲い、騒音のレベルを落とす必要がある。また、広い空間を使用目的が異なる複数の室に区画する場合にも同様に防音性、遮音性は必要になる。
【0003】
従来の間仕切パネルは、鋼鈑からなる表面板と裏面板間をペーパーハニカムで接着した一体構造のものや、周囲に配設した枠体の表裏両面に、鋼鈑の背面に石膏ボード等の無機質板を接着した表面パネルと裏面パネルとを互いに間隔をあけて固定した構造のものが一般的である。
【0004】
しかし、前者の構造の間仕切パネルは、ペーパーハニカムによってある程度は振動の減衰効果はあるが、表面板と裏面板の間で空気層を介して振動が伝達し易いので、真の意味での防音効果に乏しい。また、後者の構造の間仕切パネルは、表面パネルと裏面パネル自体が防音性能を有し、その2重の遮蔽構造によって前者のものより格段に遮音性能に優れてはいるが、表面パネルと裏面パネルの構造が略同じであるので、それらの固有周波数が非常に接近しているため、特定の周波数の音では共鳴現象によって一方のパネルの振動が他方のパネルに伝達され易い。尚、音の発生源は、通常は広範囲の周波数の音を発生しているが、パネルの固有周波数に近い音以外の音も複雑な経路を辿ってある程度は減衰しながら他方のパネルに伝達する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、周囲に配設した枠体の表裏両面に、表面パネルと裏面パネルとを互いに間隔をあけて固定した箱型の基本構造を有するパネル装置であって、この従来の基本構造に本質的な変更を加えることなく、必要最小限の変更によって最大限の防音効果を発揮させることが可能な防音パネル装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、巾木と笠木との間に設けるものであり、枠体の表裏両面に表面パネルと裏面パネルを対向させて配設し、内部に閉じた空間を形成し、前記表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置であって、前記表面パネルは、鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記裏面パネルは、同じく鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記枠体は、下枠体、上枠体及び両側枠体で構成し、前記表面パネルの下部縁板と裏面パネルの下部縁板間及び表面パネルの上部縁板と裏面パネルの上部縁板間に、それぞれ下枠体と上枠体を抱き込むように固着し、また表面パネルの側部縁板と裏面パネルの側部縁板の内側間に側枠体を固着して箱型構造となし、前記表面パネルと裏面パネルの何れか一方の芯材の背面で、横方向にあっては上下中間部、縦方向にあっては左右中間部に、単又は複数の桟部材を略全幅又は略全高にわたって固着するとともに、内部の空間にはロックウールからなる多孔質状の吸音材を充填し、更に少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させた防音パネル装置を構成した。
【0007】
また、本発明は、巾木と笠木との間に設けるものであり、枠体の表裏両面に表面パネルと裏面パネルを対向させて配設し、内部に閉じた空間を形成し、前記表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置であって、前記表面パネルは、鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記裏面パネルは、同じく鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記枠体は、下枠体、上枠体及び両側枠体で構成し、前記表面パネルの下部縁板と裏面パネルの下部縁板間及び表面パネルの上部縁板と裏面パネルの上部縁板間に、それぞれ下枠体と上枠体を抱き込むように固着し、また表面パネルの側部縁板と裏面パネルの側部縁板の内側間に側枠体を固着して箱型構造となし、前記表面パネルと裏面パネルの何れか一方の芯材の背面に、鋼鈑若しくはそれと同等の板部材を略全面に貼着するとともに、内部の空間にはロックウールからなる多孔質状の吸音材を充填し、更に少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させた防音パネル装置を構成した。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る防音パネル装置Pの基本構成を示し、図中符号1は表面パネル、2は裏面パネル、3は枠体、4は桟部材をそれぞれ示し、また符号Fは床面、Sは天井を示している。
【0010】
本発明に係る防音パネル装置Pは、枠体3の表裏両面に剛性を有する表面パネル1と裏面パネル2を対向させて配設し、内部に閉じた空間5を形成し、前記表面パネル1と裏面パネル2の固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させたものである。
【0011】
図1(a)は、前記枠体3は剛性が高い材質及び構造であり、該枠体3に略同一構造の表面パネル1と裏面パネル2の周囲を固着して剛構造の箱体を形成し、内部に空間5を形成し、表面パネル1の背面の上下中間部に、剛性の高い桟部材4を略全幅にわたって固着したものである。また、図1(b)は、前記枠体3は剛性が低い材質及び構造であり、該枠体3に表面パネル1と裏面パネル2の周囲を連結して柔構造の箱体を形成し、内部に空間5を形成し、表面パネル1の背面の上下中間部に、剛性の高い桟部材4を略全幅にわたって固着したものである。
【0012】
これらの構造の防音パネル装置Pにおいて、前記桟部材4が表面パネル1と裏面パネル2の剛性に変化を与えるとともに、重量の変化を与え、もって表面パネル1と裏面パネル2の固有周波数を異ならせたものである。ここで、防音パネル装置Pが図1(a)の剛構造の箱体である場合、全体が構造的に強固になる利点を有するが、音による振動が表裏一方のパネルから枠体3に伝わり、該枠体3を縦振動として伝達して他方のパネルに伝わるので、防音という意味では十分でない。また、防音パネル装置Pが図1(b)の柔構造の箱体である場合、構造的に弱くになる欠点を有するが、枠体3を介する振動伝達が少なくなり、防音という意味では好ましい。
【0013】
尚、剛構造の枠体3は、材質として鋼鈑を用い、前記表面パネル1と裏面パネル2を構成する表面の鋼鈑と溶接して一体化する。また、柔構造の枠体3は、材質として合成樹脂を用い、適宜な連結構造にて前記表面パネル1と裏面パネル2の周囲と連結する。また、柔構造の枠体3では、合成樹脂によって縁切りされた鋼鈑製のものを用いること、あるいは鋼鈑を用いる場合でも部分的に屈曲又は湾曲させて縦振動が伝わり難い構造とする。
【0014】
次に、本発明に係る防音パネル装置Pの全体構造を図2及び図3に基づいて説明する。前記表面パネル1は、鋼鈑からなる表面板6の背面に特殊ロックウール板の芯材7を接着し、前記裏面パネル2は、同じく鋼鈑からなる表面板8の背面に特殊ロックウール板の芯材9を接着した構造である。更に、前記表面パネル1は、前記芯材7よりも周囲に表面板6を延設した下部縁板6A、上部縁板6B及び側部縁板6Cを有し、前記裏面パネル2は、前記芯材9よりも周囲に表面板8を延設した下部縁板8A、上部縁板8B及び側部縁板8Cを有している。また、前記枠体3は、下枠体3A、上枠体3B及び両側枠体3C,3Cで構成している。そして、前記表面パネル1の下部縁板6Aと裏面パネル2の下部縁板8A間及び表面パネル1の上部縁板6Bと裏面パネル2の上部縁板8B間に、それぞれ下枠体3Aと上枠体3Bを抱き込むように固着し、上部縁板6Bには上枠体3Bを同じく抱き込むように固着し、また表面パネル1の側部縁板6Cと裏面パネル2の側部縁板8Cの内側間に側枠体3Cを固着して箱型構造となし、内部の空間5にはロックウールからなる多孔質状の吸音材10を充填している。
【0015】
前記下枠体3Aは、下方開放した断面略コ字形の部材であり、表面側が裏面側よりも下方へ延びている。また、前記上枠体3Bは、クランク状であり、表面側は上向きに延び、裏面側は下向きに延びている。そして、前記側枠体3Cは、断面略凸字形である。
【0016】
また、前記床面Fに沿って高さ調節可能な巾木11を固定し、それと対向する天井Sには笠木12を固定している。前記巾木11の上面にはレール13を突設し、前記下枠体3Aに設けたコロ14が転動可能に載っている。一方、前記笠木12には下向き開放した案内溝15が形成されており、該案内溝15内で前記上枠体3Bに上設したスリ車16が転動可能に支持されている。尚、前記スリ車16は垂直な回転軸17で回転可能であるとともに、回転軸17に沿って下方へスライド移動可能であり、下方移動に対しては圧縮コイルばね18で弾性付勢している。従って、このパネルを巾木11と笠木12間に装着するには、先ずスリ車16を笠木12の案内溝15に挿入し、該スリ車16を圧縮コイルばね18の弾性力に抗して押し込みながら、コロ14をレール13に載せるのである。また、このパネルは巾木11と笠木12に沿って移動させることが可能であるが、前記巾木11と笠木12の平行度が悪かったり、笠木12の内部に該笠木12を天井Sに固定するネジの頭部があっても前記スリ車16は上下動可能であるので容易に通過させることができる。
【0017】
また、防音性を高めるために、前記下枠体3Aの下面側内面には、EPDM製のシール材19を貼り付け、特に前記下枠体3Aの表面側に接するシール材19の表面には、外部から内部へかけて該シール材19を包み込むように軟質合成樹脂シート20を介在させてシール材19が吸音した音を表側へ出さないようにしている。また、前記前記上枠体3Bの上面にも、笠木12とで囲まれる空間内にシール材19を貼り付け、特に上枠体3Bの表面側に接するシール材19の表面には、前記同様に外部から内部へかけて該シール材19を包み込むように軟質合成樹脂シート20を介在させている。更に、前記笠木12の裏面側には前記案内溝15に対応する位置に閉じた遮音空間21を形成し、内部にロックウールからなる吸音材22を充填し、更に下方に延びた垂下部23の前面には裏面パネル2に接するようにEPDM製のシール材19を取付け、前記同様にその表面を軟質合成樹脂シート20で覆っている。また、前記巾木11の内部もロックウールからなる吸音材22を充填している。
【0018】
一方、左右のパネルP,P同士の連結部においては、図3に示すように、断面略H字形の目地材24の中間部の一面にEPDM製のシール材25を積層したものを、両パネルP,P間に挟み込んで防音性能を高めている。ここで、前記側枠体3Cの端面部と、表面パネル1の側部縁板6Cの端面部及び裏面パネル2の側部縁板8Cの端面部との間に縦方向の凹溝26,26が形成されており、表側の両側部縁板8C,8Cに目地材24の一端部が接合し、裏側の凹溝26内に目地材24の他端部が位置し、更に目地材24の中間部に屈曲部27が表側の凹溝26内に位置している。従って、左右のパネルP,P同士の連結部には、視覚的には密閉され、音響的には折れ曲がった複雑な経路が形成され、遮音性を高めている。
【0019】
次に、本発明の具体的な第1実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。本発明は、前述の遮音性の高いパネル装置の簡単な変更で更に遮音性を高めるのである。つまり、本実施形態は、前記表面パネル1の芯材7の背面の上下中間部に略全幅にわたり、桟部材4を固定して、裏面パネル2の固有周波数よりも低くなるようにしている。本実施形態における桟部材4は、断面略コ字形のチャンネル材であるが、断面略L字形のアングル材や角パイプ等、重量があって剛性の高いものであれば採用できる。また、前記桟部材4は、前記表面パネル1の芯材7の背面の左右中間部に略全高にわたり固定しても同様な防音効果を有し、更に横方向と縦方向にクロスして設けても良く、更に、複数本を平行に設けても良い。勿論、前記桟部材4を裏面パネル2に設けても同様な防音効果を有するのである。
【0020】
また、本発明の第2実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。本実施形態は、前記表面パネル1の芯材7の背面に、略全面にわたり鋼鈑28若しくはそれと同等の重量のある板部材を貼着したものである。この場合も、表面パネル1の固有周波数を裏面パネル2の固有周波数よりも低くなるようにしている。勿論、前記鋼鈑28を裏面パネル2の芯材9の背面に貼着しても同様な防音効果を有するのである。
【0021】
最後に、本発明に係る防音パネル装置Pの遮音、防音性能を試験した結果を図8に基づいて説明する。試験は、周波数可変の音源を本発明の防音パネル装置Pで密閉し、音源の直接音とパネルを透過した後の透過音の強度から透過損失を各周波数帯域で測定したものである。ここで、パネルのみの防音性能に調べるためパネル全周囲を粘土で密閉した場合と、実際のパネルの防音性能に調べるため粘土無しの場合において、桟部材4も鋼鈑28もない標準タイプと、桟部材4を設けた横桟タイプと、鋼鈑28を設けた鋼鈑タイプをそれぞれ試験した。図8において、粘土なしの標準タイプは菱形、横桟タイプは黒丸、鋼鈑タイプはバツで示し、粘土ありの標準タイプは白抜き丸、横桟タイプは三角、鋼鈑タイプは四角で示している。この結果、粘土なし、粘土ありの両方で、標準タイプよりも横桟タイプの方が透過損失が大きく、更に横桟タイプよりも鋼鈑タイプの方が少し透過損失が大きいことが判り、表裏のパネル1,2の固有振動数を変えるだけで、遮音性能が有意に改善され、特に160〜600Hzの周波数帯域において顕著であり、本発明の効果が実証できた。また、全体的に粘土なしは粘土ありよりも透過損失が小さく、表裏のパネル1,2と巾木11及び笠木12との隙間や、表裏のパネル1,2の枠体3を伝わって音がかなり漏れることもわかり、特に160〜600Hzの周波数帯域において顕著である。しかし、低周波振動は、床面Fや天井Sを伝わって漏れることも多いので、低周波帯域の結果はあまり参考にはならないが、はっきりしていることは、何もしない標準タイプのパネル装置より、表裏のパネル1,2の固有振動数を変えたタイプ(横桟タイプ、鋼板タイプ)の本発明に係る防音パネル装置に遮音性能は大きく改善できたことである。
【0022】
【発明の効果】
以上にしてなる請求項1に係る本発明の防音パネル装置は、巾木と笠木との間に設けるものであり、枠体の表裏両面に表面パネルと裏面パネルを対向させて配設し、内部に閉じた空間を形成し、前記表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置であって、前記表面パネルは、鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記裏面パネルは、同じく鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記枠体は、下枠体、上枠体及び両側枠体で構成し、前記表面パネルの下部縁板と裏面パネルの下部縁板間及び表面パネルの上部縁板と裏面パネルの上部縁板間に、それぞれ下枠体と上枠体を抱き込むように固着し、また表面パネルの側部縁板と裏面パネルの側部縁板の内側間に側枠体を固着して箱型構造となし、前記表面パネルと裏面パネルの何れか一方の芯材の背面で、横方向にあっては上下中間部、縦方向にあっては左右中間部に、単又は複数の桟部材を略全幅又は略全高にわたって固着するとともに、内部の空間にはロックウールからなる多孔質状の吸音材を充填し、更に少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させたので、表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させることにより、従来のパネルの基本構造に本質的な変更を加えることなく、必要最小限の変更によって最大限の防音、遮音効果を発揮させることができる。また、少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させたことにより、シール材が吸音した音を表側へ出さないようにすることができる。
【0023】
請求項2によれば、巾木と笠木との間に設けるものであり、枠体の表裏両面に表面パネルと裏面パネルを対向させて配設し、内部に閉じた空間を形成し、前記表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置であって、前記表面パネルは、鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記裏面パネルは、同じく鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記枠体は、下枠体、上枠体及び両側枠体で構成し、前記表面パネルの下部縁板と裏面パネルの下部縁板間及び表面パネルの上部縁板と裏面パネルの上部縁板間に、それぞれ下枠体と上枠体を抱き込むように固着し、また表面パネルの側部縁板と裏面パネルの側部縁板の内側間に側枠体を固着して箱型構造となし、前記表面パネルと裏面パネルの何れか一方の芯材の背面に、鋼鈑若しくはそれと同等の板部材を略全面に貼着するとともに、内部の空間にはロックウールからなる多孔質状の吸音材を充填し、更に少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させたので、表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させることにより、従来のパネルの基本構造に本質的な変更を加えることなく、必要最小限の変更によって最大限の防音、遮音効果を発揮させることができる。また、少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させたことにより、シール材が吸音した音を表側へ出さないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る防音パネル装置の概念図であり、(a)は周囲の枠体が剛性の高い箱型剛構造のパネル装置に桟部材を取付けた例、(b)は周囲の枠体が剛性の低い箱型柔構造のパネル装置に桟部材を取付けた例を示している。
【図2】 本発明を適用するパネル装置の縦断側面図である。
【図3】 同じく横断平面図である。
【図4】 本発明の防音パネル装置の第1実施形態を示す防音パネル装置の縦断側面図である。
【図5】 同じく簡略正面図である。
【図6】 本発明の防音パネル装置の第2実施形態を示す防音パネル装置の縦断側面図である。
【図7】 同じく簡略正面図である。
【図8】 本発明の防音パネル装置の防音性能を試験した結果であり、横軸が周波数帯域、縦軸が透過損失のグラフである。
【符号の説明】
P 防音パネル装置 F 床面
S 天井
1 表面パネル 2 裏面パネル
3 枠体 3A 下枠体
3B 上枠体 3C 側枠体
4 桟部材 5 空間
6 表面板 6A 下部縁板
6B 上部縁板 6C 側部縁板
7 芯材 8 表面板
8A 下部縁板 8B 上部縁板
8C 側部縁板 9 芯材
10 吸音材 11 巾木
12 笠木 13 レール
14 コロ 15 案内溝
16 スリ車 17 回転軸
18 圧縮コイルばね 19 シール材
20 軟質合成樹脂シート 21 遮音空間
22 吸音材 23 垂下部
24 目地材 25 シール材
26 凹溝 27 屈曲部
28 鋼鈑

Claims (2)

  1. 巾木と笠木との間に設けるものであり、枠体の表裏両面に表面パネルと裏面パネルを対向させて配設し、内部に閉じた空間を形成し、前記表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置であって、前記表面パネルは、鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記裏面パネルは、同じく鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記枠体は、下枠体、上枠体及び両側枠体で構成し、前記表面パネルの下部縁板と裏面パネルの下部縁板間及び表面パネルの上部縁板と裏面パネルの上部縁板間に、それぞれ下枠体と上枠体を抱き込むように固着し、また表面パネルの側部縁板と裏面パネルの側部縁板の内側間に側枠体を固着して箱型構造となし、前記表面パネルと裏面パネルの何れか一方の芯材の背面で、横方向にあっては上下中間部、縦方向にあっては左右中間部に、単又は複数の桟部材を略全幅又は略全高にわたって固着するとともに、内部の空間にはロックウールからなる多孔質状の吸音材を充填し、更に少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させたことを特徴とする防音パネル装置。
  2. 巾木と笠木との間に設けるものであり、枠体の表裏両面に表面パネルと裏面パネルを対向させて配設し、内部に閉じた空間を形成し、前記表面パネルと裏面パネルの固有周波数を異ならせて共鳴振動を減少させ、表裏に伝達する音の透過損失を向上させてなる防音パネル装置であって、前記表面パネルは、鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記裏面パネルは、同じく鋼鈑からなる表面板の背面に無機質防音材からなる芯材を接着するとともに、前記芯材よりも周囲に表面板を延設した下部縁板、上部縁板及び側部縁板を有し、前記枠体は、下枠体、上枠体及び両側枠体で構成し、前記表面パネルの下部縁板と裏面パネルの下部縁板間及び表面パネルの上部縁板と裏面パネルの上部縁板間に、それぞれ下枠体と上枠体を抱き込むように固着し、また表面パネルの側部縁板と裏面パネルの側部縁板の内側間に側枠体を固着して箱型構造となし、前記表面パネルと裏面パネルの何れか一方の芯材の背面に、鋼鈑若しくはそれと同等の板部材を略全面に貼着するとともに、内部の空間にはロックウールからなる多孔質状の吸音材を充填し、更に少なくとも前記巾木と笠木に接する部分にシール材を貼着するとともに、該シール材の表面に外部から内部へかけて該シール材を包み込むように軟質合成樹脂シートを介在させたことを特徴とする防音パネル装置。
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