JP3684885B2 - 陰極線管 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示装置等に用いられる陰極線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、陰極線管の画像表示部であるパネルの外面に、反射防止・帯電防止を目的とした機能性フィルムを貼付することが一般に行われている。この機能性フィルムを用いた技術として、特開平8−287850号公報には、高屈折率の導電性薄膜と低屈折率の絶縁性薄膜とを交互に有する薄膜層が、蒸着等のドライ工法によりほぼ透明なベースフィルムの上に形成されている機能性フィルムを、パネルの外面に備えたものが開示されている。
【0003】
また、従来は、陰極線管の外光コントラストを向上させるために、パネルの材料に着色剤を含有させる方法、または、機能性フィルムの薄膜層に着色剤を含有させる方法が一般に採用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の外光コントラスト向上技術では、画面の輝度均一性が損なわれるという課題を有していた。
【0005】
第一のパネルの材料に着色剤を含有させる方法では、画面の周辺部と中央部とで輝度差が生じてしまう。これは、通常のパネルでは強度確保のために中央部分に比べて周辺部分の方が厚くなっているため、周辺部の透過率が中央部に比べて低くなる現象があり、パネルが着色されることによってこの現象がより顕著となるためである。
【0006】
また、第二の機能性フィルムの薄膜層に着色剤を含有させる方法では、画面の輝度を滑らかな分布とすることができない。機能性フィルムの薄膜層は非常に薄い薄膜で形成されているため、膜厚の管理自体が難しく、膜厚の不均一が、直接的に画面の透過率および輝度の均一性に悪影響を及ぼす原因となるためである。
【0007】
さらに、従来の技術のように薄膜層の最上層の絶縁性薄膜とその下層である導電性薄膜との抵抗差が大きい場合には、機能性フィルム自体がコンデンサ構造となり、導電性テープ等を用いただけのアース接地では、管面にチャージされた電荷の放出がスムーズに行えず、スパークとなって機能性フィルム上に飛散してしまうため、これを防止するために、最上層を介して導電性テープと下層とを電気的に接続する必要があった。このため、アース接地する際に、ハンダを下層にまで食い込ませてハンダ端子を形成するという方法を取っており、構造が複雑になるといった課題も有していた。
【0008】
本発明は、上記に述べた従来の課題を解決するためになされたものであって、特に反射防止と帯電防止の機能を有する陰極線管において、画面の輝度均一性を高め、かつ、簡単な構造かつ高い生産効率でこの陰極線管を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の陰極線管は、パネルとファンネルとから外囲器が構成され、パネルの外壁に防爆バンドが装着された陰極線管において、パネルの外面に反射防止性および帯電防止性の機能を有する薄膜を備えた基体が貼付され、薄膜が導電酸化金属を含む高屈折率層とその上の有機系材料からなる低屈折率層とを備えており、かつ、薄膜の外表面と防爆バンドとを電気的に接続する導電性テープが貼付されている。
【0014】
このような構成とすることにより、パネル表面にチャージした電荷を即座にアースに放出することができる。
またさらに、本発明の陰極線管は、基体が、着色剤を含有する粘着層を介してパネルの外面に貼付されている。
このような構成とすることにより、パネルや基体の薄膜層に着色を施す必要がなくなり、輝度均一性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の陰極線管は、導電性テープの、基体に貼付された領域のパネルの長辺に沿った方向の長さをL1、防爆バンドに貼付された領域のパネルの長辺に沿った方向の長さをL2としたとき、
L2<L1
である。
【0016】
このような構成とすることにより、導電性テープの面積を小さく抑えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図2に示すように、本実施の形態の陰極線管は、表面に機能性フィルム1が貼付されたパネル2とファンネル3とから外囲器が構成され、パネル2の外壁には、爆縮防止のための防爆バンド4があり、この防爆バンド4がアース接地されている。
【0019】
本発明の陰極線管の機能性フィルム1の断面構造を図1に示す。
基体5であるベースフィルムは厚みが約200μmのほぼ透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、その表面には、UV硬化性樹脂で構成されるハードコート層6を最下層として、高屈折率層7、低屈折率層8の順に、薄膜層9が形成されている。また、基体5の裏面には、粘着層10が形成されている。ここで、それぞれの層の厚みは、ハードコート層6を約5μmとし、高屈折率層7、低屈折率層8は共に、乾燥膜厚をλ/4(550nm時)とし、また粘着層は25μmである。
【0020】
高屈折率層7は、酸化アンチモン等の導電酸化金属粉体を含有した材料で形成されていて、屈折率は1.55、シート抵抗値は5×108Ω/□である。ただし、酸化金属粉体は、混練のあとのヘイズが低く、長期にわたり安定した粉体であれば、特に酸化アンチモンに限ったものではない。
【0021】
また、低屈折率層8は、OPDA(オクタフルオロプロピレンジアクリレート)を主成分とした塗液を用いて形成されていて、この樹脂の屈折率は、1.38、シート抵抗値は5×109Ω/□である。なお、低屈折率層を形成する材料は、指紋等が付着するのを防ぐ防汚層としての機能を有するという利点から、フッ素系材料であることが好ましい。
【0022】
これらのように薄膜層を有機系材料から形成することにより、マイクログラビアコート等の湿式の印刷法で形成し、塗膜の硬化にはUV硬化法を用いることができた。このため、極めて短時間で連続的に製膜することができ、製膜速度が数十m/min.以上と、従来の蒸着もしくはスパッタ法に比べて大幅に速くなった。なお、印刷機には、一般的なフィルム印刷用のものを用いることができ、設備的にも安価なものを使用できる。
【0023】
このようにして構成した機能性フィルムは、図3に示す反射率曲線を有しており、可視光領域である470nm以上の波長領域では、3.0%以下の低い反射率であるため、反射防止効果に優れている。
【0024】
次に、本発明の特徴を最もよく表している粘着層について詳しく説明する。
基体5の裏面の粘着層10は、有機系顔料を含有するアクリル系粘着剤を塗布して形成されている。有機系顔料としては、微細な粒子であって、粘着層のヘイズが少なく可視光全域での透過率の低減量が均一となるという理由から、カーボンブラックを用い、その含有量は、粘着剤全体のうち10〜15%の重量比を占める。
【0025】
このように、粘着層に顔料を含有させることにより、パネルの材料に着色を施すことなく、表示画像の外光コントラストを向上させることができる。従って、パネルを透明度の高い材料で形成することができ、パネルの中央と周辺との透過率差をなるべく小さく抑えることができる。
【0026】
また、膜厚の薄い薄膜層に着色を施す必要もなく、膜厚の管理不足や薄膜表面の傷等による透過率の不均一を回避することができる。
【0027】
なお、粘着層の厚みを25μmとした本実施の形態の接着力について、JISZ0237−1980 8.4項に準拠した剥離試験を行ったところ、90°ピールで初期530g/25mmであった。厚み25μmの粘着層の接着力許容値は、同条件下で初期200g/25mm以上であるため、本実施の形態における接着力は、十分許容されるレベルであるといえる。なお、粘着層の厚みは、25μmに限定されるものではないが、所定の接着力を得るためには20〜30μmの範囲内とすることが好ましい。
【0028】
粘着層はダイコート法等の印刷方式を用いて形成されるが、このときの粘着層の厚み誤差は、±1μm以下の精度に抑えることが好ましい。陰極線管の反射防止の機能を高めるためには、陰極線管のパネル表面での拡散反射率を0.5%以下にする必要があり、このためには機能性フィルムの透過率誤差を±1%以下に抑える必要があるためである。
【0029】
このように構成した機能性フィルムをパネルに貼付した陰極線管の透過率均一性を調べるために比較実験を行った結果を図4に示す。
【0030】
図4は、パネルの中央における透過率を100%とした時の、パネルの中央と周辺との透過率比を表した透過率特性を示しており、曲線11は本発明の一実施例を示す陰極線管の透過率特性、曲線12は比較例とする陰極線管の透過率特性を示している。
【0031】
実施例を示す陰極線管では、上述した機能性フィルムが、カーボンブラックを10重量%含有する粘着層を介してロークリアガラス製パネル(中央での実質透過率76.7%)に貼付されている。パネルの厚みは、中央で13.5mm、周辺で30.0mmであり、また、粘着層の厚みは25μmである。
【0032】
他方、比較例とする陰極線管は、粘着層に着色剤が含有されておらず、ティントガラス製パネル(中央での実質透過率48.9%)が用いられている点では実施例を示す陰極線管と異なるが、それ以外については同じである。
【0033】
実施例を示す曲線11では透過率の周辺の中央に対する透過率が80%であることから、透過率の低下は約20%である。これに対し、比較例を示す曲線12では、透過率の低下が約50%と高い。このことから、本実施の形態に係る陰極線管では、パネルの中央と周辺とでの透過率差を小さく抑えることができることがわかる。
【0034】
次に、上述のように構成された機能性フィルムをパネルの前面に貼付された陰極線管のアース接地について説明する。
【0035】
図5および図6に示すように、パネル2の前面には、機能性フィルム1が貼付されていて、パネル2の長辺側の中央では、第1の導電性テープ13と、第2の導電性テープ14とが機能性フィルム1に貼付されている。ここで、第2の導電性テープ14は、機能性フィルム1から防爆バンド4へ渡って貼付されていて、機能性フィルム1と防爆バンド4とを電気的に接続している。また、第1の導電性テープ13は、パネルの長辺に沿った方向へは第2の導電性テープ14よりも長く、第2の導電性テープ14の上に部分的に重ねられて貼付されている。
【0036】
ここで、それぞれの導線性テープには、導電性粘着剤を塗布したアルミテープを用い、88cm(36インチ)の表示サイズの陰極線管用として、第2の導電性テープを、幅25mm×長さ40mmとし、その幅方向がパネルの長辺に沿うように、且つ長さのうち5mmが機能性フィルム上に載るように貼付した。また、第1の導電性テープを、幅8mm×長さ200mmとし、その長手方向がパネルの長辺に沿うように、かつ幅のうち5mmが機能性フィルム上に載るように貼付した。
【0037】
なお、第1の導電性テープの長さを決定するに当たって、第1の導電性テープの長さL1とシート抵抗値の値によって、陰極線管のスイッチング時に電荷スパークが発生する限界のあることがわかった。図7は、第1の導電性テープの長さとシート抵抗値を変化させ電荷のスパーク発生限界を調べた結果を示したものである。グラフより下側の領域A内であればスパークの発生は見られず、例えば、同じシート抵抗値であれば第1の導電性テープを長くするほど、スパークが発生しにくいことを示している。
【0038】
本実施の形態に係る陰極線管のパネル表面(機能性フィルムをパネルに添付した状態での機能性フィルムの上面)でのシート抵抗値を測定すると、2×109Ω/□であったため、第1の導電性テープの長さL1は、140mm程度を必要とすることがわかる。また、パネル表面でのシート抵抗値が比較的低い場合であっても、第1の導電性テープの長さL1は、最低20mm程度は必要であることがわかる。
【0039】
本実施の形態に係る陰極線管のパネル表面でのシート抵抗値は、2×109Ω/□であったが、量産した場合にはシート抵抗値がばらつくことを考慮し、ばらつきのある場合でも十分スパーク発生を回避できるように、本実施の形態では、最適な値として、第1の導電性テープの長さL1を200mmとした。
【0040】
このように、第1の導電性テープの長さを規定することにより、容易な構成で、スパークの発生を防止することができる。
【0041】
また、パネルの長辺に沿った方向で、第1の導電性テープの長さL1に対して、第2の導電性テープの長さL2を短く設定した。
【0042】
このようにすることにより、導電性テープが機能性シートと防爆バンドとに渡る部分の面積を少なくすることができるため、第2の導電性テープを折り曲げて貼付する作業が容易になり、生産性が向上する。
【0043】
なお、以上の本実施の形態においては、粘着層に含有される着色剤として顔料を用いたものを説明したが、微細な粒子であって、粘着層においてのヘイズを少なくする性質を有していれば、特に顔料に限ったものではない。他の着色剤としては、例えばアゾ系の黒色染料などを用いることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、PETフィルムを基体とする機能性フィルムを説明したが、透明で透過光の散乱が少なくヘイズが10%以下のものであれば、基体の材料を特にPETに限定するものではなく、たとえばポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリアクリロニトリル、トリアセチルセルロース等も使用が可能である。また、フィルム状の基体に限ったものではなく、薄板状のガラス等からなる基体であっても本発明は適用されるものである。さらに、基体の厚みも約200μmに限定するものではなく、貼付作業面で特に問題がなければ数μm〜数百μmの厚みのものを使用することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態では薄膜層に反射防止性および帯電防止性の機能を持たせたものについて説明しているが、本発明は、薄膜層に衝撃吸収性などの他の機能を持たせたものについても適用することができる。また、薄膜の形成方法として、マイクログラビアコートのみならず、フィルム上に一定の厚みを精度良く塗布できるものであれば2本リバースコート、3本リバースコート、ダイコート等の他の印刷方法を用いてもよい。さらに、印刷法に限らず蒸着法等を用いても薄膜の形成を行えることは言うまでもない。
【0046】
また、本実施の形態では、第1および第2の導電性テープとしてアルミテープを用いたが、導電性を有するものであれば、銅箔テープ、エンボステープ、ニッケルテープであっても同様の作用を奏する。
【0047】
さらに、本実施の形態では、導電性テープとして、パネルの長辺に沿った方向の長さが異なる2種類のテープ(第1の導電性テープ、第2の導電性テープ)を、第1の導電性テープが第2の導電性テープの上に重なるように貼付したが、これに限ったものではなく、第2の導電性テープが第1の導電性テープの上に重なるように添付されていてもよい。また、導電性テープが2種類ではなく一枚のテープであって、機能性フィルムに貼付されている部分と防爆バンドに貼付されている部分とで長さが異なるものであっても、同様の作用を得られる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、簡単な構成および高い生産性で、安定したアース接地のできる陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る陰極線管の機能性フィルムを示す部分拡大断面図
【図2】本発明に係る陰極線管の側断面図
【図3】本発明に係る陰極線管の機能性フィルムの反射率を示す図
【図4】本発明に係る陰極線管の透過率均一性を示す図
【図5】本発明に係る陰極線管の前面図
【図6】本発明に係る陰極線管のパネルの部分断面図
【図7】第1の導電性テープの長さと表面のシート抵抗値を変化させた時のスパーク発生限界を示す図
【符号の説明】
2 パネル
3 ファンネル
5 基体
9 薄膜層
10 粘着層
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示装置等に用いられる陰極線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、陰極線管の画像表示部であるパネルの外面に、反射防止・帯電防止を目的とした機能性フィルムを貼付することが一般に行われている。この機能性フィルムを用いた技術として、特開平8−287850号公報には、高屈折率の導電性薄膜と低屈折率の絶縁性薄膜とを交互に有する薄膜層が、蒸着等のドライ工法によりほぼ透明なベースフィルムの上に形成されている機能性フィルムを、パネルの外面に備えたものが開示されている。
【0003】
また、従来は、陰極線管の外光コントラストを向上させるために、パネルの材料に着色剤を含有させる方法、または、機能性フィルムの薄膜層に着色剤を含有させる方法が一般に採用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の外光コントラスト向上技術では、画面の輝度均一性が損なわれるという課題を有していた。
【0005】
第一のパネルの材料に着色剤を含有させる方法では、画面の周辺部と中央部とで輝度差が生じてしまう。これは、通常のパネルでは強度確保のために中央部分に比べて周辺部分の方が厚くなっているため、周辺部の透過率が中央部に比べて低くなる現象があり、パネルが着色されることによってこの現象がより顕著となるためである。
【0006】
また、第二の機能性フィルムの薄膜層に着色剤を含有させる方法では、画面の輝度を滑らかな分布とすることができない。機能性フィルムの薄膜層は非常に薄い薄膜で形成されているため、膜厚の管理自体が難しく、膜厚の不均一が、直接的に画面の透過率および輝度の均一性に悪影響を及ぼす原因となるためである。
【0007】
さらに、従来の技術のように薄膜層の最上層の絶縁性薄膜とその下層である導電性薄膜との抵抗差が大きい場合には、機能性フィルム自体がコンデンサ構造となり、導電性テープ等を用いただけのアース接地では、管面にチャージされた電荷の放出がスムーズに行えず、スパークとなって機能性フィルム上に飛散してしまうため、これを防止するために、最上層を介して導電性テープと下層とを電気的に接続する必要があった。このため、アース接地する際に、ハンダを下層にまで食い込ませてハンダ端子を形成するという方法を取っており、構造が複雑になるといった課題も有していた。
【0008】
本発明は、上記に述べた従来の課題を解決するためになされたものであって、特に反射防止と帯電防止の機能を有する陰極線管において、画面の輝度均一性を高め、かつ、簡単な構造かつ高い生産効率でこの陰極線管を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の陰極線管は、パネルとファンネルとから外囲器が構成され、パネルの外壁に防爆バンドが装着された陰極線管において、パネルの外面に反射防止性および帯電防止性の機能を有する薄膜を備えた基体が貼付され、薄膜が導電酸化金属を含む高屈折率層とその上の有機系材料からなる低屈折率層とを備えており、かつ、薄膜の外表面と防爆バンドとを電気的に接続する導電性テープが貼付されている。
【0014】
このような構成とすることにより、パネル表面にチャージした電荷を即座にアースに放出することができる。
またさらに、本発明の陰極線管は、基体が、着色剤を含有する粘着層を介してパネルの外面に貼付されている。
このような構成とすることにより、パネルや基体の薄膜層に着色を施す必要がなくなり、輝度均一性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の陰極線管は、導電性テープの、基体に貼付された領域のパネルの長辺に沿った方向の長さをL1、防爆バンドに貼付された領域のパネルの長辺に沿った方向の長さをL2としたとき、
L2<L1
である。
【0016】
このような構成とすることにより、導電性テープの面積を小さく抑えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図2に示すように、本実施の形態の陰極線管は、表面に機能性フィルム1が貼付されたパネル2とファンネル3とから外囲器が構成され、パネル2の外壁には、爆縮防止のための防爆バンド4があり、この防爆バンド4がアース接地されている。
【0019】
本発明の陰極線管の機能性フィルム1の断面構造を図1に示す。
基体5であるベースフィルムは厚みが約200μmのほぼ透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、その表面には、UV硬化性樹脂で構成されるハードコート層6を最下層として、高屈折率層7、低屈折率層8の順に、薄膜層9が形成されている。また、基体5の裏面には、粘着層10が形成されている。ここで、それぞれの層の厚みは、ハードコート層6を約5μmとし、高屈折率層7、低屈折率層8は共に、乾燥膜厚をλ/4(550nm時)とし、また粘着層は25μmである。
【0020】
高屈折率層7は、酸化アンチモン等の導電酸化金属粉体を含有した材料で形成されていて、屈折率は1.55、シート抵抗値は5×108Ω/□である。ただし、酸化金属粉体は、混練のあとのヘイズが低く、長期にわたり安定した粉体であれば、特に酸化アンチモンに限ったものではない。
【0021】
また、低屈折率層8は、OPDA(オクタフルオロプロピレンジアクリレート)を主成分とした塗液を用いて形成されていて、この樹脂の屈折率は、1.38、シート抵抗値は5×109Ω/□である。なお、低屈折率層を形成する材料は、指紋等が付着するのを防ぐ防汚層としての機能を有するという利点から、フッ素系材料であることが好ましい。
【0022】
これらのように薄膜層を有機系材料から形成することにより、マイクログラビアコート等の湿式の印刷法で形成し、塗膜の硬化にはUV硬化法を用いることができた。このため、極めて短時間で連続的に製膜することができ、製膜速度が数十m/min.以上と、従来の蒸着もしくはスパッタ法に比べて大幅に速くなった。なお、印刷機には、一般的なフィルム印刷用のものを用いることができ、設備的にも安価なものを使用できる。
【0023】
このようにして構成した機能性フィルムは、図3に示す反射率曲線を有しており、可視光領域である470nm以上の波長領域では、3.0%以下の低い反射率であるため、反射防止効果に優れている。
【0024】
次に、本発明の特徴を最もよく表している粘着層について詳しく説明する。
基体5の裏面の粘着層10は、有機系顔料を含有するアクリル系粘着剤を塗布して形成されている。有機系顔料としては、微細な粒子であって、粘着層のヘイズが少なく可視光全域での透過率の低減量が均一となるという理由から、カーボンブラックを用い、その含有量は、粘着剤全体のうち10〜15%の重量比を占める。
【0025】
このように、粘着層に顔料を含有させることにより、パネルの材料に着色を施すことなく、表示画像の外光コントラストを向上させることができる。従って、パネルを透明度の高い材料で形成することができ、パネルの中央と周辺との透過率差をなるべく小さく抑えることができる。
【0026】
また、膜厚の薄い薄膜層に着色を施す必要もなく、膜厚の管理不足や薄膜表面の傷等による透過率の不均一を回避することができる。
【0027】
なお、粘着層の厚みを25μmとした本実施の形態の接着力について、JISZ0237−1980 8.4項に準拠した剥離試験を行ったところ、90°ピールで初期530g/25mmであった。厚み25μmの粘着層の接着力許容値は、同条件下で初期200g/25mm以上であるため、本実施の形態における接着力は、十分許容されるレベルであるといえる。なお、粘着層の厚みは、25μmに限定されるものではないが、所定の接着力を得るためには20〜30μmの範囲内とすることが好ましい。
【0028】
粘着層はダイコート法等の印刷方式を用いて形成されるが、このときの粘着層の厚み誤差は、±1μm以下の精度に抑えることが好ましい。陰極線管の反射防止の機能を高めるためには、陰極線管のパネル表面での拡散反射率を0.5%以下にする必要があり、このためには機能性フィルムの透過率誤差を±1%以下に抑える必要があるためである。
【0029】
このように構成した機能性フィルムをパネルに貼付した陰極線管の透過率均一性を調べるために比較実験を行った結果を図4に示す。
【0030】
図4は、パネルの中央における透過率を100%とした時の、パネルの中央と周辺との透過率比を表した透過率特性を示しており、曲線11は本発明の一実施例を示す陰極線管の透過率特性、曲線12は比較例とする陰極線管の透過率特性を示している。
【0031】
実施例を示す陰極線管では、上述した機能性フィルムが、カーボンブラックを10重量%含有する粘着層を介してロークリアガラス製パネル(中央での実質透過率76.7%)に貼付されている。パネルの厚みは、中央で13.5mm、周辺で30.0mmであり、また、粘着層の厚みは25μmである。
【0032】
他方、比較例とする陰極線管は、粘着層に着色剤が含有されておらず、ティントガラス製パネル(中央での実質透過率48.9%)が用いられている点では実施例を示す陰極線管と異なるが、それ以外については同じである。
【0033】
実施例を示す曲線11では透過率の周辺の中央に対する透過率が80%であることから、透過率の低下は約20%である。これに対し、比較例を示す曲線12では、透過率の低下が約50%と高い。このことから、本実施の形態に係る陰極線管では、パネルの中央と周辺とでの透過率差を小さく抑えることができることがわかる。
【0034】
次に、上述のように構成された機能性フィルムをパネルの前面に貼付された陰極線管のアース接地について説明する。
【0035】
図5および図6に示すように、パネル2の前面には、機能性フィルム1が貼付されていて、パネル2の長辺側の中央では、第1の導電性テープ13と、第2の導電性テープ14とが機能性フィルム1に貼付されている。ここで、第2の導電性テープ14は、機能性フィルム1から防爆バンド4へ渡って貼付されていて、機能性フィルム1と防爆バンド4とを電気的に接続している。また、第1の導電性テープ13は、パネルの長辺に沿った方向へは第2の導電性テープ14よりも長く、第2の導電性テープ14の上に部分的に重ねられて貼付されている。
【0036】
ここで、それぞれの導線性テープには、導電性粘着剤を塗布したアルミテープを用い、88cm(36インチ)の表示サイズの陰極線管用として、第2の導電性テープを、幅25mm×長さ40mmとし、その幅方向がパネルの長辺に沿うように、且つ長さのうち5mmが機能性フィルム上に載るように貼付した。また、第1の導電性テープを、幅8mm×長さ200mmとし、その長手方向がパネルの長辺に沿うように、かつ幅のうち5mmが機能性フィルム上に載るように貼付した。
【0037】
なお、第1の導電性テープの長さを決定するに当たって、第1の導電性テープの長さL1とシート抵抗値の値によって、陰極線管のスイッチング時に電荷スパークが発生する限界のあることがわかった。図7は、第1の導電性テープの長さとシート抵抗値を変化させ電荷のスパーク発生限界を調べた結果を示したものである。グラフより下側の領域A内であればスパークの発生は見られず、例えば、同じシート抵抗値であれば第1の導電性テープを長くするほど、スパークが発生しにくいことを示している。
【0038】
本実施の形態に係る陰極線管のパネル表面(機能性フィルムをパネルに添付した状態での機能性フィルムの上面)でのシート抵抗値を測定すると、2×109Ω/□であったため、第1の導電性テープの長さL1は、140mm程度を必要とすることがわかる。また、パネル表面でのシート抵抗値が比較的低い場合であっても、第1の導電性テープの長さL1は、最低20mm程度は必要であることがわかる。
【0039】
本実施の形態に係る陰極線管のパネル表面でのシート抵抗値は、2×109Ω/□であったが、量産した場合にはシート抵抗値がばらつくことを考慮し、ばらつきのある場合でも十分スパーク発生を回避できるように、本実施の形態では、最適な値として、第1の導電性テープの長さL1を200mmとした。
【0040】
このように、第1の導電性テープの長さを規定することにより、容易な構成で、スパークの発生を防止することができる。
【0041】
また、パネルの長辺に沿った方向で、第1の導電性テープの長さL1に対して、第2の導電性テープの長さL2を短く設定した。
【0042】
このようにすることにより、導電性テープが機能性シートと防爆バンドとに渡る部分の面積を少なくすることができるため、第2の導電性テープを折り曲げて貼付する作業が容易になり、生産性が向上する。
【0043】
なお、以上の本実施の形態においては、粘着層に含有される着色剤として顔料を用いたものを説明したが、微細な粒子であって、粘着層においてのヘイズを少なくする性質を有していれば、特に顔料に限ったものではない。他の着色剤としては、例えばアゾ系の黒色染料などを用いることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、PETフィルムを基体とする機能性フィルムを説明したが、透明で透過光の散乱が少なくヘイズが10%以下のものであれば、基体の材料を特にPETに限定するものではなく、たとえばポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリアクリロニトリル、トリアセチルセルロース等も使用が可能である。また、フィルム状の基体に限ったものではなく、薄板状のガラス等からなる基体であっても本発明は適用されるものである。さらに、基体の厚みも約200μmに限定するものではなく、貼付作業面で特に問題がなければ数μm〜数百μmの厚みのものを使用することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態では薄膜層に反射防止性および帯電防止性の機能を持たせたものについて説明しているが、本発明は、薄膜層に衝撃吸収性などの他の機能を持たせたものについても適用することができる。また、薄膜の形成方法として、マイクログラビアコートのみならず、フィルム上に一定の厚みを精度良く塗布できるものであれば2本リバースコート、3本リバースコート、ダイコート等の他の印刷方法を用いてもよい。さらに、印刷法に限らず蒸着法等を用いても薄膜の形成を行えることは言うまでもない。
【0046】
また、本実施の形態では、第1および第2の導電性テープとしてアルミテープを用いたが、導電性を有するものであれば、銅箔テープ、エンボステープ、ニッケルテープであっても同様の作用を奏する。
【0047】
さらに、本実施の形態では、導電性テープとして、パネルの長辺に沿った方向の長さが異なる2種類のテープ(第1の導電性テープ、第2の導電性テープ)を、第1の導電性テープが第2の導電性テープの上に重なるように貼付したが、これに限ったものではなく、第2の導電性テープが第1の導電性テープの上に重なるように添付されていてもよい。また、導電性テープが2種類ではなく一枚のテープであって、機能性フィルムに貼付されている部分と防爆バンドに貼付されている部分とで長さが異なるものであっても、同様の作用を得られる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、簡単な構成および高い生産性で、安定したアース接地のできる陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る陰極線管の機能性フィルムを示す部分拡大断面図
【図2】本発明に係る陰極線管の側断面図
【図3】本発明に係る陰極線管の機能性フィルムの反射率を示す図
【図4】本発明に係る陰極線管の透過率均一性を示す図
【図5】本発明に係る陰極線管の前面図
【図6】本発明に係る陰極線管のパネルの部分断面図
【図7】第1の導電性テープの長さと表面のシート抵抗値を変化させた時のスパーク発生限界を示す図
【符号の説明】
2 パネル
3 ファンネル
5 基体
9 薄膜層
10 粘着層
Claims (3)
- パネルとファンネルとから外囲器が構成され、前記パネルの外壁に防爆バンドが装着された陰極線管において、前記パネルの外面に反射防止性および帯電防止性の機能を有する薄膜を備えた基体が貼付され、前記薄膜が導電酸化金属を含む高屈折率層とその上の有機系材料からなる低屈折率層とを備えており、かつ、前記薄膜の外表面と前記防爆バンドとを電気的に接続する導電性テープが貼付されていることを特徴とする陰極線管。
- 前記基体が、着色剤を含有する粘着層を介して前記パネルの外面に貼付されている請求項1記載の陰極線管。
- 前記導電性テープの、前記基体上の前記薄膜に貼付された領域の前記パネルの長辺に沿った方向の長さをL1、前記防爆バンドに貼付された領域の前記パネルの長辺に沿った方向の長さをL2としたとき、
L2<L1
である請求項1または2記載の陰極線管。
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