JP3683960B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置に関し、特にそのピント合わせ(焦点調節)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀塩カメラにおけるオートフォーカス(自動焦点調節)技術にいわゆる位相差検知方式がある。図7はこの位相差検知方式の原理を示す図である。同図において、101は撮影レンズ、102は前記撮影レンズ101の絞り位置を示しており、103は前記撮影レンズ101の結像面である。また105は撮影光束を示し、105aは絞り位置102の領域102aを通過した光束、また105bは絞り位置102の領域102bを通過した光束を示している。この図からわかるように、被写体が撮影レンズ101によって結像面103に合焦しているときは、撮影レンズ101の絞り位置の領域102a,102bを通過する光束は結像面103で一致する。しかし、結像面103に対して103aの位置では、撮影レンズ101の絞り位置の領域102a,102bを通過する光束は結像面103aでは一致せず、撮影レンズ101の絞り位置の領域102a,102b間の距離と、結像面103と103aの距離に応じて対応点位置にずれが生じてしまう。位相差検知方式はこの原理を利用して撮影レンズのピントずれ量を検知するものである。
【0003】
一方、ビデオカメラでは撮像素子から出力された映像信号から高周波成分を取り出して、その高周波成分が最大値となるように撮影レンズの合焦位置を変化させていく、いわゆる山登り方式が主流である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、ピント合わせのための専用のセンサを必要とせず、素早いピント合わせのできる撮像装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、撮像装置をつぎの(1)、(2)のとおりに構成する。
(1)被写体像を形成する撮影光学系と、この撮影光学系によって形成された被写体像を電気的な信号に変換する撮像素子と、この撮像素子によって得られた電気的な信号から所要の映像信号を生成する信号処理手段とを備えた撮像装置であって、前記撮影光学系の撮影光束を少なくとも2つの領域に時系列的に分割する瞳分割手段と、この瞳分割手段によって分割されたそれぞれ異なる領域を通過する撮影光束によって結像された光学像を前記撮像素子が変換することにより得られた電気的な信号から前記撮影光学系のピントずれ量を演算するピント演算手段とを備え、前記瞳分割手段は、同心円上に眼鏡状の2つの穴を開けた第1の遮光板と、該第1の遮光板の2つの穴を個別に遮光する第2の遮光板とを有し、前記第1の遮光板が前記同心円の中心を軸にして前記2つの穴が前記撮影光学系の光路内に挿脱可能に回動する構成を有している撮像装置。
(2)前記(1)に記載の撮像装置において、
前記第1の遮光板が所定位置まで回動するように付勢する弾性部材と、前記第1の遮光板を前記弾性部材の付勢に抗して回動するアクチュエータとを備えた撮像装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を電子スチルカメラの実施例により詳しく説明する。なお本発明は、電子スチルカメラに限定されるものではなく、ビデオカメラ等、被写体像を電気信号に変換する撮像素子を有する適宜の形式の撮像装置で実施することができる。
【0011】
また、実施例は自動合焦を行うものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、手動で合焦を行う際に合焦点を指示する形いわゆるフォーカスエイドの形で実施することもできる。
【0012】
【実施例】
(第1の実施例)
図1は本発明を実施した“電子スチルカメラ”の第1の実施例を示すブロック図である。同図において、1は撮影レンズで、1aは撮影レンズ1の合焦位置を変更するためのピントレンズ(フォーカスレンズともいう)である。2は撮影レンズ1の絞り位置に設けられた絞り羽根(請求項の遮光板に相当)で、開口径の異なる数種類の絞り穴と絞り開口径を水平方向に二等分するための眼鏡状の穴2a,2bが設けられ、これらの絞り穴は同心円上に設けてあり、モータ3により該絞り羽根2が前記同心円の中心に回動することによってそれぞれの絞り穴が撮影レンズ1の光束中に挿脱可能となっている。
【0013】
4は前記眼鏡状の穴2a,2bの一方を交互に遮光する遮光羽根で、モータ5によって回動可能になっている。6は撮影レンズ1によって結像された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子である。7は操作されることによりレリーズ信号を発するレリーズボタンである。8は前記撮像素子6の出力信号から被写体の明るさを測光する測光手段である。9は前記撮像素子6の出力信号からピントずれ量を演算する測距手段である。10は前記測距手段9で得られたピントずれ量に応じて前記ピントレンズ1aを移動させるレンズ移動手段である。11は撮像素子6で得られた信号を所定の映像信号に変換する信号処理部である。13は前記信号処理部11で得られた映像信号を記憶するメモリである。14は電子スチルカメラ全体を制御するシステムコントローラである。
【0014】
次に動作を説明する。図2は図1の電子スチルカメラの動作を示すフローチャートである。なお、特に断らない限り動作は全てシステムコントローラ14が行うものとする。同図において、まず電子スチルカメラの図示しない電源が投入されると(S101)、撮影待機状態となる(S102)。
【0015】
ここで図3は絞り羽根2と遮光羽根4の動作状態を示す図で、同図において、点線で示した円Aは図1の撮影レンズ1の撮影光束である。そして電源投入時には絞り羽根2と遮光羽根4の位置関係は図3(a)の状態、即ち絞り羽根2の前記眼鏡状の穴2a,2bは撮影レンズ1の光束位置にあり、前記遮光羽根4は前記眼鏡状の穴2aを遮光している。図2に戻って、S102でレリーズボタン7が操作されレリーズ信号が発せられると、測光手段8により被写体の明るさが測定され、撮影時の絞り値および露光時間が設定される(S103)。次に被写体の明るさに応じて撮像素子6に所定時間の露光を行い、撮像素子6の撮像面の所定エリアの信号を読み出し、第一測距信号として前記測距手段9に出力する(S104)。
【0016】
次に遮光羽根4はモータ5によって駆動され、図3(b)のように絞り羽根2の前記眼鏡状の穴2bを遮光する(S105)。この後、再び撮像素子6に所定時間の露光が行われ、所定エリアの信号を読み出し、第二測距信号として前記測距手段9に出力する(S106)。測距手段9では第一及び第二測距信号が得られるとそれぞれの信号の相関を求め、それぞれの信号の位相差を求め、その位相差から撮影レンズ1のピントのずれ方向およびずれ量を演算する(S107)。
【0017】
そして測距手段9で演算されたピントずれ量が所定範囲内であるか否かの判定を行い(S108)、前記ピントずれ量が所定範囲外であった場合はレンズ移動手段10は測距手段9によって求められたピントずれ方向およびずれ量に応じてピントレンズ1aを移動させる(S109)。なおS108で撮影レンズ1のピントのずれ量が許容量以内であった場合は直ちにS110に移行する。
【0018】
またピントレンズ1aの移動後はS104からS109の動作を測距手段9によって求められたピントのずれ量が許容量以内になるまで繰り返す。ピントずれ量が許容範囲以内になった場合は絞り羽根2はモータ3によって回動され、S103で定められた絞り値に設定される(S110)。また同時に遮光羽根4はモータ5によって駆動され、図3(c)のように撮影光束Aから脱出する(S111)。但しS103で定められた絞り値の径が前記眼鏡状の絞り穴2a,2bと同一の径であった場合は、図3(d)のように前記眼鏡状の穴2a,2bの一方を遮光羽根で覆った状態で他方の絞り穴を撮影光学系の光束中心に移動させる。これにより視差のない映像が得られる。
【0019】
そして撮像素子6はS103で定められた露光時間が撮影を行い(S112)、撮像素子6に蓄積された電荷信号は読み出され、信号処理部11で所要形式の映像信号に変換された後、メモリ13に記憶される(S113)。以上で1回の撮影動作を終了する。
【0020】
以上説明したように、本実施例によれば、被写体へのピント合わせのための専用のセンサを必要とせず、素早いピント合わせができる。また撮影時に視差のない映像が得られる。また瞳分割が2つの穴により正確にできるので、測距をより正確に行うことができる。
【0021】
(第2の実施例)
図4は本発明を実施した“電子スチルカメラ”の第2の実施例を示す図である。なお第1の実施例と同じ機能を有するものは同一の番号を振ってあり説明も省略する。同図において、20は撮影レンズ1の絞り位置に設けられた絞り羽根で、開口径の異なる数種類の絞り穴が同心円上に設けており、モータ3により該絞り羽根20が前記同心円の中心に回動することによってそれぞれの絞り穴が撮影レンズ1の光束中に挿入可能となっている。
【0022】
次に動作を説明する。図5は図4の電子スチルカメラの動作を示すフローチャートである。なお、特に断らない限り動作は全てシステムコントローラ14が行うものとする。同図において、まず電子スチルカメラの図示しない電源が投入されると(S201)、撮影待機状態となる(S202)。S202でレリーズボタン7が操作されレリーズ信号が発せられると、測光手段8により被写体の明るさが測定され、撮影時の絞り値および露光時間が設定される(S203)。そしてその絞り値に応じた絞り穴が撮影光学系1の光束内に挿入されるよう、絞り羽根20がモータ3によって駆動される(S204)。
【0023】
ここで図6はこのときの絞り羽根20と撮影レンズ1の光束との関係を示す図で、同図において点線で示した円Aは図1の撮影レンズ1の撮影光束である。図6(a)はこのときの状態を示した図で、絞り羽根20はS203で決定された絞り値に応じた絞り穴20aが、撮影レンズ1の光束Aの中心に対して所定量偏心した位置にある。図5に戻って、次に被写体の明るさに応じて撮像素子6に所定時間の露光を行い、所定エリアの信号を読み出し、第一測距信号として前記測距手段9に出力する(S204)。
【0024】
次に絞り羽根20はモータ3によって駆動され、図6(b)のように絞り羽根20の絞り穴20aを図6(a)の位置から撮影レンズ1の光束中心に対して対称な位置に移動させる(S205)。この後、再び撮像素子6に所定時間の露光が行われ、所定エリアの信号を読み出し、第二測距信号として前記測距手段9に出力する(S206)。
【0025】
測距手段9では第一及び第二測距信号が得られるとそれぞれの信号の相関を求め、それぞれの信号の位相差を求め、その位相差から撮影レンズ1のピントのずれ方向およびずれ量を演算する(S207)。そして測距手段9で演算されたピントずれ量が所定範囲内であるか否かの判定を行い(S208)、前記ピントずれ量が所定範囲外であった場合はレンズ移動手段10は測距手段9によって求められたピントずれ方向およびずれ量に応じてピントレンズ1aを移動させる(S209)。なおS208で撮影レンズ1のピントのずれ量が許容量以内であった場合は直ちにS210に移行する。またピントレンズ1aの移動後はS204からS209の動作を測距手段9によって求められたピントのずれ量が許容量以内になるまで繰り返す。
【0026】
S208でピントずれ量が許容範囲以内になった場合は、絞り羽根2はモータ3によって回動され、図6(c)に示すように撮影レンズ1の光束中心と絞り穴20aの中心が一致する位置に移動される(S210)。そして撮像素子6はS203で定められた露光時間で撮影を行い(S211)、撮像素子6に蓄積された電荷信号は読み出され、信号処理部11で所要形式の映像信号に変換された後、メモリ13に記憶される(S212)。以上で1回の撮影動作を終了する。
【0027】
なおS203で定められた絞り値の径が撮影レンズ1の開放径の半分より大きい場合はS204およびS206の測距動作で用いられる絞り径は撮影レンズ1の開放径の半分より小さいものの中でもっとも大きい径のものが選択される。このときの撮像素子6への露光量の不足分は露光時間を伸ばすことで補正されるものとする。このときS211ではS203で定められた絞り値に応じた絞り径が選択されることはいうまでもない。
【0028】
以上説明したように、本実施例によれば、第1の実施例と同様の効果が得られ、更に、測距時においても被写体光の明るさに応じて絞り径を選択することができるのでより広範囲の明るさの被写体に対して測距ができる。
【0029】
(第3の実施例)
図8は本発明の第3の実施例での“電子スチルカメラ”の瞳分割手段の要部の構成を示す図である。同図において、30は撮影光路であるところの撮影用の絞りの開口である。なお、不図示であるが絞りはターレット式であってもよいし、複数の遮光可能な羽根を重ねて開口を形成する方式であってもよい。31は瞳を分割するところの瞳分割板である。31aは瞳分割板31に設けられた分割された瞳の1つである。31bも同じく瞳の1つである。32は瞳分割板31の回転中心であるところの軸である。瞳分割板31はこの軸32を回動中心として回動自在に支持されている。33は付勢バネであり、本実施例の場合、瞳分割板31を撮影光路中に挿入する方向に付勢している。34は付勢されている瞳分割板31を突き当てて保持するためのストッパである。
【0030】
35は瞳31aまたは31bを交互に遮光するための遮光羽根である。36は遮光羽根35を駆動するためのステッピングモータである。37は撮影時に瞳分割板31を退避させるための爪である。
【0031】
まず、ステッピングモータ36は遮光羽根35を軸32を中心として回動し、図8(a)と(b)のように分割された瞳31a,31bを交互に遮光する。このようにして得られた位相差情報によりオートフォーカスを行う。そして、撮影時にはステッピングモータ36によって遮光羽根を図中で反時計回りに所定ステップだけ回転させる。このとき爪37が瞳分割板31に係合し、これによって瞳分割板31も同時に反時計回りに回動し、開口30が撮影光路中に現れ、撮影可能となる。また瞳分割板31,遮光羽根35は図8(c)のように撮影中ステッピングモータ36の力で保持される。
【0032】
撮影後は直ちにステッピングモータ36による保持を中止し、図8(a)の状態に戻るので、撮影が行われるごく短い時間を除いては瞳分割板31はバネの力で保持されることになる。これにより瞳分割板31を所定の位置に保持するためのエネルギ消費を少なくすることができ、カメラの省電力が可能となる。
【0033】
なお、不図示であるが、付勢バネ33の代わりにトグルバネを用い、図8(a)の瞳分割板31の位置と図8(c)の瞳分割板31の位置の両方に付勢できるようにしてもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施例によれば、第1の実施例と同様の効果が得られ、更に、省電力が可能となる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被写体へのピント合わせに専用のセンサを用いる必要なく、素早いピント合わせができる。また、撮影時には視差のない映像を得ることができる。
【0036】
に、請求項記載の発明では省電力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例の構成を示すブロック図
【図2】 第1の実施例の動作を示すフローチャート
【図3】 第1の実施例における絞り羽根と遮光羽根の動作を示す図
【図4】 第2の実施例の構成を示すブロック図
【図5】 第2の実施例の動作を示すフローチャート
【図6】 第2の実施例における絞り羽根の動作を示す図
【図7】 位相差検知方式の原理を示す図
【図8】 第3の実施例の瞳分割手段の要部構成を示す図
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 絞り羽根
4 遮光羽根
6 撮像素子
9 測距手段
11 信号処理部
14 システムコントローラ

Claims (2)

  1. 被写体像を形成する撮影光学系と、この撮影光学系によって形成された被写体像を電気的な信号に変換する撮像素子と、この撮像素子によって得られた電気的な信号から所要の映像信号を生成する信号処理手段とを備えた撮像装置であって、前記撮影光学系の撮影光束を少なくとも2つの領域に時系列的に分割する瞳分割手段と、この瞳分割手段によって分割されたそれぞれ異なる領域を通過する撮影光束によって結像された光学像を前記撮像素子が変換することにより得られた電気的な信号から前記撮影光学系のピントずれ量を演算するピント演算手段とを備え、前記瞳分割手段は、同心円上に眼鏡状の2つの穴を開けた第1の遮光板と、該第1の遮光板の2つの穴を個別に遮光する第2の遮光板とを有し、前記第1の遮光板が前記同心円の中心を軸にして前記2つの穴が前記撮影光学系の光路内に挿脱可能に回動する構成を有していることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記第1の遮光板が所定位置まで回動するように付勢する弾性部材と、前記第1の遮光板を前記弾性部材の付勢に抗して回動するアクチュエータとを備えたことを特徴とする撮像装置。
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