JP3683948B2 - 有限要素モデル処理システム及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、解析モデルを有限要素に分割する有限要素モデル作成システムに関し、特にその要素分割のチェックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ性能の向上と共に有限要素法を主体とした数値実験が、設計のための一手法として広く行われ、その重要性は年々増大している。
【0003】
有限要素法を用いた解析では解析モデルを有限要素に分割したデータが必要であるが、それを作成する有限要素モデル作成システムは一般に有限要素分割装置と要素分割チェック装置からなる。
【0004】
有限要素分割装置では一般に領域分割法、4分木法、8分木法、デラウニ法等を用いて解析モデルを有限要素に分割する。またアダプティブ法等、解析結果を用いて、より精度の高い解を得ることを目的として行われる再分割もこの装置の機能の一部に含めることができる。
【0005】
一方要素分割チェック装置は、作成された要素分割をチェックするものである。その機能としては、要素分割の致命的ミスを発見する分割ミス発見機能、精度の高い解析結果を得るために要素形状の適切さをチェックする要素形状チェック機能の2つがある。
【0006】
分割ミス発見機能を実現する方法としては、一般に次の3つの方法がある。
【0007】
(1)フリーエッジを描かせる方法
要素分割図のうち、1つの要素だけに使用されている辺(2つ以上の要素に共有されていない辺。3次元要素の場合、稜線)を抽出し、それを表示させる。要素分割図の内部に要素間の整合がとれていない部分がある場合、本方法により整合がとれていない辺が表示され修正の指標となる。
【0008】
(2)面積(体積)・重心を計算する方法
要素分割図より、全要素の面積(3次元モデルの場合体積)の和を求め、解析モデルから計算される値と比較する。また要素分割図の各要素の重心から解析モデルの重心を求め、それを解析モデルから計算されるものと比較する。
【0009】
(3)重複要素を抽出する方法
同一の節点から構成される要素を抽出する。抽出された要素は重複要素である。
【0010】
また、要素形状チェック機能を実現する方法としては、以下の方法がある。
【0011】
(1)内角を計算する方法
各要素の内角を計算し、内角の大きい要素または小さい要素をリストアップする。リストアップされた要素は偏平で、解析上誤差を生み易い。3次元要素の場合、要素を構成する各面について内角を調べ、同様のチェックを行う。
【0012】
(2)要素のゆがみを計算する方法
3次元要素のうち、特に要素を構成する面に4角形をもつ要素の形状チェック。4角形の角の4点が同一平面上にあるかどうか、またどの程度同一平面にあるかをチェックする。同一平面にない場合(ゆがんだ面をもっている場合)解析上、誤差を生み易い。
【0013】
(3)理想的形状と比較する方法
各要素が理想的な要素形状(正三角形、正四角形、正四面体、立方体)に対して、どの程度歪んでいるかをチェックする。一般にチェックする要素を正規化された局所座標系の要素に写像するヤコビ行列の、行列式で評価する。
【0014】
なお、ここでは全節点が2次元平面上にある要素を2次元要素、体積を持ち3次元形状をした要素を3次元要素と呼ぶことにする。
【0015】
【発明が解決しようとしている課題】
しかし、以上の要素分割チェック方法だけで、すべての場合における要素分割のミスを発見することはできなかった。ミスを発見できなかった要素分割図の一例を図10を用いて説明する。
【0016】
図10は、広い領域を解析する2次元要素分割図の1部であり、たいへん微小な領域における要素分割の様子を示したものである。表示した4つの要素の構成は次の様になっている。
【0017】
要素(E1):節点 N1−N4−N5
要素(E2):節点 N1−N5−N2
要素(E3):節点 N5−N2−N4
要素(E4):節点 N4−N3−N2
【0018】
本来要素分割作成者は節点N5を3角形N1−N4−N2の内部に作成しようとしたのだが、入力ミスにより、要素(E4)の内部に作成してしまったため、要素分割として不適当な分割となっている。
【0019】
本要素分割は、フリーエッジを描かせる方法を適用しても、すべての辺が2つの要素で共有されているため、ミスを発見することはできない。解析モデルの面積または重心を求める方法を用いれば、理論上発見できるはずなのであるが、全解析領域に対して要素E1−E4の面積が極端に小さいため、全要素の面積の和を求める過程で、計算機中でこれらの要素の面積が桁落ちしてしまい、発見できなかった。また本要素分割のミスは、上述した重複要素の抽出、要素形状チェック機能を駆使しても発見できない。
【0020】
ミスを発見できなかった要素分割図の他の例を図11を用いて説明する。
【0021】
図11(a)は、広い領域を解析する、3角形要素と4角形要素が混在した2次元要素分割図の1部であり、たいへん微小な領域における要素分割の様子を示したものである。次にあげた節点からなる2つの3角形要素と1つの4角形要素を表示している。
【0022】
3角形要素(E1):節点 N1−N2−N3
3角形要素(E2):節点 N1−N3−N4
4角形要素(E3):節点 N1−N2−N3−N4
本要素分割図は、要素(E3)が要素(E1)と(E2)の領域を含んでいるため、要素分割として不適当な分割となっている。
【0023】
本要素分割図のミスは、フリーエッジを描かせる方法を適用しても、すべての辺が2つ以上の要素で共有されているために、発見できない。解析モデルの面積または重心を求める方法を用いれば、理論上発見できるはずなのでるが、全解析領域に対して要素E1−E3の面積が極端に小さいため、全要素の面積の和を求める過程で、計算機中でこれらの要素の面積が桁落ちしてしまい、発見できなかった。また本要素分割のミスは、上記の重複要素の抽出、要素形状チェック機能を駆使しても発見できない。
【0024】
このことは3次元要素分割図においても同様である。図11の(b)にその1例を示す。2次元の場合と同様に広い領域を解析する要素分割の1部であり、たいへん微小な領域における要素分割の様子を示したものである。次にあげた節点からなる3つの4面体要素と1つの5面体要素が表示されている。
【0025】
4面体要素(E1):節点 N1−N4−N2−N3
4面体要素(E2):節点 N5−N6−N2−N4
4面体要素(E3):節点 N6−N3−N2−N4
5面体要素(E4):節点 N1−N2−N3−N4−N5−N6
【0026】
要素(E4)が要素(E1)−(E3)を含んでいるため、要素分割として不適当な分割となっている。
【0027】
本要素分割も上記2次元要素分割の場合と同様な理由により、従来の要素分割チェック法ではミスを発見できない。
【0028】
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、上記要素分割のミスを容易に発見できるようにすることを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明によれば、2次元解析モデルを有限要素に分割した有限要素モデルを処理するシステムにおいて、前記有限要素モデルのデータを記憶したモデルデータ記憶手段と、2節点の節点番号の組に対応する計数値を記憶する計数値記憶手段と、前記モデルデータ記憶手段から、各要素について該要素の各辺のデータを順次読み出し、当該読み出した辺の両端の2節点の節点番号の組に対応する前記計数値記憶手段の計数値をカウントアップする計数手段と、前記計数値記憶手段の計数値が3以上である節点番号の組に対応する2節点を両端とする辺を抽出する抽出手段とを備える。
【0030】
また、本発明の他の態様によれば、2次元解析モデルを有限要素に分割した有限要素モデルを処理する方法において、前記有限要素モデルのデータを記憶したモデルデータ記憶手段と、2節点の節点番号の組に対応する計数値を記憶する計数値記憶手段と、有限要素モデルのデータを記憶したモデルデータ記憶手段から、各要素について該要素の各辺のデータを順次読み出し、2節点の節点番号の組に対応する計数値を記憶する計数値記憶手段において、当該読み出した辺の両端の2節点の節点番号の組に対応する計数値をカウントアップする計数工程と、
前記計数値記憶手段の計数値が3以上である節点番号の組に対応する2節点を両端とする辺を抽出する抽出工程とを備える。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の有限要素モデル作成システムのハードウェア構成の一実施形態を示すブロック構成図である。
【0034】
同図においては、1は、情報を入力するための入力部であり、データやコマンドをキー入力するためのキーボード、タブレット、マウスを具えている。
【0035】
2は、CPUであり、各種処理のための演算、論理判断等を行い、バス7に接続された各構成要素を制御する。3は、表示部であり、作成された有限要素モデルを表示する。
【0036】
4は、プログラムメモリであり、フローチャートにつき後述する処理手順を含むCPU2により制御のためのプログラムを格納するメモリである。プログラムメモリ4は、ROMであってもよいし、外部記憶装置6などからプログラムがロードされるRAMであってもよい。
【0037】
5は、データメモリであり、各種処理で生じたデータを格納するほか、後述する知識ベースの知識を格納する。データメモリ5は、例えばRAMとするが、知識ベースの知識は、不揮発な外部記憶媒体から、処理に先立ってロードしておく、あるいは、必要があるごとに参照するものとする。
【0038】
6は、作成された有限要素モデルのデータを保存するための外部記憶装置である。また、要素分割の対象となるデータや処理プログラムをこの外部記憶装置6から読み出すようにしてもよい。
【0039】
7は、CPU1の制御の対象とする構成要素を指示するアドレス信号、各構成要素を制御するためのコントロール信号、各構成機器相互間でやりとりされるデータの転送を行うためのバスである。
【0040】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態として、面積または体積を求めることによって要部内部または境界に存在する節点を抽出する方法について述べる。
【0041】
図2は、本方法の処理手順を示すフローチャートである。判定の対象となる節点NXを設定し(ステップS21)、判定の対象となる要素(EX)としてNX以外の節点からなる要素を設定する(ステップS22)、図3は2次元要素分割図において本実施例を説明する図である。(a)は、節点NXが節点N1−N2−N3からなる3角形要素(EX)の、(b)は節点NXが節点N1−N2−N3−N4からなる4角形要素(EX)の内部にあるか外部にあるかをそれぞれ判定する方法を説明する図である。
【0042】
判定を行うために、次の2つの面積S1,S2を計算する(ステップS23〜S24)。
・3角形要素の場合、(a)において
・4角形要素の場合、(b)において
・3角形要素、4角形要素に共通して
S2=要素(EX)の面積
この2つの面積S1,S2を比較し、2つが等しいならば節点NXは要素(EX)の内部または境界上の点、異なるならば外部の点であると判定する(ステップS25)。
【0043】
要素の内部または境界上と判定された節点を抽出する(ステップS26)。
【0044】
そして、全要素についてこの判定を行い(ステップS22〜S27)、節点NXがすべての要素の内部または境界上にはないと判定されたならば、節点NXに関する要素分割のミスは無いといえる。
【0045】
そしてこのチェックを全節点について行い(ステップS21〜S28)、要素の内部または境界上に存在する節点を抽出し表示する(ステップS29)。
【0046】
なお、ここでは3角形要素の場合と4角形要素の場合で、面積S1の計算式を別に書いたが、これらは1つにまとめることができる。すなわち節点NX及び要素(EX)を構成する1辺の両端の節点を頂点とする3角形を想定し、要素(EX)のすべての辺について、その想定した3角形の面積をたしあわせてS1とする。このようにまとめることによって、3角形要素、4角形要素が混在する要素分割図についても容易に本実施形態を実現することができる。
【0047】
本方法は3次元要素の場合にも拡張することができる。3次元要素の場合の判定法の例を図4を用いて説明する。図4のうち(a)は、節点NXが節点N1−N2−N3−N4からなる4面体要素(EX)の、(b)は節点NXが節点N1−N2−N3−N4−N5−N6−N7−N8からなる6面体要素(EX)の内部にあるか外部にあるかをそれぞれ判定する方法を説明する図である。
【0048】
判定を行うために、次の2つの体積V1,V2を計算する。
・4面体要素の場合、(a)において
・6面体要素の場合、(b)において
・4面体、6面体要素に共通して
V2=要素(EX)の体積
【0049】
この2つの体積V1,V2を比較し、2つが等しいならば節点NXは要素(EX)の内部または境界上の点、異なるならば外部の点であると判定する。内部または境界上と判定された点を抽出する。
【0050】
そして上述の2次元要素の場合と同様に、各節点における本判定を全要素について行うことによって、要素の内部または境界上に存在する節点を抽出し表示する。
【0051】
なお、ここでは4面体要素の場合と6面体要素の場合で、体積V1の計算式を別に書いたが、これらは1つにまとめることができる。すなわち節点NX及び要素(EX)を構成する1つの面上の節点を頂点とする多面体を想定し、要素(EX)のすべての面について、その想定した多面体の体積をたしあわせてV1とする。このようにまとめることによって、4面体要素、5面体要素、6面体要素の分割図、及びこれらの要素が混在する要素分割図についても容易に本実施形態を実現することができる。
【0052】
なおS1,S2(3次元要素の場合、体積V1、V2)の比S2/S1(3次元要素の場合V2/V1)は、要素形状の良好性を評価する1つの指標として使用することもできる。すなわちS2/S1が、1のときは要素(EX)の内部または境界上の点であることは上で述べたが、本値が1よりも大きくなるにつれて要素(EX)から離れた点であると判定できる。そして、要素(EX)の周囲にS2/S1が1に近い節点があるということは、要素の周囲に偏平な要素が存在する。または要素(EX)自体が偏平な要素であることを意味する。そこでこのS2/S1が1に近い要素と節点の組み合わせを抽出することにより、要素形状が悪い部分の要素分割を検出することができる。
【0053】
また本実施形態では、要素の内部または境界上に存在する節点を発見する機能を有限要素モデル作成システムの中の要素分割チェック装置の1部として組み込んだが、有限要素法を用いて解析を行う解析装置の1部として組み込んでもよい。解析装置中に、有限要素解析を行う第1段階として、本実施形態の装置を組み込んだ場合、入力データの誤りを事前にチェックすることができ、誤りがあった場合の計算機のCPU時間の浪費をおさえ、また解析効率を上げることができる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態を以下に説明する。
【0055】
第2の実施形態では、所定の要素に対する被検査節点の局所座標値を求め、その節点が局所座標系の値によって、その要素の内部、境界上、外部のいずれに位置するかの判定を行う。例えば、2次元三角形要素の場合には、局所座標系として面積座標系を用いることができる。面積座標L1 ,L2 ,L3 は、次式で計算できる。
【0056】
【外1】
ただし
a1 =x2 y3 −x3 y2 ,b1 =y2 −y3 ,c1 =x3 −x2
a2 =x3 y1 −x1 y3 ,b2 =y3 −y1 ,c2 =x1 −x3 …(2)
a3 =x1 y2 −x2 y1 ,b3 =y1 −y2 ,c3 =x2 −x1
【0057】
【外2】
【0058】
ここで、x1 ,x2 ,x3 ,y1 ,y2 ,y3 及びx,yは図5に示す如く、各々要素を構成する節点のx,y座標及び検査対象の節点のx,y座標である。(1)式の値は要素構成節点の番号のつけ方(右回り、左回り)に依存しない。
【0059】
面積座標Lから、節点と要素の位置関係を知ることができる。
0<L<1(全てのLについて)要素内部
L=0またはL=1(他のLは0≦L≦1)要素境界上…(3)
L<0又はL>1(どれかに1つのLについて)要素の外部
【0060】
また、3次元要素の場合、例えば4面体要素であれば、局所座標系として体積座標系をとることにより、2次元三角形要素の場合と、同様の方法により、位置関係の判定ができる。
【0061】
一般的には、要素内部の位置x,y,zは、局所座標値u,v,wによって、次式で表される。
【0062】
【外3】
【0063】
ここで、nは要素構成節点数、xl ,yl ,zl は要素構成節点の座標値、nl (u,v,w)は、要素構成節点eの形状関数であり、要素の種類によって定義されるものである。
【0064】
u,v,wは局所座標値であり、一般には要素内では−1から1の範囲にとられることが多い。
【0065】
図6のa,bは、全体座標系と、局所座標系の関係を2次元の2次4角形曲辺要素を例にとって示したものである。
【0066】
aが全体座標系、bが局所座標系である。この関係は3次元要素の場合でも同様である。
【0067】
(4)式において、検査される節点の座標x,y,zがわかっているので、これよりu,v,wを計算し、局所座標値の要素定義範囲と比較することにより、被検査節点とその要素の位置関係を知ることができる。つまり、図6のa,bに示したような4角形が基本となる要素では、2次元、3次元の別を問わず、局所座標η(u,v又はw)によって以下の判定を行うことができる。
−1<η<1(全てのηについて)要素内部
η=−1又はη=1(他のηは−1≦η≦1)要素境界上…(5)
η<−1又はη>1(どれか1つのηについて)要素の外部
【0068】
また、図7に示すような三角柱が基本となる要素では、局所座標系として、L1 ,L2 ,wをとる。L1 ,L2 は0から1までの範囲、wは−1から1までの範囲が要素領域である。
【0069】
局所座標値と要素との位置関係は、以下のようになる。
【0070】
(4)式は、一般には非線形な方程式となるが、ニュートンラクソン法などを利用することにより、容易に解くことができる。本実施例も第1実施例と同じ効果を有するが、第1実施例と比べて、面要素がねじれて同一平面上にない場合や、辺や面が曲辺や曲面になっているより一般的な要素に対しても適用可能であるという利点を有する。
【0071】
〔第3の実施形態〕
以下、本発明の第3の実施形態として、要素ごとに辺(3次元要素の場合、面を共有している要素の数を調べることによって、3つ以上の要素に共有されている辺(面)を抽出する方法について説明する。
【0072】
図8は本実施形態の処理手順を説明する図であり、抽出するためのプロセスを示す。
【0073】
以下のプロセスを実行することによって2次元要素分割図において、3つ以上の要素に共有されている辺を抽出することができる。
【0074】
(1)要素を1つ設定する(ステップS81)。
【0075】
(2)(1)(または(6))で設定した要素を構成する1つの辺の両端の節点を設定する(ステップS82)。
【0076】
(3)すべての要素について、構成する節点が(2)で設定した2節点を含むかどうかを調べる。それによって、(2)で設定した2節点を含むすべての要素の数をカウントする(ステップS83)。
【0077】
(4)(3)でカウントした要素の数が3以上であるかどうかを判定する(ステップS84)。
【0078】
(5)(4)でカウント数が3以上と判定された辺を抽出する(ステップS85)。設定されている要素のすべての辺について、(2)−(5)のプロセスを行う(ステップS82〜S86)。
【0079】
(6)(1)とは異なる新たな要素を再び設定し、(2)からのプロセスを行う。この処理を全要素について行う(ステップS81〜S87)。
【0080】
なお、(3)のプロセスでは、すべての要素について(2)で設定した節点を含むかどうかを調べたが、(1)または(6)で既に設定されたことのある要素は省略してもよい。省略することにより、抽出時間を短縮することができる。また同じ辺が、共有される要素の数だけ重複して抽出されることを防ぐこともできる。
【0081】
3次元要素分割図の場合における面抽出のための処理も、ほぼ同様である。以下のプロセスを実行することによって、3次元要素分割図において、3つ以上の要素の共有されている面を抽出することができる。
【0082】
(1)要素を1つ設定する。
【0083】
(2)(1)(または(6))で設定した要素を構成する面のうち1つを選び、その面を構成する節点を設定する。
【0084】
(3)すべての要素について、構成する節点が(2)で設定した節点を含むかどうかを調べる。それによって、(2)で設定した節点を含むすべての要素の数をカウントする。
【0085】
(4)(3)でカウントした要素の数が3以上であるかどうかを判定する。
【0086】
(5)(4)でカウント数が3以上と判定された面を抽出する。設定されている要素のすべての面について、(2)−(5)のプロセスを行う。
【0087】
(6)(1)とは異なる新たな要素を再び設定し、(2)からのプロセスを行う。この処理を全要素について行う。
【0088】
なお2次元の場合と同様、(3)のプロセスでは、(1)または(6)で既に設定されたことのある要素を省略した方が、効率的である。
【0089】
〔第4の実施形態〕
行列を用いることによって、3つ以上の要素に共有されている辺を抽出する方法を説明する。
【0090】
図9は本実施形態を説明する図である。図11の(a)に示した2次元要素分割図に対して、このような行列を用意した。ここで本行列の行と列の数は、要素分割図の総節点数よりも大きいものとする。
【0091】
本行列を用いて行う処理プロセスを以下に説明する。
【0092】
(1)行列のすべての元を零に設定する。
【0093】
(2)要素を1つ設定する。
【0094】
(3)(2)で設定した要素を構成する1つの辺の両端の節点を設定する。
【0095】
(4)設定した節点の番号のうち、小さい番号の行、大きい番号の列の行列の元の値を、もとの値に1を加えて更新する。
【0096】
(5)(2)で設定した要素のすべての辺について、(4)の処理を行う。
【0097】
(6)すべての要素について、(2)−(5)の処理を行う。
【0098】
本処理によって、作成された行列が図9に示したものである。行列中のI行J行の値は番号I,Jの節点を両端に持つ辺が何個の要素に共有されているかを示す。従って本行列中の3以上の値を持つ元を抽出することによって、3つ以上の要素に共有されている辺を抽出することができる。
【0099】
本方法は、ループの数が第3の実施形態よりも少なくてすむため、短い処理時間で辺を抽出できるという特徴がある。
【0100】
本実施例で用いる行列について説明を加える。まず、1つの辺を表わすのに、節点の1つの組み合わせだけでよい。つまり、辺N1−N2と辺N2−N1は同じであるから、上述の説明の中で述べたように、最初に節点番号の小さいものを採用すれば、もう一方は不要である。つまり辺M1−N2に関しては、行列のうちN1−N2の要素のみ必要でN2−N1の要素は不要である。つまり、この行列の下三角行列部分は不要である。
【0101】
対角項は、同一節点を両端にもつ辺を意味する。このような辺の定義は、通常使用しないため、対角項に零以外の値がはいる時は、その数にかかわらずこれを検出し、表示することによって、使用者に注意を喚起する必要がある。つまり、対角項は、有用な情報である。
【0102】
上三角行列部分が辺の組み合わせ部分であり、結局対角項と上三角行列部分が必要な領域となる。
【0103】
しかし、これらの領域における節点と節点の組み合わせのうち辺を構成するものは、一般的に少ない。つまり、零の要素が多い。零の部分は記憶する必要がないので、これを利用することにより記憶容量の節約が図である。
【0104】
例えば、節点番号づけを適切に行えば、辺を構成する節点の組み合わせに相当する行列要素は対角付近に集中する。したがって、この場合には、帯状行列のみの記憶領域を確保すればよい。
【0105】
また、節点番号づけが一般的な場合についても、非常要素のみを記憶することにより、記憶容量を節約することができる。この場合は最初に組み合わせが生じる行列要素のみを検出し、例えばそれを1次元に並べ、その番地を記憶し、その後、組み合わせ数をカウントすればよい。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来発見できなかった不適当な要素分割を発見することが可能となる。また、有限要素の形状をチェックすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態の有限要素モデル作成システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態を説明するための2次元要素分割図である。
【図4】第1の実施形態を説明するための3次元要素分割図である。
【図5】第2の実施形態の面積座標系を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態の局所座標系と全体座標系との関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態の三角柱要素の局所座標系を示す図である。
【図8】第3の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第4の実施形態で用いる行列の例を示す図である。
【図10】従来の問題点を説明するための要素分割図である。
【図11】従来の問題点を説明するための要素分割図である。
Claims (4)
- 2次元解析モデルを有限要素に分割した有限要素モデルを処理するシステムにおいて、
前記有限要素モデルのデータを記憶したモデルデータ記憶手段と、
2節点の節点番号の組に対応する計数値を記憶する計数値記憶手段と、
前記モデルデータ記憶手段から、各要素について該要素の各辺のデータを順次読み出し、当該読み出した辺の両端の2節点の節点番号の組に対応する前記計数値記憶手段の計数値をカウントアップする計数手段と、
前記計数値記憶手段の計数値が3以上である節点番号の組に対応する2節点を両端とする辺を抽出する抽出手段とを有することを特徴とする有限要素モデル処理システム。 - 前記計数値記憶手段の計数値が0以外である同一節点番号の組を検出する検出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の有限要素モデル処理システム。
- 2次元解析モデルを有限要素に分割した有限要素モデルを処理する方法において、
有限要素モデルのデータを記憶したモデルデータ記憶手段から、各要素について該要素の各辺のデータを順次読み出し、2節点の節点番号の組に対応する計数値を記憶する計数値記憶手段において、当該読み出した辺の両端の2節点の節点番号の組に対応する計数値をカウントアップする計数工程と、
前記計数値記憶手段の計数値が3以上である節点番号の組に対応する2節点を両端とする辺を抽出する抽出工程とを有することを特徴とする有限要素モデル処理方法。 - 前記計数値記憶手段の計数値が0以外である同一節点番号の組を検出する検出工程を更に有することを特徴とする請求項3に記載の有限要素モデル処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23246695A JP3683948B2 (ja) | 1995-09-11 | 1995-09-11 | 有限要素モデル処理システム及びその方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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