JP3682551B2 - 地盤改良工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は軟弱地盤改良工法のうち液状化対策として、また、不透水性の地盤浸透注入することができる適応性のある注入工法の改良改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術分野】
軟弱地盤の改良工法のうち、注入工法に用いられる注入材は溶液型と懸濁液型とがあり、前者の溶液型は浸透性を有するが耐久性にとぼしい。また、後者の懸濁液型は耐久性を有するが浸透性にとぼしい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の浸透性の問題を解決するために、浸透性の良い注入材として超微粒子セメントを用いることが提案されている。
超微粒子セメントを注入材として使用する場合、従来、水セメント比を100〜400%,分散剤を超微粒子セメントに対し0.1〜1.3%添加してなる懸濁液型注入材を地盤中に注入しているが、この注入材は透水係数が10-2cm/secより不透水性の地盤に浸透注入させることができなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の課題を解決するために、超微粒子セメントの水セメント比を700〜1300%,好ましくは900〜1100%、分散剤を超微粒子セメントに対して5〜15%,好ましくは9〜11%を添加してなる懸濁液型注入材を作り、透水係数が10-1〜10-4cm/sec の不透水性の軟弱地盤中に注入してなる地盤改良工法である。
【0005】
また、上記地盤改良工法に用いる超微粒子セメントを平均粒径4μm,最大粒径10μm,残分3%以下、ブレーン比表面積7000〜10000cm2 /g無機質化合物とし、また、前記注入材に用いる分散剤としてナフタレンスルフォン酸塩系のものをもちいたことである。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を以下の実施例に基づき説明する。
実施例
1.試料および実施方法
注入材は超微粒子セメント(比重3.0,平均粒径4μm,G85=8μm,ブレーン比表面積9000cm2 /g以上)を用い、試料砂は超微粒子セメント懸濁液の注入限界に近いとされている粒度分布を有する東北珪砂7号(細粒分Fc=2〜5%,D50=0.1〜0.2mm,D15=0.11mm,GR=D15/G85=14,GR<11:注入不可)を用いた。
東北珪砂7号の粒度分布は図1に示すとおりである。
一次元浸透注入実験は、長さ2m,内径50mmのアクリルパイプ内に、気乾試料砂を数層に分けて投入し、層ごとに水平打撃により相対密度Dr=50%になるように締め固めたのち、CO2 を通過させ脱気水で飽和させた供試体(供試体長192cm,フィルター材4cm+4cm)を用いた。
長期耐久性実験は、長さ20cm,内径50mmのアクリルパイプ内に同様の処置を行った供試体(供試体長さ23cm,フィルター材1cm+1cm)を用いた。
注入材の注入はモールドの下部より行った。
注入条件を以下表1〜3に示す
【表1】
【表2】
【表3】
【0007】
表−1に示す実験は浸透性の面で最適な分散剤の種類を求めることを目的とし、代表的な分散材剤を注入材に混入し、一定圧力及び水セメント比のもと、注入量が小さくなり供試体の色調の変化か見られなくなるまで注入(以後限界注入と呼ぶ。)を行った。
表−2に示すケース1〜10の実験は最適の水セメント比を求めるため、一定圧力のもと、水セメント比を250〜3000%の範囲まで変化させて注入を行った。ケース11〜14の実験は最適な分散剤混入率を求めるため、分散剤混入率をB/C(分散剤と注入材の比)=6〜12%の範囲で変化させた。
表−3に示す実験は分散剤混入率をB/C=1〜12%の範囲で変化させた場合の長期強度を確認するために行った。
【0008】
実施結果
(1)最適分散剤
表−1の注入条件のもとで行った結果を、図2に示す。
β−ナフタレン系分散剤(ナフタレンスルフォン酸塩に超微粒子注入材の遅延剤を混合したものの略記)およびナフタレン系分散剤(ナフタレンスルフォン酸塩の略記)は、混合率が少ないにもかかわらず、他の分散剤より浸透性が良いことがわかる。
特に、β−ナフタレン系分散は混入率が1.2%でも浸透性が良く、ナフタレン系分散剤にしても混入率を3%にした場合、β−ナフタレン系と同様に懸濁液が2mモールドを通過した。
すなわち、分散剤中に遅延剤を含有させなくとも、3%以上の添加量があれば、十分浸透性を確保することができる。
【0009】
(2)最適水セメント比
前記の表−2に示すケース1〜10の実験結果を図3に示す。
この図から水セメント比が大きくなるとともに固結長は長くなるが、W/C=1000%を超えW/C=3000%になると固結長は短くなることがわかる。
また、分散剤の混入率を増やすことで固結長はながくなる。
【0010】
分散剤混入率が4%,5%の場合の2mモールド通過時の注入時間と注入量の関係、注入量と注入速度の関係を図4及び図5に示す。
これらの図から水セメント比が大きくなるほど注入量が多くなり、長時間注入を継続した後注入速度が低下しないことが判る。また、分散剤の混入率が変わっても、同一水セメント比では同じ注入経路をたどっている。
なお、水セメント比が1000%を超えると図3に示すように固結長が短くなり、他方図4に示すように注入量は単調に増え続けている。
従って、固結長および浸透特性から、注入材の最適水セメント比W/C=1000%付近であると言える。
【0011】
(3)最適分散剤混入率
前記表−2に示すケース11〜14(ケース4,9も含む)の実験結果を図6及び図7に示す。
分散剤混入率が3%を超えると懸濁液は2mモールドを通過するので、これらの図のデータは注入開始から2mモールド通過時までのものである。分散剤の混入率を変えても注入経路は変わらないが、分散剤を増やすほどより少ない注入量で懸濁液が通過しており、浸透効果が良くなることが判る。
【0012】
浸透効率を検討するにあたり充填比(注入量を固結長の注入前空隙体積で除したもので、充填比が1に近いほど浸透率が良い)に基づいて検討を行う。図8に前記表2のケース4,9,11〜14から得られた充填比を示す。分散剤の混入率を増やすほど充填比は下がり、10%付近で頭打ちとなる。
上記の浸透効率から最適分散剤混入率は8〜10%であると言える。
【0013】
【発明の効果】
この発明は、上述のように超微粒子セメントの水セメント比を700〜1300%,好ましくは900〜1100%、分散剤を超微粒子セメントに対して5〜15%,好ましくは9〜11%を添加してなる懸濁液型注入材を用いることにより注入材の浸透注入が困難とされている10-1〜10-4程度の透水係数を有する地に対しても浸透率の良い注入材を得ることができる。
従って、既設の地中構造物や基礎構造物を対象とした液状化対策として、それら構造物の地盤の間隙へ圧入し固結させる注入材としては、広範囲に効率よく注入するので好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の地盤改良工法の実施例のための試料砂(東北珪砂7号)の粒度分布図である。
【図2】この発明の地盤改良工法の実施例における分散剤と固結長の関係を示す図である。
【図3】この発明の地盤改良工法の実施例におけるW/Cと分散剤の変化に伴う固結長を示す図である。
【図4】この発明の地盤改良工法の実施例における2mモールド通過時の注入時間と注入量の関係を示す図である。
【図5】この発明の地盤改良工法の実施例における2mモールド通過時の注入量と注入速度の関係を示す図である。
【図6】この発明の地盤改良工法の実施例における2mモールド通過時の注入量と注入量の関係を示す図である。
【図7】この発明の地盤改良工法の実施例における2mモールド通過時の注入量と注入速度の関係を示す図である。
【図8】この発明の地盤改良工法の実施例における分散剤混入率と充填率の関係を示す図である。
Claims (4)
- 透水係数が10-1〜10-4cm/sec 程度の地盤の改良にあたり、超微粒子セメントの水セメント比が700〜1300%,好ましくは900〜1100%に、分散剤を前記超微粒子セメントに対して5〜15%,好ましくは9〜11%を添加してなる懸濁液型注入材を、前記地盤中に注入することを特徴とする地盤改良工法。
- 透水係数が10-1〜10-4cm/sec 程度の地盤の改良にあたり、平均粒径4μm,最大粒径10μm,残分3%以下、ブレーン比表面積7000〜10000cm2 /gの超微粒子セメントの水セメント比を700〜1300%,好ましくは900〜1100%に、分散剤を前記超微粒子セメントに対して5〜15%,好ましくは9〜11%を添加してなる懸濁液型注入材を、前記地盤中に注入することを特徴とする地盤改良工法。
- 前記分散剤がナフタレンスルフォン酸塩系のものであることを特徴とする請求項1〜2記載の地盤改良工法。
- 前記分散剤がナフタレンスルフォン酸塩系に超微粒子セメントの注入材の遅延剤を混合したのものであることを特徴とする請求項1〜2記載の地盤改良工法。
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Families Citing this family (2)
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- 1995-11-17 JP JP29996795A patent/JP3682551B2/ja not_active Expired - Lifetime
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