JP3682111B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内に超音波を送受信し診断部位について白黒断層像を得ると共にカラー血流像を得て画像表示部に重ね合わせて表示する超音波診断装置に関し、特にカラー血流像の表示において速度エリアジングを起こしている場合でも正しく4点補間演算ができ、正しい血流速度表示をすることができる超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の超音波診断装置は、図1に示すように、被検体内に超音波を送受信する探触子1と、この探触子1を駆動して超音波を打ち出すと共にその反射波を受信してエコー信号を得る超音波送受信部2と、この超音波送受信部2からの反射エコー信号を入力して受波フォーカス処理する整相回路3と、この整相回路3からの受波信号を入力して診断部位の白黒の断層像を生成する白黒断層像表示部4と、上記整相回路3からの受波信号を入力し血流情報を抽出してカラーの血流像を生成するカラー血流像表示部5と、上記白黒断層像表示部4及びカラー血流像表示部5からの画像データを混合して白黒断層像とカラー血流像とを重ね合わせて表示するカラーの画像表示部6とを有し、上記カラー血流像表示部5内にて血流の速度成分を超音波送受信座標系から画像表示座標系に変換するのに対象点を囲む4点を抽出して補間演算して座標変換するようになっていた。
【0003】
なお、上記白黒断層像表示部4は、整相回路3から出力された受波信号を入力して該受波信号を検波すると共に圧縮処理する白黒ビデオ処理回路7と、この白黒ビデオ処理回路7からの出力信号について超音波送受信座標系(r,θ)のデータを表示座標系(x,y)に座標変換する白黒表示回路8とから成る。また、カラー血流像表示部5は、整相回路3から出力された受波信号を入力して該受波信号から血流情報としての速度、分散、強度を演算するカラーフローマッピング(CFM)演算回路9と、このCFM演算回路9からの出力信号について超音波送受信座標系(r,θ)のデータを表示座標系(x,y)に座標変換するカラー表示回路10とから成る。さらに、符号11は、上記白黒表示回路8から出力される白黒断層像とカラー表示回路10から出力されるカラー血流像とを混合する混合回路を示している。
【0004】
そして、上記カラー血流像表示部5内のカラー表示回路10の内部構成は、図5に示すブロック図のようになっている。すなわち、図1に示す画像表示部6に表示する座標点(x,y)を発生するx,yアドレス発生手段12と、このx,yアドレス発生手段12で発生された座標点(x,y)に対応する超音波送受信座標系(r,θ)及び補間係数a,bを出力するr,θ座標変換手段13と、図1に示すCFM演算回路9からの出力信号を取り込んで超音波送受信座標系(r,θ)で書き込むフレームメモリ14と、このフレームメモリ14から図3(b)に示すように対象点(r,θ)を囲む最近傍の4点を読み出し上記の補間係数a,bに対して下記の式(1)の演算を行う4点補間演算手段15と、上記画像表示部6に表示するための画像データを書き込む表示メモリ16とから成る。
ただし、iは、フレームメモリ14のr,θアドレスである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の超音波診断装置における4点補間演算においては、図1に示すカラー血流像表示部5内のCFM演算回路9から出力される血流情報のうち「分散」や「強度」については正負がない値であるから問題はないが、「速度」については正負があり最大表示速度(検出限界速度)を越える場合は符号反転して表示される(速度エリアジングを起こす)ことがあり、以下のような問題がある。
【0006】
図6は、横軸がr又はθの座標値を示し、縦軸が速度vの値を示すと共に正の最大表示速度を+Vmax、負の最大表示速度を−Vmaxで示すものであり、2点間の血流像の関係を示している。そして、図6(a)は2点の速度v1,v2が同符号の場合、同図(b)は2点の速度v1,v2が異符号であるが正負の最大表示速度Vmax以下であり速度エリアジングを起こしていない場合、同図(c)は2点の速度v1,v2が異符号であり且つ速度エリアジングを起こしている場合を示している。
【0007】
上記図6(a)及び(b)の場合は、いずれも速度エリアジングを起こしておらず、図5に示す従来の構成のカラー表示回路10を用いて前述の式(1)により4点補間演算を行えば、その補間値v(x,y)は正しく得られる。しかし、図6(c)の場合は、負の最大表示速度−Vmaxを越えた破線部分17が速度エリアジングを起こして符号反転し、正の最大表示速度+Vmax側に折り返して実線部分18のように表示されている。このとき、従来例においては、速度エリアジングを起こした結果の2点間の速度v1とv2とで急激に速度が変化したと想定し、カラー表示回路10は、この2点の速度v1,v2を用いて前述の式(1)で補間演算を行い、間違った速度値v′(x,y)を得ていた。従って、このようなカラー表示回路10からの出力信号を取り込んで表示されるカラー血流像は、間違った速度のカラー表示となり、画像診断としては有効に利用できないものとなるものであった。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、カラー血流像の表示において速度エリアジングを起こしている場合でも正しく4点補間演算ができ、正しい血流速度表示をすることができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による超音波診断装置は、被検体内に超音波を送受信する探触子と、この探触子を駆動して超音波を打ち出すと共にその反射波を受信してエコー信号を得る超音波送受信部と、この超音波送受信部からの反射エコー信号を受波フォーカス処理し、その受波フォーカス処理された反射エコー信号から診断部位の白黒の断層像を生成すると共に、上記受波フォーカス処理された反射エコー信号から血流情報を抽出してカラーの血流像を生成する手段と、上記白黒断層像及びカラー血流像の画像データを重ね合わせて表示するカラーの画像表示部と、上記血流情報の速度成分を超音波送受信座標系から画像表示座標系に変換するのに対象点を囲む4点を抽出して補間演算して座標変換する4点補間演算手段と、を備えた超音波診断装置において、上記4点補間演算手段により座標変換する対象点を囲む4点の符号が同一か否かを判定する4点符号判定手段と、上記4点が同符号のときは何も処理を行わず、上記4点が異符号の領域にまたがっているときは該4点の速度絶対値が予め設定された速度エリアジングを判別するためのしきい値を越えるか否かを判定し、その判定結果に基づき速度変換処理をして上記4点補間演算手段に出力するしきい値処理手段と、このしきい値処理手段により速度変換処理された上記4点補間演算手段における4点補間演算の結果の絶対値が検出限界速度を越えているものについて符号反転処理を行う手段と、を備えたものである。
【0010】
また、上記しきい値処理手段は、速度エリアジングを判別するためのしきい値が検出限界速度より小さい範囲内で被検体の部位によって任意に変更して設定可能としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による超音波診断装置の実施の形態を示すブロック図である。この超音波診断装置は、被検体内に超音波を送受信し診断部位について白黒断層像を得ると共にカラー血流像を得て画像表示部に重ね合わせて表示するもので、図1に示すように、探触子1と、超音波送受信部2と、整相回路3と、白黒断層像表示部4と、カラー血流像表示部5と、混合回路11と、画像表示部6とから成る。
【0012】
上記探触子1は、被検体内に超音波を送受信するもので、図示省略したがその内部には、超音波の発生源であると共に反射エコーを受信する振動子を有している。超音波送受信部2は、上記探触子1を駆動して超音波を打ち出すと共にその反射波を受信してエコー信号を得るもので、図示省略したがその内部には、探触子1に駆動パルスを送出するパルサと、その探触子1で受信した反射エコー信号を増幅するプリアンプとを有している。また、整相回路3は、上記超音波送受信部2から出力された反射エコー信号を入力して受波フォーカス処理するもので、上記探触子1内の各振動子素子からの受波信号に所定の遅延時間を与える複数の遅延回路と、これらの遅延回路で位相が揃えられた受波信号を加算する加算器とを有している。
【0013】
白黒断層像表示部4は、上記整相回路3からの受波信号を入力して診断部位の白黒の断層像を生成するもので、整相回路3から出力された受波信号を入力して該受波信号を検波すると共に圧縮処理する白黒ビデオ処理回路7と、この白黒ビデオ処理回路7からの出力信号について超音波送受信座標系(r,θ)のデータを表示座標系(x,y)に座標変換する白黒表示回路8とから成る。また、カラー血流像表示部5は、上記整相回路3からの受波信号を入力し血流情報を抽出してカラーの血流像を生成するもので、整相回路3から出力された受波信号を入力して該受波信号から血流情報としての速度、分散、強度を演算するカラーフローマッピング(CFM)演算回路9と、このCFM演算回路9からの出力信号について超音波送受信座標系(r,θ)のデータを表示座標系(x,y)に座標変換すると共にR(赤),G(緑),B(青)に色変換するカラー表示回路10とから成る。
【0014】
混合回路11は、上記白黒表示回路8から出力される白黒断層像とカラー表示回路10から出力されるカラー血流像とを混合するものである。そして、画像表示部6は、上記白黒断層像表示部4及びカラー血流像表示部5からの画像データを混合回路11で混合したデータを入力し白黒断層像とカラー血流像とを重ね合わせて表示するもので、例えばカラーTVモニタから成る。
【0015】
そして、上記カラー血流像表示部5内のカラー表示回路10の内部構成は、図2に示すブロック図のようになっている。すなわち、図1に示す画像表示部6に表示する座標点(x,y)を発生するx,yアドレス発生手段12と、このx,yアドレス発生手段12で発生された座標点(x,y)に対応する超音波送受信座標系(r,θ)及び補間係数a,bを出力するr,θ座標変換手段13と、図1に示すCFM演算回路9からの出力信号を取り込んで超音波送受信座標系(r,θ)で書き込むフレームメモリ14と、受信信号から抽出した血流情報の速度成分を超音波送受信座標系から画像表示座標系に変換するのに対象点を囲む4点を抽出して補間演算して座標変換するために上記フレームメモリ14から図3(b)に示すように対象点(r,θ)を囲む最近傍の4点を読み出し上記の補間係数a,bに対して前述の式(1)の演算を行う4点補間演算手段15と、上記画像表示部6に表示するための画像データを書き込む表示メモリ16とを有して成る。
【0016】
ここで、本発明においては、上記カラー血流像表示部5内のカラー表示回路10において、図2に示すように、4点補間演算手段15の前段に4点符号判定手段19としきい値処理手段20とが設けられ、上記4点補間演算手段15の後段には符号反転処理手段21が設けられている。上記4点符号判定手段19は、図3(b)に示す対象点(r,θ)を囲む4点の符号が同一か否かを判定するものである。また、しきい値処理手段20は、上記4点が同符号のときは何も処理を行わず、上記4点が異符号の領域にまたがっているときは上記対象点(r,θ)を囲む4点の速度絶対値が予め設定された速度エリアジングを判別するためのしきい値±Vthを越えているか否かを判定し1点でも越えているときは速度エリアジングを起こしているとして速度変換処理をして上記4点補間演算手段15に出力するものである。さらに、符号反転処理手段21は、上記しきい値処理手段20により速度変換処理された上記4点補間演算手段15における4点補間演算の結果の絶対値が血流の検出限界速度を越えているものについて符号反転の処理を行うものである。
【0017】
次に、このように構成された超音波診断装置におけるカラー血流像表示部5内のカラー表示回路10の動作について、図3及び図4を参照して説明する。まず、図3(a)に示すように、図2に示すx,yアドレス発生手段12で発生された表示メモリ用の座標において表示すべき血流の速度値をv(x,y)とし、図3(b)に示すように、図2に示すr,θ座標変換手段13でr,θ座標変換した後の速度値v(r,θ)を求めるとする。この場合、v(r,θ)を囲む速度の実データの最近傍の4点
の符号を図2に示すフレームメモリ14から読み出し、その次の4点符号判定手段19で判定する。
【0018】
このとき、図6と同様に2点間の血流像の関係を示す図4において、図4(a)に示すように、上記4点とも同符号ならば(図4においては2点間の関係を図示しているが実際は4点間の関係となる)、次のしきい値処理手段20の処理を無視して、その次の4点補間演算手段15により前述の式(1)で示す4点補間演算を行い、補間値v(x,y)を得る。その後、次の符号反転処理手段21の処理を無視して、上記得られた補間値v(x,y)をそのまま表示メモリ16に書き込む。
【0019】
また、図4(b)に示すように、上記4点が異符号の領域にまたがっているときは、しきい値処理手段20により上記4点の速度絶対値が予め設定された速度エリアジング判別のためのしきい値±Vthを越えているか否かを判定する。この場合、図4(b)のように上記4点がすべて±Vthの範囲内にあるときは、速度エリアジングを起こしていないとみなし、その次の4点補間演算手段15により前述の式(1)で示す4点補間演算を行い、補間値v(x,y)を得る。その後、次の符号反転処理手段21の処理を無視して、上記得られた補間値v(x,y)をそのまま表示メモリ16に書き込む。なお、上記しきい値の値は、例えば1/2Vmax≦Vth≦Vmaxに設定すればよい。
【0020】
さらに、図4(c)に示すように、上記4点が異符号の領域にまたがっており、しきい値処理手段20により上記4点の速度絶対値が予め設定されたしきい値±Vthを1点でも越えていると判定された場合は、速度エリアジングを起こしているとみなす。このときは、上記しきい値処理手段20により、図4(c)に示すように、+Vmax側に折り返して表示された実線部分18を元の−Vmax側の破線部分17の位置に戻して速度変換処理をすることにより、例えば正の速度v2を(v2−2Vmax)に変換する。そして、この速度変換処理後の値を用いて、次の4点補間演算手段15により前述の式(1)で示す4点補間演算を行い、正しい補間値v(x,y)を得る。その後、上記演算結果のv(x,y)の絶対値が最大表示速度(検出限界速度)±Vmaxを越えている場合は、符号反転処理手段21により符号反転の処理を行う。すなわち、
v(x,y)±2Vmax
の反転処理を行う。この場合、v(x,y)の値が負のときは2Vmaxを加算し 、v(x,y)の値が正のときは2Vmaxを減算する。そして、このようにして得られた処理結果の値を表示メモリ16に書き込む。なお、上記しきい値処理手段20による速度変換処理は、4点の符号統一を意味するものであり、図4(c)の例では負に符号統一したが、正に符号統一してもよい。
【0021】
なお、上記しきい値処理手段20に設定する速度エリアジングを判別するためのしきい値±Vthは、検出限界速度±Vmaxの範囲内で被検体の部位によって任意に変更して設定してもよい。また、図2において、4点符号判定手段19としきい値処理手段20とは、その位置を入れ換えて設けてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、4点符号判定手段で4点補間演算手段により座標変換する対象点を囲む4点の符号が同一か否かを判定し、しきい値処理手段により上記4点が同符号のときは何も処理を行わず、上記4点が異符号の領域にまたがっているときは該4点の速度絶対値が予め設定された速度エリアジングを判別するためのしきい値を越えるか否かを判定し、その判定結果に基づき速度変換処理をして上記4点補間演算手段に出力し、符号反転処理手段で上記しきい値処理手段により速度変換処理された上記4点補間演算手段における4点補間演算の結果の絶対値が検出限界速度を越えているものについて符号反転の処理を行うことができる。これにより、カラー血流像の表示において速度エリアジングを起こしている場合でも正しく4点補間演算ができ、正しい血流速度表示をすることができる。従って、カラー血流像を正しく表示することができ、画像診断として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来例による超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】カラー血流像表示部内のカラー表示回路の内部構成を示すブロック図である。
【図3】4点補間演算における座標変換の状態を示すグラフである。
【図4】本発明における血流速度の補間値の例を示す説明図である。
【図5】従来例によるカラー血流像表示部内のカラー表示回路の内部構成を示すブロック図である。
【図6】従来例における血流速度の補間値の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…探触子
2…超音波送受信部
3…整相回路
4…白黒断層像表示部
5…カラー血流像表示部
6…画像表示部
9…CFM演算回路
10…カラー表示回路
11…混合回路
12…x,yアドレス発生手段
13…r,θ座標変換手段
14…フレームメモリ
15…4点補間演算手段
16…表示メモリ
19…4点符号判定手段
20…しきい値処理手段
21…符号反転処理手段
Claims (2)
- 被検体内に超音波を送受信する探触子と、この探触子を駆動して超音波を打ち出すと共にその反射波を受信してエコー信号を得る超音波送受信部と、この超音波送受信部からの反射エコー信号を受波フォーカス処理し、その受波フォーカス処理された反射エコー信号から診断部位の白黒の断層像を生成すると共に、上記受波フォーカス処理された反射エコー信号から血流情報を抽出してカラーの血流像を生成する手段と、上記白黒断層像及びカラー血流像の画像データを重ね合わせて表示するカラーの画像表示部と、上記血流情報の速度成分を超音波送受信座標系から画像表示座標系に変換するのに対象点を囲む4点を抽出して補間演算して座標変換する4点補間演算手段と、を備えた超音波診断装置において、
上記4点補間演算手段により座標変換する対象点を囲む4点の符号が同一か否かを判定する4点符号判定手段と、上記4点が同符号のときは何も処理を行わず、上記4点が異符号の領域にまたがっているときは該4点の速度絶対値が予め設定された速度エリアジングを判別するためのしきい値を越えるか否かを判定し、その判定結果に基づき速度変換処理をして上記4点補間演算手段に出力するしきい値処理手段と、このしきい値処理手段により速度変換処理された上記4点補間演算手段における4点補間演算の結果の絶対値が検出限界速度を越えているものについて符号反転処理を行う手段と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 上記しきい値処理手段は、速度エリアジングを判別するためのしきい値が検出限界速度より小さい範囲内で被検体の部位によって任意に変更して設定可能とされていることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
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